| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
Fさんは意識がもうろう、冷や汗をかいて失禁状態で運ばれてきました。
80歳のFさんは兵隊で覚えたタバコがやめられず、重症の肺気腫になっていました。健常な肺を、目の細かいスポンジに例えると、Fさんの肺は、スポンジのひとつの目が2-3cmに荒くなった状態です。その荒くなった目は非常にやぶれやすくなっており、肺が破れて空気が漏れた「気胸」にFさんはなっていました。
若い人がなる「自然気胸」と異なり、肺気腫や肺線維症が原因の気胸は難治性で、重症化しやすい特徴があります。Fさんは以前より慢性呼吸不全がありましたので、レントゲンでは大した気胸ではなかったのですが、重症化し、CO2ナルコーシス(炭酸ガスが体内に貯留した状態)となって、意識を消失していました。
私はFさんを入院させてから処置をする暇はないと判断し、救急外来で肋間を2cm程切開し、ペアンで肋間筋を分けてスペースをつくり、直径が約1cmの胸腔チューブをすばやく挿入しました。肺気腫の人は痩せていることが多く、Fさんの肋間にはほとんど脂肪がありませんでした。そのため肋間を広げるのはたやすく、ほんの数分でチューブを挿入できました。時間節約のため、糸でチューブを皮膚に固定するのを後回しにして、吸引装置にチューブをすぐに装着しました。すると、「ブクブクブク」という空気の音が勢いよく装置から聞こえてきました。
10分後、Fさんの様子を見に行きました。「昔、兵隊で煙草覚えたんだ。そう簡単にはやめられねえな。」といつものように悪態をついているFさんがいました。
しかし、3ヵ月後、Fさんは気胸が再発し、再入院しました。今回はほとんど呼吸が止まった状態で運ばれ、胸腔チューブを挿入、人工呼吸器にもつなげましたが、今回は救命できませんでした。
……これが呼吸器内科医が対象としている病気なのです。
固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
コメント
コメント一覧
典型的な自然気胸の患者さんといえば、若年痩せ型の喫煙男性でしょうか。もちろんタバコを吸っていない気胸の人もいますが、少数派だと思います。
タバコをやめる日を決めて、タバコを連想させるものをすべて捨てましょう。タバコや灰皿、ライター、タバコの臭いのするものなどすべてです。同僚には自分の近くで吸うなと言いましょう。しばらく飲み会は断りましょう。
禁煙しないと手術できないといわれると、ほぼすべての人が禁煙します。要はやる気です。
コメントを書く