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2007.09.27 02:35 |  海外留学  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  趣味  |  ドクトル貧乏  | 推薦数 : 2

ダウンタイムの過ごし方

前回、麻酔科では麻酔の導入および抜管を除けば、大抵の手術は比較的安定しているので落ち着けることを述べましたが、内科でもこうした「ダウンタイム」はあります。むしろ、超短期的な医療である麻酔と比べると、中長期的な医療である内科のダウンタイムは結構長いと思います。

例えば、患者さんの容態が安定しており、治療方針を立てるために出した検査の結果を待っている時間です。

こうした時間をどうやって使うかによって研修医間でも成長に差が出てくるのでしょうが、怠け者の私はどうしても勉強する気が起こりません。特に当直中は、何か真面目なことを始めると呼ばれそうな気がしてしまい、ダウンタイムは同僚と雑談に撤してしまいます。

そんな私のダウンタイムの過ごし方の一つに夜の病院徘徊があります。ただ、別に患者さんの様子を診に徘徊するわけではありません。もし何か見つけてしまったら困るからです。触らぬ神にたたりなしとは良く言ったものです。

私が徘徊するのは、明日のための「秘密のトイレ」を探すためです。常に満床である大学病院では、内科の患者さんといってもどの病棟へ入院することになるのか予測できません。取り合えず空いた部屋へ、緊急性の高い患者さん、又は最初に来た患者さんからどんどん入室してもらうからです。行ったこともない遠くの病棟まで患者さんを診に行かなくてはならないこともしばしばあります。そういった場合に備えて、どこの病棟にどんなトイレがあるのかを知っておくのも大切です。

「秘密のトイレ」の基準のABCは、アクセス、ビジネス、クリーンネスです。まず、アクセスがよくなくてはいけません。何時昼間食べたインド料理が襲ってくるか解らないからです。ただ、大衆にアクセスが良いと、マイナスです。混んでいては話になりません。ポイントは、あまり患者さん家族が通らないエリア、ナース・ステーションが近くにない、階段裏などの死角にある、などでしょうか。

ビジネスとアクセスは密接な関係にありますが、要は混んでいてはいかん、ということです。例え理想的なアクセス条件であっても、それを知っている医者が多くては秘密も何もありません。こういった「穴場なのに何故?」的なトイレは実はそのフロアに一つだけだったりすことが多いです。また、口の軽い研修医がぺらぺらと話してしまうのも困惑ものです。ビジーなトイレは紙がないなど、思わぬとろこでやられることが多いのが特徴です。

最後に、クリーンネス、これも重要です。特に要注意なのが便座です。一般に、男女共用のトイレの方が綺麗な印象があります。また、清掃台車が近くにある、もしくはあの万国共通の「スリッパリー・ウェン・ウェット(すべるので注意)」サインがある場合は果敢に攻めましょう。清掃直後のトイレはマツタケよりも価値があります。因みに、あのすべるぞサインのお陰で、教養のない私等でも、「ピソ・モハド」とはスペイン語で「濡れていて滑りますよ」という意味であることを学習しました。

ただ、バラには棘がつき物です。綺麗にしたばかりのトイレを汚されるのをよしとしない菊の小さい清掃員も実はいます。以前、まだトイレ素人だった頃、昼間の当直室エリア(パスワードがないと入れない上に、ちょっと離れた場所にある)は誰もいないし、静かで、しかも何時も決まって清掃した直後なので、三拍子揃った完璧なトイレだと思って連日のように利用していたことがあります。

ところが、清掃する端から汚すのを遺憾に思ったのか、あるとき掃除のおばさんが誰が使っているのか待ち伏せし始めたのです。彼女の背後からそおっとトイレに入室し、用をたした後、走るように逃げる私は「別に悪い事をしているわけじゃないのに、何で逃げなきゃいかんのだ」と思いながらも、気が小さいのでそれ以降は当直室のトイレは控えるようにしました。

また、夜中のトイレ・ミシェランも危険と背中合わせであることがわかりました。ある夜、ニュースを見ていたら、病院近辺で殺人事件が起こり、どうやら犯人が病院に逃げ込んで潜んでいる、という速報が入ってきたのです。「12階のトイレで犯人の者と思われるホルスターが発見されましたが、銃はみつかりませんでした」という報道を聞いて、背筋が凍ったのを覚えています。

トイレのお話がこんなにかかるとは思いませんでしたが、次回はもう少し上品なお話にしたいと思います。

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