CTなどで肺がんや肺結核が疑われると、避けて通れない検査があります。
「気管支鏡」という直径5mmくらいのスコープを口から入れて、気管支の中を覗いてゆき、組織や細胞を取って検査するのです。
気管支「鏡」といっても、鏡がついているわけではなく(昔は鏡でした)、デジカメなどでおなじみのCCD素子を先端に付けているだけです。撮影した画像はディスプレイに写しながら観察や処置をしてゆきます。
気管支は軟骨に取り囲まれていますので、胃や食道のようにぐにゃぐにゃせず、口から咽頭、声帯を通過して左右の主気管支に分かれ、そこからさらに枝分かれして・・・と、頭に気管支のマップが入っていれば比較的わかりやすい(?)検査です。
目標となる場所に到達したら、細胞の検査をします。主なものは以下の2つです。
・BAL(気管支肺胞洗浄法)
気管支鏡からブラシを伸ばし、病気と思われる部分を擦ることによって細胞を採取し、それを病理組織学的に検査します。肺の病変を直接採取できる方法です。
・TBLB(経気管支肺生検)
これは、気管支鏡から生検鉗子とよばれる器具を出して肺の組織をつまんで取ってくるものです。それを病理組織学的に検査します。BAL同様、肺病変を直接採取できます。BALが細胞を取ってくるのに対して、TBLBは組織のかたまりを取ってくるので、より確実な診断が可能になります。
この検査、患者さんにとってはかなり大変です。胃カメラの比ではありません。
スコープは細いので、気管や気管支が詰まって窒息してしまうことは決してありませんが、喉の麻酔をしても、「おえっ」となるのは完全には防げません。
静脈麻酔して寝ている間に・・・といいたいところですが、それはそれでリスクもあって困難です。
私もかつてかなりの数この検査に立ち会ったことがありますが、見ていて患者さんは気の毒です。
もちろん、手術の前に細胞を検査しておくのは大原則ですが(細胞の種類によってその後の治療方針が変わるのです)、「がんかどうかわからない」段階では、まず痛くないPET検査をして、そこでがんの疑いが強いということになったら初めて気管支鏡検査をする、という方針になると嬉しいなと思います。
そういう場合のPET検査は健康保険がききますし。
欧米で言われている"Pet First"というのはそういうことです。