戯れ言たれる侏儒
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スタチン療法の長期継続

戯れ言たれる侏儒 / 2012.02.04 00:06 / 推薦数 : 0
有効性と安全性を確認 スタチン療法の長期継続
Heart Protection Study (HPS)Collaborative Groupは,心血管疾患の高リスク者を対象としたランダム化比較試験(RCT)による長期追跡研究を行い,「スタチン療法から得られる心血管イベントのリスク低下などの便益は,同療法の長期継続でより増大し,治療中止後も5年以上にわたって持続していた」との結果をLancet(2011; 378: 2013-2020)に発表した。
また,同研究では平均11年の追跡期間中,がん発生率やがんによる死亡率,心血管疾患以外の原因による死亡率の上昇は見られず,その安全性も確認された。
 
試験終了後さらに6年間追跡
HPSでは心血管疾患の高リスク者2万人超をシンバスタチン(40mg/日)群またはプラセボ群のいずれかにランダムに割り付け,約5年間にわたり治療 を行った。
その結果,LDLコレステロール(LDL-C)が約38mg/dL低下することで心血管疾患や心血管死のリスクが約4分の1低減することが示された。
しかし,スタチン系薬の長期使用による有効性と安全性をめぐっては,現在も議論が続いている。
そのため,HPSでは試験終了後さらに約6年にわたり追跡調査を実施した。
主要エンドポイントは,ランダム化後の初回主要心血管イベントとした。
その結果,試験終了後の追跡期間中,スタチン系薬の使用率と血中コレステロール値は両群で同等であったにもかかわらず,シンバスタチン群では試験期間中 に認められた心血管イベントや心血管死のリスク低下はその後の追跡調査期間中も維持された。
また,試験期間と試験後の追跡期間を合わせた平均11年間で, すべての部位のがん発症〔リスク比(RR)0.98〕,がんによる死亡(RR 1.01),心血管以外の原因による死亡(RR 0.96)に有意差はなかった。
 
信頼性の高いエビデンス
今回の結果を踏まえ,同グループは「スタチン療法の長期的な便益に関する信頼性の高いエビデンスが得られた。
また,試験後の追跡結果も,長期的に LDL-C値を低下させることの安全性に関して,スタチン系薬を処方する側と処方される側の双方に安心感を与えるものであった」と結論付け,「心血管疾患 の高リスク者にはスタチン療法の迅速な開始と長期継続を考慮すべき」との見解を示している。
 
さらに,同グループの一員で心臓保護共同研究グループ臨床試験サービスユニット(オックスフォード)のRichard Bulbulia博士は「試験後約6年間の追跡期間中もスタチン療法の便益が持続していたことは注目に値する。
さらに,11年間にわたる追跡期間中にがんや他の重要な疾患のリスク上昇が認められず,その安全性についても信頼できるエビデンスが得られた」とコメントを寄せている。
 
医師は安全性に自信が持てる
Brigham and Women's病院(ボストン)心血管部TIMI研究グループのPayal Kohli博士らは,今回の研究結果について同誌の付随論評(2011; 378: 1980-1981)で「HPSを含む複数のRCTから,長期のスタチン療法の有効性と安全性を示すエビデンスが得られた。
これらの結果を考慮すれば,ス タチン系薬の使用に際しては懸念の必要はなく,心血管リスクの高い患者の治療では,医師はその安全性に関して自信を持って同薬を活用してよいだろう」と述べている。
 
出典 Medical Tribune 2012.2.2
版権 メディカル・トリビューン社

 
 

熊谷守一 『鬼百合に揚羽蝶』
http://kokura.keizai.biz/headline/photo/252/
東京国立近代美術館蔵
 
■百合の花とアゲハが逆三角形の構図を成し、下部に黒色を配したことが、画面に安定感を与えている。
■画面を縦に走る百合の茎のか細さが緊張感を生み出す。アゲハの羽ばたきにも、揺れてしまいそうだ。
■筆は一方向に動くのが特徴。この絵は百合の花びらの中も横に塗られている。
■1964年、初めてのパリでの個展でポスターに採用されたこの作品は、シャープで洗練されている。
■アゲハの下部の黒色には濃淡があり、ゆらぎが生じている。
■さらりと描くようでいて、二次元にどう落とし込むか色や画面の配置を考え抜いている。
■いのちの形をふっととらえ、作品の中に生きながらえさせている。
(「朝日新聞・夕刊 2021.25 」より)

 

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閉経後のスタチン使用で糖尿病発症リスク1.5倍
米WHI試験15万人のデータ解析
米・メイヨークリニックのAnnie L. Culver氏らは,女性健康イニシアチブ(WHI)試験約15万人のデータを分析し,閉経後のスタチン使用で糖尿病発症リスクは1.5倍に上昇するという結果を報告した(Arch Intern Med 2012年 1月9日オンライン版)。
スタチンの種類,強度にかかわらず関連が認められ,薬剤クラスが糖尿病発症に影響しているのではないかと結論付けている。
 
ベースラインのCVDの有無にかかわらず,有意なリスク上昇
WHI試験は1993~98年,50~79歳の女性16万1,808人を3つの臨床試験アーム,前向き研究アームに登録し,現在も追跡を継続している大規模試験。
Culver氏らは,2005年のデータを用い,スタチン使用と糖尿病の関連を分析。
また,effect modificationを明らかにするため,人種,肥満状況,年齢などによるサブグループ解析を行った。

ベースラインのデータで糖尿病がない15万3,840人(平均年齢63.2歳)のうち,7.04%がスタチンを使用していた。内訳はシンバスタチ ン30.29%,lovastatin 27.29%,プラバスタチン22.52%,フルバスタチン12.15%,アトルバスタチン7.74%などであった。

100万4,466人・年の追跡中,スタチン使用群で1,076人(9.93%),非使用群で9,166人(6.41%)の糖尿病発症があった。
スタチン使用群における糖尿病発症のハザード比(HR)は非使用群と比べて1.71(95%CI 1.61~1.83)と高かった。Cox比例ハザードモデルを用い,年齢,人種,教育,喫煙,BMI,身体活動,飲酒,エネルギー摂取,糖尿病家族歴,ホ ルモン補充療法,研究アーム,自己申告によるベースラインの心血管疾患(CVD)の既往を調整したところ,HRは1.48(同1.38~1.59)と低下 したが,いまだに有意だった。

リスク上昇はすべての種類のスタチンで認められ,低用量と高用量に分けた場合の調整後HRは1.48と1.45とほぼ同等だった()。
 

photo
 
ベースラインのBMI(25未満,25~29.9,30以上)別に見ると,すべての群でリスク上昇があった。
調整後HRは1.89(同 1.57~2.29),1.66(同1.48~1.87),1.20(同1.09~1.33)で,BMI 25未満でリスク上昇が最も顕著だった。

また,ベースラインのCVDの有無にかかわらず,スタチンは糖尿病のリスクを高めていた。

リスクを明らかにし最適な使用法を探る必要あり
年齢層や民族別に分析しても一貫したリスク上昇が認められた。
他の人種と比べアジア系ではスタチンによるリスク上昇が最も顕著だった。
 
さらに,スタチンのベースラインのみの使用,3年後のみの使用,長期使用(ベースラインと3年後の使用)に分けて分析しても,いずれも同様の結果となった。

以上は閉経後女性においてスタチン使用で糖尿病発症リスクが上昇することを示唆しているが,Culver氏らによると脂質,C反応性蛋白(CRP),HbA1cのデータがなく,スタチン使用者の糖尿病リスクが明らかでないなどの研究限界もある。

Culver氏らは,スタチンは糖尿病の有無によらず血管死や総死亡を改善するため,ガイドラインに基づいた使用を変更すべきではないと指摘しつつも, 汎用されている薬剤であるため,性,民族ごとの糖尿病リスクを明らかにし,最適な使用法を探る必要があるだろうと締めくくっている。          (木下 愛美)

 

出典  MT Pro 2012.1.10
版権 メディカル・トリビューン社

 

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スタチン未治療患者のプラークは治療初期に特異的な反応をする可能性
スタチン未治療患者における頸動脈プラークの性状は多様で、LDLコレステロール(LDL-C)がその重要な影響因子である可能性が示唆された。
高解像度3D MRIとプラーク解析ソフトを用いた研究で明らかになったもの。
フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で、 米国Pittsburgh Allegheny General HospitalのRobert Biederman氏らが報告した。
 
アテローム性動脈硬化はスタチン治療により安定化が図られる。
しかし、プラークの安定化やそれに続く退縮のイメージをMRIにより画像的に調べた成果は知られていない。
 
Biederman氏らは、スタチン未投与であることを確認した進行性頸動脈疾患患者27人(狭窄率50%以上、平均狭窄率64±21%)の頸動脈プラークを1.5テスラMRIを用いて解析した。
 
対象者にはシンバスタチン単独、あるいはシンバスタチンとエゼチミブ併用による治療が行われ、治療開始前と治療1年後の頸動脈プラークの変化が比較された。

評価項目は、プラークが存在する血管壁の2次元および3次元画像に基づく、脂質蓄積、線維性被膜、血管外壁、血管壁、内腔の変化とした。
加えて、プラーク解析ソフトであるQPlaque(Medis社、オランダ)を用いてプラークの形質も評価された。
 
QPlaqueは、心臓MRIのT1、T2、およびPD画像からプラーク形態の構成要素を認識し、画像として描出する。脂質コアおよび血管内腔の輪郭は、T2画像で確認・特定した。
 
対象患者の頸動脈プラーク画像(2mmスライス厚)は治療開始前と1年後に、それぞれ707スライス撮影された。

ベースライン時の撮影で、42の両側性プラークが特定され、そのうち39がMRIより明瞭に描出された。
両側性プラークを認めた患者の平均年齢は68±15歳だった。

対象の治療前のコレステロール値は、LDL-Cが60~189mg/dL(平均142)、HDLコレステロール(HDL-C)は23~71 mg/dL、トリグリセライド(TG)は80~214 mg/dLだった。

血管壁に占める脂肪蓄積部位の面積比は30±4%、線維化プラークは同様に9±22%だった。

スタチンによる1年間の治療後、患者検体707標本のうち329標本(46.5%)で退縮を認め、378標本(53.5%)では進展を認めた。

退縮例では、血管外壁、血管壁、 線維化プラーク、内腔で有意な退縮を認め(いずれもP<0.0001)たが、内腔面積も減少した。

一方、進展例では、内腔面積以外で有 意な進展を認め(各P<0.0001)、内腔面積は縮小と拡大に分かれた。LDL-Cの4分位による解析では、LDL-Cは内腔面積の変化率と有意ではな いが相関傾向を示し、内腔径とLDL-C変化率は有意な正の相関を示した(P<0.02)。

以上の結果から、スタチン療法未治療患者においては、脂質を調整するスタチンなどの投与初期に内腔面積には“逆説的”な影響を与える可能性が示唆された。

説的とは、血管壁面積と脂質蓄積の減少とともに内腔面積も減少したこと、あるいはその逆の変化を示す。Biederman氏は「これらの結果はすべて、LDLの変化率の影響と考えられる。プラーク組成の変化における不均一性も、LDLのコントロールによって解決されるのではないか」と結論した。
 
出典  NM online 2011.11.22
版権 日経BP社
 
<私的コメント>
この発表は頸動脈プラークに関するスタチンの影響をみたものです。
また、エゼチミブも併用しているケースもあるので、新しいプラーク解析ソフトを用いたことも含めてENHANCE試験の進化系(?)と言えるかも知れません。

冠動脈プラークでなく頸動脈プラークを対象にしたのは手技の簡便性によるものと思われます。
AHAでの発表なので、演者としては本来ならば冠動脈のプラークに関して発表したかったのではないでしょうか。
この知見が冠動脈にも敷衍できるかどうかは、当然のことながら考察では述べているとは想像されます。
しかし、はたして冠動脈でも同様な結果になるのでしょうか。
冠動脈のプラークの方がはるかにデリケートであり破綻し易いものと思われます。
私自身勉強不足でこんなことを言っていいかどうかわかりませんが、頸動脈プラークの破綻はあまり聞いたことがありません。
実際にはどうなんでしょうか。
 
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“最強スタチン対決試験”を読み解く
代田浩之氏,平山篤志氏に聞く
今年(2011年)の第84回米国心臓協会年次学術集会(AHA 2011:11月12~16日,オーランド)で発表され,N Engl J Med2011; 365: 2078-2087)に同時掲載されたSATURN試験。
Study of Coronary Atheroma by InTravascular Ultrasound: Effect of Rosuvastatin Versus AtorvastatiN

冠動脈に20%以上の狭窄がある症候性冠動脈疾患患者約1,000例を対象に,現状考えられる最強度の強化スタチン療法2レジメンを施行し,プラーク退縮効果を比較したものだ。結果は,11月17日に紹介した通り,両群ともに前例のない同等の大きな効果を示した。

そこで,順天堂大学循環器内科学教授の代田浩之氏,日本大学循環器内科学教授の平山篤志氏への取材を基に,SATURN試験をより詳細に読み解き,日本の臨床における意義を探った。
 
TAVはプラークの絶対量を,PAVは血管径をも反映する指標
SATURN試験では,血管内超音波(IVUS)を用いた標的冠動脈に対する評価が行われ,1次評価項目としてプラーク容積率(PAV)の変化 率,2次評価項目として全プラーク容積(TAV)が設定された。
治療104週後,PAVはロスバスタチン群,アトルバスタチン群ともにベースラインに比べ 有意に減少したが,群間差は認められなかった。
一方,TAVも両群ともに著明に減少したが,その程度はロスバスタチン群の方が有意に大きく,TAVの減少 が認められた患者の割合もロスバスタチン群の方が有意に高率だった。

類似しているように見える2つの指標だが,その臨床的意味は異なる。
平山氏によると,近年の臨床試験の結果から,心筋梗塞などの冠動脈イベントのリスクとして,
(1)プラークの不安定性,
(2)プラーク容積の絶対量,
(3)血管径の小ささ
―が提唱されている。
このうち(1)は今回のSATURN試 験では評価の対象外である。TAVは(2)そのものだ。
これに対し,PAVは血管全体に占めるプラーク容積の割合であり,(2)のみならず(3)をも評価 する指標だという。 

PAVとTAVは基本的に相関するが,そうでない場合も存在すると同氏は指摘する。
具体的には,血管径に変化がなくプラーク容積が減少した場合は,PAVもTAVも減少し,血管内腔は拡大している。
しかし,血管径が縮小しプラーク容積が減少した場合ではTAVは減少しても,PAVは減少せず,血 管内腔は拡大していない。

SATURN試験を実施したクリーブランドクリニック(米国)のグループがTAVではなく,PAVを1次評価項目に設定したのは,このようなこと からPAVの方が臨床的意義の高い指標だと判断したためだと考えられる。
同試験の試験統括者で,同クリニック循環器科部長のSteven E. Nissen氏はMT Proの取材に答え,PAVが臨床イベントと最も強い相関があることを強調している。
 

必ずしもPAVの方が有用といえない
ただし,代田氏はTAVに比べPAVが必ずしも臨床的に有用な指標とはいえないと指摘する。

同氏によると,一般にスタチンは,動脈硬化による病的変化である血管のポジティブリモデリングを改善(=血管径を縮小)しながらプラークを縮小させるという。
血管内腔の保持という点だけに注目すると不利な結果をもたらすのだが,スタチンはポジティブリモデリングの改善によって血管やプラークの性状を改善させる
その意味で,PAVはプラーク容積とポジティブリモデリングの両方を評価していることになり,TAVに比べ変動しにくく,PAVを改善することにより大きな意味があるとも言える。

しかし,血管のリモデリングはLDL-Cの低下以外の要因によって規定されている

治療によっては,(血管径を縮小させないで)プラークの性状が改善される可能性も示されており,「PAVとTAVの臨床的意義の差を明確に結論付けられない」とするのが代田氏の見方だ。

なお,両氏とも,ロスバスタチン群でTAVの改善効果が大きかった理由として,同群のほうがLDLコレステロール(LDL-C)の低下が有意に大きく,HDLコレステロール(HDL-C)の上昇が有意に大きかったことを挙げる
その意味では,脂質をより強力に改善することがより強力なプラーク容積の減少に有効であることが示唆される。
 

LDL-Cが高いほどプラークは退縮しやすい
SATURN試験については,PAV変化率に関するサブグループ解析の結果も発表されている。
ひとつには,ベースラインのLDL-Cで層別比較す ると,PAV減少率はLDL-C低値群に比べ高値群で有意に大きく,LDL-C高値群ではロスバスタチン群の方がPAV減少率が有意に大きかった。
LDL-Cが高いほどプラークが退縮しやすいという結果は,誰もが納得できるところだろう。
一方,両氏とも頭をひねるのは,性差に関する層別解析だ。
PAV減少率は男性に比べ女性で有意に大きく,女性ではロスバスタチン群の方が有意に大きい―この結果をどう解釈するのか。

代田氏はスタチンのプラーク退縮効果に性差があることについては,「HDL-Cのレベルでも交互作用の傾向があるので,HDL-Cがより高い群すなわち女性で差が出やすかった可能性があるが,一方SATURN試験参加者における女性の割合は3割弱。この規模の試験のサブ解析では偶然の結果である可 能性も否定できない」と述べる。
平山氏も,このデータだけでは確かなことはいえないという。

日本におけるLDL-C管理目標値の変更には多くの課題
SATURN試験の結果は,日本の臨床においてどのような意味を持つのだろうか。
両氏ともに高く評価するのは,LDL-Cを強力に低下させた(ロスバスタチン群62.6mg/dL,アトルバスタチン群70.2mg/dL)ことで,強力なプラーク退縮を実現したことだ。
SATURN試験が冠動脈疾患高リスク例に対する強化スタチン療法の有用性を裏付ける重要なエビデンスとなることは間違いない。
代田氏は「スタチン単独で約7割の患者においてプラーク退縮効果が得られたことの意義は大きい」と語る。

しかし,両氏ともに「今後の検討課題」と指摘するのは,日本人冠動脈疾患高リスク例に対するLDL-C管理目標(現行ガイドラインでは100mg/dL)を引き下げるべきかどうか,引き下げるとしたらどのレベルまで下げるかだ。

脂質低下とプラーク退縮の関係は明らかになりつつあるが,日本人における検討は不十分だ。
LDL-Cを下げるほどプラーク退縮効果は大きくなるのが,その効果はベースラインのLDL-Cが低くなるほど小さくなり,どこかでプラトーになる。その閾値を明らかにする必要がある」と平山氏。
代田氏は 「厳密な比較ではないが、欧米に比べ日本人のプラークの方が退縮しやすいという可能性も指摘されている。そのことから考えると,日本人のLDL-C管理目標は欧米より若干高めでよいのかもしれない」と述べる。

さらに,両氏とも,プラーク退縮と真の評価項目である冠動脈イベントとの関係についてのエビデンスは欧米を含め不十分だと指摘する。
SATURN 試験で達成された両薬剤のPAV・TAV減少効果,あるいはTAVにおける両薬剤の効果の差がどの程度の臨床イベントの違いに結び付くかは,今後の検討課題となる。
もちろん,日本人において現行より強力なスタチン療法を行う上では,安全性に対する綿密な検証も重要だ。

強化スタチン療法の意義を示したSATURN試験だが,プラーク退縮という観点からLDL-C管理目標値を変更するには,解決すべき多くの課題が残されている。

この分野の新研究成果が注目される。  (平田 直樹)
 
出典 MT pro 2011.12.19
版権 メディカル・トリビューン社  
 
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ポストスタチン新候補となるか? メトトレキサートの心血管疾患治療薬としての可能性
米のシステマチックレビュー・メタ解析
ポストスタチンの主導権争いの行方がいまだ混沌としている中,米ハーバード公衆衛生大学院のRenata Micha氏らは関節リウマチ(RA)などの治療に用いられるメトトレキサート(商品名リウマトレックス,以下MTX)が,心血管疾患(CVD)リスクの低下に寄与する可能性があるとのシステマチックレビュー・メタ解析の結果を今月(11月)のAm J Cardiol2011; 108: 1362-1370) に報告した。
これまで観察研究などで,同薬がRA患者の心血管予後を改善する可能性が示唆されていたが,システマチックレビューやメタ解析はほとんど行われていなかったという。
 
全CVDリスクが21%,心筋梗塞リスクは18%低下
第84回米国心臓協会(AHA)年次学術集会(2011.11.12〜16)では,ストロングスタチンのhead to head試験SATURNが報告。
最高用量の同クラス薬の効果と安全性が確認された一方,なお,約3分の1の患者ではプラークの進展が見られたと報告されている。
また,スタチンとの併用を目的としたいくつかの薬剤に関連する試験も報告。
また,最近では,米国でスタチンとの併用療法の効能が唯一認められていたフェノフィブラートが再度効果確認のための臨床試験を求められるなど,動脈硬化性疾患の治療成績を今後どう上げていくのかは,引き続きホットなトピックといえそうだ。
 
MTXは,RAの症状を改善するだけでなく,以前から同薬を使用しているRA患者では非使用患者に比べ,生命予後が良好であることなどが報告されている(Lancet 2002; 359: 1173-1177)。
Micha氏らによると,同薬の慢性炎症に対する作用がRAそのものだけでなく,CVDリスクの低下にも関連するとのエビデンスが集積されつつあるという。
 
しかし,同薬の使用とCVDリスクの関連を詳細に検討したシステマチックレビューおよびメタ解析は行われていなかったことから,今回,同氏らが検討を実施。
 
RA患者や乾癬,多発性関節炎患者を対象に含む観察研究から,MTXとCVDリスクに関する検討が含まれる10件の報告が対象とされた。10件のうち9件がRAに関するもの(うち1件は乾癬患者を含む)で,1件は多発性関節炎に関する検討であった。
 
これらの報告をメタ解析した結果,MTXによる全CVDリスクの相対リスク(RR)は0.79(10件の試験による解析,95%CI 0.73~0.87,P<0.001),心筋梗塞のRRは0.82(5件の試験による解析,95%CI 0.71~0.96)とそれぞれ有意に低下していた。
それぞれの結果について論文間の異質性に有意差は認められなかった(各 P=0.30,P=0.33)。
 
事前に設定された,異質性の原因となる項目を見たところ,基礎疾患が重度である場合〔相対リスク(RR)0.64,95%CI 0.43~0.96,P<0.01〕,併用薬(同0.73,0.63~0.84,P<0.001)でより強い相関が見られた。
出版バイアスの可能性は示唆された(funnel plot, Begg’s test,P=0.06)が,過剰なリスク評価が考えられる4つの報告を除外した場合のCVDリスク低下の程度に大きな乖離は見られなかった(RR 0.81,95%CI 0.74~0.89)。
 
以上の結果から,同氏らはMTXによる慢性炎症の改善がCVDリスクの低下に直接寄与する可能性が示されたと結論。
また,異質性の検定から明らか になった点を踏まえ,今後,MTX治療のCVDに対する効果を観察研究で検討する場合には,RAなど基礎疾患の重症度にも関連する,MTXによる初期治療の有無や疾患の重症度を補正することなどが必要ではないかと述べている。
 

Ridker氏も解析に参加,メトトレキサートに注目した理由
共同研究者の今村文昭氏に聞く,今回の論文のポイント

今回の論文には,ハーバード公衆衛生大学院のチームに加え,循環器疾患における炎症の研究のトップランナーであるPaul M. Ridker氏も名前を連ねている。
 
MTXの抗炎症作用,循環器領域では「新顔」今回の論文の最大のポイントは,「抗炎症薬」としてMTXがCVDのリスクを下げる可能性があるのかどうかという点。
C反応性蛋白(CRP)に代 表されるように,CVDの発症機序において,コレステロール値の異常や糖尿病,高血圧とは独立して慢性炎症が重要な役割を果たしているといわれている。

そのため,スタチンやその他の脂質異常症治療薬,降圧薬や抗血栓薬などがそれぞれの主要な効果だけでなく,慢性炎症の機序にどの程度有効性を発揮するのかも焦点となってきた。
 
われわれがMTXに着目した背景には,ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害を介した抗炎症作用がある。
これまでCVDリスクを語る上ではあまり注目されてこなかった機序だが,循環器疾患の予防・治療の新たな薬剤としての可能性があると考えている。
 
今回のメタ解析ではMTXがCVDの再発予防薬として有望である可能性が示された。
今後,臨床研究などで効果や副作用のマネジメントに関する詳しい検討が進んでいくことを期待したい。
 
出典 MT pro 2011.11.22
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
<関連サイト>
If bad cholesterol is controlled, adding niacin won’t lower heart attack, stroke risk
http://newsroom.heart.org/pr/aha/if-bad-cholesterol-is-controlled-218966.aspx
 
Experimental drug safely boosts good cholesterol, lowers bad
http://newsroom.heart.org/pr/aha/experimental-drug-safely-boosts-218965.aspx
 
 
 
 
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(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
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CKDの脂質管理

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.29 00:43 / 推薦数 : 0
来年に予定されている動脈硬化性疾患ガイドラインの改訂では,CKDを新たな高リスク群として,脂質管理目標値を考慮する因子に追加する方針を打ち出しています。
このことに関する大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学・庄司哲雄講師へのインタビュー記事で勉強しました。
脂質異常症の管理アップデート CKDの脂質管理
慢性腎臓病(CKD)が,冠動脈疾患(CAD)などの動脈硬化性疾患の高リスク群であることが,種々の疫学調査で明らかになり,またCKDにおける脂質介入試験の結果も明らかになってきた。
こうした状況にかんがみて日本動脈硬化学会では,来年に予定されている動脈硬化性疾患ガイドラインの改訂で,CKD を新たな高リスク群として,脂質管理目標値を考慮する因子に追加する方針を打ち出している。


動脈硬化性疾患の高リスク群としてCKDのより厳重な脂質管理を
 CKDが心血管疾患(CVD)の高リスク群であることについては,国内外の疫学調査で明らかにされてきている。
一方で,脂質代謝障害の機序は原疾患や病期によって異なるため,一様ではないことを踏まえておく必要がある。
さらに,CKDにおける脂質管理の意義についても近年明らかにされてきているが,具体的な目標値の設定には至っていないのが現状だ。
 
少なくとも糖尿病と同程度のリスク意識を
CKDがCVDの高リスク群であることについては,Foleyらが透析患者では一般住民に比べてCVDによる死亡リスクが,55~74歳の年齢層でおよそ10~30倍高いことを報告している〔Am J Kidney Dis 1998; 32(Suppl 3): S112〕。
<私的コメント>
透析患者がCVDの高リスク群であることとCKDがCVDの高リスク群であるというのは違うのでは?

 

また,Goらは,推算糸球体濾過量(eGFR)で評価した腎機能が低いほどCVD発症リスクが高く,古典的危険因子で多変量調節後も有意であり,eGFR 60mL/分/1.73m2(以下単位省略)以上に比べて45~59では1.4倍,30~44では2.0倍,15~29では2.8倍,15未満では3.4倍になることを示した(NEJM 2004; 351: 1296-1305)。
<私的コメント>
「腎機能が低い」原因は何なのでしょうか。
腎細動脈(細小血管)などの内皮障害が原因であるとすれば、腎障害もCVDも同じものを見ているだけになってしまいます。つまり、腎障害が原因でCVDが結果というより両者とも内皮障害の結果ということになります。
このあたりがいつもCKDが理解出来ないところです。
 
わが国のデータでは,まず,CKDが動脈硬化を促進することについて,庄司講師が報告している非糖尿病症例での検討で,健康群に比べて,慢性腎不全保存期症例では内膜中膜複合体厚(IMT)が有意に高値で,維持透析患者と同レベルであることを明らかにした(Kidney Int 2002; 61: 2187-2192)。
Kimotoらも糖尿病性腎症患者では健康群に比べて,脈波伝播速度(PWV)が有意に大きいことを報告している(J Am Soc Nephrol 2006; 17: 2245-2252)。
 
CKDがCVDの高リスク群であることを示したわが国の疫学調査としては,久山町研究,茨城県住民集団研究,NIPPON DATA 90,JALS-ECC,吹田研究などが挙げられる。
その中でも比較的新しい2008年のJALS-ECCでは,2万3,000人以上を7.4年追跡して,eGFR低値とCVDのリスク増大とが関連することが示されている(Circulation 2008; 118: 2694-2701)。
同講師は「JALS-ECCでは,eGFR低値が男性では心筋梗塞のリスク増大と,女性では脳卒中のリスク増大と強く関連しており,腎機能低下とCVDリスク増大との関連に若干の性差があることが示されているのも興味深い」としている。
2009年の吹田研究では,約5,500人を11.7年追跡した結果,やはりeGFR低値とCVDのリスク増大とが関連することが示されている。
ちなみ に,eGFR 90以上と比較したeGFR 50未満の多変量調整後のCVD(心筋梗塞および脳卒中)発症の相対リスクは2.48〔95%信頼区間(CI)1.56~3.94, P<0.001〕となっていた(Stroke 2009; 40: 2674-2679)。
 
CKDがCVDの高リスク群であることは確かであるとして,では,そのほかのリスクと比較したインパクトはどれくらいなのか。
これについて,同講師は 「日本人の高リスク高血圧患者を対象にARBカンデサルタンとCa拮抗薬アムロジピンの予後に与える影響を比較した大規模臨床試験Case-Jの post-hoc解析が1つの参考になる」と言う。
同解析(Yasuno S, et al. J Hypertens 2009; 27: 1705-1712)によると,種々のリスクのCVD発症のハザード比は,糖尿病1.97,虚血性心疾患2.19,脳血管障害2.22,CVD 2.38,左室肥大(125g/m2超)2.59であるが,腎疾患(蛋白尿および/または血清クレアチニン1.3mg/dL以上)では2.82となっている。
 
すなわち,腎疾患のCVD発症リスクのインパクトは糖尿病や,CVD既往よりも大きいことになる。
「これは高リスク高血圧患者だけを対象にした成績であ ることを考慮する必要があるが,少なくともCKDは糖尿病と同程度にはCVDのリスクとしてのインパクトがあると考えた方がよいだろう」というのが,同講師の見解である。

CKDの脂質異常は動脈硬化・CVDリスクと独立した関連CKDに伴う脂質異常は,原疾患や病期などによって異なり,一様ではない。
ネフローゼ症候群の場合には高コレステロール血症も見られるが,GFRの低下した腎不全では高トリグリセライド(TG)血症が中心になる。
リポ蛋白分画では超低比重リポ蛋白質(VLDL)および中間比重リポ蛋白(IDL)は増加し,HDLは低下するが,LDLは不変のことが多い。
そのほか動脈硬化惹起性の強いリポ蛋白(a)〔Lp(a)〕の増加もしばしば見られる。
 
庄司講師によると,「CKDに伴う脂質異常の表現型が複雑なのは,脂質代謝が蛋白尿,腎機能(GFR),糖尿病などにより,複合した影響を受けているからとみることもできる」と言う。
蛋白尿が優位なCKDでは低蛋白血症を来し,肝臓での非特異的な蛋白合成が高まり,VLDL産生が増加して,VLDLや LDLレベルが上昇する。
GFR低下が優位な場合は,末梢組織でリポ蛋白リパーゼ(LPL)や肝性TGリパーゼ(HTGL)の作用低下による異化障害が起こり,VLDLおよびIDLは増加するが,LDL,HDLは低下する。
糖尿病の場合は,肝臓からのVLDL産生亢進とLPLの作用低下によりVLDLは増 加し,HDLは低下する図1)。
 
図表

 
同講師らは,糖尿病患者を「腎症なし」,「微量アルブミン尿」,「顕性アルブミン尿」,「クレアチニン上昇」の4つに層別化し,「非糖尿病」を加えた5 群で,脂質プロファイルを比較検討している。
それによると,腎症のステージが進むにつれてVLDLコレステロール(VLDL-C)とIDLコレステロール (IDL-C)は著明に上昇し,HDLコレステロール(HDL-C)は低下したが,LDL-Cにはほとんど変化がなく,「クレアチニン上昇」ではむしろ 「非糖尿病」のレベルよりも低下していたという(Atherosclerosis 2001; 156: 425-433)(図2)。

 
図表
 
すなわち,糖尿病患者ではLDL-Cだけを測定していたのでは,その脂質異常をとらえられないことになる。
同講師は「糖尿病患者も含めたCKD患者の脂質異常では,LDL-Cよりも,総コレステロールからHDL-Cを減じたnon-HDL-Cを指標として評価する方がよい」と言う。
 
同講師らは非糖尿病性透析患者205例を対象に,リポ分画ごとの動脈硬化惹起性についても検討している。
大動脈PWVとの関連を,年齢,性,血圧,喫煙 で調整した重回帰モデルで解析した結果,VLDL高値,IDL高値,LDL高値はいずれも大動脈PWVの増大と有意に関連していたが,関連の程度の最も強いのはIDLで,次いでVLDLとLDLが同程度であった。
なお,HDLと大動脈PWVとの間には有意な関連は認められなかったという(J Am Soc Nephrol 1998; 9: 1277-1284)。

同講師らはまた,透析患者4万5,000例以上を対象に,non-HDL-CおよびHDL-Cでそれぞれ4分位に層別化し,心筋梗塞発症リスクとの関連を検討している。
その結果,non-HDL-Cは高値の層になるほど,HDL-Cは低値の層になるほど心筋梗塞発症リスクが高いことが示された。
さら に,non-HDL-Cが最も低くHDL-Cが最も高い層でのリスクを1とした場合,non-HDL-Cが最も高くHDL-Cが最も低い層でのリスクは 2.9倍であることも示されたという(Clin J Am Soc Nephrol 2011; 6: 1112-1120)。

 

脂質低下の介入試験でCVDリスクが低下
CKD患者を対象とした脂質低下の介入試験は極めて乏しい。
しかし,いくつかの介入試験の成績や,そのサブ解析の結果から,脂質低下がCKD患者の粥状動脈硬化性CVDリスクを低減することが示唆されている。
 
Die Deutche Diabetes Dialyse(4D)試験は2型糖尿病患者1,255例を対象に,アトルバスタチンによるCVDリスク抑制効果を検討した二重盲検試験である。
結果は,4年の追跡でアトルバスタチン群ではプラセボ群に比べて「心臓死+非致死的心筋梗塞+脳卒中」の発症リスクが8%抑制されていたが,有意差までは認められなかった(NEJM 2005; 353: 238-248)。
 
しかし,庄司講師によると,4Dには
(1)1次エンドポイントに脳出血,不整脈死,心不全死も含まれていたため,真のアテローム動脈硬化抑制効果が希釈 されていた可能性がある
(2)狭心症で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施し成功すれば心筋梗塞や心臓死とは見なされないため,1次エンドポ イントに達したと判定されない
—などの問題点があるという。
同講師の指摘は,虚血性心事故のみの抑制効果を見た場合,アトルバスタチンのリスク抑制効果は18%と有意水準(P<0.05)に達することからも裏付けられた。
 
Study of Heart and Renal Protection(SHARP)試験は,CKD患者(保存期6,247例,透析期3,023例)を対象に,シンバスタチンとエゼチミブの併用による動脈硬化性イベントの抑制効果を検討する二重盲検比較試験。4.9年の追跡の結果,1次エンドポイントの「非致死的心筋梗塞+冠動脈死+非出血性脳血管障 害+なんらかの動脈血行再建術」は,プラセボ群に比べて実薬群では17%の有意なリスク低下が示された(Lancet 2011; 377: 2181-2192,図3)。

図表
 
MEGA studyは,CADの既往のない軽度~中等度の脂質異常症患者約8,000例を対象に5年以上追跡し,プラバスタチンによるCVDの1次予防効果を検討した,わが国初の大規模ランダム化比較試験。
CKDステージ3の約3,000例を対象としたサブ解析の結果,プラバスタチンによりCHD,CVD,脳卒 中,総死亡のいずれもが有意に抑制されることが示された(Atherosclerosis 2009; 206: 512-517)。
 
以上のような成績を踏まえて,同講師は「CKDでは原疾患や合併する高血圧の管理が重要であることは言うまでもないが,加えてCVD対策としての脂質管理も重要である」としている。
 
では,CKDにおける脂質管理の目標値はどれくらいに設定されるのが適当なのか。
これについては日本動脈硬化学会も現在までのところ,目標値に関するコメントは発表していない。
しかし,高リスク群ではより厳格な脂質管理を目指すという従来の原則が踏襲されるのであれば,ガイドライン改訂版では厳格な管理目標値が設定されることは間違いない。
同講師は「前述のように,CKDは糖尿病よりもCVD発症に及ぼすインパクトが大きいことが示唆されている以 上,CKDの脂質管理目標値も糖尿病と同じか,それより厳しく設定するのが妥当であろう」と言う。
 
すなわち,少なくともCVDの1次予防ではLDL-Cが120mg/dL未満,2次予防では100mg/dL未満と設定される可能性が高い。
いずれにせ よ,CVDリスクとしてのCKDの意義はますます高まっていることを,すべての臨床家が十分認識しておくべきであるといえる。
 
出典 Medical Tribune  2011.11.24
版権 メディカル・トリビューン社

 

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AHA 2011で発表で発表されたSATURN試験についてのNissen先生のコメントが発表されました。

SATURN試験
http://blog.m3.com/reed/20111118/SATURN_

 
スタチンのアンダーユースは世界共通の課題
AHA 2011で発表のSATURN試験についてSteven Nissen氏と一問一答
冠動脈疾患の再発(二次)予防に重要な位置付けを占める2つのストロングスタチンの比較試験SATURNから学ぶべき点は何か―。
試験統括者であり,米クリーブランド・クリニック循環器科部長のSteven E. Nissen氏に聞いた。
同氏はスタチンのアンダーユースは世界共通の課題だと主張している。
 
PAV変化率は最も信頼性の高い評価項目
――なぜ,プラーク容積率(PAV)の変化率が1次評価項目に設定されたのか。
わたしたちは,プラークが進展するほどに臨床イベントは増加すると考えている。
したがって,治療では常に,冠動脈プラークの退縮を目指すことになる。
PAV変化率は最も信頼性の高い評価項目で,また,臨床イベントとも最も強い相関があることが分かっている。
この評価項目を用いることで,患者の予後を推測することができる。

――25%の脱落率は結果に影響を与えていないか。
血管内超音波法(IVUS)という侵襲的なカテーテル検査を評価項目に置く限り,相当数の患者が2回目(試験終了時)のIVUSを希望せずに脱落することは想定しなければならない。
脱落は両群間で同等に起きているので,試験結果にバイアスがかかったということは考えられない。

――最大用量のスタチン治療において安全性の懸念はないか。
この試験で,われわれは最大用量のスタチンを問題なく投与することができ,優れた安全性も担保された。
もちろん,欧州や北米,オーストラリア,南米で実施されているということを考慮すると,スタチンの高用量投与に対してより慎重なアジアでは,最大用量がわれわれの地域よりも低く設定されるだろう。
ただ,スタチンが治療されるべき患者に十分な用量で投与されていないということは,どこでも共通した課題である。
 
高用量スタチンが,少量~中等量スタチンよりも有益な臨床効果をもたらすことをわれわれは証明してきた。
副作用の発現率は確かに多少増えるが,それは,高用量スタチンであっても非常に低い。
今回の試験での副作用発現率を見ると,ロスバスタチンでは蛋白尿が多い傾向に,アトルバスタチンでは肝機能異常が多い傾向にあったが,全体で見ると非常に少ない発現率だ。
2つの薬剤はともに安全性が担保されている。
試験対象は,高リスクの冠動脈疾患患者群であるにもかかわらず,2年間での心血管イベント発生率はわずか7%だった。

――この試験から高用量スタチン療法を推薦されるのか。
高用量スタチンで心血管イベントリスクを低下させることは,複数のエビデンスで既に十分に明らかになっている。
この試験は,それをさらに確実なものにしたといえるだろう。                                      (田中 かおり)
 
出典 MT pro 2011.11.17
版権 メディカル・トリビューン社


<自遊時間>
首相がTPP参加表明をした後になって、日本の医療制度はどうなるのだろうか、といったことがマスコミで取り上げられるようになって来ました。
昨日の某報道番組でも米国の製薬メーカーが薬価引き上げを迫ってくるようなシミュレーションをしていました。
いわゆる医療界に新自由主義が持ち込まれるというものです。
ちょっと古い記事(2008.8.10)になりますが、「日経メディカル オンライン」に「医師すらも貧困層に転落する米国の現実」という記事が出ていました。
永六輔氏の「大往生」(1994年刊)以来の岩波新書の大ベストセラーとなった「ルポ貧困大国アメリカ」の著者・堤未果氏へのインタビュー記事です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200807/507412.html

■2006年出版の前著の『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』(海鳴社刊)では、貧困層の高校生が軍にリクルートされ、イラク戦争に行かされている現実など、戦争をテーマに、マイノリティーが国の捨て駒にされている実情を書きました。
出版後も取材を続けていくうちに、大学も出て仕事にもきちんと就いている中間層の人たち、さらには社会的に尊敬されていた医師や教師といった人たちの中にも貧困層に転落し、低所得者食糧配給を受けているケースが少なくないことが分かってきました。

今年(2008年)の『文藝春秋』6月号に医療過誤保険の負担で年収が2万ドル以下になった医師のことを書きましたが、それは決してまれなケースではありません。
なぜ中間層、さらには医師までもが転落するようになってしまったのか。

最大の原因は、競争と規制緩和を推し進めて、これまで政府がつかさどっていた、医療や教育さえも市場原理に任せてしまおうとする新自由主義政策にあります。
新自由主義政策はレーガン政権のころから、大企業を減税し社会保障費を減らすという形で展開されてきましたが、特にそれが顕著になったのはブッシュ政権になってからです。
■中間層がしっかりといるときは、競争原理を入れなくても国内でモノが消費されていく。

ところが、中間層が減り、消費が萎んできたとき、それを喚起させるには、より安いモノを海外から入れなければならない。
すると国内の製造業が駄目になり、そこで働いていた中間層が落ちていく。
そういったことが見えてくると、これはアメリカだけの問題ではなく、国を超えて世界で起きていることではないかと考えるようになりました。
■小泉政権で経済財政諮問会議が混合診療や株式会社の病院経営などの解禁を主張していましたが、その根底にあるのは新自由主義そのものです。
アメリカ人からしてみると、日本の国民皆保険は理想的な制度で、なぜそれをわざわざ壊そうとするのか分からない。
■今、アメリカの医師が置かれた状況はひどいものです。開業医で患者さんをたくさん抱えている人以外、特に病院勤務が中心の医師たちは追いつめられています。
特にひどいのは医療過誤訴訟のリスクが高い産婦人科や心臓外科の医師たちです。

年収20万ドルだった外科医が、保険料が18万ドルになったため差し引き年収2万ドルのワーキングプア・レベルにまで転落、廃業に追い込まれた例もあります。
■さらに、保険会社が病院の経営方針に大きく介入するようになり、効率や採算性を優先するその経営手法が医療現場を激しい競争にさらしています。

過剰労働と十分な治療を患者に提供できない罪悪感などから、心や体を病む医師が増えています。
医師はまだ貧困層じゃないからいいじゃないか、と言う人もいますが、経済的には大丈夫でも、心が壊れていくのです。
今、医師の抗うつ薬の使用量は莫大なものになっています。
■国が守るべき国民の生存権は、単に経済的な要素ばかりでなく、誇りを持って働けるとか、人間らしい働き方ができるといったことも含めてのものだと私は思います。

しかし、かつて国が守ってくれていた医師や教師といった社会インフラの要となる人々ですら、国は守ってくれなくなったのです。
3年以上前の記事ですが、今回のTPP問題をあたかも予見しているような内容だったので取り上げさしていただきました。
以下のブログもご覧下さい。

<TPPを問う> 混合診療、現場に賛否
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/39186619.html
 
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SATURN試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.18 00:50 / 推薦数 : 0
ロスバスタチン vs. アトルバスタチン,プラーク退縮を直接比較
同等の“前例のない”大きな効果,AHA 2011で発表のSATURN試験
強化スタチン療法による動脈硬化進展抑制の検証において,初のスタチン間比較が実施された。
このロスバスタチンとアトルバスタチンのプラーク退縮効果を検証したSATURN試験の 結果を,第84回米国心臓協会年次集会(AHA 2011:11月12~16日,オーランド)において,米クリーブランドクリニック臨床研究センターディレクターのStephen Nicholls氏が発表した。
その結果,症候性冠動脈疾患患者への24カ月間の最大用量投与により,標的冠動脈のプラーク容積率(PAV)がともに有意に減少した。
両薬間の効果に差は見られなかった。
同氏は「至適なLDLコレステロール(LDL-C)値やHDLコレステロール(HDL-C)値を可能とする最大用量の強化スタチン療法において,高い忍容性と前例のない高頻度かつ大きなプラーク退縮が示された」と述べた。
この成績は,N Engl J Med 2011年11月15日オンライン版に同時掲載された。
 
20%以上の狭窄有する冠動脈疾患患者に最大用量のスタチンを投与
SATURN試験は,北米,欧州,南米および豪州の208施設が参加した二重盲検ランダム化比較試験(RCT)だ。
対象は血管内超音波法 (IVUS)で冠動脈に1カ所でも20%以上の狭窄が認められた症候性冠動脈疾患患者。
LDL-C値の登録基準は,4週間以上のスタチン服用中の場合で80mg/dL超,それ以外ではLDL-C 100mg/dL超と設定された。
2008年1月〜09年6月にかけて1,578例が登録され,1,385例がランダム化割り付けされた。
まず,試験用量の半量で忍容性とLDL- C 116mg/dL未満の達成を確認する2週間のスクリーニング期間が設けられ,その後に,ロスバスタチン40mg群(R群)とアトルバスタチン 80mg(A群)に割り付けられ,104週間の投薬期間を経て再びIVUSが施行された。
割り付けが行われた1,385例のうち346例(25%)はIVUSの未実施などにより脱落したため,R群520例,A群519例の計1,039例が解析対象となった。
 

標的冠動脈プラーク退縮率は同等,全プラーク容積はロスバスタチンでより大きく減少
対象患者の平均年齢は57歳で,男性が約4分の3,BMI中央値は30%弱,高血圧7割程度,糖尿病15%程度,スタチン使用歴は6割程度だった。
他の治療薬としては抗血小板療法が98%に行われており,β遮断薬が6割程度,ACE阻害薬は4割強,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は 15%程度に投与されていた。
登録時点のLDL-C値は両群ともに約120mg/dLだった。

試験終了時の脂質値は,LDL-C値がR群62.6mg/dL,A群70.2mg/dLとR群で有意に低く(<0.001),HDL-C値はR群 50.4mg/dL,A群48.6mg/dLとR群で有意に高かった(P=0.01)。
そのため,LDL/HDL比はR群1.3,A群1.5とR群で有意に小さかった(P<0.01)。
一方,高感度C反応性蛋白(hsCRP)中央値はR群1.1mg/L,A群1.0mg/Lと,A群で有意に低かった (P=0.05)。

1次評価項目は,IVUSにより求められる標的冠動脈のPAV変化率で,R群の1.22%縮小に対してA群では0.99%縮小と両群間で差はなかった(P=0.17)。
しかし,両群ともベースラインに比べて有意な退縮が示された()。
Nicholls氏は「スタチンが用いられた試験の中でも最も大きい退縮率であった」と述べた。
 

photo
一方,2次評価項目の全プラーク容積(TAV)のベースラインからの変化は,A群4.42mm3減少に対してR群では6.39mm3の減少と,R群の方が有意に減少していた(P=0.01)。
なお,1次評価項目でPAV縮小が認められた患者は全体の3分の2に上り,その頻度はR群が68.5%とA群63.2%を上回ったが,有意差はなかった(P=0.07)。

 
最大用量の強化スタチン療法でも3分の1で動脈硬化が進展
観察期間に発生した主要心血管疾患イベント(MACE)は,R群7.5%,A群7.1%とともに低かった。
副作用として,肝機能異常を示すALTの3×正常値上限(ULN)がA群2.0%に対してR群0.7%,蛋白尿がR群3.8%に対してA群1.7%と両群間に有意差が認められたが,全般に低率だった。
HbA1cの変化も両群で0.1%以下にとどまった。

脂質値の変化に違いは認められたものの,PAV変化率は両群同等であったことから,Nicholls氏は「いずれの強化スタチン療法でも前例のないプラーク退縮作用と高い忍容性が認められた。
しかし,3分の1の患者では動脈硬化が進展していたことから,さらなる抗動脈硬化治療の模索が必要といえ る」と結んだ。
指定討論者でノースウエスタン大学フェインバーグ予防医学教授のDarwin R. Labarthe氏は,1次評価項目と2次評価項目の結果に一貫性がない点や,割り付けの4分の1が脱落した点を挙げ,2剤の違いについて今回の成績から 臨床効果の違いを示すことはできないと指摘した。
 
出典 MT pro 2011.11.17
版権 メディカル・トリビューン社
 
<私的コメント>
昨日の診療終了後。
たまたまファイザーのMRさんがSATURN試験の結果の説明に来ました。
iPadで発表内容を、見せてくれたのですが一見アトルバスタチンに比較してロスバスタチンが有利な結果でした。
RCTということでバイアスはないものと思われますが、スポンサーはアストラゼネカのようです。
 
<自遊時間 その1>
 
 
 
 
ルイ・ダゲールは写真を発明した人とのことです。
ノーベル賞は物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞の6部門がありますが「物造り」の部門がありません。
じょの中の平和賞は本来ノーベルの遺志で作られたものですが、非常に軽い人(?)も受賞しています。
該当者がない年には無理に受賞者を選ばないでこういった飛行機、自動車、コンピューターなどの「物造り」の人に光りをあてていただけないものでしょうか。
もっともノーベル賞は1901年からですから、ルイ・ダゲールは受賞できなかったでしょうが。
 
スティーブ・ジョブズ氏なども「人類のために最大たる貢献をした人々」ということでは、立派な該当者かも知れません。
こんなことをふと思った次第です。
 
<自遊時間 その2> 
定期購読の医学雑誌の継続更新の季節となりました。
私は長年「週刊・日本医事新報」を大学生協で定期購読して来ました。
ご存知のように4月から模様替えをして、内容も随分若い先生向きに変わりました。
いわゆる「ハウツー物」が増えました。
これを良しとするかどうかは購読者が決めることです。
私はモデルチェンジしてからのこの雑誌に個人の読み物として毎週777円を投資する価値はない、と判断しました。
来年から購読中止する旨、生協に電話をしました。
すっきりしたような後ろ髪を引かれるような複雑な心境です。
 
<ちょっと気になるサイト>
ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズからのお願い
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
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CKD患者の心血管疾患予防

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.12 00:48 / 推薦数 : 0
~シンバスタチン+エゼチミブ併用~
CKD患者の心血管疾患を予防
オックスフォード大学臨床試験サービスユニット(CTSU)のColin Baigent教授らは,脂質異常症治療薬のシンバスタチンとエゼチミブの併用は,中等度~重度の慢性腎臓病(CKD)患者の心疾患リスクを低下させるとする試験結果をLancet(2011; 377: 2181-2192)に発表した。
安全性に対する不安ない
スタチン系薬をはじめとする脂質異常症治療薬は,腎臓に問題のない人の心筋梗塞や虚血性脳卒中のリスクを低下させることが明らかになっている。
しかし,腎機能障害を有する人に対するスタチン系薬の効果については不明な点も多かった。
 
今回,試験統括医であるBaigent教授らが発表したSHARP(Study of Heart and Renal Protection)の結果は,昨年11月に開かれた米国腎臓病学会で最初に報告され,話題になったものである。
試験の結果,シンバスタチン+エゼチミ ブ併用群では非致死性心筋梗塞,冠動脈死,非出血性の脳卒中の発生率,および血行再建術施行のリスクがプラセボ服用群と比べて17%低かった。
さらに重要 な点は,この併用に関連した安全性についての不安がなかったことである。
 
1990年代に計画されたこの長期試験は,最終的に18カ国,9,500例を対象とする大規模試験となり,今回の報告で終了となる。
 
同教授は,今回の研究について「CKD患者は腎疾患の治療以外にも,腎疾患の合併症として発生する心筋梗塞や脳卒中の痛み,不安にさらされている。
さらに,腎疾患患者の半数以上は最終的には腎疾患ではなく,心血管疾患で死亡する。
しかし,今回の試験の結果から,シンバスタチンとエゼチミブの併用が有望であることが明らかになった。
これは,現在治療を受けている世界中の多くのCKD患者にとって朗報となろう」と記している。
 
薬剤は危険とする考えが支配
CKD患者は中年人口の20人に1人程度いるとされ,高齢者ではさらに割合が高い。
CKD患者では脳卒中や心筋梗塞のリスクが高いことが知られているが,これらの合併症予防に有効な治療薬についてはまだ明らかにされていない。
 
共同研究者でCTSUのMartin J. Landray博士は「腎障害は心血管疾患の原因となるが,コレステロール値を下げても予防できないと考える医師もいる。
しかし,今回の試験によって,コ レステロールを下げることによりCKD患者の心血管疾患リスクが確実に下がることが示された」と評価している。
 
Baigent教授はこの試験に対して特に個人的な思い入れがあるという。
というのも,同教授自身30年前に腎疾患を発症し,腎移植を受けるまでは透析 生活を余儀なくされた経験を持つからだ。
「わたしと同時期に透析治療を受けていた若年患者の多くは,既に心血管疾患で亡くなっている」と振り返り,「腎疾患患者の心疾患予防に対する薬物治療の開発は,他の疾患患者群と比べて後れを取っている。これは,薬剤が腎障害患者にとってリスクとなるのではないかとい う懸念がどこかに残っているからだ」と述べている。
 
また,「腎疾患患者の治療が,英国保健サービス(NHS)予算の3%以上を占め,その数字が今後確実に上昇することが分かっている今こそ,腎疾患患者のケアを改善する必要がある。
中でも,特に心血管疾患予防の優先順位を上げるべきだ」と付け加えている。
 
出典 Medical Tribune  2011.11.10
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
<関連サイト>
シンバスタチンとエゼチミブの併用で慢性腎不全患者の心血管イベント抑制
SHARP試験から
■スタチンの虚血性心疾患や脳卒中などに対する心血管イベント抑制効果は初発予防,再発予防ともに認められ,例えば心筋梗塞後患者においては,再発予防のためにスタチン投与がガイドラインでも強く推奨されている。
一方,腎障害は心疾患に合併しやすいが,腎疾患合併時におけるスタチンの心血管疾患予防効果については一定の見解が得られていない。
特にAURORA試験では,透析患者においてロスバスタチンは心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中のエンド ポイントを抑制しなかった(N Engl J Med 2009; 360: 1395-1407)。
■SHARP試験は,腎疾患患者においてスタチン+エゼチミブの心血管イベント抑制効果を初めて示した試験である(Lancet 6月9日オンライン版)。
■SHARP試験では,シンバスタチン20mg+エゼチミブ10mgは,(1)安全に腎障害患者に投与可能,(2)約30mg/dLのLDL-C低下作用,(3)心血管イベント抑制作用―があることが示された。
■前述したAURORA試験の結果により,腎障害患者にスタチンを投与した場合,心血管イベント抑制効果が認められない懸念もあったが,シンバスタチン+エ ゼチミブ群では特に冠動脈血行再建術の抑制効果が強く認められた。
この2つの試験結果の差は,どのエンドポイントが多く見られたかに左右された可能性がある。
例えば,AURORA試験ではイベントの半数が血管死であるが,SHARP試験では心血管死は少ない。
スタチンの冠動脈イベント抑制作用効果は強い が,心血管死抑制効果はやや劣ると考えると説明がつく。

出典 MT pro 2011.6.11
版権 メディカル・トリビューン社

 

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スタチンによる脳出血リスク,メタ解析発表
関連性認められず
カナダ・西オンタリオ大学のDaniel G. Hackman氏らは,スタチン投与と脳出血(頭蓋内出血)リスクとの関連性は認められなかったとのシステマチックレビューとメタ解析の結果を,Circulation 10月17日オンライン版に報告した。
近年,大規模ランダム化比較試験(RCT)でスタチン投与による脳出血リスクの増加が示唆されていた。
 
17のデータベースから42報を抽出
脂質低下療法のRCTにおいて,スタチンを用いたより強力な治療が心血管イベント発生リスクを低下させたとするCholesterol Treatment Trialists'(CTT)Collaborationのメタ解析(Lancet 2010; 376: 1670-1681)がある一方で,脳卒中例への高用量スタチン投与で脳出血リスクをわずかながら増加させるとの報告(N Engl J of Med 2006; 355: 549-559)もあり,特に脳卒中既往例ではスタチン投与によるリスクとベネフィットが不確かであった。
 
そこでHackman氏らは,コクラン臨床試験レジストリー,Medline,米国立衛生研究所(NIH),米食品医薬品局(FDA),欧州医薬 品庁(EMEA)などの17のデータベースから,2人の独立したレビュアーが今年(2011年)1月までに,スタチンおよび脳出血の頻度について報告され たRCT 23報と観察研究19報を抽出。スタチンと脳出血リスクとの関連性をDerSimonian-Laird 法により検討した。
 
なお,スタチン併用による報告および,急性脳梗塞による血栓溶解療法後の出血に焦点を置いた報告は除外した。
 
心疾患発症抑制のベネフィットに比べリスク小さい
42報の全対象者24万8,391例中,脳出血を来したのは1万4,784例。
 
RCT(追跡期間中央値3.9年)においてスタチン投与の脳出血のリスク比(RR)は1.10(95%CI 0.86~1.41,I2=30%,P=0.67),同等性の絶対リスク増加は0.27%(同-0.042~0.096)であり,脳出血との関連性は認められなかった(図1)。
 
図1
 
また観察研究(追跡期間中央値3.0年)のうち,コホート研究(12報)におけるスタチン投与の脳出血のRRは0.94(同0.81~1.10,0%,P=0.67),症例対照研究(6報)では0.60(同 0.41~0.88,66%,P=0.06,図2)であり,いずれも有意差は認められなかった。
 
図2
 
Hackman氏らは「スタチンによる脳出血リスクがあるとしても,心疾患発症抑制のベネフィットに比べるとリスクの程度は小さい可能性がある」 と指摘。
脳梗塞の危険因子はアテローム動脈硬化性疾患と類似しているため,同氏らは「臨床医は冠動脈疾患イベント抑制のためにスタチン使用を継続すべき だ」と述べている。              (田上 玲子)
 
出典 MT pro 2011.10.21
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
<関連サイト>
昨年,日本脂質栄養学会のガイドライン発行に伴い,コレステロールを低下させる医療の是非についてホットな議論が展開されました。
そのホットな話題の中、コレステロール低下療法の有効性と安全性を検討したメタ解析の結果がLancet11月9日オンライン版に発表されました。
今回の論文を報告したCholesterol Treatment Trialists'(CTT)Collaborationは,すでに 2005年にランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を報告しており,LDLコレステロール (LDL-C)を低下させることにより動脈硬化性疾患(冠動脈死,非致死性心筋梗塞,冠動脈再灌流,脳卒中)を20%程度減らせることを示しています(Lancet2005; 366: 1267-1278)。
 
脳卒中の結果については今回のCTT Collaborationの介入研究のメタ解析ではスタチン群・積極的スタチン使用群の方が成績が良かったが,PSCの観察研究ではTCと脳卒中死の間に関係性を認めることができなかった。
この差異の説明は困難であるが,PSCでは収縮期血圧の相違によりTCと脳卒中死の関係性が変化していることが示されている。
よって,血圧の影響が介在しており,直接的にコレステロールと脳卒中死の関係を評価できていない可能性がある。
今回のCTT Collaborationのメタ解析は血圧を含めた交絡因子の影響を理論的に除外できる介入研究のみを取り扱っており,この解析でスタチン群・積極的ス タチン使用群の方が脳卒中の成績が良かったことは,そのまま受け取ってよいように思われる。
 
出典 MT pro 2010.11.16(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
 
 
石垣定哉「春のセーヌ」6F
http://www.umeda-garou.jp/kako2009.htm
 
 
 
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