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ESC2008 で発表された”PRoFESS”の記事で勉強しました。
徐放性ジピリダモール・アスピリン併用とクロピドグレルは同等
PRoFESSの結果-脳卒中再発予防効果
2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)のLarge clinical trials のセッションで、脳卒中再発予防の評価を目的とした大規模臨床試験PRoFESS(演題名;Prevention Regimen For Effectively avoiding Second Strokes)の結果が発表された
PRoFESS試験は、脳卒中再発予防の薬物療法として、徐放性ジピリダモール(ER-DP)・アスピリン(ASA)の併用とクロピドグレル(CP)の比較、加えてARBのテルミサルタン(Telmi)の効果をプラセボ(Plac)との比較によって検討している。
ちなみに、欧州脳卒中機構(ESO)のガイドラインでは、脳卒中再発予防では抗血栓療法が推奨されており(Class I、Level A)、抗凝固療法を必要としない患者では抗血小板療法が推奨されている(Class I、 Level A)。
抗血小板療法としては、アスピリンとジピリダモールの併用、クロピドグレル単独、それらの代替としてアスピリン単独、トリフルサル単独が推奨されている(Class I、Level A)。
本試験の対象は、世界35カ国(北米、ヨーロッパ、アジア、南米、アフリカ・中近東、オーストラリア)、695施設の50歳以上の脳卒中患者2万332例。
対象を(1)ER-DP+ASA+Telmi、(2)CP+Telmi、(3)ER-DP+ASA+Plac、(4)CP+Placの4群に分けて検討している。
当初、CP群にもASAの投与が行われていたが、CP・ASAの併用群で出血リスクが増加したMATCH (Management of Atherothrombosis With Clopidgrel in High-Risk Patients Study)試験の結果に基づいて、CP群におけるASAの併用は途中で中止された。
本セッションでは、最初にER-DP+ASA群(1万181人)対CP群(1万151人)の結果が、同研究グループの米マイアミ大学教授Ralph L. Sacco氏によって報告された。
本試験の抗血小板療法の比較における1次アウトカムは脳卒中再発、2次アウトカムは脳卒中、心筋梗塞、あるいは血管死とされた。
本試験はnon-inferiority(非劣性)試験で、ER-DP+ASA群がCP群と比較して6.5%のリスク減少効果(ハザード比0.935)を有すると仮定し、95%信頼区間の上限が1.075未満であれば優位にあるとする基準を使っている。
なお、追跡期間は2.4年(中央値)である。
その結果、1次アウトカムに関しては、ER-DP+ASA群がCP群に対して劣っていない(non-inferiority)とする基準は達成されず(HR 1.01、95%CI 0.92-1.11、 p=0.783)、脳卒中再発と主要血管イベントの発症率は両群間で同等だった。
頭蓋内出血を含む主要出血イベントの発症率は、ER-DP+ASA群の方が高かったが、その絶対発症率は低く、虚血性イベントの抑制によってそのリスクは部分的に代償された。
これらの結果から演者らは、ベネフィット・リスクを合わせて評価すると両群は同等と結論した。
(日経メディカル別冊)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/hcp/topics/200807/507180.html
<関連サイト>
PRoFESS試験
http://blog.m3.com/reed/20080524/PRoFESS_
PRoFESS脳卒中再発予防効果
http://blog.m3.com/reed/20080723/PRoFESS__
PRoFESS脳卒中再発
http://blog.m3.com/reed/20080901/PRoFESS___

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<自遊時間>
昨日の夕方、久しぶりに街へ出ました。
超音波関連の医学書を買いに行くのが目的です。
ぶらついていて、「デジャブ感覚」を覚えました。
いわば、何だか昔の自分に逢っているような妙な懐かしさです。
郊外と違って、町中は意外と何十年も大きな変化がないためです。
大袈裟に聞こえるかも知れませんが、10年以上一人で町中をこんな目的でぶらついたことはなかったような気がします。
全国区のM書店と食材のM屋。
この両方をハシゴするのが私流の昔からの街のぶらつき方です。
都会の雰囲気と文化の香りが一度に満喫できるような気がする、一種の刷り込み現象です。
さて、久しぶりに医学書コーナーを見て違和感を覚えました。
アカデッミックな書籍が何だか減ってしまったような気がしたのです。
くだけた(親しみ易い)タイトルの、研修医向けの「ハウツーもの」の実用書が多いためだというのがしばらくして分かりました。
私はスカパーの医学番組「Care Net TV」の視聴契約をしています。
なかなか見る機会はないのですが、その番組の講師が「山ほど」、彼ら向けの書籍を出して(儲けて?)いるのには驚きました。
ただ大学時代の友人が監修した書籍が平積みになっていたのは嬉しい収穫でした。
私は買わなかったのですが、今度彼と逢った時の話題が出来ました。
<追加>
私は翻訳本は買わないことを原則にしてきました。
原著の方が安いこと、誤訳や熟(こな)れていない訳があること、せっかく英語の勉強が出来るのにそのことを放棄することになるなどがその理由です。
そんな中で「オピーの心臓生理学」が気になりました。
でも開業医がそんな本買うのは・・・。
http://mbc.meteo-intergate.com/bookcenter/public/item/mbc/item75741.html
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会に関する記事から”CHHIPS Pilot Trial”について勉強しました。
従来、脳卒中の治療では血圧のコントロールが意外と疎かにされていたような気がします。
とくに脳梗塞ではその傾向が強いような気がします。
話は少しそれますが、私は以前から諸外国の論文を読んでいて疑問に思うことがありました。
それはStrokeという医学英語です。
日本語では脳卒中と訳されるようですが、今回の報告でも
その内訳は脳梗塞または脳出血と説明されています。
本来、「詰まる」と「切れる」は病態的に違うはずなのに同一の「くくり」となっているのです。
特にMRが持ってくる日本語訳では脳卒中と訳されており、このあたりを訊いても答えられるMRはいません。
当然といえば当然で、最後の<関連サイト>の学会発表風景で今までの疑問が氷解しました。
要するに平然とStrokeという用語でひとくくりにしているのです。
何だか近頃流行りの(病態を考慮しない)”CKD”を連想してしまいます。
CKDは意識的に病因を無視した概念ですが、Strokeはどうなんでしょうか。
最近の諸外国での大規模臨床試験の紹介でも、専門家はそのことに触れませんが、いつも隔靴掻痒の感があります。
昔と違って画像診断で容易に両者の区別が出来る時代に、あえて両者をひとくくりにする意味がはたしてあるのでしょうか。
逆に分ける必要があるかという意見もあるでしょう。
先生方はどのようなお考えをお持ちでしょうか?
脳卒中急性期の降圧治療
36時間以内の治療開始で3か月後の死亡が半減
脳卒中急性期の高血圧管理については十分なエビデンスがなく,治療の開始時期や降圧薬の種類などについて,論議を呼ぶところとなっている。
East Anglia大学(英ノリッジ)のJohn Potter氏は,発症36時間以内の高血圧を伴う脳卒中患者を対象に,ACE阻害薬リシノプリル,β遮断薬ラベタロールによる降圧療法の有用性をプラセボと比較するCHHIPS Pilot Trialを実施。
ランダム化後2週間の降圧治療により,プラセボ群に比べて3か月後の死亡が半減したと報告した。
短期評価項目には改善認めず
対象は,18歳以上,症状持続が60分を超え発症36時間以内,SBP160 mmHg以上―などの条件を満たす脳梗塞または脳出血患者179例。
(1)血栓溶解療法施行例
(2)高血圧性脳症
(3)原発性脳内出血でSBP200mmHg以上かつまたはDBP 120mmHg以上
(4)意識レベルの障害〔米国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)Section 1aスコア ≧ 2〕
(5)治療薬の禁忌
(6)modified Rankin Scale(mRS>3)
―などは除外した。
対象を,
(1)リシノプリル
(2)ラベタロール
(3)プラセボ〔嚥下障害がなければ各経口薬,伴う例では i)リシノプリル舌下錠/プラセボ静注, ii)ラベタロール静注/プラセボ舌下錠, iii)プラセボ舌下錠/同静注〕
―の3群にランダムに割り付け,降圧目標をSBP145~155mmHgまたはSBP15 mmHg以上の低下として,ランダム化から2週間治療を実施した。
降圧目標の達成率は24時間後にはプラセボ群46%,リシノプリル群65%,ラベタロール群57%と実薬群で高く,プラセボ群とリシノプリル群に有意差(P ≦ 0.05)が認められた。
しかし,72時間後の神経学的悪化(NIHSSスコア4以上の増加または死亡)はプラセボ群10%,リシノプリル群12%,ラベタロール群2%に認められ,プラセボ群に対する実薬群の相対リスク(RR)は0.89と有意な変化はなく,降圧の影響は反映されなかった。
1次評価項目の発症2週後の「死亡または身体的依存(mRS>3)」の発生は,プラセボ群59%,リシノプリル群,ラベタロール群ともに61%で,プラセボ群に対する実薬群のRRは1.03と有意差はなく,悪化も改善も見られなかった。
これに対して,Potter氏も驚いたとしたのが2次評価項目の3か月後の生存率で,実薬群に対するプラセボ群のハザード比は2.2(95%信頼区間1.0~5.0,P=0.05)と,実薬群で死亡が半減することが判明した(図)。

以上から,同氏は「今回のデータが再現されうるか,フルスケールの試験の進行に期待を持たせる結果だ」と述べた。
なお同試験では,脳卒中急性期の低血圧に対する治療も別途検討されており,同試験には約2,000例が登録される予定であるという。
薬剤間に差異が認められるのか,結果が待たれる。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社

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制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<参考サイト>
Control of Hypertension and Hypotension Immediately Post-Stroke (CHHIPS)Pilot Trial
http://www.scienceondemand.org/stroke2008/lbs/sessions/player.html?sid=080201100.4626&searchQ=undefined
(学会での発表風景がそのままスライドとともに収録されています。臨場感あふれる珍しいサイトで医学英語の勉強にもなると思います)
第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会の記事でPRoFESSの勉強をしました。
標準治療へのARB上乗せ
脳卒中再発の有意な抑制示せず
エッセン大学(独エッセン)のH. Christoph Diener教授は,2万人を超える脳卒中既往例を対象に,標準治療へのARBテルミサルタンの上乗せによる脳卒中再発抑制効果を検討した大規模臨床試験PRoFESSの成績を報告。
平均2.4年の追跡で,プラセボに比べてテルミサルタンにより脳卒中再発リスクが5%減少したものの,有意差は認められなかったことを明らかにした。
認知症発症にも有意差なし
PRoFESSには日本を含む世界35か国695施設が参加。2×2ファクトリアルデザインで,
(1)低用量アスピリン+徐放性ジピリダモールの合剤とクロピドグレルの2種類の抗血小板療法
(2)テルミサルタン80mg/日とプラセボ
―の脳卒中再発予防効果を二重盲検で同時に比較しており,今回は後者の成績が報告された。
対象は,50歳以上で,登録前120日以内に脳梗塞を発症した2万332例。テルミサルタンまたはプラセボの2群にランダムに割り付けた。
脳卒中発症後ランダム化までの期間は中央値15日で,10日以内が39.9%を占めた。
ベースライン時の平均年齢は66歳,血圧は144/84mmHg。
追跡中の血圧はテルミサルタン群で1か月後には5.4/2.8mmHg,追跡中の平均で3.8/2.0mmHg低かった。
1次評価項目の脳卒中再発は,プラセボ群の9.2%に対してテルミサルタン群では8.7%と,5%のリスク減少を示したが,有意差は認められなかった。
2次評価項目については,テルミサルタン群で「脳卒中,心筋梗塞,血管死,うっ血性心不全」が6%(P=0.107),糖尿病新規発症が18%(P=0.101)のリスク減少を示したものの,ともに有意差には至らなかった。
Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアを用いた検討では,両群の認知症の発症にも有意な差は認められなかったという。
一方,事後(post-hoc)解析では,脳卒中再発・複合イベントともに,追跡6か月以内には有意差はないもののテルミサルタン群でイベント発生が多く,6か月以降はテルミサルタン群で有意な抑制が確認された。
これらの成績からDiener教授は,試験は事前の設定イベント数に達して終了されたものの平均2.4年と追跡期間が短かったことや,服薬遵守が適切でなく,他の降圧薬の併用率が異なった点などが結果に影響した可能性を指摘し,「経時的にはテルミサルタンによる利益が増す可能性が示唆された」と述べた。
最近,基礎データからARBの脳保護作用が注目されていただけに,予想外の結果となったが,ACE阻害薬ペリンドプリル±利尿薬インダパミドの実薬群が,当時の標準治療に比べて28%の脳卒中再発リスク抑制を示したPROGRESSでは,両群の血圧差は9/4mmHg,脳卒中再発率はプラセボ群14%,実薬群10%であり,PRoFESSの結果には併用薬などの影響により,対象のリスクが低下した影響もありそうだ。
ただし,PROGRESSでもACE阻害薬単独群では有意な再発リスク減少は認められず,脳卒中再発抑制における厳格な降圧の重要性が明らかになっている。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
とにもかくにも確実な降圧が重要ということのようです。
CASE-JでもARBはCCBと同様の降圧を得るにはより多くの他剤併用が必要であるということが、後の論文発表で明らかになりました。
CASE-J
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002499.html
ARBにこだわるあまり降圧が不確実になる愚だけは避けたいものです。
<関連サイト>
PRoFESS試験
http://blog.m3.com/reed/20080524/PRoFESS_
PRoFESS 脳卒中再発予防効果
http://blog.m3.com/reed/20080723/PRoFESS__
PRoFESS 血小板療法の比較
http://blog.m3.com/reed/20080718/PRoFESS___

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JAMA誌に掲載された論文に対する解説で勉強しました。
JAMA Hellings WE, et al. 2008;299:547~554
(University Medical Center,The Netherlands.)
論文名は
「アテローム硬化性プラーク構成成分と頚動脈内膜切除術後の再狭窄発生の関係」
Atherosclerotic plaque composition and occurrence of restenosis after caratid endarterectomy
研究背景:
インターベンション標的部位に存在するアテローム硬化性プラークの構成成分について、今まで再狭窄予測マーカーとしての評価がされていない。
結論
プラーク構成成分は頚動脈内膜切除術後の再狭窄に関する独立予測因子である。
脂質含有量の多い(脂質リッチ)炎症性プラークの除去は再狭窄のリスク低下と関連している。
<解説>
CEAかCASか、組織I性状で治療方針が決まる?
虎の門病院循環器センター 石綿清雄 内科部長
再狭窄は血管治療の効果を損なう大きな問題である。
冠動脈疾患に関しては薬剤溶出性ステント(DES)の登場により特殊な病態を除きほぼ忍容できるレベルにまで再狭窄を予防できるようになったが、頚動脈狭窄に関してはどうであろうか?
主流の治療法は頚動脈内膜切除術 (CEA:Carotid Endarterectomy ) であるが、最近、より低侵襲の Carotic Artery Stenting (CAS) が導入されてきた。
CASは十分な治療効果を有することが認められているが、治療手技として確立されるには現在進行中である臨床試験の結果が待たれる。
これは1990年代に CABG と PCI の比較試験が多く行われ、 PCIの虚血性心疾患における地位が確立されてきた過程によく似ている。
実際、CEAは依然として主流の治療ではあるが、多くの治療が現在低侵襲性の方向にあり、CEAの適応であるがリスクの高い症例にはCASが行われている。
さて、CEA後の再狭窄は欧米のいくつかの臨床研究のメタアナリシスより、治療後1年以内に生じる可能性は10%程度であり、以後2年目3%、3年目2%、さらに長期間に再狭窄が生じるリスクは年1%というデータが示されている。
最近発表された最も信頼のおけるAsymptomatic Carotid Atherosclerosis Study (AOAS)でも、3~18カ月の再狭窄率は7.6%、その後60カ月までは動脈硬化の進展により
1.9%と報告されている。
CEA後に生じる再狭窄病変の主体は冠動脈の再狭窄と同様に平滑筋細胞の増生であり、慢性期には合成型の平滑筋細胞が増生し、細胞外マトリックスであるコラーゲンやプロテオグリカンなどが産生され再狭窄病変が形成される。
また、血管リモデリングも再狭窄の重要な要因である。
術後1~3年の早い時期の再狭窄病変には通常、動脈硬化巣にみられる泡沫細胞や脂肪の集積がみられることはまれである。
一方、数年経過した場合は再狭窄とはいわず、新たに生じた動脈硬化病変として認識すべきである。
本論文では、術後再狭窄の予測因子として切除標本の病理学的検討が有用であるとしている点が興味深い。
術後再狭窄の予測因子として切除標本を病理組織学的に検討し、脂質リッチな炎症性プラークの場合には再狭窄が少ない、という新たな知見を提示している。
すなわち、切除標本でマクロファージが多く浸潤し、脂質コアの大きなプラークほど再狭窄のリスクが低いという結果であった。
一般的に、脂質リッチな不安定プラークの治療はCASにしてもCEAにしても再狭窄率は高いという報告が多い。
特にステント治療においては集積する炎症細胞がステントの刺激を受けて反応し、新生内膜の増殖に働くことがその原
因とされている。
しかし、これまでの報告では組織学的な正当性が確認できていなかった。
また,今回の検討は粥腫を切除した後であり、すでに反応する組織は大方取り除かれていることもあり単純な比較は困難であるが、この新たな知見は今後の治療戦略にかかわってくると考えられる。
すなわち、将来的に術前にMRIやMDCTなどでプラーク性状が確認できれば、CEAかCAS、またパッチの使用など治療方針の決定に大いに役立つ可能性がある。
出典 MMJ Vol.4 No.7 2008
版権 毎日新聞社
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制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<講演メモ>
最近行われた講演のメモからです。
走り書きのメモからの内容のため間違っていることがあるかも知れません。
特別演題(「高血圧治療の歴史と進歩〜ARB最近の話題〜」)
京都府立医大循環器内科 松原弘明教授
(主催:武田薬品工業)
■ARBはAT2受容体刺激薬である。
■JSH2004は近々改訂になる。
■AT1受容体の発現部位は心基部と心室中隔に限局する。
■AT受容体は心臓にはもともと少ない。
■急性心筋梗塞でAT受容体(動物実験)発現が亢進。
(AT1 3倍、AT2 2倍 増加)
■AT1受容体刺激 40mmHg上昇
AT2受容体刺激 15mmHg下降
■心筋繊維化はAT2を抑制
■ARBは動脈硬化を抑制する。(血管RA系,骨髄RA系)
■高脂血症マウス
■骨髄細胞にはAT1受容体が多い。
■ARBは糖尿病新規発症を抑制する。
■カンデサルタンは脂肪細胞を小型化する(ラット)。
■カンデサルタンには膵β細胞保護作用がある。
■肥満の定義は、国内と海外では異なる。
国内 BMI25以上
海外 BMI28以上
■CHARM試験紹介
■CKDにはACEIよりカンデサルタンがよかった。
■肥満の方ではアムロジピンよりカンデサルタンがよかった。
■カンデサルタン関連の臨床試験の紹介
OGAKI
HIJ-CREATE
CASE-J
E-COST
ARCH-J
(参考:紹介されませんでしたが,その他にChallenge-DM,DIALYSIS、TROPHY,SCOPE,ACCESS,CHARMがあります)
■その他雑談として
京都府立医大は京大より数年前に開設され、歴史的には東大に継ぐ2番目の歴史のある医科大学である。
当時、東大から教授が来ていたが多くの教授は京大に移ってしまい、今に至っても両大学はあまり仲がよろしくない(オフレコ?)。
両大学とも建築ラッシュだが、基礎を深く掘ると遺跡が出て来て工事がストップしてしまう。
したがってある一定以上は掘らないようにして、基礎を打ち込む方式をとっている。(京都方式?)
<参考サイト>
府立医大の歴史
http://www.kpu-m.ac.jp/modules/pico/index.php?content_id=7
京都大学沿革(医学部)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/intro/history/index.htm/
(これらのサイトで見ると前者が明治5年、後者が明治32年となります)
長崎大学医学部
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/med/top/message.html
(ちなみに気になって長崎大学を調べました。1857年ないしは1861年と書かれています。何と明治以前ということになります。)
<自遊時間>
大学の歴史や沿革というのは関係ないといえば関係ないことで、どうでもいい部類のことかも知れません。
以前にも書きましたが、あの歴史の浅いアメリカの大学でさえ日本に比べればはるかに古い歴史があることに驚かされます。
その例がハーバード大学。
医学部自体の創立がいつだかはわかりませんが、大学自体は1636年。
この頃の日本は・・・と思うと情けなくなります。そしてそんなことを考えると明治前に出来たとかどうかということやどっちが先ということも滑稽なことかも知れません。
たとえば、モンペリエ大学の医学部。
800年前に創設された、ヨーロッパ最古の医学部といわれています。
http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/detail/data/070806.html
一方、国内のある医学部の沿革についての医学部長の言葉。
「○○大学医学部はその源を○○藩校に発し、130年有余の歴史と11,000人を超える卒業生を誇る日本でも最古の医学部の一つです。」
何だかなあ・・・。
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PRoFESSに関する記事で勉強しました。
血小板療法の比較で差がみられなかった理由を考察;PRoFESS
2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)のScientific Symposium 1:News in the primary and secondary prevention of strokeで、米イリノイ大学教授のPilip B. Gorelick氏が、PRoFESS試験の2次アウトカムおよび3次アウトカムに関する結果を報告し、コメントを述べた(Secondary outcomes from the antiplatelet arm of PRoFESS)。
脳卒中再発予防効果を徐放性ジピリダモール(ER-DP)+アスピリン(ASA)群とクロピドグレル(CP)群で比較したPRoFESS試験では、1次アウトカム、2次アウトカム共に有意差はみられなかった。
しかし、3次アウトカムの心不全新規発症・増悪は、ER-DP+ASA群において22%の有意なリスク減少が認められた。
また、主要出血イベントは、ER-DP+ASA群において15%のリスク増加がみられ(p=0.057)、頭蓋内出血は、ER-DP+ASA群において42%のリスク増加となっている(p=0.0055)。
当初、本試験ではCP群にもASAが併用されていたが、CP+ASA群で出血リスクが増加したMATCH (Management of Atherothrombosis With Clopidgrel in High-Risk Patients Study)試験の結果に基づいて、CP群におけるASAの併用は中止された。
このプロトコール変更前後で登録症例を分けて解析すると、主要出血イベントのリスクは、変更前ではCP群の方で増加しており、変更後ではER-DP+ASA群の方で増加していた(いずれも有意差なし)。
これらの結果についてGorelick氏は「主要出血イベントおよび頭蓋内出血のリスクは、ER-DP+ASA群において増加がみられたが、絶対値でみると虚血性イベント(脳梗塞)のリスクに比べて極めて小さく、ER-DP+ASA群では虚血性イベントのリスクが減少しているため、ベネフィットとリスクを総合した評価では差がみられなかった」と述べた。
また、ER-DP+ASA群とCP群が同等だった理由については、
(1)両薬剤療法とも効果的であること、
(2)包括的なリスク管理の下では、抗血小板療法の効果は上限に達すること、
(3)ラクナ梗塞ではリスク管理の方が抗血小板療法よりも効果的である可能性があること、
などが考えられると指摘した。
(日経メディカル別冊)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/hcp/topics/200807/507253.html
<補足>
循環器あれこれ 2008.6.20
http://blog.m3.com/reed/20080620/1
に以下のようなコメントを2008.7.17にいただきました。
ONTARGETはラミプリルを持ち上げることで自らの地位を守ったかもしれませんがPRoFESSはどうでしょうか?プラセボ対象のRCTで20000例以上の規模でありながらプライマリーの脳卒中、セカンダリーの主要血管イベントで有意差が出ず、更に糖尿病の新規発症でも差が出ませんでした。ちなみにプラセボに含まれるACE-Iは両群3割程度とかなり低く、血圧も同じにコントロールされた試験です。この試験の解釈について教えてください。
<PRoFESS関連サイト>
PRoFESS
Prevention Regimen for Effectively Avoiding Second Strokes
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0077.html
PRoFESS試験
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/stroke08/keyword/200804/505810.html
PRoFESS試験は大番狂わせに
http://medicineblog.asablo.jp/blog/2008/05/17/3519104
脳梗塞2次予防にみる最新の動向
http://wellfrog.exblog.jp/tags/PRoFESS/

ディザルニー 水彩画『風景』
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p121789094
<番外編>
体表面心電図マッピングの論文が久しぶりに目にとまりました。
随分昔、結構流行った方法です。
方法の煩雑さのため、臨床には結局応用されなかった(少なくとも臨床応用がされたという話は私は聞いたことがありません)ものです。
ある大学でこのマッピングに関する研究で大量の医学博士が作られました。
心電図学に精通された先生なら、「ああ、あの大学ね」とピンと来ると思います。
でもピンと来る先生はかなりの年齢のはずです。
以下の論文もアイルランドの研究者ということで少し納得できます。
Owens 、McClelland。
いかにもアイルランドの名前です。
Comparison of Value of Leads from Body Surface Maps to 12-Lead Electrocardiogram for Diagnosis of Acute Myocardial Infarction
Colum Owens MD, Anthony McClelland MD, Simon Walsh MD, Bernie Smith SRN and Jennifer Adgey MD
aRegional Medical Cardiology Centre, Royal Victoria Hospital, Belfast, Northern Ireland.
Received 21 January 2008; revised 17 March 2008; accepted 17 March 2008. Available online 24 May 2008.
We aimed to develop 12-lead electrocardiographic (ECG) models testing ST-elevation criteria with QRST variables and compare their performance with the 80-lead body surface map (BSM) in detection of acute myocardial infarction (AMI). Because the prevalence of non–ST-elevation AMI is increasing worldwide, advances in early ECG detection of AMI are urgently needed. The study population was 755 consecutive patients presenting with ischemic chest pain from January 2002 to June 2004. All patients had electrocardiography and body surface mapping performed at initial presentation. AMI occurred in 519 patients (69%, cardiac troponin T or I level ≥0.1 ng/ml). Of these 519 patients, 303 (58%) had no ST-elevation on the initial 12-lead electrocardiogram. Ten patients were classified as having an “aborted AMI” and were included in the AMI analysis. The American College of Cardiology/European Society of Cardiology criteria for ST-elevation on 12-lead electrocardiogram identified 236 patients with AMI (sensitivity 45%, specificity 92%). Additional QRST features improved sensitivity (51% to 68%) but with decreased specificity (71% to 89%), with the optimal multivariate ECG model having a c-statistic of 0.75. The optimal BSM model identified 402 patients as having AMI (sensitivity 76%, specificity 92%, c-statistic 0.84). This improvement in sensitivity over the 12-lead electrocardiogram was due mainly to detection of ST-elevation in the high right anterior, posterior, and right ventricular territories and AMI in the presence of left bundle branch block. In conclusion, QRST variables added to criteria for ST-elevation result in improvement in sensitivity of the 12-lead electrocardiogram, although with decreased specificity. The BSM is superior in detecting AMI and demonstrates the importance of electroanatomic evaluation of patients with acute coronary syndromes.
The American Journal of Cardiology
Volume 102, Issue 3, 1 August 2008, Pages 257-265
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第36回日本血管外科学会
頸動脈狭窄に対する治療選択―CASかCEAか?
頸動脈狭窄に対する血管内治療による頸動脈ステント留置術(CAS)が4月から保険適用となり,頸動脈内膜離術(CEA),CASの適応について議論が活発化している。
東京都で開かれた第36回日本血管外科学会(会長=日本大学心臓血管外科・根岸七雄教授)のパネルディスカッション「頸動脈狭窄に対する治療選択―CASかCEAか?」(座長=東京慈恵会医科大学血管外科・大木隆生教授,三重大学脳神経外科・滝和郎教授)から,2つの報告を紹介する。
NIRSモニタリングによりCEAの安全性が向上
国立病院機構金沢医療センター心臓血管外科の松本康氏らは, CEAを施行した55例の検討結果から,内シャントを挿入すべきかを判断するうえで,近赤外線分光法(NIRS)による術中脳血流モニタリングが有用であることを示した。
NIRSモニタリングで血行遮断後に虚血が示唆される波形パターンを示す患者に選択的に内シャントを使用することで内シャント使用率が30%程度となり,良好な手術成績が得られたという。
内シャント使用は27例中8例
対象は,2008年3月までに頸動脈硬化病変に対してCEAを施行し,脳血流モニターとしてNIRSを用いた連続した55例(年齢72.4±7.8歳)。
麻酔導入前に,手術側の頬骨弓上方の側頭窩に4波長2受光方式のNIRS(OM-200)を固定し,組織酸素飽和度,酸化ヘモグロビン(Hb)および還元Hbを測定した。
まず,前半の28例を対象に,血行遮断後のNIRS所見のパターン分類を試みた。
その結果,脳血流低下が10%以下の微小変動型(68.9%),酸化・還元Hb曲線が近接したまま推移する近接型(17.2%),同曲線が完全に交叉解離する逆転解離型(13.7%)の3型に分類された。
微小変動型の10%,近接型の20%,逆転解離型の25%は,術前の脳血流スキャンで血流低下を指摘されていた。
逆転解離型は明らかに虚血と診断され,近接型は1例で一過性脳虚血発作(TIA)が認められたため,逆転解離型と近接型を虚血と定義した。
後半の27例に対しては2分間のクランプテスト後,微小変動型19例を除く逆転解離型,近接型各4例の計8例(29.6%)のみに内シャントを使用した結果,神経学的合併症は1例も認められなかった(図)。

全体として,TIAの1例を除いて神経学的合併症は認められず,良好な手術成績が得られたという。
保険適用後のCASの安全性確立には適応選択,術中遠位血栓など課題
末梢血栓防止用デバイス(Angioguard XP)を使用したCASは,CEA高リスクの頸動脈狭窄に対し, 4月から健康保険が適用された。
神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科の坂井信幸部長らは,国内でもCASはCEAと同等の周術期成績が得られているが,no flowに起因する遠位血栓が新たな課題となっていると指摘。
また,CASの適応選択について,「CEA高リスク症例すべてがCASの適応ではない。
CEAもCASも危険な病変を見逃さないという視点で診断とリスク評価を行い,適切な治療法を選択すべきである」と述べた。
CASの周術期成績はCEAと同等
同科では,1997?2007年の11年間に頸動脈狭窄854例に対しCASを施行したところ,周術期死亡(術後30日以内)は4例(0.47%), major strokeは5例(0.59%),minor strokeは11例(1.29%),一過性症候は30例(3.51%)であった。
死亡4例の内訳は心疾患2例,ステント位置不良1例,過灌流1例であり,major strokeは5例中4例が術中遠位血栓,1例が閉塞に伴う脳梗塞であった。
また,日本脳神経血管内治療学会(JSNET)の2007年CASサーベイランス報告によると,全国で施行されたCAS 7,929件の周術期死亡(術後30日以内)は0.6%,major stroke 1.0%,minor stroke 1.8%,一過性症候3.3%で,これらを合わせた合併症発症率は6.7%と,過去に報告されたCEAの成績とほぼ同等であった。
No flowのリスク評価や対策を
一方,末梢血栓防止用デバイスを使用したCAS承認後の周術期成績については,全国で施行された614例(ジョンソン・エンド・ジョンソン社調べ,2008年3月14日集計)では死亡例はなく,有害事象〔死亡,脳卒中,心筋梗塞,一過性脳虚血発作(TIA),徐脈,重度低血圧,ステント内血栓,急性閉塞,スパズム,no flow,過灌流症候群〕は77例(12.5%)で,このうち脳卒中は15例(2.4%),TIAは7例(1.1%),急性閉塞,ステント内血栓が各1例発生している。
坂井部長らは承認後CASを,CEA高リスク患者50例を含む55例に施行し,24時間以上症状が遷延した4例のうち,major stroke 1例(1.8%),minor stroke1例(1.8%)が発生した。4例中1例は過灌流,残り3例は,後拡張の血管造影でフィルターを介する血行が消失するno flowによる遠位血栓が原因であった。
国内19施設の共同研究の結果では,症候性,高度狭窄,CEA高リスク群,前拡張のバルーンがやや大きめの場合にno flowのリスクが高いことが判明している。
フィルターに詰まったプラークがslowもしくはno flowを惹起することもわかってきており,no flowが生じた場合はフィルター回収前に血液の吸引が必要になる。
同部長らは,頸動脈狭窄症に対しCASの適応を検討する際は,MRI (Black Blood)による頸動脈プラークの診断,DSAによるアクセス路の確認などの手順を踏んで血行再建の適応を判断し,CEA,CAS双方の有益性とリスクを比較検討したうえで最終的に決定するという(図)。

出典 Medical Tribune 2008.7.3
版権 メディカル・トリビューン社
<関連記事> 2008.7.14追加
頸動脈狭窄例に対する脳卒中予防
PTAはCEAと同等以上の効果
〔独シュツットガルト〕 ドイツでは,毎年約 4 万人が頸動脈に関連した脳卒中を発症しており,その約半数は,その後,永続的に介助が必要な状態となる。
カール・オルガ病院(シュツットガルト)のThomas Stork教授は「頸動脈高度狭窄例に対する脳卒中予防措置として,経皮的血管形成術(PTA)は頸動脈内膜切除術(CEA)に代わる興味深い手技である」とKlinikarzt(2006; 35: 134-139)に発表した。
高リスクなほどPTAが有利
頸動脈に対するPTAが初めて適用されたのは1977年であるが,その後ステントや塞栓予防手技の利用により,同手技は著しく改善された。
しかし,頸動脈狭窄に対するPTAが本格的に脚光を浴びるようになったのは,2002年にSAPPHIRE(Stenting and Angioplasty with Protection in Patients at High Risk for Endar-terectomy)試験のデータが公表されて以降のことである。
同試験は前向きランダム化試験としてデザインされ,高リスク患者307例を対象としてステントを使用したPTAとCEAが比較検討された。
その結果,30日後の主要心血管イベントリスクは,PTA群の5.8%に対してCEA群では12.6%,1 年後でもPTA群の11.9%に対してCEA群では19.9%とPTA群のほうが低かった。
数多くの前向き試験の登録ずみデータからも,高リスクおよびきわめて高リスクの患者に対する頸動脈PTAの安全性は裏づけられている。
さらに,約6,000例を対象としたステント使用PTAとCEAとの比較試験も現在進行中である。
頸動脈狭窄に対するPTAやCEAの適用を検討する前に,duplex超音波検査,動脈造影あるいはMRI血管造影を用いて診断を確定しておく必要がある。
こうした検査を通じて個々の患者リスクを見極めれば,どちらの方法が有用かは明らかになる。
比較的年齢の低い患者(平均65歳)で重大な随伴疾患がない場合のリスクは中等度とみなすことができる。
特に症候性狭窄例での 5 年間の経過を見ると,CEAの適用に踏み切るほうが自然経過に委ねるより有利であることが証明されており,PTAには少なくともCEAと同等の効果があるようだ。
治療手技が原因で脳卒中あるいは死に至るリスクは,いずれを選択した場合でも,無症候群では 2 ~3 %,症候群では 3 ~ 6 %である。
SAPPHIRE試験や登録ずみデータから判断する限り,高リスクまたはきわめて高リスクの患者では,ステント使用PTAのほうがCEAより有利な傾向にある。
PTAにより脳卒中または死に至る確率は高リスク群では約 6 %,きわめて高リスク群では約 8 %であるのに対して,CEAでは14%に達している。
これまでのデータによると,PTAの臨床的有用性は年齢および狭窄度が上昇するにつれて高まる。
頸動脈の再狭窄は,冠動脈狭窄の場合とは異なり,PTAでもCEAでもあまり問題とはならない。
出典 Medical Tribune 2007.1.11
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バイエル CVRM シンポジウム in 東京
Bayer Symposium on Cardiovascular Risk Management, 2008
さらに重要性を増す心血管リスクの多角的管理戦略
のシンポジウム紹介記事で勉強しました。
抗血小板療法
脳卒中診療の新しい流れ;
多角管理がアスピリンの効果を高める
演者: 国立病院機構九州医療センター統括診療部長
岡田 靖 氏
座長: 国立循環器病センター名誉総長
山口 武典 氏
脳卒中の危険因子は従来,何よりも高血圧と考えられてきた。
しかし近年,それに加えて糖尿病,脂質異常,肥満,喫煙など複数の危険因子を持つ患者が増加している。
国立病院機構九州医療センター統括診療部長の岡田靖氏は,一過性脳虚血発作(TIA),非心原性脳梗塞の急性期治療や再発予防には複数の危険因子に対する多角管理が必須で,それが抗血小板療法の効果を高めるとした。
脳梗塞と同様の警戒を要するTIA
岡田氏は講演の冒頭,久山町研究を引用し,脂質異常症,耐糖能異常,肥満などの危険因子を持つ患者が増えていることを示した。
また,日本における脳梗塞急性期の実態調査J-MUSIC(Japan Multicenter Stroke Investigators' Collaboration)から,急性期の病型としてアテローム血栓性脳梗塞の割合が高まっていると述べた。
そして不安定狭心症,心筋梗塞(MI),脳梗塞/TIA,末梢動脈疾患(PAD),間歇性跛行,心血管死など,動脈硬化巣の破綻から始まる症候性動脈血栓性疾患をアテローム血栓症と総称し,全身血管病として治療方針を見直す動きがあることを紹介した。
特にTIAは,軽症の脳梗塞ととらえられがちだが,実は非常に高リスクであることがわかってきた。
高度狭窄合併例では1週間で8.5%,3 か月で20%が完成型脳梗塞を発症する。
逆に,完成型脳梗塞の発症前にTIAが見られた例を調べると,その半数はTIA出現後48時間以内に発症していた。
したがって,この48時間に診断を終え治療に着手することが基本となる。
不安定狭心症をMIに匹敵する重症の急性冠症候群ととらえ,迅速に対応するのと同じ考え方である。
TIAのなかでも,数時間前の初回発作,TIA頻発,心原性TIA,心房細動(AF)・頸動脈高度狭窄の合併,長い症状持続時間,大脳皮質症状といった症例は,即日入院させるべきだという。
また,ABCDスコアが高い例も同様である。
ABCDスコアとは,Age(年齢),Blood pressure(来院時血圧),Clinical feature(神経症候),Duration(症状持続時間)の各項目をスコア化し,その合計でリスクを層別する方法で,6点以上の場合,1週間以内の脳梗塞発症率が3割に及ぶという。
米国脳卒中協会のガイドラインには,こうした時間軸に沿った初期治療のほか,危険因子の多角管理の必要性が示されている。
目標値は血圧140/90mmHg,空腹時血糖126mg/dL,LDL-C 100mg/dLで,禁煙の徹底も重要とされている。
アスピリンは脳梗塞急性期,慢性期再発予防に明確なエビデンス
急性期の多角管理の軸となるのは,抗血小板療法である。そのエビデンスとしては,中国で行われたCAST(Chinese Acute Stroke Trial),国際共同試験IST(Inter-national Stroke Trial)の計約40,000例において,発症48時間以内にアスピリン投与を開始し,2~4週間の投与で脳梗塞再発,それによる死亡,全死亡が有意に減少したとの複合解析結果がある。
この成績に基づいて,アスピリンは急性期の抗血小板薬として唯一,日米欧のガイドラインに第一選択として記載されている(表 1)。

慢性期の再発予防として,心原性脳梗塞には一般的に抗凝固療法が行われる。
他方,非心原性脳梗塞には抗血小板療法が推奨される。
なかでもアスピリンは,脳血管疾患のみならず,MIや狭心症など心血管疾患の二次予防にも有効であることが多くのエビデンスで示されており,患者の全身管理に適した薬剤だと言える。
脳梗塞,MI,PADのいずれかを有するアテローム血栓症患者20,000例を36か月間観察したCAPRIE (Clopidogrel versus Aspirin in Patients at Risk of Ischemic Events)試験では,クロピドグレルがアスピリンに比べ脳・心血管疾患発症の相対リスクを8.7%低下させた。
ただし疾患別の解析では,両群の差はPADで特に大きく,脳卒中やMIでは明らかな差が認められなかったという。
また,Bergerらの2008年のメタ解析では,脳卒中に対するアスピリンのNNT(number needed to treat)は,スタチンやACE阻害薬に比べて優れていることが示された。
こうした結果から岡田氏は,慢性期の抗血小板療法には薬価が安く,多くのエビデンスを有するアスピリンがベースになる,との見解を示した。
続いて同氏は,脳・心血管疾患の予防には血圧,血糖,血清脂質の管理がすべて重要であることをUKPDS,PROactive,SPARCLEの結果から示した。
Albersらはこれらに加え禁煙,減量,抗血小板療法の予防効果を示し,脳血管障害予防における多角管理の重要性を指摘している。
これを受けて岡田氏は,非心原性脳梗塞とTIAの急性期および再発予防の考え方を「ベースはアスピリンだが,抗血小板療法のみに頼らず,アテローム血栓症に対する多角治療に注目すべき。
特に高血圧,糖尿病,脂質異常,禁煙を含む生活習慣改善が重要である」とまとめた(表 2)。

そして「こうした多角管理が,結果的には抗血小板薬の効果をいっそう高めることになるのではないか」と述べ,講演を結んだ。
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間> 20.7.6PM7
ちょっと一泊で山に涼みに行ってきました。
遠出には10年以上乗っているオンボロのワンボックスカーに乗ります。
この前は高速道路でスピードメーターがいきなり動かなくなり困りました。
きょうは、帰りの高速が雨混じりでワイパーをかけました。
しかしワイパーも劣化していてよく拭けません。
そんな中、我が愛車と同じくらい古いアルファロメオが前を走行していました。
その車のリアガラス越しにみるワイパーの動きが何だか変です。
小雨だったせいか妙にゆっくりワイパーが動いているのです。
ヨーロッパ車は間歇ワイパーという考えがなくて小雨の時にはゆっくり動くように調整できるのでしょうか。
運転していて目障りのような気がするのですが。
ワイパーの件で、運転中に思い出したことがありました。
それは190というスモールベンツ、そしてミディアムベンツ。
現在のMクラス、Cクラスは違いますが、当時はワンアームの伸縮するワイパーでした。
私は190D2.5に長く乗っていたことがあります。
停車していてワイパーをつけるとあの頑丈な車体が揺れるほど強力なワイパーでした。
伸縮することにより拭き取る面積をかせぐという素晴らしいワイパーでさすがメルセデスと関心したものでした。
かなりの開発費をかけたようで2代にわたって採用されました。
そうこうするうちにジャガーも一時期ワンアームのワイパーをつけました。
しかし、それは伸縮しないまったく意味のないものでした。
そのあたりに、ドイツ車と英国車の違いをみたような気がしたものです。
つまんない話で申し訳ありません。
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われわれ循環器専門医(私はもと専門医ですが)はどうしても心臓に興味を持ってしまいます。
脳卒中の治療は神経内科医や脳外科医の領域で、興味を持たれない先生方も多いのではないでしょうか。
しかし、高脂血症治療薬や降圧剤の大規模臨床試験には心血管障害や脳血管障害といった表現で薬効評価やエンドポイント設定におおいに関係しています。
私自身も開業して一般内科医になってからは心臓病学というより循環器病学としてこの領域をみるようになりました。
考えてみれば発生学的には、心臓自体も循環系のポンプの役割を果たす血管の一部に過ぎないわけです。
そんなわけでこのブログでも時々ARBやスタチンがらみで脳血管障害をとりあげて勉強したいと思います。
心臓血管系の発生
http://anatomy.dept.med.gunma-u.ac.jp/blogs/anatomy/files/cvdev-ho.pdf#search='心臓 発生学'
William Harvey
http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~michel/kyulib_igakubunkan/expl/harvey.html
ハーヴェイと血液循環
http://www.lib.nakamura-u.ac.jp/yogaku/harvey/head.htm
<補足コメント>
発生学上、心臓が最も早く機能するということですが、この時点で動静脈系の大循環が完成されているのでしょうか。そして血管の発生というのはどこまで解明されているのでしょうか。
たしか、冠動脈の側副血行路の研究で、このcolateralが虚血の起こる前から存在するものなのか、虚血後に発生し発達するものなのかがよくわかっていないような話を聞いたことがあります。
たしか日循総会が秋田で開かれた際に、金澤教授がそんな会長講演をされたような記憶があります。随分昔の話です。
特別企画
Round Table Discussion 座談会
MetSをTargetとした脳卒中抑制戦略
―ARBの役割はいかに―
近年,動脈硬化や心房細動に起因するタイプの脳卒中は増加傾向にある。これには,さまざまな代謝異常が重積したメタボリックシンドローム(MetS)が密接に関わっている。
棚橋 紀夫 氏(司会)
埼玉医科大学国際医療センター神経内科 教授
井林 雪郎 氏
九州大学大学院 医学研究院病態機能内科学 准教授
熊谷 裕生 氏
防衛医科大学校腎臓内科 准教授
MetSとCKDが脳卒中のリスクとなる
棚橋(司会)
本日は,メタボリックシンドローム(MetS)を背景に有する高血圧症患者さんの脳卒中発症抑制戦略と,ARBに期待する役割について考えたいと思います。
また,最近,心血管系イベントの危険因子として注目されている慢性腎臓病(CKD)についても取り上げたいと思います。最初に,MetSならびにCKDにおける脳卒中のリスクについてお話しください。
井林
近年注目を集めるMetSやCKDの増加は目覚ましく,MetS人口が予備軍を入れると約3,000万人,CKDは約2,000万人にも及ぶと推定されています。
まさに日本の国民病と言えるでしょう。
久山町研究では,MetS構成因子が集積するほど心血管系イベントの発症リスクが高くなることが報告されています。
また,MetS構成因子を多数有するほどCKDを発症しやすく(図1),CKDを有すると心血管系イベントの発症頻度も高まることが報告されており,MetSとCKD,そして心血管系イベントが深く関連していることがわかります。

私たちは2001年から福岡市近郊の7施設でFukuoka Stroke Registryの立ち上げ準備を行い,昨年より急性期脳卒中の全例登録を開始しました。
最初に登録された224例では,高血圧や脂質異常例が多く,特にアテローム血栓性脳梗塞では腹部肥満例の割合が高いことがわかりました。
また,腎機能を調べることができた136例のうち,4割以上がCKD(GFR 60mL/分/1.73㎡未満)であり,CKD症例では,年齢,収縮期血圧が高く,入院時重症度(NIHSS)や退院時障害度(modified Rankin Scale)も悪いという結果でした。
熊谷
茨城県の一般住民9万人を10年間観察したコホート研究でも,血清クレアチニン1.3mg/dL以上の群は0.8mg/dL未満の群に比べ,脳血管疾患死の相対リスクが高まることが明らかにされています。
これまで,私たち腎臓専門医は,腎障害が脳卒中のリスクになるとの認識が薄かったと思います。
しかし,CKDや脳卒中は,どちらも悪い生活習慣や加齢に伴って,全身の動脈硬化が進展した結果現れる病態です。
ですから,腎障害と脳卒中は強く関連する疾患として認識しなければいけないでしょう。
MetSとRA系の活性,そして交感神経活動亢進
棚橋
それでは,なぜMetSが脳卒中のリスクとなるのか?
そのメカニズムについて伺いましょう。
熊谷
MetSや肥満から心血管系イベントが生じるメカニズムを解く鍵の1つは,レプチンやレニン・アンジオテンシン(RA)系の活性化による交感神経活動の亢進にあると思います。
脂肪細胞から分泌されるレプチンは,食欲低下,エネルギー消費の増加だけでなく,腎臓や心臓の交感神経活動を亢進させ,血圧上昇や心拍数増加にも関与しています。
しかし,肥満者においては,レプチンの交感神経亢進作用のみが保持される「選択的レプチン抵抗性」となり,交感神経活動が持続した状態になります。
さらに肥満者では,脂肪細胞が肥大化することにより,RA系が活性化され,それによっても交感神経活動は亢進します。このような交感神経活動の亢進が,MetSや肥満者で脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる理由の1つであると考えています。
井林
MetSや肥満者では,RA系の活性化の他にも,内臓脂肪から種々のアディポサイトカインが分泌されるため,インスリン抵抗性の惹起,あるいは高血圧,脂質異常,耐糖能異常,さらには血栓形成系の亢進などが起こり,動脈硬化の進展,そして脳卒中などの心血管疾患が発症しやすい病態になります。
熊谷
動脈硬化の危険因子は脳,心,腎の血管いずれにおいても共通です。
脳,心,腎のいずれかの血管の健康状態が悪くなるということは,他の部位の血管の健康状態も悪くなります。
ですから,腎臓が悪い患者さんは透析に移行するリスクが高いだけでなく,同時に脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクも高まっていると考えなければなりません。
ARBによる降圧療法と脳血流
棚橋
MetSによる交感神経活動の亢進,そしてCKD。主要なキーワードの1つが高血圧です。
それでは,MetSの方の高血圧治療では,どのような点に留意すべきでしょうか。
井林
脳卒中の最も大きなリスクは,昔も今も高血圧ですから,やはり血圧は確実に下げたいですね。
降圧薬は,従来はCa拮抗薬が多く使われていましたが,カンデサルタンその他の確実な降圧効果を有するARBもあるので,CKDや動脈硬化の進展抑制という観点から,ARBを選択・併用する機会が増えています。
棚橋
降圧効果以外でARBを選択するメリットはありますか。
井林
脳卒中既往例や高血圧患者の脳血流自動調節能は右方(血圧の高い側)に偏位しており,脳血流の低下が然らざる患者さんに比べると,高い血圧レベルで生じてきます。ですから高血圧の場合には,降圧治療による脳血流低下を懸念しがちです。
しかしARBでは,降圧をきたさない程度の低用量でも脳血流自動調節能を左方にシフトさせます。
また,時間をかければ,高用量で血圧を充分に下げても,脳血流が保たれることを確認しています。
これは,ARBが脳血管(内皮,平滑筋,周皮細胞)の酸化ストレスを軽減し,血管内皮障害,炎症,リモデリングを改善したためと考えています。
ARBの多面的な作用と脳卒中の発症抑制
熊谷
私は,カンデサルタンの抗炎症作用に加えて,亢進している交感神経活動を抑制する作用にも期待しています。
これは,脳血管障害患者さんの再発リスクを軽減するという点でも重要です。
またインスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンが2型糖尿病の脳卒中の再発リスクを47%低下させました(図2)。
このような結果が得られたのも,ピオグリタゾンが交感神経活動を抑制したことが影響していると考えています。

井林
ARBは,高齢者脳卒中の重要なリスクである心房細動の新規発症を抑制することが明らかにされています。
そのメカニズムとして,心筋の線維化や心肥大抑制による構造的改善と,細胞内のカルシウム過負荷を抑制する電気的改善が考えられています。
最近,高齢者を中心に心原性脳塞栓症が増えていますので,ARBによる心房細動の新規発症抑制には大きな意義があると思います。
棚橋
フラミンガム研究ではBMI値が高いほど心房細動発症リスクが高くなると報告されています(図3)。
この点からも,肥満者やMetSの方に対する有用性が期待できますね。

井林
また,肥大化した脂肪細胞からはPAI-1が分泌され血栓形成系が亢進しますが,カンデサルタンはPAI-1の産生を抑制するとの報告もあり,かかる作用も脳卒中治療に貢献するのではないでしょうか。
熊谷
高血圧症例は,正常血圧例に比べ糖尿病の新規発症リスクが3.3倍高くなることが報告されています。
肥満・MetS例では,もっと顕著となるでしょう。
糖尿病は,脳卒中の重大なリスク因子ですから,それを防ぐことは重要です。
カンデサルタンはCASE-Jで糖尿病の新規発症リスクを36%低下させることがわかりました。
将来のイベント抑制に重要な知見です。
棚橋
CKDを合併する高血圧症に対してはどのような降圧薬が適しているでしょうか。
熊谷
尿蛋白を減少させることで,腎機能障害の進展を抑制できることが知られています。
ARBは蛋白尿を減少させるのでCKDにきわめて有用だと言えます。
特にカンデサルタンは腎機能低下の進行を抑制することがCASE-Jで明らかにされています。
腎機能を考慮した降圧療法にはカンデサルタンのようなARBが第一選択薬であるべきだと考えています。
棚橋
RA系の活性化と脳卒中の発症との関連についてまとめました(図4)。

特にMetSのような危険因子が集積した症例においてARBがpleiotropicに作用し,脳・心・腎の血管系イベントを抑制することに期待しています。
今後我々は,MetSやCKDをさらに注目し,脳卒中の発症抑制を念頭に置いた降圧治療を行っていかなければなりません。
そのなかで,ARBを使いこなしていくことが重要になると思います。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41150581&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.4.10
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
きょう患者さんに渡されたメモです。
プロレス、トライコラ・・・。
他に
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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「井蛙内科/開業医診療録」
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昨日の続きです。
過灌流症候群の予防につながる術式の工夫が急務となっている
CASで好成績を得るには,過灌流の回避も課題となる。CAS施行後に頭痛や痙攣,一過性の脳神経症候,頭蓋内出血といった過灌流症候群が生じる頻度は1%前後と低いが,出血合併症を来した場合の死亡率は50%と高い。
脳循環予備能の低下や高度狭窄がリスク因子と考えられているが,同症候群に対しては治療の決め手を欠くのが現状である。
このため過灌流症候群の高リスク例に対し,浅側頭動脈と中大脳動脈のバイパス術(STA-MCA吻合術),STA-MCA吻合術後のCASまたはCEA施行など,過灌流の回避を目指した治療が試みられている。
吉村氏らは,小さめのバルーンを用いて経皮的血管形成術(PTA)を施し,後日にCASまたはCEAを行う段階的血管形成術(staged angioplasty)を考案。
少数例の検討ながら,CAS単独施行と比て過灌流症候群の発症が少ないことを確認した。
同氏は「今後も検討を続け,2回の手術にうリスクをいかに抑えるか,初期PTA施行時の拡張度設定や適応症例の選択の在り方などを探っていきたい」と語った。
CAS施行例の血栓症予防においてアスピリンは必須の薬剤である
頸動脈狭窄症治療において合併症ゼロを目指すには,抗血栓療法も不可欠である。
CAS施行中に懸念される遠位塞栓症は,種プロテクション法で回避しうる。
だが,施行後に血栓症を来す例が少なくく,CAS施行前から施行後も長期にわたって抗血栓療法を行う必要がある。
特にソフトプラークの症例は要注意である。
CAS周術期の抗血栓療法では,最もエビデンスが豊富な低用量アスピリンが必須の薬剤として評価され,世界的に頻用されている。
国際共同研究ATT(Antithrombotic Trialists' Collaboration)では,287の無作為化比較試験(約21万2,000例)の成績をメタ解析。
主としてアスピリンを用いた抗血小板療法が,脳卒中既往・脳卒中急性期を含む閉塞性血管障害の高リスク例の脳・心血管イベント予防に有効であることが明らかになった(図 3)。

また,非心原性脳梗塞既往例を対象としたWARSS試験(2001)では,アスピリンの効果はワルファリンと同等であったが,出血リスクはアスピリン投与群で低い傾向が示され,アスピリンの有用性が高く評価された。
ただしCAS施行例の場合,施行後の血栓リスクが高いことから,一定期間は低用量アスピリンと他の抗血小板薬の併用が考慮される。
CARESS試験(2005)では,症候性頸動脈狭窄症例に対する抗血小板薬の併用により,微小塞栓シグナル(microembolic signals)が単独投与と比べて有意に少なくなることが示された。
しかし抗血小板薬の併用療法は,脳出血のリスクを高めることにもつながるため,漫然行うべきではない。
吉村氏は,現時点でCAS周術期の抗血栓療法を考慮する際,米国心臓学会財団と血管治療関係4学会が2007年に発表した臨床専門家合意文書が参考になるとし,その概要を説明した(図 4)。

CAS施行前は低用量アスピリンとクロピドグレを4日間併用し,施行時はヘパリンを静注。
施行後はアスピリンとクロピドグレルを1か月間併用し,以後はクロピドグレル投与を中止しアスピリン投与のみを継続することが推奨されている。
このように低用量アスピリンは,CAS施行例に対してもベースドラッグとして,長期にわたって服用が継続される。
同氏は「低用量アスピリンの薬価は1日当り約6円にすぎず,患者負担はきわめて小さい。有効性と安全性に加え,医療経済性が厳しく問われる現代にもマッチしている」と付言した。
そのうえで同氏は,近年臨床家の関心事となっている「アスピリンレジスタンス」について言及した。
「アスピリンレジスタンス」という言葉は,しばしば「アスピリンの抗血小板作用が十分に発揮されない状態」を表す際に用いられている。
しかし公式な定義は存在せず,その機序理解も確立された検査法もないなか,さまざまに解釈されて論じられているのが実情である。
同氏は「アスピリンに限らず,どんな薬剤を用いても,効果が現れやすい患者もいれば現れにくい患者もいる。今のところ知見は少ないが,将来的には効果を測定する正確なマーカーの開発,それに伴う個々の患者での用量調節が望まれる」との見方を示した。
病態に適した手技の選択と薬物療法の活用が治療成績向上の鍵
頸動脈狭窄症に対するCAS施行において「合併症ゼロ」という目標を達成するのは難しいが,吉村氏は今回紹介した要点を踏まえ,工夫を重ねながら着々と成果を上げている。
同氏らによる,2004年1月1日以降のCAS施行140例の総合成績を見ると,周術期死亡はなく,周術期合併症は5.0%(麻痺,視野異常),永久合併症は2.1%(視野異常)となっている。
CAS施行6か月後に実施したCTA検査または血管造影検査で,再狭窄が認められたケースはなかった。
フォローアップ中のCAS施行以外の原因にる死亡は1例(肝炎),合併症は1例(同側脳卒中〔脳出血〕)であった。
終演に当たり,同氏は「頸動脈狭窄症の治療成績を向上させるため,症例蓄積を通じて狭窄度およびプラーク性状の診断基準を確立したい。CASとCEAで治療効果を競う"CAS vs CEA"ではなく,"CAS with CEA"すなわち病態に適した手技を選択し,さらには薬物療法をうまく組み合わせていくことが重要と考えている」と総括した。
出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社

宮下 孝一 「ばら」
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きょうはMedical Tribuneに掲載された
「第23回日本脳神経血管内治療学会総会ランチョンセミナー」の記事で勉強しました。
テーマは頚動脈狭窄症です。
頸動脈狭窄症治療の最前線
合併症ゼロを目指したCASとbest medical treatment
頸部頸動脈狭窄症は脳血流量の低下,さらには脳梗塞を来しうる疾患であり,狭窄度,プラークの性状,症候の有無などを評価し,薬物療法や外科的治療を施す必要がある。
外科的治療の標準法は頸動脈内膜剥離術(CEA)であるが,このほど血管内治療,すなわち頸動脈用自己拡張型ステントと塞栓防止フィルターを用いた頸動脈ステント留置術(CAS)が保険適用を受け,今後はCAS施行例数が増加すると予想されている。
こうした動向を捉え,第23回日本脳神経血管内治療学会総会においてランチョンセミナー「頸動脈狭窄症治療の最前線―合併症ゼロを目指したCASとbest medical treatment」が企画された。
(座長)
滝 和郎 氏 三重大学大学院脳神経外科学教授
(演者)
吉村 紳一 氏 岐阜大学大学院脳神経外科学准教授
今後は頸動脈狭窄症例に対するCAS施行が大幅に増える模様
まず吉村氏は,頸動脈狭窄症に対するCEAとCASの有効性を裏付けるエビデンスを整理した。
CEAの有効性は1991年,NASCET試験の中間解析で初めて確認された。
一過性脳虚血発作(TIA)または120日以内に軽度脳卒中を起こした頸動脈高度狭窄症例を2年間追跡した結果,CEA施行群で同側脳卒中,脳卒中または死亡の発生率が薬物療法群と比べて有意に少なかった。
またACAS試験(1995)では,無症候性の頸動脈高度狭窄症例を5年間追跡し,CEA施行群で同側脳卒中の発生率が薬物療法群と比べて有意に少ないことが示された。
一方CASに関しては,SAPPHIRE試験(2004)でCEAに対する非劣性が証明された。
対象はCEA高リスクの頸動脈狭窄症例(症候性:狭窄率50%以上/無症候性:同80%以上),一次エンドポイントは術後1年以内の重大な心血管イベント(30日以内の死亡,脳卒中,心筋梗塞,31日~1年以内の死亡,同側脳卒中)とした。
CASでは,自己拡張型ステントと塞栓防止フィルターを用いた。
その結果,一次エンドポイントの発生率はCAS施行群で低かった(12.2%)が,CEA施行群(20.1%)との間に有意差は見られなかった。
しかし,後に報告された症候性頸動脈狭窄症例を対象とした,EVA-3S試験(2006)やSPACE試験(同)では,CEA施行群の成績のほうがCAS施行群より良好であった。
これらの試験成績を踏まえ,同氏は「CASはエビデンスが確立しているCEAより優れているとは言えないが,これまでの知見はアジア人を対象としたものではない。黄色人の場合,頸動脈分岐部がやや高位にあるためCEAは容易ではない。
頭蓋内狭窄の合併が多く,CEAの術者が少ない臨床状況も鑑みると,日本でのCAS施行は保険適用を機に大幅に増えるに違いない」と展望した。
病変部の状態を評価したうえで最適なプロテクション法を選ぶ
では,CASでより良い成績を挙げるにはどうしたらよいか。 吉村氏は,
(1)プロテクション法の選択,
(2)術前診断と適応決定,
(3)過灌流回避の工夫,
(4)抗血栓療法をはじめとする薬物療法の活用
― を要点として挙げ,自身の経験を交えて概説した。
プロテクション法は,CAS施行時に好発する遠位塞栓を予防するため,内頸動脈の遠位部または近位部で遊離血栓などのデブリス(残屑)を捕捉する仕掛けである。遠位プロテクション法には,内頸動脈遠位部に誘導したバルーンによるデブリス吸引法と,フィルターによる回収法がある。
近位プロテクション法では,内頸動脈近位部をバルーンで遮断し,陰圧をかけて逆行性血流を生じさせながらデブリスを回収する。
このうち日本で保険適用を受けた塞栓防止フィルターは操作性に優れ,血流を遮断しないため内頸動脈閉塞による虚血例にも有効である。
ただ,フィルター自体が血栓症を起こす可能性があり,デブリスの回収能は他法に劣る。
同氏は「今後フィルター法が主流になるだろうが,屈曲病変や,内頸動脈起始部に高度狭窄と血栓付着が疑われるような場合は,他の方法も考慮する必要がある。
特に病変部の貫通(lesion cross)にリスクを伴う例には,近位プロテクション法の選択が望ましい」と述べた(表)。

狭窄度とプラーク性状を精査しCAS施行の適否を決定すべき
最近では頸動脈狭窄症の治療法の決定に際し,プラークの術前診断も重視されている。
従来の頸動脈エコー,CT,CTアンギオグラフィ(CTA)に加え,MRI Black Blood(BB)法やIB(後方散乱)エコー,Virtual Histologyも活用され始めている。
例えば全周性石灰化病変を認める場合は,CASを施行しても拡張不良が予測される。
また,頸動脈IBエコーを用いた山田清文氏(岐阜大学脳神経外科)らの検討では,症候性頸動脈狭窄症群でプラークのIB値が無症候性の群と比べて有意に低く,不安定プラークを含む例が多いことが判明した(図 1)。

しかしながら,無症候群の中にも低IB値例が見出され,症候性に転じる可能性がうかがえた。
こうした症例は,CAS施行中にプラークが破裂する恐れがあり,CASは不向きと考えられる。
さらに頸動脈エコー検査で高輝度(安定プラーク)と診断されても,ソフトプラークが存在することは少なくなく,CAS適応と即断できない。
Drosteらは,高輝度の頸動脈狭窄症例にCEAを施したところ,33%がソフトプラークであったと報告している(Neurol Res 19: 380, 1997)。
最近では,CTA検査で描出されない病変をVirtual Histology血管内超音波(VH-IVUS)検査で発見しうる。
吉村氏は,CAS施行予定例にVH-IVUS検査を行ったところ多数の壊死性コアが見つかり,急きょCEA施行に変更して難を免れた体験を紹介した。
同氏は「CASは万能ではない。CTやMRI,エコー検査などを駆使し,狭窄度とプラーク性状を慎重に診断して治療法を決めなければならない。軽・中等度狭窄例の安定プラークは薬物療法が,高度狭窄例の非常に柔らかい,または石灰化したプラークはCEAが適応となるだろう」と見解を示した(図 2)。

出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社
<参考サイト>
頸動脈狭窄症とその治療
http://www.ho.chiba-u.ac.jp/17/point/disorder/04.html
(詳しく解説されている良サイトです)
脳血管内治療センター
http://www.endovascular.jp/kyosaku.html
頚動脈ステント留置術
カテーテルを大腿動脈から頚動脈まで進めます。動脈硬化のかす(デブリス)がはがれて、脳の血管につまらないように遠位塞栓予防デバイス(Distal protection device; DPE)を使用します。まず狭窄部位をこの遠位塞栓予防デバイスを通過させる。その後バルーン(風船)を拡張させて、血流を一時遮断します。狭窄部をわずかに拡張させたあとにステントが入ったカテーテルを誘導していきます。現在使用されているものは、自己拡張型ステント(図)といって、さやを引くことにより自然に拡張する仕組みになっています。その後さらにバルーンでステントを血管の壁に密着させます。その後に遠位塞栓バルーンの下方に吸引カテーテルを用いてデブリスがたまっている血液を吸引除去し、血流遮断を解除し、血流を再開し手技を終了します。
頸部内頸動脈内膜剥離術(CEA)
皮膚を切開して頚動脈を露出します。総頸動脈、外頸動脈、内頸動脈にそれぞれ遮断を行った後に動脈に切開を加えます。その後、動脈硬化部分(プラーク)を削いでいきます。
Journal club ~内頚動脈狭窄のステント治療
http://www.dryumi.com/?p=219
(「Dr.Yumi」のブログに久しぶりに巡りあいました。以前Brugada症候群を書いたときに紹介して以来です。