戯れ言たれる侏儒
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胸郭内インピーダンスは心室性不整脈イベント予測にも有用
胸郭内の電気抵抗を評価するデバイスが登場
心機能の悪化に伴い同期不全が生じると,心不全がさらに進行し,不整脈イベントの発生リスクも高まる-重症心不全で多く見られるそのような悪循環に対して,両室ペーシング機能を有する心臓再同期療法(CRT)や除細動機能も有するCRT-Dが臨床効果を上げてきた。
さらに2007年には,胸郭内の電気抵抗(胸郭内インピーダンス)を評価する機能を搭載したCRT-Dが登場。
心不全の悪化徴候をいち早くとらえることができるようになった。
筑波大学大学院循環器病態医学分野の関口幸夫講師は,国際多施設研究Concerto-ATのコホートを後ろ向きに解析し,CRT-Dに搭載された胸郭内インピーダンスの測定で閾値を超えた変化が生じた場合には,心不全の悪化だけでなく,心室性不整脈の発生リスクも高いことを明らかにした(Circ J 2011; 75: 2614-2620)。
 
未確立の指標でも臨床的意義は高い
胸郭内インピーダンスは胸郭内の電気抵抗のことで,前胸部に留置されたデバイス本体と右室内に挿入されたリードのコイル電極間の抵抗を測定した値だ(図1)。
肺に水がたまると電気伝導性が高まる原理を利用して肺うっ血の徴候をとらえるものだが,胸郭内の電気抵抗は,肺炎や胸部の傷害といった他の影響も受けるため,心不全以外の症状も反映してしまうことがある。
 

図表

 
OptiVol®はメドトロニック社が開発した胸郭内インピーダンスのモニター装置で,CRT-Dや植え込み型除細動器 (ICD),ペースメーカにも搭載されている。
このOptiVolでは,植え込み後30日間の胸郭内インピーダンス測定値を参考値として,30~34日の間に正常範囲が設定される。
これが完了すると,毎日心機能が比較的安定している12時~17時の間,20分ごとに計測が行われ,閾値を超えると警告される仕組みになっている。

胸郭内インピーダンスは,このように,一般医や患者が測定できる血圧や左室駆出率などとは異なり,仕組みも閾値の設定も複雑な未確立の指標といえる。
それでも,注目されるのはなぜか。
 
CRT-Dが植え込まれる重症心不全患者は,致死性不整脈の発生リスクも高く管理が難しい状態にある。
うっ血などの心不全症状の悪化は不整脈を誘発しやすい重要な徴候であるが,これまで心不全の悪化を評価できる機能はデバイスに備わっていなかった。
「OptiVolが登場して,胸郭内インピーダンスが測定できるようになったことは,重症心不全に向き合う臨床医にとって画期的なことであった」と関口氏は言う。
 
心室性不整脈イベントは閾値超後早期に多発
Concerto-AT研究は,日米欧41施設でOptiVol機能を有するCRT-Dが植え込まれた282例を対象に,慢性重症心不全における心房への電気的除細動の有用性を示した前向きコホート研究だ(Pacing Clin Electrophysiol 2009; 32: 13)。
関口講師らは「OptiVolで評価される心不全悪化の徴候は,不整脈イベントにもつながっている」という仮説を証明すべく,このコホートの後ろ向き解析を行った。
対象患者282例は男性が7割,平均年齢68.3歳,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ度が93%,Ⅳ度が7%の重症心不 全群だった。

CRT-D植え込み後の平均観察期間は10カ月。
OptiVolによる胸郭内インピーダンスの測定で閾値を超えたのは145例(51%)221件で,正常範囲内で推移したのは137例だった。
この閾値を超えた閾値逸脱群と正常範囲群に分け,頻脈性不整脈発生率を比較した。
 
その結果,全体で発生した頻脈性不整脈は129例(46%)4,725件で,うち閾値逸脱群(145例)では3,241件のイベントが発生しており,正常範囲群(137例)の1,484件に比べて有意に多く発生した(P<0.0001)。
また,心室性不整脈と心房性不整脈の内訳を見ると,ともに閾値逸脱群の方が正常範囲群よりも発生が有意に多くなっていた()。
 

図表

 
さらに,閾値を超えた後に発生した不整脈イベントを抽出し,発生時期を確認したところ,心室性不整脈イベントについては,閾値を超えてから1カ月以内の発生数がそれ以降の発生数より有意に多くなっており(図2),閾値逸脱後早期に起こりうる心室性不整脈の発生に注意を要することが示された。
 

図表

 
同講師は「胸郭内インピーダンスの閾値を超えた患者では,まず心不全の悪化が予測されるが,その際には心室性不整脈のリスクも認識すべきことが分かっ た」と述べる。
具体的な対応としては,利尿薬の追加や塩分摂取の減量などで体循環の血液量を減少させることが重要になるという。
つまり,心不全の進行をより厳格に食い止めることで,不整脈イベントも抑制できるということだ。
同講師は,現在の閾値設定の妥当性の検証や,心不全の予測能を高める方法の開発が今後の課題であると指摘している。

出典 Medical Tribune  2011.11.24
版権 メディカル・トリビューン社
 
<自遊時間>
自覚症状や体重変化との関係はどうなのでしょうか。
欧米の臨床研究では、こういった知見を日常臨床にフィードバックさせる手法をしばしば用いています。
少なくとも、こういった「物入り」な装置を使用する限りは、従来の手法(自覚症状はもちろん体重変化や尿量チェックなど) よりはるかに鋭敏でかつ有用でなければいけないと思うのですが。
 
 
 

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兵庫県立尼崎病院循環器内科・佐藤幸人部長の高感度トロポニンTに関する記事で勉強しました。 
高感度トロポニンTがBNPに次ぐ心不全の第2のマーカーに
Val-HeFT,GISSI-HF試験のデータ解析から


研究の背景:進歩する高感度トロポニン測定系
血中心筋トロポニンTは,初発の心筋梗塞の診断,リスク評価のためのバイオマーカーとして開発された。
しかし,15年ほど前から予後不良の心不全 患者においては,心筋梗塞で検出される数値よりもはるかに低い10ng/L(0.01ng/mL) 前後の数値が検出されることが報告され,心不全における微小心筋障害を反映する指標と考えられている。

最近開発された高感度トロポニンT(hs-TnT)測定系ではさらに低値が検出可能であり,3ng/L(0.003ng/mL)まで測定できる。
従来のトロポニン測定系では測定値自体が意味を持たず,陽性・陰性だけの判定に使用されるだけであったが,Val-HeFT〔心不全におけるアンジオテン シンⅡ受容体拮抗薬(ARB)バルサルタンの効果を検討したランダム比較試験(RCT)〕のバイオマーカーによるサブ解析からは,観察開始時のhs- TnT値のわずかな差が予後に反映されることが示されており,測定値自体に意味があることが報告されていた(Circulation 2007; 116: 1242-1249)。

今回取り上げる研究は,同一著者らによる上記研究の延長線上の研究であり,観察中のhs-TnTの変動の持つ意義が検討された(Circulation 2011年12月2日オンライン版)。

 
研究のポイント:観察期間中の15%の増減でも総死亡に差
Val-HeFTとGISSI-HF(心不全におけるω-3不飽和脂肪酸,スタチンの効果を検討したRCT)における慢性心不全患者のデータをそ れぞれ4,053例,1,231例用いた。3ng/L以上のhs-TnT値がVal-HeFTで86%,GISSI-HFでは98%の患者で検出された 〔観察開始時hs-TnT中央値:Val-HeFT 12.1ng/L(0.012ng/mL),GISSI-HF:11.9ng/L(0.011ng/mL)〕。

Val-HeFTでは観察開始から4カ月後,GISSI-HFでは3カ月後のhs-TnTの測定結果が得られた。
いずれの試験においても,この期 間のhs-TnT値の変化は年齢,糖尿病,推算糸球体濾過量(eGFR)の低下,観察開始時および観察期間中のN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド (NT-proBNP)の増加とそれぞれ独立して関連していた。

観察期間中hs-TnTが15%以上増加した群をI,増減の変動が15%以内と変動しなかった群をS,15%以上減少した群をDとすると,いずれの試験でも総死亡のリスクはDが最も低く,S,Iの順に増加した()。
 

図

Hs-TnT増加の総死亡に対する補正後のハザード比はVal-HeFTが1.59(95%CI 1.39~1.82),GISSI-HFが1.88(同1.50~2.35)であった。

 
佐藤先生の考察:国内外のガイドラインで“第2のマーカー”の地位が不動に
Hs-TnTを用いると,経過中の15%程度のわずかな変動自体が予後と相関するという結論であった。
実は,バイオマーカーが臨床上,真に有用で あるためには,経過中の数値の変動自体が予後の変動と連動しなければならない。
BNPについては同一著者らの検討により以前にこのことが報告されているが (Circulation 2003; 107: 1278-1283),このような証明はかなり困難であり,他の心不全のバイオマーカーでは証明されていない。

今回の検討により,心不全のバイオマーカーとしてはBNPに次いで,2番目にhs-TnTについてそのことが証明された。
現在,国内外の心不全の ガイドライン,バイオマーカーガイドラインでは心不全のリスク評価に用いられるバイオマーカーとしてBNPの次にトロポニンを挙げているが,将来的にもこ の傾向は続くことが予想される。

なお,hs-TnTを用いると,心不全のリスクの段階の高血圧,心肥大,一般住民でも予後不良の場合,さらに低い値ではあるがhs-TnTが検出されることが相次いで報告された(JAMA 2010; 304: 2503-2512JAMA 2010; 304: 2494-2502Am Heart J 2010; 159: 972-978)。
このことにより,hs-TnTは心不全のリスクの段階,心不全,心筋梗塞とあらゆるステージに応用できるバイオマーカーであることも判明してきた。

最後に,高感度トロポニンIは複数の測定系があり,すべて値が異なるので解釈に注意が必要である。
 
出典 Medical Tribune  2011.12.20
版権 メディカル・トリビューン社

 
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慢性心不全患者の脳卒中発症とその予測に左室機能レベルは影響しない:CHARMプログラム
Incidence and Predictors of Stroke in Patients with Chronic Heart Failure: Does Left Ventricular Function Matter? Insights From the CHARM Program
Davide Castagno
Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, USA
 
左室駆出率(LVEF)が低下した心不全患者は脳卒中リスクが高く,これまでの研究でもLVEFと脳卒中の発症との間に負の相関が示唆されている。
しかしながら,LVEFが保持されている心不全患者も含め,さまざまなLVEFレベルの心不全患者において,脳卒中リスクを検討した報告は少ない。

CHARM(Candesartan in Heart Failure: Assessment of Reduction in Mortality and Morbidity)プログラムは,LVEFレベルおよびアンジオテンシン変換酵素阻害薬による治療の有無に基づき患者を層別化し検討した3件のプラセボ 対照無作為化試験で構成されており,さまざまなLVEFレベルの心不全患者を対象としている1-4)

今回,Castagno氏らは,CHARMプログラムの登録患者を対象に解析を行い,LVEFが低下した心不全患者群とLVEFが保持されている心不全患者群において,脳卒中発症率に差はなく,ベースラインLVEFは脳卒中の予測因子でなかったと報告した。 

 
■脳卒中の予測因子はさまざまなLVEFレベルの心不全患者において特有のものはなかった
Castagno氏らは,さまざまなLVEFレベルの心不全患者において,脳卒中の発症と関連する臨床的特徴を明らかにして主要な予測因子を特定するとともに,LVEFと脳卒中リスクとの関連を明確にすることを目的として検討を行った。
解析対象は,CHARMプログラムの登録患者のうち,脳卒中イベントが 報告されたすべての症例とした。

CHARMプログラムの登録患者7,599例のうち287例(3.8%)が脳卒中を発症しており,脳イメージングを施行した190例のうち157例が虚血 性脳卒中,33例が出血性脳卒中であった。

追跡期間中に死亡した1,831例のうち89例(4.9%)は脳卒中に起因するものと考えられた。

Cox比例ハザードモデルを用いた多変量回帰分析により,高齢,脳卒中の既往,収縮期血圧上昇,糖尿病の既往,ベースライン心電図での心房細動などが,脳 卒中の有意な予測因子であることが示された(図1)。

なお,ベースライン時の経口抗凝固薬使用,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類クラス III~IV,冠動脈バイパス術歴,現喫煙者,治療中の高血圧,女性,カンデサルタン投与は,有意な予測因子ではなかった。 

 
 
 
■ 心不全患者のLVEFレベルは脳卒中の発症にほとんど影響しない
続いて,脳卒中発症率を100患者・年あたりの率で算出し,Kaplan-Meier法によりイベント曲線を描き,LVEFと脳卒中発症率との関連を検討した。
その結果,LVEFが低下した心不全患者群とLVEFが保持されている心不全患者群で,脳卒中発症率に差はみられず(図2A),LVEFレベルと脳 卒中発症率との間にも有意な関連はみられなかった(図2B)。
 
 
以上の結果からCastagno氏は,さまざまなLVEFレベルの心不全患者においても,脳卒中の予測因子は一般に 認識されているものと同様であることが明らかとなったと結論するとともに,「LVEFが低下した心不全患者群とLVEFが保持されている心不全患者群で脳 卒中発症率に差はなく,ベースラインLVEFは脳卒中の予測因子ではなかった」とまとめ,LVEFレベルは心不全患者における脳卒中の発症にほとんど影響 しないことを示唆した。
   引用文献
   1) Lancet 2003;362(9386):772-776
   2) Lancet 2003;362(9386):767-771
   3) Lancet 2003;362(9386):777-781
   4) Lancet 2003;362(9386):759-766

  (メディカルライター 坂井順子)
 
■監修者のコメント
慢性心不全患者の脳卒中リスクを減少させるには:CHARM試験
本研究は,NYHA分類III~IVの症候性心不全患者を対象にカンデサルタンの治療効果を検討したCHARM試験のサブ解析である。
本サブ解析は,標準的治療中の慢性心不全患者の脳卒中のリスク因子として,脳卒中の既往,収縮期血圧の上昇,心房細動,糖尿病,心筋梗塞の既往を明らかにした。
一方,左室機能は脳卒中予後に全く影響を与えていない。
CHARM試験のデータベースは,CHARM-Preserved 群として,左室機能が保たれた心不全患者を多く含んでいる点が特徴である。
対象者を左室駆出率(EF)40%をカットオフ値とし,左室機能低下群と左室機 能保持群に分けても,脳卒中リスクは全く同一であった。
また,EF<20%の超左室低機能群においても,脳卒中リスクの増大はみられなかった。
CHARM試験における脳卒中の絶対的リスクはそう高くはなく,全例7,599名のうち3.8%に過ぎない。
また死亡例1,831名のうち脳卒中死亡は 89名である。
しかし,日本を含む東南アジアは,虚血性心疾患に比し,脳卒中が多いことが特徴であることから,本成績は重要である。
以前,我々は,高血圧または虚血性心疾患による入院心不全患者の退院後の脳卒中予後を検討した。
この中で,夜間血圧>120mmHg(収縮期血圧)とBNP>600pg/mLが,脳卒中のリスク因子であることを明らかにした1)
以上より,慢性心不全の脳卒中リスク管理においては,心房細動に対する抗凝固療法と夜間を含めた血圧管理が重要であるといえる。
   引用文献
   1) Hypertens Res 2008;31(2):289-294

 
監修:自治医科大学内科学講座循環器内科学部門主任教授 苅尾七臣
出典
http://www.biomedisonline.jp/aha2011hl/17352/Poster.php
 
 
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PICCOLA試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.12.07 00:20 / 推薦数 : 1
2型糖尿病患者の左室拡張能はピオグリタゾンで改善するか:PICCOLA試験
Cardiac Outcomes of Pioglitazone on Cardiac Function and Large Arteries, the PICCOLA Trial
 
ピオグリタゾンなどのチアゾリジン系薬は,インスリン抵抗性を改善する薬剤として2型糖尿病患者の治療に広く用いられているが,心不全リスクを上昇させるとの試験結果も得られている

Park氏らはピオグリタゾンが左室拡張能に及ぼす影響をプラセボ対照クロスオーバー試験(PICCOLA試験)で検討し,心エコー検査による左室機能評価により,ピオグリタゾンが左室拡張能を改善し,全末梢血管抵抗の低減をもたらすことを示した。 

 
■ピオグリタゾン投与前後の心機能を心エコーで評価
チアゾリジン系薬はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ(PPAR-γ)作動薬であり,糖尿病患者に対して単独使用で,あるいはメトホルミンやスルホニルウレア系薬剤との併用で広く用いられている。

第1世代薬のトログリタゾンは肝毒性のため市場から撤退したが,ピオグリタゾンやロシグリタゾンなどの第2世代薬は肝毒性をもたない。

しかしグリタゾン系薬の使用に伴い心不全リスクが上昇するとの試験結果も出て,ロシグリタゾンは心不全や心筋梗塞が増加するとの理由でEU市場から撤退した。

Park氏らは,2型糖尿病患者24例を対象にプラセボと比較したピオグリタゾン投与時の心室拡張・収縮機能を検討するクロスオーバー試験を行い,ピオグリタゾンは心不全リスクを上昇させるのか検証した。

被験者は,使用中の治療薬に加えてピオグリタゾン(45mg/日)またはプラセボを12週間服用し,試験薬切り替えの際には2週間のウォッシュアウト期間をおいた。

対象者は18歳以上でHbA1cが7.5%超,心収縮能が正常で血圧がコントロールされている2型糖尿病患者とし,冠動脈疾患,心不全,拡張不全の患者などは除外した。

心エコー検査はPhilips iE33と5-1 MHzフェーズドアレイトランスデューサーを用い,クロスオーバーデザインにより各2回の投与開始時と終了時の計4回行った。

主要評価項目は組織ドップラー法による拡張早期僧帽弁輪部移動速度波(e')とした。
通常のドップラー法にて僧帽弁血流波形を求め,E波とA波を得てE/A比とE/e'比を求めた。
傍胸骨長軸像を得て駆出率,1回拍出量,左室心筋重量係数と全末梢血管抵抗を求めた。 
 

■ピオグリタゾンにより左室拡張能と末梢血管抵抗が改善
12週間のピオグリタゾン投与後,空腹時血糖とHbA1cが有意に低下したが,体重は有意に増加した。
ウエスト・ヒップ比,血圧と心拍数には変化がなかった。

心エコー所見では,ピオグリタゾン投与によりプラセボ投与に比べe'が0.7cm/s(p=0.02)上昇した。

またE/A,MDI(mitral deceleration index),駆出率,1回拍出量が有意に上昇し,全末梢血管抵抗と収縮末期の経線方向壁応力が有意に低下した。
重篤な有害事象の発生はなかった。
 
Park氏は,PICCOLA試験は被験者数が少なく投与期間が短いため心収縮能の評価が行えなかったという限界はあるものの,12週間のピオグリタゾン 投与により2型糖尿病患者の左室機能が改善することが示されたことから,糖尿病管理における血糖降下薬としてピオグリタゾンを引き続き使用することが妥当であることが支持されたとの結論を示した。(メディカルライター 森口理恵)
 
■監修者のコメント
2型糖尿病患者の左室拡張能はピオグリタゾンで改善するか-クロスオーバー試験で証明
本研究は,チアゾリジン誘導体ピオグリタゾンが2型糖尿病患者の左室拡張能を改善することをクロスオーバーデザインで示した研究である。

ピオグリタゾンはアディポネクチンを増加させ,インスリン抵抗性を改善し,2型糖尿病患者において血糖レベルを低下させ,さらに,最近の臨床研究においては心血管イベントを抑制することが知られている。

本研究では主要エンドポイントとして,組織ドップラーを用いて評価した左室拡張能指標である拡張早期僧帽弁輪部移動速度波(e')の変化をみている。12 週間のピオグリタゾン投与により,血圧の変化はみられなかったが,HbA1cは低下し,e'に改善がみられた。

左室拡張能の改善とコラーゲン代謝マーカーなどのバイオマーカーの変化との関連については,本研究では評価していない。

以前,秋田大学の伊藤教授のグループより同様の研究が発表されている1)

6か月のピオグリタゾン投与により,2型糖尿病患者の左室拡張能とコラーゲン代謝マーカーであるPIIIP(aminoterminal propeptide of type III procollagen)が改善し,これらの改善程度に相関がみられている。

これまでに名古屋大学の室原教授のグループの動物実験においても,アンジオテンシンIIにより引き起こされる左室肥大と線維化がピオグリタゾンにより抑制されることが示されている2)

このピオグリタゾンの心保護効果はアディポネクチン欠損マウスで消失することから,この効果はアディポネクチンの増加を介してもたらされると考えられる。

したがって,ピオグリタゾンは糖尿病患者の左室の線維化を抑制し,拡張能を改善すると考えられ,今後,左室収縮能が保たれた糖尿病心不全患者や,その前段 階である拡張障害を合併する糖尿病性心筋症を合併する患者でより心保護効果が臨床的に示されることが期待される。

  引用文献
  1) J Cardiol 2009;54(1):52-58

  2) Hypertension 2010;55(1):69-75

監修:自治医科大学内科学講座循環器内科学部門主任教授 苅尾七臣
 
出典
http://www.biomedisonline.jp/aha2011hl/13277/Oral.php
(要パスワードです。同時通訳音声、英語音声や動画も視聴できます。)
 
 
 
ハビタブルゾーン中心に地球に似た惑星
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20111206003&expand&source=gnews
 

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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
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~収縮期血圧150mmHg超の患者~
初回から2剤併用降圧療法を
ケンブリッジ大学アデンブルックス病院(ケンブリッジ)のMorris J. Brown教授は「収縮期血圧(SBP)が150mmHgを超える患者には,途中で単剤療法から併用療法に切り替えるよりも最初から2剤併用療法を行った方がSBPの低下が大きく,血圧管理にも優れる」とLancet(2011; 377: 312-320)に発表した。
 
有害事象の発生に有意差なし
今回の知見は,レニン阻害薬アリスキレンとCa拮抗薬アムロジピンを用いたACCELERATE試験から得られた。

同試験ではSBP 150~180mmHgの高血圧患者をアリスキレン(150mg/日)+アムロジピン(5mg/日)の併用療法(620例)または,いずれかの単剤療法 (アリスキレン群318例,アムロジピン群316例)にランダムに割り付けた。16週まで段階的に増量し,最終的(16週目以降)には全例をアリスキレン (300mg/日)+アムロジピン(10mg/日)の併用療法に切り替えた。
1次エンドポイントは,8~24週のベースライン時からのSBP低下度(平均値)と,24週目におけるSBPの低下とした。

その結果,8~24週におけるベースライン時からのSBP低下は,単剤療法群よりも併用療法群の方が6.5mmHg大きかった。
24週目時点では,この 差は1.4mmHgまで縮小されていたものの,やはり併用療法群の方が降圧作用に優れていた。浮腫や低血圧といった有害事象による試験脱落率は3群間で差 はなかった(併用療法群14%,アリスキレン群18%,アムロジピン群14%)。
 
現行ガイドライン見直しの必要も
Brown教授らはACCELERATE試験について「SBPが150mmHgを超える患者を対象に,初回から降圧薬2剤を用いた併用療法と,途中で同 薬の単剤療法から併用療法に切り替えた場合について,有効性と安全性の面から比較した初めての試験である」と説明。
今回の結果から「SBPが 150mmHgを超える高血圧患者に対しては,アリスキレンとアムロジピンなどを用いた2剤併用療法を初回からルーチンで使用することが推奨できる」と結 論している。
 
シカゴ大学(シカゴ)内科のIvana Lazich,George Bakrisの両博士らは,同誌の付随論評(2011; 377: 278-279)で「一般人口の血圧をガイドラインの目標値まで下げるには,初回から併用療法を行うことが重要なようだ。この論文が発表されたことによ り,現行ガイドラインの見直しは当然必要となるだろう」と述べている。
 
ACCELERATE試験
Aliskiren and the calcium channel blocker amlodipine combination as an initial treatment strategy for hyper- tension control
 
<自遊時間>
今日の夕方、某ARBを販売している某メーカーの支店にMRさん相手に講演(?) をしに行きます。
その際にアリスキレンの話もして来る予定です。
 少しお勉強をしたのですが、この名称は開発に関係したDr.Alice Huxleyという金髪の女性の名前に由来しているとのことです。
さて、こういった講演会。
招聘されることは名誉なこと(?) ですし、何よりも自分自身の勉強になります。
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
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~β遮断薬の国際臨床試験~ 米国内外で心不全の死亡率に差
デューク大学(ダーラム)のChristopher O'Connor博士らは,心不全患者を対象にβ遮断薬を試験薬として用いた複数の国際臨床試験を比較検討したところ,同薬の死亡率に対する影響は,患者が治療を受けた国によって異なることが明らかになったとJournal of the American College of Cardiology(2011; 58: 915-922)に発表した。
これらの試験の登録患者を対象としたメタアナリシスでは,米国外の患者に比べて米国内の患者では,同薬による生存率の改善効果が小さいことが示された
 
心不全患者8,988例を対象にメタアナリシス
臨床試験のグローバル化が進みつつある中,発表された今回の研究結果について,O'Connor博士は「今回の結果は,臨床試験の結果には地域差が恒常的に影響していることを示している」と強調。
「世界各国の患者を対象としたグローバルな臨床試験によって,研究者は登録目標を一定の期間内で達成することができ,承認後に投与対象となる可能性の高い幅広い集団で新薬の効果を検証することが可能となる。しかし,研究者は結果に地域差が影響する可能性を認識すべきで,今後の臨床試験もその点を考慮に入れた修正が必要だ」と述べている。
 
同博士らは今回,心不全患者にβ遮断薬を投与し,主要評価項目を生存率とした複数の二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験の結果を分析した。
対象 は,Metoprolol Controlled-Release Randomized Intervention Trial in Heart Failure(MERIT-HF),Carvedilol Prospective Randomized Cumulative Survival(COPERNICUS)の登録患者8,988例。そのうち4,198例(46.7%)が米国の患者であった。
 
死亡のRRの低下度は米国の患者でより小さい
β遮断薬による死亡の相対リスク(RR)の低下度は,全登録患者に比べて米国の患者では小さく,同薬による有意なRR低下は認められなかった。
一方,米国外の患者では同薬の生存に対する便益が認められた。
 
1万1,635例を対象としたプール解析では,β遮断薬により死亡のRRはプラセボ群に対して23%低下していたが,米国外の患者では同薬による便益が 有意であったのに対し(RR 0.64,P<0.001),米国の患者では有意ではなかった(RR 0.92,P=0.11)。
 
O'Connor博士は,臨床試験のアウトカムで示された地域差の原因として,人口構成の違い,遺伝的背景の違い,疾患管理における文化・社会的違い,管理方法の違いなどを挙げている。
 
また,同博士は「今回の結果は,民族性などが異なる人口集団では,同じ薬剤に対する反応が異なることを示しているのかもしれない。医療水準の差やEBMの普及度の差なども,アウトカムの違いに反映されている可能性がある。今回の研究は,試験の結果を正しく一般化するには,多施設国際共同試験の実施基準や方法論,解析方法を再検討する必要があることを示している」と述べている。
 
出典 Medical Tribune 2011.10.27
版権 メディカル・トリビューン社

<私的コメント>
このタイトルを見た時に多くの先生方は、心不全患者へのβ遮断薬投与の効果は米国でより大きいと思われたのではないでしょうか。
米国の医療レベルは高い筈(?)ですが、 「医療水準の差やEBMの普及度の差」とはどういう意味合いでのコメントでしょうか。
「人口構成の違い,遺伝的背景の違い,疾患管理における文化・社会的違い,管理方法の違い 」というのであれば、少なくとも、米国内のデータの人種別のサブ解析を行えばいいのではないでしょうか。
そんなに難しいことではなさそうです。
米国では、診察時や大規模臨床試験の際にはきっと「人種」が記入されるのでしょうが、日本では考えにくいことですね。
米国留学の経験がない自分にとっては分からないのですが、そのあたりのコメントがいただけるとありがたいです。
 

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心不全症状のある高齢患者
死亡リスクを予測する2つのバイオマーカー発見
リンチェピング大学(スウェーデン・リンチェピング)心血管学科のUrban Alehagen博士らは「血中コペプチン(copeptin)濃度や,同濃度と血中N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)濃度の組み合わせは,心不全症状を有する高齢患者の全死亡リスクと関連しているようだ」とJAMA(2011; 305: 2088-2095)に発表した。
 
コペプチンは代替マーカー
Alehagen博士らは「心不全症状のある高齢患者を診る際,最も大切なのは高リスクと低リスクの患者を判別することである。そのため,リスクの鑑別に役立つ簡便なツールが必要とされてきた。心筋で産生されるバイオマーカーと中枢で産生されるマーカーを併用すれば,心不全症状のある患者のリスクが特定できるかもしれない。これまでの研究でも,循環器疾患とさまざまなバイオマーカーとの関連や臨床応用化が検討されている」と説明している。
 
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は既に確立されているマーカーの1つで,NT-proBNPはBNPの前駆体N末端フラグメントである。
一方,バ ソプレシン(VP)は脳下垂体から分泌される心血管疾患のマーカーで,その血中濃度は心不全患者で上昇し,左室機能不全との相関が示されている。
コペプチンは,VP濃度測定の代理マーカーの候補として最近注目されており,心不全で死亡リスクの高い患者や同リスクの低い患者を特定するのに役立つ可能性があ る。
同博士らは今回,血中のコペプチン濃度およびNT-proBNP濃度と心不全症状を有する高齢患者の死亡率との関連について検討した。
対象は1996年 1~12月にプライマリケアで診察を受けたスウェーデンの高齢患者470例。
全例が息切れ,浮腫,全身倦怠感などの心不全症状を示していた。
血液検査,心 エコー検査などを行い,2009年12月まで追跡した。
 
VPは今後の治療介入の標的
追跡期間(中央値13年)中の全死亡は226例で,そのうち146例が心血管死であった。
コペプチン濃度により患者を四分位に分けたところ,心血管死の 死亡率は最低四分位の26.5%に比べ,最高四分位では46.6%〔ハザード比(HR)1.96〕,全死亡は最低四分位の38.5%に比べ最高四分位では 69.5%(HR 2.04)と高かった。
同様にNT-proBNPでも,心血管死亡率,全死亡率は最低四分位に比べ最高四分位で高かった。
また,最低四分位と各四分位を比較しても,コペプチンとNT-proBNPの濃度は,それぞれ長期の全死亡,心血管死と相関した。
さらに,NT-proBNP濃度が上昇している患者ではコペプチン濃度も上昇している傾向が認められた。
予後に関しては,両マーカーを組み合わせた方がより正確に予測できた。
Kaplan-Meier法を用いた生存曲線によると,全死亡データでは両マーカーの血中濃度がともに低い群の生存率が 63.7%,ともに高い群の生存率が16.5%と顕著な差が見られた。
心血管死データでも,それぞれ74.6%,23.0%と同様の傾向が認められた。
Alehagen博士らは,今回の研究について「当初の目的は,プライマリケアの場でよく遭遇するが他の疾患も併発しているため,たびたび診断に難渋する高齢者集団用のマーカーを突き止めることであった。そこで対象をプライマリケアを受診した集団に限定し,マーカーから得られる予後の情報のみに焦点を合 わせた」と説明。
さらに「今回のデータから,心不全症状を有する高齢患者のコペプチン濃度を測定することで,予後を予測できる可能性が示された。この知見 は,今後VPが治療介入の標的となることも示唆している」と結論付けている。
 
出典  MT Pro 2011.10.13
版権 メディカル・トリビューン社

 
<自遊時間>
ノキア日本法人社員の過労死認定=「24時間体制の勤務過重」―大阪地裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111026-00000125-jij-soci
という記事が目にとまりました。
「『24時間、携帯の電源をオンにする勤務体制を求められていた』などとして過労死と認め、遺族補償年金などの不支給処分を取り消した。 」
「時間外労働が1カ月当たり約63~81時間 」
「休暇中や就寝中を含め、顧客からの通信障害などの連絡に24時間いつでも対応しなければならない不規則な状態に置かれた」
「量的にも質的にも過重な勤務だったとして、業務起因性を認めた」
というものです。
我が子は現在後期研修で循環器を専攻していますが、オンコールで病院まで ○分以内でかけつけれる場所から離れてはいけないということになっています。
当然 『24時間、携帯の電源をオンにする勤務体制』です。
インターベンションを行っている病院はどこでも同じ状況のはずです。
重症入院患者もいて二重に、「目に見えない鎖」で縛られています。
今では3Kの1つといわれる勤務医。
診療科によってこの差は大きいのですが、こういった労働環境の改善はどうなっているのでしょうか。
どうにもならないことは分かっているのですが・・・。
当直明けに、ナースが「夜勤明け」で帰っていくのをうらやましく見送った、はるか昔の勤務医時代を思い出しました。

医師の待遇を改善、たとえば自宅待機分やサービス残業をすべて時間外手当をカウントするといったことだけでも医療は崩壊します。(医師以外のパラメディカルの残業はきちんと支払われているかどうかは分かりません。)
ノキアの社員と同等ないしはそれ以上の過酷な労働条件により、現在の医療は支えられていることを再認識させる記事でした。
最近、皮膚科や精神科などへの大学入局者が、女性を中心として増えていると聞きます。
これはこれで賢い(?)選択です。
医師の偏在だけでなく診療科目の偏在も確実に起こっているのです。
 
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加齢に伴う拡張機能の悪化が心不全リスク上昇と関連
メイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)のGarvan C. Kane博士らは「左室拡張機能障害の有病率は加齢に伴い上昇し,拡張機能が悪化した患者では心不全の発症リスクが高まる」とした住民ベースのコホート研究の結果をJAMA(2011; 306: 856-863)に発表した。
 
心機能の経時的な変化を追跡
近年,心不全の危険因子を持つ人では,無症候性心室機能障害から症候性の心不全へ,さらに死亡へと進行する過程を理解することが重要と指摘されている。
そのためには経時的な心機能の変化を住民ベースで検討したデータが必要となる。
 
Kane博士らは今回,拡張機能の経時的変化を調べ,拡張機能障害とその後の心不全リスクとの関連について検討した。
Olmsted County Heart Function Study(OCHFS)の参加者のうち,45歳以上の2,042例をランダムに抽出し,臨床評価と診療記録の要約,心エコー検査(実施期間 1997~2000年)を行った。
左室拡張機能は,検査結果を基に正常,軽度,中等度,重度障害に分類した。
4年後,生存患者1,960例中1,402例 (72%)に2回目の心エコー検査(同2001~04年)を行い,2010年まで追跡し心不全の新規発症を確認した。
 
65歳以上の年齢と強い関連
その結果,左室拡張機能障害の有病率は1回目の検査時の23.8%から2回目には39.2%に有意に上昇していた(P<0.001)。
中等度~重度の同障害の有病率は,1回目の6.4%から16.0%に上昇していた(P<0.001)。
 
1回目から2回目の検査の間に23.4%で拡張機能が悪化し,67.8%では変化がなく,8.8%で改善した。
拡張機能の悪化は特に65歳以上の年齢と強く関連していた〔オッズ比(OR)2.85〕。
 
一方,高血圧,糖尿病,冠動脈疾患,心不全の既往がなく,心血管疾患の治療薬を服用していない健康な参加者531例を解析した結果,拡張機能障害(重症度を問わない)の有病率は,1回目の検査時の11.3%から2回目には29.8%に上昇していた(P<0.001)。
健康な参加者のうち,両検査とも拡張 機能を評価できた423例では,19.9%で同機能が悪化し,75.2%で変化がなく,5.0%で改善していた。
 
2010年までの追跡期間(中央値6.3年間)における心不全発症率は,拡張機能正常維持または正常化群で2.6%,軽度障害維持または進行群で7.8%,中等度~重度障害維持または進行群で12.2%であった(P<0.001)。
 
以上の結果から,左室機能障害の有病率は経年的に上昇し,加齢と関連することが明らかになった。
Kane博士らは「今後の研究で検証する必要はあるが,今回の結果は高齢者では拡張機能障害の持続または進行が心不全発症の危険因子であることを示している」と述べている。
 
出典 Medical Tribune 2011.10.13
版権 メディカル・トリビューン社

<私的コメント>
当然の結論のような気もします。

どこにNeuesがあるのでしょうか。
ちょっと不思議な論文です。
 
<拡張不全 関連サイト>
拡張不全を見据えた心不全の治療戦略
拡張期心不全への対応 その1(1/2)
拡張期心不全への対応 その2(2/2)
拡張不全の病態と背景
初診患者と拡張性心不全
HFPEF

 
 
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兵庫県立尼崎病院循環器内科・佐藤幸人部長のコラーゲン代謝に関連するバイオマーカーに関する解説記事で勉強しました。
 
コラーゲン代謝のバイオマーカーは高齢者の心不全評価に有用か

Cardiovascular Health Studyから
研究の背景: 3つのバイオマーカーの心不全における意義は?
心筋間質のマトリックス構成成分であるコラーゲンは,合成とマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)による変性を繰り返している。
carboxyl-terminal peptide of procollagen typeⅠ(PIP)はⅠ型コラーゲンの合成を反映し,carboxyl-terminal telopeptide of collagen typeⅠ(CITP)はⅠ型コラーゲンの変性を示すバイオマーカーと考えられているHypertension 2001; 38: 1222-1226)。
また,amino-terminal peptide of procollagen type III(PIIINP)はⅢ型コラーゲン合成のバイオマーカーと考えられているCirculation 2000; 101: 1527-1532)。
 
15年前にわれわれは,心不全患者において心筋障害の指標であるトロポニン,心筋線維化の指標であるPIIINPを測定し,これらが高値の患者は予後不良であることを報告した(Heart 1997; 78: 505-508)。
その後,心不全におけるトロポニン測定の意義については多くの報告がなされ,現在では心不全患者のリスク評価において,B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の次に有用なバイオマーカーとして注目されるようになった。
 
一方,線維化のマーカーは,スピロノラクトンの多施設研究であるRALESのサブ解析においてPIIINPが予後不良の指標であり(Circulation 2000; 102: 2700-2706),エプレレノンの多施設研究であるEPHESUSのサブ解析ではPIIINP,CITPの経時的変化が検討されている(Circulation 2009; 119: 2471-2479)。
 
今回,米国の研究グループがCardiovascular Health Studyのデータを基に,コラーゲン代謝に関するこれら3つのバイオマーカーの心不全における意義を報告したので紹介したい(Circ Heart Fail 9月7日オンライン版)。
 
 
研究のポイント:高齢者ではCITPとPIIINPが心血管イベントの予測因子
Cardiovascular Health Studyは,1989年に登録開始した高齢の一般住民(登録開始時65~100歳)を対象とした心血管疾患の観察研究である。
うち880例 (平均年齢 77±6歳,女性が48%)においてPIP,CITP,PIIINPの血中濃度の測定が行われた。対象者を以下の4群に分けて,検討が行われた。
観察期間は12±4年。
(1)収縮機能低下心不全〔収縮機能低下HF群;左室駆出率(LVEF)<55%〕146例
(2)収縮機能保持心不全(収縮機能保持HF群;EF≧55%) 175例
(3)心血管リスクのある非心不全患者(CVDコントロール群)280例
(4)心血管病変のない健康人(健康コントロール群)279例

 
各バイオマーカーの血中濃度を見ると,PIPは4群間で差がなかったが,PIIINPとCITPはコントロール2群と比較して,心不全2群で高値であった。
 
各バイオマーカーと心血管イベントとの関連性を検討した。
まず,全体解析ではPIIINPとCITPは心筋梗塞,心不全発症,心不全による入院,心血管疾患による死亡,総死亡のいずれもと関連が認められたが,PIPはいずれのイベントとも関連が認められなかった。
 
各群の解析結果は以下のようであった。
(1)健康コントロール群:CITP,PIIINPは総死亡との関連が認められた。
(2)CVDコントロール群:CITPは心不全発症との関連が認められた。
(3)収縮機能保持HF群:CITPは心不全による入院との関連が認められた。
(4)収縮機能低下HF群:いずれのマーカーもいずれのイベントとも関連が認められなかった。

 
PIPは心不全群と非心不全群の間で血中濃度に差がなく,全体解析,グループ解析ともに心血管イベントと関連しないという結果になった。
 
佐藤先生の考察:リスク評価には有用,治療効果判定などにおける意義は今後の課題
健康高齢者とリスクのある患者において,CITPとPIIINPは心血管イベントの予測因子であった。
しかし,全体を通じてPIPは予後予測因子 でなかった。PIPが予後と関連が認められなかった理由として論文の著者らは,対象が高齢者であり,加齢によりⅠ型コラーゲンよりもⅢ型コラーゲンが病変 の主体であっためではないかと考察している。
 
コラーゲン代謝に関連するバイオマーカーの研究はまだまだ報告が少ないが,心不全の心筋病理が心筋変性と間質の線維化に大別されることから,間質 のバイオマーカーは理解を得やすいといえる。
リスク評価に有用であることは,複数の報告により確認されている。残る課題は,心負荷の指標である BNP,NT-proBNPや,心筋障害の指標であるトロポニンとの関係を明らかにすることであろう。
 
次に,治療効果判定に用いられるかどうか検討する必要がある。
抗アルドステロン薬の投与により低下すると報告されており(Circulation 2003; 107: 2559-2565, Circulation 2005; 112: 2940-2945),種々の薬剤でさらなる検討が必要である。
 
また,拡張機能障害は間質の線維化により説明できる部分も多いと考えられており,拡張機能障害の診断補助に使用する検討も散見される(Heart 2004; 90: 650-654, Eur J Heart Fail 2009; 11: 191-197, Circ Heart Fail 2011; 4: 246-256)。
 
出典 MT pro 2011.10.6
版権 メディカル・トリビューン社
 
<循環器・ひとくちメモ>  
CKDにおける脂質低下療法の注意点
■ベザフィブラートは血清Crが2.0mg/dl以上、フェノフィブラートは2.5mg/dl以上で禁忌。
■スタチンは胆汁排泄性のため腎不全でも使用可能。しかし添付文書では慎重投与とされている。
■EPAやエゼチミブは腎機能低下例でも通常通り使用可能。
(出典;日医雑誌 第140巻・第6号 2011.9 P1246)


 

2011.10.9 撮影 長野県南牧村  
千 昌夫の「北国の春」 の舞台となった場所です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%98%A5
 
 
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「減塩で心不全の死亡率が上昇する」というショッキングな発表について先週とりあげました。
 
 
 
減塩に積極的に取り組んでいる日本高血圧学会では、ホットな話題として、来月開催される総会に今回の論争の“火付け役”を招聘することになりました。pros and cons
 
日本動脈硬化学会も「コレステロールは下げない方が良い」と唱える学者が、幸いにも(?)国内にいるわけですから"pros and cons"をやるべきだったのではないでしょうか。
今回、素早く英断を下した日本高血圧学会会長の島田教授には拍手を送りたいと思います。
 
 
減塩の有効性巡り日本高血圧学会でディベート
論争の“火付け役”ルーベン大学Jan A. Staessen氏を招聘
日本高血圧学会(理事長=自治医科大学循環器内科学教授・島田和幸氏)は10月20~22日,栃木県宇都宮市で「高血圧のフロンティア~アジアからの発信」をテーマに第34回総会を開催する。
減塩の有効性のディベートには,今回の論争の“火付け役”となったベルギー・ルーベン大学心血管リハビリテーション科研究調整センターのJan A. Staessen氏を招聘するという。
 
食塩表示義務化を関係省庁に働きかけ
減塩委員会委員長の河野雄平氏(国立循環器病研究センター高血圧・腎臓科部長)によると,同学会では,2004年に減塩ワーキンググループが発足。
今年(2011年)減塩委員会(委員7人,協力会員7人)と改称し,政治的・社会的取り組み,集団に対する取り組み,個別的取り組み,広報 活動を行っている。
 
政治的・社会的には,加工食品について食塩表示を求める働きかけを関連学会などとともに消費者庁,内閣府,厚生労働省に対して行っている。
現段階 では食塩表示の義務化は実現していないが,ナトリウム表示がエネルギーに続いて全体の2番目に表示されるようになる見込みだという。
 
集団や個人に対しては,食品中の食塩含有量を調査し公表したり,食塩摂取量評価と減塩指導を行ったり,医療従事者・患者それぞれが使用できる食塩摂取量評価ツールを開発している。
来年(2012年)5月には広島県呉市で減塩サミットも開催する。
 
有意差がつかなかったことには「2つの理由」
また,今年5月,ベルギー・ルーベン大学心血管リハビリテーション科研究調整センターのJan A. Staessen氏らが減塩を行うと心血管病死亡率と総心血管イベントの頻度が上がるとするコホート観察研究の結果を発表(JAMA 2011; 305: 1777-1785)。
 
さらに7月,減塩が心血管病リスクを抑制しないとする介入研究7件のメタ解析(Am J Hypertens 7月6日オンライン版,Cochrane Database of Systematic Reviews 2011, Issue 7. Art. No.: CD009217. DOI: 10.1002/14651858.CD009217)が発表され欧米のマスコミなどで騒ぎとなったが,その際,同学会は公式サイトに詳細な分析コメントを掲載した
 
減塩委員会の安東克之氏(東京大学分子循環代謝病学准教授)は,メタ解析において減塩の効果に有意差がつかなかったことについて「2つの理由が考えられる」と述べた。
まず「食塩摂取量のみを変える介入が容易ではないことや発症数が少ないことから統計学的にパワー不足である」こと。
Heと MacGregorが行った反論(Lancet 2011; 378: 380-382)では,高血圧患者と正常血圧者を一緒にメタ解析すると有意差がつくことが指摘されているという。さらには「メタ解析で取り上げられなかった2007年の報告(BMJ 2007; 334: 885-888)で,半年~1年間の介入後10~15年間追跡すると,減塩介入群で心血管疾患が有意に減少していた」ことである。
「減塩の介入試験自体は難しいが,減塩は心血管に良い」と同氏は見ている。
 
以上から,同学会は「日本高血圧学会が掲げる減塩6g/日未満は高血圧の治療や予防に有用であることが確立されているだけでなく,心血管病の予防・治療にも有用性が期待されるものと考えられる」との立場をとる。
 
総会には今回の減塩論争の発端となる論文を発表した Staessen氏を招聘。
10月22日に特別ディベートが予定されている。
               (木下 愛美)
出典  MT Pro 2011.10.11
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
<循環器・ひとくちメモ>
トラセトラピブ
■CEPT阻害薬のトラセトラピブはHDL−cは増加したが、アルドステロン産生増加と考えられる血圧の上昇を招き、開発が中止された。
■一方、次のCEPT阻害薬のアナセトラピブはスタチンは、スタチンに次ぐ新薬として期待されている。
(出典; 循環器専門医第19巻第2号 2011.9 P219)
 
 
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