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1983年の日本民俗学会シンポジウム草稿
「チベットのモーツアルト」所収
世界は至福に満ちた「無常」そのものなのだと言えるでしょう
ところが、二元論的な潜勢力のつくりだす現象意識はその微細な運動性を
粗大なマーヤーのヴェールでおおってしまうのです
物質性こそそのようなマーヤーのヴェールのなかでも
もっともしぶとい力を発揮するものだ、と密教の意識論は考えるのです(197p)
中沢新一著(現代思想1983年9月号:密教特集)
「チベットのモーツァルト」所収
この極楽浄土の「打つ音」が調性の体系に
つまりは輪廻する世界のものである幻影(マーヤー)のヴェールにとらえられるとき
それはたしかに美しい「音楽」となって流れ出るだろうが
そのときにはもはや「打つ音」のもつ天上的輝きは失われてしまう
「音楽」は「打つ音」の堕天使なのである(102p)