戯れ言たれる侏儒
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CVD未発症者へのアスピリン投与でCVD死亡,がん死亡は減少せず
9つのRCT,70万人年のメタ解析
英セントジョージ大学のSreenivasa Rao Kondapally Seshasai氏は,1次(初発)予防におけるアスピリン使用のリスクベネフィットを評価すべく,2011年までに発表された9つのランダム化比較試験 (RCT)のデータのメタ解析を実施。心血管疾患(CVD)がない場合のアスピリンの予防的使用はCVD死亡やがん死亡を減少させていなかったことを報告した(Arch Intern Med 2012年1月9日オンライン版)。

 
心筋梗塞減少のベネフィットは出血イベントの増加で相殺される
Seshasai氏らは2011年までのMEDLINE, Cochrane Libraryと研究者らによる未発表のデータから,1,000人以上の規模でCVD,非血管アウトカム,死亡について報告したプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を検索。
条件を満たした9つのRCTの研究特異的オッズ比(OR)をランダム効果モデルを用いてメタ解析した。
さらに,CVD減少と出血 の増加の比較によりリスクベネフィットを評価した。

平均追跡期間は6.0(SD 2.1)年で,10万2,621人が解析に含められた。
統合重み付け平均年齢は57歳,46%は男性だった。

分析の結果,アスピリンは総CVDを10%削減しておりOR 0.90(95%CI 0.85~0.96),number needed to treat(NNT)は120だった。
これは主に非致死的心筋梗塞(MI)によるもので,同イベントのORは0.80(同0.67~0.96),NNT 162であった。

しかし,CVD死亡についてはOR 0.99(同0.85~1.15)と有意な減少はなく,がん死亡もOR 0.93(同0.84~1.03)と同様だった。

一方,重要(nontrivial)な出血イベントは増加し,OR 1.31(同1.14~1.50),number needed to harm(NNH)は73だった。

人口統計学,参加者の特性で説明できない研究間の異質性は,冠動脈疾患(CHD)と出血アウトカムに認められた。

同氏らは,非致死的心筋梗塞MIの減少のベネフィットは臨床的に重要な出血イベントで相殺されると結論。
今後,初発予防における定期的な使用がベネフィットをもたらす集団を特定し,個々の事例を考慮して使用すべきだとしている。        (木下 愛美)

出典 MT pro  2012.1.11
版権 メディカル・トリビューン社

 
<関連サイト>
心血管疾患既往患者は低用量アスピリン療法の継続を
■スペイン薬剤疫学研究所(マドリード)のLuis García Rodriguez博士らは,英国のプライマリケア関連のデータベースを用いた研究から,心血管疾患既往歴のある患者がアスピリンの服用を中止すると,非致死的心筋梗塞リスクが高まることが分かったとBMJ(2011; 343: d4094)に発表した。
■今回の研究では,低用量アスピリンの服用中止を回避することで,一般住民にはアスピリン療法による便益をさらに享受できる余地があることが示された。
 García Rodriguez博士らは,今後さらに研究を進め,患者に低用量アスピリン療法の継続を指導することで非致死的心筋梗塞リスクを低減できるか否かについて検討する必要があるとしている。
モデナ・レッジョ・エミリア大学(伊モデナ)のGiuseppe Biondi-Zoccai助教授らは,同誌の論評(2011; 343: d3942)で「今回の研究結果は極めて重要で,アスピリンの服用中止が悪影響をもたらすことを示した以前の研究結果を支持するものである」と強調。「患者には服用中止の指示がない限りは低用量アスピリンの服用を継続するよう指導すべきである」と述べている。
Arch Intern Med 2012年1月9日オンライン版

出典 Medical Tribune  2011.8.25
版権 メディカル・トリビューン社
 
心血管疾患既往患者の低用量アスピリン中止は非致死的MIリスクを高める
■心血管疾患歴のある患者の低用量アスピリンの服用中止は非致死的心筋梗塞(MI)のリスクを高めると,スペインのグループがBMJの7月23日号に発表した。
■低用量アスピリンの服用中止群は継続群と比べ,1,000人年当たり非致死的MI発症が約4例多かった。 
García Rodríguez LA, et al. BMJ 2011; 343: d4094.
出典 Medical Tribune  2011.8.25
版権 メディカル・トリビューン社
 
低用量アスピリンの中止は脳梗塞とTIAのリスクを高める
■低用量アスピリン定期使用者の服用中止は脳梗塞と一過性脳虚血発作(TIA)のリスク上昇につながると,スペインのグループがNeurologyの2月22日号に発表した。
■ 脳梗塞とTIAの1,000人年当たりの発症率は5.0で,脳血管障害の既往のある患者と心房細動患者で特にリスクが高かった。
アスピリンの服用を継続している患者と比べ,中止した患者がその後31〜180日以内に脳梗塞またはTIAを発症するリスクは1.4倍だった。
García Rodríguez LA, et al. Neurology 2011; 76: 740-746.
出典 Medical Tribune  2011.3.17
版権 メディカル・トリビューン社 
 
 
 
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アスピリンとクロピドグレルの2剤にシロスタゾール追加、投与初期は抗血小板作用が増強する
抗血小板薬シロスタゾールは、様々な作用経路を通じて周術期の虚血イベントを抑制すると報告されている。
しかし、アスピリンとクロピドグレルの2剤による抗血小板療法を開始する際に、シロスタゾールの追加によって抗血小板作用が増強するかどうかに関しては、まだ明確なデータが示されていない。
そこで、韓国・Gyeongsang国立大学病院循環器科のYoung-Hoon Jeong氏らは、22人の健康成人ボランティアを対象に、前向きオープンラベル2期無作為化クロスオーバー試験を実施。
シロスタゾールの追加によって血小板凝集抑制効果が高まるとの結果を、京都市で開催された国際血栓止血学会(ISTH2011)で報告した。
 
対象者は、アスピリン300mgとクロピドグレル600mgの初期投与を行った群(2剤群、11人)と、それにシロスタゾール200mg(0および6時間)を追加した群(3剤群、11人)に無作為に分け、2週間の休薬期間を置いた後に投与薬を入れ替えた。
クロスオーバー後は、両群ともに1人の対象者が除外され、それぞれ10人になった。
これらの対象者において、アデノシン二リン酸(ADP)およびアラキドン酸による刺激によって誘発された血小板 凝集を、試験開始時、1、2、4、6、8、10時間に、通常の血小板凝集計と多電極血小板凝集計(MEA)によって測定した。
主要評価項目は、4時間の ADP刺激最大血小板凝集抑制(IPAmax)とした。

その結果、5μMおよび20μMのADP刺激によるIPAmaxは、4、6、 8、10時間において、3剤群の方が2剤群よりも有意に高かった。

また、0.5mg/mLアラキドン酸による血小板凝集抑制は、1時間後から3剤群の方が 2剤群よりも有意に高かった。
MEAによる測定でも、結果は同様だった。
4時間におけるHPR(High on-treatment platelet reactivity;抗血小板薬を投与しても血小板活性が高い例)は、ADP刺激、アラキドン酸刺激の場合もともに、2剤群30%に対して3剤群0%であり、いずれも有意差が認められた。

ただ、6時間後におけるシロスタゾールの再投与は血小板凝集抑制をわずかに増加させただけで、ほとんどの対象者に副作用(動悸、頭痛など)がみられた。

これらの結果からJeong氏は、「初期投与におけるシロスタゾールの併用は、アスピリンとクロピドグレルの2剤のみよりもADPおよびアラキドン酸刺激血小板凝集の抑制効果が高かった」と述べた。

また同氏らは、現在、PCIを行った非ST上昇型急性冠症候群患者において、シロスタゾールとスタチンの併用効果を、2剤および3剤の抗血小板療法と比較検討する試験(ACCEL-LOADING-ACS trial)を進めていることも明らかにした。

演題名:

First Validation of Adjunctive Cilostazol Loading Effect and Dosage on Platelet Inhibition: Results of the ACCEL-LOADING Study
 
出典 NM online 2011.12.29
版権 日経BP社
 
 
<私的コメント>

健常者における検討ですが、この結果から臨床家は何を学べばいいのか頭が働きません。
「6時間後におけるシロスタゾールの再投与は血小板凝集抑制をわずかに増加させただけで、ほとんどの対象者に副作用(動悸、頭痛など)がみられた 」ということも、どういうことなのか、よく理解出来ませんでした。
 
 
<自遊時間>
“失われた8年”に決別し海外から患者貢献へ,シカゴ大移籍の中村祐輔氏
■昨年(2011年)1月から内閣官房医療イノベーション推進室長としてALL Japanでのオーダーメード医療確立をけん引してきた東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村祐輔氏。
先日,今年4月に米シカゴ大学へ移ることが発表された。
■中村氏は,2003年に“ゲノム解析完了”とされてから今日までのわが国を,“失われた8年”と振り返る。
この背景に,わが国では規制当局の姿勢が “規制=取り締まる”となっていることや,バイオベンチャー企業が育ちにくいことなどの理由がある。
例えば,「現在までにFDAが承認したがん分子標的治 療薬は20数種類に及ぶが,日本製はゼロ」とのことであり,ゲノム創薬で他国に後塵を拝す事態となっている。本来であれば国のトップが10年先,30年 先,50年先の国益を見据えて判断すべきであるが,わが国では「そういう意味でのリーダー不在であり,政治主導となっていない」と嘆き,同氏は次のように 風刺する。
「笛吹けど 無視を決め込む 霞が関 国のためより 役所の利権」
■今後の在り方として同氏は,「国の支援,公的な支援が不可欠」とし,他国の取り組みを例示した上で「機材もスタッフも分散させずに集約する方が効率良く取り組めるため,できれば日本でも拠点の設立を」と述べた。
■今年4月に米シカゴ大学へ移動することとなった理由として,「内閣官房医療イノベーション推進室で国のシステムづくりに取り組んできたが,実際にはさほど の権限もなく,なすべきことと現実とのはざまで思い悩むこともあった」とし,「残された時間を患者のために尽くしたいとの思いが強く,今後は,海外から日の丸を掲げて,世界中の患者により良い医療を届けたい」とまとめた。
出典 MT pro  2012.1.5
版権 メディカル・トリビューン社

 

 

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シロスタゾールは血栓体積を抑制することで出血時間の延長を防ぐ
抗血小板薬シロスタゾールは、血小板、血管内皮、血管平滑筋などに発現するホスホジエステラーゼ(PDE)3を可逆的に阻害し、出血時間の有意な延長は起こさないという、他の抗血小板薬と異なる特徴を持っている。
近畿大学医学部奈良病院血液内科の八木秀男氏らは、その機序を解明する研究を行い、シロスタゾールは血栓体積を抑制することで出血時間の延長を防ぐとの結果を得た。京都市で開催された国際血栓止血学会(ISTH2011)で報告した
 
研究はin vitroで行われ、20~40歳の健康な成人10人(男女各5人)から採取した5mLの全血を用いた。
これらに抗トロンビン薬のアルガトロバンを加え、 さらに、血小板粘着・凝集を促進するVWFを特異的に分解する酵素であるADAMTS13に対するモノクローナル抗体(A10)を添加し、同酵素活性を 0.5%未満とすることで血小板血栓形成が著明に亢進している血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者の実験モデルを作成した。
このサンプルにシロスタゾールを30、60、120μMとなるように加え、高ずり応力下(1500S-1)でI型コラーゲン被膜ガラス表面上を還流した。
そして蛍光色素 DiOC6(1μM)でラベルした血小板を蛍光顕微鏡下で計時的に観察することで血小板接着面積と血小板血栓体積をそれぞれ還流開始3分後、5分後、7分 後に測定した。
その結果、時間経過に伴う血小板接着面積の増加はシロスタゾールに影響されなかったが、血栓体積は、シロスタゾールを 60μMとした場合の7分後、120μMとした場合の5分後と7分後で有意に抑制され、濃度依存性が認められた。
そしてシロスタゾールを添加した場合の7 分後の血栓体積は、添加しなかった場合を100%とすると、シロスタゾール30μMでは69.4%、60μMでは60.9%、120μMでは47.4%となり、濃度依存性に血栓形成が有意に抑制された。
ただし、A10を加えなかったときは、シロスタゾールを添加しなかった場合と比べて有意な抑制がみられたのはシロスタゾール120μM添加のみだった。
これらの結果から八木氏は、「シロスタゾールが強い抗血小板作用を有しながら出血時間の 有意な延長はきたさないのは、血小板の接着は阻害せずに血栓の高さ(体積)を抑制しているためだと考えられる。また、TTP患者においてシロスタゾールは ADAMTS13の役割を補い、過度の出血を引き起こすことなく血栓の垂直方向の形成を抑制している可能性がある」と述べた。
出典  NM online 2011.12.27
版権 日経BP社
 
原題
Cilostazol Down-Regulates the Height of Mural Platelet Thrombi Formed Under a High Shear Rate Flow in the Absence of ADAMTS13 Activity

 

<関連サイト>

~PDE-3阻害薬~ 日本発のpleiotropic作用示す抗血小板薬
三重大学臨床創薬研究学の西川政勝教授,デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(愛知県)の日高弘義開発研究所長は,わが国で開発されたホスホジエス テラーゼ(PDE)-3阻害薬シロスタゾール,開発中の新規PDE-3阻害薬K-134について概説。
ともにPDE-3阻害の選択性が高く,血小板凝集阻 害作用に加え,血管拡張作用などのpleiotropic作用を有しており,K-134では頭痛や下痢などの軽減が期待できることなどを指摘した。
PDE-3阻害選択性増したK-134
シロスタゾールはPDE-3,特に心血管組織に発現しているPDE-3Aの阻害とアデノシンの細胞内取り込み阻害の双方から血小板内cAMPを増加し,血小板機能抑制,血管拡張作用を発現する()。
加えて血管内皮機能保護,血管平滑筋細胞増殖や内膜肥厚の抑制などのpleiotropic作用を有し,これらが血管イベント再発抑制に寄与している。
(1)出血時間を延長しない
(2)ずり応力惹起血小板凝集(SIPA)を用量依存性に抑制
(3)フィブリンによる血餠形成を阻害
—などのメリットもある。

 

図表

 

シロスタゾールは1988年に慢性動脈閉塞症に適応を取得,日本などアジアでは脳梗塞再発抑制の適応も有する。
臨床エビデンスも蓄積され,
(1)日本人脳梗塞患者対象のCSPSⅡ試験で, ASAに対し「脳梗塞,脳出血,くも膜下出血」を25.7%有意に減少し,非劣性を証明
(2)コクラン共同研究によるアジア人対象のメタアナリシスで,ASAに比べ脳出血リスクが74%有意に低い
—などの知見も判明している。
 
西川教授らは,PCI施行例の観察研究McLORDDで,クロピドグレル低代謝型のCYP2C19遺伝子アリルを有する群でも,ASA+クロピドグレル2剤併用にシロスタゾールを追加すると,血小板凝集阻害増強効果が得られることを見いだした。
 
しかし,シロスタゾールには血管拡張作用,心筋変力作用などに基づく頭痛,頻脈,下痢,動悸など非出血性合併症が認められる。
そこで,よりPDE-3を選択的に阻害し,有害事象を軽減する目的で開発されたのが,新規PDE-3阻害薬K-134だ。
 
K-134はシロスタゾールに比べて血小板凝集阻害が3~4倍強く,同様に出血時間を延長しない。
また,PDE-3A阻害作用に加えてコラーゲン受容体 のCD36,アクチン結合蛋白cofilin-2にも用量依存性に結合し,抗血小板・抗増殖作用との関連が示唆されている。
第Ⅰ相試験では,頻脈,下痢の発現が少ないことが示唆され,慢性動脈閉塞症患者を対象に日米で実施された第ⅡA相試験が既に終了している。
 
同教授は動物実験での頻脈減少にも言及し,「K-134はより改良の加わったPDE-3阻害薬であり,近い将来の臨床応用が期待される」と展望を述べた。
 
出典  MT Pro 2011.9.22
版権  メディカル・トリビューン社

 

 

 

 

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抗血栓療法前の血小板機能検査は有用
PCI施行ACS患者の虚血性イベントリスク評価
Careggi病院(伊フィレンツェ)循環器科のGuido Parodi博士らは,血管形成術などの処置を受けた急性冠症候群(ACS)患者に対して,適切なクロピドグレル用量を決定するための血小板機能検査 (PFT)を抗血栓療法の前に施行することの意義について検討。
「PFTで残余血小板反応性の高い患者では,短期追跡と2年間の長期追跡のいずれにおいても虚血性イベントリスクが高いことが分かった」とJAMA(2011; 306: 1215-1223)に発表した。
 
凝集能とイベントの相関を検討
残余血小板反応(residual platelet reactivity;RPR)は,抗血栓療法に対する抵抗性を反映する。
複数の先行研究で,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された患者では,クロピドグレル治療中のRPRの強さが主要心血管イベントの予測因子となることが示唆されている。
しかし,今回の論文の背景情報によると,in vitroのPFTで血小板反応性が一定のカットオフ値を超えれば,血栓塞栓イベントリスクが著明に上昇するかどうかについては,まだ明らかにされていな かった。
 
今回の研究では,PCI施行後にPFTの結果に基づいた長期抗血栓療法を受けるACS患者において,クロピドグレル負荷用量投与後の残余血小板反応高値 (HRPR)が,長期の血栓塞栓イベントの独立した予測マーカーとなるか否かを検討した。
Parodi博士らは,2005年4月~09年4月にPCI施行 後,RPR検査を受けたACS患者1,789例を登録。
全例にアスピリン325mgと負荷用量(600mg)のクロピドグレルを投与した後,維持用量とし てアスピリン325mg/日とクロピドグレル75mg/日を6カ月以上投与した。
 
アデノシン二リン酸(ADP)を用いた凝集能検査によりHRPRと判定された患者(血小板凝集能70%以上)では,ADPガイド下でクロピドグレルを増量するか,抗血小板薬のチクロピジンに変更した。
1次エンドポイントは,追跡2年後の心死亡,心筋梗塞,緊急冠動脈血行再建術,脳卒中の複合エンドポイン トとし,2次エンドポイントはステント血栓症および1次エンドポイントの個々の発生とした。
 
高凝集能で心死亡率上昇
解析の結果,1次エンドポイントは,RPRが低い群(LRPR群)の8.7%(1,525例中132例)に対し,高い群(HRPR群)では14.6% (247例中36例)と高かった。Parodi博士らはこれについて「心死亡率がLRPR群(4.3%)よりもHRPR群(9.7%)の方が高かったこと から,両群間のイベント発生率の相違は,主にこの心死亡率の差によると考えられる」と補足している。
 
また,ステント塞栓発生率はLRPR群の2.9%(1,525例中44例)と比べ,HRPR群では6.1%(247例中15例)と2倍であった。
追加解 析によりHRPRは,1次エンドポイント発生リスクの49%上昇,心死亡率の81%上昇と独立して相関することが分かった。
 
同博士は「このような患者ではHRPRの情報が虚血性イベントの予測に役立つ可能性が示された」としつつも,「今回の知見は,あくまで新規抗血栓薬を用いた個別化治療に向けてのさらなる研究の土台となる一仮説としてとらえるべきである」と述べている。
 
フロリダ大学ジャクソンビル校(フロリダ州ジャクソンビル)のDominick J. Angiolillo博士も,同誌の付随論評(2011; 306: 1260-1261)でPFTに関して同様にコメント。
「これまで有望な研究が実施されているにもかかわらず,臨床におけるルーチンのPFTを支持するエ ビデンスは十分に得られていない。適切な検出力を持ったランダム化比較試験の結果により,抗血栓療法の有効性と安全性(低い出血リスク)が示されるまで は,PFTはまだ研究用のツールにとどめておくべきである」としている。
 
出典 MT pro 2011.12.15
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<きょうの一曲>
DANIIL TRIFONOV Rehearsal - Tchaikovsky Piano Concerto No.1
http://www.youtube.com/watch?v=7XY7ro8VDu8&feature=related
 
Tchaikovsky - Concerto №1 - plays Daniil Trifonov
http://www.youtube.com/watch?v=g80VU33jr8Q&feature=related

 

 

 

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急性期から慢性期へつなぐ非心原性脳梗塞治療
司会
新井 基弘 氏 医療法人祐生会 みどりヶ丘病院 院長
コメンテーター
田中 美千裕 氏 亀田総合病院 脳神経外科 部長
出席(五十音順)
川端 信司 氏 大阪医科大学脳神経外科 講師
豊田 真吾 氏 大阪脳神経外科病院脳神経外科 部長
中野 美佐 氏 市立豊中病院神経内科 部長
松下 達生 氏 社会医療法人愛仁会 高槻病院神経内科 部長
八木田 佳樹 氏 大阪大学大学院医学系研究科神経内科学 (脳卒中センター) 助教
 
非心原性脳梗塞治療においては,急性期から慢性期にかけて適切に抗血小板薬を選択し,切れ目のない治療を将来にわたり継続する必要がある。
さらに 慢性期においては,出血性合併症リスクを可能な限り低下させつつ良好な服薬アドヒアランスを維持しなくてはならない。
先ごろわが国で行われたCOMPASS試験では,1日1回服用の経口抗血小板薬クロピドグレル(商品名:プラビックス®)50mg/日投与群と75mg /日投与群を比較し,脳出血年間発症率は両群ともに0.20人・年%であることが示された。
 

急性期は抗血小板薬2剤併用 慢性期は単剤でフォロー
田中
(非心原性脳梗塞の急性期治療の現在での問題点)近年,日本でもアテローム血栓症(ATIS)の増加が指摘されていますが,特に頭蓋内主幹動脈の高度狭窄に対する薬物療法の成績は必ずしも良好とはいえません。
こうした背景から,最良の内科的治療群を対照群とし,血管内治療(血管形成術+ステント留置群)の脳卒中予防効果を検討したSAMMPRIS試験が行われたものの,脳梗塞と死亡が多かったことから中止を余儀なくされました。


それでは薬物治療はどうかといいますと,脳血管狭窄病変を有する脳卒中患者に対する積極的な抗血小板療法の有用性を検討したTOSSⅡでは,脳梗塞の再発リスクが高い急性期や亜急性期における経口抗血小板薬の2剤併用の有用性が示されました。
また,主幹動脈,頸動脈の狭窄を有する患者を対象にした CLAIR試験CARESS試験では,アスピリン(ASA)+クロピドグレル群において微小塞栓シグナル(MESの発生を抑制しうることが示されています。
このように,EBMの観点からは,現時点では急性期に有効な抗血小板療法を行うことがbest medical treatmentであると考えています。
 

主幹動脈,頸動脈に狭窄が見られるアテローム血栓性脳梗塞の発症機序において,血行力学的な関与は少なく,血小板活性化に伴うartery to artery (A to A)embolismの関与が大きいことが知られています
実際,欧米では脳梗塞急性期治療において抗血小板薬の2剤併用がスタンダードとなりつつあり, カナダのガイドラインでは短期のASA+クロピドグレルの併用を推奨しています()。

 

図表

 


田中(非心原性脳梗塞の抗血栓療法レジメン) 
注射薬を用いる場合,ATISの全例にアルガトロバンを1週間,ラクナ梗塞の全例にオザグレルを2週間投与し,腎機能に問題がなけれ ばエダラボンを併用することもあります。
その際,最も重要なことは,血小板凝集能が亢進している急性期にASA+クロピドグレルを併用することだと思いま す。
当施設では入院当日からASA+クロピドグレルを1カ月間併用し,以後,クロピドグレル単剤でフォローしています()。
また,注射薬を使用しない場合も同様に経口抗血小板薬を用いています。

 

図表

クロピドグレルの年間脳出血発症率は75mg/日投与でも0.20人・年%
新井 
先生方の施設では,どのように経口抗血小板薬を選択されていますか
川端 
入院当日から病型に応じて選択し,注射薬と併用しています。
実際には,アルガトロバンとクロピドグレルを短期間併用し,クロピドグレル単剤でフォローする症例が多数を占めます。
また,既にASAを内服中の症例も多く,その場合はASAにクロピドグレルを併用し,慢性期にはクロピドグレル単剤で管理しています。
八木田 
慢性期の再発予防を視野に入れて薬剤を選択し,嚥下障害などがない限り入院当日から開始しています。
ATISの典型例である症候性の主幹動脈狭窄症例ではクロピドグレルを選択し,内皮障害の進展が疑われる例やBAD(branch atheromatous disease)ではシロスタゾールを使うこともあります。
豊田 
脳血管内治療を行う立場としては,十分な降圧療法を行った上で急性期に経口抗血小板薬を2剤併用して出血性合併症を来した経験はほと んどなく,抵抗はありません。
病型に応じてASAにクロピドグレルまたはシロスタゾールを併用し,1~3カ月以降に単剤に切り替えています。
松下 
病型を考慮した薬剤選択が重要だと思います。
高血圧,脂質異常症,糖尿病などのリスクが多ければASAにクロピドグレルを加え,少なければ心エコーを含め循環器系の評価をした上でシロスタゾールを加えています。
中野 
最近,頸動脈に認められる中等度のプラークから血栓が飛んでA to Aの塞栓を来したと推察されるケースが多く,その場合,クロピドグレルとシロスタゾールを併用することがあります。
やはり,症候性で頸動脈に高度狭窄がある症例にはクロピドグレルを選択するのがいいのではないかと思います。
新井 
血小板凝集が亢進した急性期に経口抗血小板薬2剤を併用し,慢性期には単剤でフォローされる先生方が多いようです。
田中 
リーズナブルな治療方針だと思います。
クロピドグレルは確実な抗血小板作用を期待できる薬剤ですが,日本人脳梗塞患者1,110例を 対象に適正用量を検討したCOMPASS試験の結果,出血性イベント発現率は50mg/日群,75mg/日群で差がなく,脳出血発生率はどちらの用量も 0.20人・年%という結果でした。
また,クロピドグレルはPRoFESS試験において単剤でASAとジピリダモールの配合薬と同等の有効性を示しま た。
こうしたエビデンスに基づき,慢性期には血圧管理に努めた上でクロピドグレル単剤でフォローすることが望ましく,今後,こうした治療がトレンドとなると考えています。

 

1日1回服用でアドヒアランス良好
ATISは全身疾患の観点でリスク管理

豊田慢性期の抗血小板療法)
服薬アドヒアランスを維持しやすい薬剤を選択することが望ましく,基本的には急性期治療から1~3カ月たった時点で1日1回投与のクロピドグレルを残す方針を取っています。
患者さんをプライマリケア医の先生方にお返しした後も,半年に1度は当科を受診していただき,MRIと頸部エコー を施行しています。
その際,あらためて抗血小板薬を服薬する意義をお話ししています。
松下 
急性期以降,血小板凝集能や血圧などが安定する2,3カ月を目途に単剤に替えるか,服薬アドヒアランスや副作用を考慮して薬剤を変更しています。
脳梗塞患者さんは,もともと血圧,脂質,血糖のコントロールが不十分だった方が多いため,厳格なリスク管理に努めることも重要です。
新規発症の方であれば,「来年の同じ日にもう1度診てみましょう」とお話しし,微小出血などが認められなければ治療の成果であることを強調して,再びモチベーションを高めていただくよう努めています。
川端 
服薬アドヒアランスを把握するための工夫の1つとして,患者さんに「手元にお薬が残っていたら,もったいないから教えてください」と尋ねています。
残薬が多く服薬アドヒアランスが不良なようであれば,あらためて抗血小板薬を生涯服薬する意義を強調するようにしています。
中野 
抗血小板薬の服薬を継続していただくためには,脳卒中の地域連携パスにプライマリケア医の先生方に参画していただき,急性期病院と回復期,維持期の診療を担われる先生方とのクロストークの機会を持つ必要があると思います。
八木田 
出血性合併症が少なく,アドヒアランスが維持しやすいことから,最近はクロピドグレルの処方頻度が上がっています。
当施設でも退院後のフォローは積極的に行うようにしており,患者さんにMRIと頸動脈エコーの画像所見をお見せして,自己判断で服薬を中止されることのないようお話ししています。
田中(慢性期治療のポイント) 
慢性期に再発を予防するためには,患者さんはもとより,プライマリケア医の先生方との協力と情報の共有を進めていくことも大切です。
当施設では,患者さんをご紹介いただいた先生方に,礼状,薬剤処方とともに3DCTやMRIの画像をCD-ROMに記録してお送りしています。
こうして画像情報を共有することにより再発予防に向けた治療努力が実ることを期待しています。
新井 
クロピドグレルは,CAPRIE試験において有用性が証明されています。
先生方のご討議を通じ,非心原性脳梗塞急性期から慢性期へと 切れ目なく治療を継続し,再発予防へつなげていくためには,クロピドグレルの有用性が高いことが確認できました。
 
出典 Medical Tribune 2011.10.27
版権 メディカルトリビューン社

 

 


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死亡23例・重篤出血138例に,ダビガトラン市販直後調査最終報告
9割が添付文書の注意喚起事項に合致,禁忌例への投与も

新規抗凝固薬ダビガトラン(商品名プラザキサ)の市販直後調査の最終報告(期間終了後報告)が,販売元の日本ベーリンガーインゲルハイムから発表された。
同薬発売後9月13日までの6カ月間に,薬剤との因果関係が否定できないと判断された死亡が23例,重篤な出血性副作用が138例報告されている。
138 例中122例(88.4%)は添付文書に明記されている注意喚起事項を有しており,出血症状,高度腎機能障害などの禁忌事項に合致する症例も少なからず含まれていた。
同社では引き続き安全性情報の収集・提供に努める方針を示している。

 
死亡例の6割に重篤な出血性副作用
最終報告では,ダビガトランが発売された今年(2011年)3月14日~9月13日に収集された1,492例2,357件の副作用情報がまとめられている。

重篤な出血性副作用は138例に認められたが,そのうち6例(4.3%)は消化管出血の既往例で,6例中3例は消化管出血を合併していた(出血 症状,出血性素因,止血障害のある患者への同薬の投与は禁忌)。
138例の出血部位(重複集計)は消化管83例(60.1%),頭蓋内30例 (21.7%)などであった。
 

調査期間中に認められた死亡例のうち,23例が薬剤の副作用との因果関係が否定できないと判断された。副作用の内訳は以下の通り。

・重篤な出血性の副作用:14例(60.9%)


・間質性肺炎:4例

・多臓器不全:2例(1例は間質性肺炎を併発)

・急性呼吸不全:1例

・うっ血性心不全,肺炎:1例

・敗血症性ショック:1例

・詳細不明:1例
(因果関係が確認されていないものを含む)


 
重篤出血例の14%が禁忌事項の高度腎機能障害例
注目されたのは138例中122例(88.4%)が添付文書に明記されている注意喚起事項を有していたことだ。具体的には,以下のような内容。


・高齢者(70歳以上):114例(82.6%)


・腎機能障害:57例(41.3%)

・消化管出血の既往・合併:6例(4.3%)

・消化管潰瘍の既往・合併:10例(7.2%)

・併用注意薬剤の併用:56例(40.6%)
 

特に注意すべきと考えられたのは,腎機能障害例のうち19例(13.8%)が禁忌事項となっている高度腎機能障害である点だ。
見方を変えると,重篤出血による死亡14例中9例が腎機能障害を,7例は高度腎機能障害を有していた。
 

併用注意薬剤の併用の内訳(重複集計)は,抗血小板薬33例,抗凝固薬8例,P-糖蛋白質阻害薬21例,非ステロイド抗炎症薬(NSAID)8例。

 
「今後も安全性情報を収集・提供する」
日本ベーリンガーインゲルハイムでは,調査結果の分析を踏まえ,以下のことに注意するよう呼びかけている。


・投与前,出血や出血傾向がないことを確認する


・必ず腎機能を確認する

・投与中は出血や貧血などの徴候を十分に観察する

・患者には出血があった場合は直ちに医師に連絡するよう指導する

・抗血小板薬との併用は慎重に判断する
                (平田 直樹)

 
出典  MT Pro 2011.10.21
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
<自遊時間> 
ちょっと古い話で恐縮です。今年の6月の新聞でフィンランド首相にカタイネン氏が選出されたという記事が掲載されていました。
きっと悪いことはしない固い人と思われます。
そういえばフィンランドにはスキーのジャンパーでアホネンという選手がいましたね。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1010381420

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PRODGY試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.10.13 00:48 / 推薦数 : 2
PCI後の2剤併用抗血小板療法、24カ月持続で6カ月持続より冠動脈イベント発生率は有意に低下せず
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の患者にアスピリンにクロピドグレルを追加する2剤併用抗血小板療法(DAPT)を24カ月持続しても、6カ月持続した場合に比べて冠動脈イベントの発生率は有意に低下しないことが、2011年8月パリで開催された欧州心臓病学会(ESC2011)で示された。
さらに、24カ月の持続DAPT療法では、出血のリスクが増大することも分かった。
イタリアのFerrara大学病院のMarco Valgimigli氏らが、PRODGY試験の結果を報告した。
 
同試験は、冠動脈血管再生術を実施する2000人以上の患者のうち、希望者全員を、ステントによる術後の内膜肥厚リスクを考慮し使用するステント (texus、endeavor、Xience V、BMS)が均等に配分されるようにし、2剤併用療法24カ月持続群と6カ月持続群に分けた
主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、冠動脈イベント、ステント血栓症の発生。

その結果、2年後の主要評価項目の累積発生率は、24カ月持続群で10.1%、6カ月持続群で10.0%で有意差はな かった(ハザード比:0.98、95%信頼区間:0.74-1.29、p<0.91)。

全死亡、心筋梗塞など個別の発生率においても両群間で差はなかった

また、24カ月持続群では、BARC出血基準によるタイプ5、3、2の出血イベントが約2倍多く発生した(ハザード比:2.17、 95%信頼区間:1.44-3.22、p<0.00018)。

TIMI出血基準の大出血と赤血球輸血の発生も、24カ月持続群で増加した (p<0.041)。

Valgimigli氏は、「2剤抗血小板療法の効果についてはわずかながらも可能性が残されるが、本試験の結果からは、6カ月以上持続しても臨床的なメリットはなく、入院治療を必要とする出血が有意に増加することが分かった。DES留置後、少なくとも12カ月は2剤併用療法を行うべきとする現行のガイドラインに疑問を投げかける結果となった」と指摘した。

ディスカッサントとして登場したドイツのA.Kastrati氏は、「同試験は非盲検で、対象者数も比較的少ないなどの限界がある。今後、さらに大規模な試験によって、DES留置後のDAPTの最適持続期間が明らかになることを期待したい」と言及した。

出典  NM online 2011.9.1
版権 日経BP社
 
<循環器・ひとくちメモ>

急性心不全のNohria分類
A: dry-warm (うっ血なし、低灌流なし)
B: wet-warm (うっ血あり、低灌流なし)
L: dry-cold    (うっ血なし、低灌流あり)
C: wet-cold   (うっ血あり、低灌流あり)

A → L → B → Cの順に予後が悪くなる。
(出典; 循環器専門医第19巻第2号 2011.9 P210)

 
 
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心血管疾患既往患者は低用量アスピリン療法の継続を
スペイン薬剤疫学研究所(マドリード)のLuis García Rodriguez博士らは,英国のプライマリケア関連のデータベースを用いた研究から,心血管疾患既往歴のある患者がアスピリンの服用を中止すると,非致死的心筋梗塞リスクが高まることが分かったとBMJ(2011; 343: d4094)に発表した。
 
中止で非致死的心筋梗塞のリスクが約60%増加
心血管疾患既往歴のある患者には,血栓予防のために低用量アスピリンの服用が推奨されているが,中止率は50%に上る。
 
これまでに複数の研究で,低用量アスピリンの服用中止が心血管疾患リスクの上昇をもたらすことが示されているが,低用量アスピリンの服用中止が心筋梗塞リスクや冠動脈疾患による死亡リスクに及ぼす影響について,一般住民を対象に検討した研究は少なかった。
 
そこで,同博士らは今回,英国でのプライマリケアの記録を保存している大規模データベースであるHealth Improvement Networkの登録データ(3万9,513例)を用いてコホート内症例対照研究を行った。
対象は50~84歳で,2000~07年に心血管イベントの二 次予防のためにアスピリン(75~300mg/日)の服用を開始した者とした。
低用量アスピリンの中止群と継続群における非致命的心筋梗塞リスクおよび冠動脈性心疾患(CHD)による死亡リスクを比較した。
 
平均3.2年間の追跡期間中に876例が非致死的心筋梗塞を発症,346例がCHDにより死亡した。
解析の結果,継続群と比べた中止群の非致死的心筋梗塞とCHD死の複合発生率比(RR)は1.43〔95%信頼区間(CI)1.12~1.84〕と有意に高かった。
そのうち,非致死的心筋梗塞のRRは 1.63(95%CI 1.23~2.14)と有意であったが,CHD死のRRは1.07(同0.67~1.69)で有意ではなかった。
なお,この関連性は低用量アスピリンの投与期間に関係なく認められた。
また,中止群では継続群と比べ,1,000人年当たりの非致死的心筋梗塞の発症が約4例多かった。
<私的コメント> 「約4例多かった」という文面の、」も「4例」の意味もよくわかりません。
統計学的にも「約4例」はどうなんでしょうか
 
服用継続の指導を
今回の研究では,低用量アスピリンの服用中止を回避することで,一般住民にはアスピリン療法による便益をさらに享受できる余地があることが示された。
同博士らは,今後さらに研究を進め,患者に低用量アスピリン療法の継続を指導することで非致死的心筋梗塞リスクを低減できるか否かについて検討する必要があるとしている。
モデナ・レッジョ・エミリア大学(伊モデナ)のGiuseppe Biondi-Zoccai助教授らは,同誌の論評(2011; 343: d3942)で「今回の研究結果は極めて重要で,アスピリンの服用中止が悪影響をもたらすことを示した以前の研究結果を支持するものである」と強調。「患者には服用中止の指示がない限りは低用量アスピリンの服用を継続するよう指導すべきである」と述べている。
 
出典 Medical Tribune 2011.8.25
版権 メディカル・トリビューン社

 
<私的コメント>
この結果は、日本人の場合にもそのままあてはまるものでしょうか。
日本人は欧米人に比べて心筋梗塞後の予後が良い、という事実があるため心筋梗塞の再発の際にも致死的にならないかも知れません。
1994年に,心筋梗塞慢性期における抗血小板薬の効果に関する研究の成績が発表されました。
急性心筋梗塞発症後1か月以降の症例でアスピリン群と対照群に分けて比較検討したところ,アスピリン群で有意に再梗塞の発生が抑制されることが明らかになりました。

たしかに低用量アスピリンが心筋梗塞の二次予防に有効という結果でしたが、Ca拮抗薬やβ遮断剤(欧米ではβ遮断薬が推奨されている)との比較をした論文はあるのでしょうか。
どちらも主役かも知れません。
またどちらかが「下支え」かも知れません。
アスピリンには抗血小板作用に加えて抗炎症作用がある、といわれています。,
この抗炎症作も心血管イベント抑制に寄与していると考えれば、興味深い結果だと思いました。
以前に、アスピリンとチクロピジンの併用療法が心筋梗塞再発予防に有効である、という2種類の抗血小板剤併用の有用性が書かれた記事を読んだ覚えがあります。
こういった目的で、たとえばアスピリン+プラビックスといった処方をするのはどうなんでしょうか。
開業医としては、保険請求が可能かどうかが一番気になるところです。
 
 <参考>


 
 
 
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2002/M3526201/
 

 
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① 症状発現後の経過時間が24時間以内で、以下の基準のうちのいずれかに該当するTIA患者に対しては、入院加療を行うことが妥当である。
a. ABCD2スコアが3点以上の場合(クラスⅡa、エビデンスレベルC)
b. ABCD2スコアが0〜2点で、外来診療部における詳細な診断的検査を、2日以内に完了できるか否かが不明な場合(クラスⅡa、エビデンスレベルC)
c. ABCD2スコアが0〜2点で、患者の臨床症状が局所虚血に起因するものであrことを示唆するその他のエビデンスが存在する場合(クラスⅡa、エビデンスレベルC)
AHA/ASA Strole Council:Stroke 2009; 40;2276−2293

②TIAには”T(Take)、I(Immediate)、A(Action)"の対応が求められる。
ABCD2スコアと2日以内の脳梗塞発症率
0〜3点  1.0%
4〜5点  4.1%
6〜7点  8.1%
④未治療例では2週間以内に10%近くが再発
その50%はTIAから48時間以内
OXVASC, OCSP, UK-TIA, ECSTの4つの大規模試験を解析
Rothwell PM,et al:Neurology 64:817,2005
(以下の<参考>の図1を参照)
⑤Population-Based Study of ABCD2 Score, Carotid Stenosis and Atrial Fibrillation for Early Stroke Prediction After Transient Ischemic Attack
The North Dublin TIA Study
(Stroke.2010:41:844-850)
ABCD2スコアが低値の場合にも脳卒中を繰り返す患者がしばしばいる。
そういった症例では頸動脈狭窄の存在を考える必要がある。
⑥TIAの急性期治療と脳梗塞発症防止
■TIAを疑えば、可及的速やかに発症機序を確定し、脳梗塞発症予防のための治療をただちに開始しなければならない(グレードA)。
■TIAの急性期(発症48時間以内)の再発防止には、アスピリン160〜300mg/日の投与が推奨される(グレードA)。
■非心原性TIAの脳梗塞発症予防には抗血小板療法が推奨され、本邦で使用可能なものはアスピリン75〜150mg/日、クロピドグレル75mg/日(以上、グレードA)、シロスタゾール200mg/日、チクロピジン200mg/日(以上、グレードB)である。
必要に応じて降圧薬(ACE-Iなど)、スタチンの投与も推奨される(グレードA)。
■狭窄率70%以上の頸動脈病変によるTIAに対しては、頸動脈内膜剥離術(CEA)が推奨される(グレードA)。
狭窄率50〜69%の場合は年齢、性、症候などを勘案しCEAを考慮する(グレードB)。
狭窄率50%未満の場合は、積極的にCEAを勧める科学的根拠に乏しい(グレードC1)。
CEA適応症例ではあるが、心臓疾患合併、高齢などCEAハイリスクの場合は、適切な術者による頸動脈ステント留置術(CAS)を行っても良い(グレードB)。
■TIAおよび脳卒中発症予防に、禁煙(グレードA)、適切な体重維持と運動の励行が推奨される(グレードC1)。
飲酒は適量であれば良い (グレードC1)。
⑦National Stroke Association Guidelines Noncardioembolic TIA
非心原性塞栓による一過性脳虚血発作(TIA)
■持続する非心原性塞栓を有する患者においては、脳卒中や他の血管イベントの二次予防として即刻毎日長期間継続する抗血小板療法を処方すべきである。(カテゴリー1)
さらなる血管イベントを予防するうえで、クロピドグレルはアスピリンよりも有効性が高いと考えられる。(カテゴリー1)
■アスピリンを服用中にアテローム血栓性TIAを発症した患者に対しては、クロピドグレル(毎日75mg)またはアスピリン(25mg)と徐放性ジピリダモール(250mg)1日2回が一般的に推奨される。(カテゴリー3)
■チエノピリジン誘導体による治療を開始するTIA患者では、副作用が少なくモニターの必要性も低いのでチクロピジンよりもクロピドグレルを使用すべきである。(カテゴリー4)
■非心原性塞栓によるTIAの患者に対して、クロピドグレルは第一選択薬として、または患者がアスピリン単独あるいはアスピリンとジピリダモールの併用に対して忍容性がないときに処方できる。(カテゴリー4)
 (Ann Neurol 2006;60:301-313)
⑧脳卒中治療ガイドライン2009
脳梗塞慢性期 再発予防のための抗血小板療法
非心原性脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)
■非心原性脳梗塞の再発予防には、抗血小板薬の投与が推奨される(グレードA)。
■現段階で非心原性脳梗塞の再発予防上、最も有効な抗血小板療法(本邦で使用可能なもの)はアスピリン75〜150mg/日、クロピドグレル75mg/日(以上、グレードA)、シロスタゾール200mg/日、チクロピジン200mg/日(以上、グレードB)である。
■非心原性脳梗塞のうち、ラクナ梗塞の再発予防にも抗血小板薬の使用が奨められる(グレードB)。ただし十分な血圧のコントロールを行う必要がある。
⑨CAPRIE試験の紹介
⑩Cilostazol for prevention of secondary stroke(CSPS 2) :an aspirin-controlled, double-blind, randomised non-inferiority trial
⑪脳卒中の登録・観察研究 "EVEREST"
■発症2週間から6ヶ月の脳梗塞患者の再発率を確認したEVEREST研究における脳梗塞再発率は、比較的遠隔期の患者も組み入れられたREACH Registryよりも高い値を示した。
すなわち脳梗塞患者においては最初からOptimal Medical therapyが必要なことが示された。
■ EVERESTとREACH Registryの比較
EVEREST
登録時期     2007〜2008年
対象       軽度〜中等度脳梗塞
1年間の再発率   3.8%(脳梗塞)
REACH Registry
登録時期     2004年
対象       脳梗塞またはTIAの既往
1年間の再発率   2.96%(全脳卒中)
           2.77%(非致死性脳卒中)

<参考>
ABCD2, ABCDスコア
http://www.treatneuro.com/archives/3501

見逃すと怖い一過性脳虚血TIA患者に様子見は危険!!
(2010.3.19 日経メディカル別冊)
■ 国内ではいまだに「一過性脳虚血(TIA)は軽症で緊急性がない」と考えられているのが現状ですが、実はTIAに対する認識は、この5年ぐらいで大きく変わってきており、専門家たちは、TIAの患者は原則全員入院して、精査・治療を直 ちに行うことを勧めています。
■これは、TIAを放置すれば発症後3カ月以内に10~15%が脳梗塞を発症し、しかも、その半数は48時間以内に起きることが分かってきたからです。
TIAを疑ったら、早急に急性期の脳梗塞に対応できるような施設に送ることが求められるよう になっています。
■脳梗塞とTIAの治療はほとんど同じなので、両者の区別は重要でなくなっている。
心筋梗塞と狭心症が急性冠症候群(acute coronary syndrome)としてまとめられたように、今後、脳梗塞とTIAも一つの疾患群として考えられるようになるのではないか、といわれている。
■ある日突然、片麻痺や半身のしびれ、片眼の視力障害などが出現。
多くは10分前後で消失するが、放置すれば発症後3カ月以内に10~15%が脳梗塞を発症する。
しかも、その半数は48時間以内に起きる─。
これらが一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attack)の新たな病態だ。
■ TIAとは、局所脳虚血の症状が出現して24時間以内に消失する一過性発作。多くはアテローム硬化性病変や心疾患がベースにあり、動脈由来の微小塞栓、心原性塞栓、血行力学性血流不全などによって脳虚血を起こす。
■  従来から、TIAは脳梗塞発症の前ぶれだといわれては来たが、それは「TIAを起こすと5年以内に3割が脳梗塞を起こす」といった緊急性を感じさせない データに基づくものだった。
そのためか、国内ではいまだに「TIAは軽症で緊急性がない」と誤った認識がなされているのが現状だ。
図
 (プライマリケア医がTIAを拾い上げるためのコツ)
 図
 図1 TIA発症者における脳梗塞発症までの期間
脳梗塞を起こした患者の23%が、以前にTIAを経験しており、そのうち43%が脳梗塞発症からさかのぼって1週間以内に起きていたというデータが報告されている(図1)。TIAを起こした患者は、発症後3カ月以内に10~15%が脳梗塞を発症し、その半数は48時間以内に起きることも分かり、2日以内の脳梗塞発症リスクを評価するスコアも登場した(ABCD2スコア)。
■脳梗塞を起こした2416人のうち23%(549人)が脳梗塞の発症前にTIAを経験。
脳梗塞発症日からさかのぼって7日以内にTIAを起こしていた患者が43%(234人)を占め、中でも前日と当日の発症が多かった(Neurology2005:64;817-20.)。
図1は、14日以内にTIAを発症した患者だけに絞った分布。
図2

図2 TIA患者へ迅速な初期治療を行うことによる脳梗塞発症リスクの変化
■TIA発症後、迅速に診断・治療を行うことで、その後の脳梗塞発症率が大幅に下げられるという複数の大規模臨床試験の結果が報告されている。

■イギリスの研究では、TIAまたは軽度の脳梗塞を発症した患者に対し、発症後1日以内に迅速に評価し、治療を開始した場合、発症から20日後に治療を開始した場合に比べて、90日以内の脳梗塞発症リスクが80%減少することが分かった(図2)。
■ 2つの期間で1278人のTIAおよび軽症脳梗塞患者を追跡調査したもの。
フェーズ1では、家庭医が診察し、TIA・軽症脳梗塞評価は発作の平均3日後、 薬物治療は発作の平均20日後に開始。フェーズ2では、直接専門病院入院とし、評価・治療とも発作の平均1日後に開始。発作後90日以内の脳梗塞発症率 は、前者で10.3%、後者で2.1%だった(Lancet2007:370;1432-42.)。

■フランスの医療機関でも、24時間体制でTIA患者を受け入れるシステムを作り、発症24時間以内に診断・治療を行ったところ、90日以内の脳梗塞発症率は1.24%。予測された発症率に対して80%も低かった。

■2006年のAHA/ASA(米国心臓協会/米国脳卒中協会)ガイドラインでは、既に、治療に関してはTIAは脳梗塞と同様の扱いで対応するよう明記している。
■国内で日本脳卒中学会など5学会が昨年改訂した「脳卒中治療ガイドライン2009」では、TIAを初めて一つの独立した項目として新設。
TIAを疑えば可及的速やかに発症機序を確定し、脳梗塞発症予防のための治療を直ちに開始しなくてはならない(グレードA)」と早期介入の重要性を強調した。
ABCD2
■ABCD2スコアは、TIA発症48時間以内の脳梗塞発症リスクを評価するために開発されたもの。
年齢や血圧、神経症状などについて点数化し、7点満点で、スコアが高いほど脳梗塞発症リスクが高いことが分かっている(表2)。
■TIA発症後の脳梗塞発症のリスクだけでなく、TIAを疑った場合も、ABCD2スコアが高い方が、よりTIAである可能性が高いともいわれており、プライマリケアの現場で緊急度の高さを判断するために使える。
■2009年に発表されたAHAの声明書では、このスコアによって入院適応が定められている(発症から72時間以内で、ABCD2スコア≧3点、または、 0~2点で2日以内に評価を行うのが困難だと予想されるケース、0~2点でイベントの原因が局所脳虚血であることを示すほかの根拠がある場合)。
■ただし、このスコアの欠点は、項目に心房細動が入っていない点だ。
TIAの2~3割は心疾患から来る心原性塞栓性TIAであり、一度脳梗塞を起こすと非心原性TIAに比べてより重度になりやすい。
心房細動がありTIAが疑われたら、緊急性がさらに高いと考えられる。
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ある日の「プラビックス発売5周年記念講演会」のメモです。

①日本の脳卒中患者さんは増え続けている
推計患者数(2010年)
 発症者数 291,000人/年
 有病者数 約3,100,000人 
 要介護者数 約1,850,000人

②脳卒中の分類
  血管が詰まるタイプ
   脳梗塞(TIAは脳梗塞そのものには分類されない)
    ラクナ梗塞
    アテローム血栓性脳梗塞
    心原性脳塞栓
  血管が破れるタイプ
    脳出血
    クモ膜下出血
(私的コメント;脳梗塞=脳血栓+脳塞栓という分類ないしは概念はどうなったのでしょうか)

③治療法と推奨グレード(脳卒中治療ガイドライン2009)
■ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓のいずれも発症3時間以内はt-PA静注はクラスA
(私的コメント;個人的には何となく心原性脳塞栓は3時間以内でもt-PA静注により出血性梗塞が起こるのでは内科と心配です。小渕元総理や長嶋元監督の心原性脳塞栓に対する治療はどうだったのでしょうか。)
■アスピリンはラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓のいずれも発症時間に関係なくクラスA

④脳血管内治療用デバイス
Merel Retriever
Penumgra System

⑤新しいTIAの定義
局所脳虚血、脊髄虚血または網膜虚血に起因する、一過性の神経脱落症状で、急性脳梗塞梗塞の発生を伴わないもの。
AHA/ASA Strole Council:Stroke 2009; 40;2276−2293

 
⑥FASTER(Fast assessment of stroke and transuent ischaemic attack to prevent early recurrence);a randomized controlled pilot trial
 
⑦脳梗塞急性期治療の目的のひとつは「再発予防」であり、いち早く抗血小板療法を開始する必要がある。
そのため、プラビックスは経口不能でも経管にて初日から投与する。
 
⑧プラビックスはADP凝集をしっかりと抑制することが確認されている。
脳梗塞再発の予防は非常に重要であり、もっとも効果の高いプラビックスを最初から単剤にて使用する。
プラビックスは副作用も少なく、使いやすい薬剤であるが、 肝機能のチェックはしっかりと行うことが必要である。
脳血管障害はATIS の一病型であり、血小板の活性化が強く関与するので、全身のケアの意味もこめてプラビックスを選択する。
                 (続)

 

<番外編>
座談会 急性期脳血管障害の診断と治療
〜一過性脳虚血発作(TIA)を中心に
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/sa/tia-plavix/
■TIA発症後90日以内に発症した脳梗塞の約半数は、TIA発症後48時間以内に発症していることがわかり、迅速な評価および治療開始の重要性が指摘sれている。
■英国で行われたEXPRESS(Early use of eXisting PREventive Strategies for Stroke)Studyでは、即時入院とならなかったTIAあるいは軽症脳卒中の患者さんを対象に、抗血小板薬、降圧薬などによる早期治療介入の影響が検討された。
TIAおよび軽症脳卒中発症後、早期に治療介入を行った群では脳卒中発症リスクが約80%も有意に低下した。

 
■これまでTIAは脳および網膜の虚血症状が24時間以内に完全に消失する病態と定義されていたが、実際には1時間以内に消失するケースが多いことが指摘されている。
■画像診断の進歩に伴い、脳組織の状態を反映したTIAの定義を求める動きも広がっている。
ある検討では、症状が3分間以上持続するケースがほとんどで、数秒で症状が消失する場合はTIAではない可能性が高いと考えられる。
症状の持続時間は1時間以内が約半数を占め、ときには同じ症状を繰り返す。
TIAの場合、受診時には症状が消失していることが多いため、診断に際しては患者さんに発作時の様子をしっかり確認することが大切である。
発作の内容から局所脳神経症状が認められた場合はTIAと診断してよいと思われるが、疑わしい場合は画像診断によって病巣の有無などを確認する。
 

■TIAは治療しなくても短時間で症状が消失するため、患者さんやその家族のみならず医師からも軽視されることがある。
しかし症状が消失しても原因は残っている。
TIA発症後2日以内の脳梗塞発症リスクは5%、90日以内では10~15%と報告されており、脳梗塞後の再発リスクよりも高いことがわかっている。
脳卒中治療ガイドライン2009では「TIAを疑えば、可及的速やかに発症機序を確定し、治療を直ちに開始(グレードA)」と記載されている。
■専門医が診療した場合、TIA発症後2日以内の脳梗塞発症リスクは0.6%、7日以内では0.9%と非常に低いことが報告されている。
■脳卒中治療ガイドライン2009では、非心原性TIAの脳梗塞発症予防には抗血小板薬のアスピリン、クロピドグレル投与をグレードAとして推奨している。
 
 
 
■ 欧州脳卒中機構(ESO)のガイドラインでは、抗凝固療法を必要としない非心原性の脳梗塞やTIAの場合は、アスピリンとジピリダモールの併用、クロピドグレル単独投与を推奨している。
また、米国心臓病協会(AHA)のガイドラインでは、非心原性脳梗塞またはTIAには、アスピリン単独、アスピリン/ジ ピリダモール合剤、クロピドグレル単独投与を初期治療として推奨している。
 

■TIAの診断では脳梗塞と同様に、心原性、非心原性といった病型の診断が大切で、治療では非心原性の場合は抗血小板薬、心原性の場合は抗凝固薬の投与が重要である。
 

 

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