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< 呼吸器内科医の仕事2 | メイン | エピソード5:喘息発作 >
2008.05.21 22:39 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  エピソード  |  SAM  | 推薦数 : 2

エピソード4:下顎呼吸

今回は、私が患者を看取っても感情をもたないようになったきっかけとなる話です。

研修医2年目のとき、80歳の喘息患者Dさんの担当になりました。教科書通りの治療、ネオフィリンやステロイドを使用して数日で改善し、元気になって帰りました。

高齢者の喘息にありがちですが、数ヵ月後にDさんは喘息発作のため再入院してきました。80歳ですが認知症もなく、言われたことにはハイハイと素直に応じてくれる「かわいいおばあちゃん」でした。今回もネオフィリンやステロイドを使って、「またすぐ帰ろうね」と話していました。

しかし、入院翌日、突然「呼吸がおかしい」と看護師から呼ばれました。病室に行ってみるとすでに意識はなく、非常に呼吸が弱い状態(下顎呼吸)でした。高齢であり、急変時も延命蘇生処置はしないことを家族は希望していましたので、心臓マッサージや気管内挿管はできませんでした。家族には連絡しましたが、まだ到着していません。私は、Dさんの呼吸が少しずつ弱くなり、最後に心室細動(致死的不整脈)を経て、心停止になる過程をただ観察するしかありませんでした。

Dさんの家族は取り乱すような方ではありませんでしたが、死因究明のための病理解剖には同意して頂けませんでした。

その日の夜、付き合い始めたばかりの彼女(今の妻)と夕食に行く予定でしたが、会うなり不覚にも泣いてしまいました。泣いてしまった訳を訊かれましたが、その当時はよくわからず、うまく説明できませんでした。今考えると、何もできなかった自分、死因を究明できなかった自分が悔しかったのでしょう。

今は感情を忘れる技術をもっているので、同じことが起きても泣くことはないと断言できます。

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