戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

血圧変動の少ない降圧剤

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.08 00:40 / 推薦数 : 1
Ca拮抗薬シルニジピンやARBは血圧変動への影響が少ない
近年、独立した脳血管障害リスクとして血圧の変動が注目されているが、降圧薬の血圧変動への影響を、クラス間あるいはクラス内で比較したデータは少ない
埼玉医科大学の木下俊介氏らは、降圧薬のクラス間、および脳卒中合併高血圧への処方頻度が高いCa拮抗薬のクラス内での比較を行い、ARBとCa拮抗薬はβ遮断薬に比べて脳梗塞患者の血圧変動への影響が少ないこと、Ca拮抗薬の中ではシルニジピンが、比較的影響が少ないことを見いだした。
この知見は、10月20日から22日まで宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で報告された。
<私的コメント>
 私の予想としては少なくともCCBよりもBBの方が血圧変動が少ないのではと思っていました。
昔、よくアテノロールを処方していましたが外来血圧が安定していたという経験があります。

CCBの方がよかったというのは少し意外でした。

本検討の対象は、埼玉医大神経内科を受診し、脳梗塞と診断された患者のうち、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施し得た440人。
使用した降圧薬は、ACE阻害薬が35人、ARBが52人、β遮断薬が53人、Ca拮抗薬が168人であり、132人は降圧薬未使用だった。
<私的コメント>
対象が脳梗塞患者ということでCCBの使用患者が圧倒的に多いようです。
そのことは統計処理上問題にならないのでしょうか。

Ca拮抗薬の中では、ニフェジピンが14人、ニカルジピンが50人、アムロジピンが50人、シルニジピンが38人に用いられていた。

木下氏らは、これらの患者のABPMデータから血圧の変動係数(CV:標準偏差を平均値で除したもの)を求めて血圧変動の指標とし、降圧薬の影響を比較した。

その結果、使用降圧薬別にみた24時間全日の収縮期血圧のCV値は、ACE阻害薬群が14.5±4.3、ARB群が12.7±3.8、β遮断薬群が15.0±3.8、Ca拮抗薬群が13.8±3.5であり、ARB群とβ遮断薬群の間には有意な差がみられた。

また、日中覚醒時の収縮期血圧のCV値は、ACE阻害薬群が13.1±4.3、ARB群が11.5±3.1、β遮断薬群が14.3±3.1、Ca拮抗薬群 が12.6±3.4であり、ARB群とβ遮断薬群の間だけでなく、Ca拮抗薬群とβ遮断薬群の間にも有意差が認められた。

続いて木下氏らは、降圧薬を投与された患者全体を覚醒時の収縮期血圧のCV値に基づいて五分位とし、降圧薬のクラスによって各分位層への患者の分布がどのように異なるかを調べた。

その結果、ARB群ではCV値が最も低い分位層に属する患者が最も多く、CV値が高くなるほど患者数が少なくなる「右肩下がり」の分布がみられたのに対し、β遮断薬群では逆に、CV値が低い分位層で患者が少なく、CV値の上昇とともに患者数も増加する「右肩上がり」の分布を描いた。

一方、Ca拮抗薬群では全ての分位層にほぼ同数の患者が分布していたが、Ca拮抗薬の種類別に分けてみた場合、シルニジピン使用例ではARB群に類似した「右肩下がり」の分布が認められた。

このように、降圧薬のクラス間、クラス内薬剤間でCV分布パターンの違いがみられるにもかかわらず、各分位層の日中覚醒時の収縮期血圧値は、ほぼ同じ値だった。

すなわち、薬剤間のCVへの影響は降圧度に依存しないことが示唆された。

木下氏は以上の結果を総合し、「降圧薬はクラスの違い、クラス内の薬剤の違いによって、血圧変動に及ぼす影響が異なる可能性があると考えられ、今回の検討からは、β遮断薬よりARBやCa拮抗薬が、またCa拮抗薬の中ではニフェジピンやニカルジピンよりシルニジピンの方が、血圧変動の低減という点では、脳 梗塞患者に適した薬剤である可能性が示唆された」と結論した。


<私的コメント> 
ACE阻害薬が結構使用されているようですがこの記事で見る限り、ACE阻害薬が後半では消えてしまっています。
ACE阻害薬とARBの比較も知りたいところです。
CCBも日本高血圧学会の演題を見る限りシルニジピン一色のようです。
「ニフェジピンやニカルジピンに対してシルニジピンの方が、血圧変動が低減される」というのも当たり前といえば当たり前のような気もします。
アムロジピンとの優劣を論じないのは恣意的と取られそうです。

出典  NM online 2011.10.25
版権 日経BP社
 
<きょうの一曲>

Glenn Gould Bach:The Well Tempered Clavier-BWV 888
http://www.youtube.com/watch?v=3RjebdVKIAM&feature=related
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/107372
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
があります。
 
 

固定リンク | コメント (0)

Circulation Journal 2011.No.8の注目論文」というサブタイトルがついた、低リスクのAMI後患者へのβ遮断薬の効果を検討した論文の紹介記事で勉強しました。
東北大学循環器内科・下川宏明教授が選出(Pick Up)Circulation Journalの編集長(Chief Editor )をされてみえます。 された論文ですが、先生方もご存知のように下川教授は
数年前に、教授の講演を拝聴する機会があり、その際の懇親会で名刺をいただきました。
肩書きに編集長と書かれてあったのを見て、恥ずかしながらその時、初めて知りました。
 
低リスク患者でも予後改善の可能性示す
AMI患者へのβ遮断薬の効果は欧米から報告されていますが,PCI導入前のものでした。
今回,PCIが成功した低リスク患者でも投与すべきという示唆が国内で得られました。
薬剤間比較も興味深く,今後の参考になる研究論文です。
 
AMI治療進化の陰で位置付けあいまいなβ遮断薬
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)など血行再建術の導入やデバイスの進化,さらにレニンアンジオテンシン系 (RAS)阻害薬の有用性が証明され,急性心筋梗塞(AMI)の治療は1990年代以降急速に発展し,救命率が上昇してきている。
その一方で,1980年 代にはAMI治療の主役でもあったβ遮断薬の位置付けがあいまいとなった。
 
冠血行再建術が成功せずに再環流しなかった場合や,左室駆出率(LVEF)が低い高リスクAMI患者に対しては,β遮断薬の有用性を示す臨床試験結果があるが,大規模な前向き試験のエビデンスがなく,β遮断薬を使用すべきなのか,それともRAS阻害薬の増量で血圧が安定していればβ遮断薬は不要なのか, 治療指針は確立していない。
米国心臓協会(AHA)/米国心臓学会(ACC)ガイドラインにおいても,AMI高リスク群でのβ遮断薬はクラスⅠであるが,AMI低リスク群での推奨レベルはⅡaとなっている。
 
そこで今回,東京医科歯科大学医歯学融合教育支援センターの小西正則氏ら同大学循環器内科のグループはAMI患者にβ遮断薬を投与すべきかどうかを単施設による後ろ向き調査として解析し,Circulation Journal(2011; 75: 1982-1991)に報告した。
この中で,低リスク患者に対してもβ遮断薬が予後改善に有効な可能性を示した。
 

連続251例の後ろ向き解析でβ遮断薬が効果
研究の対象は2004年9月以降2009年9月までに同大学に搬送されたAMI患者382例のうち,
(1)AMI後のPCI施行
(2)β遮断薬・RAS 阻害薬の服用歴なし
(3)透析未導入
(4)PCI後のRAS阻害薬導入
—の条件を満たした251例。
β遮断薬投与群171人とβ遮断薬非投与群80例に割り付けられた。
両群の重症度や合併症頻度,投薬状況に有意差はなかった。
冠血行再建術歴は両群とも約6%で,心不全が5%前後,虚血性心疾患は約6%だった。
RAS阻害薬のほかにスタチンとアスピリンはほぼ全例が服用していた。
なお,RAS阻害薬の内訳としては,ACE阻害薬が85%,アンジオテンシンⅡ 受容体拮抗薬(ARB)が15%だった。

 
その結果,12カ月後の死亡や心疾患イベント非発生率はβ遮断薬投与群が4.1%で,非投与群13.8%と比べて有意に低下した()。
血圧変化率は両群間で差はなく,両群とも収縮期血圧で15mmHg程度低下したが,B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)やマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2,MMP-9はβ遮断薬群で有意に低下した。
 

図表
 
低リスク患者も全例に投与すべきか,どのβ遮断薬をどの程度投与するかを問題提起
小西氏らはさらに,LVEF 40%以下,血行再建術の不成功,心室細動の合併のいずれかを有する患者を高リスク群,これらのいずれにも該当しない患者は低リスク群として,それぞれの 群でβ遮断薬の効果を見た。
その結果,高リスク群だけでなく低リスク群(β遮断薬非投与群47例,β遮断薬投与群103例)においても,β遮断薬投与群ではβ遮断薬非投与群と比べて心疾患イベントの有意な発生率低下が認められた(19.1%対7.8%,)。

 
報告した同氏は,単施設の後ろ向き解析であるため選択バイアスの可能性が否定できない点などを検討の限界としている。
また,対象者のうち冠血行再建術を受けた患者や心不全,虚血性心疾患の既往者は数%と少なくなっており,AMIの一般集団として十分とは言い切れない点も考慮する必要があるとしている。
その上で,「低リスクAMI患者に対してもβ遮断薬の必要性を提起する結果になった。多施設で前向きな研究を計画する際のたたき台となるのではないか」と次の展開に期待を寄せている。
 
また,β遮断薬の種類や用量についても新たな知見が提示された。
β遮断薬は2種類投与されていたが,カルベジロールが91例に,ビソプロロールが80例に投与されており,両群の生存率,心疾患イベント非発生率に差はなく等しく有効だった。
また,両群とも血圧や心拍数,LVEFの有意な低下が認められているが,LVEFやBNPについてはカルベジロール投与群の方がビソプロロール群よりも有意に改善していた。
同氏は「試験期間における最小用量は,カルベジロールが現在使用されているのと同程度だったのに対してビソプロロールは倍量以上だった。実際に投与する際には割線を利用して最小用量の半量から開始し, 徐々に増量する場合もあるが,ビソプロロールの方が低用量での調整が難しかった点が影響しているのかもしれない」と考察している。
 
AMIの救命率は向上したとはいえ十分ではなく,今回の研究でもβ遮断薬非投与群では1割以上が1年以内に死亡している。
β遮断薬は用量調整や副作用の 管理が難しい薬剤ではあるが,その後の心疾患イベントや死亡抑制効果につながるのであれば臨床的意義は非常に大きいといえる。
 
出典 Medical Tribune 2011.8.25
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。   

固定リンク | コメント (0)

カルベジロールの適応

戯れ言たれる侏儒 / 2010.08.10 00:38 / 推薦数 : 1

日本医事新報の「質疑応答」のコーナーに、カルベジロールの適応についての質問が掲載されていました。

質問の要点は「狭窄性の弁膜症ならばカルベジロールの適応も理解できるが、閉鎖不全による心不全への適応はあるのか」というものです。
回答者は北大循内の筒井裕之教授です。

以下、引用。
■現在までに、有効性が確認されているβ遮断薬はカルベジロール、ビソプロロール、メトプロロールの3剤である。
(私的コメント:このうちカルベジロールのみがわが国では保険承認がなされている)
■日本でもMUCHA試験において、カルベジロールの有効性が証明されており、唯一慢性心不全に対する適応を有している。
これらの試験の対象となった患者は、虚血性心筋症と拡張型心筋症を原因疾患とする慢性心不全である。
■アーチストの添付文書の適応は「虚血性心疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全」とされている。
■したがって、現時点では、MRやARによる弁膜症を原因疾患とする慢性心不全に対しては、β遮断薬が予後を改善するとのエビデンスはなく、投与は推奨されない。
■しかし、MRやARは左室の容量負荷をもたらし、交感神経系に代表される神経体液性因子を活性化し、これらは心筋細胞肥大、アポトーシス、間質繊維化などからなる心筋裏モデリングを来す。
このような心不全の基本病態は、拡張型心筋症・虚血性心筋症と共通であると考えられる。
■したがって、β遮断薬が弁膜症による心不全に対しても有効である可能性はあり、実際に有効性を示唆する報告がなされている。
■MRでは逆流が低圧系の左房に流入するため、左室駆出率(LVEF)は一見保持されているように見えるが、心筋収縮性自体は低下している。
■筆者(筒井)らはイヌに重症MRを作成し、3カ月後よりβ遮断薬を投与したところ、左室収縮性が改善することを見出した。
さらに、このようなβ遮断薬の効果は、心筋細胞レベルでの収縮能低下と微細構造変化の改善を伴っていた。
■MRを対象とした研究でも、β遮断薬で死亡率が低下するという報告がある。
■ARについては、β遮断薬による徐脈が弁逆流自体を悪化させる危険性があり禁忌とも考えられる。
しかし、MRと同様に有効性を示唆した報告がある。
<結論>
現時点ではMRやARの患者で高血圧や冠動脈疾患など他のβ遮断薬の適応がある場合には、β遮断薬が心不全に対しても有効である可能性はあるが、心不全そのものに対する投与は推奨されないと考えられる。

出典 日本医事新報 No.4502 2010.8.7  P77-78
版権 日本医事新報社


<β遮断薬と心不全 関連サイト>
ESC心不全ガイドライン
http://blog.m3.com/reed/20081130/ESC_
■左室収縮能が低下した慢性心不全の治療薬としてACE阻害薬,β遮断薬は禁忌がない限り全例に投与し,入院患者の場合,入院中から始めるべきである(class I,エビデンスレベルA)。
■コントロールが困難な心不全悪化中は一度β遮断薬を減量または中断することは可能であるが,心不全症状が安定した後,再び徐々に増量していく。
■β遮断薬の投与量については,心不全症状の悪化,症状のある血圧低下,徐脈が見られない限り増量すべきである。
■慢性心不全に対するβ 遮断薬治療
http://jams.med.or.jp/symposium/full/122065.pdf
○COPERNICUS試験において,重症心不全においてもカルベジロールが有効性を示したことから, 軽症から重症まで慢性心不全に対するβ 遮断薬の有用性が確立した。
○β 遮断薬は通常ACE 阻害薬と併用して用いられるが,予後改善効果のみならず,用量依存的に心機能の改善効果もみられる。
○有効性の機序は単一ではなく,β 受容体の情報伝達障害の改善,Ca 過負荷,酸化ストレスによる心筋細胞障害の抑制,心拍数の減少によるエネルギー代謝や拡張期特性の改善,抗不整脈作用など多面的に作用するものと考えられている。
■重症心不全に対するβ 遮断薬(カルベジロール)
至適投与の指標について
http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/zasshi/2007pdf/002.pdf
○重症心不全患者に対してカルベジロールは安全に導入可能であり,年齢のみが予後不良の予測因子であった。
(中止例では年齢が有意に高かった)
○導入前の左室駆出率やその他の各種パラメータでは,副作用の出現を予測することはできなかったが,導入後に左室拡大を認める症例は予後不良であった。
○β遮断薬の慢性心不全への応用は,CIBIS- ,MERIT-HF,COPERNICUSをはじめ多くの大規模臨床試験で評価され,生命予後に関するリスク減少は34~35%と良好な成績が示されている。
○β遮断薬の慢性心不全治療における特徴は,アンジオテンシン変換酵素阻害薬の薬効に相乗的に働くこと,アンジオテンシン変換酵素阻害薬では認められないreversed remodeling 効果が認められること,さらに心臓突然死を減少させることなどが挙げられる。
○カルベジロール投与開始後,約半年間は頻繁に心エコーで左室拡張末期径などの計測をしていくことが望ましいと考えられた。


慢性心不全におけるβ遮断薬療法その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20071220/1

慢性心不全におけるβ遮断薬療法その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20071221/1

慢性心不全におけるβ遮断薬療法 その3(3/3)
http://blog.m3.com/reed/20071222/1

<番外編>
#BMSの再狭窄に対するDES vs BMS
BMSの再狭窄に対するDES留置は、BMS留置と比較して、死亡/MI/TLRを低下させることが、アメリカ、Cleveland Clinic のInder M. Singh氏らにより、8月1日号のCatheterization and Cardiovascular Interventions誌で報告された。

Singh氏らは、1999年5月から2007年6月にCleveland Clinic においてBMSの再狭窄に対しPCIを受けた706人のデータを検証し、DES(362人)とBMS(344人)による治療を比較した。

3.2年(中央値)の追跡で、230の累積イベントが認められた。27の変数を補整後、DESによる治療はBMSと比較して、主要評価項目の死亡/MI/TLRの割合が有意に低かった(21% vs 45%: 補整HR 0.63 [95%CI 0.42-0.95] p=0.03)。
死亡はDESで低かったが(DES 8% vs BMS 24%: p=0.005)、MI(3% vs 8%: p=0.31)、及びTLR(13% vs 20%: p=0.23)では統計学的な差はなかった。

Singh氏らは、「BMS内再狭窄を有する患者に対するDESの使用は、BMSと比較して、死亡/MI/TLRの割合を低下させた」と、まとめている。

Singh I, et al. Catheter Cardiovasc Interv. 2010; 76: 257-262

https://www.tcross.co.jp/details.php?category=medical&no=778&id=1
その他
「葦の髄」循環器メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります。      

 

固定リンク

開業医には関係ない内容ですが久しぶりのβブロッカーの話題ということでとりあげてみました。

心血管系のリスクファクターを有する手術患者において周術期のβブロッカーにより1年死亡率が50%低下した
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/11/4/110520/
■サンフランシスコ復員軍人援護局(VA)病院の非常に大規模なデータベースに基づく知見が米国麻酔学会2009年年次総会で発表され、心血管系リスクを有する患者における周術期のβブロッカー投与の延命効果が確認された。
■10年以上前に、周術期のβブロッカー投与により死亡率が低下することが臨床試験で明らかになったため、心臓病領域において標準的治療として採用されるようになった。
その後、少なくとも1つの大規模試験、すなわちPerioperative Ischemic Evaluation (POISE)試験でその有効性が疑問視され、実際に使用に関連した死亡率と脳卒中発現率の上昇が認められた(Devereaux PJ et al. American Heart Association 2007 Scientific Sessions. Abstract LBCT 20825)。
■本解析の筆頭著者でカリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部麻酔・周術期医療教授であるArthur Wallace, MDは、POISE試験の欠点を見出し、特に、メトプロロールの投与量が標準投与量の8倍以上であることが、結果に影響を及ぼした可能性があると述べた。
■この研究は、Perioperative Cardiac Risk Reduction Therapy(PCRRT)プロトコールと称する研究で、Wallace博士らが立案し、普及させたもので、標準投与量を使用し、転帰を改善することが証明され、病院システム全体に応用できるいくつかの「基本ルール」を採り入れているとWallace博士は述べた。
■PCCRTプロトコールの基礎
(本文を参照して下さい)
■「本研究では、我々がサンフランシスコVAメディカルセンターで開発したプロトコールを用いた周術期のβブロッカー投与によって、30日および1年後の死亡率が低下するという仮説を検証した」とWallace博士は述べた。

American Society of Anesthesiologists (ASA) 2009 Annual Meeting: Abstract A705. Presented October 19, 2009.

Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape

<関連サイト>
βブロッカーと周術期心臓イベントの減少
http://med-econ.umin.ac.jp/EBM-Safety/pdf/chap25_M.pdf

周術期のβ遮断薬、ハイリスク患者では死亡リスクを3〜4割減らす
心疾患リスクの低い患者にはむしろ有害、後ろ向きコホート研究で判明
■周術期のβ遮断薬使用は広く支持されているが、作用機序は明らかでなく、ランダム化試験に由来するエビデンスは少ない。
■米Baystate Medical Centerの Peter K. Lindenauer氏らは、大規模な後ろ向きコホート研究を行い、院内死亡とβ遮断薬の関係を調べた。
得られた結果は、心疾患イベントのリスクが高い患者の場合には、β遮断薬の投与により院内死亡を3〜4割抑制できることを示した。
詳細は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌2005年7月28日号に報告された。
原題
Perioperative Beta-Blocker Therapy and Mortality after Major Noncardiac Surgery
http://content.nejm.org/cgi/content/short/353/4/349

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200508/389647.html
出典 NM online 2005.8.3
版権 日経BP社

 

 

Lancet誌から
非心臓手術の周術期にβ遮断薬の投与は控えるべき
33件の無作為化試験のメタ分析の結果
■米心臓病学会(ACC)と米心臓協会(AHA)の周術期評価のためのガイドライン2007年版は、非心臓手術周術期のβ遮断薬投与を推奨している。
だが、これを支持しない結果を報告している臨床試験が複数あることから、米Brigham and Women's HospitalのSripal Bangalore氏らは、β遮断薬の有効性と安全性を評価した無作為化試験のメタ分析を実施した。
得られた結果は、周術期使用の利益を示さなかった。詳細は、Lancet誌電子版に2008年11月12日に報告された。
■既にβ遮断薬を使用している、すなわち、臨床的にこの薬剤が適応になる心不全、冠疾患、心筋梗塞などの患者以外については、周術期のβ遮断薬投与は避けるべきだ、と著者らはいう。
■さらに著者らは、β遮断薬の利益を示す明確なエビデンスが得られるまでは、ACC/AHAのガイドラインも、非心臓手術周術期への適用推奨は控えめにすべきだろうと述べている。
原題は
Perioperative β blockers in patients having non-cardiac surgery: a meta-analysis」
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(08)61560-3/abstract

 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/200811/508620.html
出典 NM online 2008.11.25
版権 日経BP社

<コメント>
このメタ解析の特徴はバイアスリスクが高い(質が低い)研究とバイアスリスクが高い(質が低い)研究とを峻別して各々で検討したことにあります。
逆にこの分別に作為が入る余地がなかったか、どうやって客観性が保てたかということに若干の疑問が残ります。
結局は見解が分かれれているわけですから「君子危うきに近寄らず」といったスタンスがいいのでしょうか。

周術期β遮断薬の効果(1)
http://comet-log.blogspot.com/2009/03/1.html

周術期β遮断薬の効果(2)
http://comet-log.blogspot.com/2009/03/2.html

 

<お知らせ>
昨日、画像貼付のための容量の余裕がなくなったため画像がアップできなくなりました。
画像に限らずブログ自体も書けなくなる可能性がでてきました。

私の他のブログの
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
も3回同じブログの中で引っ越ししました。

今後、m3.comでブログをやってみえる先生方も同様の事態が発生することがありえます。
しかるに、Doctors Blog βでは同一人物が新しいブログが立てれないようです。

そんなわけで以下のような問い合わせをしました。


問合せ内容
初めまして。
毎日ブログを更新しているものです。

葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/

というブログを2年前からやっています。
本日「現在の使用量 99MB/100MB」となってしまい「画像の挿入」が出来なくなってしまいました。
同じメルアドでは新規登録出来ず新しいブログも開設出来ません。
ヘルプも見ましたが解決法が見つかりません。
このままではm3.comのブログから立ち去らないといけなくなってしまいました。
何か妙案はないでしょうか。

他のブログでは例えば

葦の髄から循環器の世界をのぞく2
http://blog.m3.com/reed2/

などの形で更新出来ています。

ご返事お待ちしています。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

それに対する回答

差出人: info@so-netm3.com
件名: 【m3.com】お問合せの件について
2009年11月6日 20:35:31:JST
○○○○様

平素はm3.comをご利用頂き、ありがとうございます。

この度ご連絡いただいた件につきましては、詳細を確認のうえ、
改めてご案内させていただきます。

お時間をいただくこととなり、大変恐縮ではございますが、
今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。

取り急ぎご連絡にて失礼いたします。

m3.com カスタマーサポート
所在地:東京都港区芝大門2-5-5 住友不動産芝大門ビル
お問合せ先: http://www.m3.com/inquiry/form.jsp
URL: http://www.so-netM3.co.jp


という誠意溢れる返答が届きました。
20:35:31という時間にも感激しました。
どうやら今までにこのような問い合わせはなかったようです。

しばらく画像なしで続けますが、画像がアップ出来ないようならこのブログを立ち去るつもりでいます。


<きょうの一曲>
Chet Baker - Time After Time
http://www.youtube.com/watch?v=-o8Be7KG2r4&feature=related

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

 

 

 

固定リンク | コメント (0)

昨日に続きβ遮断剤で勉強しました。
降圧剤については(メーカーのひも付きの)ARBの話題が全盛の中で、β遮断剤は”箸やすめ”のようでもあり何だかほっとします。

肥満・糖尿病合併高血圧症に対しカルベジロールは有用
一般的に、糖代謝などへの悪影響が懸念されるβ遮断薬だが、少なくともカルベジロールに限っては、肥満・糖尿病合併高血圧症治療に有用のようである。
6月19日、HYPERTENSION2008のポスターセッションにおいてロシアState Research Center for Prevention MedicineのS.Shainova氏らがおよそ600例を対象とした無作為化試験ACCORD-studyの結果として報告した。
 
対象となったのは、血圧140~180/90~110mmHgで、「腹部肥満」(腹囲径:男子>102cm、女性>88cm)、「2型糖尿病」の少なくとも1つを認める592例。
降圧治療の有無は問わなかった。
重症の心疾患(心不全NYHAIII-IV、閉塞性肥大型心筋症、直近3カ月以内の心筋梗塞など)や不整脈、その他重篤な合併症の症例などは除外した。
平均年齢は56歳、血圧平均値156/95mmHg、BMIは34kg/m2だった。
34%が2型糖尿病を合併し、92%が「腹部肥満」に相当していた。 
これら592例はカルベジロール群(291例)と標準的治療群(301例)に無作為に割り付けされ、24週間追跡された。
カルベジロール群は6.25~25mg/日×2/日を服用、標準的治療はカルベジロール以外の降圧薬は全て使用可能だった。
 
その結果、カルベジロール群では収縮期血圧、拡張期血圧とも、標準的治療群に比べ有意に低下していた(p<0.0001)。また140/90mmHg未満を達成できていた割合を全例で比較すると、カルベジロール群で有意に高値だった(96.8% 対 88%、p<0.001)。
糖尿病合併例で130/80mmHg未満を達成した割合もカルベジロール群57.7%で標準的治療群の45.7%に比べ高値だったが、有意差には至らなかった。
なお、カルベジロール群では心拍数も有意に減少していた(p<0.0001)。

糖代謝、脂質代謝に与える影響は両群で同等で、また有害事象発現、両群間で同等だった。

Shainova氏らは「2型糖尿病あるいは腹部肥満を伴う高血圧患者に対し、カルベジロールは代謝への悪影響なく、良好な血圧コントロールが可能である」と結論していた。

出典 NM online 2008. 6. 20
版権 日経BP社

<コメント>
平生ロシアの医師の論文や発表を知る機会は多くありません。
これも医学の分野におけるグローバリゼーションなのでしょうか。
USAとカナダで行われた試験にロシアの医師が関連している理由がよくわかりません。
それとも、文中の「無作為化試験ACCORD-study」はACCORDとは別の試験なのでしょうか。

<ACCORD 関連サイト>
”ACCORD”を検索すると実に多くの関連サイトが見つかります。
この試験の反響の大きさを物語っています。

ACCORD、Questions and Answers
http://www.nhlbi.nih.gov/health/prof/heart/other/accord/q_a.htm
(NHLBIが2008年6月に公表したACCORD試験に関するQ&Aです)
ACCORD study
http://www.accordtrial.org/public/index.cfm

ACCORD試験:一部が早期中止に - the long tail soup
http://d.hatena.ne.jp/pure_jam/20080209

ACCORD糖コントロール強化群中止の波紋
http://intmed.exblog.jp/6835757/

ADVANCED と ACCORD 研究
http://wikiwiki.jp/nobukinkin/?ADVANCED%A1%A1%A4%C8%A1%A1ACCORD%A1%A1%B8%A6%B5%E6

Studying Diabetes and Heart Disease: The ACCORD Study
http://www.netwellness.org/healthtopics/diabetes/clinical.cfm

Is More Always Better? - the ACCORD Study Results
http://hcrenewal.blogspot.com/2008/02/is-more-always-better-accord-study.html

ACCORD STUDY
http://www.gme.duke.edu/newsletters/March%202008/AccordStudy.pdf

Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0802743

ACCORD Study: Wrong and Wronger
http://www.diabetesmine.com/2008/02/accord-study-wr.html

GlaxoSmithKline responds to findings in ACCORD study
http://www.gsk.com/media/pressreleases/2008/2008_pressrelease_0110.htm

Intensive Glycemic Control and Cardiovascular Disease Observations From the ACCORD Study
http://diabetes.diabetesjournals.org/cgi/content/full/57/5/1163

 

<きょうの1曲> The Eagles - Desperado
http://jp.youtube.com/watch?v=umw1-Do3-ho&feature=related

固定リンク | コメント (2)

高血圧では心不全リスクが2倍になるといわれています。
βブロッカーは心不全の効果的な治療薬であることから、βブロッカーは他の降圧剤よりも心不全予防効果が優れているかもしれないと考える人がいます。
きょうはそのあたりについて勉強しました。


高血圧患者の心不全予防にβ遮断薬?
β-Blockers to Prevent Heart Failure in Hypertensive Patients?

心不全は高血圧性心疾患の重大な合併症であり、臨床的心不全の患者の治療にはしばしばβ遮断薬が用いられる。
しかし、高血圧患者において、β遮断薬は新規発症の心不全に対して他のクラスの降圧薬と同等の保護をもたらすだろうか?
β遮断薬を降圧薬の第一選択薬として評価した12件のランダム化試験(患者数112,000人超;各試験には、新たに発症した心不全に関する1年以上のフォローアップのデータが報告されている)を対象に、メタアナリシスを行った。

プラセボ対照試験では、β遮断薬により血圧および心不全の新規発症率の両方が低下した。
比較研究では、β遮断薬の利益は他の薬剤(利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting?enzyme:ACE)阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬)にみられた利益と同等であった。
副次的評価項目である脳卒中の発症率の解析では、結果の相違が明らかとなった。
若年患者(60歳未満)では、β遮断薬は他の薬剤と比べて脳卒中のリスクの有意な(22%)低下をもたらしたが、それより高齢の患者では有意に高いリスクを伴っていた(相対リスク1.19)。
著者は、心不全の一次予防は十分な血圧の低下に依存し、β遮断薬の心不全の予防効果は他の薬剤と同等であると結論付けた。
しかし、高齢患者における脳卒中のデータを考慮し、高血圧患者の心不全予防のための第一選択薬としてはβ遮断薬を使用しないように忠告している。

コメント:
この解析では、β遮断薬は血圧および心不全の新規発症率の低下に関して他の薬剤と同等に有効であったが、若年患者と高齢患者における脳卒中に対する影響の差は、折り合いをつけるのが困難である。
著者とエディトリアル執筆者は、メタアナリシス固有の限界のほかに、いずれの試験でも心不全が主要評価項目とされなかったこと、心不全の定義が多様であったことを指摘している。
エディトリアル執筆者は、高血圧患者、とくに既存の心疾患がある患者では、β遮断薬が心不全の一次予防として用いられうる薬剤クラスの選択肢であり続けることを示唆し、また、薬剤間の差は、不十分な治療の影響とくらべると小さなものであることも指摘している。
十分な治療を受けているのは高血圧患者の約半数にすぎないことを、さまざまな研究が示唆している。

Kirsten E. Fleischmann, MD, MPH
Published in Journal Watch General Medicine November 26, 2008

Citation(s):
Bangalore S et al. Beta-blockers for primary prevention of heart failure in patients with hypertension: Insights from a meta-analysis. J Am Coll Cardiol 2008 Sep 23; 52:1062.
Original article (Subscription may be required)

Fowler MB. Hypertension, heart failure, and beta-adrenergic blocking drugs. J Am Coll Cardiol 2008 Sep 23; 52:1073.
Original article (Subscription may be required)

http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-1125-05.html

2008 November 25

 

<関連サイト>
高血圧から慢性心不全までの大規模介入試験からみたβ遮断薬の評価
http://www.lifescience.jp/ebm/sa/2008/0801/index.html
(築山久一郎先生がまとめられた素晴らしい内容です)

 

高血圧から心不全への進展をいかに遅らせるか
http://cvd.jp/area_em/01sapporo2/p4.html

 

Should β blockers remain first choice in the treatment of primary hypertension? A meta-analysis
The Lancet, Volume 366, Issue 9496, Pages 1545 - 1553, 29 October 2005
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(05)67573-3/fulltext
In comparison with other antihypertensive drugs, the effect of β blockers is less than optimum, with a raised risk of stroke. Hence, we believe that β blockers should not remain first choice in the treatment of primary hypertension and should not be used as reference drugs in future randomised controlled trials of hypertension.

 

Beta-blockers for primary prevention of heart failure in patients with hypertension insights from a meta-analysis.
J Am Coll Cardiol. 2008 Sep 23;52(13):1073-5.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18848139?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlus
In hypertensive patients, primary prevention of HF is strongly dependent on blood pressure reduction. When compared with other antihypertensive agents, there was similar but no incremental benefit of BBs for the prevention of HF. However, given the increased risk of stroke in the elderly, BBs should not be considered as first-line agents for prevention of HF.

 

<番外編>

合併症を伴わない高血圧にはβ遮断薬より他の薬物が勝る
Other Drugs Outperform β-Blockers in Uncomplicated Hypertension
β遮断薬は、心筋梗塞、狭心症、頻拍性不整脈、心不全の患者にとって明らかに有益である。
β遮断薬は、合併症を伴わない高血圧の治療に広く推奨され、よく使用されているが、この比較的健康な集団での冠動脈性心疾患の予防効果については議論があり、いくつかの最近の研究結果から、この目的では他の薬物がβ遮断薬より優れていることが示唆された。
2005年9月に公表されたASCOT-BPLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial- Blood Pressure Lowering Arm)試験で、研究者らは、複数の心臓疾患のリスクファクターを有するが過去に顕性の冠動脈心疾患を起こしたことのない高血圧患者ほぼ20,000人について、β遮断薬atenolol(必要であれば利尿薬を最初に追加)とカルシウム拮抗薬amlodipine(必要であれば最初にアンジオテンシン変換酵素[angiotensin-converting-enzyme:ACE]阻害薬を追加)を比較した。
主要エンドポイントである心臓死と非致死的心筋梗塞は、amlodipine群でより少なかった。
この結果は統計的に有意ではなかったが、それはおそらく予想外に多くの患者が血管再生を受け、エンドポイントを回避したためであろう。
大部分の二次エンドポイント(たとえば、有害な冠動脈イベント、心血管系の死亡率、すべての原因による死亡率、脳卒中)は、amlodipine群で有意に少なかった。
この結果は、amlodipine群で平均血圧の低下がわずかに大きいということが交絡した。
amlodipine-ACE阻害薬群でより良いアウトカムとなった原因が、単に血圧低下がより大きいためであるのか(それとも薬物自体の他の特性によるものなのか)、著者らとエディトリアル執筆者では、意見が一致していなかった(日本語版 Journal Watch Oct 21 2005)。

1ヵ月後に、研究者らは、本態性高血圧患者でβ遮断薬を他の薬物または無治療と比較した20件の試験のメタアナリシスを公表した。
他の薬物と比較した13件の試験では、脳卒中の相対リスクがβ遮断薬で16%高く、すべての原因による死亡率または心筋梗塞発生率には有意差はみられなかった。
7件のプラセボ群または無治療群との比較では、脳卒中のリスクがβ遮断薬群で19%低く(これはβ遮断薬と利尿薬を使用した他の試験でみられた脳卒中リスクの低下の約半分)、β遮断薬群の患者は、心筋梗塞またはすべての原因による死亡率の有意な減少を示さなかった(日本語版 Journal Watch Dec 9 2005)。

これらの研究の著者らとエディトリアル執筆者は、合併症を伴わない高血圧の第一選択の療法としてβ遮断薬を推奨するガイドラインを再考するべきであると示唆している。しかし、将来の高血圧ガイドラインにおける位置付けに関係なく、β遮断薬は、心臓病が確立した患者治療に重要な役割を保ち続けるであろう。

Bruce Soloway, MD
Published in Journal Watch December 30, 2005
http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jwtopstory/2005/top05-05.html

 

他に

ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)

があります。

固定リンク | コメント (0)

数日前にD社主催のCKDの講演会があり、出席してARBのOを叩き込まれて来ました。
症例提示(3例)に対してアナライザーを使って”学習”させられたのです。

このD社にはカルシウム拮抗剤のCという薬剤があります。
院内処方の当院では、この薬剤は採用されていません。
講演後の懇親会と、その後の訪問でCの採用を迫られて(?)います。

以下広告からです。

日本で生まれた
Cは、おかげさまで
発売5周年を迎えました

Made in Japan
   Since 2003

Cは、優れた降圧効果が24時間持続するとともに、降圧にともなう心拍数の増加を抑制する長時間作用型Ca拮抗剤として、発売以来ご好評をいただいております。
また、最近は腎保護に関する成績も報告され、新たな期待が寄せられています。

さて、きょう勉強した内容はカルシウム拮抗剤ではなくβ遮断剤です。
カルシウム拮抗剤のCは心拍数の増加の抑制をセールスポイントにしています。
しかし高血圧患者でのβ遮断剤による心拍数抑制はエンドポイントのリスクが増加するというショッキングな結論です。

短い論文紹介で、最後は尻切れとんぼのようになっていますが興味深い内容と感じました。

さてCの採用はどうしようかと悩んでいます
 

高血圧患者におけるβ遮断薬による心拍数低下はマイナスに影響する可能性
高血圧患者に対するβ遮断薬による心拍数低下は,心血管イベントと死亡リスクを高める可能性があるとするメタ解析結果が,米コロンビア大学のグループによりJournal of the American College of Cardiologyの10月28日号に発表された。
 
心疾患患者には薬物による心拍数低下は有益だが,高血圧患者の心血管イベント予防におけるβ遮断薬による心拍数低下の役割は不明である。
同グループは,1966~2008年5月に報告された高血圧の一次治療としてβ遮断薬を評価し,追跡期間が最低1年間かつ心拍数に関するデータがあるランダム化比較試験(RCT)を検索した。
 
β遮断薬服用患者3万4,096例,他の降圧薬服用患者3万139例,プラセボ服用患者3,987例を含む9件のRCTが該当した。
解析の結果,β遮断薬によって達成された試験終了時の心拍数低下が大きいほど,エンドポイントのリスクが上昇するという有意な負の相関が認められた。
その内訳は,全死亡(r=-0.51,P<0.0001),心血管死(r=-0.61,P<0.0001),心筋梗塞(r=-0.85,P<0.0001),脳卒中(r=-0.20,P=0.06),心不全(r=-0.64,P<0.0001)であった。

Bangalore S, et al. J Am Coll Cardiol 2008; 52: 1482-1489.

出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社

 

<高血圧と心拍数 関連サイト>
心拍数の管理に注目した
高血圧症患者の治療を目指して
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%80%80%E5%BF%83%E6%8B%8D%E6%95%B0&perpage=0&order=0&page=0&id=M3735241&year=2004&type=allround
■近年,血圧値や脳・心・腎臓をはじめとする各臓器の機能に加えて,心拍数が高血圧症患者の予後予測因子として重要視されてきている。
■心拍数は心血行動態を示し,心拍数の増減が死亡率に反映されることが報告されているが,実際の診療に心拍数の管理が取り入られる場面は少なかった。
■降圧速度を考えるときには,患者の重症度を考えなければいけません。重症度の高い患者さんは,他臓器へのダメージや予後悪化を防ぐため,速やかに降圧しなければなりません。
■急速な降圧では,交感神経の亢進が起こり,心拍数が増加すると言われます。心拍数は日常臨床で計測される項目ですが,心拍数の増減が高血圧の病態にどのように影響するのかという点については詳細が明らかになっていませんでした。近年,心拍数管理の重要性を示す報告が集積されており,今後,高血圧治療において降圧や臓器保護作用という視点に加えて,心拍数管理が重要視されてくると思います。
■心拍数が生命予後の予測因子であることを示す疫学データから説明します。1945年にLevy氏が,一過性頻脈(100拍/分以上)と一過性高血圧(150/90mmHg以上)を併せ持つ併発群の死亡率が,頻脈ではない一過性高血圧症患者よりも有意に高いことを示して以来,心拍数が高血圧症患者の予後予測因子として重要であることが認識されるようになりました。心拍数が増加するほどに高血圧を発症しやすく,また高血圧の病態を進展させることが明らかになってきました。
■心拍数管理の重要性を決定付けたのは,36年間に及ぶ高血圧症患者を対象とした大規模な疫学調査であるフラミンガム研究です。年齢を問わず心拍数の増加に伴い,あらゆる原因による死亡率が上昇することが示されました。また,冠動脈性疾患や心血管系疾患による死亡率についても男性では心拍数が約75拍/分を超えると上昇することがわかりました。
■1999年のCASTEL試験の発表前後の数年間で心拍数に関する研究報告が飛躍的に集積されました。同年に発表されたシカゴ心臓協会による男性5,784名を対象とした疫学調査や,フランスの臨床予防研究センターによる男性12万5,513名を対象にした疫学調査でも,心拍数が健康人の心血管系疾患死の予測因子であることを示しました。
■近年発表された興味深い報告としては,まずイタリアの保健省が行ったMATISS調査が挙げられます。一般男性において,心拍数の増加が心血管系疾患の有無を問わず,死亡率の上昇をもたらすことが緩やかな曲線で示されました。また,Bremen試験では,心拍数の増加(>75拍/分)とQTc間隔の延長が心血管系疾患死の優れた予後予測因子であると報告されています。 
■近年,より詳細な循環動態を把握するために,家庭血圧測定や24時間血圧測定が重要視されていますが,これを用いた疫学調査では,平均 5拍/分の増加が約15%の死亡率の上昇につながると報告されています。
■このように,心拍数が予後予測因子であるとする結果は,高血圧症患者のみでなく一般の集団においても一貫しています。
■高齢者においても心拍数が予後予測因子であることがわかった(CASTEL)。
■60歳以上の収縮期高血圧(ISH)症患者では性別を問わず心拍数が79拍/分を超えると死亡率が有意に上昇(Syst-Eur試験)。
■60歳以上のISH症例ではDBPの低下と頸動脈狭窄の相関が最も高く,心拍数も有意に相関していることが報告されている(SHEP試験)。

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。


  

固定リンク | コメント (0)

昨日の続きです。
きょうの内容は,歯科治療の専門分野に踏み込んだ内容であまり興味が湧かないかも知れません。
抜歯の内容もさまざまで難抜歯の場合にはいろいろ工夫が必要と思います。
照会を受けた時には、局所止血を十分していただくということで抗血小板療法を継続したまま抜歯をお願いするスタンスになるのでしょうか。
現時点で、この方針(抗血小板療法継続)が歯科医と内科医のコンセンサスが得られていないという現状があって両者間の摩擦が心配ですが。

ワルファリンも中止不要という歯科医側の発言は、個人的には心強く感じました。
 

特別企画
第1回
抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える―それは本当に必要か
抜歯,歯周手術時の抗血栓療法
 

抜歯時の止血;ワルファリン,抗血小板薬服用中も難しくない
矢坂 
とても明快ですね。では,日本での成績はどうなのでしょうか。

矢郷 
現在,私たちは慶應病院においてワルファリン,抗血小板薬とも継続下で抜歯を行っています。
ワルファリン単独58例,抗血小板薬単独27例,両者併用23例で抜歯を行ったところ,後出血を見たのはワルファリン服用の 2例のみ,止血シーネで容易に止血できました。ワルファリンの治療域は日本人では1.6~2.8に設定されています。この範囲では確実な止血処置を行えば,抜歯時の止血にまったく問題はありません。

止血処置は,ワルファリン服用例では,ゼラチンスポンジと縫合,圧迫止血を組み合わせて行います。
抗血小板薬の場合は,縫合と圧迫止血のみです(表 3)。


ほとんどの症例はこれで止血できますが,それでも止血しないときには止血シーネやパックを使用します。
いずれにせよ局所止血処置だけで止血可能で,全身的止血処置が必要になった例はありません。
抜歯後の出血の原因としては,INR値よりもむしろ,局所の炎症,抜歯時の器械操作による周囲組織の損傷,不適切な局所止血処置などが問題となります。

森本 
私たちも,日常的に抗血栓薬継続下で抜歯を行っています。国立循環器病センター歯科と共同で実施した観察研究の成績を紹介します。
抗血栓療法中の270例において計306回の抜歯を行ったところ,後出血を来たしたのは11回,3.6%でした。ワルファリン単独群で4.4%,ワルファリン+抗血小板薬併用群では3.9%で,両群間に有意差はありません。抗血小板薬単独群では2.2%でした(表 4)。


後出血例を解析した結果,INR値より抜歯部位の歯槽膿瘍や歯肉膿瘍などの活動性炎症が影響すると考えられました。

この研究では,全例に酸化セルロース綿を入れて縫合し,ガーゼで圧迫する局所止血処置を施しています。
処置中の止血困難例は滅多になく,出血例の大半が後出血例で,必要であれば電気メスによる凝固止血や止血シーネで対処しています。

以上より,日本人のワルファリン服用例(INR:3.0未満),抗血小板薬服用例では,維持量を継続して抜歯を行っても止血はほぼ可能であることが分かりました。
後出血には局所止血処置,INR値延長例ではその適正化で対応できると考えています。

歯周治療;縫合など適切な局所止血処置がより重要に
矢坂 
森本先生は,歯周治療についても検討されているそうですね。

森本 
歯周病は炎症巣ですので出血しやすく,しばしば止血に苦労します。
抗血栓療法例での歯周治療のエビデンスは乏しいのですが,INR値は抜歯時より0.5?1.0程度低めが妥当とされます。急性歯肉炎や歯周炎があると止血が難しいため,まず急性炎症を治療しなければなりません。
また,抜歯に比べ創の形態が複雑なため単純にガーゼを咬んでも圧迫できない例が多く,工夫が必要です。
出血部位が深い場合,酸化セルロース綿や止血シーネを使います。

歯周治療についても,私たちは国立循環器病センター歯科と共同で観察研究を行っています。
対象は抗血栓療法継続中の115例です。局所止血処置は,大半の例で酸化セルロース綿挿入やガーゼによる圧迫を,歯肉剥離掻爬手術では縫合を行いました。
止血困難例では電気メスによる凝固止血や止血シーネを採用。
その結果,ワルファリン服用患者ではプロービングや歯石除去など低侵襲処置はINR:3 未満で,ルートプレーニング,歯周ポケット掻爬,歯肉剥離掻爬手術などの歯周外科処置は,INR:2.5未満で施行可能でした。
抗血小板薬単独服用患者では,すべての歯周治療を問題なく施行できました。
ただ,歯周治療では処置中の止血が困難なケースが多いため,適切な局所止血処置がより重要になることを強調しておきたいと思います。

矢坂 
適切な局所止血処置が重要とのことですが,そうした止血処置は一般の歯科医でも行えるのですか。

矢郷 
テクニック自体は,歯科口腔外科の医師でしたら問題なくできます。
これを一般の歯科医に広げていくには,まず口腔外科でガイドラインを作っておく必要がありますね。

森本 
最近,ワルファリン継続下で抜歯する一般歯科医も徐々に増えています。
しかし,なかには局所止血が十分になされていないため,後出血で来院される例があります。
休薬の危険性だけが独り歩きし,抗血栓療法継続下の正しい歯科治療が浸透していないのが現状です。
休薬の危険性と同時に,局所止血の重要性を訴えていくことが大切でしょう。

今後の方向性;医師と歯科医,共通のガイドライン作成が急務
矢坂 
今後,抗血栓療法継続下での抜歯を広めていくためには,どんな取り組みが必要だとお考えですか。

矢郷 
すでに循環器学会のガイドラインでは抗血栓療法継続の必要性が取り上げられていますが,やはり医師と歯科医の共通のガイドラインが必要です。
抗血栓薬休薬による脳梗塞リスクの増大は医師から歯科医に伝えられたわけですが,歯科医から医師に対して「INR:3程度までなら局所止血処置により抜歯が可能」という情報を伝えていくことが求められています。
現在,私たちはガイドライン作成へ向け,慶應義塾大学循環器内科(小川聡教授)にもご協力いただき「ワルファリン維持量の継続投与下における抜歯の安全性に関する多施設共同研究」を進めています。
日本有病者歯科医療学会(白川正順理事長)でもガイドラインを作り,一般の歯科医に伝えようと取り組んでいます。

森本 
やはり,医師と歯科医の連携が重要になってきます。抗血栓療法を受けている患者の場合,血栓症のリスク評価が知りたいですし,抗菌薬やNSAIDsの使い方などについても情報がもらえれば,円滑な連携が可能になると思います。

矢坂 
私は2004年の日本循環器学会のガイドライン作成に関わりましたが,現在はその改訂作業が進行中です。
そうした作業のなかで,歯科領域でのガイドライン作成の動きとの整合性にも配慮すべきですね。
ガイドラインを普及させるには関連学会が共通認識を持つことが不可欠です。
本座談会が,医師と歯科医師の連携により,抗血栓療法継続下の安全な抜歯と歯周手術を普及させる一助となることを期待したいと思います。

Medical Tribune 2008.3.6
版権 メディカル・トリビューン社 

大久保泰 30号 
http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k50546856

<番外編>

β遮断薬についての話題はすっかり影が薄くなっています。

 

β遮断薬は生き残れるか  揺らぐ降圧薬第1選択の座
http://blog.m3.com/reed/20080229

 

2005年の少し古い日経メディカル誌にこんな論文が照会されているのを見つけました。

β遮断剤は第1選択薬に適さず
RCTのメタ解析で明らかに

β遮断薬は脳卒中に対する予防効果が低いため、高血圧治療の第1選択薬として用いるべきではない。
こんな論文がLamcet誌10月29号に発表され、注目を集めた。
日本や欧州の高血圧治療ガイドラインでは、β遮断薬は第1選択薬の1つになっているが、この研究結果により再考を促されるかもしれない。

この研究グループは、既に2004年にβ遮断薬の1つであるアテノロールについてメタ解析を行い、その有効性に疑問を投げかけている。今回は、β遮断薬とほかの降圧薬を比較した13件(総計10万5951人)と、β遮断薬とプラセポまたは無治療を比較した7件(同2万
7433人)のランダム化比較試験(RCT)をメタ解析し、脳卒中、心筋梗塞および総死亡への影響を評価した。

その結果、β遮断薬にはほかの降圧薬と同等の降圧効果があるものの、服用者の脳卒中発症率が相対的に16%高いことが判明
した(図1,95%信頼区間:4~30%)。
一方、心筋梗塞の発症率や総死亡率については、ほかの降圧薬と有意差はなかった。

また、プラセポ群や無治療群との比較では、脳卒中の発症はβ遮断薬群で19%(95%信頼区間:7~29%)低かったが、その効果は以前に報告されたSTOP Hypertension試験の結果の半分程度だった。

以上の結果から著者らは、β遮断薬は
①脳卒中に対する予防効果が低く、本態性高血圧治療の第1選択薬にすべきではない
②今後、降圧薬のRCTを行う際に対照薬として用いるべきではない

と結論付けた(Lindholm LH et al. 2005;366:1545-53)

Nikkei Medical 2005.12
版権 日経BP社

 

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。

 

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

β遮断薬は生き残れるか

戯れ言たれる侏儒 / 2008.02.29 00:05 / 推薦数 : 3

β遮断薬は生き残れるか  揺らぐ降圧薬第1選択の座

降圧薬としてのβ遮断薬の位置付けが揺らいでいる。
最近の大規模介入試験の結果を根拠に、英国のガイドラインでは第1選択から外された。
一方で反論もなされ、その扱いをめぐって論議が高まっている。

2006年6月に発表された英国の高血圧診療ガイドライン改訂版(NICE/BHS2006)は、世界的な議論のきっかけとなる衝撃的なものだった。
従来の英ガイドラインでは、β遮断薬を55歳未満の第1選択薬の1つに位置付けていた。
だがこの改訂により、β遮断薬の位置付けはステップ4、つまり第4選択まで後退してしまったのだ(図1)。

 

国際医療福祉大熱海病院内科教授の築山久一郎氏は「β遮断薬に退場を迫ったようなもの」と憤慨する。

(注;築山教授はβ遮断薬一筋で研究を続けられた先生です。我が国のβ遮断薬の歴史そのものといっても過言ではありません。「憤慨する」という表現だったので思わず追加させていただきました)
 

翌年の07年9月には、欧州高血圧学会と欧州心臓病学会が合同して作っているガイドラインも改訂された(ESH/ESC2007)。
こちらではサイアザイド系利尿薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と並んで、β遮断
薬も第1選択に生き残った。

ただし、降圧薬を併用する際、利尿薬とβ遮断薬の併用は代謝に悪影響を与える可能性があるとして、選択肢にはなるが推奨しないとした。
さらにエビデンスがないα遮断薬との併用も外され、結局β遮断薬の推奨併用薬はCa拮抗薬だけになった(図2)。

 

このようにガイドラインが変わってきた理由は、降圧薬の種類によって効果に差があるかを検討した大規模介入試験で、対照薬に比べβ遮断薬が劣っていたとする結果が相次い
で発表されたためだ。

RCTやメタ解析で負けた
その代表例が、左室肥大を合併した高血圧患者(9193人、平均66.9歳)を対象にARB(ロサルタン)とβ遮断薬(アテノロール)の効果を比較したLIFE試験(2002年)。

降圧の程度は両群間で有意差はなかったが、複合1次エンドポイント(心血管疾患死、脳卒中、心筋梗塞)発生のリスクはARB群の方が13%、脳卒中に限ると25%も低かった。
また糖尿病の新規発淀のリスクもARB群が25%低くなっていた(いずれも有意差あり)。

さらに、複数の大規模介入試験をまとめたメタ解析でも、β遮断薬に不利な結果が出ている。
LIFE試験も含めた13の試験を対象に、β遮断薬と他の降圧薬で心血管イベント抑制効果に違いがあるか比較したリンドホルムらの解析によれば、脳卒中の発生リスクはβ遮断薬が16%高かったという(ただし心筋梗塞や全死亡では差はなかった)。

埼玉医大腎臓内科教授の鈴木洋通氏は「患者によって至適用量に幅があるなど、β遮断薬は他の降圧薬に比べて使いにくさがあり、現状も降圧薬としての使用は限られている。ガイドラインは非専門医が多く参照するものだけに、特に問題となる合併症がない患者の第1選択薬からβ遮断薬が外れるのは、やむを得ないだろう」と話す。

正当な評価を受けていない
だが、これには反論も多い()。


例えばLIFE試験では、有意差はないがβ遮断薬群の収縮期血圧が約1mmHg高く、得られたイベント発生率の差はその血圧差で説明が付くという。
同じ血圧値まで下げられれば、イベント発生率に差は出なかった可能性があるというわけだ。
また糖尿病の新規発症も、明らかに問題になるのは複数のリスクが集積した患者に限られるとの解析もある。

築山氏は「これまでの大規模介入試験やメタ解析は、β遮断薬を適切に評価できていない。それだけに、現時点で第1選択から外すのは時期尚早」という意見だ。

東京都老人医療センター副院長の桑島巌氏も「高齢者では動脈硬化が進行しβ遮断薬が効きにくいので、特に合併症のない高齢者なら第1選択から外してもいい。だが、青壮
年までと心血管合併症のある高齢者では、第1選択に残る」と指摘する。

ガイドライン絶対視は避ける
β遮断薬は、心不全や心筋梗塞の既往などがあれば積極的に選択すべき降圧薬になる。
特に冠動脈疾患のリスクが高い人ほど、β遮断薬の有用性も高まる。
「ガイドラインの第1選択から外れることで医師の認識が低くなり、必要な患者に使われなくなることを危愼する」と築山氏。

β遮断薬を選ぶべき症例があることは鈴木氏も同意見で、「降圧薬の第1選択から外れても、β遮断薬が全否定されたわけではない」とする。

高血圧を診る医師はガイドラインの読み方も学ぶ必要があるようだ。
循環器の臨床薬理と臨床試験に詳しい、琉球大臨床薬理学教授の植田真一郎氏は「ガイドラインは薬剤に優劣の順番を付けるものではなく、どのような治療が患者にとって利益・不利益になるか、臨床のヒントとなる情報を提供するもの。
過度に絶対視せず、降圧自体が重要という原則を念頭に、自分の臨床経験にガイドラインの内容を加えていくという
姿勢で受け入れればいい」と話す。

日本のガイドラインでも、各降圧薬の得意な分野(積極的適応)と不得意な分野(禁忌)がまとめられている。
「この表を参考に、積極的適応となる薬剤があれば試みてはどうか」と植田氏はアドバイスする。

ちなみに、現状ではβ遮断薬を第1選択薬の1つにしている日本高血圧学会のガイドラインも、今秋に改訂案が発表される。
その内容にも注目したい。  

 

斎藤三郎 油彩4号『娘 エアリ』
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v45901987

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。

固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)