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小林(よしのり)は、命を賭すに値するような
物語や目的や価値が消え去ったから、生の充実感がなくなり
日本人のあいだにニヒリズムが蔓延してしまったと頻りに嘆いてみせるが(戦争論)
これは因果が転倒している
むしろ、近代の学校教育によって
人生には大きな意義があり、確固たる目標がある(べき)という
過剰な信念を吹き込まれた人々が
本来そんなものなどなきに等しい生の実相に絶望して
ニヒリズムに陥っているのである(前掲書336p)
日の丸は、戊辰戦争時、官軍の菊花紋を旗章とした
「錦の御旗」に対抗して旧幕府同盟が掲げた軍旗であり
また君が代の楽曲は中国伝来の唐学に基づく原譜を
ドイツ人の音楽教師が「グレゴリオ聖歌」を参考にして
大幅に改作したものである(前掲書321p)
モラルハザードとは、もともと保険学の用語である
保険契約者や被保険者の心理に由来する危険のことで
例えば不当に保険金の支払いを受ける目的で(略・・・)
この言葉は近年すっかり一般に定着し
システムの不備や不全に乗じて不正や無責任が横行し
やがてシステム全体が立ち行かなくなる事態を意味するようになった(前掲書280p)
宮崎哲弥著2000
十代半ばの頃、いつも折り畳みナイフを持っていた
制服のポケットに(略)その危険な玩具を忍ばせていた
実際に使ったことは一度だけ
医大生を脅して金を巻き上げようとした時に
きらめく刃を鼻先にちらつかせた(8p)
(略)何もサカキバラクンのように自分だけのバモイドオキ神を作る必要もなく、オウムに行く必要もなく(・・・略・・・)
「感情」が「自分」を「訪れる」・・・という「体験」の
意味を徹底的に考えるだけでも
「世界の根源的な未規定性」へと開かれることができるというわけです
解読しだいでは、そういう扉でありうるという意味で
自分もまた「サイファ」です(前掲書202~206p)
(なぜ人を殺してはいけないのか・・・それは「サイファ」だからだ・・・)
(反社会的存在、ではなく・・・)
これが「人格障害」「行為障害」と呼ばれるものの
社会学的にみた場合の正体です
(略)病気ではありませんから、精神科で治療することはできません
(略)カウンセリングによって自己を組み立てなおすことも困難で
児童相談所や学生相談室でもお手上げです(前掲書13p)
人を殺すことの敷居が低くなった者による殺人を意味する宮台用語
マスコミでは不可解な少年殺人事件の動機分析に明け暮れるが
敷居が低くなれば雑多な問題が殺人行為の引き金をひく以上、無意味である
むしろ人殺しの敷居が低くなった理由の分析だけが必要だ(前掲書10~11p)
宮台真司・速水由紀子著2000
酒鬼薔薇聖斗逮捕の後(・・・略・・・)
予想が的中したのは不幸なことだが
事態を把握していたほぼ唯一の人間として
(略)私は繰り返し二つのことを述べてきた
マスコミや識者が行っている「病名探索」と「動機検索」が
どのような意味においても全く無意味だということだ(1p)
「父の不在」と「母の優位」を特徴とする日本人のパーソナリティ構造を
フロイト理論をなぞって読み解けば
「超自我の未成熟」を、したがって「倫理的劣位」を承認せざるをえなくなる
かれ(古沢平作)はそこでエディプス・コンプレックスの普遍性を否定し
かわってアジャセ・コンプレックスを提示する(前掲書119~120p)
古沢が主張したのは、超自我の確立には「父の抑圧」だけでなく「母の自己犠牲」というオプションもあることだった
「恥ずかしい父」をめぐって「失望した母」と「ふがいない息子」とのあいだに
「日本型エディプスの三角形」ができあがる
この母子同盟にとって父は心理的に不在だから
「去勢恐怖」による介入がない
(略)日本のエディプスは(略)前エディプス期のまどろみのなかに、成人した後も住み続けるのである
(・・・略・・・)日本のエレクトラは
ギリシャ悲劇のエレクトラのように父親に同一化もしない
母の抑圧者である父は夫として最悪の役割モデルであるばかりでなく
(略)母もまた「こうはなりたくない」反面教師でしかない
(略)日本のエレクトラは「不機嫌な娘」と化す(108~110p)
「上野千鶴子が文学を社会学する」2000
「ふがいない息子」だった男が「不機嫌な娘」だった女と結婚すると「近代文学」が誕生するわけだが(たとえば小島信夫)・・・最近の「不機嫌な娘」は結婚すらしなくなっている・・・
「ふがいない息子」は「恥ずかしい父」にすらなれないわけだ