訪問診療をしていた頃の話。
80代の女性、胆管がんが進行して、在宅で最期を迎えるために自宅に戻られました。
意外かもしれませんが、こういうときに大事なのは「いつでも入院できる支援病院」の存在です。
在宅医療にはメリットがたくさんあります。
・慣れた家で過ごせる
・家族がいつでも会える(面会の制限がない)
・介護保険、医療保険を含め様々な社会資源を(病院ほど制約なく)組み合わせることができる
・医療費が安くなることが多い
などです。
しかし、在宅での最期を選択したあとでも、ご本人、ご家族の心は揺れに揺れます。
「病院ならもっと生きられるのではないか」
「もっとやれることがあるのではないか」
「家族に迷惑をかけて申し訳ない」
「さすがにたまには介護を休みたい」
などなど、一度決めたこととはいえ、やり通すのは並大抵のことではありません。
この女性の場合も、病気を治療した病院の理解があり、何かというときにちょっと入院させていただき、体制を立て直して在宅に戻る、ということを何度かくり返す中で、皆さんの中に「納得」や「満足」が生まれ、「覚悟」ができてゆく、という経緯をたどりました。
人にとって、亡くなるのは最初で最後の体験です。
ご家族にとっても、人数分だけ異なった思いがあるのに違いありません。
「自宅で看ると言ったんですから最後まで頑張ってください」などと突き放すことなく、臨機応変に最適な施設や資源を使うことのできる終末期医療を誰もが受けられるようになってほしいものです。
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