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冠動脈石灰化は治療効果の判断基準としては不十分
■冠動脈石灰化(CAC)の1年毎の進行は、心血管疾患(CVD)または慢性腎臓病における治療有効性の評価に用いるべきではない、と新規の研究レビューの著者らが結論付けている。
■「我々は、多くの臨床試験でそれが治療反応の測定基準として使用され続けていることを、見出した。それは完全に誤った方法のようである」と研究著者のうちの一人であるWilliam Beaumont Hospital(ミシガン州ロイヤルオーク)のDr. Peter A. McCulloughはロイターヘルスに語った。
■CTによって評価されたCACは、心血管リスクの予測に役立つかもしれないが、CACスコアの変化がアテローム硬化症の進行の有意義な指標であるかどうかは不明である、とDr. McCulloughは説明した。
同研究者およびDr. Kavitha M. Chinnaiyanは、調査のために、被験者2,612名を対象に、CVDと慢性腎臓病に対する治療有効性を評価するために研究者らが使用した、1年毎のCAC進行についての10件の試験を考察した。
■試験5件で、CVDを有するまたはリスクのある患者がスタチン系薬剤、降圧薬またはプラセボで治療を受けた。
残りの試験は慢性腎臓病患者で実施され、低リン食、セベラマー塩酸塩、カルシウムベースのリン吸着薬を含む治療法を考察していた。
8件の試験ではAgatston CACスコアを用いていたが、残り2件の試験では容積評価を用いていた。
■全ての試験でCACは1年のうちに15%~20%進行したが、CACの進行に対して「明らかで矛盾のない効果」がみられた治療は皆無であった、ということをDr. McCulloughとDr. Chinnaiyanは見出した。
■例えば、試験の中には、治療によってLDLコレステロールがはっきりと減少したものがあったが、CACの進行は変化しなかったものもあった。
セベラマー試験では、CACの進行は死亡率にともなって減少したようにみられたが、その後の試験でその結果を確認できず、最初のCACの研究結果は「偽りの情報」であった、とDr. McCulloughは述べた。
■「石灰化の過程そのものは、患者のプラーク破裂リスクに直接関連していない可能性がある」と著者らは記している。
実際、そのような破裂は石灰化のない部位で発症しやすい、とDr. McCulloughは指摘し、この過程が実際には保護的である可能性を示唆した。
■CACは、アテローム硬化症をスクリーニングする効果的な方法であり、「個人的な見解としては、中年期での単回の測定が妥当と思われる」と同研究者は補足した。しかし、連続測定値を用いて疾患の進行または治療有効性を評価するのは妥当とは言えない、と同研究者は述べた。
■本試験の付随論説にてUniformed Services University of the Health Sciences(メリーランド州ベテスダ)のDr. Patrick G. O'Malleyは、CACスクリーニングの臨床的有用性が確認できるまで、使用の中止を呼びかけている。
「公平に言えば、この技術には強力な論理と理論的根拠および見込みすらあるが、この分野で投資されるさらなるリソースは、最初にその臨床的効果を証明する大規模な無作為化臨床試験に費やされるべきである」
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=200912170039071
出典 ロイターヘルス 2009.12.15
版権 ロイター通信社
原文
Arch Intern Med 2009;169:2064-2070.
<関連サイト>
Coronary Calcium as a Predictor of Coronary Events in Four Racial or Ethnic Groups
N Engl J Med. Vol.358:1336-1345 Mar 2008
http://content.nejm.org/cgi/content/short/358/13/1336
Quantification of coronary artery calcium using ultrafast computed tomography
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/15/4/827?ijkey=88d9637b16e0a0048aa5d37e6bc50af4b8db431b&keytype2=tf_ipsecsha
Agatsonスコア:冠動脈のカルシウムスコアの測定
(第70回日本循環器学会総会セミナー)
http://www.nv-med.com/TOSHIBA/jcs2006/pdf/Rochitte.pdf
■MSCTではカルシウムスコア(石灰化指数)の測定も可能であり,Agatstonらが発表したスコアがよく使われてる。
■カルシウムスコアは,CTで描出された冠動脈病変部のピクセルごとのCT値の荷重加算によって算出される。
■通常,慢性期の冠動脈疾患患者の分類に用いられているが,GreenlandらはFramingham分類によるリスクスコアとカルシウムスコアとを組み合わせて,動脈硬化性・閉塞性冠動脈疾患と冠動脈イベント発症の関連についての報告を行っており,カルシウムスコアが300を超える患者においてはACS発症の危険性が高いと述べている。
■カルシウムスコアには,機能的な情報を供給できない点や,冠動脈疾患の既往がない患者・既往があっても側副血行路が形成されている患者については評価不可能かつ無意味なものである点,特異度・陽性反応的中率(positive predictive value:PPV)がともに低い点,性や人種,年齢などによる相違が大きく閾値が定めにくい点など,いくつかの,克服しがたい制約がある。
■カルシウムスコアとプラークの不安定性の関係については異論が多いことから,カルシウムスコアには定まった評価はないのが現状であると思われる。
冠動脈石灰化スコアと冠動脈イベント:民族・人種的差異は少ない
http://intmed.exblog.jp/6943161/
<番外編>
カテーテルアブレーション、心房細動に対し抗不整脈薬の代替療法となりうる
抗不整脈薬の効果が得られなかった発作性心房細動患者167名を対象に、高周波カテーテルアブレーション群と抗不整脈薬群に無作為に割り付け、有効性を比較。9カ月の評価で、抗不整脈薬群に比べカテーテルアブレーション群で再発が少なく、カテーテルアブレーションが発作性心房細動の代替療法となりうることが示唆された。
Comparison of Antiarrhythmic Drug Therapy and Radiofrequency Catheter Ablation in Patients With Paroxysmal Atrial Fibrillation
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/303/4/333
Wilber DJ et al. JAMA. 2010;303(4):333-340.
その他
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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があります。
ショッキングなタイトルに釣られて読んだ記事です。
多枝冠動脈疾患の内科的管理の長期予後は良くないということです。
この内科的管理の内容にインターベンションが含まれるのか、単なるmedicationのみを内科的管理というのか、そして多枝冠動脈疾患の具体的内訳はどうだったのかといった点が今一つ分かりませんでした。
内科的に管理されている多枝冠動脈疾患の長期予後は不良
■狭心症と多枝冠動脈疾患を有する患者では内科治療による長期予後は不良である、とAmerican Heart Journal誌12月号に報告されている。
■「実際には、虚血性心疾患患者の死亡率を低下させることが立証されている有効な治療法はほとんど存在しない」とCleveland Clinic Foundation(オハイオ州)のDr. Matthew A. Cavenderはロイターヘルスへの電子メールで述べた。
「我々の研究は、虚血性心疾患患者における予後不良を明らかにし、有効な治療法によって得られる可能性のある効果を示している」
■Dr. Cavenderらは、Duke Databank of Cardiovascular Diseaseを用いて多枝冠動脈疾患の患者2,776名の長期予後を評価した。
これらの患者は重度狭心症の評価のためにカテーテル法を受けたことがあるが、血行再建術は受けていなかった(検査後最大30日間)。
■「1年目では、11%が死亡し、14%が死亡したか非致死的な心筋梗塞(MI)を発症し、29%が心臓病棟に再入院し、10%が晩期の血行再建術を受けていた」と著者らは報告している。
「死亡、MI、晩期の血行再建術、または心臓病棟への再入院から成る複合イベントの1年発生率は38%であった」
■1年目の死亡の有意な独立予測因子は、高齢、内科的併存疾患の重症度、腎不全、冠動脈疾患、およびその他の因子であったのに対し、過去の冠動脈バイパス術は死亡、心臓病棟への再入院、および晩期の血行再建術に対する保護効果を示した。
■「5年目では、37%が死亡し、44%が死亡したか非致死的MIを発症し、61%が心臓病棟へ再入院し、27%が晩期の血行再建術を受けていた。死亡、MI、晩期の血行再建術、または心臓病棟への入院からなる複合イベントの5年発生率は76%であった」と同研究者らは続けた。
■「虚血性心疾患の罹患率と死亡率を抑制する試みを、冠動脈疾患の一次予防と共に始める必要がある」とDr. Cavenderは述べた。
「人々は自分の健康に責任を持ち、食事を改善し、運動を増やし、禁煙することによって予防手段を講じるべきである」
「診断が確立している虚血性心疾患患者においては、幹細胞療法が大きな希望を与えてくれる」とDr. Cavenderは補足した。
「Cleveland ClinicはNational Institutes of Health Cardiovascular Cell Therapy Research Networkに加盟しており、現在、患者本人の骨髄由来幹細胞を用いる試験への患者登録を進めている。安全性と有効性が共に立証されれば、細胞療法は虚血性心疾患患者に理想的な方法となるだろう」
Am Heart J 2009;158:933-940.
出典 ロイターヘルス 2009.12.15
版権 ロイター通信社
<コメント>
原著にあたっていないので内容がいまひとつ理解不能です。
消化不良ですいません。
勤務医の頃といってもはるか昔のことですが、今回の出典のAm Heart J とAm J of Cardialを個人的に定期購読していました。Circulationという雑誌もあったようですが、JACCは確かなかったようです。
現在はわかりませんが、当時のAm Heart J はわりと簡潔な内容で臨床志向だったように記憶しています。
現在もこの雑誌、あるんですね。
きっと読者数は減少しているものと思われます。
American Heart Journal - Home
http://www.ahjonline.com/

吉川龍 「緑に射す」 20F
http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2009/07/3_1.html
<きょうの一曲> モーツアルト ピアノソナタ 第7番
"III. Presto" from: Sonata No. 7 in A minor, K. 310. (Mozart)
Claudio Arrau plays Mozart (vaimusic.com)
http://www.youtube.com/watch?v=pRXdIfNPib4&feature=related
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心臓発作および冠動脈疾患の治療ガイドラインを改訂
心臓発作患者に対して最適な救急治療を実施するには、コミュニティー規模の協調した対応が必要であるとの研究報告が、「Journal of the American College of Cardiology」オンライン版11月18日号に掲載された。
本報告は、米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、心血管造影・インターベンション協会(SCAI)が共同作成した多数の新勧告のうちの一つ。
各勧告は最近の臨床研究レビューに基づいており、記録的な速さで完成したガイドラインは、医師が臨床実践に新知見を取り入れる際に役立つ。
その他の重要な勧告として、迅速な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が可能な病院へ患者を紹介するガイドラインや、最初に非PCI病院へ紹介された患者の管理に関するガイドラインなどがある。
一般的に、非PCI病院へ紹介された患者は血栓溶解薬投与を受け、その後観察される。
しかし、ハイリスク患者については、血栓溶解療法が有効かどうか確認を待つよりも、遅延することなくPCI施設へ移送すべきであるとガイドラインは述べている。
ガイドライン執筆グループ長で、米ノースカロライナ大学(チャペルヒル)のSidney C. Smith Jr.氏は、ステートメント内で「重点的なガイドライン改訂は、患者の利益になる新情報に対して速やかに対応する方法の一つである。
過去1年間の主要研究を調査し、最も有用な所見を既存のガイドラインに組み入れることができた」と述べている。
HealthDay News 2009.11.18
Copyright © 2009 ScoutNews, LLC. All rights reserved.
Abstract
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/full/j.jacc.2009.10.015
Full Text
http://content.onlinejacc.org/cgi/reprint/j.jacc.2009.10.015v1.pdf
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最近の「循環器専門医」誌に
光干渉断層法(OCT)からみた粥腫破裂
和歌山県立医大 循内 田中 篤、赤坂隆史
循環器専門医 vol.17 No.2 2009 P266~270
というタイトルの記事が載っていました。
第73回日循総会(大阪)「冠動脈イメージングの最前線」での発表が記事になったものです。
このモダリティーは最近保険収載されたとのことで今後大いに普及するものと予想されます。
先日、平山日大教授の講演会でも血管内視鏡とともに取り上げられていて感銘を受けました。
きょうはその論文を拾い読みしました。
■1991年にHuang らがex vivoで網膜と冠動脈の観察に成功。
■IVUSの10倍の約10μmという高い空間分解能をもつ。
■内膜、中膜、外膜の3層構造を観察でき、プラークの組織性状、繊維性被膜の厚みの測定も出来る。
■突然死例における病理学的検討から、大部分の破裂粥腫の繊維性被膜厚は65μm以下であったという報告がある。
そのため、大きなlipid poolに65μm以下の菲薄化した繊維性被膜を有する粥腫をthin-cap fibroatheroma(TCFA)と名付け、最もは裂しやすい危険な粥腫とされた。
以下は和歌山医大のサイトから引用させていただきました。
■IVUSは超音波の到達距離がある程度保たれるため、冠動脈壁構造を含めた全体像(血管リモデリングの評価や内径・外径の評価)や分枝の情報などを得るには優れている反面、分解能が低いために血管壁の組織性状などの詳細な質的診断には不向きな点がある。
■OCTの魅力は何よりも約10μmという高画像分解能にあり、この分解能はIVUSの10倍にも達している。
OCTにて冠動脈を観察すると、従来みることができなかった、内膜・中膜・外膜の3層像を観察できるだけでなく、プラークの性状、線維性被膜の径、プラークの内容などまで同定できるようになってきている。
冠動脈の正常像 A.OCT, B.IVUS, C.病理像(H-E染色)
69才、男性 不安定狭心症の症例(プラーク破裂部位)
出典;
OCT (Optical Coherence Tomography):光干渉断層法
http://www.wakayama-med.ac.jp/med/junnai/research_04.html
<参考サイト>
Vulnerable Plaque
http://blog.m3.com/reed/20091103/Vulnerable_Plaque
<関連サイト>
解剖学的評価としてのOCT
http://blog.m3.com/reed/20090314/_OCT
冠動脈狭窄病変の評価
http://blog.m3.com/reed/20090617/1
STELLIUM™留置例のOCT所見解析
http://blog.m3.com/reed/20090825/STELLIUM_OCT_
局所ブラーク破裂の形態
http://blog.m3.com/reed/20090130/1
血管内イメージングによるプラークの不安定性評価
http://blog.m3.com/reed/20080128/1
不安定プラークの診断
http://blog.m3.com/reed/20090724/1
TWINS試験とJAPAN-ACS
http://blog.m3.com/reed/20090709/TWINS_JAPAN-ACS_
Vulnerable Plaque
http://blog.m3.com/reed/20091103/Vulnerable_Plaque
OCTを用いた新しい冠動脈イメージング
http://www.sakakibara-hp.com/menu_ka/oct_cath/OCT_cath.htm
■IVUSの弱点として石灰化病変や血栓病変などがあげられます。
超音波は高度石灰化病変の場合、その奥の情報が分からないため、冠動脈の状態を評価するのが困難です。
■心筋梗塞や不安定狭心症の症例で、超音波では冠動脈内にあるのが血栓かプラーク(粥腫)なのかを判断困難な場合があります。
このような症例で近赤外線を使うOCTは石灰化病変を詳細に観察可能で、血栓の同定も容易である、という面でIVUSを上回る利用価値が考えられます。
■高い画像解像度を利用して薬剤溶出ステント治療後の微小新生内膜の評価、あるいは血管造影では正常に見える冠動脈で、将来的に急性心筋梗塞などを引き起こす可能性のある不安定なプラークの場所の発見といった面でもOCTは大きく役立つものと考えられ、病客の治療でもメリットがあるものと考えます。
■CTは画像分解能が高い反面、画像の深部到達度は数ミリ程度しかありません。
つまりカテーテルから離れた、血管の奥深い位置を観察するのは不向きと考えます。
■画像解像度が高いため、そのまま冠動脈内に留置して観察しようとすると血管内の血液(赤血球)に赤外線が乱反射してきれいな画像を得ることができません。
そのため、観察したい部位の近位部をバルーンで一時的に閉塞し、冠動脈内の血流を遮断した上で観察を行う必要があります。
OCT始めます!
http://tomochans.exblog.jp/8724327/
(画像も多く紹介されOCTが導入された喜びにあふれた内容です)
光干渉断層映像による冠動脈画像診断の有用性
http://www.jc-angiology.org/journal/meeting/abstract.php?mc=47&p=SY-3&no=3
■OCTが有用であったものとして,
(1)薬剤溶出性ステント内に慢性期に存在する薄い新生内膜の検出,その厚さの定量評価,
(2)冠動脈形成術後に生じた冠動脈解離やステントmalappositionの描出,
(3)冠動脈内血栓の同定,
(4)不安定プラークの同定,特にlipid coreを覆うfibrous capの厚さの測定,
(5)冠動脈石灰化部分の厚さの測定等
であった。
心臓カテーテル検査におけるOCT

http://www.naramed-u.ac.jp/~1int/kaigyou/c01.html
<きょうの一曲>
ザ・ルック・オブ・ラヴ / ダイアナ・クラール
http://www.youtube.com/watch?v=nMD__Q_VraM
<追記>
画像の容量の余裕がなくなり今後画像のアップが出来なくなってしまいました。
新しいブログを立てようとしましたが、m3.comでは不可能のようです。
どなたかお知恵を拝借できれば助かります。
Circulation 9月29日号に、Clinician Updateとして「Surgical Management of Ischemic Mitral Regurgitation」という総説が掲載されました。
また日本心臓病学会誌Vol.4 No.2 2009 J Cardiol Jpn Ed P130~162に
「私はこう考える 『虚血性僧房弁逆流:外科治療の適応は?』」
という特集が掲載されました。
きょうは「虚血性僧房弁逆流」の勉強をしました。
以下は日本心臓病学会誌からの抜粋です。
■虚血性僧房弁逆流は僧房弁に器質的病変が無く、僧房弁を支える弁下組織、特に乳頭筋と左室の異常が関与しそれらの原因が虚血によるものと定義づけられる。
■虚血性僧房弁逆流は虚血の治療だけでなく僧房弁逆流を来たした左室の治療が必要であり、その診断には、その原因としての左室機能低下に対する診断を常に含まなければならない。
■虚血性心疾患では、軽度の僧房弁逆流でも予後が悪いことを常に留意すべきである。
■虚血性僧房弁逆流は「弁膜症」の表現形を持った「心室疾患(心筋疾患)」であるため、基本的に心不全になりやすく、自然予後も悪い。
■キーポイントは前尖・後尖を含めたテント化の評価と克服といえる。
<関連サイト>
Clinician Update Surgical Management of Ischemic Mitral Regurgitation
Circulation. 2009;120:1287-1293
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/120/13/1287
■Pathophysiology of IMR
○The pathophysiology of IMR is complex.
○Acute and chronic myocardial ischemia set the stage for maladaptive left ventricular remodeling (with apical and posterior displacement of the papillary muscles), which in turn leads to altered left ventricular function and underlies the pathophysiology of IMR.
○Indeed, in as many as 19% of patients who experience an acute MI, IMR then develops.
○The remodeling of the left ventricle further results in subvalvular apparatus dysfunction with leaflet tethering caused by papillary muscle displacement and also results in loss of mitral annular contraction with annular dilatation.
○As leaflet tethering occurs, the leaflets fail to coapt during systole and on echocardiographic examination are usually found to have restricted motion resulting in Carpentier type IIIb mitral regurgitation.
○As mitral annular dilatation secondary to left ventricular enlargement occurs, the leaflets also fail to coapt centrally, resulting in Carpentier type I mitral regurgitation.
○These changes ultimately lead to what is known as functional mitral regurgitation.
○Mitral regurgitation, in turn, leads to left ventricular volume overload and exacerbates maladaptive left ventricular dilatation, completing the vicious circle of IMR and left ventricular remodeling.
○The majority of patients with IMR have functional MR with structurally normal mitral leaflets and subvalvular apparatus. ○The remaining patients with IMR have "structural" MR with either papillary muscle rupture or papillary muscle infarction with an intact papillary muscle, each requiring differing surgical repair techniques.
○ Papillary muscle rupture portends a superior survival compared with either functional IMR or IMR resulting from papillary muscle infarction.
(注 portend;〜を予告する)
(私のコメント;”papillary muscle rupture ”と” papillary muscle infarction”の分類が今一つ理解出来ません。前者はどうやら予後がよいようですが、結局は手術予後がよいということなのでしょうか。)
■Prognosis of IMR
○With the exception of IMR secondary to papillary muscle rupture, the survival of patients with IMR is significantly worse than in patients with MR from most other causes.
(私のコメント;”IMR secondary to papillary muscle rupture”は日本語では”乳頭筋断裂に合併する虚血性僧房弁逆流”ということになります。これは”虚血性乳頭筋断裂に合併する僧房弁逆流”ではないのでしょうか。)
○Without correction, IMR results in reduced long-term survival even after revascularization.
■Surgical Intervention for IMR
略
(原文を参照下さい)
<コメント>
乳頭筋断裂
http://202.244.210.69/HD/disease/D241.HTML
によれば
「乳頭筋断裂の原因として最も多いのは心筋梗塞(myocardial infarction)であり,このほか感染性心内膜炎,壊死性血管周囲炎,胸部外傷などが挙げられる。」
ということです。
この論文でいうところの乳頭筋断裂(papillary muscle rupture)は乳頭筋梗塞(papillary muscle infarction )の結果起こるわけでしょうから両者を分けて考えることがよく理解出来ません。
ひょっとしてpapillary muscle infarctionというのはpapillary muscle infarction without ruptureつまりpapillary muscle dysfunctionということなんでしょうか。
乳頭筋断裂右冠動脈 (RCA) 梗塞の下壁梗塞に生じることが多いということになっています。
左室心筋のダメージは少ないように感じてしまいますが、そのあたりはどうなんでしょうか。
虚血性僧帽弁閉鎖不全症専用の人工弁輪「IMR ETlogixリング」新発売
http://www.edwards.com/jp/newsroom/jnr20090806.htm
虚血性僧帽弁閉鎖不全症 IMR
http://www.masashikomeda.com/web/2009/03/8-8245.html
■単にバイパス手術するだけでは心不全が治らず、少し元気になって退院してもまた悪くなり入院するなどを繰り返す難病です。
■心筋梗塞や虚血のため、左室の形がゆがんで起こる「左室の病気」ですので、僧帽弁だけでなく、できるだけ「左室を治す」ことを中心に治療を進めます。
■冠動脈バイパス手術で左室が回復する場合は冠動脈バイパス手術単独あるいは僧帽弁形成術を併用し、それらだけでは左室が改善しない場合は左室形成手術を行って心臓の回復を図ります。
虚血性僧帽弁閉鎖不全症ではどのように僧帽弁形成手術を行うのですか?
http://www.masashikomeda.com/web/2009/03/2-d508.html
■僧帽弁閉鎖不全症の中でも虚血性僧帽弁閉鎖不全症は最も形成が難しく予後が悪いといわれています。
とくに弁が強く「テント化」(左心室側に牽引される)の著明なケースは弁形成手術が難しいといわれています。
腱索転位術(トランスロケーション法)
http://www.masashikomeda.com/web/2009/03/2-b-57ab.html
どんな場合に僧帽弁置換術を?
http://www.masashikomeda.com/web/2009/03/2-5f95.html
手術事例:左室形成不要な虚血性僧帽弁閉鎖不全症
http://www.masashikomeda.com/web/2009/01/mr-3ff3.html
手術事例 腱索「転移」(トランスロケーション)術
http://www.masashikomeda.com/web/2007/11/post_6550.html
手術事例 心筋梗塞で乳頭筋断裂した僧帽弁閉鎖不全症への弁置換術
http://www.masashikomeda.com/web/2007/11/post_45c3.html
[PDF] 米国における心臓内科・心臓外科治療の最前線
http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol32/04/jsms32_095_096.pdf
■拡張型心筋症(DCM)や虚血性心筋症(ICM)に起因する僧帽弁逆流(MR)は左室拡張による①乳頭筋距離の拡大,②僧房弁の歪み,③弁輪拡大などの要因が複雑に絡み合って弁接合不全を来しているが,生命予後にMRは大きな影響を与え,有意なMR診断後の
12 ヶ月死亡率は40~70%に上るとされている。
■MRに対して,僧帽弁形成(MVP)や弁置換(MVR)は左室容量負荷を軽減し,左室拡張末期圧を低下させ,左室stroke volumeを増加させ,心拍出量を増加させる。
■虚血性MRの治療成績は,世界的には手術死亡率10~20%と報告されている。
■どの症例をMVPとしMVRとするかについてはなお議論の余地があるが,遠隔期成績から見た場合,2度以上の残存MRを見た場合の予後が極端に不良であることから,塩田助教授は術中経食道心エコー図(TEE)で有意な残存MRを検出した場合,躊躇せずにMVRを実施する方針を採っている。
<きょうの一曲>
卒業写真/ 山本潤子(ソングフォーメモリーズ)
http://www.youtube.com/watch?v=OWi5pSQwLyY&feature=SeriesPlayList&p=96A8A6A3DCA5A449

ビュッフェ アネモネ 油彩 6号
http://www.suiha.co.jp/cms/work.cgi?
ano=1150961630&wno=1253850991
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(内科医向き)
があります。
大阪けいさつ病院心臓センター循環器科の平山篤志部長への取材記事で勉強しました。
最近平山先生のご講演を拝聴する機会がありました。
関西人特有のユーモアを交えたすばらしい講演でした。
途中からエンジン全開の状態で「立て板に水」状態でした。
講演の最初に日本人の死因別のスライドを提示され、循環器医師がかかわる疾患はこれらの死因の3分の1であることを述べられました。
内科医の中で循環器科医の割合がまだまだ少なく進路を決めかねている研修医は是非とも循環器科を目指して欲しいという言葉が印象的でした。
そういえば同じような話は糖尿病や腎臓病の別の講演でも聴いた覚えがあります。
現在は日大循環器内科教授に転任されています。
冠動脈内の黄色プラーク数で
急性冠症候群の高リスク症例を検出
■近年,急性冠症候群(ACS)の原因が冠動脈内の黄色プラークの破綻とそれに続く血栓形成であることがわかってきた。
一方,ACSは冠動脈狭窄度が軽度の部位でも発症することが判明し,ACS発症予防の鍵は狭窄度ではなく,黄色プラークであることが注目され,その検出と評価が課題となっている。
破綻するプラークの同定は困難
■ACSの責任病変における黄色プラークの存在を疾患別に調べると,急性心筋梗塞(AMI)で93%,不安定狭心症では95%と高頻度であったのに対し,梗塞の既往がない労作性狭心症では47%と有意に少なかった。
このことから,破綻するプラークは黄色調を帯びていると考えられた。
■AMIの多くは冠動脈狭窄度の軽度な部位で起こることから,軽度狭窄例を調べると,狭窄率50%以下の部位の96%に黄色プラークが認められた。
■線維性被膜が厚く脂質コアの小さなプラークは白く観察され,脂質コアが大きくなり線維性被膜が薄くなるに従い黄色調が強くなったことから,黄色が濃くなると破綻する可能性が高いと考えられた。
■黄色プラークが破綻し血栓が形成されても血管を閉塞するには至らない,いわゆるsilent plaque ruptureが,AMI例で起こっている頻度が高い。
しかし,症状が現れないためプラークが破綻したことを検証することはできない。
■プラークが大きくても線維性皮膜が厚ければ破れない,逆に大きさはわからなくても線維性被膜が薄いとプラークが大きくなるに従い黄色調が強く見え,破綻しやすいと考えられる。
しかし,破綻しても血管を閉塞しなければイベントは起こらない。
したがって,黄色プラークはすべてが不安定プラークではなく,不安定になりうる素質があるプラークと言える
非責任血管にも多数存在
■AMI回復期の連続20例の冠動脈を血管内視鏡で観察したところ,黄色プラークが責任血管だけでなく,非責任血管の95%にも存在することが認められた。
(私のコメント;責任血管は氷山の一角である。他にも将来の責任病変になりうる候補があることを念頭におくべきである)
■責任血管と非責任血管に存在する黄色プラーク数に差はなく,非責任血管でも動脈硬化が進んでいることが示唆された。
■冠危険因子が単一の場合,黄色プラーク数は特に多いわけではないが,冠危険因子が重積すると,つまり動脈硬化が進むと,黄色プラーク数は多くなった。
(多重因子ほどイベントが多いというフラミンガム・スタディの報告も考え合わせると,黄色プラーク数が多い人はイベントも多いことが示唆される)
2個以上でイベント発生リスク2.2倍
■ACS発症群と非発症群で高血圧,高脂血症,糖尿病および喫煙習慣の比率に差はなかったが,多枝病変の比率は発症群のほうが高かった。
■黄色プラーク数はACS発症群のほうが多く(図1,2),血管当たりの黄色プラーク数が2個以上存在する群のACSイベント発生リスクは,0 または 1 個存在する群の2.2倍(図 3 ),5 個以上存在する群では3.8倍にものぼった。
(私のコメント;当然のことだが黄色プラーク数が多いほどACS発症のリスクが高いということ)



■黄色プラークの色調はACSイベントの発生の有無で有意差は見られなかった。
(私のコメント;色調は被膜の厚さと関係するとすると被膜の厚さと破綻性は関係ないということになってしまいそう。ひいては薄いから脆弱性が大きいといえないということかも知れない。プラーク自体の色調の差と被膜の透過性との間にキャンセリングがある場合もあるかも知れない)
■多変量解析の結果,黄色プラークの数と多枝病変がACSイベントの独立した危険因子として抽出された。
■従来の冠危険因子が抽出されなかった理由として,リスクを有する集団を対象としていること,黄色プラークは高コレステロール血症や高血糖などの結果として発生しているため,従来の冠危険因子を含んでいると捉えることができるという。
全血管疾患として治療すべき
■これまで心筋梗塞は局所の疾患と言われていたが,今や局所だけでなく,全身の非常に多くの部位から起こりうることから,全血管的な疾患と捉え,全身的な治療を行う必要がある
出典 Medical Tribune 2006.8.24
版権 メディカル・トリビューン社
<関連図書>
Vulnerable plaqueとは何か?
大藪丈太・平山篤志
medicina vol.42 no.13 2005-12 P2095~2097
■ACSの多くは狭窄度50%未満の病変から発生し、原因となるプラークは冠動脈造影では同定できない。
■Vulnerable plaqueは形態的には薄い繊維性被膜に覆われた大きな脂質核を持ち、プラーク内にはマクロファージだけでなくT細胞などの炎症細胞による炎症反応が認められること、またマクロファージが産生する組織因子が豊富に存在することが明らかにされている。
■責任病変は血管リモデリングにより、大きな脂質核を有しながら内腔面積は保たれているため、ACS発症前の冠動脈造影は決して高度狭窄ではなく、冠動脈造影によるACSの発症の予測は困難である。
(私のコメント;冠動脈造影の限界が述べられています。今回の講演会でも平山先生が強調されていたところです)
<コメント>
皮膜、被膜のどちらが正しいのでしょうか。
脂質核ってなんだろうと考えていたらlipid coreのことだったんですね。
■血管内視鏡
径0.75mmの管に6000本のイメージ用光ファイバーが入ったもので、冠動脈病変を生体内にてリアルタイムで肉眼的に観察可能である。
■評価法があくまでも肉眼的主観に頼り定量的な評価が難しい。
現在、黄色プラークのデジタル画像の色座標を用いた定量化が検討されている。
<関連サイト>
Detection and Treatment of Vulnerable Plaque : The role of Nuclear Cardiology
http://www.jsnc.org/sho6/08k.htm
Clinical Frontiers in Atherosclerosis Research: Therapeutic Targets for the Treatment of Atherothrombosis in the New Millennium
http://www.j-circ.or.jp/english/sessions/reports/66th-ss/fuster.htm
Detection and Treatment of Vulnerable Patients
http://www.j-circ.or.jp/english/sessions/reports/71st/joint_acc.htm
循環器疾患版 最新のIVUS技術で血管壁の組織性状を捉える
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=vulnerable+plaque&perpage=0&order=0&page=0&id=M3744531&year=2004&type=allround
冠動脈プラークの退縮と薬物療法
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=vulnerable+plaque&perpage=0&order=0&page=0&id=M41110301&year=2008&type=allround
ACS: Prevention to Treatment
http://www.j-circ.or.jp/english/sessions/reports/68th-ss/ps01.htm
OCT 症例検討会 in 豊橋 [学会、研究会、研修]
http://yangt3.blog.so-net.ne.jp/2009-10-04
血管内OCTイメージワイヤー
血管内OCTイメージングシステム
http://www.jaame.or.jp/kanren/sin_iryo/H19/70928goo.html
<自遊時間>
美人な演奏者(ピアニストやバイオリニストなど)を教えて下さい
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1317516048
アンネ・ゾフィー・ムター
http://takoyakiongaku.blog.so-net.ne.jp/2008-05-21-2

http://artists.pia.jp/pia/artists.do?artistsCd=47200018

http://cinematicroom.com/asin/B000STC5SI/
http://ameblo.jp/drug-city/entry-10115280654.html#main
タイスの瞑想曲
http://www.youtube.com/watch?v=VCewjgRZndg
Anne-Sophie Mutter plays Beethoven Violin Concerto in D Major 6/6.
http://www.youtube.com/watch?v=SvEdtyHhvDs
Anne-Sophie Mutter / Mendelssohn : Violin Concerto(Masur/Gewandhaus)1st Mov-2
http://video.tiscali.it/canali/truveo/2110775502.html
Anne-Sophie Mutter - Bach: Partita in D minor / Sarabande
http://www.youtube.com/watch?v=eTCT8dMLr4w&feature=related
Anne-Sophie Mutter - Air aus der Suite Nr. 3 von Johann Sebastian Bach 2008
http://www.youtube.com/watch?v=sOOgqZdztGY&feature=related
THE RECORDING OF TANGO, SONG AND DANCE
http://www.youtube.com/watch?v=GQqqIsRzJd0&feature=related
Anne-Sophie Mutter talks about Bach & Gubaidulina
http://www.youtube.com/watch?v=HC0MsMrltwU&feature=fvw
Anne-Sophie Mutter - Mozart Violin Concerto No. 5 (K. 219) 1st movement
http://www.youtube.com/watch?v=0K2N2LQVIjg&feature=related
Beethoven violin sonata in G major_ I. Allegro assai
http://www.youtube.com/watch?v=uNDkT4M8GAs&feature=related
Beethoven violin sonata in G major_ II. Tempo di Minuetto
http://www.youtube.com/watch?v=_us3kYK0RPY&feature=related
Beethoven violin sonata in G major_ III. Allegro vivace
http://www.youtube.com/watch?v=ONQb8BEz1wE&feature=related
Beethoven.Violin.Sonata.No.4.op.23 1st Mov.[Anne-Sophie.Mutt
http://www.youtube.com/watch?v=vL5jgHZLaYk&feature=related
Beethoven.Violin.Sonata.No.4.op.23 2nd Mov.[Anne-Sophie.Mutt
http://www.youtube.com/watch?v=kTaIwp3y0as&feature=related
Mozart Piano Trio in E major K. 542. Allegro
http://www.youtube.com/watch?v=0sMtFQIVQuA&feature=related
Beethoven.Violin.Sonata.No.4.op.23 3rd Mov.[Anne-Sophie.Mutt
http://www.youtube.com/watch?v=AkL8WculPVw&feature=related
Beethoven.Violin.Sonata.No.4.op.23 1st Mov.[Anne-Sophie.Mutt
http://www.youtube.com/watch?v=vL5jgHZLaYk&feature=related
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
当院のような無床診療所は大学病院と違って原則的に予約診療は行っていません。
逆に1〜3か月後の予約診療に患者さんがよく納得するなと感じてしまいます。
これは大病院と診療所の権威(?)の差と思っています。
診療所では検査をお願いする(?)のも院長は平身低頭です。
「最近健診をやったから結構です」と頭ごなしにいわれるのも日常茶飯事です。
自然と卑屈になっていきます。
きちんと服薬してもらえるケースはむしろ稀です。
「きょうはあれとあれは余っているから要りません」
数週間遅れて来院される患者さんの弁はきまって「きちんと飲んでいたのにおかしいですね」
小学生でもわかる算数なのですが、こちらもそれ以上は追求せずに黙って処方日数の調整をしてしまいます。
「あれとあれは○○分。これは△分ですね」
こういったことを繰り返すうちに気づいたら私と患者の立場は逆転し、隷属状態になっている自分に気づくというわけです。
患者さんはきちんと服薬しているという前提で診療をしているわけですが、この前提が間違っているわけですから真っ当な外来診療が出来ているわけがありません。
少し古い記事ですが、こんな私には大いに参考になりました。
CAD患者の服薬コンプライアンスは悪い
半数が延命効果のある薬剤服用を中止
デューク大学(ノースカロライナ州ダーラム)のKristin Newby准教授らは7年にわたる研究を行い,冠動脈疾患(CAD)患者の約半数は延命効果のあるβ遮断薬,抗高脂血症薬などの薬剤を継続して服用していないとする研究結果をCirculation(2006; 113: 203-212)に発表した。
#持続的服用率改善の努力を
近年,入院患者に対して退院時に適正な予防薬を処方することに焦点が当てられてきた。
しかし,Newby准教授は「これらの薬剤の長期にわたる持続的な服用による改善効果にも注意が向けられなければならない」としている。
同准教授らは,有病率の変化とエビデンスに基づく二次予防薬剤の服用とその一貫性の変化を調査した。
その結果,1995〜2002年にCAD患者に対する延命効果が証明されている治療薬の服用状況が改善したことが判明した。
しかし,服用状況は最善とは言えず,これらの薬剤を服用しないと生存率が低下するにもかかわらず,コンプライアンスは低かった。
同准教授らは心血管疾患を扱うデュークデータバンクを利用して,デューク大学で心臓への処置を受け,50%以上閉塞した冠動脈を1 枝以上持つ患者,または冠動脈バイパス術を受けた患者 3 万1,750例の服薬コンプライアンスを分析した。
毎年の調査で,全例がアスピリン,β遮断薬,抗高脂血症薬の服用状況を報告し,研究期間中に 2 回以上連続して調査書の記入を依頼された。
「持続的服用」とは 2 回以上連続した調査で薬剤の服用を報告し,研究期間終了まで服用を報告し続けることと定義された。
ACE阻害薬の服用に関しては心不全の既往の有無別に報告された。それぞれの薬剤と複数の薬剤の服用は毎年増加した。2002年までに,患者の
(1)83%がアスピリン
(2)61%がβ遮断薬
(3)63%が抗高脂血症薬
(4)54%がアスピリンとβ遮断薬(5)39%がこれら 3 種類の薬剤すべて
−を服用していると報告した。
しかし,研究期間中の継続的服用は低いことが判明した。
患者の
(1)71%がアスピリン
(2)46%がβ遮断薬
(3)44%が抗高脂血症薬
(4)36%がアスピリンとβ遮断薬
(5)21%が 3 種類すべて
−を継続して服用した。
心不全の既往がない患者のうち,39%は2002年にACE阻害薬を服用していると報告したが,継続的な服用は20%だった。
心不全の既往がある患者のうち,同薬服用は同年に51%で,継続的な服用は39%だった。
#高リスク患者が継続していない
これらの治療法のいずれであっても継続的に服用していれば生存率の上昇に関連していた。
しかし,ACE阻害薬を服用していても心不全の既往のない患者にはこの関連は見られなかった。
高齢患者,心不全患者,喫煙者,糖尿病患者は薬剤服用を継続する傾向が非常に低かった。
Newby准教授は「これらの患者群はアウトカムが悪いというリスクが最も高く,そのため治療を継続することで便益が得られる可能性が最も高い患者群とも言える」と指摘。対策として,薬剤師や医療従事者を通じてコンプライアンスに関する教育的なインターベンションプログラムを行うことを提案している。
また,患者の大部分はノースカロライナ州とバージニア州南部から来ているため,全米の人口を代表するものではない可能性があるという。
同准教授は「CAD患者とその家族および医療従事者は臨床上のアウトカムを改善する療法に精通し,薬剤を定期的に服用する重要性を理解すべきで,薬剤の確実な処方と服用に加え,CADの長期にわたる管理を通じて継続的に服用させなければならない」としている。
研究者,臨床医,看護師,薬剤師,政策立案者,患者と家族から成るチームはエビデンスに基づく二次予防療法を改善し,長期にわたる継続を徹底する解決策を探り続けるべきであると結論付けている。
出典 Medical Tribune 2006.3.23
版権 メディカル・トリビューン社
<きょうの一曲>
Procol Harum - A Whiter Shade Of Pale
http://www.youtube.com/watch?v=p8jJ1ORIOes&feature=channel
その他
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
最近、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 循環器内科学 佐田政隆教授の「動脈硬化の新知見」という特別講演を聴く機会がありました。
メインテーマは「心臓と脂肪」でした。
以前、東北大学の下川教授からpericardial fatについてのお話を聴く機会があったので、非常に興味深く聴くことが出来ました。
有名な「Rossの仮説」が、動脈硬化が血管内膜にある平滑筋細胞の増殖によるという内膜側からのアプローチに対して、心外膜側周囲脂肪やvaso vasorumを含めた冠動脈の血管周囲脂肪にも動脈硬化の発生・進展を考えるものです。
まさにコペルニクス的転回といえます。
以下、関連するサイトを探してみました。
Epicardial Adipose Tissue: Anatomic, Biomolecular and Clinical Relation to the Heart
http://www.medscape.com/viewarticle/513456
#Summary and Introduction
#Summary
A growing amount of evidence suggests that regional fat distribution plays an important part in the development of an unfavorable metabolic and cardiovascular risk profile.
Epicardial fat is a metabolically active organ that generates various bioactive molecules, which might significantly affect cardiac function.
This small, visceral fat depot is now recognized as a rich source of free fatty acids and a number of bioactive molecules, such as adiponectin, resistin and inflammatory cytokines, which could affect the coronary artery response.
The observed increases in concentrations of inflammatory factors in patients who have undergone coronary artery bypass grafting remain to be confirmed in healthy individuals. Furthermore, epicardial adipose mass might reflect intra-abdominal visceral fat.
Therefore, we propose that echocardiographic assessment of this tissue could serve as a reliable marker of visceral adiposity.
Epicardial adipose tissue is also clinically related to left ventricular mass and other features of the metabolic syndrome, such as concentrations of LDL cholesterol, fasting insulin and adiponectin, and arterial blood pressure.
Echocardiographic assessment of epicardial fat could be a simple and practical tool for cardiovascular risk stratification in clinical practice and research.
#Introduction
A growing body of evidence suggests that regional fat distribution plays an important part in the development of an unfavorable metabolic and cardiovascular risk profile.
Thus, the increased accumulation of visceral fat is now widely seen as a defining characteristic of the so-called metabolic syndrome.
The recognition that adipose tissue is a highly complex endocrine organ that generates various molecules with profound local and systemic effects has spawned a remarkable interest in adipose-tissue research.
Despite their similar qualitative properties, different types of adipose tissue, particularly subcutaneous and visceral adipose depots, are now recognized as having distinct quantitative characteristics.
While much of the interest has focused on the importance of intra-abdominal visceral fat, some extra-abdominal visceral fat depots, including mediastinal and epicardial fat, have also been studied.
#Echocardiographic Epicardial Fat Thickness and Coronary Artery Disease
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006272143
Background
The association between epicardial fat and coronary artery disease has not been evaluated.
The objective of the present study was to evaluate the relationship of echocardiographic epicardial fat to the presence and severity of coronary artery disease in a clinical setting.
Methods and Results
略
Conclusions
Epicardial fat thickness was significantly correlated with the severity of coronary artery disease in patients with known coronary artery disease.
<コメント>
単にEpicardial fat thicknes↑ 〜 MetS ~ CADということだけかも知れません。
抄録で見る限り男女の比較や肥満のタイプ(洋梨型、りんご型)、BMIとEpicardial fat thicknesの相関などについては検討されていないようです。
#Epicardial Fat and Weight Loss
http://ch-weightwisemd.blogspot.com/2008/07/epicardial-fat-and-weight-loss.html
■Increased visceral fat or "ectopic" fat deposition is associated with insulin resistance and increased cardiovascular risk.
■Traditionally, the term visceral fat has been used to describe the omental and mesenteric fat located inside the abdomen.
■Over the last several years, this concept has been expanded to include other "ectopic" fat depots including the liver and the heart.
■Recognition that the fat located around the heart can be a marker of visceral fat was pioneered by Gianluca Iacobellis, who joined me as a clinical research fellow a few years ago at McMaster University and has since been recruited to their faculty.
■Based on this finding, we suggest that measurement of echocardiographic epicardial fat thickness may provide an additional tool in understanding the metabolic risk associated with variation in fat distribution.
■Perhaps, more importantly, echocardiographic measurement of epicardial fat can serve as a simple and relatively inexpensive tool to assess changes in visceral fat with weight loss (or gain) in clinical practice.
#Fat cells around coronary arteries may play a role in heart disease
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2006-04/foas-fca040306.php
The fat cells that surround coronary arteries may play a central and previously unrecognized role in development of cardiovascular disease, according to a study by University of Iowa researchers.
Dr. Lynn Stoll presented the research team's findings on April 4 at Experimental Biology 2006 in San Francisco. Her presentation was part of the scientific program of the American Society of Investigative Pathology.
Once thought of as mere storage depots for excess energy, fat cells ("adipocytes") are now known to be highly active metabolically, releasing potent pro-inflammatory proteins and hormones that regulate inflammation, blood pressure, insulin activity, and other biological processes. Where fat cells are located has a major influence on their impact, as seen in the fact that visceral fat surrounding the internal organs ("apple" body shape) is far more highly correlated with development of diabetes and cardiovascular disease than subcutaneous fat in the thighs and buttocks (pear" body shape).
One area of adipose tissue that has received little attention is the perivascular adipose tissue that envelops most large blood vessels in humans. The function of these fat cells is largely unknown, but the fact that the coronary arteries are embedded in fat tissue led the Iowa researchers to believe that these fat cells have a direct role in the pathogenesis of the atherosclerosis to which these arteries are so highly susceptible.
The research team, led by Dr. Stoll and senior investigator Dr. Neal Weintraub, isolated and cultured adipocytes from the fat tissue surrounding human coronary arteries and, for comparison, cells from other fat tissue including subcutaneous fat. Their experiments showed three important differences in how the fat cells from around the coronary arteries (the epicardial adipocytes) function compared to fat from other areas of the body:
The epicardial adipocytes release greater amounts of harmful, inflammation-producing cytokines in response to certain stimuli.
Epicardial adipocytes (but not adipocytes from subcutaneous or renal fat) strongly induce coronary artery endothelial cells to form elongated, branching structures indicative of blood vessel formation (angiogenesis).
When exposed to hypoxia, epicardial adipocytes produce larger amounts of vascular endothelial growth factor (VEGF), a peptide that stimulates angiogenesis.
Since epicardial fat tissue receives its blood supply directly from the adjacent coronary artery through the vasa vasorum, a network of tiny blood vessels near the outer surface of the heart, the Iowa team's results suggest that coronary artery blockages may lead to oxygen deprivation (ischemia) in the surrounding adipose tissue, which could contribute locally to vascular inflammation. At the same time, epicardial adipocytes could act as a sensor for local ischemia, serving as a powerful stimulator of angiogenesis and resulting in proliferation of the vasa vasorum, which has been suggested to contribute to coronary artery disease by causing intraplaque hemorrhage and accumulation of cholesterol from red blood cell membranes.
The fat cells surrounding coronary arteries may ultimately prove to be an important link between obesity, type II diabetes, and coronary artery disease, all of which are increasing at epidemic rates in the U.S. and throughout the world, says Dr. Stoll. A better understanding of how epicardial adipocytes sense and respond to inflammation and ischemia could lead to new, rationally designed therapies for heart disease.
Epicardial fat: properties, function and relationship to obesity
http://www.ingentaconnect.com/content/bsc/obr/2007/00000008/00000003/art00007
Epicardial fat is a relatively neglected component of the heart. The purpose of this review was to examine the anatomic and biochemical data on epicardial fat; to examine the relationship of epicardial fat to obesity and to explore the potential role of epicardial fat in the relationship of obesity to coronary atherothrombotic disease. Epicardial fat covers 80% of the heart's surface and constitutes 20% of total heart weight. It is present along the distribution of the coronary arteries, over the right ventricle especially along the right border, anterior surface and at the apex. There is three- to fourfold more epicardial fat associated with the right than the left ventricle. Putative physiologic functions of epicardial fat are based on observational data and include: buffering coronary arteries against the torsion induced by the arterial pulse wave and cardiac contraction, facilitating coronary artery remodelling, regulating fatty acid homeostasis in the coronary microcirculation and providing fatty acids to cardiac muscle as a local energy source in times of high demand. A considerable amount of the data on epicardial fat originates from autopsy series that have the inherent problem that conditions leading to death may have altered body composition and adiposity. With this caveat, data indicate that epicardial fat mass increases age until age 20-40 years but thereafter the amount of epicardial fat is not dependent on age. The amount of epicardial fat correlates with heart weight but the presence of myocardial ischemia and hypertrophy does not alter the ratio of epicardial fat to cardiac muscle mass. A number of properties differentiate epicardial fat from other fat depots specifically its smaller adipocytes size; different fatty acid composition, high protein content; high rates of fatty acid incorporation, fatty acid synthesis, insulin-induced lipogenesis or fatty acid breakdown; low rates of glucose utilization, low expression (mRNA) of lipoprotein lipase, stearoyl-CoA desaturase and acetyl-CoA carboxylase-α, and slow regression during weight loss. There is a significant direct relationship between the amount of epicardial fat and general body adiposity. Clinical imaging studies have demonstrated a strong direct correlation between epicardial fat and abdominal visceral adiposity. Several lines of evidence support a role for epicardial fat in the pathogenesis of coronary artery disease, namely the close anatomic relationship between epicardial fat and coronary arteries; the positive correlation between the amount of epicardial fat and the presence of coronary atherosclerosis and the ability of adipose tissue to secrete hormones and cytokines that modulate coronary artery atherothrombosis. Thus, epicardial fat maybe an important factor responsible for cardiovascular disease in obesity.
##第18回欧州高血圧学会&第22回国際高血圧学会
(2008.6.14〜6.19 Berlin Germany)
インスリン抵抗性の肥満患者
#血管周囲脂肪組織による細動脈の抗収縮効果が低下
インスリン抵抗性の肥満患者では、血管周囲脂肪組織による細動脈の抗収縮効果が低下していることが分かった。
健常人と肥満患者らを対象に調査した結果、明らかになったもので、英国Manchester大のA.S. Greenstein氏らが6月18日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで発表した。
健康人では、血管周囲の脂肪組織が細動脈の抗収縮効果を発揮することが知られている。
演者らは、肥満患者ではこの抗収縮効果が減退しているのではないかと考え、今回の調査を行った。
対象は、健常人9人とインスリン抵抗性を持つが2型糖尿病ではない患者8人。
臀部脂肪の生検を行い、筋運動記録針を用いて抵抗動脈を調べた。
遠位部分の動脈からは外膜周囲組織を除去する一方で、近位部分では血管周囲脂肪組織をそのままに残した。
動脈生存能は60mmolカリウムで確保し、両部位のノルアドレナリンに対する反応性を調べた。
なお、細動脈の収縮性は、カリウムが豊富な溶液で誘発される収縮をカウントした。合わせて内皮機能も測定した。
測定の結果、肥満患者は健常人に対して体格指数(BMI、34.4±1.3対25.6±1.3、p<0.001)、腰囲(111±2.8対91.1±3.5、p<0.001)、グルコース値(6.0±0.2対4.8±0.1、p<0.001)の数値が、それぞれ有意に大きかった。
一方、HOMAS値(41±5.9対124±18.6、p<0.001)とHDL(1.1±0.1対1.5±0.1、p=0.025)は有意に低く、LDH、中性脂肪および収縮期血圧や拡張期血圧については有意差はなかった。
解析の結果、血管内皮の抗収縮機能は、健常人に対して肥満患者で有意に低下していることが確認できた。
演者らは「インスリン抵抗性の肥満患者では、血管内皮機能障害に加えて、血管周囲脂肪組織の抗収縮能が失われていた」と結論。
血管周囲脂肪組織が病態に深くかかわっていることを示すことができたと指摘した。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/esh2008/200806/506929.html
出典 NM online 2008. 6. 19(日経メディカル別冊)
版権 日経BP社
##心臓周囲の脂肪が心筋梗塞リスクを上昇
ウェイクフォレスト大学バプテスト医療センター(WFUBMC,ウィンストンセーラム)老年学のJingzhong Ding助教授らが「心筋梗塞リスクという点では,心臓周囲脂肪(pericardial fat)の過剰な蓄積はBMI高値やウエスト周囲径の増大よりも重要だ」とObesity(2008; 16: 1914-1919)に発表した。
#最も多い群では冠動脈石灰化プラーク率約5倍
今回の試験は,心臓周囲脂肪と呼ばれる心臓周囲の脂肪蓄積と動脈石灰化プラークの生成との間に関連性があるか否かについて検討した初めてのものである。
石灰化プラーク自体に危険性はないが,心筋梗塞や脳卒中を招く不安定なソフトプラークの存在と関連している。
Ding助教授は「心筋梗塞リスク評価において,体脂肪の分布は体脂肪の量と同じくらい重要かもしれない。やせている人でも心臓周囲に脂肪が蓄積している場合がある」と述べている。
同助教授らは,全米で6,800例が参加したMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)のデータを調べ,冠動脈周囲の脂肪が炎症および血管内のアテローム病巣増加を惹起するという仮説を検証した。
エネルギーの貯蔵場所という役割に加え,脂肪は代謝や健康に影響を及ぼす蛋白質とホルモンを産生する"臓器"と考えられている。
同助教授らの研究は,心臓や他の臓器の周囲に蓄積する過剰な脂肪は,臓器の機能障害につながるとする医学の新しい理論に基づいている。
心臓周囲に蓄積した脂肪は,炎症性サイトカインを皮下脂肪より多く分泌することが知られている。
同助教授らは,心臓周囲の脂肪が産生する炎症性蛋白質に持続的に曝露されることにより,アテローム動脈硬化の進展が加速されるのではないかと考えている。
同助教授らは今回の研究で,159例(55〜74歳)を対象に心臓周囲脂肪の量をCTにより測定した。
そのうち58%に石灰化プラークが観察された。心臓周囲脂肪の量に基づき被験者を4群に分類したところ,脂肪の量が最も多い群では,最も少ない群に比べ冠動脈に石灰化プラークが認められる率が約5倍高かった。
同助教授らによると,心臓周囲脂肪の量と冠動脈石灰化プラークのレベルに関係が認められたが,BMIやウエスト周囲径とは関係していなかった。
同助教授は「われわれの知見は,総体脂肪よりも局所の脂肪蓄積のほうが冠動脈石灰化プラークとの関連性が高いことを示唆している。
心臓周囲脂肪から分泌される炎症性のメディエータが冠動脈における炎症を促進し,冠動脈におけるアテローム動脈硬化を導くのかもしれない」と述べている。
同助教授は今後も研究を続け,心臓周囲の脂肪蓄積が予防可能か否かを明らかにしたいと考えている。
最後に,同助教授は「冠動脈疾患で命を失う人は非常に多いことから,新しい治療法や予防法を発見することは絶対に必要である」としている。
出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
今回の講演で佐田はこの記事をスライドで提示され、「この記事を見た時には少し焦りました。せっかく暖めていたアイデアが先を越されたかと。しかし掲載された雑誌(Obesity)のインパクトファクターを調べて随分低いの少し安心しました。今、私たちの研究の投稿先を考えているところです。」と述べられました。
徳島大学循環器内科 佐田政隆
http://plaza.umin.ac.jp/~msata/
http://pub2.db.tokushima-u.ac.jp/ERD/person/173932/profile-ja.html
主な研究テーマ
http://plaza.umin.ac.jp/~msata/
徳島大学医学部 循環器内科教授 佐田 政隆先生
http://www.bandoheart.jp/aiironokaze/019/02.html
<自遊時間>
講演の冒頭、徳島(市)を紹介されました。
①医者が多い
②糖尿病が多い
①は、少し古い(?)先生ならかつて四国では唯一の医学部が徳島にあったことによるということは誰でも知っていることです。
②は①と矛盾することです。
食生活を含めた生活習慣が「医療」を凌駕するという皮肉な結果です。
先生は香川は「讃岐うどん」、一方徳島は「徳島ラーメン」で説明してみえました。
こてこてのラーメンで激辛でご飯が必須。
そばには生卵が置いてあり、おかわり自由とのこと。
徳島の先生、コメントをいただけると有り難いです。
徳島ラーメン
http://ja.wikipedia.org/wiki/徳島ラーメン
http://www.ramen-todai.com/
http://www.rurubu.com/book/article/domestic/20071004/index.asp
徳島ラーメン ○○ に行く

http://blog.livedoor.jp/maxy25/tag/徳島ラーメン
(とてもおいしそうです。)
<きょうの一曲>
Rosa Elvira Sierra -Pie Jesu- Requiem- Fauré
http://www.youtube.com/watch?v=ZThARSv69Rg&feature=related
ステント留置による血管内治療は冠動脈が代表的だが,それ以外に四肢動脈,頸動脈,腎動脈に対しても行われている。しかし,冠動脈に比べると,これまで他の動脈に対する血管内治療の施行は限定的であった。
そのおもな理由としては,
(1)臨床的有用性を証明する確固たるエビデンスが存在しない
(2)部位に適合したデバイスが開発されていない
(3)手技が難しい
などが挙げられる。
しかし近年,こうした問題は徐々に克服され,それに伴い冠動脈以外の動脈に対する血管内治療の施行も増加しつつある。
今回,昨年保険償還された頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)について神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科の坂井信幸部長に,先ごろ保険償還された腎動脈ステント留置術については心臓血管センター北海道大野病院の山下武廣副院長(循環器科)に,現状および展望を解説してもらった。
プロテクションデバイスの開発が適用拡大を促すCAS
CASは頸動脈狭窄症に対する治療法で,世界的には1990年代後半から本格的に施行されてきた。
わが国でも2004年ころから施行数が増え始め,2008年4月に保険承認されたことで,その傾向に拍車がかかりつつある。
わが国におけるCASのパイオニアの1人である坂井部長は「CASの導入以来,わが国の頸動脈狭窄症の治療は大きく変貌しつつある」とし,さらに「外科手術に比べて低侵襲で,入院期間も短くてすむCASは今後,さらに急速に適用が拡大する可能性がある」と述べた。
CEA高リスク例を中心に施行されてきたCAS
頸動脈狭窄症は,頸動脈分岐部のアテローム動脈硬化症により頸動脈が狭窄することによって起こる。
言葉が出にくい,手足が痺れるなどの症状を伴うこともあれば,無症状のまま経過することもある。
同症は,脳梗塞(アテローム血栓症)発症の重要なリスクファクターとなる。
頸動脈狭窄症の治療は,狭窄が軽度であれば,抗血小板薬などによる内科治療が適応となる。
しかし,狭窄が中等度以上になると,たとえ内科治療が十分であっても脳梗塞の発症,再発リスクは高い。
こうした症例では,狭窄部に対する局所的な治療として,頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy;CEA)あるいはCASが施行される。
CEAは頸動脈狭窄部を切開し,狭窄の原因となっている内膜のアテロームを取り除くことで狭窄部を拡大する外科治療である。
高度狭窄例に対し内科治療に加えてCEAを施行すると,内科治療単独に比べて脳梗塞の再発率が有意に抑制されることが,大規模臨床試験により証明されている。
CASはカテーテルを用い,経皮的に頸動脈にステントを設置する血管内治療である。
1970年代後半から試みられているが,報告が増え始めたのは90年代に入ってからとなる。
しかし,既にCEAという治療法が存在したため,CASはCEAの適用が難しい,CEA高リスク症例を中心に施行されてきた。
わが国でも2008年4月に保険承認
CASには,導入当初から指摘されてきた1つの問題がある。
それは,術中に合併症としての脳塞栓症を起こすリスクが高いことだ。
CASでは血管拡張に伴いアテローム性プラークが破砕され,それにより生じたデブリス〔debris(仏);破片〕が頭蓋内動脈に迷入して,脳塞栓症を起こしやすい。
この周術期合併症を防ぐ有効な手立てがなかったために,CASは低侵襲ではあるがリスクの高い治療と認識され,普及を妨げることになった。
ブレークスルーは1990年代後半になって,脳塞栓症のプロテクションデバイスが開発されたことで訪れる。
このデバイスの原理は,CASと同軸で使用できる血管閉塞用バルーンやフィルターなどを狭窄部の遠位部に留置し,それによりデブリスを捕捉するというもの。
フィルターにはレーザーカットで微細な孔が開けてあるので,術中でも血流は保持される(図1)。
「プロテクションデバイスの開発により,CASの術中の安全性は劇的に改善し,欧米でのCASの適用は飛躍的に拡大した」と坂井部長。
プロテクションデバイスを用いたCASに関する最初の大規模臨床試験は,2000年から米国で開始されたSAPPHIRE※1である。
対象はCEA高リスク(症候性で50%以上,無症候性で80%以上の狭窄率)の頸動脈狭窄症患者334例で,CAS群とCEA群それぞれ167例ずつに無作為割り付けした。
主要評価項目は,「術後30日以内の死亡+脳卒中+心筋梗塞および術後31日以降1年以内の死亡+治療側脳卒中」の累積発現率。
2004年に行われた結果報告では,累積発現率がCAS群12.2%,CEA群20.1%で,CASはCEAより有意に優れており(P=0.05),CASのCEAに対する非劣性が証明された(図2)。
この結果を受け,同年,CASは米食品医薬品局(FDA)により認可された。

プロテクションデバイスは,わが国でも2004年には入手可能になり,それ以降CASの施行数は増加し始める。
また,SA PPHIRE試験の結果を受け,2008年4月にわが国でもCASが保険承認されたことが追い風となり,CASの適用は急激に拡大する勢いを見せている。
関連12学会で実施基準のコンセンサスを取りまとめ
CASは脳梗塞発症または再発予防のために行う治療であり,それによる予防効果がCAS施行に伴うリスクを上回っていてこそ意義がある。
すなわち,周術期リスクをできる限り低減させることと,長期予防効果のエビデンスを確立することが, CAS存立のための必須条件と言える。
周術期リスクをできるだけ低減するために,坂井部長は「まず何より適応をきちんと守ることと,施術者がCASのスキルに習熟することである」と言う。
この目的のために,関連12学会ではCAS実施基準と術者トレーニングに関するコンセンサスを取りまとめた(http://www.jacct.com/cas/top.html)
)。
同部長は「これからCASを実施したい施設や医師は,まず学会のホームページで検討したうえで,既に関連12学会が認めた指導医の資格のある医師に相談して欲しい」としている。
CASの長期予防効果については,CASが新しい治療法で,現在も急速に進歩を続けている手技であるため,エビデンスが追い付いていないのはやむをえないと言える。
わが国では2008年4月からCASの初期成績と1年までの経過を見るJ-CASES PMS※2が開始されている。
今後は,長期予防効果を証明するための努力を続ける必要がある。
同部長は「CASが周術期リスクと長期予後においてCEAに劣らないことがわかれば,CASの低侵襲で,入院期間が短縮するという利点は,もっとクローズアップされてくるはず。頸動脈狭窄症の治療の主役がCEAからCASに移行するのは,そう遠くないと思われる」と結んだ。
※1 Stenting and Angioplasty with Protection in Patients at High Risk for Endartrectomy
※2 Japan Carotid Artery Stent Education Systemによる市販後調査
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M42300761&year=2009
出典 Medical Tribune 2009.7.23、30
版権 メディカル・トリビューン社
<きょうの一曲>
Righteous Brothers - Unchained Melody Traduzida (Ghost)
http://www.youtube.com/watch?v=sCcaNzI2fl4&feature=related
U2 - Unchained Melody
http://www.youtube.com/watch?v=qo5T0bs-JDY&feature=related
Elvis-Unchained Melody
http://www.youtube.com/watch?v=1Sm9jFaHbCM&feature=related
Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein
C 反応性蛋白値が上昇した男女の血管イベント予防におけるロスバスタチン投与
Paul M Ridker, M.D., Eleanor Danielson, M.I.A., Francisco A.H. Fonseca, M.D., Jacques Genest, M.D., Antonio M. Gotto, Jr., M.D., John J.P. Kastelein, M.D., Wolfgang Koenig, M.D., Peter Libby, M.D., Alberto J. Lorenzatti, M.D., Jean G. MacFadyen, B.A., Børge G. Nordestgaard, M.D., James Shepherd, M.D., James T. Willerson, M.D., Robert J. Glynn, Sc.D., for the JUPITER Study Group
ABSTRACT
Background
Increased levels of the inflammatory biomarker high-sensitivity C-reactive protein predict cardiovascular events. Since statins lower levels of high-sensitivity C-reactive protein as well as cholesterol, we hypothesized that people with elevated high-sensitivity C-reactive protein levels but without hyperlipidemia might benefit from statin treatment.
背 景
炎症バイオマーカーである高感度 C 反応性蛋白(CRP)の上昇により,心血管イベントを予測することが可能である.
スタチンはコレステロールとともに CRP を低下させることから,われわれは,高感度 CRP が上昇しているが高脂血症を伴わない人も,スタチン投与により利益が得られるという仮説を立てた.
Methods
We randomly assigned 17,802 apparently healthy men and women with low-density lipoprotein (LDL) cholesterol levels of less than 130 mg per deciliter (3.4 mmol per liter) and high-sensitivity C-reactive protein levels of 2.0 mg per liter or higher to rosuvastatin, 20 mg daily, or placebo and followed them for the occurrence of the combined primary end point of myocardial infarction, stroke, arterial revascularization, hospitalization for unstable angina, or death from cardiovascular causes.
方 法
低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが 130 mg/dL(3.4 mmol/L)未満で,高感度 CRP が 2.0 mg/L 以上の一見健康な男女 17,802 例を,ロスバスタチン 20 mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた.
複合主要エンドポイントを,心筋梗塞,脳卒中,動脈血行再建,不安定狭心症による入院,心血管死亡とし,その発生について追跡した.
Results
The trial was stopped after a median follow-up of 1.9 years (maximum, 5.0).
Rosuvastatin reduced LDL cholesterol levels by 50% and high-sensitivity C-reactive protein levels by 37%. The rates of the primary end point were 0.77 and 1.36 per 100 person-years of follow-up in the rosuvastatin and placebo groups, respectively (hazard ratio for rosuvastatin, 0.56; 95% confidence interval [CI], 0.46 to 0.69; P<0.00001), with corresponding rates of 0.17 and 0.37 for myocardial infarction (hazard ratio, 0.46; 95% CI, 0.30 to 0.70; P=0.0002), 0.18 and 0.34 for stroke (hazard ratio, 0.52; 95% CI, 0.34 to 0.79; P=0.002), 0.41 and 0.77 for revascularization or unstable angina (hazard ratio, 0.53; 95% CI, 0.40 to 0.70; P<0.00001), 0.45 and 0.85 for the combined end point of myocardial infarction, stroke, or death from cardiovascular causes (hazard ratio, 0.53; 95% CI, 0.40 to 0.69; P<0.00001), and 1.00 and 1.25 for death from any cause (hazard ratio, 0.80; 95% CI, 0.67 to 0.97; P=0.02). Consistent effects were observed in all subgroups evaluated. The rosuvastatin group did not have a significant increase in myopathy or cancer but did have a higher incidence of physician-reported diabetes.
結 果
試験は追跡期間中央値 1.9 年(最長 5.0 年)後に中止された.
ロスバスタチン投与により,LDL コレステロールは 50%,高感度 CRP は 37%低下した.主要エンドポイントの発生率は,追跡 100 人年あたりロスバスタチン群 0.77,プラセボ群 1.36 であり(ロスバスタチン群のハザード比 0.56,95%信頼区間 [CI] 0.46~0.69,P<0.00001),心筋梗塞の発生率はそれぞれ 0.17,0.37(ハザード比 0.46,95% CI 0.30~0.70,P=0.0002),脳卒中は 0.18,0.34(ハザード比 0.52,95% CI 0.34~0.79,P=0.002),血行再建または不安定狭心症は 0.41,0.77(ハザード比 0.53,95% CI 0.40~0.70,P<0.00001),心筋梗塞・脳卒中・心血管死亡の複合エンドポイントは 0.45,0.85(ハザード比 0.53,95% CI 0.40~0.69,P<0.00001),全死因死亡は 1.00,1.25(ハザード比 0.80,95% CI 0.67~0.97,P=0.02)であった.
評価した全サブグループで効果は一貫して認められた.ロスバスタチン群ではミオパチーおよび癌の有意な増加は認められなかったが,医師の報告による糖尿病の発症率が高かった.
Conclusions
In this trial of apparently healthy persons without hyperlipidemia but with elevated high-sensitivity C-reactive protein levels, rosuvastatin significantly reduced the incidence of major cardiovascular events.
結 論
高脂血症を有しないが高感度 CRP の上昇した一見健康な人を対象としたこの試験では,ロスバスタチン投与により,主要心血管イベントの発生率が有意に低下した.
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/21/2195
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0807646
(N Engl J Med 2008; 359 : 2195 - 207 : Original Article)
本論文は,2008 年 11 月 9 日に www.nejm.org で発表された.
(N Engl J Med 2008; 359 : 2195 - 207 : Original Article)
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359nov/xf359-21-2195.htm
<関連サイト>
Evaluating the Jupiter Statin Study, Cholesterol and CR
http://patients.about.com/b/2008/11/10/evaluating-the-jupiter-statin-study-cholesterol-and-crp.htm
JUPITER halted: Rosuvastatin significantly reduces cardiovascular morbidity and mortality
http://www.theheart.org/article/852735.do
Truth versus hype in the Jupiter study
http://www.proteinpower.com/drmike/cardiovascular-disease/1853/
JUPITER Trial
http://www.brighamandwomens.org/preventivemedicine/research/jupiter.aspx
一次予防のstatinに関するさらなるデータ-JUPITER研究
http://wellfrog2.exblog.jp/tags/JUPITER研究/
CRESTOR Cuts Risk of Stroke by Nearly Half in JUPITER Study
http://bizex.goo.ne.jp/release/detail/41124/
CRP strategy post-JUPITER
http://www.theheart.org/editorial-program/937461.do
C-Reactive Protein - the JUPITER Study
http://my.clevelandclinic.org/heart/news/hot/crp.aspx