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結婚前の大江健三郎はすでに知名の作家ながらまだ成城のどこかの家に下宿していて
一人暮らしのこととて自炊も手間がかかり
家にいる時はいつもチキンラーメンなるものを
自分で作って食べているとのことだった
私としては、チキンラーメンなるファーストフッドの存在を
初めて彼から知らされたものだ(422p)
第一部の「春の雪」を途中で投げ出してしまったが
後日スポーツで怪我をして医者から一週間の安静をいい渡された折
先輩への礼儀と心得、覚悟して読みなおしたが
苦労して読み終えた時思わず涙が出たのを覚えている
(略)私が思わず流した涙はあの大作の無残なほどの退屈さのせいだった(前掲著113p)
ヨットマン石原慎太郎氏は「太平洋ひとりぼっち」堀江謙一氏がお嫌いであるようだ
(石原慎太郎著「わが人生の時の人々」2002年文芸春秋社より)
小林秀雄という批評の神様が文章としてもいたく賞賛していた
堀江氏の航海記もまたフェイクとまではいえぬとも
いずれにせよ手練のゴーストライターの手に依るものだった
(略)小林さんにそういったら、小林さんは
(以下会話文のみピックアップ)
「俺がいったのはあの堀江という人のやったことそのものについてなんだ」
「でもあれはそうたいしたことじゃないんですよ、彼の前に同じことをもう何人もやった奴はいるんです。ただ日本人じゃありませんがね。それがただ、日本人だから立派だ、凄いんだというんじゃ日本人の立つ瀬がありませんよ」
「いいんだよなんでも、そんなこたあ」
「どうしていいんですか」
「だから事実のことをいってんだよ」
「そんな事実なんか実はそこらにごろごろしてるんですよ」
「だって俺はヨットなんざ素人だもの」
「素人が神様なんですかね」
「うるさいなお前。俺がいつ俺が神様だなんていった」(90~92p)