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エプレレノン投与、NYHAII慢性収縮性心不全患者のハイリスク群でも心血管死または心不全入院リスクを3割以上低減ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類IIで中程度の症状のある慢性収縮性心不全患者では、高齢や糖尿病などのハイリスク群においても、エプレレノンによる治療には、心血管死または心不全による入院リスクを3割以上低減する効果があることが示された。中でも、糖尿病患者については、同リスクが46%も低減した。米Michigan大学医学部のBertram Pitt氏らが、NYHA分類IIの慢性収縮性心不全患者、約2700人を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験(EMPHASIS-HF)のサブ解析の結果で、8月27日からパリで開催されている欧州心臓病学会(ESC2011)で発表された。<私的コメント>エプレレノンがCHF患者の心血管死や心不全による入院リスクを低下させ、とりわけDM合併症例には有効というお話です。ここで誰でもが考えるのが、エプレレノンが心不全の発症も阻止出来るかということです。エプレレノンは繊維化抑制作用があるとのことですから、当然期待出来る筈です。論文もある筈です。その観点からは降圧剤としてはファースト並びにマストということになるのでしょうか。 Emphasis-HF試験全体の結果については、昨年の米国米国心臓協会・学術集会(AHA)で発表されており、心血管疾患死または心不全による入院リスクは、プラセボに比べ37%削減した。
EMPHASIS-HFでは、55歳超のNYHA分類IIの慢性収縮性心不全で駆出分画率が35%以下の2737人を無作為に2群に分け、通常の治療薬に加え、エプレレノン(1日50mgまで)とプラセボをそれぞれ投与した。今回の分析に用いたデータの平均追跡期間は、25カ月だった。主要評価項目は、心血管疾患死または心不全による入院だった。
ハイリスク群は、年齢が75歳超、糖尿病歴、糸球体濾過量が60mL/min/1.73m2未満、左室駆出分画率30%未満、収縮期血圧の中央値が123mmHg未満——の5群だった。
その結果、75歳超の群では、主要評価項目に達したのはプラセボ群32.7%に対し、エプレレノン群23.6%と、同リスクは3分の2に減少した(ハザー ド比:0.66、95%信頼区間:0.49‐0.88、p<0.004)。糖尿病群でも、主要評価項目に達したのはプラセボ群35.2%に対し、エプレレ ノン群21.6%と大幅に低率だった(ハザード比:0.54、同:0.42‐0.70、p<0.0001)。
同じく、糸球体濾過量が60mL/min/1.73m2未 満では、プラセボ群34.5%に対し、エプレレノン群24.4%と4割近くリスクが低減した(ハザード比:0.62、同:0.49‐0.79、 p=0.0001)。左室駆出分画率30%未満では、プラセボ群27.3%に対し、エプレレノン群19.3%(ハザード比:0.65、 同:0.53‐0.78、p<0.0001)、収縮期血圧の中央値が123mmHg未満でも、プラセボ群29.4%に対し、エプレレノン群20.6%だっ た(ハザード比:0.63、同:0.51‐0.79、p<0.0001)。
一方、安全性については、各ハイリスク群で、エプレレノン群はプラセボ群に比べ、K+>5.5mmoL/Lの高カリウム血症が有意に増大した(p<0.05)。だが、K+>6.0mmoL/Lの重度高カリウム血症 や、高カリウム血症による投与中止や入院、腎機能悪化による入院について、いずれも両群で発生率に有意差は認められなかった。
ディス カッサントとして登壇したポーランドClinical Military HospitalのPiotr Ponikowski氏は、心不全患者にとって、入院リスクを減らすことは非常に重要であるとし、同試験のエンドポイントの意義を評価した。その上で、エプレレノンなどのアルドステロン拮抗薬が(を)、米国や欧州で適応患者の半数程度までしか服用していない現状を指摘した。
同氏はまた、同試験結果によって心不全患者に対するエプレレノンの効果と安全性は非常に確かなものとなり、「臨床家として、エプレレノンの効果は本物で、一貫性があり、臨床的重要性を持つものだと判断した」と強調した。出典 NM online 2011.8.31
版権 日経BP社 <私的コメント>最近、F社のMRさんが訪問した際に、エプレレノン(商品名 セララ)とスピロノラクトン(商品名 アルダクトン)のプロモーションが別々の部門になったと教えてくれました。そういえば、一時期すっかり影を潜めていたスピロノラクトンの広告を最近見かけるようになりました。エプレレノンは女性化乳房などの副作用がスピロノラクトンのようにないことは当然として、東京・品川で行われた発売1周年、3周年記念の全国規模の講演会でも両者の直接の比較はまるでタブーのように触れられませんでした。 スピロノラクトンとエプレレノンの関係は、ちょっとARBとACE阻害剤の関係に似ていないでしょうか。 ARBとACE阻害剤の関係については、薬価差だけではなく、全く別の薬剤という捉え方になっていることは循環器専門医の先生方には常識となっています。したがって、こういった喩えはお叱りを受けてしまいそうです。ACE阻害剤は、ほぼ必発ともいえる咽頭違和感や空咳を回避するために最初からARBを使用される先生方も多いのではないでしょうか。一方、
ACE阻害剤の利点を熟知した先生方はACE阻害剤をファーストチョイスとし、副作用が出た時点でARBに変更する筈です。スピロノラクトンとエプレレノンについても、最初にスピロノラクトンを処方して、女性化乳房が出現した時点でエプレレノンへの変更も、「あり」ではないでしょうか。女性の「女性化乳房」 はないと考えれば、男性にはエプレレノン、女性にはスピロノラクトンという考えもあるかも知れません。参考;アルダクトンA錠25mg 薬価 23.4円セララ錠25mg 薬価 47円セララ錠50mg 薬価 89.5円セララ錠100mg 薬価 170.7円 さて、私が医師になったころは高血圧患者へのスピロノラクトン投与はほぼ当たり前でした。
それは降圧利尿剤がファーストチョイスで
フルイトラン1錠アルダクトンA1錠という組み合わせがほとんどだったからです。サイアザイドの低K血症回避の目的もあったのでしょう。最近、古い歴史のあるスピロノラクトンを含めた抗アルドステロン剤が復活(?)しつつある感があります。どれだけ自家薬籠中の薬剤とするか。昔のジギタリスのように スピロノラクトンの使い方で循環器医としての実力が評価される時代(new era)になって来ているのかも知れません。ところで「アルダクトンA」の「A」って何でついているんでしょう。アリナミンFとアリナミンAは内容が違い、クリアミンSとクリアミンAは用量が違います。 一剤しかない「アルダクトンA」です。ちょっと不思議ではあります。 <追加> 2011.9.15午後たまたまF社のMRさんが来訪しました。 この件について訊くと「わかりません。社へ帰って調べてみます」とのこと。女性の女性化乳房についても「調べてみます」との返事。
両者の比較については、降圧作用 セララ>アルダクトンA利尿作用 セララ<アルダクトンAとのこと。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (循環器専門医向き) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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アルドステロン高値は脳卒中リスク,日本人の前向き調査で判明
欧州心臓病学会で発表
アルドステロン値の上昇は心疾患リスクにつながることが指摘されているが,脳血管への影響も含めた心血管疾患全体に影響があるのかどうかは明らかにされていない。
そこで,京都第二赤十字病院循環器科の井上啓司氏は,同科の外来患者連続1,268例を対象に,前向きの追跡調査を実施した。
この結果が第33 回欧州心臓病学会(ESC Congress 2011;8月27~31日,仏ロワシー)で発表され,アルドステロン高値と脳卒中リスクの有意な関係が見いだされた。
患者背景調整後もアルドステロン高値群で脳卒中発生が有意に高率
登録患者は男性が758人,女性は510人で,平均年齢は69.5歳だった。
登録時の血清アルドステロン中央値は106.0pg/mLで,それ以上の患者をアルドステロン高値群(高値群,639人),低い患者をアルドステロン低値群(低値群,629人)に群別した。
年齢は低値群の方が有意に低く, 高血圧や心房細動は高値群の方が有意に多かった。
この2群間で脳卒中発症頻度に差があるかどうかを検討した。
追跡期間中央値1,535日で64人(5.1%)が脳卒中を発症,心血管死は59人(4.7)だった。
脳卒中発症率は,高値群7.2%に対して低 値群2.9%と高値群で有意に高かった(P=0.0016)。
また,脳梗塞の発症率も順に6.1%,2.2%と高値群で有意に高かったが (P=0.0016),脳出血については1.3%,0.7%で統計学的に有意な差はなかった。
Coxハザードモデルで患者背景(年齢,性,BMI,血圧,左室駆出率,心房細動)を調整したところ,高値群の脳卒中発症のハザード比は 3.521(P<0.0001)だった。また,高値群では心血管死が有意に増加していた(調整後ハザード比4.253,P<0.0001)。
脳卒中の予防,既存のリスク因子では不完全
井上氏は「減塩指導や降圧治療,心房細動の抗凝固療法やカテーテルアブレ―ションといった先進的治療を最大限駆使し,既存のリスク因子を管理していても,脳卒中の発症を抑制しきれないのがなぜかを明らかにしたかった」と研究動機を説明した。
同氏は今回,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 の最終代謝産物であるアルドステロンの影響に着目したが,原発性アルドステロン症では既に脳卒中の発症が多いことが報告されている。
今回の循環器外来通院 患者の検討でも同様に,アルドステロン高値例では脳血管障害・心臓死が有意に多いことが明らかにされたことから,「アルドステロンは,血管内皮や平滑筋や 心筋への作用が指摘されているが,脳卒中発症の面でも重要な因子ではないか」と指摘している。
臨床現場におけるアルドステロン値の活用については,国際的に単位・正常値が異なる点や,測定条件による変動があるため,慎重に活用する必要があ る点を課題として挙げた。
一方で,簡易に評価でき汎用性も高く,臨床的意義も明らかにされてきているため,今後,リスク評価に用いることで心血管疾患予防 への貢献が期待できるとしている。
抗アルドステロン薬による治療が脳卒中予防につながるかどうかは現時点では不明であるが,同氏は少なくとも現在のガイドラインで治療基準に該当する患者については,同薬が確実に投与されるべきではないかとしている。 (田中 かおり)
出典 MT Pro 2011.9.8
版権 メディカル・トリビューン社
<私的コメント>
同様の内容が、第75回日本循環器学会総会・学術集会(2011.8.3〜4、横浜)で発表されています。
ラウル・デュフィ
ヴァカンス・フォルセ:モンソウヌの私たちの家 木版
http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=782&aid=19
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中枢神経系に対するアルドステロンの関与と食塩感受性高血圧患者への選択的アルドステロンブロッカーの臨床応用 中枢に作用して血圧上昇を引き起こすアルドステロン 藤田 アルドステロンによる昇圧作用は,これまで主に腎におけるNaの再吸収促進を介して生じると考えられていましたが,最近の研究から,中枢神経系を介した経路も重要であることが示されています。 Leenen 動物実験において,アルドステロンは全身投与のみならず,脳室内投与によっても血圧上昇を引き起こすことが明らかにされています。またアルドステロンの全身投与により生じた血圧上昇は,中枢のMRを阻害することにより著明に抑制されます。これらのエビデンスは,アルドステロンの昇圧機構に中枢のMRが関与していることを明確に示しています。 藤田 その作用機序については,どのようなことが分かっているのでしょうか。 Leenen われわれの研究では,ラットに高Naを含む脳脊髄液(CSF)とともにアルドステロンを脳室内投与した結果,数分内に腎交感神経活動の亢進や心拍数の増加が見られ,これらの作用は内因性ウワバイン様物質(以下ウワバイン)に対する阻害抗体の脳室内投与で抑制されました1)。 また慢性実験として,わずかに高濃度のNaを含むCSFとアルドステロンを2週間脳室内投与すると,視床下部におけるウワバインの増加と血圧上昇が見られましたが,ウワバインの増加および血圧上昇は上皮型Naチャネル(ENaC)阻害薬の脳室内投与により抑制されました。 以上より,わずかでも脳内Naが上昇した状態で,アルドステロンが脈絡叢やニューロンに発現しているMRに作用すると,ENaCが活性化されてウワバインが放出され,Na-K-ATPaseを阻害して交感神経亢進や血圧上昇を引き起こすと考えられます。われわれはこの経路を neuromodulatory pathwayと呼んでいます。 脳内Naや血中AⅡの持続的上昇により脳内アルドステロン産生が亢進 藤田 Neuromodulatory pathwayはどのような因子により活性化されるのでしょうか。 Leenen これまでの研究から2つのアクチベーターが同定されています。1つは脳内Na,もう1つは血漿中アンジオテンシンⅡ(AⅡ) です。これらの因子は,急性期には,血液脳関門の外側に存在する脳弓下器官(SFO)や終板脈管器官(OVLT)を介して,脳内のアンジオテンシン系経路を活性化し,交感神経活動を亢進させると考えられます。この経路にアルドステロンは関与しません。 しかし,脳内Naや血漿中AⅡが慢性的に上昇し続けると,視索上核(SON)を介してアルドステロン産生が亢進し,neuromodulatory pathwayが賦活化します。そして室傍核(PVN)などが活性化され,交感神経亢進や昇圧作用を増強すると考えられます(図5)。
例えば,われわれの動物実験では,脳内Na上昇により引き起こされる血圧上昇は,慢性期ではアルドステロン合成阻害薬FAD286の脳室内投与により抑制されましたが,早期には無効でした2)。また,ラットにAⅡを慢性的に末梢投与すると,徐々に血圧が上昇し,2週間後に血漿中や視床下部でアルドステロンの増加を認めました。この血圧上昇はFAD286やエプレレノンの脳室内投与によって抑制されました(図6)。以上の結果は,脳内Naや血漿中AⅡの持続的上昇により,中枢のアルドステロン依存的な経路が活性化されて,血圧上昇に主要な役割を果たすことを示唆しています。
食塩感受性高血圧や心筋梗塞後の心不全では中枢のRAA系が活性化 藤田 では,中枢のレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の活性化は,どのような病態に関与しているのでしょうか。 Leenen まず1つは食塩感受性高血圧です。われわれは,高食塩食を負荷したDahl食塩感受性ラットにおいて,血圧上昇に先行してCSF中Naの増加を認め3),また4週間後には視床下部でアルドステロン産生の亢進を確認しました4)。 同ラットの血圧上昇は,FAD286やアルドステロンブロッカーの脳室内投与により抑制されました。つまり,食塩過剰状態では通常,循環血中アルドステロ ン濃度は低下しますが,中枢では逆にアルドステロン産生が亢進しており,これが食塩感受性高血圧の一端を担っていると考えられます。 中枢のRAA系活性化が関与するもう1つの病態は心筋梗塞(MI)後の心不全です。交感神経亢進が心不全を進展させる主な原因であることはよく知られています。われわれは,MIモデルラットにおいて視床下部や海馬のアルドステロン産生が亢進していること5),また,MI後に生じる交感神経亢進,末梢RAA系の活性化,心機能低下,心筋線維化,心拡大などが中枢のアルドステロンブロックにより著明に改善されることを見いだしました6~8)。これらの結果から,中枢のMRを選択的に阻害できるような治療法が確立されれば,末梢に対する治療薬を複数併用するよりも効果的に心不全の進展を抑制できる可能性があると考えています。 藤田 MI後の心不全患者を対象とした臨床試験EPHESUS(Eplerenone Post-acute myocardial infarction Heart failure Efficacy and SUrvival Study)では,MI後にアルドステロンをブロックする意義が認められ9),高血圧治療ガイドライン2009では,MI後高血圧に推奨されています。 Leenen アルドステロンブロッカーが中枢に十分量移行し,交感神経亢進を抑制することは,われわれも報告しています。また,適正にカリウム(K)をコントロールすることは不整脈の抑制に寄与します。 食塩過剰摂取や心不全を伴う高血圧,治療抵抗性高血圧はエプレレノンの良い適応 藤田 交感神経系の亢進には,腎からの求心性シグナルも関与することが知られています。最近,治療抵抗性高血圧(RH)に対して腎交感神経アブレーションによる除神経が有効であるという無作為化試験の成績が発表されました10)。 Leenen 同試験では,腎除神経から6カ月後の外来血圧が治療前に比べて32/12mmHgと有意に低下しました。しかし,24時間血圧の降圧度は11/7mmHgであり,アルドステロンブロッカーによる降圧効果とほぼ同等であることが示されています。 藤田 腎除神経は侵襲的な治療ですので,アルドステロンブロッカーで同等の効果が得られるのであれば,その方がはるかに有益だと思います。実際エプレレノンは,RHに対して,追加投与により優れた降圧効果が確認されています(図7)。
Leenen MRブロッカーに対する評価は近年高まりつつあります。EPHESUSなどの大規模試験から,心血管リスクの高い高血圧に対して有用性が期待できます。特にエプレレノンは副作用が少なく,使いやすい薬剤だといえるでしょう。 藤田 今日のお話を踏まえると,食塩感受性高血圧や心不全合併高血圧,RHに対しては,エプレレノンによるアルドステロンブロックを積極的に行うことが望ましいと考えられますね。1) Wang H, et al. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2003; 285: H2516-H2523[L20031202121]2) Huang BS, et al. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2008; 295: R166- R172[L20110722002]3) Huang BS, et al. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2004; 287: H1160-H1166[L20110722003]4) Huang BS, et al. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2009; 296: R994- R1000[L20110722004]5) Huang BS, et al. Cardiovasc Res 2009; 81: 574-581[L20110722005]6) Huang BS, et al. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2005; 288: H2491-H2497[L20110722006]7) Lal A, et al. J Moll Cell Cardiol 2005; 39: 521-529[L20110722007]8) Huang BS, et al. J Moll Cell Cardiol 2007; 43: 479-486[L20110722008]9) Pitt B, et al. N Engl J Med 2003; 348: 1309-1321[L49990147405]10) Symplicity HTN-2 Investigators, Lancet 2010; 376: 1903-1909[L20110117003]
<自遊時間>サッカーの元日本代表の選手(34)が心筋梗塞で亡くなったというニュースが流れました。(2011.8.4)
急性心筋梗塞で倒れ、心肺停止状態で地元の大学病院に運ばれたということで、医師団のコメントも急性心筋梗塞でした。先生方の中には、ひょっとして急性心筋梗塞ではなくHCMやBurgada症候群などによる不整脈死ではないか、と思われた方もみえたのではないでしょうか。心肺停止状態でどのように診断したかはわかりませんが(人工心肺中の診断ならどんな検査か、はたまた剖検なのか)、「心臓に3つある大きな血管のうち、1本が完全に詰まっていた」というコメントも出されたようです。したがって心筋梗塞が原因ということには間違いないということですが、川崎病の既往はなかったのか、はたまた家族性高脂血症はなかったのか、などといろいろ思いを巡らしてしまいます。ただただご冥福を祈るばかりです。 このニュースが早速m3.comでとりあげられています。 松田選手急死なぜ…高血圧・肥満なく稀なケース http://community.m3.com/doctor/showNewsArticleDetail.do?boardId=3&boardTopicId=170985&messageListBoardTopicId=170985&newsArticleId=1685881■松本山雅のチームドクターで、信州大病院の百瀬能成医師によると、JFLにはメディカルチェックの規定はないが、同FCではJリーグの規定に沿っ て、血液検査、心電図、負荷心電図、頭部と胸部のCT(コンピューター断層撮影)などの検査を実施している。今年1月に松田選手も検査を受けたが、異常は なかったという。 「本人はたばこも吸わず、通常の生活をしていた。当日の天候・気温を考慮しても脱水症状は考えにくい」と首をかしげる。 心筋梗塞は、心臓に栄養や酸素を送る血管が詰まる病気で、通常は高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙などが原因で起き、40-50代以降で発症する。 松田選手の場合は、このいずれにも該当せず、榊原記念病院の伊東春樹副院長(循環器内科)は、「珍しいケース」と話す。■伊東副院長は「激しい運動をすると、動脈硬化を進行させることもある」と指摘する。激しい運動を行うには、体内に多くの酸素を取り込む必要がある。そのう ちの数%が 有害な活性酸素という物質に変化し、血管の内側の細胞を傷つけ、血液に含まれる脂質などが血管内に入り込むと、動脈硬化の原因になることもあるという。」 既にこの記事は削除されて見ることができません。 ■34歳の松田さんの心筋梗塞による急死について、東大副学長の武藤芳照教授(身体教育学)は「極めて珍しいケース」と話した。
30歳代男性が心筋梗塞で倒れる要因として(1)幼少時に「川崎病」を患った経験がある(2)喫煙習慣がある(3)家族に若くして突然死した人がいる、 という点が考えられるという。「川崎病」は主に乳幼児がかかり、高熱や発疹といった症状が出る。武藤教授は「若い人が急死する原因の一つとして知られてい る」と説明した。 ■diopatic coronary artery dissectionという概念があります。case reportとして結構報告されています。
若くて 冠リスクの乏しい方がACSを起こした場合に、その原因としてあげられます。血管壁が脆弱な方などにspasmが原因で冠動脈に解離が生じ、AMIになるとの報告もありま すが、完全には証明できていません。
川崎病ならCAGでベースの冠動脈がボロボロに瘤形成や拡張を来しています
逆に冠動脈に明らかな動脈硬化がない場合は特発性・・と鑑別が出来ます。■いわゆる危険因子(正しくは冠状動脈硬化促進危険因子)と(急性)心筋梗塞発症因子は異なります。
心筋梗塞発症因子には以下の要因と(機序)が想定されています。
運動、脱水(血液濃縮、凝固能亢進)、 時間帯、ストレス(凝固能亢進)、 冠状動脈攣縮(血管壁の障害、粥腫破綻)
冠状動脈硬化の若年化、高度化はわが国の重要な公衆衛生学問題でありますが、すべての急性心筋梗塞発症に冠状動脈硬化が必須であるわけではありません。■日本循環器学会のシンポジウムでも取り上げられましたが、30代男性の急性冠症候群には
1.冠縮攣とその部位に血栓が形成されている。
2.血栓を除去し、攣縮が解除されると、その攣縮部位にはほとんど動脈硬化がない
3.ヘビースモーカーである
というタイプがあるとのことです。■最近日本人の若年者では以前と異なり、EPA/AA比が減少し(10歳代で平均0.1ほど、20歳代で平均0.2ほど)、60歳代の平均0.6ほどと異なり、欧米人(平均 0.1ほど)と同等になっており、動脈血栓形成が起こりやすくなっている可能性があります。 ■松田選手の場合、LADからLCXへの副側血行路もあった慢性の虚血性心疾患だったとの情報もあり、しかもLCX主幹部の血栓形成で、バルーンカテも通っ たとのことですか ら、AEDで徐細動さえ行われ、早急にCCUに搬送されていれば(練習場が病院から遠く、発症から1時間近くかかったとのこと)、救命できたと思われます。
前述の冠攣縮+血栓タイプだったのか、通常のプラーク破綻・血栓形成タイプだったのか。 ■Hbが高すぎたのでは? ■スポーツ選手の急死というとアナボリックステロイドの可能性を考えます。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (循環器専門医向き) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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血管内皮細胞および中枢神経系に対するアルドステロンの関与とアルドステロンブロッカーが果たす役割
司会
藤田 敏郎 氏 東京大学大学院 内科学教授
出席者
Charles J. Lowenstein 氏 Professor, Department of Medicine, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
Frans H.H. Leenen 氏 Professor of Medicine & Pharmacology, Departments of Medicine & Cellular & Molecular Medicine, University of Ottawa
腎臓で水・電解質のバランス調節を担うホルモンであるアルドステロンは,近年の研究から腎以外にも血管,心臓,中枢神経系などさまざまな部位に直接作用して高血圧や臓器障害の進展にかかわることが示され,その作用を阻害するアルドステロンブロッカーが注目されている。
アルドステロンの有害作用は, 特に食塩の存在下で引き起こされるため,塩分摂取量の多い日本人の高血圧患者においてアルドステロンブロックの果たす役割は大きいと考えられる。
そこで今回の企画では,
(1)血管内皮細胞に対するアルドステロンの作用と食塩感受性高血圧の発症におけるアルドステロンの関与
(2)食塩感受性高血圧や心不全におけるアルドステロンの中枢作用の関与
—について,東京大学大学院医学系研究科内科学教授の藤田敏郎氏が各テーマの専門家と討議した。
対談1
血管内皮機能へのアルドステロンの関与と内分泌性高血圧における選択的アルドステロンブロッカーの作用
Charles J. Lowenstein 氏
アルドステロンはエキソサイトーシスを促進し血管炎症を惹起する
藤田
アルドステロンは,遠位尿細管上皮細胞にあるミネラロコルチコイド受容体(MR)を介して腎臓におけるナトリウム(Na)や水の代謝を調節する生理的ホルモンですが,近年,血中アルドステロンの高濃度状態が続くと,脳,心血管系,腎などの臓器障害の合併を引き起こす可能性があることが分かってきました。
Lowenstein先生はアルドステロンの過剰分泌が高血圧や臓器障害の起因である血管炎症の引き金となる可能性について研究されていますが,血管炎症発症の機序から,順を追ってご説明いただけますか。
Lowenstein
血管内皮細胞が損傷を受けると,トロンビンやロイコトリエンなどの炎症メディエータの働きにより血管内皮細胞内にある分泌顆粒のWeibel Palade小体(WPB)が萌芽し(budding),細胞膜表面に移動します。
N-エチルマレイミド感受性因子(NSF)は膜表在性のN-エチルマレ イミド感受性因子付着蛋白(SNAP),SNAP受容体(SNARE)との複合体を形成し膜に結合していますが,アデノシン三リン酸(ATP)を介してこの複合体が分解されると,分泌顆粒膜内層のv-SNAREと細胞外膜のt-SNAREが結合し(docking),準備状態(priming)を経て細胞 内カルシウム(Ca)の上昇を機に膜融合(fusion)します。
この膜融合によって分泌顆粒内腔が細胞外に向けて開口し,内包するP-セクレチンやフォンビルブランド因子(vWF)などの血管炎症,血栓形成促進因子を放出するエキソサイトーシス(開口分泌)という現象が発生します(図1)。
エキソサイトーシスにより血管内に放出された神経伝達物質を介して白血球が血管表面を転がり,血管内皮細胞表面のインテグリンリガンド[細胞間接着分子 (ICAM),血管細胞接着分子(VCAM)など]が活性化して白血球表面のインテグリンと結合,白血球が血管内皮細胞に接着すると,血管内皮細胞の間隙から間質に白血球が漏出,遊走します。
血管炎症は,白血球traffickingと呼ばれるこの一連の過程を通じて発生します(図2)。
Lowenstein(血管炎症へのアルドステロンの関与について) アルドステロンは細胞質内に存在するMRに結合して,ICAM-1や炎症性サイトカインである単球走化性蛋白 (MCP)-1,インターロイキン(IL)-6の産生を促進し,血管や心臓,腎臓における線維化・炎症を惹起します。その一方で,アルドステロンは血管内皮細胞において,マイトゲン活性化蛋白酵素(MAPK)や核内転写因子(NF-κB),ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)酸化酵素(Nox2)を活性化し,活性酸素(ROS)の産生を介して一酸化窒素合成酵素(NOS)の産生に影響を与えます。このように,アルドステロンの血管に対する作用には,遺伝子の転写を介する緩徐なゲノム作用と,転写を介さず5~10分以内に生じる迅速な非ゲノム作用の2相性の作用が認められています。 われわれは,アルドステロンが内皮細胞のエキソサイトーシスを促進することによって血管炎症を発症させる機序があると仮定し,ヒト大動脈血管内皮細胞に濃度の異なるアルドステロンを添加してWPBの成分の炎症マーカーである,IL-8とvWFの放出量を測定する実験を行いました。その結果,アルドステロ ンはIL-8,vWFの放出量を濃度依存的に増加させ,エキソサイトーシスを促進していました。転写阻害薬アクチノマイシンDの存在下でもvWFが急速に 増加したことから,この効果は遺伝子転写を介さない,迅速な非ゲノム作用であることが示唆されました1)。 藤田 アルドステロンによるエキソサイトーシスの促進はMRを介する作用とお考えでしょうか。
Lowenstein
siRNAを用いてMRのノックダウンを行ったところ,アルドステロン添加時のvWF放出量が減少しました。
さらに,内皮細胞をアルドステロンブロッカーで前処理したところ,vWF放出量が用量依存的に抑制されましたが,選択的エストロゲン受容体阻害薬,プロゲステ ロン受容体阻害薬では抑制されませんでした1)。
これらの結果から,アルドステロンによる内皮細胞のエキソサイトーシス誘導作用は部分的にMRを介すると考えられます。
NOはエキソサイトーシスを抑制する
藤田
アルドステロンが内皮細胞のエキソサイトーシスを惹起するということですが,逆にエキソサイトーシスを抑制する物質にはどのようなものがあるのでしょうか。
Lowenstein
一酸化窒素(NO)が,エキソサイトーシスを抑制する重要な因子ととらえています。
ヒト大動脈血管内皮細胞にトロン ビンと同時にNOドナーのジアゼノレート2−オキシド(DEA- NONOate)を添加すると,トロンビンによるエキソサイトーシスの亢進がブロックされます。
また,炎症性メディエータであるヒスタミンと同時に一酸化 窒素合成酵素阻害薬(L-NAME)を加えると血小板凝集が亢進しました2)。NOのターゲットはNSFであり,NSFの持つ9つのシステイン残基のうち3つにNOが結合することにより,SNARE複合体の分解を妨げ,エキソサイトーシスが阻害されると考えられます。 藤田 アルドステロンはNO産生にどのような影響を与えますか。 Lowenstein アルドステロンは血管内皮細胞への白血球の接着を誘導し,エキソサイトーシスを促進するとともに,炎症を抑制する NOの産生を阻害することにより血管炎症を惹起します。血管炎症には,このほかにも細胞内Ca濃度や遺伝子転写など,さまざまな要素が関与しており,その機序はいまだ完全には解明されていませんが,血管内皮細胞のエキソサイトーシスを活性化する因子と抑制する因子のバランスが血管炎症を制御しているということがいえるでしょう。 肥満と塩分摂取が相乗的にアルドステロン分泌を上昇させる藤田 臓器障害とアルドステロンという観点から,食塩感受性高血圧やメタボリックシンドロームの引き金となる食塩摂取と肥満という,相関する2つの要素についても討議したいと思います。肥満は食塩感受性を亢進させ,心血管障害や慢性腎臓病(CKD)の罹患につながります。肥満に伴うCKDの 発症にはアルドステロンが重要な役割を果たしています。高血圧自然発症肥満(SHR/cp)ラットでは,血漿アルドステロン濃度が通常の約2倍に上昇 し,MR系下流にある血清・グルココルチコイド誘導性キナーゼ(Sgk)-1の亢進が認められ,MRの活性化が示唆されました。このSHR/cpラットに エプレレノンを投与すると,蛋白尿が抑制されました3)。さらに高食塩食SHR/cpラットにおける検討では,蛋白尿量はSHR/cpラットに比して増加しましたが,エプレレノンの投与で有意に減少しました(図3)。
アルドステロンの分泌は,アンジオテンシン,血清カリウム,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって統御されますが,最近では脂肪細胞からもレプチン やIL-6など,多数のアルドステロン放出因子が分泌されていることが分かっています。SHR肥満ラットでは肥満細胞が肥大し,アルドステロン産生が亢進 しています。この状態で大量の塩分を摂取した場合,脂肪細胞からのアルドステロン放出因子の分泌が抑制されずにMRが活性化され,昇圧,心機能障害,腎障 害に至ると推測されます。
Lowenstein
アルドステロン放出因子に焦点を当てることによって,肥満患者のMR活性化とそれを起因とするさまざまな疾病の機序が解明できる可能性があり,大変興味深いと思います。 アルドステロン非依存性に食塩負荷でMRを活性化するRac 1-MR系藤田 一方,肥満を来した高血圧患者であっても,必ずしも血中アルドステロン濃度の上昇が認められるわけではありません。そのような例でも アルドステロンブロッカーの投与により蛋白尿が抑制されることがあるため,MRを活性化する系がアルドステロン以外にもあるのではないかと推定されています。 われわれは低分子量G蛋白の1つであるRac 1に注目しました。ヒト胎児腎細胞で緑色蛍光蛋白(GFP)を用いたMR-GFPを観察すると,MR-GFPはアルドステロンの添加により細胞質内から核へと移行し,転写活性が増強します。また,腎臓特異的Rac 1を過剰に活性化させたマウス(Rac 1マウス)を作製し,Rac 1によるMR活性化が腎障害の進展に関与するかどうかを,検討しました。Rac 1マウスでは,野生型(WT)マウスに比して蛋白尿量が増加し,高度の糸球体硬化と糸球体足細胞傷害が認められましたが,これらはRac 1特異的阻害薬およびエプレレノンの投与によって減少しました(図4)。これらの結果から,Rac 1によるMR活性化が糸球体上皮細胞傷害による腎疾患に重要な役割を果たしており,エプレレノンが傷害を改善する可能性があることが示唆されました。
Lowenstein
Rac 1研究の新たな展望を開く研究であり,次報を楽しみにしています。
藤田 最近,食塩感受性の原因が食塩負荷時のRac 1-MR系の異常活性化によることを発見しました。
1) Jeong Y, et al. Proc Natl Acad Sci USA 2009; 106: 3782-3787[L20090406003] 2) Matsushita K, et al. Cell 2003; 115:
139-150[L20110722009]
3) Nagase M, et al. J Am Soc Nephrol 2006; 17: 3438-3446[L20070116066]
出典 Medical Tribune 2011.8.4
版権 メディカル・トリビューン社
読んでいただいて有り難うございます。コメントをお待ちしています。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。 近年、アルドステロンの直接的な臓器障害が注目されています。
選択的アルドステロンブロッカー(SAB)のエプレレノンには、臓器障害の抑制、特に心保護が期待されます。
開業医レベルでは、なかなかその効果を実感することは出来ません。
しかし、2003年に4E-LVHというスタディの結果が論文となりました。
Effects of eplerenone, enalapril, and eplerenone/enalapril in patients with essential hypertension and left ventricular hypertrophy: the 4E-left ventricular hypertrophy study.
Pitt B et al. Circulation. 2003; 108: 1831-8.
以下は、「循環器トライアルベース」のサイトからです。
4E-Left Ventricular Hypertrophy
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2001660.html
目的;
左室肥大(LVH)を有する高血圧患者において,LVH退縮効果を選択的アルドステロン拮抗薬eplerenone,ACE阻害薬enalapril,あるいは併用で比較。一次エンドポイントはMRIで評価した9か月後(または試験中止時)の左室重量。
結果;
一次エンドポイントなどの有効性はベースライン/終了時のMRI所見が得られた153例(eplerenone群50例,enalapril群54例,併用群49例)で評価。
一 次エンドポイントである左室重量は平均-14.5g,-19.7g,-27.2gでいずれも有意に減少したが,eplerenone群 vs enalapril群(p=0.258)と,併用群 vs enalapril群(p=0.107)に有意差はみられなかったが,併用群 vs eplerenone単独群では併用群の変化の方が有意に大きかった(p=0.007)。
平均SBP/DBPは3群ともベースライン時に比較して 有意に低下(-23.8/-11.9mmHg,-24.7/-13.4mmHg,-28.7/-14.4mmHg)。併用群でeplerenone群に比 較してSBP低下が有意に大きかった(p=0.048)ことを除いて,治療群間に差はなかった。
有害事象発症率は3群とも同様 (65.6%,70.4%,55.2%)で,重篤であったのは7例,5例,9例であった(ただし試験薬との関連が考えられるのは2例のみ)。
eplerenone群に比較してenalapril群で咳の発症率が有意に高かった[2例 vs 10例(うち2例は投与中止),p=0.033]。eplerenone群ではカリウム値上昇(≧6mEq/L)の頻度が高かった。
結果;
eplerenoneのLVH退縮と降圧効果はenalaprilと同等である。単独投与よりもenalaprilとの併用投与の方が退縮効果がより大きかった。
<関連サイト>
JSH2009から見たエプレレノンの位置付け
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2009/M42230361/(要パスワード)
■JSH2009では,心筋梗塞後と心不全合併高血圧患者においてアルドステロン拮抗薬の追加を推奨しています。
その根拠としては,RALESやEPHESUSの両試験で,心不全患者に対する標準治療にアルドス テロン拮抗薬を併用した結果,有意に生命予後に好影響をもたらせたことが挙げられます。
また,興味深いことにEPHESUS高血圧既往例のサブ解析でも,アルドステロン・ブロックにより心臓突然死の有意な抑制作用が認められています。
■より早期の病態である左室肥大を伴う本態性高血圧患者を対象にした4E-LVHでも,アルドステロン・ブロックによる心肥大退縮が示されています。
■In vitro の検討では,アルドステロンは高食塩存在下で心肥大を進行させ,エプレレノンがその抑制に寄与することが知られており(Yamamuro M, et al: Endocrinology 147: 1314-1321, 2006),食塩摂取が過剰な日本人に対するエプレレノンの有用性が期待されます。
■高齢者高血圧の特徴は血圧変動が激しいことで,それには繊維化が大きく関与することがわかっています。
私たちは平均血圧が高血圧モデルと同等で,繊維化によって血圧変動性を増した血圧変動高血圧モデルを作成して検討を行いました。
このモデルでは心肥大,心筋繊維化の進行が認められましたが,非降圧量の エプレレノンをあらかじめ投与することでそれらが抑制されることがわかりました。
■エプレレノンは,非降圧量で心肥大,心筋繊維化を抑制することが示唆されています。
そのような薬剤は,理想的な拡張不全を伴う高血圧の治療薬になりうる可能性を秘めていると考えます。
(久留米大学・今泉 勉教授)
腎疾患合併高血圧患者におけるアルドステロンのリスクとスピロノラクトンの有用性
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43470281/ (要パスワード)
■アルドステロンは,腎臓において糸球体硬化症,間質繊維化,蛋白尿にかかわるなど臓器障害を引き起こします。
さらに,このことが左室肥大,心筋繊維化,収縮不全とも関連し,内皮機能障害,炎症,酸化ストレスを介して脳卒中,心不全,腎疾患などを引き起こす要因となります。
■アルドステロンにはゲノム作用と非ゲノム作用がありますが,ここではゲノム作用に焦点を当てます。
アルドステロンはMRに結合し,核内に移行しますが,そこで多くの遺伝子やプロモーターと結合します。
これらの遺伝子の転写によりERKの活性化とNADPHオキシダーゼのアップレギュ レーションが誘発されます。そしてこのERKやNADPHオキシダーゼによってNF-κB,AP-1やスーパーオキサイドが増加し,それに続いて炎症メディエータであるICAM-1,MCP-1,IL-6が誘動されます。
実際,アルドステロンを持続投与した動物モデルの血管周囲には炎症性病変が認められ ますが,副腎の摘出あるいはアルドステロンブロッカーの投与により,こうした炎症性病変が改善することが示されています。
重要なことは,このようなアルドステロンの有害作用が高食塩共存下に見られることです。
■スピロノラクトンには,心不全患者の転帰を改善するという確たるエビデンスがRALES によって示されています。
しかし腎症合併高血圧については,そこまで明確なエビデンスは得られていませんが,RA系の抑制に加えてアルドステ ロンをレセプターで直接ブロックすることで蛋白尿の減少が期待できることが多くの臨床研究によって示されています。
(Department of Internal Medicine, The University of Texas Southwestern Medical Center ・Robert D Toto教授)
セララ®発売1周年記念シンポジウム
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2009/M42060451/■最近,腎臓でNa再吸収を担うと考えられていたMRが全身に存在することが明らかになり,あらためて副腎皮質ホルモンの全身への作用が注目される。さまざまな検討の結果,食塩存在下におけるアルドステロンの有害作用を解くうえで,心筋細胞においてアルドステロンが作用し,細胞内にNa+を流入させるチャネルであるNa+/H+exchager1(NHE1)の重要性が浮き彫りになった。■心筋細胞を培養液の食塩濃度をわずかに上げて2時間静置すると,心筋細胞は脱水を起こして変形するが,あらかじめアルドステロンを添加しておくと脱水が抑制される。すなわちアルドステロンは,細胞外液のNa濃度が上がると細胞内にNa+を流入させて脱水から守るnon-genomicな保護作用(抗細胞脱水作用)を示すことがわかった。この機序にかかわるkey moleculeがNHE1であると考えられる。 ■一方,このような細胞外液のNa濃度が高い状態を72時間継続させると,心筋細胞は著しく肥大化した。すなわち,心筋細胞内にNa+が過剰に流入することによりNHE1が過度に活性化し,Ca2+が上昇して心筋細胞の肥大を招くgenomicな機序が進行することが示唆される。これに対し,あらかじめ培養液にエプレレノンを添加しておくと,心筋細胞の肥大が完全に抑制されることがわかった。 (慈恵医大・吉村 道博教授)

Urabe.A. et al. Hypertens Res 29(8):627,2006出典 日本医事新報 no.4523 2011.1.1
版権 日本医事新報社 
出典 日本医事新報 no.4523 2011.1.1
版権 日本医事新報社<私的コメント>この図では、血圧のコントロール、心筋肥大の抑制、心筋繊維化の抑制のいずれもBNPの抑制(心負荷の改善)となっています。
2年前のセララ発売1周年記念講演(東京)で吉村先生の発表を聴きました。
その際にフロアーから「心筋繊維化は可逆的な変化でしょうか」という質問がありました。
<自遊時間>
某外国企業がいち早く被災者受け入れの行動に出ました。
目・鼻・耳は正しく洗浄
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2011/03/25
(「自遊時間」)
その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。
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溶けて消えるDESも登場間近 新発想のステントが続々従来の薬剤溶出ステント(DES)の欠点を克服すべく、ステントメーカーの間では開発競争が繰り広げられている。
ステントそのものが体内で分解される製品も海外で使用可能になりつつあり、現場では大きな期待が寄せられている。
ステント血栓症など安全性に対する懸念は、完全になくなったわけではない。
そのため、新しい発想に基づくDESの開発が進んでいる。
三井記念病院(東京都千代田区)循環器内科科長の田邉健吾氏によると、現在のDESの開発には主に3つの方向性があるという。
(1)ポリマーが消失する
(2)ポリマーを使わない
(3)ステント自体が消失する──のいずれかだ。
(1)は、薬剤を含んでいるポリマーに生分解性の素材を使い、ステント血栓症のリスク低減を狙うのが狙いだ。
田邉氏は、「今後はこのタイプのステントが日本でもいくつか出てくることになる」と予測する。

該当する製品は、まず前述したテルモの「NOBORI」。ポリマーにポリ乳酸を使用しており、体内で分解され金属のステント本体のみが血管に残る。また、米ジョンソン・エンド・ジョンソン社が開発中の「Nevo」や、米ボストン・サイエンティフィック社の「SYNERGY」などもこのタイプだ。
現在開発されている新しいタイプのDES(例)
1:ジョンソン・エンド・ジョンソン社が開発中の「Nevo」
2:バイオセンサーズ社が開発中の「Biofreedom」
3:アボットバスキュラー社が開発中の「ABSORB」
Nevoは、ステント本体にいくつもの穴が開いており、そこに薬剤(シロリムス)を含んだポリ乳酸・グリコール酸を埋め込むタイプ(写真1)。
海外および日本で開発中で、海外ではタクサスとの比較試験(400人規模)で6カ月後の血管径の遠隔期損失を有意に減少させ、主要心血管イベントも少ない傾向に あるなどの成績を残している。
SYNERGYは、ステントをコーティングするポリマーにポリ乳酸・グリコール酸を使用したもので、薬剤にはエベロリムスを用いる。海外および日本で開発中で、海外ではザイエンスとの比較試験を実施している。
ステント表面を特殊加工
(2)は、ポリマーの悪影響を回避するための戦略として、ポリマーそのものを使わない方法を取る。ステントの材質表面に特殊な加工を行い、薬剤をステントに直接“染み込ませ”て、薬剤の徐放性を担保する。
この方式を採用する主な製品には、欧州で既に発売されている「YUKON Choice」がある。
ステントの表面を加工して微小な多孔構造を作り、そこに薬剤を塗布する。
留置後3カ月以内にステントが血管内皮で覆われるとされており、サイファーやエンデバーなどとの比較試験が行われて良好な成績を得ている。
ただし、日本での開発は行われていないようだ。
この他、「Biofreedom」 という製品をシンガポールのバイオセンサーズ社が同様のコンセプトで開発している。
ステント表面に作られた微小な穴に、バイオリムスA9が充てんされる (写真2)。
海外の複数施設で行われたタクサスとの比較試験では、12カ月経過時点で1次エンドポイントである血管の遠隔期損失において非劣 性が証明され、ステント血栓症は起きていないなど有望なデータが出ている。
ただ、試験自体が小規模(被験者の合計182人)であり、評価はこれからだ。
溶けて消えるステントも登場
(1)や(2)に比べて(3)は開発のハードルが高い。ステントが消失すれば患者に大きなメリットがある半面、血管を支持する力や柔軟性確保などに課題があり、実現はまだ先の話と思われていた。
ところが、この生体吸収性DESが市場に登場しようとしている。
今年1月、米アボットバスキュラー社の生体吸収性DES「ABSORB」(写真3)が、欧州でCEマーク(日本における薬事承認に相当)を取得した。
これは欧州でABSORBが販売できるようになったことを意味しており、これから順次、各国の保険承認を取得していく。
現場での臨床応用は目前だ。
三井記念病院の田邉氏は、「ABSORBが登場するインパクトは非常に大きい」と評価する。
「患者にとって体内に異物があるという不安感がなくなるほか、 バイパス手術やCT撮影の邪魔にならない。
また、抗血小板薬の長期服用が不要になる可能性もあり、若年者にも使いやすい。血管が成長する子どもへの応用に も期待が高まる」。
ABSORBはステント本体がポリ乳酸でできており、表面がエベロリムスを含有したポリ乳酸でコーティングされてい る。
以下の写真は、ABSORBを留置した部位と、留置して2年後の同部位を光干渉断層計(OCT)で見たもの。
血管からステント本体が消失していることが分かる。
ヒトにおけるABSORB留置直後と2年後の血管の様子
ABSORB留置直後(写真左)には、血管壁にステント本体(→)が確認できるが、留置後2年を経過した時点(写真右)ではステント本体が消失している。
このステントを用いて海外で行われたABSORBの第1相試験では、30症例を3年間追跡した結果、MACEの発生率は3.6%だった。
その後行われた第 2相試験でも、9カ月の追跡を終了した101症例で、MACEの発生は4.4%、血栓症は1例もなかった。
血管径の遠隔期損失は6カ月時点で平均 0.19mmとなり、通常のDESと同等の値にとどまった。
こうしたデータを受け、今回のCEマーク取得につながった。
同社ではABSORBの一部製品を、今年末から2012年にかけて欧州で施設を限定しながら製品供給を開始するという。
薬剤溶出ステントは、近いうちに新たな段階へ踏み出すことになりそうだ。
出典 NM online 2011.2.25
版権 日経BP社

Rue Berbier du Mets(ミューゼ・ゴブランの裏通り)
鬼頭鍋三郎
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スピロノラクトンについては、中等症〜重症(NYHA分類でクラスIIIまたはIV)の収縮期心不全患者の全死因死亡と心血管イベントによる入院を減らすとの報告があります。
エプレレノンも、左室収縮機能障害と心不全を合併した急性心不全患者の全死因死亡と心血管イベントによる入院のリスクを低減することが示されています。
こう したデータに基づき、中等症〜重症の慢性収縮期心不全患者と、心筋梗塞に心不全を合併した患者に対する鉱質コルチコイド受容体拮抗薬の投与が推奨されています。
2010年11月14日のNEJM誌電子版に、エプレレノンを、標準治療と共に軽症の慢性収縮期心不全患者に用いると、偽薬に比べ死亡リスクと入院リスクの有意な低減がみられることが明らかにされました。(EMPHASIS-HF)
<参考> NM online 2010.12.7きょうは慢性心不全治療の最新の知見について勉強しました。
エプレレノンやスピロノラクトンにエビデンス続々
軽症患者に対する予後改善効果への期待大アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬の効果が認められ始めたことで、慢性心不全の治療はここ10数年で大きく様変わりした。最近では、治療薬のラインナップに新たに加わったアルドステロン拮抗薬が、生命予後を改善するといったエビデンスも明らかになってきた。
2010年11月、標準治療を受けている軽症の慢性心不全患者にアルドステロン拮抗薬の一種であるエプレレノンを追加投与すると、プラセボ群に比べ死亡率と入院率が有意に低下することが、二重盲検無作為化比較試験EMPHASIS-HFの結果から明らかになった。
降圧薬として広がりつつあるアルドステロン拮抗薬は、主に副腎皮質で産生されるホルモンであるアルドステロンが、腎臓などに存在する鉱質コルチコイド受容体と結合するのをブロックする。これにより、降圧を促進するとともに、腎臓遠位尿細管からのナトリウムの再吸収と水の再吸収を抑制する。
ACE阻害薬やARBを長期投与されている心不全患者のうち、一度抑制されたアルドステロンの産生が再び亢進した状態(アルドステロンブレイクスルー)にある患者は1割以上、研究によっては約半分にも達しているといわれ、さらに予後不良であるとされる。心不全に対する詳細な作用機序は明らかになっていない が、アルドステロン拮抗薬にはこの状態を改善する効果があるとみられている。
冒頭で紹介したEMPHASIS-HFの対象は、55歳以上で、ニューヨーク心臓協会(NewYork Heart Association)による重症度分類(NYHA分類)でクラスII(表)に該当する比較的軽症の心不全患者。
標準治療として、ACE阻害薬とARB のいずれか、または両方とβ遮断薬を併用し、推奨される用量または最大耐用量が投与されていることを条件とした。エプレレノン投与群とプラセボ群で心血管死亡または心不全による入院の割合、全死因死亡の割合などを比較したところ、エプレレノン投与群の方が有意に少なかった(図1)。
図1 EMPHASIS-HFの結果(出典:N Engl J med 2011; 364: 11-21.)
対象は、55歳以上で、ニューヨーク心臓協会による重症度分類でクラスIIに該当する比較的軽症の心不全患者。左室駆出率(1回の拍動で心臓から送り出さ れる血液の割合。正常な左室駆出率は約60%)が30%以下か、または30%以上35%以下で心電図のQRS間隔が130m秒超であることを条件とした。
さらに、標準治療として、ACE阻害薬とARBのいずれか、または両方とβ遮断薬を併用し、推奨される用量または最大耐用量が投与されていることとした。
エプレレノンは、開始用量を25mg/日とし、最高50mg/日まで増量して投与。
その結果、心血管死亡または心不全による入院の割合は、エプレレノン投 与群で18.3%、プラセボ群で25.9%。
全死因死亡はエプレレノン投与群で12.5%、プラセボ群で15.5%だった。
心血管死亡はエプレレノン投与群で10.8%、プラセボ群で13.5%。
全死因死亡または心不全による入院の確率は、それぞれ19.8%と27.4%。
心不全による入院とすべての入 院も、エプレレノン投与群で有意に少なかった。
同試験は追跡期間の中央値が21カ月になった時点で、エプレレノンの優位性が明らかになったとして中止されている。
慈恵医大循環器内科主任教授の吉村道博氏は、「標準治療にエプレレノンを加えると、過去に報告のあった重症の慢性心不全群のみならず、軽症群においても死亡率が有意に低下したという同試験の結果は、非常にインパクトが大きい」と評価する。
北大循環器内科教授の筒井裕之氏は、「EMPHASIS-HF以前に行われた臨床試験RALESの対象は、軽い労作でも息切れや疲労感などの症状がある NYHA III度以上の重症な患者だった。エプレレノンは、外来患者のほとんどを占めるNYHA I〜II度といった比較的軽症の患者にも効果が期待できる」と話す。
米国では、エプレレノンは心筋梗塞後のうっ血性心不全の治療薬として既に使用されているが、日本での適応は高血圧症のみ。とはいえ、高血圧を合併した軽症の心不全患者には使用可能で、その意義は極めて高いといえそうだ。 現在、エプレレノンの心不全の適応取得に向けて治験が進められている。
国内でも予後改善効果認める研究
国内でも、アルドステロン拮抗薬の心不全への効果を検討した研究JCARE-CARDの結果が明らかになっている。使用されたのは、国内で唯一、心不全への適応があるスピロノラクトンだ。
慢性心不全の増悪により入院した患者2675人のうち、左室駆出率が40%以下の患者と弁膜症の患者を除外した946人を対象に、退院時にスピロノラク トンを投与していたかどうかで2群に分け、平均2.4年追跡した。その結果、スピロノラクトンを投与した群は、非投与群に比べ、全死亡リスクが約38%低 下し、心臓死のリスクも約48%低下していた(Am Heart J 2010; 160: 1156-62.)。
研究班の主要メン バーである北大循環器内科教授の筒井氏は、「RALESやEMPHASIS-HFのようなランダム化比較試験(RCT)は治療薬剤のエビデンスとして重要だが、合併症が少ない限られた患者が対象で、実臨床での患者像を必ずしも反映していないというデメリットがある。しかし、日本人患者を対象としたこの前向き観察研究の結果により、実臨床でもアルドステロン拮抗薬が慢性心不全患者の予後の改善に有効であることが分かった」と話す。
腎機能障害の患者に注意
慢性心不全治療において、エプレレノンやスピロノラクトンは、ACE阻害薬またはARB、β遮断薬といった既存のラインナップに追加投与される可能性が高そうだ。既存の利尿薬と入れ替えて使用する選択肢もあるが、「うっ血のコントロールにはフロセミドなどのループ利尿薬が効果が高いため、アルドステロン拮抗薬との併用を選択することが多い」(筒井氏)からだ。
副作用としては、まず注意すべきなのが高カリウム血症。エプレレノンに関しては、高血圧症を適応とした添付文書で、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者、クレアチニンクリアランス50mL/分未満の重度の腎障害の患者などは投与禁忌。心不全での適応が認められた場合にも、腎障害を持つ患者は、適応を慎重に判断する必要がありそうだ。
一方、スピロノラク トンも、高カリウム血症を誘発するリスクが高いことから、急性腎不全患者への投与は禁忌とされている。また、スピロノラクトンは鉱質コルチコイド受容体へ の選択性が低く、女性化乳房や月経異常といった内分泌系の副作用の発生頻度が少々高い。なお、エプレレノンはより選択的に鉱質コルチコイド受容体に結合するため、内分泌系の副作用の発生頻度は低いと考えられている。
注目される拡張不全型心不全
慢性心不全は、左室駆出率(EF)が低下する収縮不全型心不全と、EFの低下を認めない拡張不全型心不全に分けられる。
拡張不全型は、EFがほぼ正常値に 保たれているために見落とされがちだが、予後が不良で、薬物治療の効果があまり得られないことなどが複数の研究から示され、最近注目を集めている。
欧米では、拡張不全型の中でも、高血圧や心房細動などの合併症が影響しているとみられる患者が増えているとの報告がある。
また、国内の前向き観察研究 JCARE-CARDの対象となった慢性心不全患者の原因疾患においても、左室駆出率(EF)<40%と定義した収縮不全群では、虚血性心疾患と拡張型心 筋症が多くの割合を占め、EF≧50%と定義した拡張不全群では、高血圧が44%と最も多くを占めた(図2)。
高血圧が拡張不全型心不全のリスク因子である理由は明らかになっていないが、高血圧状態の持続により左室が肥大し、それにより左室の拡張機能障害が生じる ほか、血管抵抗性の増大、レニン・アンジオテンシン(RA)系や交感神経系の活性化など、様々な要因が関与して発症すると考えられている。
筒井氏は、「息切れ、呼吸困難、疲労感、むくみといった臨床症状のほか、高齢者(特に女性)、高血圧、心房細動などの既往が拡張不全型心不全のリスクファクターと考えられる。高血圧のコントロールを厳格に行うことが発症・重症化を防止する上で重要だ」と話す。
拡張不全型心不全は、息切れ、労作時呼吸困難、疲労感、むくみ、体重増加などの臨床症状が収縮不全型に比べて顕著でないことが多いため、疑わなければ診断できない。
「拡張不全型の場合、一見自覚症状がなくても、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を測定すると高値で、そこで拾い上げられるケースは少なくない。一般 的にBNP値が100pg/mLを超えると心不全の疑いが強いが、拡張不全型であれば80pg/mL程度でも心不全が疑われるので、診断に当たっては他疾 患の除外も含め注意が必要だ」と筒井氏は注意を促している。
最近では、海外、国内ともに、拡張不全型心不全患者を対象とした大規模臨床 試験が行われるようになってきた。
海外では現在、左室駆出率45%以上の拡張不全型心不全患者に対するスピロノラクトンの効果を検討するランダム化比較試 験TOPCATが行われている。
国内では、Ca拮抗薬であるニフェジピンが拡張不全型心不全患者の予後を改善するかどうかを検討する非盲検無作為化群間並 行比較試験DEMANDが10年から始まった。
11年末まで被験者を募集し、4年間のフォローアップが行われる予定だ。
出典 NM online 2011.2.16版権 日経BP社 <関連サイト> アルドステロン拮抗薬と重症心不全
http://blog.m3.com/reed/20090126/1アルドステロン拮抗薬と重症心不全
http://blog.m3.com/reed/20090108/1AHA 2010で発表のEMPHASIS-HF試験
http://blog.m3.com/reed/20101122/AHA_2010_EMPHASIS-HF_
アルドステロン拮抗薬と心不全
http://blog.m3.com/reed/20101209/1EMPHASIS-HF,「21カ月で終了」は妥当か
http://blog.m3.com/reed/20101226
その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ があります。
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EMPHASIS-HF試験については
AHA 2010で発表のEMPHASIS-HF試験
http://blog.m3.com/reed/20101122
アルドステロン拮抗薬と心不全
http://blog.m3.com/reed/20101209
でもとりあげました。
最近、岡山大学循環器内科・伊藤浩教授がこの試験についてコメントをメディカルトリビューン誌に掲載されまし。
きょうは、その記事で勉強しました。
##早期介入を後押しする結果/岡山大学循環器内科・伊藤浩教授のコメント
心筋線維化や心肥大の原因となるアルドステロンを早期から阻害することで予後が改善された今回の結果は,心不全が進行する前の「予防的介入」を重視するAHAの流れにも即したものだった。
今後,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬やβ遮断薬に加え,アルドステロン拮抗薬も早期の段階から必須の位置付けとなることは確実で,論点は「どのように使用していくか」に移るだろう。
CIBISⅢから,生存率の点ではRA系阻害薬よりもβ遮断薬が第一選択と考えられていたが,エビデンスは十分でない。
アルドステロン拮抗薬にはRA系阻害薬でも示されていない突然死の抑制も報告されており,拡張型心不全を対象としたTOPCATの結果次第では,むしろアルドステロン拮抗薬が重視されていく可能性もある。
重要なメッセージは有効性の面だけではない。
日本では血清K値の上限を5.0mEq/Lとする意見が多かったが,厳格過ぎて使える機会が少なかった。
同試験では5.5~5.9mEq/Lで用量調整,6.0mEq/L以上で投薬中止となっていたが,腎関連副作用は少なく,細心の注意を払えば6.0 mEq/Lを超えることはまれであることが証明された。
EMPHASIS-HFの前に発表された RAFTでも,同分類Ⅱ度の心不全患者に対してCRT-DがICDよりも予後を改善する結果が示された。
心臓の収縮がずれた状態を,心筋傷害が進む前の予備力のある段階で保護すべきという共通したメッセージが伝わってくる結果だった。
今後,予防的介入の在り方が論点になるだろう。
出典 Medical Tribune 2010.12.16
版権 メディカルトリビューン社
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兵庫県立尼崎病院循環器内科・佐藤 幸人先生の心不全の治療薬としてのアルドステロン拮抗薬の立ち位置について書かれた記事で勉強しました。
アルドステロン拮抗薬は腎障害がない限り心不全の必須治療薬に
EMPHASIS-HF試験から
研究の背景:比較的重症の心不全での有用性は証明済み,比較的軽症の患者では?
アルドステロン拮抗薬を用いた臨床試験としては,RALES試験(N Engl J Med 1999; 341: 709-717)とEPHESUS試験(N Engl J Med 2003; 348: 1309-1321)が代表的である。
RALES試験では,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ, Ⅳ度の中等度から重症の心不全患者を対象に,標準治療に対するスピロノラクトンの追加投与が検討され,総死亡と心血管イベントの抑制が認められた。
EPHESUS試験では心筋梗塞後心不全の患者を対象に,エプレレノンが追加投与され,総死亡と心血管イベントの抑制が認められた。
しかし,いずれの試験も比較的重症の患者が含まれており,比較的軽症の心不全患者に対するアルドステロン拮抗薬の追加投与の有用性は明らかでなかった。
EMPHASIS-HF試験では,この点が検討された。
注
同試験は第83回米国心臓協会年次集会(AHA 2010;11月13~17日,シカゴ)でも発表
研究のポイント:「NYHA心機能分類Ⅱ度,LVEF 30%未満」の心不全患者の予後を改善
EMPHASIS-HF試験では55歳以上,NYHA心機能分類Ⅱ度,ただし左室駆出率(LVEF)は30%未満(または30~35%で,心電図QRS幅130msec以上),さらに薬剤はACE阻害薬ARB,β遮断薬を投与している患者が対象とされた。
また,すべての患者は6カ月以内に心血管イベントによる入院歴があるか,入院歴がない患者ではB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)250pg/mL(日本の測定系では150pg/mLくらいに相当)以上か,N末端プロ(NT-pro)BNPが男性500pg/mL,女性750pg/mL以上とした。
除外基準は,急性心筋梗塞患者,NYHA心機能分類ⅢまたはⅣ度の重症患者,血清カリウム(K)値5.0mmol/L以上,推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満の腎不全患者であった。
患者はエプレレノン群(1,364例)またはプラセボ群(1,373例)に割り付けられ,エプレレノンはeGRFが30~49mL/分/1.73m2の低腎機能患者では同薬25mg/日隔日投与から4週後に25mg/日へ増量,eGFR 50mL/分/1.73m2以上では25mg/日で開始し,4週後には50mg/日で増量した。
その後4カ月ごとにK値を測定し,5.5~5.9mEq/Lではエプレレノンを減量し,6.0mEq/L以上では中止した。
その結果,観察期間中央値21カ月において,1次エンドポイント(心不全入院+心血管疾患死)発生率はエプレレノン群18.3%,プラセボ群25.9%と,エプレレノン群で37%の有意な減少が認められた〔図;ハザード比0.63,95%信頼区間(CI) 0.54~0.74,P<0.001〕。

総死亡,総入院,心不全入院という2次エンドポイントでも同様にエプレレノン群で有意に抑制された。
副作用として高K血症の発現頻度はエプレレノン群で有意に増加したが,薬剤を中止するほどの高K血症の頻度には両群間で差が認められなかった。
低血圧についても両群間に有意差は認められなかった。
佐藤先生の考察:突然死が少ない傾向も,不整脈抑制作用の現われか
ACE阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬の投与だけでは,血中アルドステロン値が一度は抑制されても,時間経過とともに再上昇するアルドステロンエスケイプ現象またはブレークスルー現象が認められる。
また,アルドステロンは水,ナトリウム貯留を生じ,心臓の線維化や高血圧,心肥大を促進する因子である。
スピロノラクトンやエプレレノンなどの薬剤はミネラロコルチコイド受容体に結合しアルドステロンの作用をブロックして,その作用を発揮する。
エプレレノンの方がミネラロコルチコイド受容体により選択的に結合し,女性化乳房が認められにくい。
今回のEMPHASIS-HF試験により,エプレレノンのACE阻害薬,ARB,β遮断薬への追加投与は中等度の心不全患者の心血管イベントを抑制することが明らかになった。
1イベント/年の1次エンドポイントを抑制するために必要な症例数は19であった。心不全領域ではACE阻害薬,ARB,β遮断薬が必須治療薬という認識だが,今後エプレレノンも腎障害がない限り必須治療薬という認識でよいかもしれない。
なお,EPHESUS試験では心臓突然死の抑制も報告されている。EMPHASIS-HF試験でも有意ではないが,エプレレノン群の方が,突然死が少ない傾向にあった。
従来言われている,抗アルドステロン薬の不整脈抑制作用の現れではないだろうか?
出典 MT pro 2010.11.15
版権 メディカル・トリビューン社
<ある日の講演録「心不全」 その3>
□心エコー法による拡張機能の評価
①左室流入血流速波形(中等度では偽正常化する)
②Valsalva法施行後の左室流入血流速波形
③組織ドプラ法により記録した僧房弁輪の動き
④肺静脈血流速波形
正常→軽度拡張機能障害(弛緩障害型)→中等度拡張機能障害→可逆的拘束型→非可逆的拘束型
(可逆的拘束型、非可逆的拘束型は重度拡張機能障害)
ステージ別の各波形の供覧
(Redfield MM, et al.JAMA 2003;289:194-202)
□弁膜症における心機能は血流と相関する
(YamazakiJ. et al. Cli Nucl Med 21,855,1996)
□ARBによる心肥大の予防と退縮
・マウスの圧負荷モデルでARBが心肥大を抑制
(私的コメント;供覧されたマクロの心筋切片スライドでは心肥大は抑制されず拡大が抑制されたように見えた)
・SHRの左室重量の増加がARBで抑制
Circulation89,1994
Circulation97,1998
Circ Res82,1998
□ARB(ロサルタン)はβ遮断薬(アテノロール)と比較して有意に心肥大を退縮 (LIFE Study)
Cornell Product, Sokolow-Lyon
□心肥大の退縮効果は薬剤により異なる
ARB、ACEI、CCBのいずれもがβ遮断剤にまさる
Am J Med 115; 41,2003
□心疾患を合併する高血圧の治療(JSH2009)
心肥大
持続的かつ十分な降圧
RA系阻害薬/長時間作用型Ca拮抗薬が第一選択
□チアゾリン(PPARγ agonist)はサイトカインを介して多くの細胞に作用する
□PPARγは心肥大の抑制に重要な役割を担っている
<自遊時間>
ジョンレノンの名言
http://www.earth-words.net/human/john-lennon.html
好きに生きたらいいんだよ。
だって、君の人生なんだから。
人生は短い。
だから友だちと争ったり戦ったりする、
暇なんてないんだよ。
ほしいだけの金を儲け、
好きなだけの名声を得て、
それが何の意味も無いことを知ったよ。
希望。
それ自体は幸福の一様態にしか過ぎない。
だけど、ひょっとすると、
現世がもたらし得る、
一番大きな幸福であるかもしれない。
人の言うことなんて気にしちゃだめだよ。
「こうすれば、ああ言われるだろう・・・」
こんなくだらない感情のせいで、
どれだけの人がやりたいこともできずに死んでいくのだろう。
目を開けてるから誤解が生じるんだ。
目を閉じてれば、
生きるなんて楽なことさ。
<きょうの一曲>
Stand By Me / John Lennon
http://www.youtube.com/watch?v=oPL4IIw9M-M&feature=related
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米国心臓協会(AHA)2010年学術集会が米国・シカゴで11月13日、開幕しました。
今後、今回の学会発表の記事がいろいろな形で掲載されることと思います。
AHAなどには行けない(想像だにしたことがない)私のような一開業医にとっては、こういった記事で勉強することが楽しみの一つでもあります。
EMPHASIS-HF
エプレレノン投与で収縮期心不全患者の死亡、入院リスクともに減少
収縮期心不全患者を対象に、アルドステロン拮抗薬・エプレレノンを投与したところ、心血管死亡と心不全による入院の発生を37%抑制したことが、同剤のフェーズⅢB試験「EMPHASIS-HF」の結果から分かった。
EMPHASIS-HF Study GroupのFairez Zannad氏が米国心臓協会(AHA)2010年学術集会で11月14日に開かれた「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで報告した。
試験は、軽症の収縮期心不全患者に対し、エビデンスに基づいた標準療法にエプレレノンを追加投与することで、臨床転帰を改善するか検討することを目的に、日本を除く世界29カ国272施設で実施された。
中間解析の結果、エプレレノン投与群で、有意に主要評価項目の発生率を低下させていることが示されたことから、独立安全性データ監視委員会により、2010年5月25日、試験は早期中止された。
試験期間は、2006年3月30日~5月25日。
対象は、
①NYHA心機能分類でⅡ度(心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの)
②左室駆出率(EF)<30%(EFが30~35%であればQRS>130msec)
③推奨量または最大用量のACE阻害薬、ARB、β遮断薬で治療されている
④心臓疾患により6カ月以上入院している
55歳以上の収縮期心不全患者2737例。
①エプレレノン25~50mg投与群1364例
②プラセボ投与群1373例
の2群に分け、治療効果を比較した。
エプレレノン群では、25mg1日1回から投与をスタートし、試験開始4週時点で50mg1日1回投与に増量することを可能とした。
主要評価項目は、心血管死亡+心不全による最初の入院の複合エンドポイント。追跡期間(中央値)は21カ月。
◎心血管死亡+心不全による入院を37%抑制
その結果、主要評価項目の発生率は、プラセボ群の25.9%に対し、エプレレノン群では18.3%で、エプレレノン群で有意に37%発生を抑制した(ハザード比:0.63、95%CI:0.54~0.74、P値<0.001)。
総死亡は、プラセボ群の15.5%に対し、エプレレノン群では12.5%で、エプレレノン群で有意に24%抑制した(ハザード比:0.76、95%CI:0.62~0.93、P値=0.0081)。
入院についても、エプレレノンの投与により、あらゆる理由による入院を23%、心不全による入院を42%有意に抑制し、死亡と入院、いずれのリスクも減少させることが分かった。
この結果はサブグループ解析でも同様の傾向を示した。
一方、安全性については、有害事象の発生率はエプレレノン群で72%(979例)、プラセボ群で73.6%(1007例)で、有意差はみられなかった(P値=0.37)。
ただし、高カリウム血症は、エプレレノン群で8%(109例)報告されたのに対し、プラセボ群では3.7%(50例)報告され、エプレレノン群で有意に高い結果となった(P値<0.001)。高カリウム血症による入院は両群間に有意差はみられなかった(P値=0.85)。
そのほか、同じクラスの薬剤であるスピロノラクトンでは腎機能の悪化が報告され、腎機能への影響も懸念されたが、腎不全や腎不全による入院も、エプレレノン群とプラセボ群で大きな差はみられなかった。
◎Zannad氏「治療を変える説得力のあるエビデンス」
結果を報告したZannad氏は、軽症収縮期心不全患者に対し、標準療法にエプレレノンを追加投与することは、「高い認容性で、生存率を向上し、入院を予防する」と説明。
同じクラスの薬剤であるスピロノラクトンを追加投与により死亡率低下が示された「RALES」試験と今回の試験結果から、「治療を変える説得力のあるエビデンスが提供できたと信じている」と述べた。
なお、同試験は同日付の「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に掲載された。
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/39914/Default.aspx
ASCENDHF
急性非代償性うっ血性心不全へのネシリチド投与で呼吸困難改善効果示せず
急性非代償性うっ血性心不全(ADHF)患者に対する組み換えヒトB型ナトリウムペプチド静脈内点滴製剤ネシリチドの投与は、懸念されていた死亡率増加や腎障害のリスクはないものの、呼吸困難改善効果はわずかであることが分かった。
大規模臨床試験「ASCEND-HF(Acute Srudy of Clinical Effecriveness of Nesiritide in Docompensated Heart Failure)」の結果から明らかになった。11月14日、米国イリノイ州シカゴで開催されている米国心臓協会(AHA)2010年学術集会のLate-Braking Clinical Trials セッションで、Duke Clinical Research InstituteのAdrian F Hernandez氏が報告した。
急性心不全による入院患者は毎年数百万人と言われる。一方で、標準治療は1970年代から変わらず、利尿薬と血管拡張薬または強心薬だ。
こうした中、小規模な試験ながら、ネシリチドが投与3時間において、急性心不全患者の呼吸困難、肺動脈楔入圧を改善しうるとの成績が示され、同薬剤は2001年、FDAに承認された。
しかし2005年、2つのメタ解析で死亡率増加および腎障害のリスクがあることが指摘され、ネシリチドを開発したScios Incは独立委員会を設置。
この委員会が実施を推奨し、ネシリチドの安全性と有効性を検討すべく開始されたのが、前向き二重盲検ランダム化試験「ASCEND-HF」試験だ。
対象は、入院から24時間以内の急性心不全患者で、2007年5月から2010年9月までに、北米を中心とする30カ国398施設から7141例が登録された。
標準治療に上乗せする形で、ネシリチド(3564例)群またはプラセボ(3577例)群にランダム化された。
患者の年齢は両群ともに67歳(中央値)、左室駆出率(LVEF)<40%がプラセボ群は79.5%、ネシリチド群は80.8%であるなど、治療開始時の両群の患者背景に差は認められなかった。
主要評価項目は、
①6時間後、24時間後における急性呼吸困難(6時間、24時間後ともにP≦0.005またはいずれかがP≦0.0025で有意とする)
②30日以内の死亡または心不全による入院(P≦0.045で有意とする)
とした。
解析対象は、薬剤を投与しなかった患者を除くプラセボ群3511例、ネシリチド群3496例。
Hernandez氏 「安全性確立も効果はわずか」
その結果、30日以内の死亡または心不全による再入院は、プラセボ群10.1%に対してネシリチド群9.4%(30日以内の死亡は4.0%対3.6%、心不全による再入院は6.1%対6.0%)、リスク減少率は0.7[95%CI:-2.1~0.7]、 P値は0.31で、有意差はなかった。
呼吸困難の改善(有意な改善/中等度の改善)を認めた患者割合は、6時間後はプラセボ群42.1%(13.4%/28.7%)に対してネシリチド群44.0%(15.0%/29.0%)だった(P値=0.030)。
24時間ではそれぞれ66.1%(27.5%/38.6%)、68.2%(30.4%/37.8%)(P値=0.007)で、いずれもネシリチド群でより高い傾向があったものの、有意差には至らなかった。
Hernandez氏は、「この試験のメッセージは、効果と安全性のバランスを見極めるためには、適切な試験を行う必要があるということだろう」と述べた。
またネシリチドについては、「ASCEND-HFでの適切な評価の結果、安全に適用できるが効果はわずかで、使うべきとは言えない」とした。
独立委員会で委員長を務めたHarvard大学のEugine Braunwald氏は、ディスカッサントとして登壇し、「(広く用いられて来た)ネシリチドに、懸念されたリスクはないというエビデンスが得られたことは良いニュースだが、アウトカムを改善するというエビデンスが得られなかったのは残念だ」と結論付けた。その上で、「試験が見事に実施されたことは喜ばしい。この(悪い結果が出る可能性のある)綿密な検討を可能にした企業の決断にも感謝する」と述べた。
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/39916/Default.aspx
<関連サイト>[PDF] AHA 2010
http://www.biomedis.co.jp/aha2010hl/images/AHA2010flyer.pdf
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