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最近、京都府立医大循環器内科学教授の松原弘明先生の講演を聞く機会がありました。
昨日届いたMMJ誌を見ていて、JAMAに載った「心血管疾患領域の血液・骨髄由来幹細胞移植」の論文紹介が目に止まりました。
ご存知のように松原先生は、この分野で積極的のにご活躍です。
血液・骨髄由来幹細胞移植は自己免疫疾患、心血管疾患の治療に有用
血液由来、骨髄由来幹細胞の非悪性疾患に対する臨床応用
背景
幹細胞療法は近年急速に進歩し、注目を集める結果や有望な知見もあるが、ときには相反する研究結果も一般誌や専門誌に報告されている。
多様な幹細胞で非常に有望な結果が示されているものの、臨床応用は遅れている。
その主な理由としては、幹細胞にかかわる倫理上の問題、十分な量の幹細胞を採取するのが技術的に難しいこと、あるいは集めた幹細胞を安全かつ効率的に増殖させる方法が 確立されていないことが挙げられる。
その中で、血液由来(末梢血や臓帯血)および骨髄由来の幹細胞は採取が比較的容易で安全にできることから、それらを用いた臨床応用の試みが最近急増している。
結論
血液あるいは骨髄から採取されたHSOや間葉系幹細胞は、純化、非純化にかかわらず、特定の患者集団における適切な条件下では、一部の白己免疫疾患と心血管疾患に対して病態改善効果を及ぼしうる。
今後は、これらの疾患およびその他の非悪性疾患の患者において、成人由来HSC移植にもっとも適した細胞のタイプ、細胞投与量、方法、投与時期、そして有害作用を臨床試験で明らかにする必要がある。
Clinical applications of blood-derived and marrow-derived stem cells for nonmalignant diseases
Burt RK,et al JAMA 299:925~936,2008
解説
血液・骨髄幹細胞移植により展開される新しい医療
京都府立医大大学院医学研究科循環器内科学
的場聖明(講師)、松原弘明(教授)
近年、これまで再生しないと考えられていた臓器や組織の幹細胞が次々と見つかり、不治の病と考えられていた疾患に対する再生医療の可能性がでてきた。
循環器系疾患における幹細胞による治療は、日本人の手により発見・育成され、世界へと広がったが、特にカテーテル治療やバイパス手術の適応のない重症虚血下肢(閉塞性動脈硬化症・バージャー病)に対する血管再生医療は、骨髄単核球細胞移植の効果と安全性が認められ、現在国内17施設で先進医療として承認を受け、これまで500例を超える患者に施行されるまでに至っている。
心筋梗塞、心不全、自己免疫疾患に対する治療への応用など、今後多くの期待と注目の集まる中、本論文が発表された。
再生医療は、細胞の持つ能力を利用して組織や臓器の機能の再生を導く治療法である。
幹細胞には大きく分けて胚性幹細胞(ES細胞)と骨髄幹細胞などの体性(組織)幹細胞がある。
ES細胞の利用は、世界各国それぞれの倫理的規則から使用制限があるため、本研究では骨髄幹細胞および血液幹細胞を中心に発表された926論文から症例数の比較的まとまった69論文をもとに安全性と有効性が評価された。
循環器疾患に対する幹細胞移植医療は、下肢血管再生以外に、急性心筋梗塞や心不全に対する治療が検討されている。
幹細胞は骨髄または末梢血から採集されている。
さまざまな細胞のうち最終的にどの細胞系列が新生血管形成に寄与したのか特定するのは困難であるが、移植され
た局所における細胞のパラクリン効果の重要性が示唆されている。
急性心筋梗塞に対する治療は、細胞の投与時期や調整法に
改善の余地はあるが、安全性が認められつつあり、全体的に中等度の改善がみられるという。
慢性心不全に対しても骨髄幹細胞の冠動脈投与や心筋への直接移植により左室駆出率や虚血症状の改善が多く報告されている。
一方、自己免疫疾患に対する幹細胞移植医療は、「免疫能のリセット」がその主な機序と考えれて実施されている。
ただし、細胞移植前に骨髄抑制治療を併用する場合は、安全性の懸念が課題である。
骨髄破壊的レジメンを用いた場合、治療関連死が7~23%に及ぶものもあり、非骨髄破壊的レジメンによる治療も進められているが、原疾患の再発リスクと骨髄抑制の程度の詳しい検討は十分なされていないのが現状である。
全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、1型糖尿病など各病態に応じた治療効果が述べられている。
また、患者自身の細胞である自家(autologous)細胞以外に、家族を含む他人の細胞を起源とする他家(allogeneic)細胞を用いた治療の検討もされているのが、自己免疫疾患に対す
る幹細胞治療の特徴である。
再生医療は「21世紀の成長産業」としての期待も大きい。
細胞の種類、量、投与時期、投与法、先行治療など病態に応じた治療の研究がわが国でも欧米とともに急展開をみせる中、本論文のような横断的な比較検討がますます重要になるであろう。
出典 MMJ Vol.4 no.7 2008
版権 毎日新聞社

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
タンパク質の心筋細胞分化 20倍の効率で誘導 千葉大が発見
多様な細胞になることのできる胚性幹細胞(ES細胞)を、高い確率で心筋細胞に分化させるタンパク質を、千葉大大学院医学研究院の小室一成教授らの研究グループが突き止めた。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)でも確かめる方針で、心臓再生医療への応用が期待される。英科学誌「ネイチャー」(電子版)に発表した。
小室教授らは、ホルモン調節作用が知られていた「IGFBP4」と呼ばれるタンパク質が、単独で心筋細胞への分化を強く誘導することを新たに発見した。
このタンパク質を培養液に添加すると、通常の約20倍の効率でマウスのES細胞が心筋細胞になった。
また、このタンパク質の発現を抑えると、ES細胞で心筋細胞が作られず、アフリカツメガエルを使った実験では形成後の心臓が縮小・消失したことから、心臓の正常な形成に不可欠であることもわかった。
心筋細胞への分化誘導は、発がんや老化に関係する物質とも密接に関わっているとみられ、がんや骨粗鬆(そしょう)症などにもIGFBP4が関与している可能性が考えられるという。
iPS細胞は再生医療の切り札として期待されるが臨床応用への課題も多い。
小室教授は「今回の成果は、心臓病治療の再生医療にとって大きな意義がある。今後実用化に向けて研究を重ねていきたい」と話している。
産経新聞 2008年6月23日8時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000060-san-soci
心臓病の再生医療に成功 シート使い心筋機能回復
大阪大は14日、心臓が収縮する力が弱まる拡張型心筋症の男性患者(56)に、患者本人の足の筋肉細胞からつくったシートを心臓に張って心筋の働きを再生させる治療に成功し、20日に退院できる見通しになったことを明らかにした。 男性は心臓移植が必要と判断され、当初は補助人工心臓を装着していた。
現在では取り外して病院の周囲を散歩できるまでに回復したという。
こうした治療の成功例は世界初とみられる。再生医療の実現が本格化してきたことを示す画期的成果といえそうだ。 主治医の藤田知之助教は「自らの細胞を使って重い心臓病を治療できる可能性を示せた。
脳死からの臓器提供が少ない日本の現状を考えると、ほかの患者の希望になる」としている。
【共同通信】 2007/12/14 13:50
http://www.47news.jp/CN/200712/CN2007121401000768.html
循環器再生医療研究会
http://www10.showa-u.ac.jp/~sannai/
国立循環器病センター 再生医療部
http://www.ncvc.go.jp/res/chiryo/chiryoj.html
循環器系領域における再生医療を確立するために
http://www.cardio.co.jp/report/report_3_1.html
心臓再生の幹細胞発見、ヒトで初…来春にも臨床研究
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20050909ik05.htm
心臓病治療に朗報、人工培養組織で損傷した心臓組織再生可能に
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2276678/2070687
重症心不全患者に光明、 心筋シートで心臓回復!
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/pamphlets/kouhou/mirai2008/04-2.pdf
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
ヒト胚性幹細胞(ES細胞)を人工培養し、損傷した心臓組織に移植する方法が、まもなく実用化する見通しだという。
この方法は、患者自身の骨髄から採取したES細胞を人工的に育てて、心臓筋あるいは心臓弁に移植するというもの。3年から5年後には実用化される見通し。
心臓病で年間1750万人が死亡
世界保健機関(WHO)による2005年度統計によると、心臓病による死者は全世界で1750万人、人類最大の死因となっている。
だが、心臓弁と心臓筋を移植すれば、心臓病による死亡の大半は避けられるとされている。
「患者自身の繊維組織から培養した心臓弁を最も必要としているのは、先天的な心臓欠陥をもって生まれてくる新生児。100人に1人がこの問題を抱えている」と指摘するのは、心臓移植研究の第一人者で今回の研究の中心的人物でもある、Simon Hoeurstrup氏。
現在使用されている人工の心臓弁は、成長にともない定期交換する必要があるため、子どもの患者に多大な苦痛を与えることになるうえ、死亡率も成人の場合より高い。
さらに、耐久性の高いメカニックな心臓は心臓裏側の細菌感染の危険性を高め、血液の流れを不正常にする可能性が高い。
血液の凝固を阻止する薬を服用せざるをえないため、内出血と塞栓症の危険を高めてしまう。
こうした理由から、免疫システムによる拒絶反応を起こさない患者自身の組織を移植する方法は、関係者から移植治療における「聖なる杯」とされていた。
画期的な心臓病治療法と期待される、人工培養組織の移植
現在利用されている生物繊維組織からなる心臓弁は2種類あるが、いずれも重大な欠陥を抱えている。
豚の心臓弁移植は、容易に移植の素材を入手できる利点はあるものの、人間の心臓弁と構造が違うため、摩耗していく傾向が強い。
ヒトのドナーから提供してもらう場合その心配はないが、提供の機会が極めて限られているうえ、拒絶反応を引き起こす場合も多い。
患者自身の骨髄から採取した組織を使用する方法では、細胞を適切な形に育成させる。
こうして成熟した繊維組織を心臓弁として患者に移植する一連の過程は、わずか6週間ほどで完了するという。
心臓病治療に朗報、人工培養組織で損傷した心臓組織再生可能に
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2276678/2070687
<コメント>
このサイトの内容が消えるといけないので一部割愛しながらアップさせていただきました。
成人に領域では弁膜症はまだまだ生体弁や人工弁で対応可能というのが一般的ではないでしょうか?
私の循環器医としての経験から昔しばしば経験したリウマチ性弁膜症が最近ではほとんど見たれなくなってきています。
聴診で診断出来ない若い先生も増えてきているのではないでしょうか?
もっともカラードップラーなどで簡単に診断出来てしまうんでしょうが。
さて、このニュースも最初はピンと来ませんでしたし正直よくわかりませんでした。
しかし下の新岡俊治先生の動画を見せていただいて、実際の患者さんを目の前にした切実な問題であることがよく理解できました。
そして具体的な内容も理解することが出来ました。
手術前後を見る限り執刀者の新岡先生がひとりで駆けずり廻っています。
そしてハードな手術後に行われる再生医療の研究。
こんなやりかたで世界の最先端の研究が本当に出来るのかと思ってしまいましたがエール大学に移られるとのこと。
今後のご活躍を楽しみにしています。
最後のゴール争いのようですから大変でしょうけど。
先生の最後の2年生への講義風景。
せっかくの素晴らしい講義。
医学生の感じ。
かなりショックでした。
いずれにしろ今まで興味のなかった再生医学。
いい勉強が出来、これから興味を持つことができました。
児玉幸雄 油彩4号『コートダジュ~』
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v27463564
新岡俊治
http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B050615&i_renban_code=015
(ちょっと長いですが是非クリックして動画を見られることをお勧めします。)
京都大学医学部附属病院 探索医療センター
重症心不全への細胞移植プロジェクト
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~cardiac/project/index.html
心臓細胞再生の現状と展望
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2002dir/n2483dir/n2483_03.htm#00
血管の再生
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2002dir/n2487dir/n2487_03.htm
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