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2008.08.27 22:54 |  診療  |  研究  |  仕事 / 職場  |  呼吸器病  |  SAM  | 推薦数 : 1

呼吸器内科医の仕事3

近頃よく考えることがある。

呼吸器内科医の存在意義はなんであろうか、これは即ち私自身の存在意義でもある。

呼吸器内科はいわばありふれた病気ばかりを対象としている。肺炎、気管支喘息、肺気腫、肺癌どれもcommon diseaseである。仮に呼吸器内科医が世の中から一人もいなくなったら、総合診療内科医や腫瘍内科医が代わりに診ることになると思うが、治療成績に大差はないのではないか。

逆にいうと、そう言ってしまいたい位、現在の呼吸器疾患の治療成績が悪いとも言える。肺炎の治療成績は30年前より耐性菌が増えた分だけ悪くなったとも言えるし、喘息や肺気腫、肺癌は治療しているというよりコントロール(延命)しているだけである。更に、間質性肺炎、特に原因不明の間質性肺炎の場合、経過観察しているだけのことが多い。

今、呼吸器疾患には、パラダイムシフトとなりうる薬の登場が必要である。しかし、呼吸器病は加齢そのものが原因と考えられるものが少なくなく、今話題の再生医療に期待したいところだが、私達が生きている間に実現するだろうか。

 

かなりネガティブな発想をしてしまいました。

実際は、呼吸器内科医を必要としてくれている人々はいると信じています。

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2008.08.17 22:53 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  エピソード  |  呼吸器病  |  SAM  | 推薦数 : 1

エピソード12:喀血

内科医は血を見るのが苦手。血を見たくないために、内科医になった人も少なくないでしょう。

Jさんは最近、血痰がでるというので外来を受診した。戦前は喀血だけで肺結核と診断しても大方当たっていたが、現在は違う。Jさんは、胸部レントゲンとCT写真で肺がんが疑われた。確定診断のために気管支鏡を行ったところ、左の主気管支から気管にかけて大きな腫瘍があり、細胞診と病理診で小細胞がんと診断された。小細胞がんは、非小細胞がんと異なり、抗がん剤と放射線治療が良く効くが、すぐに再発し、進行も早い。

Jさんは治療が良く効いて、血痰が消失、仕事に復帰した。

しかし、数ヶ月後、自宅で大量に喀血し、救急車で来院した。胸部レントゲン上明らかに腫瘍は増大、ベッドサイドで気管支鏡を行ったところ、腫瘍全体から出血しており、止血できない。

Jさんの意識ははっきりしており、血液を咳と一緒にどんどん出している。でも、さすがに全部は出し切れず、肺に血液を吸引したため、呼吸困難を訴えるようになった。

私にできることは、鼻から細いチューブを気管に挿入し、血液を引いてあげることだが、間に合わない。

Jさんの目が苦しそうに私を見ている。気管内に溜まった血液が固まり始めたようだ。首から上は呼吸しようとするが、肺に空気は入っていかず、胸郭が動いていない。

Jさんは目を閉じる暇なく、亡くなりました。

血液は固まる性質があるので、喀血は少量でも気管内で固まって、窒息してしまうのです。

今でもJさんの苦しそうな目を思い出すことがあります。やはり、喀血は怖い病気です。

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2008.08.11 21:29 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  エピソード  |  呼吸器病  |  SAM  | 推薦数 : 2

エピソード11:初めての...

私が研修医1年目の頃の話です。

 

自営業のIさんは数日前からの発熱と、少し動いただけで息苦しくなると訴えて外来を受診しました。

外来待合室から診察室に入ってきただけで肩呼吸をしており、体内酸素飽和度も70%(正常値は90-98%位)しかありません。胸部レントゲン写真を撮ってみると、両肺はスリガラスの様に真っ白であり、よく見ると両肺の下の方に網目上の影があります。特発性肺線維症の急性増悪です。

 

入院として高流量の酸素をマスクで投与し、抗生物質と高用量ステロイドホルモン剤の点滴投与を開始しました。

その頃の私は無知であり、「頑張れば助けられるかなあ」という認識でいましたが、呼吸器内科のカンファレンスでは「絶対助からない」と言われ、ショックを受けたのを憶えています。

 

数日後、呼吸不全はますます悪化し、酸素流量を最高にしても、酸素飽和度が80%程度しか上がらず、Iさんはベッド上で安静にしていても「苦しい、何とかしてくれ」と訴えるようになってきました。私は、癌性疼痛よりも先に呼吸困難に対して、モルヒネを初めて使用しました。モルヒネを開始してIさんは呼吸苦が楽になるとともに、日中でも眠るようになりました。

 

モルヒネを開始して2日後、Iさんの呼吸が止まり、看護師に呼ばれました。病室に行くと、既に家族が山のように集まり、部屋に入りきれない人もいます。人垣をかき分けIさんの傍にいくと、すでに呼吸停止し、頚動脈拍動も触れません。瞳孔も散大しています。死亡していると思われましたが、その時まで私は死亡確認をしたことがありませんでした。心電図モニターが部屋になかったため、Iさんの死を覚悟している家族が注視するなか、「少し失礼します」とまた人垣をかき分けて病室から退出し、ナースステーションの心電図モニターがフラットになっているのを確認しに行ってしまいました。

 

死亡しているかどうか確信が持てず、心電図が動いていたらまずいとその時は思ったのでしょう。私が病室を退出している間の家族同士の会話は想像に難くありません。

 

これが私の初めての看取り、死亡確認でした。Iさんが亡くなってから約1年後、あるお店に行ったとき、偶然Iさんの奥さんに会いました。Iさんの死後、奥さんが店を引き継いでいたようです。奥さんは、こんな私でも、「その節は大変お世話になりました」と私の顔を覚えてくれていました。

 

今から思えば、Iさんを看取った後から、私はようやく医者になったような気がします。

 

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2008.08.06 22:13 |  仕事 / 職場  |  趣味  |  映画 / 音楽 / 読書  |  SAM  | 推薦数 : 0

藤沢周平「闇の傀儡師」

藤沢周平の「闇の傀儡師」上下2巻を読んだ。

主人公「源次郎」は、筆耕仕事で食いつないでいる元御家人である。長屋に住み、長屋の隣人から「旦那」と呼ばれているが、その実、日雇い職人と変わらない。しかし、たまたま通りすがりに、殺しに遭遇、殺された人間の死に際に遺言を託される。

その遺言を探るうちに、百年以上の昔から将軍家継承に闇で絡んできたといわれる秘密結社八嶽党と、将軍家を守る公儀隠密、それを利用する幕府要人の争いに、源次郎は巻き込まれてしまう。

 

用心棒日月抄シリーズ、よろずや平四朗、隠し剣シリーズに共通する主人公像は、浪人や下級武士など生活の境遇は極めて厳しく、毎日の糧にも困っているような武士であるが、、後ろを歩く人間の殺気を感じ、剣を構えただけで、相手の剣の筋がわかってしまうような超一流の剣の腕を持っている。その剣で悪を切るというのが話の基本路線であり、敵と剣を交えたときの描写は素晴しい。それに、ささやかな色恋、友情、葛藤などを交えて、時々本線からずれた話も出てくる。ハッピーエンドが基本だが、主人公の恵まれない日々の境遇までがハッピーに変わることは殆どない。

 

医療現場と、江戸時代の剣士たちの争いは、全く異なるものであり、共通点を探したりは私は敢えてしません。非日常の世界に自分が入り込むことがストレス解消につながると信じています。

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