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2008.08.17 22:53 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  エピソード  |  呼吸器病  |  SAM  | 推薦数 : 1

エピソード12:喀血

内科医は血を見るのが苦手。血を見たくないために、内科医になった人も少なくないでしょう。

Jさんは最近、血痰がでるというので外来を受診した。戦前は喀血だけで肺結核と診断しても大方当たっていたが、現在は違う。Jさんは、胸部レントゲンとCT写真で肺がんが疑われた。確定診断のために気管支鏡を行ったところ、左の主気管支から気管にかけて大きな腫瘍があり、細胞診と病理診で小細胞がんと診断された。小細胞がんは、非小細胞がんと異なり、抗がん剤と放射線治療が良く効くが、すぐに再発し、進行も早い。

Jさんは治療が良く効いて、血痰が消失、仕事に復帰した。

しかし、数ヶ月後、自宅で大量に喀血し、救急車で来院した。胸部レントゲン上明らかに腫瘍は増大、ベッドサイドで気管支鏡を行ったところ、腫瘍全体から出血しており、止血できない。

Jさんの意識ははっきりしており、血液を咳と一緒にどんどん出している。でも、さすがに全部は出し切れず、肺に血液を吸引したため、呼吸困難を訴えるようになった。

私にできることは、鼻から細いチューブを気管に挿入し、血液を引いてあげることだが、間に合わない。

Jさんの目が苦しそうに私を見ている。気管内に溜まった血液が固まり始めたようだ。首から上は呼吸しようとするが、肺に空気は入っていかず、胸郭が動いていない。

Jさんは目を閉じる暇なく、亡くなりました。

血液は固まる性質があるので、喀血は少量でも気管内で固まって、窒息してしまうのです。

今でもJさんの苦しそうな目を思い出すことがあります。やはり、喀血は怖い病気です。

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