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洞調律維持と心拍数調節の有効性は同等
〔カナダ・モントリオール〕モントリオール心臓研究所(MHI)とモントリオール大学(ともにモントリオール)の心臓医であるDenis Roy部長らは,心房細動のある心不全患者において,心拍数維持による簡便な管理により,電気的除細動の頻度,入院回数などが減少するとNew England Journal of Medicine(2008; 358: 2667-2677)に発表した。
欧米での前向き多施設試験
今回発表されたのは,心房細動のある心不全患者において,リズムコントロール(洞調律維持)とレートコントロール(心拍数調節)を比較し,心血管死に与える影響を検討した多施設前向き試験Atrial Fibrillation and Congestive Heart Failure(AF-CHF)の結果である。
心不全は死因の上位を占めており,心房細動の合併で死亡リスクはさらに増加する。
今回の試験は,カナダ保健研究所(CIHR)から650万ドル以上の助成を受けて実現したもので2001年に開始された。
心房細動と心不全の治療法を改善し,罹患率と死亡率を減少させることを目的に,北米,南米,欧州,イスラエルの123施設で1,376例を登録した。
2001年5月~05年6月に,電気的除細動と投薬により洞調律化を行うリズムコントロール群と,β遮断薬とジギタリスにより心拍数を安定させ,特別な洞調律化は行わないレートコントロール群に患者をランダムに割り付けた。
主要エンドポイントは心血管死で,データの整理・解析はMHIに設置された調整センター(MHICC)が統括して行った。
Intention-to-treat(ITT)解析において,主要エンドポイントである心血管死亡数は,リズムコントロール群が182例(27%),レートコントロール群が175例(25%)で,両群間に有意差は認められなかった。
総死亡数,心不全の悪化,脳卒中発症に関しても同等であった。
入院回数はリズムコントロール群で多く,その多くは心房細動の管理によるものであった。
重要な新知見を提供
Roy部長は「今回の結果は,心不全患者の心房細動管理で広く適用されている2つの方法に関し,重要な新知見を提供するものである。リズムコントロールをルーチンで行ってもレートコントロールと比べ死亡率は変化せず,さらに,心不全悪化など他の重要なアウトカムに関しても2つの方法の間で有意差は認められなかったが,レートコントロールにより電気的除細動を必要とする頻度と入院率が減少した」と指摘。
「レートコントロールにより心房細動が簡便に管理でき,入院率が減少することがこれで明らかになった。今回の知見は,レートコントロールを心房細動とうっ血性心不全の合併患者に対する第1選択治療とすべきことを示唆している」と述べている。
CIHR循環器・呼吸器学研究所の科学責任者であるPeter Liu博士は「今回の示唆に富む知見は,このような患者群に対し,電気的除細動を頻繁に行わない保存的な管理が可能であることを示しており,今後のケアの在り方に関し,新たな基準が提供されるであろう」と評価している。
出典 Medical Tribune 2008.8.14
版権 メディカル・トリビューン社

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制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<関連サイト>
AF-CHF:心不全の時の心房細動研究 心拍コントロール群 vs 心調律コントロール群
http://intmed.exblog.jp/6411610/
AF-CHF
Atrial Fibrillation and Congestive Heart Failure
http://www.incirculation.net/whatswhat/11093_73472.aspx
AF-CHF試験
http://blog.m3.com/reed/20071210/A_
AF/CHF Trial: Rate as Good as Rhythm Control for AF in Heart Failure
http://www.medscape.com/viewarticle/565469
AF-CHF: Even in heart failure, rate-control strategy best for atrial fib
http://www.theheart.org/article/876415.do
AF-CHF The Atrial Fibrillation and Congestive Heart Failure Trial
心房細動と心不全の合併例において,リズムコントロールの心血管イベント抑制効果はレートコントロールを上回らない。
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_AHA_2007.html#aha2007AFCHF
<番外編>
心臓エコー診断装置を入れ替えたお話はすでにしました。
循環器医と名乗りながら従来の装置はカラードップラーのないものでした。
昨日、不整脈で通院中の60代男性に心エコーを行いました。
一通り検査も終わりかけ、そうそうカラードップラーでもやってみようとスイッチをオンにしました。
プローブを当てた途端に大動脈弁に逆流が・・・・。

すっかりあわててしまって「二尖弁は?重症度判定は?」といったことは吹っ飛んでしまいました。
時間外に再度検査してゆっくり評価したいと思いました。
この検査は、診察時間外にたっぷり時間をかけて行うのがよいのかも知れません。
来月から月1回、心強い臨床検査技師が手伝ってくれるので楽しみです。
さて、この患者さんに聴診器をあてましたが心雑音は聴こえません。
リットマンのCardiologyを引っ張り出してきて、前屈位になっていただきましたが聴こえません。
ConstantのBedside Cardiology(2nd Ed.)を見ましたが雑音のないARの記載はありません。
もっともカラードップラーが導入される前のテキストということで当然といえば当然です。
silent or mute AR(私が勝手につけた名前です)は一体どの程度の頻度であるのでしょうか。
数多くの症例を経験された先生なら動脈硬化性のARで臨床的な意味はあまりないといわれると思います。
しかし、気になるので一度専門病院へ紹介して心音図と心エコーの再評価をお願いしようかとも思っています。
やっぱりカラードップラーはすごい。
何を今更と皆さんは思われるでしょう。
<関連サイト>
大動脈弁閉鎖不全症
http://akimichi.homeunix.net/~emile/aki/html/medical/circulatory/node113.html
大動脈弁閉鎖不全症
カラードップラーを用いた評価
pressure half time
http://medtoolz.xrea.jp/echo/node12.html
後天性弁膜症大動脈弁膜症
http://www.e-clinician.net/vol43/no452/pdf/gp_452.pdf
二尖弁と大動脈疾患
http://blogs.yahoo.co.jp/chibanishi_artery/10510349.html
二尖弁
http://www.kcc.zaq.ne.jp/dfcmd409/echo/echo.html
心エコー検査により術前に診断された大動脈四尖弁の2症例
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmu/34/2/34_171/_article/-char/ja
(「四尖弁」、初めて聞きました)
先天性大動脈二尖弁
http://blog.m3.com/reed/categories/839
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周知のように、ビフォスフォネート製剤は破骨細胞の活性を低下させ、その数を減らすことによって強力な骨吸収抑制効果を発揮します。
したがって現在では、骨粗鬆症の薬物療法の中心的な役割を果たしてきています。
最近、ビフォスフォネート製剤の一つであるアレンドロネート
が心房細動発生リスクを高めるという報告がされました。
まだcontroversial(debatable)なようですが、心房細動が脳塞栓の発症リスクを高める意味でも看過できません。
そして他のビフォスフォネート製剤ではどうなのかということも多いに興味があります。
<参考>
アレンドロネート
フォサマック錠(万有)
ボナロン錠(テイジン)
添付文書に当たってみましたが、副作用の欄に「心房細動」の記載はありませんでした。
Alendronateと心房細動のリスク
Alendronate and Risk for Atrial Fibrillation
最近の研究では、bisphosphonate系薬物を使用している患者における心房細動(atrial fibrillation:AF)のリスクについて相反する結果が得られた。
ある研究では、静注zoledronateの投与を受けた患者で「重篤な」AFのリスクが高いことが示された(日本語版Journal Watch May 2 2007)のに対し、別の研究では、bisphosphonate薬の経口投与を受けた患者において、未使用者との比較でリスクは高くなかった(日本語版Journal Watch Apr 8 2008)。
この問題の解決の一助とするため、この研究では、Washington州の大規模な総合医療システムにおいて、地域住民に基づいたケースコントロール研究を実施した。
心房細動を新規発症した女性719人および対照者966人を対象とし、alendronateの使用経験者と未使用者のAFリスクを比較評価した。
年齢および高血圧の状況に応じて患者をマッチさせ、HDLコレステロール値および糖尿病を含む複数のリスクファクターについて調整したところ、alendronateの使用と新規発症AFの高いオッズ(オッズ比[odds ratio:OR]1.83)とのあいだに関連が認められた。
過去の使用者で新規発症AFのリスクがもっとも高かった(OR 3.27)のに対し、現在の使用者では、未使用者よりもリスクは高かったが有意ではなかった(OR 1.42)。
コメント:
この観察研究では、新規発症AFのリスクは、alendronateの過去の使用者で有意に高く、現在の使用者でも有意ではないが高かった。
これらの辻褄の合わない結果(現在の使用者に対して過去の使用者のほうがリスクが高い)は興味深いが、(とくにこれまでの研究を考慮すると)結論をもたらすものではない。すなわち、経口bisphosphonate薬の使用方法を変えるような、説得力のあるエビデンスとはならない。
Jamaluddin Moloo, MD, MPH, and Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in Journal Watch General Medicine May 6, 2008
Citation(s):
Heckbert SR et al. Use of alendronate and risk of incident atrial fibrillation in women. Arch Intern Med 2008 Apr 28; 168:826.
http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-0506-04.html
Journal Watch 日本語版 2008 May 06
<参考サイト>
Use of bisphosphonates among women and risk of atrial fibrillation and flutter: population based case-control study
http://www.bmj.com/cgi/content/short/bmj.39507.551644.BEv1
Conclusion
No evidence was found that use of bisphosphonates increases the risk of atrial fibrillation and flutter.
(両者の関連は見出せなかった)
Bisphoshonates and atrial fibrillation - Not yet a clean bill of health.
http://www.bmj.com/cgi/eletters/bmj.39507.551644.BEv1#192270
We found no evidence that use of the oral bisphosphonates included in our study increase the risk of atrial fibrillation/flutter. However, as mentioned in our paper, we were not able to examine the risk of atrial fibrillation/flutter in relation to use of zoledronic acid and risedronate.
(経口ビスフォネートと心房細動発生の関連は見出せなかった)
Bisphoshonates and atrial fibrillationhttp://www.bmj.com/cgi/eletters/bmj.39507.551644.BEv1#195546
http://www.bmj.com/cgi/eletters/bmj.39507.551644.BEv1#195546
Use of Alendronate and Risk of Incident Atrial Fibrillation in Women
Arch Intern Med. 2008;168(8):826-831.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/168/8/826
Conclusion
Ever use of alendronate was associated with an increased risk of incident AF in clinical practice.
(アレンドロネートの服用歴があると心房細動の発生が増加)
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Brugada型症候群についてはすでにこのブログでとりあげてきました。
たまたま心電図所見についての記載を医学雑誌で見つけたので復習の意味を込めて勉強してみました。
欧州心臓学会の提唱の中ではType Ⅰがcoved型、Type Ⅱ、Ⅲがsaddle-back型に分類される。
さらに欧米、特にBrugadaグループは、saddle-back型の心電図は大きな問題とはならないとし、coved型心電図(Type Ⅰ)のみをBrugada型心電図としている。
しかし、心停止既往例での心電図でも、ST部分の形態がsaddle-back型の症例が存在すること、さらにはSTの形態が、時間とともにcoved型からのsaddle-back型、saddle-back型からcoved型へと揺れ動くことも知られており、Brugada型心電図自体の診断も容易ではない。
日本での多施設共同研究登録時心電図では、saddle-back症例にも心事故例が存在することが報告されていることから、わが国ではsaddle-back型心電図もBrugada型心電図とする施設が多い。
saddle-back型心電図は、通常の不完全右脚ブロック症例、右側胸部誘導rsr’波形との鑑別診断がつきにくい。
しかし、Brugada型心電図症例では次のような特徴があるとされている。
①Brugada型心電図では、まずJ点から直接上向きには振れず、必ずJ点から平行ないしは下向きに振れた後、上向きT波に移行する(saddle-back型の定義)。
②このJ点付近の波形がシャープでないこともBrugada型心電図の特徴として挙げられる。
通常の不完全右脚ブロックでは、若干r’波形がシャープである。
③QRS幅が通常の不完全右脚ブロックに比較し、若干延長していることが多い。特に右側胸部誘導でのS波の底から立ち上がっていく波形に若干の遅延が認められ、r’頂上付近の波形にゆっくりとした成分が含まれることが多い。
このようにsaddle-back型心電図と診断するが、やはりcoved型心電図症例と比べてその予後はよいとされている。
Prioriらによると、予後規定因子は薬剤負荷などによらず、自然に記録した心電図でcoved型波形を示すことと、失神の既往が重要という。
現時点ではこの報告を支持し、saddle-back型心電図では頻回に心電図記録、すなわち食事後(特に夕食後など)、夜間安静時など、各種状況やホルター心電図検査などを用い、coved型波形を証明していくことが必要と思われる。
Brugada型心電図症例に対してどのような処置をするかであるが、これにはまず予後の検討が必要である。
主にcoved型心電図症例の疫学的検討では、年間200例に1例の心事故が起こると報告されている。
現時点で日本での多施設前向き共同研究では、Brugada症候群や突然死の家族歴、失神の既往、心房細動の既往やQRS幅の延長などが、心事故発生と関連しているという。
通常は失神の既往と突然死、ないしはBrugada症候群の家族歴があった場合に、植込み型除細動器(ICD)の適応としている。
また、電気生理学的検査(EPS)の有用性に関しても議論が多い。
EPSで心掌細動が誘発された場合にはICDの適応とすべきというBrugadaらの提唱がある。
Prioriらは、EPSの陽性的中率は低く、たとえEPSにて心室細動が誘発された場合でもICDの適応とはならないとしている。
日本の少数例の報告でも、Prioriらと同様の結果を示した報告が多いが、結論は出ていない。
saddle-back型心電図症例が健診などで指摘された場合、まずは頻回に心電図記録を行い、coved型心電図の有無を検討しておく。
それと何時に、coved型でも同様であるが、突然死、Brugada症候群の家族歴、心房細動の有無などを慎重に調べていく。
失神や家族歴がみられる場合には、速やかに専門医への紹介が必要である。
出展 日本医事新報 No.4380 2008.4.5P90
版権 日本医事新報社
<参考ブログ>
Channelopathy
http://blog.m3.com/reed/20070916/Channelopathy
Brugada症候群の治療
http://blog.m3.com/reed/20071102/Brugada_
Brugada症候群の心電図診断 その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20080325/Brugada__
Brugada症候群の心電図診断 その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20080326/Brugada_
Brugada症候群の心電図診断 その3(3/3)
http://blog.m3.com/reed/20080327/Brugada
読んでいただいてありがとうございます。
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2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
第72回日本循環器学会特集の記事で「不整脈」を勉強しました。
不整脈
亀田メディカルセンター(千葉県)循環器内科の水上暁氏らは,心室性頻拍(VT)と心室細動(VF)の治療に関するコホート研究の結果について報告。
第一選択薬としてリドカインが投与された24例中18例は改善せず,薬剤が新規III群薬ニフェカラントに変更されていることがわかった。
同氏は「ニフェカラントの有効率は全体で68%と高く,第一選択薬としてもっと使用されてよい可能性がある」と述べた。
ニフェカラントは68%に有効
ACLS(二次心臓救命処置)のアルゴリズム(米国心臓協会,2005年)では,VT/VFの場合,抗不整脈薬としてIII群薬アミオダロン,Ib群薬リドカイン,マグネシウムが推奨されているが,その使用実態は不明だった。
水上氏らの研究対象は,2005年12月~07年7月に千葉県内の9病院に入院した持続性VT/VF患者38例(男性28例,女性10例)。
抗不整脈治療の実際と転帰について検討した。
不整脈のタイプは,単形性VT 26例,多形性VT7例,VF5例。非薬物治療は,電気的除細動24例,ペースメーカー治療(連続刺激)2例,カテーテルアブレーション1例であった。
薬物療法では,第一選択薬としてリドカインが24例(63%)に投与されたが,有効は6例(25%)と少なかった。
一方,ニフェカラントは第一選択薬として投与された14例中12例(86%),リドカインが無効であった17例中9例(53%),計31例中21例(68%)で有効であった。
転帰は,1か月以内の早期死亡13例(うっ血性心不全8例,多臓器不全3例,不整脈2例),生存25例で,植え込み型除細動器7例,経口抗不整脈薬治療17例であった。
抗不整脈薬の副作用は,リドカイン中毒2例を除いて,ニフェカラント投与例で発生し,Torsades de Pointes(TdP)5例,徐脈2例,QT延長6例であった。
水上氏は「ニフェカラントはQT延長などの副作用モニタリングが必須だが,致死性不整脈には第一選択薬としてより有効な薬剤を選ぶ必要がある」と述べ,昨年VT,VFに認可されたアミオダロン注射剤,ニフェカラントに関するデータ集積に期待を示した。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41191091&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン誌
<ニフェカラント 関連サイト>
III群抗不整脈薬塩酸ニフェカラント(シンビットR注)の薬理作用および臨床効果
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/119/2/119_103/_article/-char/ja
ニフェカラント(シンビットR,MS-551)は純粋なIII群抗不整脈薬であり,III群薬としては本邦初の注射剤として1999年6月に製造承認を受けた.
本剤は心筋細胞膜のK+電流のうち主としてIKrを抑制することにより活動電位持続時間を延長し,有効不応期を延長させることで抗不整脈作用を示す.
本剤の治療上の意義は致死性の心室性不整脈である心室頻拍,心室細動からの救命にある.
ニフェカラントはその作用機序に基づきリエントリーが関与する心室頻拍および心室細動に対して効果を示し,既存の抗不整脈薬の様に心機能を抑制することはなかった.
特に既存の抗不整脈薬が無効な症例または低心機能により既存の抗不整脈薬の使用が制限される症例に対して高い効果を示し,心機能を悪化させた例はなかった.
重篤な副作用は全て過度のQT時間の延長に基づく催不整脈作用(TdP: torsades de pointes,心室頻拍等)であり使用にあたっては注意を要するが,本剤は従来ならば治療不可能であった患者を救命できる可能性を持つ薬剤として期待されている.
新しいKチャネル遮断薬の登場
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0010/3.htm
三田村
従来からあるたくさんの種類の抗不整脈薬は,そのほとんどがNaチャネルをターゲットにした薬剤です。
そのNaチャネル遮断薬の予後に対する影響が,CASTによって,かなり危惧されるようになりました。
そこで,Kチャネルをターゲットにしてはどうかという考え方が出てきました。ところが,Kチャネルにしても,SWORD(Survival With Oral d-Sotalol)とよばれる大規模試験の結果,d-ソタロールという薬が,心筋梗塞後の患者において,予後をむしろ悪化させるということが判明したのです。
それで,Naチャネル遮断もKチャネル遮断も必ずしも予後を良くしないということで,新しい抗不整脈薬の開発は滞ってしまったのですが,最近になって日本でもKチャネル遮断薬としてソタロール,あるいはニフェカラントといわれる薬剤が市場に出てきました。
われわれがしばしば経験する難治性の心室性不整脈は,多くは慢性心不全のように心機能の低下した症例で出てくる不整脈です。
ところが,心機能が低下した症例では,Naチャネル遮断薬は陰性変力作用が働いて,ますます心機能を悪くしてしまいます。
あるいは,伝導を遅くすることによって,新たなリエントリー回路を作ったり,リエントリーの維持を助けてしまう可能性があります。
そこで,もしリエントリーであれば,不応期を延ばすことによってリエントリーを断ち切れるのではないかという考え方から,Kチャネル遮断薬が登場したわけです。
しかもKチャネル遮断薬は,原則として心機能を抑制しません。
実際,急性の,心機能が非常に悪くて心室性不整脈が出て,Naチャネル遮断薬のリドカインが効かない,プロカインアミドも効かないというような不整脈では,Kチャネル遮断薬のニフェカラントが有効であるという場面があります。
ソタロールは経口薬なので使い方が少し違います。基本的に予防的な目的で使われます。
それとKチャネル遮断薬ではありますが,同時にβ遮断作用もあるので,極端に心機能の悪い症例には使えず,心機能がある程度は保たれた症例で使うということになります。
新しいKチャネル遮断薬が出てきたもう1つの背景は,これまでわれわれは,いろいろな薬剤が効かなくて心機能が悪い症例では,最後の手段としてアミオダロンをよく使ってきました。
ところがアミオダロンは,必ずしも使いやすい薬ではなく,使い始めてから本来の効果を発揮するまでに数週間以上かかることもあります。
救急の場面では,そこまで待っていられません。それと,肺線維症という重篤な副作用を起こす可能性があるという面で,それに代わる薬が待たれていたわけです。
そのようなことから,ソタロールとニフェカラントの2つの薬剤を,アミオダロンよりも前の段階で使ってみるという場面が,今後増えてくるかな,という印象をもっています。

カトラン 「黒い瓶とゼラニウムの花束」リト
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x35835860?u=;artfolio11
<追加>
HYVETについては以下のブログで以前にとりあげました。
HYVET http://blog.m3.com/reed/20080407/HYVET
HYVET試験アゲイン
http://blog.m3.com/reed/20080511/1
きょうは2008年6月4日のMT proの記事で再度HYVETの勉強をしてみました。
超高齢者における降圧の意義がHYVET試験で明らかに
日本の大規模観察研究でも注目のエビデンス
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
背景:エビデンスがなかった超高齢者の降圧療法
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2004」によれば,「高齢者においても高血圧の基準は一般成人と同様140/90mmHg以上とする」とされている。
しかし,同時に「高齢者において140/90mmHg未満が妥当であるか否かは,現在のところエビデンスがない」とも記載されている。
実際,久山町研究では80歳以上の超高齢者では収縮期血圧が140mmHg以上になっても心血管合併症リスクの上昇が認められず(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366),欧州(J Am Geriatr Soc 2006; 54: 912-918)や米国(J Am Geriatr Soc 2007; 55: 383-388)の観察研究でも80歳ないし85歳以上の超高齢者では収縮期血圧140mmHg未満の集団のほうが,140mmHg以上の集団よりも生存率が低くなっていた。
このような状況のなかで超高齢者の高血圧を治療することの利益と害を検討するための前向きランダム化介入試験HYVETがN Engl J Med(2008; 358: 1887-1898)に報告された。
また,わが国でもJ-HEALTH研究(Hypertens Res 2008; 31: 469-478)の結果が報告された。
結果1:積極的治療は血圧コントロールを改善
HYVET試験では,80歳以上で収縮期血圧160mmHg以上が持続している高血圧症患者が登録され,2か月間降圧薬を中止してプラセボを内服した後,3,845例が積極的治療群(1,933例)とプラセボ群(1,912例)にランダムに割り付けられた。
積極的治療群では,150/80mmHg未満になるよう利尿薬インダパミドおよび必要があればACE阻害薬ペリンドプリルが投与された。
追跡期間の中央値は1.8年,平均値は2.1年であったが,試験開始2年後の時点で積極的治療群の4分の1のみがインダパミド単独で治療されており,4分の3の患者はインダパミドとペリンドプリル両薬の投与を受けていた。
その結果,積極的治療群では試験開始時に比べて収縮期血圧で29.5±15.4mmHg,拡張期血圧で12.9±9.5mmHgの低下を認め,この時点で収縮期血圧で15.0mmHg,拡張期血圧で6.1mmHg,プラセボ群より低くなっていた(プラセボ群でも14.5±18.5/6.8±10.5mmHgの低下を認めていた)。
結果2:積極的降圧治療は死亡率を軽減
このような降圧レベルの違いの結果,2年間での全死因死亡(全死亡)は積極的治療群ではプラセボ群に比べ21%低下しており(P=0.02),脳卒中による死亡も39%低下し(P=0.046),また,心不全も64%低下していた(P<0.001)。
ただし,主要エンドポイントであったすべての脳卒中の低下(30%)は有意ではなかった(P=0.06)。
結果3:積極的降圧治療は重篤な副作用を増加させず
なお,血清K値,尿酸値,血糖値,血中クレアチニン値の変化には両群間で統計学的な差異はなく,重篤な副作用は積極的治療群で358イベント,プラセボ群で448イベントと,プラセボ群で有意に多かった。
考察:150/80mmHg以上あるいは150/85mmHg以上なら薬物療法で140/90mmHg未満を目指すべき
高齢者に対する降圧治療の効果を示すこれまでの前向き研究の論文としては,複数の研究のメタ解析であるINDANA groupからの報告(Lancet 1999; 353: 793-796)(1,670例)があるくらいであった。
この報告では,降圧治療により脳卒中では34%の有意な減少を認めたものの,全死亡に差異はなく,逆に有意ではないものの降圧治療群で6%の増加を認めていた。
単一の研究で3,845例のデータを取り扱うHYVET試験において,全死亡の減少という結果を得られたことは本当に意義深いと言えよう。
ごく最近わが国ではJ-HEALTH研究(26,512例)の結果が報告されたが(Hypertens Res 2008; 31: 469-478),この観察研究からは,75歳以上(4,176例)では収縮期血圧150mmHg以上もしくは拡張期血圧85mmHg以上で心血管疾患の発症率が増加し,また,85歳以上(692例)でも140/90mmHg以上(96.8/1,000人・年)のほうが140/90mmHg未満(42.4/1,000人・年)より2倍心血管疾患の発症率が高いことが示されていた。
前述の久山町研究(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366)(588例)では超高齢者の血圧―心血管イベント発症率関係は若年者のそれとは異なる可能性が示唆されていたが,J-HEALTH研究により超高齢者でも若年者のそれとほぼ同様であることが確認されたと言えよう。
こうした最近の研究結果を考えると,わが国の超高齢者においても150/80mmHg以上(HYVET試験)あるいは150/85mmHg以上(J-HEALTH研究)であれば薬物療法の対象とし,140/90mmHg未満を目指すべきと思われた。
*超高齢者という用語は学術的に定義されていない。
しかし,後期高齢者という用語が75歳以上を指すものとして法律上規定されているため,本稿では後期の高齢者を包括する概念として超高齢者という用語を用いた。
したがって,75歳以上であっても,80歳以上であっても,85歳以上であっても超高齢者で統一した
読んでいただいてありがとうございます。
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メタボリックシンドロームで心房細動発症リスクが増大
心房細動の危険因子として加齢,男性,高血圧,糖尿病および肥満が従来知られている。
今回,新潟県の地域住民対象の前向きコホート研究「The Niigata Preventive Medicine Study」から,メタボリックシンドロームの因子が重積するほど心房細動の発症リスクは増大することがCirculation(2008; 117: 1255-1260)に報告された。
因子が重積するほど心房細動発症リスクが増大
このコホート研究は,20数年前から新潟県の健康診断事業の結果を収集,分析を行っている新潟県成人病予防協会の活動結果の一端であり,心房細動を発症していない地域住民2万8,449人を対象に,メタボリックシンドロームと心房細動との関連を検討したもの。
同シンドロームの診断には米国コレステロール教育プログラム(NCEP)-ATP IIIの診断基準に加え,糖尿病が心房細動の強い危険因子であることから,将来の糖尿病,冠動脈疾患,さらに死亡の予測感度と特異度を最大限にするために耐糖能異常(IGT)については基準値を100mg/dL以上に下げた米国心臓協会/米国立心肺血液研究所(AHA/NHLBI)の診断基準も用いられた。
その結果,同シンドロームはNCEP- ATP IIIでは3,716人(13%),AHA/NHLBIでは4,544人(16%)が診断された。平均観察期間4.5年の間に265人が心房細動を発症。
年齢と性を調整した多変量解析では,いずれの診断基準によっても同シンドロームと心房細動との有意な関連が確認され,心房細動発症に対するハザード比はNCEP-ATP IIIが1.88,AHA/NHLBIが1.61であり,また,因子が集積するほどハザード比は高く(図),心房細動発症リスクが増大することがわかった。
低HDLコレステロールも危険因子に
メタボリックシンドロームの各因子と心房細動発症との関係を検討すると,高トリグリセライド(TG)血症を除く,肥満,高血圧,低HDLコレステロール(HDL-C)血症,IGTがリスクを有意に増大させ,年齢・性を調整した発症に対するハザード比は肥満1.64,高血圧1.69,低HDL-C血症1.52,IGT1.44(NCEP-ATP III)/1.35(AHA/NHLBI)だった(図)。

また,NCEP-ATP IIIでは高血圧あるいは糖尿病の未治療患者での心房細動発症に対するハザード比が1.78だった。
同研究を実施した新潟大学第一内科(現・米バンダービルト大学内科学・薬理学)の渡部裕氏は「心房細動をいったん発症すると発症前の機能に回復させることはきわめて困難なため予防が重要であり,心房細動の危険因子を解明することが発症予防には必要」と述べている。
渡部裕氏らは,メタボリックシンドロームが心房細動の発症リスクを増大させること,また,メタボリックシンドロームの因子である高血圧や糖尿病,肥満だけでなく,低HDLコレステロール(HDL-C)血症も心房細動の危険因子であることを,地域住民対象の前向きコホート研究により明らかにした。
同氏らは,メタボリックシンドロームと心房細動の共通の病因である炎症と酸化ストレスに着目し,同シンドロームが心房細動の発症リスクを増大させるメカニズムについても迫っており,新たな治療アプローチが期待される。
シグナル伝達経路の活性化とメカニカルストレスが関与
メタボリックシンドロームの詳細な病態メカニズムはまだ明確ではないが,代謝,遺伝,環境要因が複雑に絡み合った状態と考えられている。
炎症と酸化ストレスは,こうしたプロセスに関連する共通の病因であり,心房細動の病因でもあるとされている。
今回の研究結果から,低HDL-C血症も心房細動発症リスクを増大させることがわかったが,このことは,高LDL・低HDL-C血症が心血管疾患の強い危険因子であり,全身の炎症と酸化ストレスに関与することからも裏づけられる。
一方,高トリグリセライド血症も発症リスクの増大に関与すると考えられるが,今回の結果では関与は認められず,そのメカニズムについては今後の研究課題であるという。
また,渡部氏らはこれまでの研究で,高血圧および肥満はより重症であるほど心房細動の発症リスクが高くなることを見出していることから,糖尿病や低HDL-C血症についても同様の関係が考えられる。
したがって,今回の研究でメタボリックシンドロームの保有因子数が多くなるほど,すなわち同シンドロームの病態が進行するほど心房細動のハザード比が高くなったことから,同シンドロームの病因とされる炎症および酸化ストレスの程度が強いほど,発症リスクは高くなると推察される。
これは,C反応性蛋白(CRP)値が高いほど発症リスクが高くなること,また,抗炎症薬や抗酸化薬が発症率を低下させたという他グループの研究からも示唆される。
こうしたことから,同氏は「メカニズムの1つとして,炎症と酸化ストレスに重要なシグナル伝達経路の活性化が関与していると推測される」と指摘する。
さらに,もう1つ考えられるメカニズムは,心房におけるメカニカルストレスである。
高血圧および肥満は心房の伸縮と拡張を引き起こし,その結果心房細動を発症しやすくすること,またメタボリックシンドロームは非弁膜症性心房細動患者の心房拡張に関係することが報告されている。
こうした器質的リモデリングは細胞内の電気生理学的変化をもたらし,結果的に心房細動を発症・持続させると考えられている。
発作中の速い心房速度は心房のリモデリングにより,頻繁で重症な発作を引き起こしうるが,これはいったん発症すると再発しやすい「AF begets AF」現象として知られている。
同氏は「メタボリックシンドロームが心房細動発症リスクを増大させるメカニズムとして,炎症と酸化ストレスに関与するシグナル伝達経路の活性化と心房のメカニカルストレスが考えられ,シグナル伝達経路活性度の正常化は動脈硬化性冠動脈疾患だけでなく心房細動の発症リスクも低減させることが示唆され,これは新しい治療アプローチとなる可能性がある」と期待を寄せる。
生活習慣病管理が心房細動疾患リスクを低減
近年の人口の高齢化と生活習慣の変化により,心房細動,メタボリックシンドロームはともに増加傾向にある。
心房細動は脳梗塞のリスクとなるだけでなく,心疾患やすべての死亡リスクを増加させることがわかっている。
したがって,同シンドロームによる脳卒中の発症率や死亡率の上昇は心房細動が関連していることで一部説明できる。
日本の心房細動発症率は欧米に比べて約半分とされており,今回の研究では同シンドロームの場合で年間1,000人中3人前後とそうでない場合の1.5倍程度であった。
今後,日本でも生活習慣病と心疾患の増加,さらに高齢化に伴い患者が増加すると考えられる。
こうしたことを踏まえ,渡部氏は「臨床医は診療科を問わず,心房細動の危険因子である高血圧や糖尿病,肥満,さらにメタボリックシンドロームといった生活習慣病の管理が将来のさまざまな疾患リスクを低減させることを常に念頭に置いて診療に当たって欲しい」とメッセージを送っている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210831&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
大規模臨床試験で心血管イベントを検討するのには心房細動の有無が解析やサブ解析として必要と思いました。
「心房細動」自体がエンドポイントとなっている場合もあると思います。
近々、心臓血管研究所の山下武志先生の「心房細動」関連の講演を聴きにいく予定です。
楽しみではあります。
<m3関連ニュース>
■ エムスリー、欧州市場に進出
医療情報サイト運営のソネット・エムスリーは欧州市場に参入する。
このほどドイツで約4000万円を投じて現地企業と合弁会社を設立、年内にもポータル(玄関)サイトを立ち上げる。
医師など向けにウェブを通じて医薬品情報を提供し、製薬会社の営業活動を支援する。
5年以内に年間売上高20億円を目指す。
合弁会社のメドクォーター(ミュンヘン)はエムスリーが株式の30%を保有する。
現地の製薬会社から薬の情報を医師らに提供する事業を受注し、ウェブを通じて会員の医師らに医薬品の効き目や処方の仕方、副作用などを詳しく説明する。
医師の質問も製薬会社に伝えることで、ウェブ上で双方向のコミュニケーションを構築する。(07:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080529AT1D2604G28052008.html
■ ソネット・エムスリー、大手製薬会社と米国版「MR君」でがん領域の契約締結
「M3 Messages」(米国版「MR君」)、がん領域で2社目の契約を締結
ソネット・エムスリー株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:谷村 格 URL: http://www.so-netm3.co.jp 以下、エムスリー)は、100%子会社である米国のSo-net M3 USA Corporation(以下、M3 USA社)が、米国版「MR君」である「M3 Messages」での2社目の契約を締結したことを発表します。
エムスリーの米国子会社であるM3 USA社は、同社100%子会社であるMDLinx, Inc.(以下、MDLinx社)のウェブサイト上において提供する「M3 Messages」(米国版「MR君」)サービスで、がん領域において2社目となる契約を締結しました。
2社目の企業に関しては、当初より2品目で「M3 Messages」を利用することが決定しております。
また契約済みの2社は、いずれも、世界トップクラスの(双方とも世界売上ランキングトップ5位に入る)製薬会社です。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=188390&lindID=1
<コメント>
m3を利用しながら「ソネット・エムスリー株式会社」の実態をよく知りません。
どこから儲けが出ているのか。
ちょっと不思議ではあります。
読んでいただいてありがとうございます。
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第57回米国心臓病学会(ACC 2008)/
米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)での発表で「t-PA投与後のSTEMI患者にはPCI施行施設へ転送することが必要」「機能性MRに対してクリップを用いた経皮的弁修復術」「VASPガイド治療」の3つについて勉強しました。
~ t-PA投与高リスクSTEMI患者 ~
PCI施行施設へ直ちに転送し追加治療を
〔シカゴ〕経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行していない施設へ搬送され血栓溶解療法を受けた高リスクST上昇型心筋梗塞(STE MI)患者に対して,緊急にPCI施行施設へ転送し,6時間以内にPCIを追加すると,標準治療に比べて30日後の虚血イベントのリスクをほぼ半減できることがわかった。
Southlake Regional Health Centre(カナダオンタリオ州)のWarren J. Cantor部長らが,多施設ランダム化試験TRANSFER-AMIにより明らかにしたもので,第57回米国心臓病学会(ACC 2008)と合同で当地で開かれた米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)-ACCi2で報告した。
出血増なく虚血イベントが半減
今回の解析対象は,発症12時間以内の高リスクSTEMI患者で,PCIを施行していない施設で組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)製剤tenecteplaseのボーラス投与による血栓溶解療法を受けた1,010例。
これらの対象を,ルーチンPCI群および標準治療群にランダムに割り付けた。
各群の治療方針は,ルーチンPCI群はPCI施行施設へ緊急搬送し,再灌流状況にかかわらず,6時間以内にルーチンにPCI(ステント使用)を追加。
標準治療群は60~90分後に胸痛,ST上昇消失を評価し,再灌流不成功の場合には転送してrescue PCIを施行,一方,再灌流成功例には必要に応じて24時間を超えてから待機的PCIを施行することとした。
登録には42施設が参加,PCIは11センターで実施された。
両群の手技などを標準治療群,ルーチンPCI群の順に比較すると, PCI施行は62%対84%,ステント使用はともに98%,t-PA投与後PCI施行までの時間は18時間対4時間,t-PA投与後6時間以内のPCI施行は実際の施行例中38%対89%で,GPIIb/IIIa受容体阻害薬使用は53%対73%であった。
その結果,一次評価項目の30日後の「死亡,再梗塞,虚血再発,心不全,ショック」を合わせたイベント発生率は,標準治療群の16.6%に対してルーチンPCI群では10.6%と,46.3%の有意(オッズ比0.537,95%信頼区間0.368~0.783,P=0.0013)なリスク減少を示した。
個別には,再梗塞,虚血再発の発生率が,ルーチンPCI群で有意に低かった。
心原性ショックは標準治療群2.6%,ルーチンPCI群4.5%で,両群に有意差はなかった(P=0.11)。
安全性については,頭蓋内出血は標準治療群1.2%,ルーチンPCI群0.2%で両群に有意差はなく,TIMIまたはGUSTOスケールによる出血や輸血にも有意差は認められなかった。
これらの成績から,Cantor部長は「PCIを施行できない施設で血栓溶解療法を受けた高リスクのSTEMI患者に対しては,再灌流が成功したか確認を待つことなく,血栓溶解療法後直ちにPCI施行施設へ転送すべきだ」と結論。
PCI施行施設へのSTEMI患者の迅速な転送を確実にするため,地域連携システムの構築を課題として挙げた。
クリップを用いる経皮的僧帽弁修復術が有望
機能性の僧帽弁逆流(MR)に対して,開胸手術を行わず,経皮的にクリップを装着する経皮的僧帽弁修復術が,新たな治療選択肢となる可能性が出てきた。聖ビンセント心臓センター(インディアナ州)のJames Hermiller部長の報告によると,少数での登録試験ながら,同修復術は1年後のイベント回避率向上,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類の改善,左室リモデリングの退縮などをもたらしたという。
1年後のイベント回避率は74%
Hermiller部長らは,今回EVER EST試験の一環として,経食道心エコーによる評価で構造上弁欠損が認められない機能性MR患者を対象に,MitraClipRを用いる弁葉修復術の安全性と有効性を検討した。
対象は,
(1)18歳以上
(2)MR III~V度
(3)A2-P2接合不良に起因
(4)僧帽弁外科手術の適応
(5)経心房中隔が実行可能と思われる
(6)垂直弁尖組織2mm以上
―などの条件を満たす機能性MR患者23例。左室駆出率(LV EF)25%未満,左室収縮末期径55 mm以上,腎不全,心内膜炎,リウマチ性心疾患などは除外した。
方法は,鼠径部から経静脈的にカテーテルを挿入,右房から中隔を経て左房へ進めMitraClipRを開き,僧帽弁を通過させて左室側から,いわば"洗濯挟み"のように収縮時に弁尖を挟み込んで留めるというもの(図)。

対象の背景因子は,年齢75歳,心不全の既往87%,心臓手術の既往が43%で,LVEFは50%,左室収縮末期内径は43mmで,NYHA分類III~IV度が83%を占めた。
検討の結果,1つ以上のクリップを植え込み退院時にMR II度以下を達成した急性期手技成功(APS)率は23例中19例(83%)で,クリップを植え込んだもののMR II度超が3例(13%),クリップを植え込まずMR II度超が1例(4%)。
30日後の主要有害イベント回避率は87%であった。
長期成績を見ると,APS達成例では1年後も89%がMR II度以下を維持しており,「死亡,僧帽弁手術,MR II度超」を合わせたイベント回避率は74%であった。
APS達成後,手術を施行することなく1年後まで追跡できた12例では,
(1)9例(75%)でNYHA分類がⅠ度以上改善し,2例(17%)は不変,1例(8%)で悪化
(2)左室収縮末期径,左室拡張末期径がともに有意に低下(3)左室拡張末期容積も有意に減少
(4)LVEFは50%から48%に若干低下したが,有意差なし
―などの成績が確認された。
23例中19例(83%)では1年後も外科手術を回避でき,クリップ脱落や塞栓症は認められなかった。
以上から,同部長は「少数例での検討ではあるが,Mitra ClipRは機能性MR患者の僧帽弁逆流を軽減する弁尖接合を容易にした」と述べた。
現在,MR患者280例の登録を目指して,MitraClipRによるクリッピング術と開胸手術の有用性を比較する第II相試験EVEREST IIが進行中であるという(http://www.mitralregurgitation.org/Pages/EVEREST.html中で同修復術のイメージビデオを視聴できる)。
VASPガイド治療でクロピドグレル低反応例の予後が改善
ノルド大学病院(仏)のLaurent Bonello氏らは,vasodilator stimulated phosphoprotein(VASP)指数を用いた血小板反応性のモニタリングにより,クロピドグレル低反応例に対し初期用量を調節するVASPガイド治療と,通常治療の臨床転帰を比較。VASPガイド治療群で,30日後の主要有害心血管イベント(MACE)発生が有意に減少することを示した。
VASP50%未満を目標に追加投与
VASPのリン酸化はクロピドグレルの標的である血小板P2Y12受容体の活性化レベルに依存している。
Bonello氏らは,標準化されたフローサイトメトリーアッセイキット(Platelet VASPR,仏Stago社製)を用いて,VASPのリン酸化状況を反映するVASP指数を求め,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後のMACE発生は,VASP指数50%以上の群から生じることを報告している。
今回の検討では,急性冠症候群,安定狭心症を伴い,PCI(緊急PCIを除く)施行予定の406例に対し,全例に初期用量としてアスピリン(ASA)250mg,クロピドグレル600 mgを投与した後,VASP指数50%以上であった「低反応例」162例を対象とした。
対象を,対照群およびクロピドグレルの初期用量をVASP指数をもとに調節するVASPガイド治療群にランダムに二分し,後者にはVASP指数が50%未満に低下するまで24時間ごとにクロピドグレル600 mgを3回まで追加投与し,追跡して臨床転帰を比較した。
維持用量として,両群ともに1日ASA 160mg,クロピドグレル75mgを投与した。両群の背景因子に有意差はなかったという。
VASP指数は,ベースライン時には対照群68%,VASPガイド治療群69%で,後者ではVASP指数に基づく調節後には38%まで有意(P<0.001)に低下した。
しかし,3回のクロピドグレル追加投与後(計2,400 mg)も,14%はVASP指数50%以上の低反応にとどまった。
追跡の結果,一次評価項目の30日後の心血管死,心筋梗塞,血行再建を合わせたMACE発生は,対照群の8例(10%)に対してVASPガイド治療群では0例と有意(P=0.007)に低かった(図)。

対照群のMACEの内訳は,心血管死2例,急性・亜急性ステント血栓症4例,血行再建2例で,ステント血栓症の大半は5?7日後に生じた。
安全性については,TIMI大出血が両群で1例ずつ,TIMI小出血は対照群3例,VASPガイド治療群2例で,両群に有意差はなかった。
同氏は「治療後のVASP指数50%未満の達成は,PCI施行患者のMACEを防ぐうえで適切であるようだ」と述べた。
<コメント>
難しくて何だかよくわかりませんでした。
VASP-Pモニタリングによる治療、クロピドグレル耐性例のMACE発生率を減らす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acc2008/200803/505899.html
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41210241&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.22
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Af総合的治療戦略―抗凝固療法の重要性が浮き彫りに
シンポジウム「心房細動の総合的マネージメント」(座長=慶應義塾大学循環器内科・小川聡教授,弘前大学循環呼吸腎臓内科学・奥村謙教授)では,心房細動(Af)に対する内科的治療,カテーテルアブレーションについて最新の知見が紹介されたほか,Afの転帰として起こりうる心原性脳塞栓症における遺伝子組み換え型プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)療法の有効性に関する検証が報告された。
~内科的治療・抗凝固療法~
CHADS2スコアの妥当性を確認
弁膜性Afだけでなく非弁膜性Afにおいても高齢者や合併症を伴う高リスク患者への抗凝固療法の意義は確立したものとなっている。
近年,抗凝固療法の評価基準として,欧米ではCHADS2スコアが使用されているが,今回,わが国のAf患者におけるCHADS2スコアの実態や同スコアの妥当性を巡る報告がなされた。
CHADS2スコアと心血管疾患イベントリスクが相関
心臓血管研究所(東京都)研究本部の山下武志部長は,4,255例の自施設の集積データ(Shinken Database)のうち,Af患者651例(15%)の平均CHADS2スコアは0.9点で,一般的に抗凝固療法の検討基準となる1点以上が6割程度,2点以上は約3割だったことを示した。
さらに,同スコア0点の患者群を基準として心血管疾患イベントリスクを算出したところ,CHADS2スコアが高くなるほどハザード比も上昇していた(図)。
このほか同部長は,1日総心拍数やプロトロンビン時間‐国際標準化比(PT-INR)について,日本人の至適管理基準を検討する必要があると指摘した。
Shinken Databaseでは,抗凝固療法による出血の危険因子がPT-INR 2.3以上であったという。
抗凝固療法の実施状況が明らかに
富山大学第二内科の井上博教授は,非弁膜性Af患者500例以上を対象にCHADS2スコア使用の妥当性を検討した。
まず,左房機能を経食道心エコーで見ると,CHADS2スコアの上昇とともに,左房の血液循環の悪化を示すもやもやエコーのグレードも上昇したほか,左心耳血流速度が低下していた。
また,CHADS2スコアと凝血分子マーカーのDダイマーが有意な正相関を示していた。
この結果から,わが国における同スコア使用の妥当性が確認された。
一方,血小板機能については同スコアとの関連が認められなかった。
さらに,同教授はCHADS2スコア3点以上の高リスク群では血栓塞栓症発症頻度が4~5%であり,日本人の血栓症発症リスクが決して低くない点を指摘した。
大阪医療センター臨床研究部の是恒之宏部長は,国立病院機構で実施している調査から,非弁膜性Af患者1,575例(41施設)の抗血栓療法の実態を報告した。
抗凝固薬は,脳梗塞既往例の94%,心不全例の82%,高血圧例の76%,糖尿病例の80%と高率に投与されていた。CHADS2スコアが高値であるほど抗血栓療法実施率は高くなっていた。
実際のコントロール状況と投与量の関係については,目標PT-INR1.6~2.6,または2.0~3.0のどちらも患者年齢が高齢化するほど投与量は低下していたが,コントロール状況はどの年齢層もほぼ同様で,1.9~2.0となっていた。
また同部長は,実際のコントロール状況と目標値の差による投与量調整について,出血リスクには敏感だが,梗塞リスクに対しては反応が鈍い傾向があることを指摘した。
~心原性脳塞栓症の実態~
rt-PA使用の恩恵は限定的
座長の奥村教授は,Afの転帰である心原性脳塞栓症に対するrt-PAの有効性を検討した。
弘前脳卒中センターで治療を受けた心原性脳塞栓症262例のうち,rt-PAの適応となったのは14%で,閉塞血管が開通して機能的改善も得られた症例は43%であった。
この結果から,心原性脳塞栓症全体でrt-PAの恩恵を得られる患者は6%にすぎないことを同教授は指摘し,「rt-PAの恩恵を受けられるのは一部の症例に限られる」と述べた。
また,同教授らが心原性脳塞栓症患者69例の発症以前の状況を調べたところ,ワルファリン投与率は約3割であり,PT-INRのコントロール状況は最大でも1.79(平均1.39)であったことを示した。
~カテーテルアブレーション~
慢性Afに対しても確立しつつある治療戦略
カテーテルアブレーションは内科的治療で症状コントロールが困難なAf症例の治療戦略として考えられ,近年その治療成績が急速に向上している。
基礎疾患のない発作性Afに対しては良好な成績が報告されているが,慢性Afに対してはよりよい治療戦略の検討が続いている。
施術の工夫と薬物併用で良好な成績
群馬県立心臓血管センター循環器内科の内藤滋人第二部長は,cycle length mappingを用いたCFAE(complex fractionated atrial electrograms)法によって奏効率を改善している。
慢性Af34例に対しても,拡大肺静脈隔離術,および薬物療法の併用により80%以上の洞調律維持率が得られたと報告した。
横須賀共済病院(神奈川県)循環器センター内科の高橋淳診療部次長は,6か月以上持続する慢性Afでカテーテルアブレーションを施行した95例の約2年間のフォローアップの結果を報告。
同センターでは,広範囲同側肺静脈隔離焼灼を基本とし,症例によって下大静脈から三尖弁峡部アブレーション,および非肺静脈起源アブレーションを選択している。
この結果,56%は再発がなく,再発による再施行も含めた全例のうち無投薬下で73%,投薬下では91%に洞調律維持が達成されたと報告した。
桜橋渡辺病院(大阪府)循環器内科の井上耕一医長は,慢性Afのカテーテルアブレーション施行後にベプリジル投与を行った連続50例を約2年間追跡調査した。
胃部不快感が1例,経過中の死亡が1例あったが,著明なQT延長や徐脈,心室性不整脈といった副作用は認められず,96%で洞調律が維持されていた。
洞調律で頻脈発作もない28例についてはベプリジル服薬中止を試みたが,9例で頻脈発作が生じていた。
このことから,同医長は「ベプリジルの併用療法により成績向上が望めるが,その投与期間については慎重な検討が求められる」と指摘した。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41190951&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社
<2008.7.9追加>
心房細動を伴う心不全患者における心調律コントロールと心拍コントロールの比較
Rhythm vs. Rate Control in Patients with Atrial Fibrillation and Heart Failure
心房細動(atrial fibrillation:AF)患者を対象としたランダム化試験では、洞調律を回復し、維持する(心調律コントロール)治療ストラテジーには、単に心拍数をコントロール(心拍コントロール)した場合を上回る、説得力のある利益は示されていない。
しかし、AFを伴う心不全患者では、AFは予後不良の予測因子であるが、どちらのストラテジーがよりよいだろうか?
この研究では、心不全症状とAFの病歴があり、左室駆出率が35%以下の成人1,376人を登録した。
患者を心調律コントロールまたは心拍コントロールのストラテジーに割り付けた。持続性AF患者(>12ヵ月)は除外された。
フォローアップ期間中(平均37ヵ月)、主要アウトカムである心血管系疾患死は心調律コントロール(27%)と心拍コントロール(25%)の両群間で有意差はなかった。さらに、全体の死亡率、脳卒中率および心不全悪化率も同等であった。
コメント:
ルーティンに適用される心調律コントロールのストラテジーは、この研究ではAFの発症率の低下にかなり有効であったが、より優れた臨床アウトカムは得られなかった。
驚くことではないが、心調律コントロール群の患者は有意に多くの電気的除細動を受けており、ランダム化後の最初の年に入院する割合が高かった。
このため、著者らは心拍コントロールを、心不全を伴うAF患者に対する主要なストラテジーとすべきであると提案している。
エディトリアル執筆者は、洞調律の維持は薬物、主としてamiodaroneによって達成されたこと、またこうした薬物の既知の毒性が、よからぬ結果に寄与した可能性があることを指摘している。さらに、彼らは心拍コントロールと、洞調律を回復し、維持するアブレーションを比較する、さらなる研究を提唱している。
— Kirsten E. Fleischmann, MD, MPH
Published in Journal Watch General Medicine June 26, 2008
Citation(s):
Roy D et al. Rhythm control versus rate control for atrial fibrillation and heart failure.
N Engl J Med 2008 Jun 19; 358:2667.
Cain ME and Curtis AB. Rhythm control in atrial fibrillation — One setback after another.
N Engl J Med 2008 Jun 19; 358:2725.
Journal WATCH Online 日本語版
No. 08-0626-01 2008 June 26
Medline abstract
http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-0626-01.html
Rhythm control versus rate control for atrial fibrillation and heart failure.
Roy D, Talajic M, Nattel S, Wyse DG, Dorian P, Lee KL, Bourassa MG, Arnold JM, Buxton AE, Camm AJ, Connolly SJ, Dubuc M, Ducharme A, Guerra PG, Hohnloser SH, Lambert J, Le Heuzey JY, O'Hara G, Pedersen OD, Rouleau JL, Singh BN, Stevenson LW, Stevenson WG, Thibault B, Waldo AL; Atrial Fibrillation and Congestive Heart Failure Investigators.
Montreal Heart Institute and the Université de Montréal, Montreal, QC H1T 1C8, Canada. d_roy@icm-mhi.com
BACKGROUND:
It is common practice to restore and maintain sinus rhythm in patients with atrial fibrillation and heart failure. This approach is based in part on data indicating that atrial fibrillation is a predictor of death in patients with heart failure and suggesting that the suppression of atrial fibrillation may favorably affect the outcome. However, the benefits and risks of this approach have not been adequately studied.
METHODS:
We conducted a multicenter, randomized trial comparing the maintenance of sinus rhythm (rhythm control) with control of the ventricular rate (rate control) in patients with a left ventricular ejection fraction of 35% or less, symptoms of congestive heart failure, and a history of atrial fibrillation. The primary outcome was the time to death from cardiovascular causes.
RESULTS:
A total of 1376 patients were enrolled (682 in the rhythm-control group and 694 in the rate-control group) and were followed for a mean of 37 months. Of these patients, 182 (27%) in the rhythm-control group died from cardiovascular causes, as compared with 175 (25%) in the rate-control group (hazard ratio in the rhythm-control group, 1.06; 95% confidence interval, 0.86 to 1.30; P=0.59 by the log-rank test). Secondary outcomes were similar in the two groups, including death from any cause (32% in the rhythm-control group and 33% in the rate-control group), stroke (3% and 4%, respectively), worsening heart failure (28% and 31%), and the composite of death from cardiovascular causes, stroke, or worsening heart failure (43% and 46%). There were also no significant differences favoring either strategy in any predefined subgroup.
CONCLUSIONS:
In patients with atrial fibrillation and congestive heart failure, a routine strategy of rhythm control does not reduce the rate of death from cardiovascular causes, as compared with a rate-control strategy.
(ClinicalTrials.gov number, NCT00597077.) 2008 Massachusetts Medical Society
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18565859?dopt=Abstract
<コメント>
どうでもいいことかも知れませんが、心房細動をAFと表記する傾向があるような気がします。
昔人間の私などは心房粗動を連想してしまい心臓によくありません。
Afと表現されていると何故か心の安らぎを覚えます。
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Brugada症候群の最終回です。
6. 薬理学的負荷試験
略
7. 本症候群の診断基準と特発性Brugada型心電図パターン
心電図が本症候群特有の所見を示すにもかかわらず、臨床的に何ら症状を示さない例が多くあり、これらを症候性Brugada症候群と区別する必要がある。
欧州心臓病学会の不整脈分子機序研究グループは、2002年に以下のような本症候群の診断基準を提唱した(コンセンサス・リポート、2002)。
この基準では次の1、2のうち、いずれか一つに該当する場合に本症候群と診断する。
1. TypeⅠ 心電図+下記6項目のうち、いずれか一項目を満たす場合。
(1)記録された心室細動
(2)自己終息的な多形性心室頻拍(自然停止する傾向がある多形性心室頻拍)
(3)心臓突然死の家族歴(45歳以下の年齢層での)
(4)家族にTypeⅠ心電図を示す例がある場合
(5)心室プログラム刺激で心室細導心電図を記録し、多型性心型性心室性頻拍が誘発可能な場合動、多形性心室頻拍が誘発可能な場合
(6)失神発作ないし夜間のあえぎ呼吸
2. 基礎状態がTypeⅡないしTypeⅢ心電図を示し、薬剤負荷でTypeⅠに変化した場合は前記1.に準じる。
〔註〕
①薬物負荷でST上昇が2㎜未満の場合は診断できない。
②TypeⅢ心電図がTypeⅡに変化した場合も診断できない。
③臨床所見を伴わず、心電図所見のみを示す場合はBrugada症候群とは呼ばず、「特発性Brugada症候群 ECG pattern」と呼ぶ。
④基礎心電図が正常で、薬物負荷によってのみBrugada型心電図を示す例の予後は良好である。
まとめ
saddle-back型の心電図は日常診療で比較的しばしば遭遇する心電図異常であり、これを不完全右脚ブロックやnormal variantと誤ってはならない。
saddle-back型心電図を認めた場合は、必ず高位右側胸部誘導心電図を記録し、coved型心電図出現の有無を検討する必要がある。
coved型を認めた場合は、失神病歴、急死の家族歴の有無に注意し、これらがあれば然るべき施設に紹介して心臓電気生理学的検査(心室プログラム刺激)による多形性心室頻拍/心室細動誘発の可能性について検討し、もし陽性な
らばICDの適応について検討する必要がある。
coved 型を認めるが失神病歴や急死の家族歴がない例にどのように対処するべきかについては、未だ一定の見解はない。
このような例では、心室遅延電位、ホルター心電図記録V1のS terminal delayの程度などについて検討し、危険度が低いと考えられる例ではⅠc群抗不整脈薬の投与を避け、
注意深く経過を観察し、失神ないしその前駆所見がある場合はただちに循環器専門医を受診するように指導しておく必要がある。
危険度が高いと判断される場合は心室プログラム刺激を行い、多形性心室頻拍/心室細動が誘発されるかどうかの検討が必要となるる。
無症状性のsaddle-back型を示す例で、高位右側胸部誘導、薬物負荷試験などでもcoved 型を認めない例では、Ⅰc群抗不整脈薬の投与を避け、注意深く経過を観察し、失神ないしその前駆所見がある場合にはただちに循環器専門医を受診するように指導する。
体温上昇は、内向きNa電流を減少させることによりBrugada型心電図を悪化させる方向に働いて心室細動を起こす危険があるため、発熱時には特に注意深い観察が必要である。

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昨日の続きです。先生方のお手元にはすでに届いているとは思いますが、まずは日循総会のプログラムからBrugada先生の抄録の紹介です。

Brugada症候群の心電図診断 その2(2/3)
徳島大学名誉教授 森 博愛先生
3. Brugada型心電図波形の経時変動
本症候群の心電図の特徴の一つは、その波形が経時的に変動する例が多いことである。
図4に59歳、男性で1カ月半の間に記録した5枚の胸部誘導心電図を示す。

V4誘導では心室群の波形変動はあまりみられないが、V1、V2の心室群波形は短期間に著しく変動している。
すなわち、8月30日~9月17日のV2波形はsaddle-back型であるが、9月27日には典型的なcoved 型のST上昇を示し、またその2週後には再びsaddle-back 型に変化している。
9月27日の心電図では、V3はsaddle-back型を示し、同一人の同一時点の記録でも、誘導部位により異なった波形を示している。
4. Brugada型心電図波形の診断基準
本症候群の中には、典型的な心電図所見を示し、遺伝傾向が濃厚で突然死する例から、非典型的な心電図所見を示すのみで遺伝傾向や失神の病歴がまったくない例まであり、幅広いスペクトラムを持つ。
そのため、本症候群ないしBrugada型心電図の診断に関し著しい混乱が認められる。
この問題を改善するために、欧州心臓病学会不整脈分子機
序研究グループは欧州心臓病学会の要請を受けてBrugada型心電図の診断基準を作成した(コンセンサス・リポート、2002)。
この報告書では、Brugada 型心電図を図5・表1に示すように3型(Type Ⅰ~Ⅲ)に分けている。


この提案は世界的に広く受け入れられており、Brugada自身もこの基準に準拠して症例を分類した研究を発表しているし、わが国の最近の研究もほとんどがこの基準を採用してい
る。
5. 本症候群における高位右側胸部誘導心電図記録の意義
本症候群と診断するためにはsaddle-back 型心電図を認めるのみでは不十分で、coved 型の心電図を認めることが必要である。
通常のようにV1、V2の電極を第4肋間において記録した胸部誘導心電図がsaddle-back 型のST上昇を示す場合、1~2肋間上方で右側胸部誘導心電図(V1'~V3'、V1"~V3")をとると、典型的なcoved 型波形が記録される場合が少なくない。
図6Aは通常部位で記録したV1、V2誘導がsaddle-back型ST上昇を示す例において、1肋間上(第3肋間)で記録したV1、V2対応誘導(V1'、V2')では著明なのST上昇を伴う典型的なcoved 型心電図を記録できた例の心電図である。

したがって、通常の心電図がsaddle-back 型ないし非典型的な所見を示す例では、必ず全例で高位右側胸部誘導心電図を記録する必要がある。
出典 日本医事新報 No.4223 2005.4.21
版権 日本医事新報社
<番外編>
最近、当院へ来院された男性(62歳)の心電図です。
自覚症状は何もありません。
もちろん失神発作の既往もありません。
心電図をみたときドキッとしました。
normal variantでしょうか、早期再分極パターンでしょうか、
それとも・・・・。


medicina 42.6 2005.6P1048-1051に「ST上昇は心筋梗塞とは限らないという」浅井精一先生(聖隷三方原病院)の論文があります。
その中で「健常人でみられるST上昇」が述べられています。
以下引用
ST上昇の正常パターンには、以下の3つがある。
(1)男性パターン:胸部誘導でのみみられ、V2で顕著な1~3mmの上に凹型のST上昇。若年男性の約90%にみられ、年齢とともに頻度は減少する。
(2)早期再分極パターン:V4で顕著な1~4mmの上に凹型のST上昇。T波の増高を伴う。肢誘導でみられる場合は、Ⅱ誘導でST上昇は顕著。aVRで鏡像としてのST低下がみられる。
(3)その他のパターン:V3-5で顕著な上に凹型のST上昇、T波の陰性化を伴う。QT短縮、QRS波の増高を認める。
他に
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以前にも書かせていただきましたが、数十年前に循環器科の医師を目指した時に森 博愛先生の書かれた心電図のテキストを繰り返し読みました。 教授を退官されて随分月日が経つものと思われますが、数年前に以下に紹介する総説を書いておみえになります。 学問に対する情熱にはただただ感服します。
ご存知の方も多いでしょうが、奇しくも今月末の第72回日循総会(福岡市)でJosep Brugada先生がUpdate in Brugada syndromeというテーマで特別講演されます(3月29日11:10-11:55)。
Brugada症候群の心電図診断 その1(1/3)
徳島大学名誉教授 森 博愛先生
はじめに
従来、心臓病を指摘されたことがない健康な青壮年男性が、夜中に大きいうなり声を発して急死する例があり、わが国では「ポックリ病」としてかなり以前から知られていた。
その頻度は東京都で年間100例に達する。
この「ポックリ病」と同様の病気がフィリピン、タイなどの東南アジア諸国にもあることが知られており、タイでは「lai tai(睡眠中の急死)」、フィリピンでは「bangungut(うなり声に続く睡眠中の急死)」と呼ばれ、その頻度は10万人の住民中26~38人くらいといわれている。
この「ポックリ病」の本態については、冠動脈攣縮、胸腺リンパ体質、内分泌・自律神経系異常、心臓刺激伝導系異常などの諸説が提唱されたが、いずれの説も決定的な支持を得るに至らなかった。
1992年、Brugadaらは右側胸部誘導心電図が右脚ブロッ
ク様所見(R’波)と著明なのST上昇を示す例があり、このような例はしばしば夜間に心室細動発作を起こして急死することを発表した。
彼らはこれが一つの独立した疾患単位であり、特発性心室細動の重要な基質(基礎病態)であるとし、これがいわゆる「ポックリ病」と同一疾患であることを指摘して広く世界的に注目を集め、現在、一般にBrugada症候群(以下、本症
候群と略)と呼ばれている。
本症候群の中に遺伝傾向が強い例があることは、Brugadaらの最初の報告にも指摘されているが、1998年、Chenらにより心筋細胞膜のNaチャネルをコードする遺伝子SCN5Aに異常がある例があることが発見され、本症候群は先天性QT延長症候群とともにイオンチャネルを構成する分子の異常が致死的不整脈(遺伝性不整脈)を惹起するとし、いわゆるイオンチャネル病の代表的疾患の一つとして臨床的にもきわめて重要なことが明らかとなった。
1. Brugada症候群の特徴的心電図所見
Brugadaらはその最初の論文において、本症候群の心電図所見の特徴は次の3所見であることを指摘した。
①右脚ブロック、
②右側胸部誘導のST上昇、
③正常QTc間隔。
本症候群の中には、実際右脚ブロック、左脚前枝ブロックなどの心室内伝導障害を伴う例もあるが、ほとんどの例で右脚ブロックのR’様にみえる所見は、実はJ波の顕著化によるものであるから、右脚ブロックという表現は適切でなく、「右脚ブロック様所見」または「J波の顕著化」と記載するのが妥当であると考えられる。
しかし、本症候群と進行性心室内伝導障(Lenegre病)とは類縁関係にあり、ともに遺伝子のSCN5Aの変異により生じるため、本症候群は完全右脚ブロック、左脚前枝ブロック、第一度房室ブロックなどの伝導障害をしばしば合併する。
しかし、このような場合も右脚ブロックや左脚前枝ブロック
所見が重要なのではなく、J波の顕著化とST上昇が重要な所見である。
J波はOsborn波、イプシロン波などとも呼ばれ、低体温時
などにQRS波とST起市始部との間に出現する陽性波で、従来、臨床心電学ではあまり関心が払われてこなかった。
その成因は、心内膜・心外膜下筋層細胞の活動電位波形の相違によることが近年明らかにされてきた。
一般に、心外膜下筋層細胞活動電流のうち、外向き電流(Tto,IKATP)の増加、あるいは内向き電流(ICA-L,INa)の減少は、J波の顕著化の方向に働く。
Brugadaらは正常QTc間隔を本症候群の心電図所見の特徴の一つとして挙げているが、最初の報告にもH-V時間延長例が含まれている。
QT間隔延長を特徴とする先天性QT延長症候群は本症候
群と類縁関係にあり、その一型であるLQT3(先天性QT延長症候群Ⅲ型)は本症候群と同様に遺伝子SCN5A変異により生じる。
そのため、本症候群でQTc間隔延長を示す例は多くあり、正常QTc間隔を本症候群の特徴的所見とすることは適当でない。
したがって、本症候群の特徴的心電図所見は以下のごとく表現される。
①右側胸部誘導における著明なST上昇、および
②J波の顕著化による右脚ブロック様所見(右側胸部誘導のR波様所見)。
(図1)

2. coved typeとsaddle-back type
本症候群のST上昇には、coved typeとsaddl