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三年という短い期間ではあるが、私は出家修行の期間を体験できた
その間には殆んど不眠の座禅も何度か体験した
そしてじつはそのとき、特定の相手のいないエロス体験をしたのだった
いや、エロスを超えていたと思う
私はその状態からの戻り際
これを慈悲と呼んでもいいのではないかと思った(41p)
玄ユウ宗久著2006
阿修羅は(鬼霊とも)修羅とも非天とも訳されるが
ゾロアスター教の最高神アフラ・マズダに相当するらしい
つまり古くは善悪に分かれる以前の存在だったのである
ニーチェがツァラトゥストラというゾロアスター教の創始者の名前を主人公にしたのも
おそらくそんなことが関係しているのではないだろうか
しかし阿修羅は、やがてインドの悪神の通称になる(14~15p)
キリスト教の(善なるゴッドと悪なるサタンに分化する前の)原初神の名前はアブラクサスである
村上春樹翻訳ライブラリー2006
「ガープ」の中でみんながいちばんよく覚えているのは
ガープの奥さんがあやまって恋人のペニスを噛みきってしまうシーンだ
アーヴィングの小説の中では、またかまたかと驚くくらい
ペニスに関する不運な出来事が勃発することになる
アーヴィングは笑って、それにはたいした意味なんてないんだよと言う(284~285p)
小林(よしのり)は、命を賭すに値するような
物語や目的や価値が消え去ったから、生の充実感がなくなり
日本人のあいだにニヒリズムが蔓延してしまったと頻りに嘆いてみせるが(戦争論)
これは因果が転倒している
むしろ、近代の学校教育によって
人生には大きな意義があり、確固たる目標がある(べき)という
過剰な信念を吹き込まれた人々が
本来そんなものなどなきに等しい生の実相に絶望して
ニヒリズムに陥っているのである(前掲書336p)
日の丸は、戊辰戦争時、官軍の菊花紋を旗章とした
「錦の御旗」に対抗して旧幕府同盟が掲げた軍旗であり
また君が代の楽曲は中国伝来の唐学に基づく原譜を
ドイツ人の音楽教師が「グレゴリオ聖歌」を参考にして
大幅に改作したものである(前掲書321p)
モラルハザードとは、もともと保険学の用語である
保険契約者や被保険者の心理に由来する危険のことで
例えば不当に保険金の支払いを受ける目的で(略・・・)
この言葉は近年すっかり一般に定着し
システムの不備や不全に乗じて不正や無責任が横行し
やがてシステム全体が立ち行かなくなる事態を意味するようになった(前掲書280p)
宮崎哲弥著2000
十代半ばの頃、いつも折り畳みナイフを持っていた
制服のポケットに(略)その危険な玩具を忍ばせていた
実際に使ったことは一度だけ
医大生を脅して金を巻き上げようとした時に
きらめく刃を鼻先にちらつかせた(8p)
宮台真司・速水由紀子著2000
酒鬼薔薇聖斗逮捕の後(・・・略・・・)
予想が的中したのは不幸なことだが
事態を把握していたほぼ唯一の人間として
(略)私は繰り返し二つのことを述べてきた
マスコミや識者が行っている「病名探索」と「動機検索」が
どのような意味においても全く無意味だということだ(1p)
「恥ずかしい父」をめぐって「失望した母」と「ふがいない息子」とのあいだに
「日本型エディプスの三角形」ができあがる
この母子同盟にとって父は心理的に不在だから
「去勢恐怖」による介入がない
(略)日本のエディプスは(略)前エディプス期のまどろみのなかに、成人した後も住み続けるのである
(・・・略・・・)日本のエレクトラは
ギリシャ悲劇のエレクトラのように父親に同一化もしない
母の抑圧者である父は夫として最悪の役割モデルであるばかりでなく
(略)母もまた「こうはなりたくない」反面教師でしかない
(略)日本のエレクトラは「不機嫌な娘」と化す(108~110p)
「上野千鶴子が文学を社会学する」2000
「ふがいない息子」だった男が「不機嫌な娘」だった女と結婚すると「近代文学」が誕生するわけだが(たとえば小島信夫)・・・最近の「不機嫌な娘」は結婚すらしなくなっている・・・
「ふがいない息子」は「恥ずかしい父」にすらなれないわけだ