ローテーションで外科を研修していたときの話です。
ある日手術の助手につきました。手術は下肢静脈瘤の抜去術で、外科手術の中では比較的簡単なものです。
その日は朝から下痢気味で、おなかの痛いのを我慢しながら患者さんの足を押さえたり上げたり下げたりと、それなりにがんばっていました。
ところが次第に痛みが強くなり、そのうちに冷や汗が出て吐き気がし、もうどうにも我慢ができなくなったので、「すみませんちょっとトイレに行かせてください」と手術室を飛び出してトイレに向かいました。
すっきりしてしまうと冷や汗も吐き気も止まり、私は手洗いをして(手術の手洗いは結構時間がかかるんですが)手術室に戻りました。
これは「vagovagal reflex(迷走神経反射)」というものです。
痛みや強いストレスなどで、内臓の「ブレーキ」に相当する迷走神経が急に活発になり、脈拍や血圧が低下、時には意識を失うこともあります。
私の場合は下痢によるおなかの痛みでしたが、
・採血などの痛み(血管迷走神経反射)
・深酒をした夜の大量の排尿(排尿失神)
・首をカラーやマフラーなどできつく締めたとき(頸動脈洞性失神)
などでも起こります。
恥ずかしながら、私は排尿失神で倒れたこともあり、そのとき便器で顎を強打していまだに古傷があります。
献血時にトイレで倒れて頭を打ち、若い男性が亡くなった事故もあったと記憶しています。
(ゆうあいクリニックでは事故防止のため、採血、注射の時は必ず背もたれ付きの椅子を使用しています。)
さて、この話にはオチがあります。
あとで私は手術室の看護師長さんに呼び出されました。
「誰でも最初はあることですよ、大丈夫だから気にしないで。」と、それはそれは優しく言われてしまいました。血を見て倒れたと思われたようです。
学生じゃあるまいし、さすがに血くらいでは倒れないんですが・・・その場の看護師さんみんなにそう思われていたと思うと、とても恥ずかしかったです。
固定リンク
|
コメント (0)
|
トラックバック (0)