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アメリカの病院で面白いと思うのは、あれだけ肥満患者さんが多く、糖尿病や関節炎、感染症などそれによる合併症を目にすることが多いのに、病院のカフェテリアはファスト・フード天国であることです。
例えばうちの病院では、バーガーキングがあり、デイリー・クイーンがあり、その他にもビザやフライドチキンなどでフロアは埋め尽くされています。また、ソーダの機械も沢山あり、リットル単位の巨大なカップをコーラで一杯に出来るのです。職員食堂も兼ねているため、医者や看護師も同じものを食べています。医者の不養生とはこのことでしょうか。看護士さんも患者さんに負けないくらい大きな人が多く、病院はまるでフットボール場のようです。医療も肉弾戦です。
病院の外では既にそういった食生活を改善しようという動きが見られるのに、最も敏感であるべき病院が砂糖&コレステロールのパラダイスと化しているから不思議です。
最近、よくどこどこの州では中学や高校のカフェテリアでソーダの自動販売機を禁止した、というニュースを聞きます。小児肥満が社会現象になっているためです。
こういった公衆衛生政策の影響は著しいものがあります。例えば、カリフォルニアやニューヨークで始まり全米に広がった、公共の場での禁煙政策です。アメリカでは50年前には男性の喫煙率が6割以上であったのが、最近では25%まで減りました。女性の喫煙率も40年間で35%から20%まで減少しました。喫煙やアルコール、肥満といった生活習慣病はアメリカでの死亡原因の4割を占めるのですから重要です。
因みに、日本での喫煙率は、男性が6割程度、女性が15%程度だそうです。しかも、アメリカでは知的水準と喫煙率は反比例すると言われていますが、日本では職業別にみると男性では医者、女性では看護婦がトップだと聞いたこともあります。こういったデータを世間はどう見るのでしょう?
さて、院内のカフェテリアでこういったジャンク・フードを売られると非常に困ることが多々あります。ジョー(仮名)は麻薬中毒者で、もともとは感染症で入院したのですが、嚥下障害や胃痛があるため、ついでに胃カメラをやろうということになりました。
ところが、最初は彼が「フロアから消えた」ため中止。2回目は、カメラを入れたら食べ物があり、「何も見えない」ため中止。前日夜から禁食のはずだったのに、夜中にカフェテリアに潜入して隠れ食いしたことを後日彼は告白。
3度目の正直、絶対に逃がさないぞ、と思って医学生に監視までさせて念を入れた今回。医学生がカンファいなくなったおり、ふと部屋に入ると「あっ!」彼のファミリーがカフェテリアからハンバーガーやフライを大量購入してきたらしく、皆でワシワシ食べているではありませんか!「ジョー、何してるんですか!検査が終わるまで食べちゃだめだって言ったでしょう!」「いやー、ちょっとなら良いかなと思って、だって腹が減って苦しいんだもん。」家族も、「先生、うちの坊やがあまりにひもじいみたいで可哀想になって、でも検査は大丈夫ですよね?」
結局、今回も中止し、即退院手続きを取り、(多分来ないとは思いましたが)一応、胃カメラの外来予約を取りました。こういったことが本当の医療費の無駄遣いになるのでしょう。アメリカで国民皆保険制度がなかなか樹立しない理由はこういった現状にもあるのでしょうか?
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