戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< 前のページ

脂質低下食と低脂肪食

戯れ言たれる侏儒 / 2012.01.18 00:10 / 推薦数 : 0
~大豆やナッツ類などの脂質低下食~
低脂肪食よりLDL-C値が大幅に低下
聖ミカエル病院とトロント大学(ともにカナダ・トロ ント)のDavid J. A. Jenkins教授らは,脂質異常症患者を対象とした多施設共同研究を実施し,大豆やナッツ類,植物ステロール,オート麦などの脂質低下効果を持つ食物を 複数組み合わせて6カ月間摂取する方が,低脂肪食を多く摂取するよりもLDLコレステロール(LDL-C)値が大幅に低下するとJAMA(2011; 306: 831-839)に発表した。
 
24週後のLDL-C値が約13%低下
研究の背景情報によると,これまで脂質低下効果が知られている食物を単独あるいは複数摂取して効果を高める試みがなされてきたが,長期的な効果を従来の食事療法と比較した検討はなされていなかった。
 
Jenkins教授らは,2007年6月~09年2月に,カナダの4施設における脂質異常症患者351例を対象に,米食品医薬品局(FDA)が脂質値の低下に有効性を認めている脂質低下食(大豆やナッツ類,植物ステロール,オート麦など)を勧める食事指導が,LDL-C値の低下にどのような効果があるのかを検討する多施設共同研究を実施した。
 
対象患者を
(1)脂質低下食を多く摂取するよう2回指導する通常指導
    群(124例)
(2)同様の食事指導を7回行う強化指導群(103例)(3)高繊維 食や全粒穀物などの低脂肪食を多く摂取する
       よう指導する対照群(124例)
—の3群にランダムに割り付け,食事指導を6カ月間継続した。
 
その結果,修正治療企図分析(modified intention-to-treat analysis)による対象症例の脱落率は,強化指導群で18%,通常指導群で23%,対照群では26%と3群間で有意差は認められなかった。
 
また,追跡開始時から24週間後のLDL-C値の変化は,強化指導群で− 26mg/dL(−13.8%),通常指導群で−24mg/dL(−13.1%)だったのに対し,対照群では−8mg/dL(−3.0%)であった。
 
同教授らは「LDL-C値低下効果を有する食物を複数摂取する食事指導を行うと,低脂肪食を多く摂取するよりもLDL-C値低下率が有意に高かった。
また,通常指導群と強化指導群でLDL-C値低下率に有意差は見られなかった」とし,「今回の研究から,脂質低下食を複数摂取することが,潜在的なLDL- C値低下効果を示すことが分かった」と結論している。
 
さらに「約1時間と40分のわずか2回の指導で13%ものLDL-C値低下が達成できた。従来の食事療法ではLDL-C値低下率が3%にとどまっている ことを考慮すると,通常の食事を摂取している患者の多くに同様の食事指導を行えば,さらに大幅な低下が見込めるのではないか」との考えを示している。
出典 Medical Tribune  2012.1.12
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
<関連サイト>
高脂肪食で太る理由を解明? 脳にダメージで食欲を刺激米研究
ダイエットは長続きしない。
特に太れば太るほど,わき上がる食欲に打ち勝つことは難しい。
この原因の1つに,肥満が直接脳に与える影響が取りざた されている。
米ワシントン大学のJoshua P. Thaler氏らの研究によると,脂肪の割合が高い食事を与えられたマウスやラットでは,1~3日以内に脳の視床下部が炎症を起こし,それによる神経の損傷が認められたという。
この神経損傷が食欲を刺激し,さらに高脂肪食を求める悪循環を生み出すようだ。研究の詳細は,J Clin Invest2012; 122: 153-162)に掲載されている。
出典 MT pro  2011.1.17
版権 メディカル・トリビューン社
 
高蛋白質の朝食は昼食前の食欲抑制に有効
朝食習慣のない15歳女性対象の米研究
肥満においても“先進国”となっている米国。
その要因の1つは,はんらんする広告宣伝や自動販売機に扇動され,濃い味付けで栄養価の高い食べ物が,空腹 を感じないときでも簡単に手に入る環境にあるという。
そのような中,米ミズーリ大学栄養・運動生理学のHeather J. Leidy氏らが,朝食を取る習慣のない15歳前後の女性を対象にした機能的MRI(fMRI)解析によるパイロット研究を行った。
その結果,蛋白質を多く含む朝食を取った場合の方が,通常の蛋白質量の朝食を取った場合に比べ,昼食直前に感じる空腹感や食欲を示す脳活性反応がより弱いことが分かった(Obesity 5月5日オンライン版)。
出典 MT pro  2011.5.27
版権 メディカル・トリビューン社
 

朝食をしっかり取ると太る? 摂取比率を減らせばダイエットに
独研究
脳の活性化やダイエットなどの観点から,朝食を取った方が良いとする研究結果が報告されているが,その一方でカロリー過多の現代人は朝食を抜いた方がカロリー摂取を制限できるとする説がある。
こうした中,ドイツ・ミュンヘン工科大学のVolker Schusdziarra氏らは,朝食の摂取量に注目。1日のカロリー摂取量において,朝食の比率を減らした方がダイエットにつながることをNutr J1月17日オンライン版に発表した。
出典 MT pro  2011.1.18
版権 メディカル・トリビューン社
 

朝食には炭水化物よりも高脂肪食
ただし就寝前には低カロリー食を
アラバマ大学バーミングハム校(UAB)公衆衛生学部疫学科のMolly Bray教授らの新たな研究によると,“王様のような朝食,王子のような昼食,貧民のような夕食を取れ”という昔の格言は,実際のところ,メタボリックシ ンドロームを予防するうえで最も優れたアドバイスかもしれない。
詳細はInternational Journal of Obesity(2010; オンライン版)に発表された。
同教授らは,朝目覚めた後に高脂肪食を与えたマウスの代謝プロフィールが正常であることを明らかにした。
反対に,朝に高炭水 化物食をより多く摂取したマウスでは,メタボリックシンドロームの指標である体重増加,肥満,耐糖能障害などの異常が生じるという。
出典 Medical Tribune  2010.7.8
版権 メディカル・トリビューン社
 

Obesity is associated with hypothalamic injury in rodents and humans 

 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
があります。  
 
 

固定リンク | コメント (0)

閉経後のスタチン使用で糖尿病発症リスク1.5倍
米WHI試験15万人のデータ解析
米・メイヨークリニックのAnnie L. Culver氏らは,女性健康イニシアチブ(WHI)試験約15万人のデータを分析し,閉経後のスタチン使用で糖尿病発症リスクは1.5倍に上昇するという結果を報告した(Arch Intern Med 2012年 1月9日オンライン版)。
スタチンの種類,強度にかかわらず関連が認められ,薬剤クラスが糖尿病発症に影響しているのではないかと結論付けている。
 
ベースラインのCVDの有無にかかわらず,有意なリスク上昇
WHI試験は1993~98年,50~79歳の女性16万1,808人を3つの臨床試験アーム,前向き研究アームに登録し,現在も追跡を継続している大規模試験。
Culver氏らは,2005年のデータを用い,スタチン使用と糖尿病の関連を分析。
また,effect modificationを明らかにするため,人種,肥満状況,年齢などによるサブグループ解析を行った。

ベースラインのデータで糖尿病がない15万3,840人(平均年齢63.2歳)のうち,7.04%がスタチンを使用していた。内訳はシンバスタチ ン30.29%,lovastatin 27.29%,プラバスタチン22.52%,フルバスタチン12.15%,アトルバスタチン7.74%などであった。

100万4,466人・年の追跡中,スタチン使用群で1,076人(9.93%),非使用群で9,166人(6.41%)の糖尿病発症があった。
スタチン使用群における糖尿病発症のハザード比(HR)は非使用群と比べて1.71(95%CI 1.61~1.83)と高かった。Cox比例ハザードモデルを用い,年齢,人種,教育,喫煙,BMI,身体活動,飲酒,エネルギー摂取,糖尿病家族歴,ホ ルモン補充療法,研究アーム,自己申告によるベースラインの心血管疾患(CVD)の既往を調整したところ,HRは1.48(同1.38~1.59)と低下 したが,いまだに有意だった。

リスク上昇はすべての種類のスタチンで認められ,低用量と高用量に分けた場合の調整後HRは1.48と1.45とほぼ同等だった()。
 

photo
 
ベースラインのBMI(25未満,25~29.9,30以上)別に見ると,すべての群でリスク上昇があった。
調整後HRは1.89(同 1.57~2.29),1.66(同1.48~1.87),1.20(同1.09~1.33)で,BMI 25未満でリスク上昇が最も顕著だった。

また,ベースラインのCVDの有無にかかわらず,スタチンは糖尿病のリスクを高めていた。

リスクを明らかにし最適な使用法を探る必要あり
年齢層や民族別に分析しても一貫したリスク上昇が認められた。
他の人種と比べアジア系ではスタチンによるリスク上昇が最も顕著だった。
 
さらに,スタチンのベースラインのみの使用,3年後のみの使用,長期使用(ベースラインと3年後の使用)に分けて分析しても,いずれも同様の結果となった。

以上は閉経後女性においてスタチン使用で糖尿病発症リスクが上昇することを示唆しているが,Culver氏らによると脂質,C反応性蛋白(CRP),HbA1cのデータがなく,スタチン使用者の糖尿病リスクが明らかでないなどの研究限界もある。

Culver氏らは,スタチンは糖尿病の有無によらず血管死や総死亡を改善するため,ガイドラインに基づいた使用を変更すべきではないと指摘しつつも, 汎用されている薬剤であるため,性,民族ごとの糖尿病リスクを明らかにし,最適な使用法を探る必要があるだろうと締めくくっている。          (木下 愛美)

 

出典  MT Pro 2012.1.10
版権 メディカル・トリビューン社

 

固定リンク | コメント (0)

PICCOLA試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.12.07 00:20 / 推薦数 : 1
2型糖尿病患者の左室拡張能はピオグリタゾンで改善するか:PICCOLA試験
Cardiac Outcomes of Pioglitazone on Cardiac Function and Large Arteries, the PICCOLA Trial
 
ピオグリタゾンなどのチアゾリジン系薬は,インスリン抵抗性を改善する薬剤として2型糖尿病患者の治療に広く用いられているが,心不全リスクを上昇させるとの試験結果も得られている

Park氏らはピオグリタゾンが左室拡張能に及ぼす影響をプラセボ対照クロスオーバー試験(PICCOLA試験)で検討し,心エコー検査による左室機能評価により,ピオグリタゾンが左室拡張能を改善し,全末梢血管抵抗の低減をもたらすことを示した。 

 
■ピオグリタゾン投与前後の心機能を心エコーで評価
チアゾリジン系薬はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ(PPAR-γ)作動薬であり,糖尿病患者に対して単独使用で,あるいはメトホルミンやスルホニルウレア系薬剤との併用で広く用いられている。

第1世代薬のトログリタゾンは肝毒性のため市場から撤退したが,ピオグリタゾンやロシグリタゾンなどの第2世代薬は肝毒性をもたない。

しかしグリタゾン系薬の使用に伴い心不全リスクが上昇するとの試験結果も出て,ロシグリタゾンは心不全や心筋梗塞が増加するとの理由でEU市場から撤退した。

Park氏らは,2型糖尿病患者24例を対象にプラセボと比較したピオグリタゾン投与時の心室拡張・収縮機能を検討するクロスオーバー試験を行い,ピオグリタゾンは心不全リスクを上昇させるのか検証した。

被験者は,使用中の治療薬に加えてピオグリタゾン(45mg/日)またはプラセボを12週間服用し,試験薬切り替えの際には2週間のウォッシュアウト期間をおいた。

対象者は18歳以上でHbA1cが7.5%超,心収縮能が正常で血圧がコントロールされている2型糖尿病患者とし,冠動脈疾患,心不全,拡張不全の患者などは除外した。

心エコー検査はPhilips iE33と5-1 MHzフェーズドアレイトランスデューサーを用い,クロスオーバーデザインにより各2回の投与開始時と終了時の計4回行った。

主要評価項目は組織ドップラー法による拡張早期僧帽弁輪部移動速度波(e')とした。
通常のドップラー法にて僧帽弁血流波形を求め,E波とA波を得てE/A比とE/e'比を求めた。
傍胸骨長軸像を得て駆出率,1回拍出量,左室心筋重量係数と全末梢血管抵抗を求めた。 
 

■ピオグリタゾンにより左室拡張能と末梢血管抵抗が改善
12週間のピオグリタゾン投与後,空腹時血糖とHbA1cが有意に低下したが,体重は有意に増加した。
ウエスト・ヒップ比,血圧と心拍数には変化がなかった。

心エコー所見では,ピオグリタゾン投与によりプラセボ投与に比べe'が0.7cm/s(p=0.02)上昇した。

またE/A,MDI(mitral deceleration index),駆出率,1回拍出量が有意に上昇し,全末梢血管抵抗と収縮末期の経線方向壁応力が有意に低下した。
重篤な有害事象の発生はなかった。
 
Park氏は,PICCOLA試験は被験者数が少なく投与期間が短いため心収縮能の評価が行えなかったという限界はあるものの,12週間のピオグリタゾン 投与により2型糖尿病患者の左室機能が改善することが示されたことから,糖尿病管理における血糖降下薬としてピオグリタゾンを引き続き使用することが妥当であることが支持されたとの結論を示した。(メディカルライター 森口理恵)
 
■監修者のコメント
2型糖尿病患者の左室拡張能はピオグリタゾンで改善するか-クロスオーバー試験で証明
本研究は,チアゾリジン誘導体ピオグリタゾンが2型糖尿病患者の左室拡張能を改善することをクロスオーバーデザインで示した研究である。

ピオグリタゾンはアディポネクチンを増加させ,インスリン抵抗性を改善し,2型糖尿病患者において血糖レベルを低下させ,さらに,最近の臨床研究においては心血管イベントを抑制することが知られている。

本研究では主要エンドポイントとして,組織ドップラーを用いて評価した左室拡張能指標である拡張早期僧帽弁輪部移動速度波(e')の変化をみている。12 週間のピオグリタゾン投与により,血圧の変化はみられなかったが,HbA1cは低下し,e'に改善がみられた。

左室拡張能の改善とコラーゲン代謝マーカーなどのバイオマーカーの変化との関連については,本研究では評価していない。

以前,秋田大学の伊藤教授のグループより同様の研究が発表されている1)

6か月のピオグリタゾン投与により,2型糖尿病患者の左室拡張能とコラーゲン代謝マーカーであるPIIIP(aminoterminal propeptide of type III procollagen)が改善し,これらの改善程度に相関がみられている。

これまでに名古屋大学の室原教授のグループの動物実験においても,アンジオテンシンIIにより引き起こされる左室肥大と線維化がピオグリタゾンにより抑制されることが示されている2)

このピオグリタゾンの心保護効果はアディポネクチン欠損マウスで消失することから,この効果はアディポネクチンの増加を介してもたらされると考えられる。

したがって,ピオグリタゾンは糖尿病患者の左室の線維化を抑制し,拡張能を改善すると考えられ,今後,左室収縮能が保たれた糖尿病心不全患者や,その前段 階である拡張障害を合併する糖尿病性心筋症を合併する患者でより心保護効果が臨床的に示されることが期待される。

  引用文献
  1) J Cardiol 2009;54(1):52-58

  2) Hypertension 2010;55(1):69-75

監修:自治医科大学内科学講座循環器内科学部門主任教授 苅尾七臣
 
出典
http://www.biomedisonline.jp/aha2011hl/13277/Oral.php
(要パスワードです。同時通訳音声、英語音声や動画も視聴できます。)
 
 
 
ハビタブルゾーン中心に地球に似た惑星
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20111206003&expand&source=gnews
 

読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
があります。  
 
 
 

固定リンク | コメント (0)

糖尿病患者の血圧管理

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.14 00:43 / 推薦数 : 0
埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科の片山茂裕教授の,高血圧合併糖尿病患者における血圧管理についての解説で勉強しました。
 
糖尿病患者の血圧管理
イベント抑制には厳格さが必要だが,過度の降圧には注意
糖尿病患者における高血圧の合併は,心血管疾患の発症率を2~3倍増加させ,また糖尿病腎症の進行を促進する。
一方,血圧を良好にコントロールすることで,心血管疾患の発症や糖尿病腎症の進行を抑制しうる。
近年,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)+利尿薬など各種合剤が使用可能となり,良好なコ ンプライアンスが期待できるようになり,血圧を厳格に管理しやすくなった。
一方,降圧目標に関して従来の130/80mmHg未満では低過ぎるのではないかとの意見が出され,波紋を呼んでいる。
 
高血圧合併糖尿病患者では3剤併用が必要なケースが多い
糖尿病患者では,高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)で定める降圧目標である130/80mmHg未満を達成しているケースは 20~30%ではないかといわれる。
その背景として,糖尿病患者では肥満などのため,単剤では降圧目標到達が困難な場合が少なくないことに加え,利尿薬の併用率も低いことが指摘されている。
JSH2009における糖尿病を合併する高血圧の治療計画では,血圧が130/80mmHg以上であれば,生活習慣の修正・血圧管理と同時に薬物療法を 開始し,第一選択薬としてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはARBが推奨されている。
さらに,効果不十分であれば用量を増量するか,Ca拮 抗薬または利尿薬を併用,それでも効果不十分であれば,3剤(ARBまたはACE阻害薬+Ca拮抗薬+利尿薬)を併用すると記されている。
  以下、一部略
 
日本人でARB+利尿薬とARB+Ca拮抗薬の比較試験が実施中
服用する薬剤の数が多くなると,コンプライアンスの低下が懸念される。
近年,ARB+利尿薬やARB+Ca拮抗薬といった合剤が使用可能となり,コンプライアンスの向上が期待できる。
降圧治療では,これまでわが国では利尿薬はあまり使用されていなかったが,ARB+利尿薬の合剤が登場したことで,利尿薬が投与されている患者が増加しつつある。ARBと利尿薬の併用は,両者の作用機序を増幅し,降圧効果の増強が期待できる。また,糖尿病患者では高血糖や肥満,腎機能低下などにより食塩感受性のケースが多い。ARBは圧利尿曲線が緩やかであるが,ARBと利尿薬を併用することで,圧利尿曲線が急峻化し,より高い降圧効果が得られる可能性がある
米国では,ACE阻害薬+利尿薬とACE阻害薬+Ca拮抗薬の併用による複合イベント発生率を比較したACCOMPLISH studyの成績が報告されている。
わが国でもARB+利尿薬とARB+Ca拮抗薬の心血管イベント抑制効果を比較検討するCOLM studyが現在進行中である。
 
降圧療法の普及・強化などにより糖尿病患者の透析導入例が減少
降圧療法により心血管疾患の発症や糖尿病腎症の進展が抑制されることは,多くの大規模臨床試験で証明されている。
また,55歳以上の糖尿病患者を対象としたADVANCE試験では,治療中に到達した血圧レベルの低下とともに腎イベント発生率が直線的に減少し,収縮期血圧(SBP)110mmHg未満,DBP 65mmHg未満で最低値となったことが報告されている。
さらに,ROADMAP試験では,ARBが微量アルブミン尿の発症を減少させるとの成績が得られており,降圧療法により糖尿病腎症の進展抑制だけでなく発症予防も可能と考えられる。
日本透析医学会の調査では,2010末時点における日本の慢性透析患者数は29万7,126人で,前年度より6,465人増加したが,患者数の増加は鈍化している。
また,糖尿病腎症を原因とする透析導入患者の割合は2008年度に初めて減少し,2010年度も再度減少した。患者数は2010年度に導入された総患者数3万7,532人の43.5%に当たる1万6,326人で,初めて前年度に比べて約600人減少した。
これらは降圧療法の普及・強化によるところが大きいと考えられる。
糖尿病腎症が進行すると血圧管理も難しくなることから,早期から厳格な血圧管理が重要である。
 
個々の患者の病態を考慮して降圧目標を決定
糖尿病患者における降圧目標は欧米のガイドラインにおいても,日本と同様に130/80mmHg未満とされている。
近年,この降圧目標が低過ぎるのではないかとの意見が出されている。
2010年に発表されたACCORD血圧試験における1次エンドポイント(非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心血管疾患による死亡)の年間発生率は厳格管理群(SBP 120mmHg未満を目標,開始4カ月後に119.3 mmHgに到達)1.87%,標準管理群(SBP 140mmHgを目標,開始4カ月後に133.5mmHgに到達)2.09%,ハザード比(HR)0.88で,有意差は認められなかった(ただし,脳卒中発症率はHR 0.59で,厳格管理群で有意に低下した)。
また,冠動脈疾患合併高血圧患者を追跡したINVEST試験では,糖尿病患者のサブ解析が報告された。
到達したSBP値別にイベント(全死亡,非致死性 心筋梗塞,非致死性脳卒中)発生率を比較したところ,厳格管理群(130mmHg未満)のイベント発生率は12.7%で,降圧不良群(140mmHg以 上,19.8%)より低かったものの,通常管理群(130~139mmHg,12.6%)とほぼ同等であった。
厳格管理群を詳細に検討したところ,110mmHg未満で全死亡のリスクが有意に上昇し,Jカーブ現象が認められた。
さらに,前述のROADMAP試験では,心血管疾患の発症率は2.9/1,000人・年と極めて低く,統計学的な検出力が足りず意味はないが,非致死性 心血管疾患発症率はARB群で3.6%(81例)とプラセボ群4.1%(91例)より低かったが,死亡率はARB群0.7%(15/2,232例)とプラ セボ群0.1%(3/2,215例)より高かった。
事後解析の結果,同試験の対象には冠動脈疾患の既往例が約25%含まれており,これらの症例のイベント発生前のSBP値別に解析したところ,122mmHg以下の群で心血管疾患による死亡率が高く,また登録時からイベント発生前までの血圧差が大きいほど死亡率が高い傾向が認められた。
これらの成績から欧州高血圧学会(ESH)は,2007年のガイドラインの再評価という形で,すべての高血圧における降圧は 130~139/80~85mmHgを目指し,できればその下限である130/80mmHgに近づけると記しているが,糖尿病患者については140 /90mmHg以上であれば降圧治療を開始するが,正常高値血圧での治療開始を勧めるエビデンスおよび130/80mmHg未満を降圧目標とするエビデン スとも十分ではなく,また実際の達成率も高くないことから,降圧目標値を明示せず「できるだけ降圧を図る」との表現にとどめている。
米国糖尿病学会(ADA)も2011年のClinical Practice Recommendationsでは,SBPはほとんどの患者で130mmHgを目指すが,個々の患者の病態に応じて決めるとしている(DBPは80mmHg未満を目指す)。
厳格な降圧によるイベント抑制効果について日本人を対象とした成績はないが,現在実施中のJ-DOIT3試験では診察室での随時血圧を指標に,通常治療群(130/80mmHg未満)と強化治療群(120/75mmHg未満)のイベント発生率が比較検討される予定である。日本人を対象とした 試験の結果が待たれるが,とりあえずは130/80mmHg未満を目指し,冠動脈疾患の既往など個々の患者の病態に合わせて血圧管理を行い,過度な血圧低下には十分注意すべきである。
出典 Medical Tribune  2011.11.10
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
があります。 

 
 
 

固定リンク | コメント (0)

リスクを見極めて薬剤選択や投与法を工夫
大血管障害の予防を目指すためには,患者の心血管危険因子を見極め,それらを悪化させない薬物や改善する薬物を 選択したり,投与法を工夫することが大切だ。
山田センター長の場合,メトホルミン単剤で効果不十分な肥満傾向のある患者への追加薬剤を選択する際に,これ以上の体重増加が危険と思われるような場合に体重を増やさないDPP-4阻害薬,心血管イベントの既往がある人や高リスクの患者には二次予防のエビデンスを有するTZDのピオグリタゾンというような形での使い分けを心がけている。なお,同じTZDでもrosiglitazone(日本未発売)の場合は,ピオグリタゾンとは逆に冠動脈疾患の発症率を高めることが分かっているが,TZDのクラスエフェクトは認められていない。
<私的コメント>
「ピオグリタゾンとは逆に冠動脈疾患の発症率を高めることが分かっているが,TZDのクラスエフェクトは認められていない。」

 「ピオグリタゾンとは逆に冠動脈疾患の発症率を高めることが分かっている。」
の方が読みやすいのでは。
 私はクラスエフェクトというのは「薬効」に使うものと思っていました。
この文章での「クラスエフェクト」も、恐らく薬効のことだと思いますが、ちょっと分かりにくい表現になっています。
ちなみに、「リモデリング」という言葉も 生体にとって防御的な意味なのか、悪い意味なのか分からなくなってしまうことがあります。
「フィードバック」もpositive、negativeと頭の悪い私には苦手な言葉です。

 
<参考>
Class effect
http://www.medicine.ox.ac.uk/bandolier/booth/glossary/class.html
■Class effect is usually taken to mean similar therapeutic effects and similar adverse effects, both in nature and extent. 

 
リモデリング
http://yangt3.blog.so-net.ne.jp/2010-01-06
 
リスクを見極めるための検査としては,定期的に血清脂質値や血圧などを測定することはもちろん,年に1回は心電図と胸部X線像を撮り,ST変化や心拡大の所見を見逃さないようにしている。
 
<私的コメント>
「年に1回は心電図と胸部X線像を撮り」
開業医にとって心電図はまだしも胸部X線はなかなか患者さんに切り出しにくい検査です。
循環器領域からはずれますが、最近こんな症例を経験しました。
症例1.
70代女性。
当院へは骨粗鬆症で通院中(ビスホスフォネート処方)。
休日に発熱。
大病院を受診(多分研修医)。
胸部写真は撮らず、胸部CT検査。
異常影を指摘され、その後の精査で肺がんと診断。
当院では最近胸部X線はしていない。
4年前のレントゲンを出して見てみたが異常影なし。
その後の患者さんの話では、後日CTの後に撮った胸部写真では異常影は指摘出来なかったとのこと。
主治医は「普通のレントゲンでは写らないよ」 と患者さんに説明した由。
何だかすっきりしない結末。

症例2.
70代男性。

半年前から高血圧で通院中の。
「先生、最近ちょっと階段を昇る時に息切れがするんですよ」
聴診器(これも今までに殆どあてた記憶なし)からはVelcro音がはっきり聴取。
あわてて胸部X線をとったら両下肺野に間質性肺炎の像あり。

診療録を見てみたら、胸部X線は一度もとっていない。(冷汗)
あわててKL-6をオーダー。
返って来た検査値は3000オーバー。
降圧剤の副作用かどうかも以前に検査がされていないため知る由もない。
「初診時の検査が大切である」ということで猛省。
高血圧自体についても、初診時に二次性高血圧の否定のためのレニン、アルドステロンや四肢血圧測定(これはCAVIなどで簡単にチェック可能)をしておかなければ「本態性高血圧」といういい加減な(便利な)病名に終わってしまう。
 
さらに同センター長は,初診時には必ず足背動脈に触れ,異常があればABI(Ankle Brachial Index)を測定している。
糖尿病は「血管の老化を15年早める」といわれており,少なからぬ割合でABIの異常が見出されるという。
<私的コメント>  
「血管の老化を15年早める」が真実であっても、血糖のコントロールで大血管障害が予防出来ない(?) ところこそが今回のテーマです。
 
また,低血糖もイベント誘発につながる重要な危険因子だ。
そこで,SU薬を使用している患者には,食事が遅れたときに異常がないかなど入念に問診を行い,服薬指導を徹底することが必要である。
そうした指導にもかかわらず,低血糖が頻回に生じていることが疑われる場合は,SU薬の中止を考慮することも必 要だ。
 
なお,SU薬は経口血糖降下薬の草分けというべき存在であり,承認された当時は,SU単剤で効果不十分な場合に他に併用する薬剤がなかったという経緯もあり,承認用量が高めに設定されている。
多くの選択肢が出そろった今,最大用量のSU薬が必要とされる局面はほとんどなく,最大用量の3分の1~6分の1 程度を用いることが一般的だ。
むやみに増量しても効果の増強にはつながらず,低血糖のリスクを高めるので,慎重な対応が求められる。

 
高血糖予防だけでなく長期的な血糖管理や患者の意識向上にも役立つSMBG

近年,24時間連続して血糖値をモニターできる持続血糖モニター(CGM)が注目されているが,臨床の場で全例に使用することは困難である。
患者自身の 高血糖予防や低血糖を含めた血糖変動を把握できる手段としては,やはり血糖自己測定(SMBG)システムが重要な位置付けとなる。
渥美センター長 は,SMBGを早くから臨床に取り入れ,「1人1人の患者に合った治療戦略」を見いだすことを推奨している。
 
SMBGは,インスリン治療中の患者にとって欠くことのできない機器であるが,インスリンを用いていない糖尿病患者に用いられる機会はさほど多くない。
しかし,血糖降下薬による治療中の患者でもSMBGを用いれば,基本的な血糖日内変動を把握できるだけでなく,運動や食事,ストレスなど,日常生活が血糖変動に及ぼす影響を事細かに知ることができる。
どの時点での血糖変動に問題があるのかが明らかになれば,ピンポイントでその修正を図ることも可能だ。
すな わち,SMBGを指標とすることにより,HbA1cを指標とするよりきめ細かな血糖管理が可能となる。
 
短期的な血糖管理が改善されれば,長期的な血糖管理もおのずと改善される。
同センター長が東京大学および都内9施設と協力して行ったSCCT(SMBG Control and Compliance Trial)では,SMBGを用いなかった患者群に比べ,SMBGを用いた患者群ではHbA1cの有意な改善が得られた。
さらに,同研究ではQOLに関する調査もなされたが,QOL全般をはじめ,不安度,教育,行動,理解度,満足度といった項目のすべてに著明な改善が認められ,患者の治療への参加意識が高 まったことが示唆された。
 
SMBGは操作も簡便で,血圧を測定するように,患者自身の手で何度も繰り返し血糖を測定することが可能だ。血圧計の普及が高血圧患者の意識向上に果たした功績についてはあらためて語るまでもない。
同センター長は「これからは血圧計と同じように,SMBGも身近な健康管理ツールとして活用していく時代に なって欲しい」と言う。
なお,米国ではインスリン治療の有無にかかわらず,糖尿病患者のほぼ全例にSMBGの指導がなされるようになってきているという。
糖尿病の治療は,患者本人と医療者の双方が血糖プロファイルの特徴を知るところから始まる。
そして,その特徴に合わせた最良の戦略を両者が協力して考え,継続していくことが大 血管障害の予防にもつながるのではないか。

 
糖尿病治療薬の気になる副作用,注意すべき副作用
糖尿病治療薬の副作用には,欧州市場からの撤退を余儀なくされたrosiglitazone(日本未発売)の冠動脈疾患をはじめ,SU薬やグリニド薬の低血糖,ビグアナイド(BG)薬の乳酸アシドーシス,TZDの心不全など,生命にかかわりかねない重篤な副作用も多い。
また最近では,ピオグリタゾンにより膀胱がんリスクが高まるとの疫学調査結果を受け,フランス医薬品庁は同薬の新規処方の禁止を決定した。
<私的コメント>  
フランスでは、今後糖尿病患者に対してTZDは新規使用が出来なくなるのでしょうか。
それともピオグリタゾン以外のTZDという選択肢はあるのでしょうか。
もし前者ということなら、フランスと他の諸国での処方の差、すなわちTZDの処方の有無による大血管障害の差(TZDがはたして大血管障害を予防できるかどうか)をみる実験モデルとなるのではないでしょうか。
 

しかし,臨床試験のデータに「批判的吟味」が求められるのと同様に,副作用に関する情報についても提示された情報をうのみにせず,その正当性を自分なりに検証することが必要だ。特
に,副作用に関する最近の報道のトーンや各国の行政当局の対応には過剰と思えるものも少なくない。
「ピオグリタゾンと膀胱がんの関連をめぐる一連の報道とフランス政府の対応は,その最たるものだ」と山田センター長は指摘する。
 
発端となった疫学調査のデータを見る限り,ピオグリタゾンを処方された男性患者では,同薬を処方されていない患者に比べて高い頻度で膀胱がんの発症が見 られることは事実であるが,それだけでは両者の因果関係は証明できない。
なぜなら,ピオグリタゾンが処方されやすい患者像(例えば肥満があって心血管リスクが高い人など)に共通するなんらかの未知の要素が存在し,その要素こそが膀胱がんの発症に直接関与しているという可能性が否定できないからだ。
<私的コメント>  
 なかなか鋭いコメントとして首肯せざるを得ません。
しかし、この仮説が正しいかどうかは(後追い調査でも構いませんが)、この疫学調査のデータから簡単に解析出来そうです。
 
同セン ター長は「こうした不確かな情報に基づく処方禁止の決定は時期尚早であり,処方機会を奪われた患者の臨床的メリットを損なう可能性もある」と指摘。
「今しばらく動向を見守るとした米国の判断の方が冷静で理論的だ」と述べた。
<私的コメント> 

冷静ということは分かりますが理論的かどうかは不明です。
 
なお,ピオグリタゾンにおける膀胱がんは事前に予期しえなかった副作用のように指摘されているが,糖尿病治療薬の副作用には低血糖のように血糖降下作用と表裏一体のものや,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の消化器症状のように薬剤の作用機序からある程度予想されたものもある。
TZDによる浮腫や心不全もそうした「想定内」の副作用の1つであり,原因はインスリン作用の増強に伴うNa貯留の促進にある。
裏を返せばインスリン抵抗性が改善された人ほど浮腫や水分貯留が起こりやすいといえ,「もともと心機能に異常がある人でなければ,まず心配いらない」ということだ。

 
また,体重増加もTZD使用時にしばしば見られる現象であり,その機序にはTZDの主たる作用である小型脂肪細胞の増加が密接に関与している。
しかし, いくら小型脂肪細胞が増加しても,食事や運動が適切になされていれば,体重増加につながることはない。
つまり,体重増加は上述の浮腫のように容認してよいものではなく,是正すべきものである。
その点を患者にきちんと伝えず,単に「この薬は体重が増えやすい薬ですよ」という言い方をすれば,患者は体重が増加しても「薬のせいだから仕方がない」と誤解し,生活習慣を見直すことのないまま漫然と「体重を増やす治療」を続けてしまうことになりかねない。
TZDの機序は複雑であり,正確に説明することは難しい面もあるが,「少なくとも体重増加を看過すべきでないことはきちんと説明すべきだ」と同センター長は指摘し た。
 
他剤の副作用のうち重篤なものとしては,BG薬による乳酸アシドーシスがある。
しかし,その頻度は極めてまれで,造影剤を用いる際に使用を控えるなど,一般的な注意を遵守すれば危険はほとんどないという。
 
また,DPP-4阻害薬については,オランダから感染症リスクが上昇するとの報告が寄せられており,その動向が気になるところだ。
そもそも,DPP-4 はリンパ球やマクロファージに発現する細胞表面抗原の1つであるCD26と同一の分子であるため,これを標的とするDPP-4阻害薬が免疫系になんらかの影響を及ぼすとしても不思議はない。
しかし,同センター長は「そうした予断があるがゆえに,普段なら『ただのかぜ』と考える程度の症状でも『副作用の疑い例』として報告された結果,実際より頻度が高めとなった可能性もある」と言う。
そのほか,インクレチン関連薬と膵炎・膵がんなどのがんとの関連を示すElashoff氏の報告がGastroenterologyオンライン版に掲載されたが,データの信頼性に乏しいとして一時撤回されたほか,EASDは反論のステートメントを公表した。
同センター長も,現時点でなんら対応の必要はないとしている。
しかし,DPP-4阻害薬は上市からまだ日が浅く不明な点も多いため,これからのデータ集積が待たれる。
<私的コメント>  
後半は「糖尿病治療における大血管障害予防はなぜ難しいのか」というテーマについての内容とはなっておらず些かの隔靴掻痒感があります。
糖尿病の専門家には、糖尿病治療による「大血管障害予防」についてもう少し正面から議論して欲しいものです。
そうでなければ、ただ血糖のコントロールをするという数字合わせにもなりかねません。
実際、糖尿病患者に低血糖を起こさせるのは、糖尿病の専門家の方が多いのではないでしょうか(絶対数ではなく発生率)。
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。 
 

固定リンク | コメント (0)

糖尿病治療における大血管障害予防はなぜ難しいのか
糖尿病と大血管障害の因果関係は明らかであるにもかかわらず,糖尿病治療による心血管イベント抑制効果を検討した近年の大規模臨床試験は,いずれも有意な抑制効果を証明できずに終わった。
特にACCORD試験からは,「HbA1cを絶対視した厳格で画一的な血糖管理」はむしろ死亡リスクを高めることが示唆され,かえって糖尿病治療の難しさが印象付けられたとの感が否めない。
さらに,糖尿病治療薬の副作用をめぐる昨今の報道も,治療現場に迷いを生む要因となっている。

血糖降下療法による大血管障害予防効果はエビデンス上では未確立
東京都済生会中央病院糖尿病臨床研究センター・渥美義仁センター長
糖尿病患者の死因の第1位を占める大血管障害の発症を防ぐことは,糖尿病治療の究極の目的だ。
だが,治療法の進歩にもかかわらず,血糖降下療法により大血管障害が予防できることを1次エンドポイントで証明した試験はまだない
 
1970年代後半に開始されたUKPDSでは,2型糖尿病患者5,102例を食事療法主体の従来療法群と薬物療法主体の厳格治療群に分け,6年以上(中央値10.5年)追跡を行った結果,厳格治療群では従来療法群に比べてHbA1cが0.9%改善するとともに,細小血管障害の発生が25%抑制されたが,大血管障害の有意な抑制は示されなかった。
しかし,全例を対象とした後付け解析では,大血管障害についてもHbA1c低下に依存したリスクの低下が認めら れ,HbA1cが1%低下すれば心筋梗塞は14%,脳卒中は12%減少することが示唆された(図1)。
 

 
UKPDSの結果は,より厳格な治療によって確実にHbA1cを低下させることができれば,大血管障害の予防は可能であるとの期待を抱かせるものであった。
しかしながら,大血管障害を1次エンドポイントに設定したACCORDおよびADVANCEの両試験(2008年)では,いずれの強化療法群とも従来療法群より1%以上低いHbA1cを達成できたにもかかわらず,心血管イベントの発生率は従来療法群と変わりなかった。
特にACCORD試験では,強化療法群において従来療法群を有意に上回る総死亡の発生が認められたため,試験は期間満了を待たずに打ち切りとなった。
さらに,耐糖能異常(IGT)の段階からナテグリニドによる介入を行ったNAVIGATOR試験(2010年)や,早期の2型糖尿病患者に対して血清脂質管理や血圧管理なども含めた多因子介入を行ったADDITION試験(2011年)でも,介入による有意な心血管イベント抑制効果は確認できなかった。
 
“real world”では必ずしも“study world”と同じ結果は得られない
しかし,こうした試験の結果から大血管障害予防における血糖降下療法の有用性を否定することは短絡だ。
臨床試験は特定の背景因子を持つ集団を対象とし,特殊な状況下で治療成績を検討するものであり,渥美センター長は「病態も背景因子も1人1人異なる患者と対峙する“real world”で臨床試験と同様の結果が得られるとは限らないことを心しておくべき」と指摘する。
特に,糖尿病は薬物以外の要素が治療に及ぼす影響が他の疾患以上に大きく,“study world”と“real world”の違いは大きいという。
<私的コメント>
ちょっと理解しにくいコメントです。
糖尿病だけが「病態も背景因子も1人1人異なる」わけではないのです。
「糖尿病は薬物以外の要素が治療に及ぼす影響が他の疾患以上に大きく」 ということは、「薬物」と「薬物以外の要素」とどちらの影響が多いと言っているのでしょうか。
 
試験結果がネガティブであったとしても,すべての患者にその治療の有用性が否定されたわけではない。
「ネガティブだったのは,患者の選択やプロトコルが適切でなかったからかもしれない」と同センター長。
事実,ACCORDでは,短期間で血糖降下を目指すプロトコルの中で低血糖が頻発したことが死亡率の上昇につながった可能性が指摘されている。
 
また,NAVIGATOR試験の対象となった欧米人のIGTは肥満傾向が強く,インスリン抵抗性が基盤にあることが容易に想像できる人がほとんどだ。
山田センター長は「そうした人々に対して速効型インスリン分泌促進薬であるグリニド薬をあえて投与するという設定自体に無理があるのではないかという指摘もある」と言う。
逆に言えば,やせ型でインスリン分泌低下傾向の強い日本人のIGTであれば,グリニド薬の効果が実証されうる可能性もあるわけだ。
<私的コメント>
この山田先生のコメントは示唆的です。
「やせ型でインスリン分泌低下傾向の強い日本人のIGT 」での「グリニド薬の効果」は、果たして期待できるのでしょうか。
他の薬剤介入もあることですし、実際にはなかなか難しい臨床試験になりそうです。
グリニド薬に一定のclass effectが確認されていない限りはnegativeな結果となることが予想されます。
 
なお,ACCORDやADVANCEの対象患者は他の心血管リスクも併せ持つ高リスクな糖尿病患者集団だった。
このような患者には,より早期から脂質や血圧なども含めた多因子の管理が重要になってくる。
それを実践したADDITION試験では,統計学的に有意な抑制効果は認められなかったが,多因子介入群と通常治療群の累積イベント発生率には5年で約17%の開きが生じていた。
同センター長は「生涯にわたる付き合いが予想される糖尿病という疾患の最初の5年でこれだけ差がついたことの意味は大きい」と考えている。
<私的コメント>
統計学的に有意な抑制効果はなかったということはさておいて、多因子介入群で累積イベント発生率が低下したのは、血糖より脂質や血圧のコントロールの重要性を物語っているのではないでしょうか。
糖尿病専門の先生の今回のコメントは、少し我田引水的ではないでしょうか。

 
紋切り型のEBMではなく患者1人1人に適した治療戦略の模索が必要
逆に,試験の結果がポジティブであっても,それがそのまま実臨床に当てはまるとは限らない。
例えばDCCT(1989年)は,1型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロールの有用性を証明した歴史的な研究であるが,同研究の参加希望者には事前に1日4回の尿糖検査をはじめとする2週間の厳しいコンプライアンステストが課され,これをクリアできた約10%の応募者のみが選抜されていた。
つまり,同研究は与えられた指示を厳格に守れる「エリート集団」だからこそなしえた試験であり,同じ治療法を“real world”で試しても同等の効果を得ることはまず無理だと考える方が賢明だ。
 
コンプライアンス不良の原因は怠慢だけでなく,経済的事情や仕事の都合で指示を守れない患者もいる。
「そうしたコンプライアンス不良例は社会的・経済的に恵まれない層ほど多く,その格差は年々拡大している」と渥美センタ―長は指摘する。
そうした事情も勘案し,紋切り型のEBMではなく,1人1人の患者に合った治療戦略を考えていくことが求められる。
 
大血管障害の予防を視野に入れた血糖降下療法には何が必要か
血糖降下療法は,食事療法と運動療法を基本とし,それで十分な効果が得られなければ薬物療法を考慮することになるが,日本糖尿病学会のガイドラインでは,現在6系統ある経口血糖降下薬のどれを第一選択薬として用いるべきかという基準は示されていない。
 
一方,米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)では,2009年に両学会の合同による具体的な治療アルゴリズムを発表。また,英国立医療 技術評価機構(NICE)も,2008年に2型糖尿病診療ガイドラインの改定を行い,新たな治療アルゴリズムを提唱している(図2)。

 
 
2つのアルゴリズムには若干の違いはあるが,どちらもメトホルミンを第一選択薬と位置付け,必要に応じてスルホニル尿素(SU)薬やチアゾリジン誘導体(TZD),DPP-4阻害薬,基礎インスリンなどを追加するという基本的なスタンスは共通している。
 
これらの姿勢には,渥美,山田両センター長ともおおむね賛意を寄せるが,欧米向けのアルゴリズムであるためか「肥満を伴わない糖尿病患者についてあまり考慮されていない感がある」と山田センター長は指摘する。
肥満のない患者には「第一選択薬は少量のSU薬。それで不十分ならメトホルミン,次いでTZDか DPP-4阻害薬を追加する方が好ましい」ということだ。
<私的コメント>
このあたりの理屈は糖尿病専門医でない、われわれ循環器医にも今や常識となっています。
しかし、適応はともかくとして大血管障害予防を含めた生命予後に対する各々の経口糖尿病薬の効果がはっきり分かっていないのが現状ではないでしょうか。
この領域ではclass effectやdrug effect ,さらには
pleiotropic effectの話はほとんど聞かれません。
 
出典 Medical Tribune 2011.9.22
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
http://www.wako.ac.jp/art/cn16/Event-Teacher-0901.html

佐藤泰生

 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。 
 
 

固定リンク | コメント (0)

ACE阻害薬使用中の非糖尿病性腎症患者に追加すべきは、ARBより低塩食
ARB追加に優る蛋白尿・血圧改善効果
非糖尿病性腎症 で、最大用量のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を使用していても蛋白尿と血圧のコントロールが不十分な患者に、食塩摂取量の目標値を1日3gに設定した食事指導を行った場合と、最大用量のアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を追加した場合、さらには 低塩食ARBの 両方を追加した場合で、最も利益を得られるのはどのグループだろうか。
この3つの治療戦略による利益を直接比較する無作為化試験を行った独 Groningen大学医療センターのMaartje C J Slagman氏らは、低塩食にはARB追加に優る蛋白尿、血圧改善効果があることを明らかにした。
論文は、BMJ誌2011年8月6日号に掲載された。

慢性腎臓病のいくつかの治療ガイドラインは、蛋白尿が1.0g/日を超える患者は血圧を125/75mmHg以下に下げ、かつ蛋白尿を1.0g/日以下に するように求めている。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を遮断する薬物療法を適用すると、血圧と蛋白尿は改善するが、多くの患者においてこの種の薬剤の単剤投与の効果は十分ではない。
その場合には、増量、異なる種類のレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系遮断薬の併用(dual blockade療法)、減塩指導、利尿薬の追加などの戦略が用いられる。

これまでに行われた研究では、単剤投与中の薬剤の用量調整が 十分に行われていた患者にdual blockadeを行っても、血圧と蛋白尿に対する作用は小さいことが示されていた。

一方で、そうした患者に対する低塩食の効果をdual blockade療法と直接比較した研究はこれまでなかった。

そこで著者らは、非糖尿病性
腎症(ネフロパシー)で、最大用量のACE阻害薬を使用している患者に対する、
(1)低塩食指導、
(2)最大用量のARB投与、
(3)それらの併用、
について、蛋白尿と血圧への影響を調べる多施設無作為化クロスオーバー試験を行った。

06年4月から09年10月に、オランダの医療施設3カ所の腎臓病外来で18歳以上の非糖尿病性腎症患者を登録。

最大用量のACE阻害薬(リシノプリル 40mg/日)を使用していても血圧が125/75mmHg超で、蛋白尿が1.0g/日超、クレアチニン・クリアランスが30mL/分以上の患者を選出した。
安全上の理由から、収縮期血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が110mmHg以上の患者は除外した。

条件を満たした54人の患者を登録、全員にリシノプリル40mg/日を投与しながら、下記の4通りの治療を6週間ずつランダムな順番で追加した。薬物療法については二重盲検で、食事療法はオープンラベルで行った。

(1)偽薬+標準食(標準的な塩分摂取量である12g/日を目標値とする)
(2)最大用量のARB(バルサルタン320mg/日)+標準食
(3)偽薬+低塩食(塩化ナトリウムにして3g/日を目標値とする)
(4)最大用量のARB+低塩食

低塩食期間の食事内容については、日常的に利用される食品の塩分含有量を記したリストを配布し、専門的な栄養士が指導を行った。

それぞれ6週の治療期間の終わりに、24時間蓄尿検査と血圧検査、血液検査を実施した。

主要アウトカム評価指標は蛋白尿、二次評価指標は血圧に設定し、4通りの治療を完了した52人を分析対象にした。

 
食事からの塩分摂取の指標である尿中ナトリウム排泄量の平均値は、低塩食期間は106mmol/日(塩分摂取量は塩化ナトリウムにして6g/日)、標準食の期間は184mmol/日(同11g)だった(P<0.001)。
<私的コメント>
この論文はドイツにおける研究ですが、標準食の期間で11g/日低塩食期間で6g/日という数字が意外に多いので驚きました。
これでは日本と余り変わらないのではないでしょうか。
 
尿蛋白排泄量の幾何平均は、偽薬+標準食の期間が1.68g/日(95%信頼区間1.31-2.14)、ARB+標準食の期間は1.44g/日 (1.07-1.93)(P=0.003)、偽薬+低塩食の期間は0.85g/日(0.66-1.10)(P<0.001)、ARB+低塩食の期間は 0.67g/日(0.50-0.91)(P<0.001)だった。

尿蛋白排泄量の減少率は、ACE阻害薬に低塩食を加えた場合が51% (43-58%)で、ARBを加えた期間(21%、8-32%)より有意に大きかった(P<0.001)。

ARBと低塩食の両方を追加した場合には62% (53-70%)低下していたが、ボンフェローニ補正を行うと、低塩食のみを追加した場合との差は有意ではなかった。

収縮期血圧の平均は、偽薬+標準食の期間が134mmHg、ARB+標準食の期間は131mmHg(P=0.12)、偽薬+低塩食の期間は123mmHg(P<0.001)、ARB+低塩食の期間は121mmHg(P<0.001)だった。

ACE阻害薬に低塩食を加えると、収縮期血圧は7%低下した。これはARBを追加した場合(2%)より有意に大きかった(P=0.0003)。

ARBと低塩食の両方をACE阻害薬に追加した期間の収縮期血圧の低下は9%で、低塩食のみを追加した場合との差は有意ではなかった(P=0.14)。

拡張期血圧の平均は、偽薬+標準食の期間が80mmHg、ARB+標準食の期間は77mmHg(P=0.02)で、偽薬+標準食と比べた低下率は4%。同 様の比較で、偽薬+低塩食の期間は73mmHg(P<0.001)で、低下率は8%、ARB+低塩食の期間は71mmHg(P<0.001)で、低下率は 11%だった。

なお、ACE阻害薬に低塩食を加えた期間中には、有意な体重減少が認められた(平均体重は89kgから87kgに減少、P<0.001)。

得られた結果は、非糖尿病性腎症の患者のうち、最大用量のACE阻害薬を使用していても血圧と蛋白尿のコントロールが十分でない人々には、最大用量の ARBを追加しても血圧には有意な影響は見られず、蛋白尿の改善もわずかだが、低塩食を加えればそれらの改善は大きくなること、そこにARBを加えても追加される利益はわずかであることを示した。

著者らは、「今回得られた知見を確認する臨床試験の実施が必要だが、現時点でも、医師と患者が協力して低塩食が 継続できるよう努力することは重要だ」と述べている。

Moderate dietary sodium restriction added to angiotensin converting enzyme inhibition compared with dual blockade in lowering proteinuria and blood pressure: randomised controlled trial

BMJ 2011; 343:d4366 

http://www.bmj.com/content/343/bmj.d4366.full
出典   NM online 2011.8.10
版権 日経BP社
 

<私的コメント>
ドイツ人より日本人の方が食塩感受性の割合は高い筈です。
少なくとも減塩による降圧効果は日本人の方が期待出来ることは用意に想像されます。
しかし、蛋白尿改善効果が降圧効果とパラレル、言い方を変えれば食塩感受性と比例するのでしょうか。
日本ではARBの最大用量は、医療経済的な理由から、そしてACE阻害薬の最大用量は咳という副作用からそれぞれ使用は困難です。
 
<きょうの一曲>  喜歌劇「こうもり」序曲
Vienna New Years Concert 2010, Die Fledermaus Overture, Johann Strauss
http://www.youtube.com/watch?v=QROR4LioU-8&feature=related
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。 

固定リンク | コメント (0)

異所性脂質蓄積という概念
日本人ではBMIが30以上の肥満者の割合が欧米に比べて低いにもかかわらず,糖尿病の有病率は欧米とほぼ同程度であることが報告されている。
近年では予防医学的な概念からメタボリックシンドロームが登場し,特に日本人では,軽度肥満の段階から内臓脂肪の軽減を目指した生活習慣の是正と医学的介入が必要とされている。
 
そこで最近,益崎教授らが注目しているのが「異所性脂質蓄積図2)」という概念だ。
人間には,有事に備えてエネルギーを体内に保存する機能が備わっているが,日本を含むアジア地域の肥満者では,欧米人に比べて皮下脂肪組織の蓄積能力が弱い
そのため,軽度肥満の状態から,内臓脂肪組織や肝臓,骨格筋,膵臓,血管など,本来は脂肪が蓄積しない部分にたまりやすくなり,これが全身・臓器レベルでの血管病リスクを高めるという概念だ。
こうした異所性脂質の蓄積が起こる場合,通常体重に比べて,耐糖能異常や高血圧,脂質異常症などの発症リスクが2倍に増加する。

 
図表
こうした余分な脂肪が蓄積する理由には,インスリン分泌過多が挙げられる。
沖縄県で増加が問題視されている肥満2型糖尿病に見られるように,インスリン分泌が過剰にもかかわらず,血糖値が下がらないインスリン抵抗性が惹起され,高インスリン状態が続くと異所性の脂質蓄積が進行するという機序が考えられるという。
 
遺伝子操作により脂肪組織への中性脂肪備蓄能力を軽減した遺伝性の肥満db/dbマウスを軽度肥満とし,超肥満のdb/dbマウスと野生型マウスの代謝解析を比較したところ,軽度肥満マウスでは,超肥満マウスよりも脂肪肝が悪化しており,血糖値も著しく上昇していることが示されている(図3)。
こうした軽度肥満マウスでは,皮下脂肪組織に備蓄できない余剰脂質(エネルギー)が脂肪筋や脂肪肝,脂肪血管となって異所性に蓄積し,局所組織での機能障害や炎症,インスリン抵抗性を惹起すると考えられる。
同教授は「これは日本人で起こりやすい現象であり,内臓脂肪型肥満は異所性脂質蓄積を伴っていることが多い」と指摘する。
この改善には,食事や運動療法など生活習慣の是正により,骨格筋細胞内の脂質は大きく減少し,インスリン抵抗性が改善することに加えて,高インスリン状態を引き起こさない薬剤による治療も必要とされる。

 
図表

 

待たれるインクレチン関連薬のエビデンス
最近では,わが国でもジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬やグルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬といったインクレチン関連薬が臨床導入され,糖尿病治療にも変化がもたらされている。
益崎教授によると,先に述べた肥満2型糖尿病が増えている昨今では,必要なときに効果的なインスリンの分泌を促すコンセプトの薬剤が求められており,血糖依存的な作用を示すこれらの新規の薬剤は,食後高血糖の急峻な上昇を抑制し,血糖変動のきめ細かな正常化を目指すのに適した選択肢であるという。
 
一方,これらの薬剤には使用上,注意すべき点もある。
スルホニル尿素(SU)薬との併用時の低血糖リスクの軽減に配慮する必要があること,また,インスリン依存状態にある患者に対しては,インスリンからの切り替えによる高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスのリスクに注意する必要がある。
そのため,「個々の患者の状態に適した薬剤選択をしっかり考える必要がある」と同教授。
 
野出教授も,既存の薬剤とは異なる新しい機序を持ち,体重を増加させず,何より低血糖の頻度が少ないことからも,これらの薬剤への期待は大きいという。
また,GLP-1受容体は中枢神経系や胃,心臓,肺などに発現しており,血糖低下作用以外の臓器保護作用を持つ可能性も示唆されている。
しかし,同教授は 「こうした新規の薬剤は今後,有効性と安全性のエビデンスを確立していくべき段階にある」と指摘する。
そこで同教授らは,DPP-4阻害薬のシダグリプチンに着目し,同薬の血管障害に対する効果を検討するPROLOGUE研究を開始。
現在,患者を登録中だ(図4)。
同研究では,シダグリプチン投与群と非投与群で,頸動脈エコーを用いて頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)を測定し,動脈硬化進展抑制効果を比較するとともに,心血管機能や血液バイ オマーカーに及ぼす影響も検討する予定であるという。
同研究をはじめインクレチン関連薬の,特に日本人におけるエビデンスの蓄積が待たれる。
 
出典 Medical Tribune 2011.7.21
版権 メディカル・トリビューン社 

 
<関連サイト>
糖尿病と冠動脈

糖尿病 ~ 血管障害

 

<きょうの一曲>  フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番
First movement
http://www.youtube.com/watch?v=U_AJUmd80J4&feature=related

Second movement
http://www.youtube.com/user/noiresprit2004#p/a/u/1/LdS0greKacU

Third movement
http://www.youtube.com/user/noiresprit2004#p/a/u/1/LdS0greKacU
 
Fourth movement 
 
 
 
2011.7.18撮影 茅野・長野から眺望した八ヶ岳
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。

固定リンク | コメント (0)

佐賀大学循環器内科学の野出孝一教授と琉球大学大学院内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科)の益崎裕章教授が, それぞれ循環器・糖尿病専門医の立場から,大血管疾患予防のための糖尿病治療戦略などの最新知見を話された記事で勉強しました。
 
大血管疾患予防を目指した糖尿病治療を考える
ここ10年間で患者総数が倍以上と猛烈なスピードで増え続けている2型糖尿病。
国際的に見られるこの増加傾向はわが国でも著しく,2007年の国民健 康・栄養調査によると,「糖尿病が強く疑われる人」は約890万人,可能性を否定できない人の約1,320万人を合わせると全国で2,200万人を超える人が糖尿病あるいはその予備群と考えられる。
最近では,糖尿病患者では健康人に比べて死亡リスクが高く,心血管疾患の頻度も3~4倍に上るとする報告もあ り,心血管疾患の重大な危険因子と位置付けられるようになってきた。
また,ここ数年でわが国でもインクレチン関連薬が臨床に登場するなど,その治療現場にも変化が生じている。
 
大きく変化するわが国の疾病構造
長らく長寿を誇ってきた沖縄県だが,近年では肥満や冠動脈疾患,糖尿病患者の増加が著しく,日本屈指の肥満県,糖尿病県と呼ばれるまでになっている。
2004年の調査から,同県では,男性の約半数がBMI 25以上との実態も浮かび上がっており,BMI 25~30未満の軽度肥満でも糖尿病の発症リスクは7倍に跳ね上がることから(図1),
由々しき事態に陥っているという。
その特徴は,夜型の生活リズム,一家に3台ともいわれる自動車の普及,身体運動量の低下,高脂肪食の過剰摂取,肉食への高い嗜好性と野菜摂取不足,小児・学童肥満の急増,わずかな気温日較差など多種多様だ。
 
図表
中でも2型糖尿病の増加は,わが国では社会問題にまで発展している。
冠動脈疾患や脳卒中などの循環器疾患患者では,境界型を含めた糖尿病予備群または糖尿病患者が6~7割を占めると報告されており,糖尿病の診断・治療における循環器医の役割も増大している。
益崎教授の経験でも,糖尿病をテーマに講演会や研究会を開催すると,10年前に比べて,循環器科や神経内科,脳外科の医師の出席が多く見られるようになっており,「糖尿病を持つ患者に遭遇する機会が増えてきたことを如実に表している」と言う。
 また,循環器医の立場からも「循環器疾患患者の心血管イベント抑制を目指す上で,残された課題が糖尿病といえるのではないか」と野出教授は指摘する。
<私的コメント>
「残された課題」 については最近とりあげました。
残された血管リスク 講演会メモ その1(1/2)
残された血管リスク 講演会メモ その2(2/2)
 
 
循環器医の治療目標は,第一に総死亡の減少,そして循環器疾患の再発・初発予防が続き,最近では患者のQOL向上も大きな潮流とされる。
これらを目指すには,高血圧や脂質異常症,そして糖尿病の包括的な管理が必須となるが,特に糖尿病は病態解明も治療薬の開発もまだまだ途上であるにもかかわらず,急激な患 者数の増加が見られることが,重要な治療ターゲットとされるゆえんであるという。
近年では,耐糖能異常が見られる前糖尿病の段階で,既に心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇しており,糖尿病の進行とともにこれらのリスクがさらに上昇する “Cardio-Diabetes”という概念が広まりつつある。
益崎教授は「それがここ10年間で臨床風景が大幅に変わった現象。明らかにわが国の疾病 構造が大きく変化してきていることを実感している」と印象を話す。
 
大血管疾患の予防には血糖変動パターンの評価を
糖尿病を治療・管理する上で,最も注意を払うべきは合併症の併発だ。
糖尿病では,網膜症や神経障害,腎症といった細小血管障害だけでなく,冠動脈疾患や脳血管障害といった大血管障害の抑制が,その治療の最大目標となる。
では,大血管疾患の予防を目指した糖尿病治療とはどのようなものなのか。
EBMの側面から見ると,まずは1998年のUKPDS試験が挙げられる。
同試験から,積極的な血糖管理は細小血管合併症を予防することが示された一方で,大血管障害の抑制効果については明らかにされなかった。
一方,2008年に報 告されたACCORD試験とADVANCE試験からは厳格な血糖管理の意義に矛盾する結果が得られ,大きく注目を集めたことは記憶に新しい。
 
日常診療に浸透しつつあるEBMだが,益崎教授は「大血管疾患の予防は,血糖だけで語れるほど単純なものではない」と強調する。
近年では,食後高血糖が 大血管イベントのリスクとなることや,過度な血糖降下により引き起こされた低血糖が死亡につながることが示されており,大血管障害の発症は,空腹時血糖値 や平均HbA1c値だけでは説明できないことが明らかにされてきた。
 
そのリスクの1つが,最近注目されている「血糖変動」だ。
空腹時血糖値や食間血糖値が正常でも,食後30分の急峻な血糖値の上昇や低下を示すパターン に,心血管リスクが高い患者が隠されており,こうした血糖変動をいかに正常化させるのかが重要となる。
「食後高血糖が見過ごされた高リスク集団が,今後, ますますクローズアップされていくと考えられる」とする同教授は,沖縄県でいち早く持続血糖モニター(CGM)を導入。
24時間の血糖変動を記録することで,個々の患者の病態に合わせた治療を実践しているという。
 
また,野出教授は,血糖変動の幅が大きい患者ほど不安定プラークが形成されやすく,急性冠症候群(ACS)が発症しやすいとするデータに着目。
ACS患 者約30例を対象に,低血糖を起こさずに血糖変動幅を抑えることが心血管イベント発生に影響を及ぼすのかどうか検討する予定だ。
この際,CGMに並行して ホルター心電図を記録することで心拍変動の解析も実施し,交感神経活性と血糖変動の関連性も解析する予定であるという。
 
全身的な血管評価と管理が重要
では,循環器医が糖尿病の診療を担う上での課題とは何か。
野出教授は「これまで同科の診療では,大血管イベントの予防に目が向けられがちだったが,今後 は網膜症や腎症,神経障害などの細小血管障害を含めて,頭から足指の先まで全身的な血管を評価し,スクリーニングする,すなわち全身の動脈硬化の進行度や 血管病態を把握することが重視される」と述べる。
「“血管糖尿病(vascular diabetes)”という表現もあるように,血管と糖尿病は密接に関連した病態だ」との考えを示す同教授は,「将来的には,高血圧や脂質異常症のよう に,糖尿病も合併した危険因子の種類や数に応じて,血糖降下目標値を設定する時代が来るのではないか」と展望する。
 
また,2型糖尿病患者の大血管障害リスクとして,最近では尿酸や睡眠時無呼吸(SAS),脂肪肝(NASH)などが重積する複合リスクを考慮することが 不可欠とされる。
益崎教授も「これまでの臓器別,領域別に細分化されていた時代から,全身の臓器連関を見据えた総合内科学を目指さなければ,糖尿病における大血管疾患の予防はなしえない時代に入っている」と強調する。
そこで求められるのは,看護師や栄養士,運動療法士など多種職で構成されるチーム医療の実践だ。
また,血糖変動などのリスクは一般や職場の健康診断では発見されにくいのが実状であるため,あらゆる医療スタッフに限らず,一般市民も含めた幅広い人々に正しい知識を啓発していくことも求められるという。

出典 Medical Tribune 2011.7.21
版権 メディカル・トリビューン社

 

 

 
2011.7.20撮影  鱧鍋
出所不明の松茸も入っていました。

 

 
読んでいただいて有り難うございます。コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。
 

 


固定リンク | コメント (0)

糖尿病の血管合併症をフィブラートは抑制できるのか?
■活性型PPARαの直接的血管効果   
 
■フィブラートによる心血管イベント抑制試験  
 
■FIELD試験デザイン
The FIELD study investigators  Lancet 2005;366:1849-1861
 
1次評価項目
 冠動脈イベント  有意差なし
 非致死性心筋梗塞 *
 冠動脈疾患イベント(心血管疾患非既往例) *
2次評価項目
 全心血管イベント *
 全心血管イベント (心血管疾患非既往例)*
糖尿病性網膜症(レーザー治療) *
 
*はいずれも有意差あり。
 
Residual riskの管理
■残されたリスクへの介入
●LDL-Cが管理目標に達しても、「残された危険因子」が存在する。
● LDL-C以外にも、高トリグリセライド、低HDL−C、sd−LDL、レムナント、食後高脂血症、インスリン抵抗性、脂肪肝、酸化コレステロールなども非常に重要である。
 
■ACCORD Lipid Trialの紹介 
ACCORD・脂質管理試験
ACCORD試験,血圧・脂質でも予想外の結果
スタチンとフィブラート製剤の併用は?
 
■Helsinki Heart studyの紹介
 
■フィブラートによる心血管イベント試験のサブ解析結果
Helsinki Heart Study(Gemfibrozil)
BIP(Bezafibrate)
FIELD(Fenofibrate)
ACCORD(Fenofibrate)
いずれもCVD reductionがみられた。
 
■JAPAN-ACS試験の紹介
 
■スタチンによるLDL-C低下とプラーク退縮の関係
糖尿病症例ではLDL-Cを75mg/dl 以下にすることを目標とする。
(非糖尿病症例ではLDL-C100mg/dl 以下)
 
糖尿病細小血管合併症への効果
■フェノフィブラートは2型糖尿病患者のアルブミン尿を有意に改善あるいは抑制した〜FIELDスタディ〜
Lancet, 2005
 
■細小血管障害に対するフェノフィブラートの抑制効果
リスク減少率
●レーザー治療を要した網膜症  31%(P<0.001)
●アルブミン排泄率       14%(P=0.002)
●非外傷性下肢切断       36%(P<0.01)
FIELDスタディのフェノフィブラート群は5年間でそれぞれの細小血管障害を抑制した。
フェノフィブラートによる細小血管障害の抑制は、血糖コントロール(HbA1c)や血圧、さらに他の併用薬とは独立した作用である。
Keech A,et al.:Lancet ,366,1849-61,2005
 (私的コメント;非外傷性下肢切断が細小血管障害として解釈されています。大血管障害ではない、というのが一般的なコンセンサスなのでしょうか。)
 
■米国におけるCKD病期とトライコア投与量の目安
単独 Davidson MH 2007 論文
 病期ステージ 1,2期 201mg
        3,4期   67mg
         5期   不可
スタチン併用 Ginsberg HN 2007 論文
   病期ステージ 1,2期 201mg
           3期   67mg
        4,5期   不可
Davidson MH et al.: Am J Cardiol. 2007 Mar 19;99(6A):3c-18c
Ginsberg HN et al.: Am J Cardiol. 2007 Jun 18;99(12A):56i-67i
 
まとめ
● 糖尿病に合併する脂質異常症の特徴はLDLの小型化、食後高脂血症、低HDLコレステロール血症、レムナントの増加である。
●フィブラートは糖尿病における脂質代謝異常改善に有効である。
●スタチンは糖尿病における脂質異常症治療の第一選択薬となるが、Residual risk管理のため、高TG、低HDLの場合、フィブラートの追加投与を考慮する。

<私的コメント>
ACCORD Lipid Trialの結果からもスタチンと(少なくとも)フェノフィブラートとの併用には横紋筋融解症などの重大な副作用の事例がなく両者の併用は問題ないものと思われます。
しかし、トライコアの添付文書を見ると
慎重投与の項目には
「HMG-CoA還元酵素阻害薬を投与中の患者」
が書かれ、さらに
相互作用の項目には
「原則併用禁忌(原則として併用しないこと)
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者では原則として併用しないこととするが、治療上やむを得ないと判断される場合のみ慎重に併用すること」
と書かれています。
この書き方では、腎機能さえ正常であれば併用可と解釈出来ます。
しかし、そのすぐ下には赤枠で囲ったHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用による横紋筋融解症の臨床症状・措置方法や機序・危険因子が記載されています。
要するに「脅しとすかし」ですが、はるかに「脅し」 が主体となっています。
「中等度以上の腎機能障害」の目安として「SCr 2.5mg/dl」と具体的な数字も挙げられています。
したがってクレアチニンが(eGFRに関係なく)1.2mg/dl以下なら両者の併用はOKと自分なりに解釈しました。
なんだかんだ言っても、実は開業医にとっては、一番恐ろしいのは「基金」なのです。

 

<自遊時間>
一昨日の蓼科のオーベルジュ「エスポワール」 のシェフは「ジビエ」料理が得意だそうです。
 
メニューには
仔イノシシ(ママルカッサン)の骨付き自家製生ハム
鹿肉のハンバーグ
鹿肉のテリーヌ
国産鹿(シヴルイユ)のロティ 
ツキノワギマのシューファルシー
山鳩(ピジョン)とフォアグラのパイ包み焼き
 
と素材には恐ろしげな獣肉が並んでいました。
牛、豚、魚を探すのに一苦労しましたが、本当のグルメは上のメニューから選ぶんでしょうね。
 
2011.7.18撮影 
 「仔イノシシ(ママルカッサン)の骨付き自家製生ハム」
(見せられただけで食してはいません。野豚と思えばいいだけかも知れません。)
 
ジビエ - Wikipedia
ジビエって何?ジビエWORLD
信州ジビエの情報です!
レストラン&ホテル エスポワール
レストラン・エスポワール蓼科中央高原)
フォトランチ長野版~蓼科エスポワール~ Content S.K/ウェブリブログ
YouTube - 蓼科エスポワールの紹介‏
YouTube - 蓼科エスポワールのワインセラー紹介‏
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。
 

固定リンク | コメント (0)