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きょうは、技術の進歩の著しい「末梢血管インターベンション」について勉強しました。
われわれ開業医にとって、これらのup to dateな勉強ももちろん大切です。
しかし、これらの病気の患者さんを紹介する際にどの病院に紹介すればよいかという現実があります。
紹介先によって患者さんの運命が変わる場合も当然ありうることです。
最先端の技術があることを(習得ではなく)勉強しても、手近なロケーションにやっていただける施設があるかどうか、また複数の選択肢があればどちらがよいか。
そのあたりの情報(?)の方が大切かも知れません。
先日、ある病院から病診連携の案内が届きました。
国立病院機構の某病院です。
近くに救急医療にも力を入れている大規模病院があって、(まったくもって失礼ないい方ですが)「終わっている」病院です。
内容は「お互い顔の見える医療を目指して懇親会を持ちましょう。ついては会費・・・」というものです。
いろいろ、苦しい事情はよくわかります。
発起人の先生もよく知っている先生ですでに「顔」はよくわかっています。
私のスタンスはこうです。
(幸い都会に住んでいるというとメリットを生かして)出来るだけ多くの講演会に出席して、近くの病院の医師が演者の場合には、「力量」と「顔」を実際インプットする。
会費まで払って「顔」だけみる会はもちろん欠席しました。

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
ガイドワイヤやステントの改良で安全性,成績が向上
末梢血管インターベンションを安全に施行し成績を向上させるため,デバイスや施行法は年々進歩を遂げている。
郡山市で開かれた第16回日本心血管インターベンション学会(会長=星総合病院心臓病センター・木島幹博副院長)のシンポジウム「末梢血管インターベンションの最近の進歩」(座長=大阪大学先進心血管治療学・南都伸介特任教授,社会保険小倉記念病院循環器科・横井宏佳部長,スペシャルコメンテーター・伊Gruppo Villa Maria Endovascular・Giancarlo Biamino氏)では,ガイドワイヤ,ステント,アプローチ法に改良を加えることにより,腹部大動脈瘤,粥状硬化性腎動脈狭窄症,浅大腿動脈慢性閉塞などに対するインターベンションの安全性,成績が向上していることが明らかとなった。
腹部大動脈瘤に対する血管内修復術
ステント改良によりエンドリークが減少
わが国では昨年から今年にかけて,腹部大動脈瘤(AAA)に対する血管内修復術(EVAR)に用いられる企業製作のステントグラフトが 2 種類保険収載された。
大阪大学心臓血管外科の倉谷徹准教授は,同科においてカスタムメードのステントグラフトを使用したAAAに対するEVARの成績を検討し,「同術は良好な長期成績が得られる安全で有効な治療法で,ステント改良によりエンドリーク発症を減少できた。同術は企業製作のステントグラフトによりさらに普及すると考えられる」と述べた。
5年エンドリーク回避率は83%
対象は,同科で1995年 2 月~2006年12月にカスタムメードのステントグラフトを用いたEVARを施行した563例(胸部大動脈瘤,胸部腹部大動脈瘤,AAA)のうち,AAA 74例(男性58例,女性16例;平均年齢76歳)。
術前合併症は,冠動脈疾患が約 5 割,脳卒中が約 3 割など,高率に存在した。
ステントは, Spiral Z(1995~2000年31例)またはGiantruco Z(2003年以降43例)を,グラフトは薄いポリエステル製を使用した。
手術法は,Straight type 15例,腹部大動脈~片側性腸骨動脈type(片側性腸骨動脈ステントグラフトに大腿~大腿動脈バイパス術を施行)を55例,分岐typeを 4 例に施行した。
早期成績を見ると,成功率は全体で86.5%,Spiral Z使用例で80.7%,Giantruco Z使用例で97.5%だった。
入院死亡率は2.7%。
合併症は,一過性脳虚血発作(TIA)が2.7%に認められた。
中略
以上から,倉谷准教授は「カスタムメードのステントグラフトを使用したAAAに対するEVARは良好な長期成績が得られる有効な治療法であり,ステントの改良によりエンドリークの発症を減少させることができた。企業製作のステントグラフトの保険収載によりさらに普及すると考えられるが,そのためには心血管外科医と心血管インターベンションを行う循環器内科医の連携が重要である」と述べた。
粥状硬化性腎動脈狭窄症に対する経皮的腎動脈ステント術
ロープロファイルシステム使用で安全に良好な成績が
粥状硬化性腎動脈狭窄症(ARAS)は動脈硬化症患者に高率に認められ,高血圧,腎不全,不安定狭心症,肺水腫と関連し,特に心血管疾患患者の予後を悪化させる。
最近,ARASに対する治療法として,経皮的腎動脈ステント術(PTRS)が行われているが,施行するうえで安全性が問題となる。菊名記念病院(神奈川県)循環器科の宮本明部長は,ロープロファイルステントシステムを用いることで,ARASに対するPTRSを低侵襲,簡便,安全に施行でき,良好な急性期,中期成績が得られることを示した。
急性有害事象発症率は0%
PTRSの適応は,血管造影による狭窄率50%以上,圧較差20mmHg以上の腎動脈狭窄(RAS)で,原因不明のうっ血性心不全または不安定狭心症,治療抵抗性高血圧,両側性または孤立性RASを伴う進行性腎機能不全となっている。
今回,PTRSを安全に行う方法として,宮本部長は6FrガイドカテーテルとロープロファイルPalmaz-Genesisステントを用いたPTRSの効果を検討した。
現在わが国でARASに対して承認されているステントはPalmazステントのみであるが,同ステントは,8Frガイドカテーテルが必要で, 80cm長のシャフトのみのため大腿動脈からのアプローチしかできず,柔軟性がないため挿入が難しいなどの問題がある。
一方,ロープロファイルPalmaz-Genesisステントは,
(1)80cmと135cm長のシャフトがあり経大腿動脈,経上腕動脈,経橈骨動脈アプローチが可能
(2)小径の0.018インチガイドワイヤを使用
(3)より柔軟で6Frガイドカテーテルが使用可能
―であることから,従来のPalmazステントよりも使用しやすくなっている。
対象はARAS患者17例(男性11例,女性 6 例;平均年齢73.3歳)18病変。
そのうち17病変は腎動脈口から 3 mm以内に位置し,病変長は平均11.8mm,対照血管径は平均5.1mm,最小血管径(MLD)は平均1.92mm,狭窄率は平均62.1%だった。
中略(詳細は)
浅大腿動脈慢性閉塞に対するナイチノール製自己拡張型ステント留置術
小プロファイルガイドワイヤの双方向性アプローチで成績向上
浅大腿動脈(SFA)慢性閉塞例に対する血管内治療はまだ確立されておらず,その成功率,慢性期開存率はいまだに低いという問題点がある。
最近開発された末梢動脈閉塞病変治療用の小プロファイルガイドワイヤと従来のステンレス製よりも破損しにくいナイチノール製自己拡張型ステント(NSES)を用いることにより急性期手技成功率の向上とともに慢性期開存率の改善が期待されている。
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)循環器科の宮下裕介医長は,SFA慢性閉塞に対する小プロファイルガイドワイヤを用いたNSES留置術は,双方向性アプローチで逆行性にバルーン拡張を行うことで成功率と慢性期開存率が改善したと報告した。
成功率88%,1年開存率82%
対象は,2004年 9 月~06年12月に同科で小プロファイルガイドワイヤ(0.018インチのTreasure,0.014インチのRubyまたはCruise)とNSES(SMART,Luminexx)を用いて血管内治療を施行したSFA慢性閉塞例64例(平均年齢71.2歳),68病変(入口部病変37病変,中位病変31病変)。
分岐部から 5 cm以内に存在する病変を入口部病変,5 cm超に存在する病変を中位病変と定義した。対象の約20%は人工透析患者であった。
成功率は全体で88%,入口部病変で78%,中位病変では100%だった。
中略
急性期の合併症は,Blue toe症候群が入口部病変の 1 例に,急性閉塞が入口部病変の 1 例に,血栓による遠位部塞栓が中位病変の 1 例に認められたが,ワイヤによる血管穿孔,血管破裂,出血性の合併症などは認められなかった。
当初,同科では小プロファイルガイドワイヤを順行性アプローチのみで閉塞病変の通過を試みていた。
その際の手技成功率は入口部病変で60%であった。
そこで,膝窩動脈穿刺を加え双方向性アプローチに変更したところ,成功率が入口部病変でも82%に上昇し,さらに逆行性にバルーンを拡張することで手技成功率を入口部病変でも100%にすることができた。
中略
以上から,宮下医長は「小プロファイルガイドワイヤを双方向性にアプローチし,逆行性にバルーンを拡張してNSESを留置する血管内治療は,SFA慢性閉塞例の入口部病変,中位病変に有効であることが示唆された。今後は血管内超音波法(IVUS)を用いた多施設の前向き試験で同法の効果を明らかにする必要がある」と述べた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E6%A2%A2%E8%A1%80%E7%AE%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&perpage=0&order=1&page=0&id=M4033161&year=2007&type=article
出典 Medical Tribune 2007.8.16
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
大動脈瘤に対する血管内手術:
ステント・グラフト留置術
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/yu/yu47/47-33.html
■ステントとは19世紀のイギリスの歯科医Charles Stentに由来し、内腔を保持する支持物をさします(・・・「ステント」が人名由来とは知りませんでした)
■大動脈瘤の好発部位である腹部大動脈瘤では、腎動脈と動脈瘤の間の正常大動脈(proximal neck)の距離が、遠位弓部大動脈瘤では左総頚動脈または左鎖骨下動脈と動脈瘤の距離が15mm未満ですと、本手術の適応からはずれます。これはproximal neckまたはdistal neckが短いと、エンドリーク(endoleak)という合併症が発生しやすいためです。エンドリークとは動脈瘤内でかつステント・グラフトの外側の血流の漏れで、これが6ヶ月以上続きますと動脈瘤の拡大や破裂をきたします。術後エンドリーク率は、腹部大動脈瘤では5%、胸部大動脈瘤では25%です。
大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
(カテーテル・インターベンション PDF1614 46/78)
大動脈・末梢血管インターベンションの現状
http://www.medicalview.co.jp/catalog/MAGA17541-08-01-0.html
(医学雑誌「Heart View」の特集の目次です)
第8回日本心血管カテーテル治療学会学術集会
http://jacct8.umin.jp/03program/03program.html
(学術集会のプログラムです)
2007年アメリカ心臓学会レポート
Thoracic Aortic Disease II
http://physician.pfizer.co.jp/cardiology/report/aha/2007/44.html
<自遊時間>
昨夕の診察中に、知人のA先生(開業医)から電話がありました。
最近、医師会に入会した先生です。
電話の内容はこんなことでした。
昨日、『医師連盟』からの郵便配布物が送られて来たとのこと。
自動的に『医師連盟』に入会させられているのは納得がいかなくて医師会に電話したが明確な返事が得られなかったとのことでした。
私「それで連盟費は払っているの」
A先生「納得できないから最初から払っていない」
私「それはえらい。私は今年になって一念発起して蛮勇を奮って払わないことにしたよ」
A先生「それで退会手続きはどうやってすればいいの。医師会では各地域の医師会に相談しろっていっていたよ」
私「医師会の中でたらいまわしされるだけで埒があかないよ。私も以前相談に行ったけどダメだった。奥から理事が出てきて怖かった。とても医師にはみえなかった。後日、ネットで電話番号を調べて『医師連盟』にかけても誰も電話には出なかった。要するに実態がない事務局なんだよ」
A先生「そうだったんだ。」
私「とにかく先生みたいに払っていない会員がいたということがわかっただけでも心強いよ。文面はかなり強制的で高圧的だけど所詮『寄付』だから強制されるようなものではないよ。入会手続きをしてないから退会手続きもないだろうから、払わずに静観ということで・・・」
A先生「ほんじゃ我慢してしばらくそうするわ」
迷えるわれわれ子羊に神のご加護を。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
現在、80歳過ぎの弓部の胸部大動脈瘤の方と、70台の胸腹部大動脈瘤の方を内科的に経過観察中です。
大病院の血管外科にコンサルトしたのですが、ステントの適応もないとのこと。
こわごわ診察しているのが現状です。
年年歳歳齢を重ねられるので手術の可能性はどんどんなくなっていきます。
大動脈瘤径もボーダーラインです。
行くも地獄、戻るも地獄。
この言葉で思い出したことがあります。
村民に「熱い油に手を入れろ」命令 インド地方の無謀な裁判
インドのある村で、学校から食糧が盗まれる事件があった。長老たちは村民の男性150人に、無実を証明するために煮えたぎる油に手を浸せと命令した。
村の男性150人は、油が沸騰する大釜から銅の指輪をつまみ出すよう命じられた。
裁判では、この命令を拒否した50人が犯人に違いないとした。
現在、大勢の村民がやけどを治療中だ。
ちょっと、話がそれてしまいました。
そんなわけで(?)、きょうは「腹部大動脈瘤とステント(血管内修復)」を勉強しました。
開腹修復と血管内修復ともに利点と欠点
〔ニューヨーク〕インペリアルカレッジ(ロンドン)のRoger M. Greenhalgh,Janet T. Powellの両教授は,腹部大動脈瘤(AAA)の血管内修復に関する臨床的論評をNew England Journal of Medicine(NEJM,2008; 358: 494-501)に発表し,「開腹修復と血管内修復は双方とも利点と欠点がある。
いずれも高い技術を要するため,どちらを選択するにせよ,定評のあるセンターで経験豊かな血管外科医または血管インターベンション専門医が行うことが重要」と述べている。
5.5cm以下では破裂リスクは低い
Greenhalgh教授らは「基本的に,血管内修復は開腹修復より低い早期死亡率に関連するが,のちに再介入を要するリスクが高く,長期アウトカムの確実性が低いことにも関連する。血管内修復を選択した患者には特に,術後の一貫した定期的なフォローアップが不可欠であることに留意すべきである」と述べている。
また,同教授らは「重要な点として,患者はAAAの修復を調査した試験で得られた知見について偏りのない情報を受け,両治療法の利点と欠点を検討すべきである」と主張している。
AAAはしばしば無症候性であるため,他の目的で腹部画像検査を行った結果として検出される場合が多い。
最も一般的な症状は腹部痛または背部痛である。
動脈瘤の既往を持つ同胞がいる者は,自身も動脈瘤を発症するリスクが高いと考えるべきである。
加えて,アテローム動脈硬化症患者はリスクが高い。
また,AAAは他の心血管疾患やさまざまな心血管イベントと関連する。
直径5.5cm以下のAAAでは破裂リスクは低いが,これより大きくなるにつれてリスクは急速に上昇する。
患者に症状がない場合,動脈瘤が直径5.5cmを超えて壊れやすくなった場合,または直径が毎年1cmを超えて増大する場合は,介入が推奨されることが多い。
いくつかの研究で,これらの基準に達するまで動脈瘤の開腹修復を待っても,早期の介入と比べて患者のリスクが増大しないことが示されている。
AAAの最初の臨床症状は破裂である場合が多い。破裂すると,患者の10%しか手術室に到達するまで生存できず,さらに手術死亡率は40%を超える。
一方,ACE阻害薬やスタチン系薬を投与されている患者はいずれも破裂リスクが低下する。
AAAの診断は通常,超音波検査で始まりCT,MRIを用いて確定診断される。
血管内修復は早期死亡率低い
AAAに関して開腹修復と血管内修復を比較した最も重要な研究はEVAR試験1,DREAM試験,EVAR試験2である。EVAR試験1の詳細は両教授らがLancet(2005; 365: 2179-2186)に,DREAM試験の詳細はRadbout大学ナイメーヘン医療センター(オランダ・ナイメーヘン)のJan D. Blankensteijn教授らがNEJM(2005; 352: 2398-2405)に, EVAR試験2の詳細は試験1と同じ研究者らがLancet(2005; 365: 2187-2192)にそれぞれ発表している。
患者1,082例によるEVAR試験1では,術後30日以内の死亡率は血管内修復群で1.7%,開腹修復群で4.7%であった(P<0.001)。
術後4年死亡率は血管内修復群では開腹修復群の約2分の1であった(P=0.04)。
全死因死亡率は血管内修復群で26%,開腹修復群で29%であったが,統計学的に有意ではなかった。
また血管内修復群の20%,開腹修復群の6%で再介入を要した。
DREAM試験には患者351例が参加。やはり,術後30日以内の死亡率は血管内修復群で有意に低かった。
術後2年目の全体的な生存率に有意差はなかった。
再介入は血管内修復群のほうが多く,動脈瘤関連の死亡は開腹修復群のほうが多かった。
EVAR試験2は開腹修復の候補者ではない患者338例を血管内修復群と介入なし群にランダムに割り付けた。
同試験では,介入なし群と比べて,血管内修復群で便益は認められなかった。
合併症とその後必要とした治療は,血管内修復群のほうが多かった。
患者の適性が重要
AAAに対する開腹修復は十分に確立された方法で,きわめて効果的であると同時に重大なリスクに関連する。
血管内修復と比べて,開腹修復は集中治療または救急治療の利用が多く,入院期間が長く,手術による痛みも強く,術後30日以内の死亡率が高い。
また開腹修復は,血管内修復とは異なり全身麻酔を要する。しかし開腹修復後は,AAAに関連する治療の必要性が血管内修復より少ない。
手術リスクの高い患者と併存症のある患者は開腹修復の候補者として適していないため,患者の選択が重要である。
開腹修復の候補患者に血管内修復を行うと,便益が得られることが試験で証明されている。
対照的に,外科手術の候補ではない患者に血管内修復を行った場合の便益は不明である。EVAR試験1は,術後30日以内の死亡率の点では最も適合する患者が最大の便益を得ることを示している。
血管内修復の候補患者は,特定の解剖学的要件を満たす必要があり,それは通常,CTで評価される。
その要件には,例えば動脈瘤頸部の形と長さ,腸骨動脈の直径などが関連する。さまざまな研究から,AAA患者の14~54%が血管内修復の解剖学的基準に適合することが判明している。
血管内修復では術前にグラフトを正確に決定しなくてはならないが,それは術前画像検査を行わなければならない。
移植後,通常は1か月と6か月時に,またその後は毎年1回,CT血管造影検査を行う。
AAAの血管内修復には多様な有害イベントが関連する。EVAR試験1では,血管内修復に割り当てられた患者543例中4例が動脈瘤破裂を発症したため,開腹修復に切り替えられた。
血管内修復では,虚血性合併症と腎臓合併症の可能性がある。
加えて血管内修復の有効性は,動脈瘤の瘤部から血流を継続的に排除することによりもたらされるが,これはおよそ患者の5例に1例で完全には達成されない。
グラフトの移動,グラフトまたは末梢血管の狭窄または閉塞,動脈瘤またはグラフトから遠位の動脈部位のいずれかの拡張が起こる可能性がある。
主要な臨床試験では4年間のフォローアップに関する結果が報告されているが,血管内修復の長期間の耐久性については確立されていないとしている。
出典 Medical Tribune 2008.6.19
版権 メディカル・トリビューン社

<参考サイト>
腹部大動脈瘤エンドグラフトは臨床試験をパスしたか
http://www.nv-med.com/tct/03/pdf/03.pdf
大動脈瘤の治療には積極的にステントグラフトを
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2007/200703/502754.html
「大動脈瘤治療は手術かステンドグラフトか?」で、慈恵医大血管外科学の大木隆生氏(米国Albert Einstein医科大学外科学教授)は、「日本でも積極的にステントグラフトを用いたEVAR(Endovascular Aneurysm Repair:血管内治療)を取入れるべきだ」と提言した。
大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
展望;ステントグラフト治療の普及に向け実施基準および調査体制の確立を
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E8%85%B9%E9%83%A8%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88&perpage=0&order=0&page=0&id=M41120511&year=2008&type=allround
腹部大動脈瘤にステントグラフト治療
東京医大で研修トレーニング
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E8%85%B9%E9%83%A8%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88&perpage=0&order=0&page=0&id=M3940241&year=2006&type=allround
腹部大動脈瘤ステントグラフトが保険適用に
ただし対象症例を限定
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E8%85%B9%E9%83%A8%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88&perpage=0&order=0&page=1&id=M4020433&year=2007&type=allround
腹部大動脈瘤にステント治療 代用血管の筒、開腹せず挿入
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060804ik0b.htm
大動脈瘤に対する血管内手術:ステント・グラフト留置術
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/yu/yu47/47-33.html
大動脈瘤ステント治療
http://www.pref.chiba.jp/byouin/junkan/science/stent.html
腹部大動脈瘤
http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/vasc-surg/aaa/treat_adv.html
肥満、アディポカイン、および腹部大動脈瘤―Health in Man 試験
http://blog.m3.com/reed/20071211/Health_in_Man__
ステントグラフト治療
http://blog.m3.com/reed/20080331/1
炎症性腹部大動脈瘤
http://blog.m3.com/reed/20080204/1
<コメント>
昨日日本医師会雑誌の特別号として「心血管疾患診療のエクセレンス」というタイトルの雑誌が郵送されてきました。
期待して見開いてみたのですが、その分野を専門とする方には物足りない内容と思われます。
「大動脈瘤」の分野ではこんなことが書かれています。
■大動脈瘤とは、大動脈壁の全周または局所が正常径(胸部30mm、腹部20mm程度)の1.5倍を超えた拡張をいう。
■ 腹部では45~50mm以上、胸部では55~60mm以上を目安に、外科的人工血管置換かステントグラフト治療を選択する。
(体格が違うので欧米のデータはそのまま適用できない可能性があります。胸部と腹部が違うので、胸部大動脈の方がもともと血管径が大きいからでしょうか。)
■1年間に10mm以上の速度で拡大する場合や嚢状瘤は破裂するリスクが高く、より早期の治療が必要である。
<自遊時間>
一昨日、超音波装置が壊れたので昨日早速業者に来て貰いました。
案の定、基盤がもうないということで、ご臨終を宣告されました。
早速新機種の選考に入りそうです。
壊れた器械はアロカSSD-650。
カラードップラーもIMT計測も出来ない機種です。
今度こそ、この両方は絶対やりたいのですが、CWが必要かどうか迷っています。
ある筋からは、東芝、日立がいいのではといわれています。
予算もあるしなあと思っていたところ、今度は透視のモニターがピンボケで写らなくなってしまいました。
限りなくブルーです。
掛け時計まで壊れて止まってしまいました。
どなたかカラードップラーの心エコーとIMT計測を検査の主体とする場合、お薦めがあれば教えていただけるとありがたいのですが。
開業医なので中級でコンパクトなのが希望です。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
腹部大動脈瘤(AAA)のリスクファクターについての研究について勉強してみました。
AAAの原因については今まで意外とわかっていないことが判明しました。
肥満、アディポカイン、および腹部大動脈瘤―Health in Man 試験
腹部大動脈瘤(AAA)は腹部大動脈のアテローム動脈硬化に起因することから、AAAのリスク因子は、閉塞性動脈疾患のリスク因子と同一であると考えられがちであるが、これまで、あまり検討されていない。
例えば、糖尿病は閉塞性動脈疾患のリスク因子であることから、AAAのリスクにもなりそうであるが、これまでの研究では糖尿病はAAAのリスク因子にはなっていない。
本研究では、高齢者男性のAAAリスク因子を検討し、冠動脈疾患、喫煙、ウェスト・ヒップ比、ならびに血清レジスチンレベルが独立したAAAのリスク因子であることを明らかにした。
本研究では、糖尿病に加えて、年齢や高血圧もAAAのリスクにはなっていなかった。
本横断研究は、年齢65~83歳の男性12,203名を対象に、超音波検査法でAAAのスクリーニングを実施したところ、875名にAAA(>30 mm)が検出された。
血清アディポカイン濃度は952人で測定したが、そのうち318名がAAAを有していた。
ウェスト(オッズ比[OR]1.14)、およびウエスト・ヒップ比(OR1.22)は独立してAAAの予測因子であった。
AAAを> 40 mmとした場合、この関連性がより強かった(ウエスト・ヒップ比: OR 1.53)。
血清レジスチン濃度は単独でAAA (OR 1.53) および大動脈径 (β=0.19, p<0.0001) と強い関連性を示した。
これまでの研究では、全身性肥満はAAAのリスクにはなっていなかったが、本研究では、腹囲やウエスト・ヒップ比などの腹部肥満の指標がAAAの独立したリスクとなっていた。 本研究では、血清レジスチン濃度は大動脈径やAAAとの間にアディポカインよりも強い独立した関連がみられたが、その意義は今後検討を要する。
レジスチンは当初、脂肪細胞から分泌されるアディポカインとされていたが、単球やマクロファージからより多く分泌されることが示されている。
さらに、AAA内のマクロファージにレジスチンが存在することが確かめられており、血管平滑筋や内皮細胞機能を修飾することが知れていることから、今後、レジスチンをターゲットとしたAAA治療へ発展する可能性も考えられる。
(自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣) http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=1225
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Golledge J et al. Circulation. 2007; 116: 2275-9.
神下雄吉 青のカーテンにハト 油彩30号http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s77859348?u=;artfolio11
The hormone resistin links obesity to diabetes
http://npg.nature.com/nature/journal/v409/n6818/abs/409307a0_ja.html
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