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< 尾張と三河 | メイン | 人間の心を探求する2 >
宮城音弥著岩波新書(初版1977)
私は1931年に卒業したが、それはひどい就職難の時期だった
(略)根津義雄さんが(略)中宮病院で、看護婦養成所の講師として、いくらかの収入を得るように取り計らってくれた
(略)ところが、その根津さんが、とつぜん、自殺したのである
(妻子があったが、梅花女専の女子学生と東尋坊で心中したとのこと)
夫人が子どもを道づれにして後を追って死んだときには、私と、のちに京都大学の教授になった園原太郎君が最初の発見者となった
自殺については、フランスに社会学説と病理学説がある
社会学説は社会的条件が自殺をおこすのであって、正常な人間も自殺をするという説だし、病理学説は精神に異常な人だけが自殺するという説である
根津さんが自殺したころ、私は府立医大の小谷庄四郎さんの実験の手伝いをしていた
(略)小谷さんは心理学を専攻したのちに精神医学をやった人だが、根津さんの自殺を病的だと言っていた
(略)だが、正常と異常は、どこに境界があるのか
この問題は私がフランスで勉強したあとで考えるようになった(20~21p)