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胸郭内インピーダンスは心室性不整脈イベント予測にも有用 胸郭内の電気抵抗を評価するデバイスが登場 心機能の悪化に伴い同期不全が生じると,心不全がさらに進行し,不整脈イベントの発生リスクも高まる-重症心不全で多く見られるそのような悪循環に対して,両室ペーシング機能を有する心臓再同期療法(CRT)や除細動機能も有するCRT-Dが臨床効果を上げてきた。さらに2007年には,胸郭内の電気抵抗(胸郭内インピーダンス)を評価する機能を搭載したCRT-Dが登場。心不全の悪化徴候をいち早くとらえることができるようになった。筑波大学大学院循環器病態医学分野の関口幸夫講師は,国際多施設研究Concerto-ATのコホートを後ろ向きに解析し,CRT-Dに搭載された胸郭内インピーダンスの測定で閾値を超えた変化が生じた場合には,心不全の悪化だけでなく,心室性不整脈の発生リスクも高いことを明らかにした(Circ J 2011; 75: 2614-2620)。 未確立の指標でも臨床的意義は高い 胸郭内インピーダンスは胸郭内の電気抵抗のことで,前胸部に留置されたデバイス本体と右室内に挿入されたリードのコイル電極間の抵抗を測定した値だ(図1)。肺に水がたまると電気伝導性が高まる原理を利用して肺うっ血の徴候をとらえるものだが,胸郭内の電気抵抗は,肺炎や胸部の傷害といった他の影響も受けるため,心不全以外の症状も反映してしまうことがある。
OptiVol®はメドトロニック社が開発した胸郭内インピーダンスのモニター装置で,CRT-Dや植え込み型除細動器 (ICD),ペースメーカにも搭載されている。このOptiVolでは,植え込み後30日間の胸郭内インピーダンス測定値を参考値として,30~34日の間に正常範囲が設定される。これが完了すると,毎日心機能が比較的安定している12時~17時の間,20分ごとに計測が行われ,閾値を超えると警告される仕組みになっている。 胸郭内インピーダンスは,このように,一般医や患者が測定できる血圧や左室駆出率などとは異なり,仕組みも閾値の設定も複雑な未確立の指標といえる。それでも,注目されるのはなぜか。 CRT-Dが植え込まれる重症心不全患者は,致死性不整脈の発生リスクも高く管理が難しい状態にある。うっ血などの心不全症状の悪化は不整脈を誘発しやすい重要な徴候であるが,これまで心不全の悪化を評価できる機能はデバイスに備わっていなかった。「OptiVolが登場して,胸郭内インピーダンスが測定できるようになったことは,重症心不全に向き合う臨床医にとって画期的なことであった」と関口氏は言う。 心室性不整脈イベントは閾値超後早期に多発 Concerto-AT研究は,日米欧41施設でOptiVol機能を有するCRT-Dが植え込まれた282例を対象に,慢性重症心不全における心房への電気的除細動の有用性を示した前向きコホート研究だ(Pacing Clin Electrophysiol 2009; 32: 13)。関口講師らは「OptiVolで評価される心不全悪化の徴候は,不整脈イベントにもつながっている」という仮説を証明すべく,このコホートの後ろ向き解析を行った。対象患者282例は男性が7割,平均年齢68.3歳,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ度が93%,Ⅳ度が7%の重症心不 全群だった。 CRT-D植え込み後の平均観察期間は10カ月。OptiVolによる胸郭内インピーダンスの測定で閾値を超えたのは145例(51%)221件で,正常範囲内で推移したのは137例だった。この閾値を超えた閾値逸脱群と正常範囲群に分け,頻脈性不整脈発生率を比較した。 その結果,全体で発生した頻脈性不整脈は129例(46%)4,725件で,うち閾値逸脱群(145例)では3,241件のイベントが発生しており,正常範囲群(137例)の1,484件に比べて有意に多く発生した(P<0.0001)。また,心室性不整脈と心房性不整脈の内訳を見ると,ともに閾値逸脱群の方が正常範囲群よりも発生が有意に多くなっていた(表)。
さらに,閾値を超えた後に発生した不整脈イベントを抽出し,発生時期を確認したところ,心室性不整脈イベントについては,閾値を超えてから1カ月以内の発生数がそれ以降の発生数より有意に多くなっており(図2),閾値逸脱後早期に起こりうる心室性不整脈の発生に注意を要することが示された。
同講師は「胸郭内インピーダンスの閾値を超えた患者では,まず心不全の悪化が予測されるが,その際には心室性不整脈のリスクも認識すべきことが分かっ た」と述べる。具体的な対応としては,利尿薬の追加や塩分摂取の減量などで体循環の血液量を減少させることが重要になるという。つまり,心不全の進行をより厳格に食い止めることで,不整脈イベントも抑制できるということだ。同講師は,現在の閾値設定の妥当性の検証や,心不全の予測能を高める方法の開発が今後の課題であると指摘している。 出典 Medical Tribune 2011.11.24版権 メディカル・トリビューン社 <自遊時間> 自覚症状や体重変化との関係はどうなのでしょうか。欧米の臨床研究では、こういった知見を日常臨床にフィードバックさせる手法をしばしば用いています。少なくとも、こういった「物入り」な装置を使用する限りは、従来の手法(自覚症状はもちろん体重変化や尿量チェックなど) よりはるかに鋭敏でかつ有用でなければいけないと思うのですが。
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PALLAS試験http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1109867について兵庫県立尼崎病院・佐藤幸人循環器科部長の解説で勉強しました。
「抗不整脈薬の多くは慢性心不全に見られる不整脈に対して漫然と使用すべきでない」という約20年前にCAST試験から得られた教訓の重みを再認識する内容です。
「慢然と抗不整脈薬を使用すべきでない」20年前の教訓を再認識
抗不整脈薬であるアミオダロンは有用性の高い薬剤ではあるが,ヨウ素に関連した甲状腺の障害,肺線維症などの多種多様な副作用が問題となってい る。dronedaroneは,アミオダロンの改良タイプとして開発され,ヨウ素を含まず水溶性であるために,甲状腺の障害,肺線維症などの副作用は示さ ないといわれている。アミオダロン,dronedaroneともに期待される効果は,
(1)心室性抗不整脈作用を介した突然死予防,
(2)上室性心房細動 患者における洞調律維持
―に分けられる。
ATHENA試験(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)では,発作性心房細動患者において,dronedaroneはプラセボに比べ心血管イベントによる入院,心血管死を有意に減少させた。
また,この効果は経過中に持続性心房細動を発症した患者においても観察されたことにより,同薬の心拍数抑制効果,降圧効果,抗アドレナリン効果,抗致死性心室性不整脈効果が予想されたため,今回のPALLAS試験が行われた。
しかし,その結果は,持続性心房細動患者においてdronedarone投与は,脳卒中,心不全,心血管死の頻度を上昇させたという予想に反した ものであった。
しかも,プラセボ群との差は投与開始後1カ月以内から認められ,試験期間中さらにその傾向は顕著になっていった。
以前報告された,駆出率 (EF)35%以下の重症心不全患者において突然死予防を目的としたANDROMEDA試験(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)では,dronedarone群で心不全が悪化し,かえって予後が悪化したと報告されている。
PALLAS試験では,対象患者が高齢で心不全合併も多かったため,今回のような結果につながったと思われる
1990年代初頭,CAST試験によりⅠ群抗不整脈薬は不整脈抑制効果を示すにもかかわらず,心機能抑制効果や催不整脈作用を介して,かえって突然死の頻度を高めることが報告された(N Engl J Med 1991; 324: 781-788)。
このため,抗不整脈薬の多くは慢性心不全に見られる不整脈に対して漫然と使用することは避けるべきと考えられている。
ANDROMEDA試験とPALLAS試験の結果を踏まえて,dronedaroneも同様に,心不全患者において突然死予防効果を期待して使用することは避けるべきであると考えられた
出典 MT Pro 2011.11.21
版権 メディカル・トリビューン社
<関連記事より>
dronedaroneの臨床試験が問いかける新規抗不整脈薬開発の課題
AHA 2011で発表のPALLAS試験などを山下武志氏が解説
心不全患者の割合によって全く異なる結果に
(1)アミオダロンと異なりヨウ素を含まないdronedaroneには高い忍容性と安全性が期待されていたが,心不全患者や永続性心房細動患者では予後が悪化していた。なぜこのような結果になったのか
ヨウ素を含まないことによって期待されるdronedaroneとアミオダロンの違いは,
(1)脂溶性が減少し半減期が減少する,
(2)アミオダロン特有の甲状腺機能障害や肺障害が減少する
―ことの2点であり,これ以外の安全性については不明な点が多い。
そして,今回の臨床試験結果を見れば,この 不明な点に1つの一貫性があることに気付く。
dronedaroneを用いてなされた一連の臨床試験の患者背景を知ればそのことを容易に理解できるはずで ある(表)。

(1)および(3)では心房細動の再発が有意に抑制され,心不全や催不整脈作用の増加あるいは死亡率の増加は認められなかった。
しかし,(2)と(4)ではともに心不全,催不整脈イベントが倍増し,その結果死亡率が有意に増加した。
つまり,心不全患者が含まれる割合によって全く異なる結果になっていることが重要だ。
これは,Ⅰ群抗不整脈薬が歩んだ歴史に似ている。dronedaroneはⅢ群薬に分類されるが,患者の予後という観点からはⅠ群薬と同様であるといえる。
発作性心房細動に比べ持続性心房細動,永続性心房細動はより進行した病態であり,一般的に患者の背景因子も悪化している。
背景因子が比較的単純な 発作性心房細動患者ではATHENA試験の結果が応用可能であるが,より背景因子が複雑となり,心房細動の合併症である心不全歴を有しやすい永続性心房細 動患者ではANDROMEDA試験の成績に近くなる。
これが,各種臨床試験の教えるところだろう。dronedaroneにはⅠ群薬と同等の陰性変力作用や催不整脈作用があると考えることが,患者アウトカムから見て妥当であろう。
“心臓電気生理学が必須”の“信仰”を棄却しないと抗不整脈薬の開発は難しい
(2)今回の結果からもうかがえる抗不整脈薬開発の難しさは何に起因するのか
「心房細動に対峙する」という根本的概念がまだ整理不十分だと考えられる。
これまでの長い歴史の中で,いまだ証明されていないにもかかわらず,心 房細動を治療するためには心臓電気生理学が必須だと信じられてきた。
これはSicilian Gambitの考えによく象徴されている。
そして今,これほどにネガティブ試験の山が10年以上にわたり連続的に築かれたのはなぜかを考えてみれば,その理由は単純だと思う。
それは,これ までのとらえ方の基本が間違っていたのではないかと考えるのが一番素直だろう。
これまでの長い「信仰」が棄却されない限り,抗不整脈薬の開発は難しいと感 じる。
心房細動は心電図を用いて診断されるため,単純に心臓電気生理学の異常がその原因だと考えられてきた歴史がある。
しかし,他の未知な原因が本質的 なものとして存在し,その結果として電気現象の異常が生じている可能性の方が高いのではないだろうか。
つまり,心電図は結果でしかなく,この場合,心臓の 電気生理学的異常を修正しようとしてもそれは表面的なものにならざるを得ない。
そしてこの考え方は,これまでの「心電図は一時的に正常化しても患者の予後 は改善しない」という一連の臨床試験の結果に符合しているように感じる。
新しい心房細動治療薬は,心臓電気生理学的異常以外の本質的な心房細動の原因に迫 る必要がある。
(3)臨床現場において,抗不整脈薬のさらなる開発のニーズはどの程度あるのか
現時点で,心房細動治療の主流は薬物療法からカテーテルアブレーションに大きく変化している。
カテーテルアブレーションの両翼が「抗不整脈薬」であり,「心拍数治療薬」であるという絵図は当分変わらないだろう。
それは,これほど多様化した,また著増した心房細動患者すべてにカテーテルアブレーションを応用することができないこともまた自明の理だからである。
その意味で,抗不整脈薬というツールが増加することはいつでも歓迎すべきだろう。
その際に必要な条件は,多様化した背景因子を有する心房細動患者 すべてで副作用発現が許容できるレベルであるということだろう。
心不全に限れば,心不全に安全に用いることができ,肺障害・甲状腺障害がない抗不整脈薬が あれば歓迎されるが,dronedaroneではそれを証明できなかったわけである。
Ⅲ群薬に分類されたdronedaroneは,実は患者の視点から見ればⅠ群薬とほぼ同様であるが,わが国では必要以上といえるほどにI群薬の選択肢が多い状況がある。
そのような点では,欧米とは異なる状況にあるのかもしれない。
「永続性心房細動患者に抗不整脈薬は不要」に同意
(4)論文のエディトリアルでは,永続性心房細動患者が抗不整脈薬を服用する必要はないと指摘されているが,この患者層への抗不整脈薬のニーズはあるのか。
永続性心房細動患者に対する心拍数調節治療は立派な1つの治療方針であり,β遮断薬を筆頭とする薬物治療は許容できる副作用発現率で,現 在も実地臨床で行われている。
そもそも,なぜ永続性心房細動で抗不整脈薬が必要なのか? PALLAS試験の問いかけ自体が,まず問われるべきだろう。 (まとめ・田中 かおり)
出典 MT Pro 2011.11.21
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
PALLAS試験
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“永続性”心房細動では予後が悪化,新規Ⅲ群抗不整脈薬dronedarone発作性・持続性とは異なる結果に,AHA 2011で発表のPALLAS試験アミオダロンよりも安全性が高いⅢ群抗不整脈薬として開発されたdronedaroneは,発作性および持続性心房細動患者で予後改善が認められたATHENA試験の結果(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)を基に,欧米ではガイドラインでもアミオダロンとともに重要な位置付けがされている。しかし,心不全患者を対象にしたANDROMEDA試験(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)に続き,第84回米国心臓協会年次集会(AHA 2011;11月12~16日,オーランド)で発表された永続性心房細動患者を対象としたPALLAS試験(Permanent Atrial fibrillation Outcome Study Using Dronedarone on Top of Standard Therapy)(N Engl J Med 2011年11月14日オンライン版)においても,臨床的有用性は認められなかった。試験結果を紹介したマクマスター大学(カナダ)教授のStuart J. Connolly氏は「永続性心房細動患者にはdronedaroneを使用すべきでない」と述べた。 洞調律維持や心拍数抑制を認めるも服薬中止率は増加Dronedaroneは,アミオダロンに似た電気生理学的特徴を有するが,アミオダロンとは異なりヨウ素を含まないため,高い安全性が期待されている。心房細動患者において心拍数を緩やかにし,降圧作用や抗アドレナリン作用を示すことで,心室性不整脈の発生を阻害する。 欧米では,心血管疾患による入院や死亡を有意に低下したATHENA試験を基に同試験対象患者の適用が速やかに承認されている。心不全患者を対象にしたANDROMEDA試験において,予後の悪化が認められたことから,心不全患者は適用から除外されているが,現在,同薬はアミオダロンとともにガイドライン上,重要な位置付けを占めている。 今回報告されたPALAS試験では,永続性心房細動へのdronedaroneの有用性が検証された。対象は,65歳以上の心血管危険因子を有する永続性心房細動(6カ月以上の心房細動持続)。2010年7月から登録が開始されたが,安全性の懸念から2011年7月に試験は早期中止となった。 二重盲検ランダム化比較試験(RCT)として,37カ国489施設が参加した。登録された3,236例(当初の目標登録数1万800人)は dronedarone(400mg×2回)群とプラセボ群に割り付けられた。試験が中止されるまでの追跡期間中央値は3.5カ月だった。 追跡期間における洞調律の維持はdronedarone群で有意に多くなっており(3.5%対1.4%),同群では心拍数も7拍超の低下,収縮期血圧3.5mmHgの低下が認められていた。しかし,服薬中止率も同群で有意に多くなっていた(21%対11%)。 1次評価は有意に上昇,服用患者が永続性心房細動でないか定期的な検査が必要 その結果,脳卒中,心筋梗塞,全身性塞栓症,心血管死から成る1次評価項目の発生は,プラセボ群19例(1.2%)に比べdronedarone 群43例(2.7%)で有意に高かった(ハザード比2.29,95%CI 1.34〜3.94,P=0.002)。2次評価項目の心血管疾患による予期せぬ入院や死亡についても,プラセボ群67例(4.1%)に比 べ,dronedarone群 127例(7.8%)で有意に高くなっていた(P<0.001)。 死亡数,心血管疾患死,不整脈死,脳卒中の発生がいずれもdronedarone群で有意に多く,ANDROMEDA試験の成績から懸念されていた心不全の悪化による入院はdronedarone群43件でプラセボ群24件に比べてやはり有意に多くなっていた。 Conolly氏は「dronedaroneの1次評価項目の有意な上昇は主に死亡や心不全,脳卒中の増加による。副作用による脱落率も高かった」として永続性心房細動に対しては同薬は使用すべきでないと結論した。 なお,指定討論者のタフツ大学内科教授のN. A. Mark Estes Ⅲ氏は,「発作性および持続性心房細動の患者にdronedaroneを投与し続ける場合,医師は半年ごとに検査を行い,有効性が認められている ATHENA試験の対象患者群に該当しているかどうか(永続性心房細動でないか)を確認していく必要がある」と指摘した。(田中 かおり) 出典 MT Pro 2011.11.21
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
先週の土曜日の夕方、ある講演会に出席しました。
演者は某大学循環器科教授ですが、若い頃某病院で一緒に仕事をしていた先生です。
講演後、場所を移動して昔話に花が咲きました。
いろんな話が出た中で、共通の知人が癌にかかり闘病生活を送っている話が心に残りました。特に、彼の気心の知れた5〜6人の仲間のうち自分以外は癌になったという話題はショッキングでした。癌はかかりたくない病気の代表ですが、今や二人に一人がかかる病気です。
かかっても甘受しなければいけないのかも知れません。しかし、宣告を受けたらきっと取り乱す自分しか想像出来ません。 <関連サイト> 慢然と抗不整脈薬を使用すべきでない 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ (「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版) があります。
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兵庫県立尼崎病院・佐藤幸人循環器科部長の、抗不整脈薬に関するコメント記事で勉強しました。 新規抗不整脈dronedaroneの永続性心房細動患者における有効性を検証したPALLAS試験(N Engl J Med 2011年11月14日オンライン版)の結果が,第84回米国心臓協会年次集会(AHA 2011;11月12~16日,オーランド)で発表された。この結果を踏まえ,兵庫県立尼崎病院循環器科部長の佐藤幸人氏は「抗不整脈薬の多くは慢性心不全に見られる不整脈に対して漫然と使用すべきでない」という約20年前にCAST試験から得られた教訓の重みを再認識している。 PALLAS試験の結果は,対象患者が高齢で心不全合併も多かったため抗不整脈薬であるアミオダロンは有用性の高い薬剤ではあるが,ヨウ素に関連した甲状腺の障害,肺線維症などの多種多様な副作用が問題となっている。 dronedaroneは,アミオダロンの改良タイプとして開発され,ヨウ素を含まず水溶性であるために,甲状腺の障害,肺線維症などの副作用は示さないといわれている。アミオダロン,dronedaroneともに期待される効果は,(1)心室性抗不整脈作用を介した突然死予防,(2)上室性心房細動患者 における洞調律維持―に分けられる。 ATHENA試験(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)では,発作性心房細動患者において,dronedaroneはプラセボに比べ心血管イベントによる入院,心血管死を有意に減少させた。また,この効果は経過中に持続性心房細動を発症した患者においても観察されたことにより,同薬の心拍数抑制効果,降圧効果,抗アドレナリン効果,抗致死性心室性不整脈効果が予 想されたため,今回のPALLAS試験が行われた。 しかし,その結果は,持続性心房細動患者においてdronedarone投与は,脳卒中,心不全,心血管死の頻度を上昇させたという予想に反したものであった。しかも,プラセボ群との差は投与開始後1カ月以内から認められ,試験期間中さらにその傾向は顕著になっていった。以前報告された,駆出率 (EF)35%以下の重症心不全患者において突然死予防を目的としたANDROMEDA試験(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)では,dronedarone群で心不全が悪化し,かえって予後が悪化したと報告されている。PALLAS試験では,対象患者が高齢で心不全合併も多かったため,今回のような結果につながったと思われる 1990年代初頭,CAST試験によりⅠ群抗不整脈薬は不整脈抑制効果を示すにもかかわらず,心機能抑制効果や催不整脈作用を介して,かえって突然死の頻度を高めることが報告された(N Engl J Med 1991; 324: 781-788)。このため,抗不整脈薬の多くは慢性心不全に見られる不整脈に対して漫然と使用することは避けるべきと考えられている。 ANDROMEDA試験とPALLAS試験の結果を踏まえて,dronedaroneも同様に,心不全患者において突然死予防効果を期待して使用することは避けるべきであると考えられた。 出典 MT pro 2011.11.21版権 メディカル・トリビューン社 <ATHENA試験 関連サイト>心房細動とdronedarone・ ATHENA試験 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ (「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版) があります。
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出血性副作用死亡例受け、販売元がブルーレターで注意喚起抗凝固薬ダビガトラン(商品名プラザキサ、2011年3月発売)を服用し、因果関係を否定できない重篤な出血性副作用を起こした患者が8月11日までに81例報告され、そのうち5例が死亡したことから、製造販売元の日本ベーリンガー インゲルハイムは厚生労働省の指示を受けて安全性速報(ブルーレター)による注意喚起と添付文書の改訂を行った。
死亡したのは、70歳代男性1人、80歳代女性3人、100歳代女性1人。うち4人は心房細動のほか、腎障害や心不全など複数の合併症を有していた。1例目の死亡例(80歳代女性)が報告された6月にも、同社は厚労省の指示を受け、高齢者や腎障害のある患者に対して慎重投与を求める「適正使用のお願い」を配布していた。
今回のブルーレターでは、以下の項目について改めて注意を喚起した。
(1)患者の状態(腎機能、高齢者、消化管出血の既往など)による出血の危険性を考慮し、投与の適否を慎重に判断する。投与中は出血や貧血などの徴候を十分観察し、これらの徴候が認められた場合には直ちに適切な処置を行う。
(2)患者に対し、出血しやすくなることを説明し、鼻出血、歯肉出血、皮下出血、血尿、血便など異常な出血が認められた場合には直ちに医師に連絡するよう指導する。
(3)投与前は必ず腎機能を確認し、投与中は適宜、腎機能検査を行い、腎機能の悪化が認められた場合には投与の中止や減量を考慮する。
添付文書の改訂に当たっては、警告欄を新たに設け、上記(1)の項目を記載するとともに、「慎重投与」の対象として、「P-糖蛋白阻害薬[経口剤]を併用している患者」(ダビガトランの血中濃度が上昇する恐れがある)を追記するなどした。
添付文書の相互作用欄には、併用に注意すべきP-糖蛋白阻害薬として、イトラコナゾール(併用禁忌)、ベラパミル、アミオダロン、キニジン、タクロリムス、シクロスポリン、リトナビル、ネルフィナビル、サキナビル、クラリスロマイシンなどが記載されている。
ダビガトランは非弁膜症性の心房細動患者における脳や全身の塞栓症の発症抑制を適応とする国内初の経口直接トロンビン阻害薬であり、ワルファリンと異なり血液凝固モニタリングが不要であるなど使い勝手が良いことから、3月の販売以降、処方数が伸びており、現在の推定使用患者数は約6万4000人。
同薬は腎排泄型の薬剤であるため、腎機能に障害があると薬剤の血中濃度が上昇し、出血性副作用が発生しやすいことは開発段階から分かっており、従来の添付文書においても高齢者や腎障害のある患者に対しては慎重な投与を求めていた。 (財)心臓血管研究所所長・付属病院長の山下武志氏は、「ダビガトラン使用と因果関係が否定できない今回の死亡例の内容を見ると、いずれも高齢者であり、高度の腎機能障害例、腎機能不明例を含むだけでなく、年齢とクレアチニン値から腎機能障害を合併していると推定される症例が目立つ。ダビガトランはその 80%を腎排泄に依存する薬物であり、クレアチニンクリアランス30mL/分を下回る患者に投与禁忌であり、30〜50mL/分の患者でも慎重な投与を要すること、特に高齢者はクレアチニン値から感じられる以上にクレアチニンは低下していることを処方する医師は改めて認識する必要がある。例えば、 eGFR(推算糸球体濾過量)という、クレアチニンクリアランスより低めに出る厳しい基準をクレアチニンクリアランス値として用いながら適応を判断することも一つの安全対策になる」と話している。 出典 NM online 2011.8.19版権 日経BP社 <私的コメント> 2011.8.22 PM11追加奇しくも今日の昼、B社のMRさんがダビガトランのブルーレターを持って来ました。 死亡例5例について、「全例が慎重投与ないし投与禁忌例に該当する」とのこと。はたして本当だろうか。これらの症例を添付文書改定前の文面で深読みする必要がありそうです。添付文書は薬剤を投与するわれわれ医師にとってはいわばバイブルです。ドラッグラグの問題が取り沙汰されて来ましたが、ダビガトランに関しては製造認可や薬価収載が早すぎる気がします。 F社の末梢性神経障害性疼痛治療剤リリカ(一般名プレガバリン) についても問題があります。死亡例が15例もあるのにかかわらず 「バイブル」には「通常、成人には初期用量として1日150mgを2回に分けて経口投与」と記載されています。この初期量は明らかにオーバードーシスです。MRさんも「1日50mgを2回に分けて経口投与(25mg×2)」を推奨しています。「バイブル」通りに投与するととんでみない結果を招きます。厚労省のお役人さん、早く対処して下さいよ。 話は脱線しましたが、ダビガトラン投与患者にaPTT (80秒以内にコントロール?)の検査をして支払基金で、はねられるか認められるかをMRさんに訊きました。ブルーレターを引っぱり出して 「本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、・・・、本剤投与中は、血液凝固に関する検査のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。」の部分を指差しました。二人で読みましたが、 「血液凝固に関する検査」を認めながら「正確に評価できる指標は確立されておらず」という矛盾に満ちた文章にアホらしくなってしまいました。諸先生方はaPT検査は行われますか? <自遊時間> 昨日、F社主催の「富士山シンポジウム 臨床現場からエビデンスを発信する!」(ヒルトン大阪 午前10時〜12時) の講演を聴きに言って来ました。座長 愛媛大学 檜垣實男 教授基調講演 琉球大学 植田真一郎 教授 「臨床研究を成功させる鍵は?」 勤務医や開業医なども、日頃の臨床体験で疑問に思ったことを是非臨床研究という形にして欲しい、という内容です。企業色を余り感じさせない点(但し「第1部 実践者が語る臨床研究」はアムロジピンを持ち上げていました) で好感の持てる講演会でした。どうしてこのような企画がされたのかは、ちょっと不思議ではありましたが、来年も第2回が行われるようです。
2011.8.21撮影 ヒルトン大阪 午前9時40分 読んでいただいて有り難うございます。コメントをお待ちしています。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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最近、恥じ入るような症例を経験しました。時系列的に紹介させていただきます。
症例 女性 77歳
全国規模の大規模病院(ベッド数800床台)の糖尿病の治療のために内科(代謝・内分泌)外来へ通院中。
その他、脊柱管狭窄症として他の病院の整形外科へ通院中。
当院へは(主治医が処方してくれないということで)脊柱管狭窄症に対するリマプロスト アルファデクス(商品名 オパルモン)の処方を希望して通院中(一定の効果あり)。血糖値は200mg/dl前後。HbA1cは7%前後とのこと。
RI 朝12単位、夕6単位
5月に経口糖尿病剤に変更になったとのこと。
アマリール(1)2錠、グリコラン(250)3錠
6/16「昨夕から体中が痛い感じ」「今朝からのどがつっぱって苦しい」「胸が苦しい」といった、ややもすると不定愁訴とも思える症状で午前10時に来院。
さらに「何となく脈が遅い」と言う。
とりあえず心電図をとってみました。
目についたのはⅢ、aVF誘導のST上昇とⅢ誘導でのQ波。
残念ながら当院では今までに一度も心電図検査は行っていません。
従って以前の心電図と比較することは出来ません。
わずかに2006.12の健診で「心電図異常なし」という事実だけです。
糖尿病の治療を行っている病院での心電図もわかりません。
以下は今回の心電図。
急性下壁心筋梗塞を疑う所見ですが、もしそうだとしても昨日の発症とするにはQ波の発現が早過ぎます。
四肢誘導
胸部誘導
1、Ⅱ、Ⅲ誘導
胸部レントゲン写真 異常なしSpO2 97% 脈拍数 54/分Rapicheck H-FABP 陽性! 心筋トロポニンやCK を含めた血液検査を行いましたが、残念ながら結果や翌日になってしまいます。
消化器症状などの胸痛のない下壁梗塞はしばしばあります。
そのため発症時間が特定出来ないケースも稀ではありません。
徐脈もあることから、まず急性下梗塞だろうと、糖尿病で通院中の病院へ紹介状を書き入院を依頼しました。
バイタルもよく、当院へは一人で自家用車で来院されていたので自分で運転して病院へ向かっていただきました。
さて、その翌朝(2011.6.17)。
入院となれば、病院から返書がFAXで届きます。
返書が届いていないので、気になってご本人の家に電話しました。
本人いわく「血液検査で異常なく、心エコーでも動きがよいので明日でも明後日でもいいから循環器内科の外来を受診しなさい」と言われたとのこと。
どうやら、入院は必要ではないという判断だったようです。
しかし、電話の会話の中で「今朝からフラフラするので血圧を測ったら70しかない」ということを聞き出しました。
すわ「右室梗塞による低血圧で補液が必要か」と気をまわした私は、「これからすぐに病院に行って、是非入院をお願いしなさい」と指示しました。
相前後してFAXで届いた当院から提出した血液検査の結果を以下のごとし。
AST 30、ALT 35、LDH 226、CK 72、CRP 4.77(3+)
WBC 7300(軽度の左方移動を伴う)、心筋トロポニンT 0.013(〜0.014)
CRP以外は見事に期待(?)を裏切るものでした。
診察中の11時頃に報告種がFAX で届きました。(日付は2011.6.16となっており、帰宅の指示を出した担当医)
以下、要約。
■「自分の鼓動を強く感じるような状態で、その脈がゆっくりであったため心配となったこと」「胸部絞扼感は自覚しないこと」「受診時には全く症状は消失」
( → 本人は私に対してより、的確に担当医に話している。要するに、しっかり問診している!!)
■心電図は洞調律でST変化は認めない。
■トロポニンTは陰性。2時間フォローしたCK/CKMBは変化なし。( → あのH-FABP陽性はなんだったのか?!)
■心エコー上、局所壁運動低下なし。収縮良好。弁膜症なし。心不全所見なし。
■以上よりACSの可能性は低いと判断し、帰宅させた。 さて、その後しばらく本人とは音信不通となりました。
6/21 の午前中の診察中に本人から電話あり。
「その後、ペースメーカーを首から入れられて(temporary PM)、その後に胸にペースメーカーが入った(permanennt PM)とのこと。やっと歩行許可が出たのでお電話さしていただきました」という内容。
思わぬ展開にびっくりしました。
同日の午後、2回目のFAXが入りました。
■診断名 ①洞不全症候群 ②完全房室ブロック
■6/16 救急受診時も接合部調律もしくは完全防室ブロックでしたが、脈拍安定しており帰宅されました。
(私的コメント; 回答書は同じドクターが書いています。初回の文面では洞調律と記載。私の紹介状に先入観を持たれたのか、初回では完全にACSの否定のための検査とその結果の記載でした。帰宅させた理由も前回とも違って書かれています。)
■ 翌日の外来では、高度徐脈となっており、即日入院となりました。入院後も、やはり虚血を示す所見は認めませんでした。
■6/21 DDDペースメーカー 植え込み。
■6/28 が依頼再診予定で、虚血の関与を否定すべく検査を予定。
回答書を見て思わず冷汗が・・・。診察中でしたが、早速心電図をナースに出してもらって見直してみました。
6/16の心電図で ST変化とQ波に気を取られてP波がない(sinus arrest or SA block)ことを見落としていたのです!。
(房室接合部の中央部にペースメーカーがある場合で、逆伝導性P波はQRS波に重なって認められない。)
病院の医師も「洞調律」と書いて来たわけですから、その時点ではどうも見落としていたようです。
ディバイダーをあててみましたが、RR間隔は実に一定で脈拍数もきっちり50/分でした。
「目から鱗」の思いでしたが、その後急速に悪化したのは何故だったのでしょうか。
以上、冗長に書きましたが問題点、疑問点、反省点をちょっと整理してみます。
①sinus arrest + AV junctional(idionodal) escape rhythm
<参考>
以前は、補充収縮の発生部位として房室結節が重視されていたが、近年は房室結節の自動能は少なく、ヒス束および冠静脈洞 (coronary sinus) の細胞のペースメーカー活動が重要な役割を持つことが明らかとなった。
心電図所見のみから、補充収縮ないし補充調律の発生部位を、房室結節,冠静脈洞部、ヒス束などと特定することは困難であるため、これらの部位の包括的な名称として房室接合部性 (A-V junctional) という言葉が一般的に用いられている。以前は結節性補充収縮 (AV nodal escaped beat, nodal escape) や結節性補充調律(ーrhythm)と呼ばれていたが、近年、この言葉はほとんど用いられなくなった。
出典 http://www.udatsu.vs1.jp/escape.htm
この原因は一体何で、そして何時から起こったのでしょうか。
右冠動脈の末梢枝が酵素の上昇を来さない程度の小梗塞を起こして洞停止を起こしたという報告例はないのでしょうか。もとも確認するのは困難かも知れませんが。
洞結節枝 sinus node arteryが洞房結節および房室結節も血行支配しているのですが、洞房結節がそもそも虚血に晒されやすいのか否なのか、洞停止の原因は変性なのか虚血なのか私にはわかりません。
もし右冠動脈に微小梗塞が起こったなら(こういったことが実際に起こりうるかどうかもわかりません)permanent PMIの適応でしょうが、迷走神経刺激によるものならtemporary PMIでよいことになります。
②当院でのH-FABPが 陽性だったのは何故でしょうか?心筋トロポニンTとの乖離は時間的なものでしょうか?
③炎症反応が陽性だったのは何を意味するのでしょうか?
しっくり来ないことばかりです。
教訓(自戒)
①心電図は先入観にとらわれずきちんと落ち着いてみること。
②外来患者で通院中の方で生活習慣病の方、特に心疾患のリスクファクターのある方(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)は最低、年に一度は心電図(可能な負荷心電図)をとろう。
Idionodal escape rhythm is a not uncommon manifestation of myocardial infarction,particularly inferior wall myocardial infarction. This is because inferior wall myocardial infarction is often associated with disorders of the S-A node, thereby keading to sinus arrest,sinusu bradycardia or S-A block.Leo Schamroth;The Electrocardiology of Coronary Artery Disease
この有名なText BookのOsler先生の引用はちょっと痺れます。
The value of experience is not in seeing much, but un seeing wisely.
William Osler
<番外編>
女性 39歳
昨日たまたま健診で来院されました。
動悸などの症状は全くありません。
四肢誘導

胸部誘導
V1のみピックアップ。
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この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。 日医新報 No.4513 2010.10.23 P72-73の「質疑応答」に「健診で発見された無症状の心電図異常」という記事が出ていました。促進型心室固有調律(accelerated idioventricular rhythm:AIVR)の症例です。きょうは、このAIVRで勉強しました。(執筆者 日大・笠巻祐二先生) ここからは、この記事からの抜粋です。■AIVRは、心室期外収縮に似た幅の広いQRS波がP波と無関係に規則正しく出現するのが特徴であり、心拍数が60〜110/分、非発作性のもので、His-Purkinje系の自動能亢進によると言われている。■通常、急性心筋梗塞や冠動脈の再疎通成功直後やジギタリス中毒などの時に出現することが多いとされており、通常特に治療を要しないことが多い。■特徴として、Schamrothは、①異所性興奮の発生は先行する洞調律とは無関係である。②異所性興奮の心拍数は55〜108/分である。③AIVRが発生するのはa.異所性調律が洞調律より速くなった時(私的コメント:原文は「早くなった時」)b.異所性調律が洞調律より遅くなった時c.aとdが結合した時d.房室ブロックや洞房ブロックが出現した時に発生する。④AIVRは、通常数個の融合波形で始まる。⑤異所性興奮の興奮部位は、洞調律からの保護がない。としている。(Schamroth L.:I Electrocardiol 1:205,1968)■AIVR30例中、明らかな心疾患を認めなかった例は2例のみであり、その他は急性心筋梗塞、虚血性心疾患、大動脈弁閉鎖不全症、先天性心疾患などを合併していた。(Massumi RA,et al :Am J Cardiol 26:170,1970)■基礎心疾患がなければ一般に良性の不整脈とされているが、心室細動に移行するという報告もある。■健診で発見されるような無症状の場合も突然死のリスクをチェックする必要がある。 心臓電気生理学的検査 心室頻拍誘発試験 加算平均心電図による心室遅延電位の検討その他の検査 心エコー 運動負荷心電図 ホルター心電図 アトロピン負荷試験出典 日医新報 No.4513 2010.10.23 P72-73版権 日本医事新報社 <関連サイト>心室固有調律http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E9%9B%BB%E5%9B%B3#wide_QRS_regular_Tachycardia ■心室固有調律は心室由来の補充調律である。心室期外収縮に似た幅の広いQRS波がP波と関係なく規則正しく出現するのが特徴である。期外収縮と補充調律の違いは予定されるQRS波より早く出現するか、遅く出現されるかによって決まる。早ければ期外収縮であり、遅ければ補充調律である。■房室接合部調律と同様に心拍数により60bpm以下の心室固有調律と60~100bpmの促進性心室固有調律(AIVR)に分類される。心室固有調律は房室ブロックで認められることが多い。また潜在性房室接合部機能障害を認める場合は洞徐脈、洞房ブロック、洞停止、徐脈性心房細動でも認められ る。心室筋の補充調律は20~40bpmが本来であるため心室固有調律は著しい徐脈となり、失神といった症状があり、ペースメーカーの適応となることが多い。■促進性心室固有調律(AIVR)は心筋梗塞でPTCAや血栓溶解療法後に再灌流を得られた場合に認められる良性所見であり原則としては治療は必要ない。■AIVRの開始と終了に融合収縮が認められることがある。 補充調律:Escape rhythmhttp://d.hatena.ne.jp/nishionishi/searchdiary?word=%2A%5B%BD%DB%B4%C4%B4%EF%C6%E2%B2%CA%5D ■AIVR(accerated idioventricular rhythm):促進性心室固有調律○普通心室固有調律は20〜40/分だが、自動能が亢進する状態(虚血・低酸素・ジギタリス中毒・カテコラミン↑)ではAIVRとなる。○60〜100/分であり通称Slow VT(100以上はVT)。○AMI急性期(特に再灌流直後)に認める事が多い。○予後良好でリドカイン不要。切り替わりの時にNSRと重なるとFusion beatを認める。 AIVR(スローVT)http://www.t-heiwa.com/eggnurse/log_sindenzu.html■AIVRは促進性(頻拍性)心室固有調律と言い、60-120/min前後の心拍数の心室性頻脈です。この調律は、洞結節や心房、房室接合部すべてのペー スメーカーが働くなったとき出現します。洞性徐脈など心拍数が少なくなったときに出現しやすく、その補充調律として捉えられ、緊急性はありません。心室頻 脈(VT)との鑑別は心拍数でみます。VTは120/分以上のものを言います。 心室調律ですが血圧が維持できているなら、治療の必要性はなく、経過観察だけでよいとされています。まれに心室頻拍へ移行することがあるので、それをふまえた観察と準備をしておかなければなりません。 AIVR http://blogs.yahoo.co.jp/ecgmonitorcheck/7481212.html Slow VTはVT?
(私的コメント;この心電図は「ハート先生のブログ」から引用させていただきました) http://blogs.yahoo.co.jp/soyashi/3696304.html AIVR/PVCshttp://www.medhelp.org/posts/Heart-Disease/AIVR-PVCs/show/253275Accelerated Idioventricular Rhythmhttp://emedicine.medscape.com/article/150074-overview AIVR in anterior wall myocardial infarction after thrombolysishttp://cardiophile.org/2010/08/aivr-in-anterior-wall-myocardial-infarction-after-thrombolysis.html AIVRで梗塞部位を推定し得た心筋梗塞の一例http://157.1.40.181/naid/110006914596 地震、津波による被災地での注意すべき心臓疾患 http://blogs.yahoo.co.jp/soyashi/64161108.html <症例報告>明らかな器質的心疾患を伴わなかった促進型心室性固有調律の一例http://opac.lib.yamanashi.ac.jp/meta-bin/mt-pdetail.cgi?cd=00028351 Effects of left ventricular unloading on reperfusion-related AIVR in acute myocardial infarction
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2644383/ Acute Inferior STEMI with 3rd Degree / Complete Atrioventricular Block and Accelerated Idioventricular Escape RhythmAccerated Idioventricular Rhythmhttp://www.lookfordiagnosis.com/mesh_info.php?term=Accelerated+Idioventricular+Rhythm&lang=1 AIVR and NSVT
http://www.medhelp.org/posts/Heart-Disease/AIVR-and-NSVT/show/254950
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。
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両室ペーシングが右室心尖部ペーシングに勝る近年,観察研究などから徐脈性不整脈の治療に最も汎用されてきた右室心尖部(RVA)ペーシングによる左室機能や予後の 悪化が示唆されている。香港中文大学(香港)心臓病学のCheuk-Man Yu教授らは,左室駆出率(LVEF)が保持された徐脈患者を対象とした多施設二重盲検試験Pacing to Avoid Cardiac Enlargement(PACE)において,LVEFの保持と左室リモデリング進展予防には,両室ペーシングがRVAペーシングに勝ったと米国心臓協会 (AHA)学術集会で報告。New England Journal of Medicine(NEJM,2009; 361: 2123-2134)にも発表した。
1年後のLVEFに7.4%の開き
今回の対象は,LVEFが45%以上とほぼ正常で,洞不全,高度房室ブロックによる徐脈のためペーシングの適応とされ,両室ペースメーカー(InSync III,Medtronic社)の植え込みに成功した177例。持続性心房細動,急性冠症候群などは除外した。
Yu教授らは対象をデバイスの設定により,(1)試験開始時に中国・香港で標準療法であったRVAペーシングを受けた88例(RVA群)(2)両 室ペーシングを受けた89例(両室群)―の2群にランダムに割り付け,1年間追跡した。両群の背景因子には,両室群で拡張期血圧が高かった以外に有意差は なかった。
まず1次エンドポイントのLVEFは,RVA群ではベースラインの61.5±6.6%から1年後には54.8±9.1%へ有意に低下したのに対し,両室群では61.9±6.7%から62.2±7.0%と,両群に7.4%の差が認められた(P<0.001)。
左室リモデリングを防ぐ
同じく1次エンドポイントである1年後の左室収縮末期容積は,RVA群では35.7±16.3mLと,両室群の27.6±10.4mLに比べて 8.1mL(ベースラインからの変化で25%)有意に大きかった(P<0.001)。拡張不全の有無を含め,事前に設定されたサブグループ解析では,LVEF,左室収縮末期容積はともに,一貫して両室群で良好に保たれていた。
両群で2次エンドポイントの1年後の左室拡張末期容積,6分間歩行距離,QOLに有意差はなかった。
同試験には,臨床イベントの相違を検出する統計学的パワーはないが,RVA群で1例が死亡し,心不全による入院はRVA群で6例,両室群では5例と両群に有意差はなかった。
以上の結果から,Yu教授は「正常LVEFの徐脈患者で,RVAペーシングはLVEF低下と左室リモデリングの悪化をもたらしたが,そうした有害作用は両室ペーシングでは防ぐことができた」と結論している。
大規模かつ長期の検証が必要
両室ペーシングは,心不全患者に対する心臓再同期療法(CRT)で成果を上げているが,コストの問題やリード留置手技が煩雑であるなど課題も少な くない。一方,RVAペーシングによる弊害への対策として,心室ペーシング最小化機能を有するペースメーカーも開発されている。
指定討論者でバージニア州立大学(バージニア州リッチモンド)のKenneth A. Ellenbogen教授は,現行の米国心臓病学会(ACC)/AHA/米国不整脈学会(HRS)2008ガイドラインでは,LVEFが35%を超えるか ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類I~II度の心不全へのペーシングは推奨されていない点を指摘し,「今回の結果を日常臨床に取り入れるまでには,臨床転帰を検討する大規模臨床試験で5年以上の長期追跡が必要」と述べている。
一方,クリーブランドクリニック(オハイオ州クリーブランド)のBruce D. Lindsay博士は,NEJMの論評 (2009; 361: 2183-2185)で「洞不全へのRVAペーシングの有害作用は明らかで,登録基準を高度房室ブロックのためにペーシングを要する例(RVA群62%, 両室群55%)に限定すべきであった」と批判。今回の結果は現行のガイドラインを変更するものではないとし,(1)洞不全を伴う患者には,RVAペーシン グを最小化する現在の標準療法を遵守(2)正常LVEFで高度房室ブロックを伴う全例に両室ペーシングを選択するのではなく,毎年の心エコー検査で患者を注意深くフォローし,左室機能に有意な変化が認められる場合にのみ両室ペーシングに切り替える―などを推奨している。 出典 Medical Tribune 2010.1.15版権 メディカルトリビューン社 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。
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昨日に引き続き同ガイドラインの解説です。
きょうはmanagement部分です。
##ESC心房細動診療新ガイドライン(後編)
##明確な薬物選択の基準が示される
#(2)レートコントロール:lenient(緩めの)コントロールの推奨が加わる オランダで行われたRACEⅡ試験(N Engl J Med2010; 362: 1363-73)の結果がレートコントロールの指針に強く影響している。
Lenient versus strict rate control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2010 Apr 15;362(15):1363-73. Epub 2010 Mar 15. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/20231232
症状がない限り,lenientコントロール(心拍数110拍/分未満)が推奨され,これまでのような厳格な心拍数管理は,症状のある場合に薦められるという記載に変化した。
同時に,厳格なレートコントロールを行う場合には,24時間心電図で安全性を評価することが必要とされている。
選択する薬物としては,β遮断薬,Ca拮抗薬,ジギタリス製剤(ジゴキシン)が挙げられ,薬物に関する大きな変更点はなく,これらの指針は日本の医療にそのまま応用可能と考えられる(図1)。
#(3)リズムコントロール:抗不整脈薬の選択はより単純化の方向へ
今回のガイドラインで抗不整脈薬の位置付けがこれまでになく明確化された。
抗不整脈薬治療の原則として記載されたものを下に示す。
1. 抗不整脈薬治療は症状を軽減する目的で行うものである
2. 抗不整脈薬で洞調律を維持する効果は”modest”である
3. 抗不整脈薬治療は心房細動の再発をなくすものではなく,減
らすことで臨床的には成功と考えるべきである
4. 1つの抗不整脈薬に効果がない場合,他の抗不整脈薬が効果を
示す場合があるかもしれない
5. 抗不整脈薬による新たな不整脈の出現,心外性副作用はしば しば生じる
6. 抗不整脈薬の選択は効果よりもまず安全性を指針とすべきで
ある
以上の記載は,抗不整脈治療における抗不整脈薬の位置付けを,これまで以上に明確にしたと考えられる。
その結果,抗不整脈薬の選択は簡潔なものとなった。上記の原理原則に基づけば,細かな選択基準が無用なものとなるためだろう。
基礎心疾患のない場合は,Ⅰ群薬,もしくはdronedarone/ソタロールを用い,無効な場合にアミオダロンが選択される。
基礎心疾患のある場合には,重症心不全を除いて第一選択薬はdronedarone,無効な場合にアミオダロン,重症心不全ではアミオダロンが第一選択薬となっている(図2)。
大ざっぱにとらえると,第一選択薬dronedarone,第二選択薬アミオダロンと暗記するだけですむ程度にまで簡略化されたと言えるかもしれない。
このような選択方法の基本には,心電図指標でなく患者アウトカムをエンドポイントにおいた臨床試験の成績が強く影響していると思われる。
一方で,日本ではまだdronedaroneの治験が行われておらず,当分の間このガイドラインを用いることはできないだろう。
ただし,近々アミオダロンが心不全合併心房細動に対して保険適用がなされる予定とされており,このガイドラインからdronedarone,そして基礎心疾患のない場合におけるアミオダロンを除けば,そのまま日本の医療に適応可能ではないかと思われる。
いずれにせよ,日本では抗不整脈薬の種類が多すぎること,同時にこれまで安全性が軽視されて用いられてきた傾向があることは否めない。
このESCガイドラインに見られる明確なコンセプトと抗不整脈薬選択の単純化は,今後日本にも取り入れていくべき課題だろう。
#(4)カテーテルアブレーション:より重要な位置付けに カテーテルアブレーションに関する臨床試験の成績が蓄積され,心房細動治療における位置付けがこれまで以上に明確化されている(図3)。
これまでに良好な成績を示した臨床試験の多くは,有症候性で器質的心疾患のない発作性心房細動を対象としていることから,有症候性発作性心房細動(器質的心疾患なし)あるいは持続1年未満の持続性心房細動に対してClassⅡaと位置付けられ,アミオダロンより上位の選択肢として位置付けられた。
一方で,器質的心疾患を伴う場合にはClassⅡbの位置付けで,アミオダロンと並列あるいは下位の選択肢となっている(図2)。
このガイドラインは,現在日本で行われているカテーテルアブレーションの現況を追認するものかもしれない。
器質的心疾患のない発作性心房細動,あるいは持続1年未満の患者で症状があり,Ⅰ群薬の投薬で患者が満足できない場合にはⅢ群薬を選択するよりむしろカテーテルアブレーションを選択することが日本でも主流になりつつあり,欧州と日本の考え方が近いことを表しているのかもしれない。
#(5)アップストリーム治療:冷静な評価の時代に
これまで大きな期待を寄せられてきたアップストリーム治療であるが,今回のガイドラインでは一歩退いた位置付けとなった。「動物実験で示された可能性は,臨床試験では追試できていない」と書かれ,現時点で心不全例における1次(発症)予防としてのレニン・アンジオテンシン(RA)系の抑制,外科手術時のスタチンを除いてエビデンスは十分でないとされている。
なお,本文中には日本で行われたJ-RHYTHMⅡ試験の結果も引用された。
リコメンデーションとしては,心房細動の一次予防と二次(再発)予防が明確に区別され,一次予防の非心房細動例では心不全・高血圧に対するRA系抑制,心臓手術時のスタチン投与がClassⅡa,危険因子を持たない例に対するRA系抑制がClassⅢという位置付けだ。
二次予防では心房細動例での心房細動再発目的のRA系抑制はすべてClassⅡbとランクが低く置かれることになった。
#ここ数年のエビデンスや考え方の進歩を反映したガイドライン
リコメンデーションは200を超えるが,すべての文章で主語・述語が整えられ,推奨のレベルが明快だ。
日本の循環器ガイドラインの多くが文章ではなく,名詞で終わる箇条書きとなっており,推奨レベルが不明瞭となりやすいことと好対照かもしれない。
今回のESCガイドラインは,ここ数年に生じた心房細動診療,あるいは考え方の進歩が広く取り入れられ,かつ実臨床での実践を強く意識したものになっていると言えるだろう。
出典 MT pro 2010.9.10
版権 メディカルトリビューン社
<きょうの一曲> So What
So What - Jonh Coltrane and Miles Davis
http://www.youtube.com/watch?v=RjwVwASlVn4&feature=related

ピエール・ボンコンパン 「中国製の鉢とメロン」 油彩 8号
http://www.seikougarou.co.jp/sell/PierreBoncompain/1532.html
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「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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