戯れ言たれる侏儒
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抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える―それは本当に必要か
眼科手術時の抗血栓療法(続)

 

硝子体手術,緑内障手術;大手術に準じ休薬する
矢坂 
続いて江内田先生から,九州医療センターの抗血栓薬取扱いの指針を示していただけますか。

江内田 
当センターでは年間約700~800例の眼科手術を行い,その6割弱が白内障手術,3割が網膜・硝子体手術,緑内障手術は1割弱です。
 
白内障手術は原則として抗血栓療法継続下で行います。
ただし,ワルファリンはPT-INR(プロトロンビン時間―国際標準化比)が3以下にコントロールされていると思っても,併用薬などの作用で5を超えている場合があります。
そこで手術前日にPT-INRを測定し,適切にコントロールされていることを確認してから手術をするようにしています()。
 

これに対して緑内障手術や硝子体手術の場合,主治医と相談の上で休薬することを基本としています。
私は,硝子体手術を専門にしていますが,その7割は増殖糖尿病網膜症あるいは糖尿病黄斑浮腫といった全身疾患を有する患者です。
こうした例や,網膜細動脈瘤や加齢黄斑変性に伴う硝子体あるいは網膜下の手術などでは,術中の大出血も少なくないからです。
一方,機械弁留置例などの血栓・塞栓症リスクの高い患者では,主治医とヘパリン置換の必要性を協議します。
 
ワルファリン休薬の場合,半減期が長いため,完全に失活させるのに3~5日かかります。
その間,塞栓症リスクが上がりますから,手術に先行して入院する必要があります。
硝子体手術の場合,白内障とは異なり比較的長期の入院が可能ですので,そうした対応も可能となります。

矢坂 
そうすると,硝子体手術や緑内障手術は,日本循環器学会ガイドラインにおける"大手術"の位置付けで,休薬が原則になる,ということですね。

江内田 
その通りです。いずれの疾患でも抗血栓療法を休薬する場合,丁寧な説明を行った上で,同意書を取得するようにしています。

矢坂 
九州大学病院ではいかがですか。

園田 
九州大学病院でもほぼ同様に対応しています。

江内田 
眼科手術で一度出血が起こると,圧迫や結紮による止血は難しく,通常は熱凝固か灌流圧を上げることで眼圧を上げて止血します。
硝子体手術では制御不能な出血に陥る例があり,緑内障手術で周辺の虹彩切開を行う際,誤って毛様体を引っかけ前房も含めて硝子体側に内出血を起こすケースがあります。
抗血栓薬の休薬ができない場合は,術中の十分な鎮痛を心がけ,慎重な上にも慎重に手術を行うことが必要です。

 

今後の課題;眼科専門医と循環器科医との連携が必要
矢坂 
抗血栓療法に関するガイドラインは,日本循環器学会が作成しています。
歯科領域では,今年度末に日本有病者歯科医療学会から発表されます。
眼科領域では,眼科手術と抗血栓療法についてのガイドラインは作られていないのでしょうか。

園田 
現在のところ,そうした動きはないと思います。
ただ,日本眼科学会ではガイドラインを普及させていこうという動きがありますから,今後,今日のテーマが取り上げられる可能性は十分あると思います。

吉富 
矢坂先生が示されたアンケートでは,今も15%前後の眼科医が白内障手術時に休薬していました。
そうした医師の多くは,前房出血を恐れているのでしょう。
私は今日の議論を受け,「前房出血はそれほど恐れなければならないものか」と問題提起したいと思います。

園田 
確かに,前房出血は白内障手術では滅多に起きませんし,起きても大半は一晩で消失しますね。

吉富 
ですから,抗血栓療法継続による出血リスクと,休薬による塞栓症リスクを秤にかけ,冷静に考える必要があります。
ガイドラインを作るかどうかは別として,日本臨床眼科学会などでこの問題を積極的に啓発していく必要があるでしょう。

矢坂 
先ほども申しましたが,一度脳梗塞を起こしてしまうと,7割以上が要介護の状態でしか退院できない,この点は強調したいですね。
 
ところで,日本循環器学会や日本脳卒中学会は,ガイドライン作成に当たり関連学会との間で調整しながら作っていかなければならないと,注意を促しています。
そうした連携の作業が今,求められていますね。

江内田 
逆に,これまで眼科と循環器科などの連携が十分でなかったため,ガイドラインが作られなかったという側面もあるかもしれません。

矢坂 
福岡市は医師の研究会が非常に多いそうですが,専門領域を超えた研究会はあるのでしょうか。

園田 
眼科だけの研究会はかなりあるのですが,こうした他科との話し合いの機会は珍しいと思います。

吉富 
私も,10年以上前から白内障手術時の抗血栓療法は継続していましたが,休薬がそこまで危険とは考えていませんでした。
今日,脳卒中専門医の矢坂先生のお話をうかがって,大変有意義だと感じました。

矢坂 
本日は眼科医の先生方と話し合うなか,眼科手術時の抗血栓療法管理の現状をうかがいました。
現在の問題点や今後の課題が明白になったと思います。次のステップは,是非その解決に向け,両科の連携を推進していきたいと思います。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社

 

<自遊時間>
m3.comの掲示板を初めてのぞいてみました。
実は私自身、昨年の夏からm3.comを利用するようになった言わば初心者なのです。
ドクターズライフ掲示板の「クラシックの広場」。
クラシック音楽好きのドクターがこんなにいるなんて。
早速お気に入りに入れました。

診療Q&Aもよさげですね。

 

<きょうの一曲> They Can't Take That Away From Me


Diana Krall - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=BEgScNZkIQU&feature=related
They Can't Take That Away From Me with strings
http://jp.youtube.com/watch?v=OZS0fupt9eg
They can't take that away from me - Ella & Louis
http://jp.youtube.com/watch?v=ZOpl-glNGiA&feature=related
They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=ROyoPwIa_0E&feature=related
Fred Astaire Ginger Rogers They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=sZ0DWEbEAqA&feature=related
Fred Astaire Ginger Rogers "Can't Take That Away From Me"
ttp://jp.youtube.com/watch?v=j3SNluoMwtE&feature=related
Fascinatin' Rhythm - "They Can't Take That Away From Me"
http://jp.youtube.com/watch?v=8up2P4u8S6E&NR=1
They can't take away from me ella fitzgerald
http://jp.youtube.com/watch?v=i7MqZtTXMeo&feature=related
Ella Fitzgerald - They can't take that away from me
http://jp.youtube.com/watch?v=nOqa3EGi4uw&feature=related
Eva Avila - "They Can't Take That Away From Me"
http://jp.youtube.com/watch?v=q6Im2mhzYmE&feature=related
(トニー・ベネットが指導しています)
"They Can't Take That Away From Me"
http://chobisgarden.blog60.fc2.com/blog-entry-967.html
They Can't Take That Away From Me" from LEGENDS OF JAZZ
http://jp.youtube.com/watch?v=CQy7FtUPeec&feature=related
Maria Claire - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=22HJR9NWLO0&feature=related

 

読んでいただいてありがとうございます。
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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
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抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える―それは本当に必要か
眼科手術時の抗血栓療法
心筋梗塞や脳梗塞といった血栓性疾患のため,抗血栓療法を受ける高齢者が増加している。
当然,そうした患者が眼科手術を受けるケースも多く,その際に抗血栓療法を休薬するか継続するかが常に問題となる。
討論のなか,白内障手術時は抗血栓療法を継続することが眼科医には常識となっていること,一方,多くの循環器科医は休薬すべきと考えていること,すなわち白内障手術の出血リスクに対する認識の違いが明らかになった。
今後,眼科医と循環器科医が連携を図りつつ,ガイドライン作成や啓発活動を行うことの必要性が明確になった。

出席者(発言順)
吉富 文昭 氏 太宰府吉富眼科院長
江内田 寛 氏 国立病院機構九州医療セ ンター眼科科長
園田 康平 氏 九州大学病院眼科講師
司会
矢坂 正弘 氏 国立病院機構九州医療センター脳血管内科科長

 

休薬による脳梗塞発症;頻度は低いが重症に
矢坂 
日本では急速な高齢化に伴って,血栓性疾患が増えています。
そうした高齢者では,種々の疾患から観血的治療が必要となる例も多く,抗血栓療法の中止すなわち休薬の必要性が議論になります。
本日は,そのなかでも頻度の高い眼科手術時の対応について話し合っていきます。
 
抗血栓療法の中止を考える場合に問題となる脳梗塞は,3つのタイプに分かれます。
脳の細小動脈が詰まるラクナ梗塞,動脈硬化病変の不安定プラークが破れ血管を詰めるアテローム血栓性脳梗塞,塞栓源性心疾患に伴い形成された心内血栓が脳動脈を詰まらせて発症する心原性脳塞栓症です。
日本では近年,アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症が増えています。
特に心原性脳塞栓症は脳梗塞の3割を占め,その6~7割が非弁膜性心房細動(NVAF)に由来します。

吉富 
心房細動を有する高齢者は,とても多いですね。

矢坂 
心房細動の有病率は65歳以上の5.9%と言われます。
野球の長嶋氏,サッカーのオシム氏も心房細動による心原性脳塞栓症と報道されました。
心原性脳塞栓症では血栓が太い脳血管を突然塞ぐため,大梗塞を起こします。
NVAF患者ではその予防にワルファリンが推奨されます。
ワルファリンはNVAF例の脳梗塞リスクを7割低下させるからです。
抗血小板薬は,非心原性脳梗塞やTIA(transient ischemic attack)の再発を22%,脳梗塞急性期の再発を11%減らすとの報告があり,脳・心血管疾患の再発予防に広く用いられています。

江内田 
抗血栓療法を受けている患者はどのくらいいるのでしょうか。

矢坂 
ワルファリンは100万人,アスピリンは300万人以上と言われています。
このワルファリンを抜歯や内視鏡検査などの際に休薬すると,約1%の頻度で血栓・塞栓症を起こすことが報告されています。
国立循環器病センターで行った調査でも,抗凝固療法中に脳梗塞を発症した23例中8例が休薬例で,うち4例は抜歯が契機でした。休薬の8例と非休薬の15例を比べると,休薬例は全例が心原性脳塞栓症で,要介護での退院率が71%,非休薬例の21%と比べると予後が悪いことが分かりました。

園田 
休薬後どのくらい経って,脳梗塞を起こすのでしょうか。

矢坂 
再開数日後の発症が多く,休薬直後でないため休薬を指示した医師が気づかない例もあります。一方
アスピリンを休薬すると,脳梗塞発症のオッズ比が3.4倍上昇します。つまり抗血小板薬,抗凝固薬を休薬すると脳梗塞発症リスクが上昇し,重症化する可能性があります。

白内障手術;技術革新で出血リスクは著明に低下
矢坂 
では,眼科手術時の出血にはどんなものがありますか。

吉富 
比較的多いのが前房出血ですね。
それから虹彩根部の太い血管を傷つけ,大出血を起こすことがあります。
経験の浅い眼科医が,ときにこうした出血を招きます。

園田 
頻度は低いが重篤な出血として上脈絡膜腔出血,いわゆる駆逐性出血があります。
脈絡膜には豊富な血流が集中し網膜などへ栄養を送っています。
眼球圧が高ければ脈絡膜からの出血は起きませんが,眼球圧が低下すると容易に内出血が起きます。
駆逐性出血を起こすと,失明につながりかねないので問題です。

矢坂 
切開創が大きいと,眼球圧が下がって駆逐性出血が起きるのですね。
白内障手術で,駆逐性出血の起きる頻度はどの程度でしょうか。

江内田 
Lingらのレトロスペクティブなケースコントロールスタディによると,0.04%,1万人中4人に比較的高度な駆逐性出血が起きました。
その危険因子を調べたところ,抗血栓薬を含む心血管系薬の服用も有意な危険因子ですが,緑内障の有無や手術手技の関与の方が強力でした。
 
Katzらは,2003年に約2万例の白内障手術症例を対象に検討を行っています。
それによると,24.2%が抗血小板薬を,4%が抗凝固薬を服用していました。
手術時に休薬したのは,それぞれ22.5%と28.3%です。そして,抗血栓療法にかかわらず出血頻度は非常に低く,継続群と休薬群に差はないと報告しています。
 
私たちも,同様の印象を持っています。
白内障手術は侵襲がどんどん小さくなっていますから,駆逐性出血に限らず,出血リスクは抜歯や内視鏡検査に比べ,かなり低下していると言えるでしょう。

吉富 
白内障の切開創は,20年前は5~6mmでしたが,今や2mmまでになっています。
ですから私は,特発性血小板減少性紫斑病の患者でも,血小板数が1万/μLを切るような患者でも,普通に手術を行っています。

矢坂 
白内障は技術革新により短時間,低侵襲で手術できるため,抗血栓薬を中止する必要がないということですね。
園田先生,その他の眼科手術ではどうなのでしょうか。

園田 
緑内障手術,硝子体手術,角膜移植などでは,駆逐性出血のリスクは白内障手術に比べ高いです。 

江内田 
硝子体手術も,切開創1mm以下の低侵襲手術の時代になっています。
ただ硝子体手術や緑内障手術では,機器の出し入れや手術操作による圧変化が大きく,比較的高圧下で行う白内障手術に比べ術中の出血リスクは高いとの印象があります。

白内障手術時の抗血栓療法;むしろ眼科医が継続支持
矢坂 
こうした問題について,医師はどのような認識を持っているのでしょうか。
私たちは国立病院機構の眼科医45名と国立病院機構の脳卒中担当医26名,J-MUSIC(Japan Multicenter Stroke Investigator's Collaboration Study; 脳梗塞急性期医療の実態に関する研究)参加施設の脳卒中診療担当科長103名を対象に,眼科手術時の抗血栓療法についてアンケートを実施しました。
 
眼科医のワルファリン継続下白内障手術の支持率は87%,抗血小板薬継続の支持率は84%と,8?9割が抗血栓薬の継続を受け入れていました。
ところが脳卒中診療医の回答を見ると,脳卒中既往のあるNVAF例のワルファリン継続率は国立病院機構医師で22%に過ぎず,「中止して眼科医に紹介」が60%を占めました。J-MUSIC参加施設の医師(脳卒中専門医が多い)の継続率は48%と高く,休薬による脳梗塞再発を経験した医師が多いためと思われます。
 
これに対して,心臓に機械弁を入れていて脳卒中既往がある血栓・塞栓症リスクの非常に高い例でのワルファリン継続率は,国立病院機構医師,J-MUSIC医師でそれぞれ30%,51%とやや増加。
抗血小板療法の継続率は,それぞれ19%,57%と,やはり眼科医より低い値でした()。

 

吉富 
脳卒中診療医より眼科医の方が継続に積極的ということですか。

矢坂 
そうです。ある種の乖離というか,逆転現象ですね。

吉富 
実は,私は他科の先生から「眼科手術前には投薬を一時中止します」と書かれた手紙を受け取ることが多いのですが,毎日のように「いいえ,中止しなくて結構です」という返事を書いています。

矢坂 
そうなんですか。

江内田 
白内障手術が進歩し出血リスクも減った点を,他科では十分に理解していないのかもしれません。

矢坂 
白内障は患者数が多いので,内科や外科と眼科の間で認識の違いがあることは深刻な問題ですね。

園田 
緑内障や硝子体手術については,アンケートを取られましたか。

矢坂 
眼科医だけを対象に行いました。緑内障手術時の対応としては,ワルファリン,抗血小板薬とも継続を支持する回答は22%に留まりました。
硝子体手術に関しては,継続を支持する回答は両者とも14%と,休薬すべきとの意見が増えています。
白内障以外の眼科手術では,出血リスクが高いため,手技の出血リスクと塞栓症リスクを脳卒中診療医とよく話し合った上で,抗血栓療法の継続・休薬を決めていかないといけないということでしょうね。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社

 

<自遊時間>
医師連盟といえば今や「全国医師連盟」を思い浮かべてしまいます。
私の心の中には「連盟」という言葉に対するアレルギー(はっきりいえば「拒否」)反応があります。
以前にもこのブログで取り上げましたが、常々「日本医師会」の政治団体である「医師連盟」に疑問を持ち、今年は会費(くわしくは寄付金)を拒否しました。
小心者の私にとっては精一杯の抵抗(行動)でした。
「日本医師会」からの退会を迫られるかも知れないという心配もありました。

この機会に、いろいろ「医師連盟」について調べようと思ったのですが意外と資料が見つかりません。
関連資料が少ないのはむしろ恣意的とも思えるものでした。

そんな中でいい資料がみつかりました。
なんと元N県医師会副会長が書かれた解説が、日本医事新報の時論に掲載されていたのです(日本医事新報 No.4302 2006.10.7p83〜84)。
期待して読みましたが、内容はあくまでも医師会側に立った無難な内容でした。
しかし、このブログで現在の医療施策に不満を書き綴ったり、選挙で野党に投票されておられる先生は、一度この時論を参考にされて「寄付の拒否」をされてはいかがかと思うのですが。
Actions speaks louder than words.
Deeds,not words.

<きょうの一曲> 卒業写真
徳永英明 卒業写真
http://jp.youtube.com/watch?v=enbZG9OMG4g&feature=related

 

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脳梗塞治療と抗血小板薬

戯れ言たれる侏儒 / 2008.09.16 00:29 / 推薦数 : 0

ご存知のように、近くて遠い、ある独裁国家のドンが脳卒中で倒れたらしいというニュースが流れています。
9月15日朝の新聞記事では、脳梗塞と出血が同時に起こっているらしい(出血性脳梗塞?)とか、中国の医師団が治療にあたっているとか、四肢麻痺とか時々意識がなくなるとか書かれています。
そしてさりげなく書かれていたことで「最近は高血圧、糖尿病、認知症に悩まされていた」、という内容に驚きました。
な、なんと「認知症!!!」。
そんなこと知らなかった。
そしてそんなことをサラっと書かれても。

きょうはそんなわけ(?)で、脳梗塞を勉強しました。
といっても慢性期の再発(二次)予防のお話です。

座談会
脳梗塞治療における抗血小板薬の位置付けを探る
2001年9月から2003年11月に実施されたクロピドグレル(商品名:プラビックス)の国内第=2相試験が論文化され,本年2月にCerebrovascular Diseasesに掲載された〔Fukuuchi Y, et al: Cerebrovasc Dis 25(1-2): 40-49, 2008.〕。
本座談会では,同試験に携わった専門家3氏が,同試験の内容と意義を再検証するとともに,脳梗塞治療における抗血小板薬,なかでもクロピドグレルの位置付けを中心に意見を交わした。

司会
国立循環器病センター 名誉総長 
山口 武典 氏 
出席者(発言順)
東京女子医科大学大学院神経内科学 教授 
内山 真一郎 氏
広島大学大学院脳神経内科学 教授 
松本 昌泰 氏 

待ち望まれたクロピドグレルの国内認可
山口 
日本におけるクロピドグレルの第III相試験が始まった2000年前後は,ちょうど海外での承認薬を簡略化した審査で承認していこうとするICH(International Conference on Harmonization)の気運が高まり始めた時期でした。
 
まず,当時の脳梗塞慢性期の再発予防治療の状況について振り返っていただきたいと思います。

内山 
2000年にアスピリンが承認されるまで,日本で非心原性脳梗塞の再発予防に承認されていた抗血小板薬はチクロピジン(商品名:パナルジン)しかありませんでした。
 
しかし,同薬に関してはTTP(血栓性血小板減少性紫斑病),無顆粒球症,重篤な肝機能障害などの副作用が報告され,1999年と2002年には緊急安全性情報が出されるなど,安全性の面で問題が広がっていました。
また,チクロピジン服用中は定期的な血液検査*が義務付けられるなど使い方も煩雑であったことから,より安全性が高く,既に海外で使用されていたクロピドグレルの国内認可が待ち望まれていました。

松本 
私はかなり早期からクロピドグレルの治験にかかわり,チクロピジンに比して安全性が高いことを臨床的に実感していましたので,ICHの観点からも一刻も早く国内認可の方向に進むべきだと考えていました。
実際,日本脳卒中学会からも早期承認の要望書が提出されたと聞いております。

山口 
脳梗塞,心筋梗塞,末梢動脈疾患の患者約 1 万9,000例を対象にしたCAPRIE(Clopidogrel versus Aspirin in Patients at Risk of Ischemic Events)試験において,クロピドグレルは単独投与によって血管イベントや脳梗塞,心筋梗塞,血管死等の累積イベント発症率などを有意に抑制し,有効性が示されました。内山先生,クロピドグレルの特徴はどのような点でしょうか。

内山 
クロピドグレルはチクロピジンと同じチエノピリジン系の抗血小板薬です。
ADP(アデノシン2リン酸)受容体拮抗作用によってADP依存性の血小板凝集を特異的に抑制するとともに,生体内での血栓形成に重要な「ずり応力」で惹起される血小板活性を抑制します。
 
また,CAPRIE試験では糖尿病,脂質異常症,血管イベントのリスクファクターを有する患者などに対して,より高い有効性が確認されました。
しかし,冠動脈ステント留置を合併した症例などで併用する場合には,安全性の観点より血圧など合併症管理を徹底しながら投与する必要があると思います。

*:チクロピジンの投与開始後 2 か月間は,特にTTP,無顆粒球症,重篤な肝障害等の副作用の初期症状の発現に十分留意し,原則として 2 週に 1回,血球算定(白血球分画を含む),肝機能検査を行い,上記副作用の発現が認められた場合には,ただちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。本剤投与中は,定期的に血液検査を行い,上記副作用の発現に注意すること。

有用性の高さが示された国内第III相試験
山口 
それでは,Cerebrovascular Diseasesに掲載されたクロピドグレルの国内第III相試験の概要と成績をご紹介ください。

内山 
同試験は,非心原性脳梗塞患者1,172例を対象に,クロピドグレル75 mg/日投与群とチクロピジン200mg/日投与群にランダムに割り付け,安全性と有効性について比較した二重盲検試験です。
観察期間は52週間で,2001年 9 月から2003年11月まで行われました。
 
評価項目は安全性(白血球減少症,好中球減少症,血小板減少症,肝機能障害,非外傷性の重篤な出血,その他の重篤な副作用),および有効性(脳梗塞,心筋梗塞,その他の血管死)です。
 
なお,クロピドグレルの75mg/日という投与量は,この試験に先立って行われた用量探索試験(臨床薬理試験)において,チクロピジン200mg/日に最も近い血小板凝集抑制率を示した用量であり,結果的に欧米での投与量と同じになりました。
 
さて,試験の結果ですが,クロピドグレル群における安全性の主要評価項目の発現率は7.0%で,チクロピジン群の15.1%に比べ有意(p<0.001)に低く,チクロピジンと比べ安全性の高さが示されました(図 1)。


一方,有効性に関しては,両群間に有意差は認められずチクロピジンとの非劣勢が証明されました図 2)。


 
このように,同試験の結果,クロピドグレルは海外のエビデンス同様,日本人でもチクロピジンと同等の有効性が示され,チクロピジンと比べ安全性も高いことが明らかになりました。
これは,クロピドグレルの有用性がチクロピジンより総合的に優れていることを示しています。

山口 
クロピドグレル群では,全有害事象だけでなく血液障害や肝機能障害の発現リスクも有意に低かったのですね。

内山 
その通りです。特に日本人では,チクロピジンによる肝機能障害が生じやすいことが問題となっていましたが,クロピドグレル群の肝機能障害発現率は4.2%で,チクロピジン群の11.9%に比べ有意(p<0.001)に抑えられていました(表 1)。

山口 
松本先生はこの結果についてどのようにお考えですか。

松本 
それまでのデータを踏まえると,想定通りの結果であったと考えます。
ただし,このように詳細な安全性評価によって,両群の安全性にこれだけ明確な差が示された意義は大きいと思います。

チクロピジンからクロピドグレルへの切り替えのポイント
山口 
さて,日本でも2006年 5 月にクロピドグレルが発売されました。
実際に同薬を使用した感想をお聞かせください。

内山 
チクロピジンに比べ安全性に優れることは指摘されていた通りで,有効性も含め使用しやすいと感じています。
日本でのクロピドグレルの使用頻度は急速に高まっており,同薬の有用性が広く浸透し始めているとの印象を受けています。

山口 
松本先生はどのような印象をお持ちでしょうか。

松本 
クロピドグレルに関しては既に海外で多くのエビデンスが報告されていますし,国内第III相試験では幅広い患者群(表 2)でもチクロピジンよりも高い安全性と同等の有効性が確認されたことで安心して使用できると感じています。
実際,クロピドグレルを第一選択薬として使用することも増えてきています。

 

山口 
チクロピジンからクロピドグレルへの切り替えについては,どのように考えておられますか。

内山 
長期間チクロピジンを服用し,肝機能障害や血小板減少症,白血球減少症などの副作用が認められない症例でも長期投与の間に肝機能や血球系の検査値が悪化してくる症例もありますので,このような場合は切り替えを考えるべきだと思います。
なお,新規患者へのチクロピジンの投与は既に行っておりません。

松本 
私はチクロピジンからクロピドグレルに切り替える場合,用量を慎重に検討する必要があることから,将来の全面的な切り替えを見据え,安全性を確認するために独自で臨床研究T-CLOSE(Hiroshima Ticlopidine, CLOpidogrel Safe Exchange trial)を始め,安全性についてのデータを集積しているところです。

山口 
海外のエビデンスに加え,特に出血リスクが高いと考えられている日本人を対象としたクロピドグレルの国内第III相試験においても,欧米人と同用量のクロピドグレル75mg/日投与群が,チクロピジン200mg/日投与群と同等の有効性とより優れた安全性を示すことが確認され,さらに論文として掲載された意義は,EBMという観点からも大きいと考えます。
一方,50mg/日から処方できるので,患者背景に応じて用量調節ができることも,クロピドグレルを使いやすくしている一因かもしれません。
 
ただし,抗血小板薬を投与するだけですべてが解決するわけではありません。脳梗塞の再発予防においては,治療とともに十分なリスク管理が非常に重要だと申し添えて,討議を終えたいと思います。

<参考>

プラビックスの効能又は効果
虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症は除く)後の再発抑制
経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症,非ST上昇心筋梗塞)

出典 Medical Tribune 2008.4.10
版権 メディカル・トリビューン社

 

<コメント>
「有効性に関しては,両群間に有意差は認められずチクロピジンとの非劣勢が証明されました」。
非劣勢は多分非劣性の間違い?。
何だ。
それだけの薬剤だったんだということです。
薬価の違いほどのことはなかったということで妙に納得。

セララはアルダクトンとの降圧効果の違いの有無は確か語られていなかったような。
10月の「発売1周年記念シンポジウム(東京)」に出席するつもりです。
あんなに多くの人が出席しても、誰一人そのことについて質問しないという予定調和。

<番外編>
食欲ホルモン、心筋梗塞に効果=マウス実験で判明?
国立循環器病センター
食欲増進や成長を促すホルモン「グレリン」を心筋梗塞(こうそく)発症後に投与することで死亡率が大幅に低減するとの動物実験結果を、国立循環器病センター(大阪府吹田市)の研究チームが12日、公表した。
近く米医学雑誌に論文が掲載される。
 
研究チームによると、人為的に心筋梗塞を起こしたマウスの約6時間後の生存率を比べたところ、グレリンを投与したマウスの生存率は70%以上で、未投与の倍以上だった。
また、投与で発症後に不整脈を起こす割合が大幅に減ることも分かった。
グレリンが交感神経の異常を沈静化させることが効果に関係しているとみられるという。
出典 時事通信社  (2008/09/12-21:43)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200809/2008091201066

 

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ESC2008 で発表された”PRoFESS”の記事で勉強しました。

徐放性ジピリダモール・アスピリン併用とクロピドグレルは同等
PRoFESSの結果-脳卒中再発予防効果
2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)のLarge clinical trials のセッションで、脳卒中再発予防の評価を目的とした大規模臨床試験PRoFESS(演題名;Prevention Regimen For Effectively avoiding Second Strokes)の結果が発表された

PRoFESS試験は、脳卒中再発予防の薬物療法として、徐放性ジピリダモール(ER-DP)・アスピリン(ASA)の併用とクロピドグレル(CP)の比較、加えてARBのテルミサルタン(Telmi)の効果をプラセボ(Plac)との比較によって検討している。

ちなみに、欧州脳卒中機構(ESO)のガイドラインでは、脳卒中再発予防では抗血栓療法が推奨されており(Class I、Level A)、抗凝固療法を必要としない患者では抗血小板療法が推奨されている(Class I、 Level A)。
抗血小板療法としては、アスピリンとジピリダモールの併用、クロピドグレル単独、それらの代替としてアスピリン単独、トリフルサル単独が推奨されている(Class I、Level A)。

本試験の対象は、世界35カ国(北米、ヨーロッパ、アジア、南米、アフリカ・中近東、オーストラリア)、695施設の50歳以上の脳卒中患者2万332例。

対象を(1)ER-DP+ASA+Telmi、(2)CP+Telmi、(3)ER-DP+ASA+Plac、(4)CP+Placの4群に分けて検討している。

当初、CP群にもASAの投与が行われていたが、CP・ASAの併用群で出血リスクが増加したMATCH (Management of Atherothrombosis With Clopidgrel in High-Risk Patients Study)試験の結果に基づいて、CP群におけるASAの併用は途中で中止された。

本セッションでは、最初にER-DP+ASA群(1万181人)対CP群(1万151人)の結果が、同研究グループの米マイアミ大学教授Ralph L. Sacco氏によって報告された。

本試験の抗血小板療法の比較における1次アウトカムは脳卒中再発、2次アウトカムは脳卒中、心筋梗塞、あるいは血管死とされた。

本試験はnon-inferiority(非劣性)試験で、ER-DP+ASA群がCP群と比較して6.5%のリスク減少効果(ハザード比0.935)を有すると仮定し、95%信頼区間の上限が1.075未満であれば優位にあるとする基準を使っている。
なお、追跡期間は2.4年(中央値)である。

その結果、1次アウトカムに関しては、ER-DP+ASA群がCP群に対して劣っていない(non-inferiority)とする基準は達成されず(HR 1.01、95%CI 0.92-1.11、 p=0.783)、脳卒中再発と主要血管イベントの発症率は両群間で同等だった。

頭蓋内出血を含む主要出血イベントの発症率は、ER-DP+ASA群の方が高かったが、その絶対発症率は低く、虚血性イベントの抑制によってそのリスクは部分的に代償された。

これらの結果から演者らは、ベネフィット・リスクを合わせて評価すると両群は同等と結論した。

(日経メディカル別冊)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/hcp/topics/200807/507180.html

<関連サイト>
PRoFESS試験
http://blog.m3.com/reed/20080524/PRoFESS_
PRoFESS脳卒中再発予防効果
http://blog.m3.com/reed/20080723/PRoFESS__
PRoFESS脳卒中再発
http://blog.m3.com/reed/20080901/PRoFESS___

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

 

<自遊時間>
昨日の夕方、久しぶりに街へ出ました。
超音波関連の医学書を買いに行くのが目的です。
ぶらついていて、「デジャブ感覚」を覚えました。
いわば、何だか昔の自分に逢っているような妙な懐かしさです。
郊外と違って、町中は意外と何十年も大きな変化がないためです。
大袈裟に聞こえるかも知れませんが、10年以上一人で町中をこんな目的でぶらついたことはなかったような気がします。
全国区のM書店と食材のM屋。
この両方をハシゴするのが私流の昔からの街のぶらつき方です。
都会の雰囲気と文化の香りが一度に満喫できるような気がする、一種の刷り込み現象です。
さて、久しぶりに医学書コーナーを見て違和感を覚えました。
アカデッミックな書籍が何だか減ってしまったような気がしたのです。
くだけた(親しみ易い)タイトルの、研修医向けの「ハウツーもの」の実用書が多いためだというのがしばらくして分かりました。
私はスカパーの医学番組「Care Net TV」の視聴契約をしています。
なかなか見る機会はないのですが、その番組の講師が「山ほど」、彼ら向けの書籍を出して(儲けて?)いるのには驚きました。

ただ大学時代の友人が監修した書籍が平積みになっていたのは嬉しい収穫でした。
私は買わなかったのですが、今度彼と逢った時の話題が出来ました。

<追加>
私は翻訳本は買わないことを原則にしてきました。
原著の方が安いこと、誤訳や熟(こな)れていない訳があること、せっかく英語の勉強が出来るのにそのことを放棄することになるなどがその理由です。
そんな中で「オピーの心臓生理学」が気になりました。
でも開業医がそんな本買うのは・・・。
http://mbc.meteo-intergate.com/bookcenter/public/item/mbc/item75741.html

 

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前回の
PRoFESS 血小板療法の比較(2008.7.18)
http://blog.m3.com/reed/20080718/PRoFESS
___
に続きPRoFESSに関する記事で勉強しました。

テルミサルタン群とプラセボ群、脳卒中再発抑制において有意差なし
PRoFESSの結果-脳卒中再発予防効果
カナダ マクマスター大学教授のSalim Yusuf氏

2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)のLarge clinical trials のセッションで、脳卒中再発予防の評価を目的とした大規模臨床試験PRoFESS(Prevention Regimen For Effectively avoiding Second Strokes)の結果が発表された。

まず、抗血小板療法に関する結果が報告され、続いてテルミサルタンとプラセボを比較した結果が、カナダ マクマスター大学教授のSalim Yusuf氏によって発表された。

これまでの大規模臨床試験によって、降圧療法は、脳卒中の再発を抑制することが示されている。

例えば、PROGRESS(Perindopril Protection Against Reccurrent Stroke Study)では、ACE阻害薬と利尿薬の併用を4年間行うことで、収縮期血圧は9mmHg低下し、脳卒中再発抑制が示された。

また、HOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation Study)では、ハイリスク高血圧患者にACE阻害薬が4.5年間投与され、3mmHgの降圧によって脳卒中再発抑制が示されている。

そこでPRoFESS試験では、追跡期間2.4年(中央値)という早期の段階での脳卒中再発抑制が検討された。

比較されたのは、テルミサルタン(Telmi群)の1万146例とプラセボ(Plac群)の1万186例。
1次アウトカムは脳卒中再発、2次アウトカムは、脳卒中再発・心筋梗塞・血管死・心不全新規発症および悪化の複合アウトカムと糖尿病新規発症とされた。

試験開始時の血圧はPlac群144.1/83.8mmHg、Telmi群144.2/83.8mmHgとほぼ同じであり、試験期間を通じてTelmi群ではPlac群と比較して収縮期血圧は3.8mmHg、拡張期血圧は2.0mmHg低下した。

その結果、1次アウトカムの脳卒中再発に関しては、Telmi群に5%のリスク減少がみられたが、有意差は認められなかった。
Telmi群におけるリスクは、0~6カ月では7%増加、6カ月を過ぎた期間では12%減少だった。

また、Telmi群おける複合アウトカムは6%のリスク減少、糖尿病新規発症は18%のリスク減少がみられたが、いずれも有意差はみられなかった。

この結果についていYusuf氏は、「6カ月を過ぎた時期からリスク減少がみられているので、テルミサルタンの長期投与によって、ベネフィットが得られる可能性が示唆された」と述べた。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/hcp/topics/200807/507252.html

 

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<関連サイト>
PRoFESS 
脳梗塞2次予防にみる最新の動(2008.4.14)
http://wellfrog.exblog.jp/tags/PRoFESS/

 

PRoFESS試験と治療ガイドラインの関係
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-34.html

(以下、サイトの内容からの抜粋です)
■ 抗血小板薬に関するリコメンデーションは、
(1)非心原性虚血性卒中またはTIAの患者には、卒中の再発やその他の心血管イベントのリスクを削減するために、抗凝固薬より抗血小板薬を推奨する(クラスⅠ、エビデンスレベルA)
(2)当初の治療に際して、アスピリン(50-325mg/日)、dipyridamole徐放製剤とアスピリンの併用、そしてclopidogrelは、何れも容認できる選択肢である(I、A)
(3)アスピリン単剤よりもdipyridamole徐放製剤との併用を推奨する(I、B)
(4)直接比較試験に基づいて、アスピリン単剤に代えてclopidogrelを考慮すべきかもしれない(IIb、B)
(5)アスピリン以外の抗血小板薬の選択に関する十分なエビデンスはない。
(6)抗血小板薬の選択は患者のリスク因子や耐容性、その他の臨床的特徴に基づかなければならない。

PRoFESS試験では、dipyridamole徐放製剤とアスピリンのコンビ薬の効果がclopidogrelと比べて非劣性であることが確認されませんでしたが、clopidogrelのほうが優れていた訳でもありません。AHA/ASAのガイドラインには矛盾しないことになります。

■血圧管理に関するリコメンデーションは、
(1)虚血性卒中またはTIAを経験して超急性期を超えた人には卒中の再発やその他の血管イベントを防ぐために血圧治療を推奨する(I、A)
(2)効果は高血圧症の有無を問わないので、全ての虚血性卒中またはTIA患者について、上記の推奨を考慮すべきである(IIa、B)
(3)血圧低下目標は不確かであり、また、患者毎に決定されるべきだが、効果に関連が見られるのは平均10/5 mm Hgの削減であり、また、JNC-7(血圧管理ガイドライン)は120/80 mm Hg未満を通常血圧と定義している(IIa、B)

解説文によれば、高血圧症患者の卒中・心血管イベント一次予防に有効であるというエビデンスは豊富に存在する一方で、卒中・TIAの二次予防に関するエビデンスは限られているのだそうです。
降圧剤の選択に関する推奨も明確には記されていません。
メタアナリシスでは、利尿剤や利尿剤とACE阻害剤の併用で顕著な再発予防効果が見られましたが、ACE阻害剤単剤やベータブロッカーでは見られなかった、と記されています。
ACE阻害剤はHOPE試験とPROGRESS試験が紹介されていますが、良いとも悪いとも言っていません。
前者は解釈を巡って意見がまとまらなかったのではないかという印象です。
脳卒中再発予防におけるACE阻害剤の効用が明確でないならば、PRoFESS試験のインプリケーションは、ARBも効果が明確でないのでやっぱり利尿剤が一番、ということになるのかもしれません。

■ 血圧管理目標を達成するために複数の薬を併用しなければいけない患者にとっては、個々の薬の優越はそれほど重要ではないかもしれません。

 

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http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
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PRoFESS 血小板療法の比較

戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.18 00:02 / 推薦数 : 0

PRoFESSに関する記事で勉強しました。
 

血小板療法の比較で差がみられなかった理由を考察;PRoFESS

2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)のScientific Symposium 1:News in the primary and secondary prevention of strokeで、米イリノイ大学教授のPilip B. Gorelick氏が、PRoFESS試験の2次アウトカムおよび3次アウトカムに関する結果を報告し、コメントを述べた(Secondary outcomes from the antiplatelet arm of PRoFESS)。

脳卒中再発予防効果を徐放性ジピリダモール(ER-DP)+アスピリン(ASA)群とクロピドグレル(CP)群で比較したPRoFESS試験では、1次アウトカム、2次アウトカム共に有意差はみられなかった。

しかし、3次アウトカムの心不全新規発症・増悪は、ER-DP+ASA群において22%の有意なリスク減少が認められた。

また、主要出血イベントは、ER-DP+ASA群において15%のリスク増加がみられ(p=0.057)、頭蓋内出血は、ER-DP+ASA群において42%のリスク増加となっている(p=0.0055)。

当初、本試験ではCP群にもASAが併用されていたが、CP+ASA群で出血リスクが増加したMATCH (Management of Atherothrombosis With Clopidgrel in High-Risk Patients Study)試験の結果に基づいて、CP群におけるASAの併用は中止された。

このプロトコール変更前後で登録症例を分けて解析すると、主要出血イベントのリスクは、変更前ではCP群の方で増加しており、変更後ではER-DP+ASA群の方で増加していた(いずれも有意差なし)。

これらの結果についてGorelick氏は「主要出血イベントおよび頭蓋内出血のリスクは、ER-DP+ASA群において増加がみられたが、絶対値でみると虚血性イベント(脳梗塞)のリスクに比べて極めて小さく、ER-DP+ASA群では虚血性イベントのリスクが減少しているため、ベネフィットとリスクを総合した評価では差がみられなかった」と述べた。

また、ER-DP+ASA群とCP群が同等だった理由については、
(1)両薬剤療法とも効果的であること、
(2)包括的なリスク管理の下では、抗血小板療法の効果は上限に達すること、
(3)ラクナ梗塞ではリスク管理の方が抗血小板療法よりも効果的である可能性があること、
などが考えられると指摘した。

(日経メディカル別冊)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/hcp/topics/200807/507253.html

 

<補足>

循環器あれこれ 2008.6.20
http://blog.m3.com/reed/20080620/1
に以下のようなコメントを2008.7.17にいただきました。

ONTARGETはラミプリルを持ち上げることで自らの地位を守ったかもしれませんがPRoFESSはどうでしょうか?プラセボ対象のRCTで20000例以上の規模でありながらプライマリーの脳卒中、セカンダリーの主要血管イベントで有意差が出ず、更に糖尿病の新規発症でも差が出ませんでした。ちなみにプラセボに含まれるACE-Iは両群3割程度とかなり低く、血圧も同じにコントロールされた試験です。この試験の解釈について教えてください。

<PRoFESS関連サイト>
PRoFESS
Prevention Regimen for Effectively Avoiding Second Strokes
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0077.html

PRoFESS試験
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/stroke08/keyword/200804/505810.html

PRoFESS試験は大番狂わせに
http://medicineblog.asablo.jp/blog/2008/05/17/3519104

脳梗塞2次予防にみる最新の動向
http://wellfrog.exblog.jp/tags/PRoFESS/

ディザルニー 水彩画『風景』
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p121789094

 

<番外編>
体表面心電図マッピングの論文が久しぶりに目にとまりました。
随分昔、結構流行った方法です。
方法の煩雑さのため、臨床には結局応用されなかった(少なくとも臨床応用がされたという話は私は聞いたことがありません)ものです。
ある大学でこのマッピングに関する研究で大量の医学博士が作られました。
心電図学に精通された先生なら、「ああ、あの大学ね」とピンと来ると思います。
でもピンと来る先生はかなりの年齢のはずです。
以下の論文もアイルランドの研究者ということで少し納得できます。
Owens 、McClelland。
いかにもアイルランドの名前です。

Comparison of Value of Leads from Body Surface Maps to 12-Lead Electrocardiogram for Diagnosis of Acute Myocardial Infarction
Colum Owens MD, Anthony McClelland MD, Simon Walsh MD, Bernie Smith SRN and Jennifer Adgey MD
aRegional Medical Cardiology Centre, Royal Victoria Hospital, Belfast, Northern Ireland.

Received 21 January 2008;  revised 17 March 2008;  accepted 17 March 2008.  Available online 24 May 2008.

We aimed to develop 12-lead electrocardiographic (ECG) models testing ST-elevation criteria with QRST variables and compare their performance with the 80-lead body surface map (BSM) in detection of acute myocardial infarction (AMI). Because the prevalence of non–ST-elevation AMI is increasing worldwide, advances in early ECG detection of AMI are urgently needed. The study population was 755 consecutive patients presenting with ischemic chest pain from January 2002 to June 2004. All patients had electrocardiography and body surface mapping performed at initial presentation. AMI occurred in 519 patients (69%, cardiac troponin T or I level ≥0.1 ng/ml). Of these 519 patients, 303 (58%) had no ST-elevation on the initial 12-lead electrocardiogram. Ten patients were classified as having an “aborted AMI” and were included in the AMI analysis. The American College of Cardiology/European Society of Cardiology criteria for ST-elevation on 12-lead electrocardiogram identified 236 patients with AMI (sensitivity 45%, specificity 92%). Additional QRST features improved sensitivity (51% to 68%) but with decreased specificity (71% to 89%), with the optimal multivariate ECG model having a c-statistic of 0.75. The optimal BSM model identified 402 patients as having AMI (sensitivity 76%, specificity 92%, c-statistic 0.84). This improvement in sensitivity over the 12-lead electrocardiogram was due mainly to detection of ST-elevation in the high right anterior, posterior, and right ventricular territories and AMI in the presence of left bundle branch block. In conclusion, QRST variables added to criteria for ST-elevation result in improvement in sensitivity of the 12-lead electrocardiogram, although with decreased specificity. The BSM is superior in detecting AMI and demonstrates the importance of electroanatomic evaluation of patients with acute coronary syndromes.

The American Journal of Cardiology
Volume 102, Issue 3, 1 August 2008, Pages 257-265

http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6T10-4SKDH98-1&_user=10&_coverDate=05%2F24%2F2008&_rdoc=67&_fmt=high&_orig=browse&_srch=doc-info(%23toc%234876%239999%23999999999%2399999%23FLA%23display%23Articles)&_cdi=4876&_sort=d&_docanchor=&_ct=92&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=ff5b5cb74c1badb0457bdcd6f2a659a3

 

<ブログ Dr.Yumiの紹介>
最近の循環器のJournal club(1)
http://www.dryumi.com/?p=312#more-312
Deviceの適応に関するEBM
http://www.dryumi.com/?p=19

 

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抗血栓療法の出血リスク

戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.14 00:23 / 推薦数 : 0

抗血栓療法の出血リスクは年間1.2~3.6%
日本人の抗血栓薬服用患者の出血合併症リスクを検討した初の多施設共同前向き観察研究であるBAT(Bleeding with Antithrombotic Therapy)研究(主任研究者=国立循環器病センター内科脳血管部門・峰松一夫部長)の結果が,Stroke(2008; 39: 1740-1745)に掲載された。
重篤・重症出血の年間発生率は,抗血小板薬単剤で1.21%(頭蓋内出血0.34%),ワルファリンと抗血小板薬の併用で3.56%(同0.96%)であった。
日本人の疫学的特徴として頭蓋内出血が多く,抗血栓療法による発生率増加が懸念されていたが,BAT研究では,欧米の報告と同程度の出血リスクであった。

W+A/Pの出血リスクはW単独の1.76倍
BAT研究は,国内の19施設による前向き観察研究で,脳血管障害や心血管病発症後に抗血小板薬かワルファリンを服用中の患者を対象とした。
2003年10月~06年3月に4,009例(男性2,728例,女性1,281例,平均年齢69±10歳)が登録され,抗血小板薬単剤(単A/P群,47.2%),抗血小板薬2剤併用(複A/P群,8.7%),ワルファリン(W群,32.4%),ワルファリン・抗血小板薬併用(W+A/P群,11.7%)の4群に分けて出血合併症の頻度を調査した。
当時はクロピドグレルが国内で認可されておらず,単A/P群の71%がアスピリン,複A/P群の63%がアスピリンとチクロピジンの組み合わせ,W+A/P群の71%がアスピリンを用いていた。
対象の54.8%が脳血管障害を,67.3%が心疾患を有し,前者は単A/P群と複A/P群に,後者はW群とW+A/P群に多かった。
 
19か月間(中央値)の追跡期間中,頭蓋内出血31例を含む重篤な出血(出血死,頭蓋内出血,出血性ショック,4単位以上の輸血を要する貧血)が57例,入院を要する重症出血が51例発生した。
重篤と重症を合わせた出血合併症の年間発生率は,単A/P群で1.21%,複A/P群で2.00%,W群で2.06%,W+A/P群で3.56%()。


患者背景で調整した多変量回帰分析の結果では,ワルファリンに抗血小板薬を追加した場合の重篤・重症出血リスクが1.76倍(95%信頼区間1.05~2.95,P=0.031),抗血小板薬単剤に別の抗血小板薬を追加した場合の全出血リスクが1.37倍(95%信頼区間1.07~1.76,P=0.014)であった。

出血予防には血圧管理がポイントに
今回の報告をまとめた国立循環器病センター内科脳血管部門の豊田一則医長は「抗血栓療法には一定の出血リスクが伴うため,適切な治療薬と用量の選択,不必要な併用療法の回避,血圧管理が重要」と話す。

頭蓋内出血を起こしたワルファリン服用者では,観察期間中に血圧の上昇傾向が認められており,詳しい解析を進めているという。

欧米と比べて出血リスク高くない
日本人の抗血栓療法に伴う出血合併症リスクに関する信頼性の高いデータが,BAT研究によって初めてもたらされた。
一般住民の疫学調査では,日本人は食塩摂取量が多く,欧米人に比べて高血圧や頭蓋内出血の頻度がかなり高いことが知られている。
しかし,BAT研究での抗血栓薬服用者の重篤・重症出血合併症の頻度は,最近の欧米の主要な報告とほぼ同じであり,特に高いとは言えない()。


 
国立循環器病センター内科脳血管部門の豊田一則医長は「疫学研究的に日本人の頭蓋内出血の頻度が高いにもかかわらず,抗血栓薬服用患者では発生率に差がなかった背景には,日本人の場合,抗血小板薬やワルファリンの投与量が欧米人に比べて少ないことが影響しているのだろう」と分析している。
心房細動患者に対するワルファリン療法について,欧米のガイドラインでは,プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)の推奨値を2.5以上としているが, BAT研究でのワルファリン服用患者の登録時PT-INRの中央値は2.0弱であり,わが国のガイドラインの推奨値(70歳以上PT-INR 1.6~2.6)で管理されていることがうかがわれる。

適正使用で出血リスクを回避
今回の知見から,抗血栓薬の使い方についてどのようなことが示唆されるだろうか。
豊田医長によると,日本人の経口抗血栓療法による出血リスクは目立って高くなかったものの,年間100人に約1.0~3.5人が出血イベントで入院を余儀なくされているのが実態だ。

一定の頻度で出血が起こる以上,根拠があいまいな処方を続けるのは好ましくない。
例えば,ふらつきや失神のみを主訴とする患者,あるいは脳ドックでのMRI撮影で脳梗塞ではなく大脳深部白質病変のみが検出された患者に対し,安易に抗血小板薬を処方することがないだろうか。
このような処方は有益性が必ずしも明確でなく,抗血小板薬の投与に値する動脈硬化性病変の有無をさらに精査するなどの対応が望ましいという。
 
抗血小板薬の2剤併用(特にアスピリンとチエノピリジン系薬の併用)やワルファリンと抗血小板薬の併用は,単剤治療に比べて出血合併症を増加させることが,BAT研究を含め多くの研究で明らかにされている。
患者の病態に応じて抗血栓薬併用が不可欠な場合もあるが,原則として不必要な併用療法を避け,適切な治療薬と強度を選択する。
例えば,抗血小板薬を1剤服用中に脳梗塞を含む血栓性の血管イベントを起こした場合,まず別の薬剤に変更し,それでも効果が不十分な場合に2剤併用を選択するという手順を踏む。
また,ワルファリンは,抗血小板薬に比べて出血リスクが高いため,本来の適応である心原性脳塞栓症の予防目的以外に,動脈硬化という理由で脳梗塞予防に用いることは原則として勧められないという。

頭蓋内出血の前に血圧が上昇傾向
抗血栓療法の出血合併症をいかに防ぐかについて,BAT研究で1つの手がかりが示されている
ワルファリン服用中に頭蓋内出血を起こした患者は,登録時,経過観察中,発生から至近の外来受診時の血圧を検討すると,経時的に血圧が上昇する傾向が見られたという。
 
豊田医長は「もともと血圧の高い患者や,ワルファリン服用中に血圧が上昇する患者は頭蓋内出血を起こしやすい可能性がある。
出血回避を考慮した抗血栓薬服用中の患者の至適降圧レベルを含めて検討を進めているが,出血合併症予防のためには,血圧測定,生活習慣改善指導や降圧管理を含む血圧管理が重要と考えられる」と述べた。
 
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
どの先生もお考えのことでしょうが、脳梗塞の再発予防に抗血小板剤を処方した場合、次回のアッタクが脳出血だった場合どうしようということです。
脳梗塞も脳出血も血圧値に比例して発生頻度が増加するというデータがある以上、高血圧患者の場合にはどちらも起こりうるということになります。
出血性梗塞とかいうのは別として、同一患者に時を違(たが)えて脳梗塞と脳出血の両方を発症する発生頻度のデータはあるのでしょうか。
脳梗塞の再発予防のため抗血小板剤投与の際、脳出血が起きないということが担保されていないというのがつらいところです。
そして抗凝固剤と違って、抗血小板剤ではINRのようなコントロールの指標がない(血小板凝集能は臨床現場では実際には使われていない)ことが使用にあたって便利(?)でもあり怖いところでもあるのです。
 

<関連ブログ>
抗血小板剤の併用療法
http://blog.m3.com/reed/20080121/1
抗血小板剤の選択肢 その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20071215
抗血小板剤の選択肢 その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20071216
抗血小板剤の選択肢 その3(3/3)
http://blog.m3.com/reed/20071217
 

<自遊時間>
週末、山に行ってきました。
標高1600m強のところです。
7月12日の土曜日の夜空は快晴(?)でした。
深夜にリクライニングチェアーを出して星空を見上げていました。
目が慣れるにつれて星の数がどんどん増えていきます。
慣れきったころには満天の星。
高校生の頃、あちこちの部活を渡り歩き(当時、幽霊部員と当校では表現していました)、天文部にも入っていました。

当夜も星座の名前は皆目わかりません。
唯一、銀河(天の川、milky way)だけがわかりました。

なぜか遠い昔の高校時代のことを思い出していました。
部員は5人。
そのうちの一人は、本当の天文学者になり、国立天文台野辺山宇宙電波観測所にいます。
もう一人は現在、糖尿病の大家(某大学医学部教授)として活躍中です。
落ちこぼれの私以外の4人は、いずれもT大,K大に進学しました。
全員部活をやるという学校の方針もあり、天文部は格好の「幽霊部員」の居場所だったのです。
多分集まっても、天文についてまともに語れるのは「野辺山」だけのはずです。
夜中に学校の屋上に上って夜空をみんなで眺めたり(都会のためよく星はみえませんでしたが)、冬空を見上げて流星の数をカウントしたことは、今となってはいい思い出です。

そんなことを思い出した一夜でした。

<関連サイト>

~天の川写真集~
http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/milky.html
天の川 全国調査
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20050800/index.html
(国立天文台のサイトです)
天の川
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E5%A4%A9%E3%81%AE%E5%B7%9D&lr=
ナット・キング・コール “スターダスト”
http://setugetukasui.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_0f3f.html
(ナット・キング・コールの唄うスターダストをYou Tubeで見ることができます)
スターダスト Stardust ナット・キング・コール(Nat King Cole/1919~1965)
http://www.worldfolksong.com/pop/nkc/stardust.htm
(懐かしいLPレコードで聴ける「スター・ダスト」です)
 

 読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

 

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バイエル CVRM シンポジウム in 東京
Bayer Symposium on Cardiovascular Risk Management, 2008
さらに重要性を増す心血管リスクの多角的管理戦略

のシンポジウム紹介記事で勉強しました。

抗血小板療法
脳卒中診療の新しい流れ;
多角管理がアスピリンの効果を高める
 
演者: 国立病院機構九州医療センター統括診療部長
岡田 靖 氏 
座長: 国立循環器病センター名誉総長
山口 武典 氏

脳卒中の危険因子は従来,何よりも高血圧と考えられてきた。
しかし近年,それに加えて糖尿病,脂質異常,肥満,喫煙など複数の危険因子を持つ患者が増加している。
国立病院機構九州医療センター統括診療部長の岡田靖氏は,一過性脳虚血発作(TIA),非心原性脳梗塞の急性期治療や再発予防には複数の危険因子に対する多角管理が必須で,それが抗血小板療法の効果を高めるとした。

脳梗塞と同様の警戒を要するTIA
岡田氏は講演の冒頭,久山町研究を引用し,脂質異常症,耐糖能異常,肥満などの危険因子を持つ患者が増えていることを示した。
また,日本における脳梗塞急性期の実態調査J-MUSIC(Japan Multicenter Stroke Investigators' Collaboration)から,急性期の病型としてアテローム血栓性脳梗塞の割合が高まっていると述べた。
そして不安定狭心症,心筋梗塞(MI),脳梗塞/TIA,末梢動脈疾患(PAD),間歇性跛行,心血管死など,動脈硬化巣の破綻から始まる症候性動脈血栓性疾患をアテローム血栓症と総称し,全身血管病として治療方針を見直す動きがあることを紹介した。
 
特にTIAは,軽症の脳梗塞ととらえられがちだが,実は非常に高リスクであることがわかってきた。
高度狭窄合併例では1週間で8.5%,3 か月で20%が完成型脳梗塞を発症する。
逆に,完成型脳梗塞の発症前にTIAが見られた例を調べると,その半数はTIA出現後48時間以内に発症していた。
したがって,この48時間に診断を終え治療に着手することが基本となる。

不安定狭心症をMIに匹敵する重症の急性冠症候群ととらえ,迅速に対応するのと同じ考え方である。
 
TIAのなかでも,数時間前の初回発作,TIA頻発,心原性TIA,心房細動(AF)・頸動脈高度狭窄の合併,長い症状持続時間,大脳皮質症状といった症例は,即日入院させるべきだという。
また,ABCDスコアが高い例も同様である。
ABCDスコアとは,Age(年齢),Blood pressure(来院時血圧),Clinical feature(神経症候),Duration(症状持続時間)の各項目をスコア化し,その合計でリスクを層別する方法で,6点以上の場合,1週間以内の脳梗塞発症率が3割に及ぶという。
 
米国脳卒中協会のガイドラインには,こうした時間軸に沿った初期治療のほか,危険因子の多角管理の必要性が示されている。
目標値は血圧140/90mmHg,空腹時血糖126mg/dL,LDL-C 100mg/dLで,禁煙の徹底も重要とされている。

アスピリンは脳梗塞急性期,慢性期再発予防に明確なエビデンス
急性期の多角管理の軸となるのは,抗血小板療法である。そのエビデンスとしては,中国で行われたCAST(Chinese Acute Stroke Trial),国際共同試験IST(Inter-national Stroke Trial)の計約40,000例において,発症48時間以内にアスピリン投与を開始し,2~4週間の投与で脳梗塞再発,それによる死亡,全死亡が有意に減少したとの複合解析結果がある。
この成績に基づいて,アスピリンは急性期の抗血小板薬として唯一,日米欧のガイドラインに第一選択として記載されている表 1)。


 
慢性期の再発予防として,心原性脳梗塞には一般的に抗凝固療法が行われる。

他方,非心原性脳梗塞には抗血小板療法が推奨される。
なかでもアスピリンは,脳血管疾患のみならず,MIや狭心症など心血管疾患の二次予防にも有効であることが多くのエビデンスで示されており,患者の全身管理に適した薬剤だと言える。
 
脳梗塞,MI,PADのいずれかを有するアテローム血栓症患者20,000例を36か月間観察したCAPRIE (Clopidogrel versus Aspirin in Patients at Risk of Ischemic Events)試験では,クロピドグレルがアスピリンに比べ脳・心血管疾患発症の相対リスクを8.7%低下させた。
ただし疾患別の解析では,両群の差はPADで特に大きく,脳卒中やMIでは明らかな差が認められなかったという。
また,Bergerらの2008年のメタ解析では,脳卒中に対するアスピリンのNNT(number needed to treat)は,スタチンやACE阻害薬に比べて優れていることが示された。
こうした結果から岡田氏は,慢性期の抗血小板療法には薬価が安く,多くのエビデンスを有するアスピリンがベースになる,との見解を示した。
 
続いて同氏は,脳・心血管疾患の予防には血圧,血糖,血清脂質の管理がすべて重要であることをUKPDS,PROactive,SPARCLEの結果から示した。
Albersらはこれらに加え禁煙,減量,抗血小板療法の予防効果を示し,脳血管障害予防における多角管理の重要性を指摘している。
 
これを受けて岡田氏は,非心原性脳梗塞とTIAの急性期および再発予防の考え方を「ベースはアスピリンだが,抗血小板療法のみに頼らず,アテローム血栓症に対する多角治療に注目すべき。
特に高血圧,糖尿病,脂質異常,禁煙を含む生活習慣改善が重要である」とまとめた(表 2)。


そして「こうした多角管理が,結果的には抗血小板薬の効果をいっそう高めることになるのではないか」と述べ,講演を結んだ。

出典 Medical Tribune  2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社

<自遊時間> 20.7.6PM7
ちょっと一泊で山に涼みに行ってきました。
遠出には10年以上乗っているオンボロのワンボックスカーに乗ります。
この前は高速道路でスピードメーターがいきなり動かなくなり困りました。
きょうは、帰りの高速が雨混じりでワイパーをかけました。
しかしワイパーも劣化していてよく拭けません。
そんな中、我が愛車と同じくらい古いアルファロメオが前を走行していました。
その車のリアガラス越しにみるワイパーの動きが何だか変です。
小雨だったせいか妙にゆっくりワイパーが動いているのです。
ヨーロッパ車は間歇ワイパーという考えがなくて小雨の時にはゆっくり動くように調整できるのでしょうか。
運転していて目障りのような気がするのですが。

 

ワイパーの件で、運転中に思い出したことがありました。
それは190というスモールベンツ、そしてミディアムベンツ。
現在のMクラス、Cクラスは違いますが、当時はワンアームの伸縮するワイパーでした。
私は190D2.5に長く乗っていたことがあります。
停車していてワイパーをつけるとあの頑丈な車体が揺れるほど強力なワイパーでした。
伸縮することにより拭き取る面積をかせぐという素晴らしいワイパーでさすがメルセデスと関心したものでした。

かなりの開発費をかけたようで2代にわたって採用されました。
そうこうするうちにジャガーも一時期ワンアームのワイパーをつけました。
しかし、それは伸縮しないまったく意味のないものでした。
そのあたりに、ドイツ車と英国車の違いをみたような気がしたものです。

つまんない話で申し訳ありません。

 

コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21
があります。

 

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最近、心臓血管研究所(東京)の山下武志先生の講演で、「抜歯の際、ワーファリン中止を指示する歯科医は東京では藪医者といわれるご時世だ」といわれました。
抗血小板剤も同じようなことと思われます。
必要で処方」しているわけですから、「いいおー!」と返書は書けません。
ましてや当院は医療訴訟になれば一家は勿論のこと職員も路頭に迷う一零細企業です。
返事は「アスピリンは必要のため処方しています。打ち切りの有無については貴科のお考えに従って行って下さい」ということになります。
今後、同じような症例はどんどん増えてくると思います。
DESの症例では、先生方はどのように対処してみえるのでしょうか。

さて、きょうはアスピリンについて勉強しました。
 

アスピリンによる1次予防効果が優れるハイリスク群が明らかに
アスピリンによる1次予防は、10年心血管疾患リスクが『>10%の男性』および『>15%の女性』において費用対効果が優れることが、Markovモデルを用いたシミュレーション研究で確認された。
アスピリンは心血管イベントの1次予防に有効なことが示されているが、アスピリンのベネフィットがより高いサブグループについては不明であった。

心血管リスクのレベルが異なる種々の年齢の男女で比較

アスピリンの費用対効果を、心血管リスクのレベルが異なる種々の年齢(45、55、65、75歳)の男女で比較するようデザインされたMarkovモデルを用いて、心血管イベント予防例数、質調整生存年(QALY)、10年間の費用を予測した。イベント発生率はオランダ人口統計データから算出し、アスピリンの相対的な有効性について性特異的メタ解析を行った。結果の信頼性を評価するために、感度解析およびモンテカルロ・シミュレーションを実施した。

おもな結果は以下のとおり。
●55歳のコホートにおけるアスピリンの1次予防効果
 ・男性の心筋梗塞の予防効果:127イベント/10万人・年の低減
 ・女性の虚血性脳卒中の予防効果:17イベント/10万人・年の低減 
 
●55歳の男性ではアスピリンによるQALYの改善が示唆された
 ・増分費用効用比:11万1,949ユーロ/QALY(1ユーロ=1.27ドル、2007年6月現在)
 
●心血管リスクが中等度(2倍に上昇)の55歳の男性、およびリスク因子のない65歳と75歳の男性(10年心血管疾患リスク>10%)でアスピリンの費用対効果を認めた
 
●心血管リスクが高度(5倍に上昇)の65歳の女性、中等度の75歳の女性(10年心血管疾患リスク>15%)でアスピリンのベネフィットを認めた
 
●これらの結果は、薬物治療コスト、アスピリン治療の有効性、アスピリン使用の効用値に対し高い感度を示した
 
●以上の結果より、10年心血管疾患リスク>10%の男性および10年心血管疾患リスク>15%の女性で、アスピリンによる1次予防の費用対効果が確認された

[監修者のコメント]
本研究は、一次予防におけるアスピリンの心血管イベント発症抑制効果の性差を、費用対効果の観点から研究した点である。 
費用対効果は各国により異なる。

また、その詳しい分析の新規性はよくわからないが、本研究を取り上げた理由は、血栓症の1次予防の考え方が重要と考えたからである。

血栓症予防・治療で使用される抗凝固薬や抗血小板薬などの血栓症治療薬と、降圧薬やスタチンなどとの大きな違いは、出血合併症が臨床的には無視できない割合で生じることである。
このことは、1次予防に関しては特に副作用に敏感なわが国では大きな問題となる。

1次予防の費用対効果の最も優れた血栓症予防・治療薬はアスピリンである。
しかし、心血管疾患の発症リスクが低い患者にアスピリンを投与することは、得られる予防効果よりも出血合併症のリスクが上回る。

アスピリンの2次予防目的の使用は、我が国では、2000年より、
1)狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)
2)心筋梗塞
3)虚血性脳卒中(一過性)能虚血発作・TIA、脳梗塞)
の発症既往を有する患者では、再発・2次予防に保険適応が認められており、コンセンサスが得られている。

問題は、一次予防である。

本研究は、心血管リスクが中等度(2倍に上昇)の55歳の男性、およびリスク因子のない65歳と75歳の男性(10年心血管疾患リスク>10%)でアスピリンの費用対効果が優れることを示した。
この費用対効果は明確な性差を認め、心血管リスクが高度(5倍に上昇)の65歳の女性、中等度の75歳の女性(10年心血管疾患リスク>15%)でアスピリンの有用性が見られた。

アスピリンの1次予防効果には、合併する心血管リスク、年齢、性別が大きく影響することが示された。

しかし、あくまでも、これらのデータは欧米人のものである。これまで、わが国ではアスピリンの1次予防の臨床的エビデンスがなかったが、現在、心血管リスクを有する高齢者を対象に、アスピリンの1次予防効果を検討する大規模臨床研究Japanese Primary Prevention Project with Aspirin (JPPP)が進行中である。
本研究より、近い将来、わが国のどのようなハイリスク群にアスピリン投与が有用であるかが、費用対効果も含めて明らかになるであろう。
([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=4419

<原著>
Cost-effectiveness of aspirin treatment in the primary prevention of cardiovascular disease events in subgroups based on age, gender, and varying cardiovascular risk.Greving JP, Buskens E, Koffijberg H, Algra A.
Circulation. 2008 Jun 3;117(22):2875-83. Epub 2008 May 27.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18506010?ordinalpos=31&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

 

新しい血小板活性化バイオマーカーの臨床的意義は? 
 
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