ゆうあいクリニック理事長日記
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10年ほど前の経験です。60代の男性患者さん、黄疸を訴えて外来にみえました。

腹部CTをおこなうと、ほぼ肝臓全体を占める肝がん(肝細胞がん)がみつかりました。
ともかく、入院していただくことになりました。

肝がんについてはこちら(国立がんセンターのサイト)↓
http://ganjoho.ncc.go.jp/pub/med_info/cancer/010214.html

患者さんのお話をうかがうと、5年ちょっと前に他の病院で約4cmの肝がんが見つかり、治療を勧められたのですが、患者さんとご家族はどうした理由か病院での治療を拒否され、さまざまな民間療法をしながら普通に生活してきたのだそうです。そしてついこの間「無事に5年過ごしてよかった!」とお祝いしたばかり、とのこと。私はえっ、と思いました。

「だってがんになっても5年生きたら大丈夫なんでしょ?」と真顔で聞く患者さん。私は目の前のCT写真と患者さんの顔を見比べながらせつない気持ちになりました。
「5年生存率」という言葉があります。ある病気の診断をされた方が、5年後どのくらい生存されているかを示す数値です。病気の予後のよしあしを比較したり、治療方法の検討をしたりするときに使います。
この患者さんは最初に病気を告げられたとき、「とにかく5年生きよう」と考えたのかもしれません。

この患者さんはB型肝炎ウイルスのキャリアでした。
肝がんの多くはB型、C型の慢性肝炎やそれらの進行した肝硬変を母体とすることが知られています。
最近では「薬害C型肝炎」についても取り上げられるようになりました。

日本医師会のサイト(PDF)↓
http://www.med.or.jp/plaza/pdf/213.pdf

・早い時点でご自分がウイルス性肝炎だとわかっていれば・・・。
・4cmの段階で適切な治療をしていれば・・・。

と思いましたがもう遅く、この患者さんはまもなく亡くなりました。
正しい知識、適切な検査と、医師と患者さんの間の信頼関係があれば、きっと予後も違ってくるのです。

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