戯れ言たれる侏儒
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きょうは、技術の進歩の著しい「末梢血管インターベンション」について勉強しました。
われわれ開業医にとって、これらのup to dateな勉強ももちろん大切です。
しかし、これらの病気の患者さんを紹介する際にどの病院に紹介すればよいかという現実があります。
紹介先によって患者さんの運命が変わる場合も当然ありうることです。
最先端の技術があることを(習得ではなく)勉強しても、手近なロケーションにやっていただける施設があるかどうか、また複数の選択肢があればどちらがよいか。
そのあたりの情報(?)の方が大切かも知れません。

先日、ある病院から病診連携の案内が届きました。
国立病院機構の某病院です。
近くに救急医療にも力を入れている大規模病院があって、(まったくもって失礼ないい方ですが)「終わっている」病院です。
内容は「お互い顔の見える医療を目指して懇親会を持ちましょう。ついては会費・・・」というものです。
いろいろ、苦しい事情はよくわかります。
発起人の先生もよく知っている先生ですでに「顔」はよくわかっています。

私のスタンスはこうです。
(幸い都会に住んでいるというとメリットを生かして)出来るだけ多くの講演会に出席して、近くの病院の医師が演者の場合には、「力量」と「顔」を実際インプットする。

会費まで払って「顔」だけみる会はもちろん欠席しました。

 

 

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

ガイドワイヤやステントの改良で安全性,成績が向上
末梢血管インターベンションを安全に施行し成績を向上させるため,デバイスや施行法は年々進歩を遂げている。
郡山市で開かれた第16回日本心血管インターベンション学会(会長=星総合病院心臓病センター・木島幹博副院長)のシンポジウム「末梢血管インターベンションの最近の進歩」(座長=大阪大学先進心血管治療学・南都伸介特任教授,社会保険小倉記念病院循環器科・横井宏佳部長,スペシャルコメンテーター・伊Gruppo Villa Maria Endovascular・Giancarlo Biamino氏)では,ガイドワイヤ,ステント,アプローチ法に改良を加えることにより,腹部大動脈瘤,粥状硬化性腎動脈狭窄症,浅大腿動脈慢性閉塞などに対するインターベンションの安全性,成績が向上していることが明らかとなった。

腹部大動脈瘤に対する血管内修復術
ステント改良によりエンドリークが減少
わが国では昨年から今年にかけて,腹部大動脈瘤(AAA)に対する血管内修復術(EVAR)に用いられる企業製作のステントグラフトが 2 種類保険収載された。
大阪大学心臓血管外科の倉谷徹准教授は,同科においてカスタムメードのステントグラフトを使用したAAAに対するEVARの成績を検討し,「同術は良好な長期成績が得られる安全で有効な治療法で,ステント改良によりエンドリーク発症を減少できた。同術は企業製作のステントグラフトによりさらに普及すると考えられる」と述べた。

5年エンドリーク回避率は83%
対象は,同科で1995年 2 月~2006年12月にカスタムメードのステントグラフトを用いたEVARを施行した563例(胸部大動脈瘤,胸部腹部大動脈瘤,AAA)のうち,AAA 74例(男性58例,女性16例;平均年齢76歳)。
術前合併症は,冠動脈疾患が約 5 割,脳卒中が約 3 割など,高率に存在した。
ステントは, Spiral Z(1995~2000年31例)またはGiantruco Z(2003年以降43例)を,グラフトは薄いポリエステル製を使用した。
手術法は,Straight type 15例,腹部大動脈~片側性腸骨動脈type(片側性腸骨動脈ステントグラフトに大腿~大腿動脈バイパス術を施行)を55例,分岐typeを 4 例に施行した。
 
早期成績を見ると,成功率は全体で86.5%,Spiral Z使用例で80.7%,Giantruco Z使用例で97.5%だった。
入院死亡率は2.7%。
合併症は,一過性脳虚血発作(TIA)が2.7%に認められた。
 
中略

以上から,倉谷准教授は「カスタムメードのステントグラフトを使用したAAAに対するEVARは良好な長期成績が得られる有効な治療法であり,ステントの改良によりエンドリークの発症を減少させることができた。企業製作のステントグラフトの保険収載によりさらに普及すると考えられるが,そのためには心血管外科医と心血管インターベンションを行う循環器内科医の連携が重要である」と述べた。


粥状硬化性腎動脈狭窄症に対する経皮的腎動脈ステント術
ロープロファイルシステム使用で安全に良好な成績が
粥状硬化性腎動脈狭窄症(ARAS)は動脈硬化症患者に高率に認められ,高血圧,腎不全,不安定狭心症,肺水腫と関連し,特に心血管疾患患者の予後を悪化させる。
最近,ARASに対する治療法として,経皮的腎動脈ステント術(PTRS)が行われているが,施行するうえで安全性が問題となる。菊名記念病院(神奈川県)循環器科の宮本明部長は,ロープロファイルステントシステムを用いることで,ARASに対するPTRSを低侵襲,簡便,安全に施行でき,良好な急性期,中期成績が得られることを示した。

急性有害事象発症率は0%
PTRSの適応は,血管造影による狭窄率50%以上,圧較差20mmHg以上の腎動脈狭窄(RAS)で,原因不明のうっ血性心不全または不安定狭心症,治療抵抗性高血圧,両側性または孤立性RASを伴う進行性腎機能不全となっている。
 
今回,PTRSを安全に行う方法として,宮本部長は6FrガイドカテーテルとロープロファイルPalmaz-Genesisステントを用いたPTRSの効果を検討した。
 
現在わが国でARASに対して承認されているステントはPalmazステントのみであるが,同ステントは,8Frガイドカテーテルが必要で, 80cm長のシャフトのみのため大腿動脈からのアプローチしかできず,柔軟性がないため挿入が難しいなどの問題がある。
 
一方,ロープロファイルPalmaz-Genesisステントは,
(1)80cmと135cm長のシャフトがあり経大腿動脈,経上腕動脈,経橈骨動脈アプローチが可能
(2)小径の0.018インチガイドワイヤを使用
(3)より柔軟で6Frガイドカテーテルが使用可能
―であることから,従来のPalmazステントよりも使用しやすくなっている。

対象はARAS患者17例(男性11例,女性 6 例;平均年齢73.3歳)18病変。
そのうち17病変は腎動脈口から 3 mm以内に位置し,病変長は平均11.8mm,対照血管径は平均5.1mm,最小血管径(MLD)は平均1.92mm,狭窄率は平均62.1%だった。

中略(詳細は)

浅大腿動脈慢性閉塞に対するナイチノール製自己拡張型ステント留置術
小プロファイルガイドワイヤの双方向性アプローチで成績向上
浅大腿動脈(SFA)慢性閉塞例に対する血管内治療はまだ確立されておらず,その成功率,慢性期開存率はいまだに低いという問題点がある。
最近開発された末梢動脈閉塞病変治療用の小プロファイルガイドワイヤと従来のステンレス製よりも破損しにくいナイチノール製自己拡張型ステント(NSES)を用いることにより急性期手技成功率の向上とともに慢性期開存率の改善が期待されている。
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)循環器科の宮下裕介医長は,SFA慢性閉塞に対する小プロファイルガイドワイヤを用いたNSES留置術は,双方向性アプローチで逆行性にバルーン拡張を行うことで成功率と慢性期開存率が改善したと報告した。

成功率88%,1年開存率82%
対象は,2004年 9 月~06年12月に同科で小プロファイルガイドワイヤ(0.018インチのTreasure,0.014インチのRubyまたはCruise)とNSES(SMART,Luminexx)を用いて血管内治療を施行したSFA慢性閉塞例64例(平均年齢71.2歳),68病変(入口部病変37病変,中位病変31病変)。
分岐部から 5 cm以内に存在する病変を入口部病変,5 cm超に存在する病変を中位病変と定義した。対象の約20%は人工透析患者であった。
 
成功率は全体で88%,入口部病変で78%,中位病変では100%だった。

中略

 

急性期の合併症は,Blue toe症候群が入口部病変の 1 例に,急性閉塞が入口部病変の 1 例に,血栓による遠位部塞栓が中位病変の 1 例に認められたが,ワイヤによる血管穿孔,血管破裂,出血性の合併症などは認められなかった。
 
当初,同科では小プロファイルガイドワイヤを順行性アプローチのみで閉塞病変の通過を試みていた。
その際の手技成功率は入口部病変で60%であった。
そこで,膝窩動脈穿刺を加え双方向性アプローチに変更したところ,成功率が入口部病変でも82%に上昇し,さらに逆行性にバルーンを拡張することで手技成功率を入口部病変でも100%にすることができた。
 
中略
 
以上から,宮下医長は「小プロファイルガイドワイヤを双方向性にアプローチし,逆行性にバルーンを拡張してNSESを留置する血管内治療は,SFA慢性閉塞例の入口部病変,中位病変に有効であることが示唆された。今後は血管内超音波法(IVUS)を用いた多施設の前向き試験で同法の効果を明らかにする必要がある」と述べた。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E6%A2%A2%E8%A1%80%E7%AE%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&perpage=0&order=1&page=0&id=M4033161&year=2007&type=article
出典 Medical Tribune 2007.8.16
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>

大動脈瘤に対する血管内手術:
   ステント・グラフト留置術
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/yu/yu47/47-33.html
■ステントとは19世紀のイギリスの歯科医Charles Stentに由来し、内腔を保持する支持物をさします(・・・「ステント」が人名由来とは知りませんでした)
■大動脈瘤の好発部位である腹部大動脈瘤では、腎動脈と動脈瘤の間の正常大動脈(proximal neck)の距離が、遠位弓部大動脈瘤では左総頚動脈または左鎖骨下動脈と動脈瘤の距離が15mm未満ですと、本手術の適応からはずれます。これはproximal neckまたはdistal neckが短いと、エンドリーク(endoleak)という合併症が発生しやすいためです。エンドリークとは動脈瘤内でかつステント・グラフトの外側の血流の漏れで、これが6ヶ月以上続きますと動脈瘤の拡大や破裂をきたします。術後エンドリーク率は、腹部大動脈瘤では5%、胸部大動脈瘤では25%です。

 

大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
(カテーテル・インターベンション PDF1614 46/78)

大動脈・末梢血管インターベンションの現状
http://www.medicalview.co.jp/catalog/MAGA17541-08-01-0.html
(医学雑誌「Heart View」の特集の目次です)
第8回日本心血管カテーテル治療学会学術集会
http://jacct8.umin.jp/03program/03program.html
(学術集会のプログラムです)
2007年アメリカ心臓学会レポート
Thoracic Aortic Disease II
http://physician.pfizer.co.jp/cardiology/report/aha/2007/44.html

 

<自遊時間>
昨夕の診察中に、知人のA先生(開業医)から電話がありました。
最近、医師会に入会した先生です。
電話の内容はこんなことでした。

昨日、『医師連盟』からの郵便配布物が送られて来たとのこと。
自動的に『医師連盟』に入会させられているのは納得がいかなくて医師会に電話したが明確な返事が得られなかったとのことでした。

 

私「それで連盟費は払っているの」

A先生「納得できないから最初から払っていない」

私「それはえらい。私は今年になって一念発起して蛮勇を奮って払わないことにしたよ」

A先生「それで退会手続きはどうやってすればいいの。医師会では各地域の医師会に相談しろっていっていたよ」

私「医師会の中でたらいまわしされるだけで埒があかないよ。私も以前相談に行ったけどダメだった。奥から理事が出てきて怖かった。とても医師にはみえなかった。後日、ネットで電話番号を調べて『医師連盟』にかけても誰も電話には出なかった。要するに実態がない事務局なんだよ」

A先生「そうだったんだ。」

私「とにかく先生みたいに払っていない会員がいたということがわかっただけでも心強いよ。文面はかなり強制的で高圧的だけど所詮『寄付』だから強制されるようなものではないよ。入会手続きをしてないから退会手続きもないだろうから、払わずに静観ということで・・・」

A先生「ほんじゃ我慢してしばらくそうするわ」

 

迷えるわれわれ子羊に神のご加護を。

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

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きょうは「肥満者や高齢者の心血管系イベントに対する一次予防・二次予防」について勉強しました。

 

特別企画
Round Table Discussion
日本人の心を護る
虚血性心疾患から心不全の発症を防ぐ

近年増加している,肥満者や高齢者の心血管系イベントに対する一次予防・二次予防について,薬剤溶出性ステントの使用経験も含め,循環器専門医の意見を伺った。

小川 久雄 氏(司会)
 熊本大学大学院循環器病態学教授
境野 成次 氏 
 天草地域医療センター循環器科医長
菊田 浩一 氏 
 新別府病院循環器科部長
角田 等 氏 
 熊本大学大学院循環器病態学
松村 敏幸 氏 
 労働者健康福祉機構熊本労災病院 循環器科部長
下村 英紀 氏 
 福岡徳洲会病院循環器科部長
岡 秀樹 氏 
 健康保険人吉総合病院循環器科部長
宮本 信三 氏 
 健康保険八代総合病院循環器内科部長
坂本 知浩 氏 
 済生会熊本病院循環器科
(発言順)

小川 
近年わが国では,肥満者や高齢者が著しく増加しています。この方たちは,糖尿病や高血圧の発症リスクを高め,ひいては,心血管系イベント(CVD)や心血管死を増やすため,大きな問題となっています。
 
そこで本日は,”肥満者や高齢者のCVDをいかに防ぐか?”について,考えてみたいと思います。
 
はじめにCVDの一次予防のあり方について伺いましょう。

メタボリックシンドロームの一次予防は血圧管理から
境野 
メタボリックシンドローム(MetS)の構成因子には,血圧高値,耐糖能異常,脂質代謝異常がありますが,基盤を成すのは肥満(内臓脂肪蓄積)であり,CVDの一次予防は,内臓肥満に伴うインスリン抵抗性がポイントになると思います。
これには,運動と体重管理が重要ですが,現実的には,肥満の方で最初に発症しやすい高血圧を,CVDの発現抑制が認められているARBを用いて厳格にコントロールするようにしています。
ARBの糖尿病新規発症抑制にも期待しています。

菊田 
肥満者は,内臓脂肪の蓄積により,インスリン抵抗性や,TNF-α・PAI-1の発現増加,抗動脈硬化作用をもつアディポネクチンの低下などが起こり,CVDが発現しやすい状態にあります。
また肥満者では,インスリン抵抗性や脂肪細胞の肥大化により,アンジオテンシンII(AII)の産生が亢進しています(図1)。
CVD抑制のためには,血圧を厳格にコントロールすることが最も重要であると考えています。
薬剤による治療介入を行う場合,降圧効果に差がないのであれば,患者さんの病態により適している薬剤,肥満者のようにAIIが亢進した状態が予めある場合にはARBを用いた降圧療法が最適だと考えます。

高齢者の冠危険因子に応じた降圧療法
小川 
高齢者のCVDの発現抑制についてはいかがでしょうか。

境野 
一般的なCVDのリスク因子は高齢者でも同じですが,高齢者では加齢に伴い腎機能が低下し,血圧が上昇している症例が多い点で異なります。
腎機能低下は血圧上昇を招き,逆に血圧上昇は腎機能低下をもたらすという,高齢者はまさにこの悪循環のなかにいることが予想されます。
CASE-Jでは,カンデサルタンが腎機能の悪化を特に高齢者で大きく抑制することを認めました。
高齢者の降圧療法においても,カンデサルタンをベースに用いることが適切だと考えています。

CVDと慢性腎臓病の一次予防
小川 
CVDのリスク因子として慢性腎臓病(CKD)が注目されていますね。

角田 
肥満をベースとするMetSの方,特にその構成因子保有数が増えるに従い,CKDのリスクが高まります(図2)。
腎機能障害は,糖尿病以上に,CVDの発現に最も大きく寄与する因子であることがCASE-Jで示されており,高血圧治療において腎機能を保っていくことは非常に重要です。
CKDは腎疾患というより,むしろ動脈硬化性疾患としてとらえ,われわれ循環器専門医が積極的にCKDの重要性を認識していくべきだと思います。
CKDを発症している方では,すでに全身の動脈硬化が進行していますが,CKDはさらに動脈硬化を進行させ,逆に動脈硬化はCKDを悪化させるという悪循環を形成します。
CKDを発症すると,血圧は130/80mmHg未満,LDLコレステロール120mg/dL未満と,通常の目標値より厳しくコントロールしていかなければなりません。
より早期にCKDを発見し,治療介入していくことが大切です。

松村 
CKDはCVDの明らかなリスク因子ですが,それだけではなく,CVD後の治療や予後にも影響します。
例えば冠インターベンション(PCI)を実施する際,腎障害がある方では,造影剤1つ使うにしても造影剤腎症を懸念し,細心の注意を払わねばなりません。
さらに,CKD患者さんでは,治療薬剤の選択肢が狭くなります。このような理由から,腎保護を意識した治療は非常に重要ですが,腎保護を臨床的に実感することは困難です。
したがって,カンデサルタンのように,日本人で腎機能障害の進行抑制が認められている薬剤を中心に用いています。

下村 
カンデサルタンは,安定した降圧効果に加え,CKDの進行抑制や,糖尿病の新規発症抑制もCASE-Jで認められており,リスク因子の管理,CVDの抑制により効果的であると考えています。

CVDの二次予防を目的としたリスク管理
小川 
続いて,糖尿病合併高血圧症患者さんに対するインターベンション,二次予防について伺いたいと思います。

下村 
糖尿病合併高血圧症患者さんは腎機能低下例が多いので,造影剤の使用量を極力少なくして造影剤腎症の予防に努めています。
再狭窄は薬剤溶出性ステント(DES)の登場により減少したものの,生命予後は改善されていないため,生命予後の改善には,新規病変のイベントを抑制していかなければなりません。
そのためには,薬剤介入によって血圧・血糖を厳格にコントロールしていく必要があります。
また,糖尿病患者さんは全身性の動脈硬化を有しているため,PCI施行前に脳血管,腎血管,末梢血管をきちんと評価したうえでインターベンションを行うよう心がけています。

岡 
糖尿病患者さんの冠動脈はびまん性に病変があるうえに従来のベアメタルステント(BMS)を使用したインターベンションでも再狭窄率が高いため,再狭窄抑制効果の高いDESの使用を念頭に置きます。
ただ,DESは長期にわたる強力な抗血小板療法が必要であるため,当院では抗血小板薬の忍容性を確認したうえで使用する方針としています。
また,PCI後の再発抑制のために,薬剤療法のみならず,運動療法や食事療法も含めた包括的心臓リハビリテーションを積極的に行っています。

境野 
二次予防のためには,血圧,血糖,脂質とも一次予防より厳格な管理が必要ですので,積極的に薬剤による治療を行っています。
当院ではPCI後のフォローは実地医家の先生方にお願いしていますので,実地医家の先生方とのコミュニケーションにも力を入れています。

角田 
私も,二次予防のためにはリスク因子の厳格な管理が必要だと考えます。
血圧にはARBまたはACE-I,血糖管理にはチアゾリジン系薬剤,脂質管理には水溶性スタチンといった,エビデンスのある薬剤を中心に選択しています。
そして,二次予防でも生活習慣の改善,特に運動をしっかり行うことが大切だと思います。

デバイスの選択と二次予防
小川 
ESの使用頻度と効果についてはいかがでしょうか。

菊田 
当院では約7割でDESを使用しています。
DESを使用した場合,PCI後6か月以降の冠動脈造影で再狭窄はほとんど認めず,責任病変を治すということだけを考えれば非常に有効です。
しかし,DESでは遅発性ステント血栓症のリスク軽減のため,長期にわたり抗血小板薬を服用しますが,抜歯や手術をする場合には抗血小板薬を中止すべきか非常に悩みます。PCI時,DESを用いるかBMSを用いるかは,冠動脈だけでなく,患者さんの全身状態と社会的状況をみて選択するのが大事だと思います。

宮本 
急性冠症候群(ACS)にDESは保険適用外ですので,DESの使用頻度は各施設のACSの割合や,elective PCI(ePCI)の件数の比率によって影響を受けると思います。
当院では,ACSが約3割を占め,その患者さんにはBMSを使っていますが,ePCIでは,術前に薬剤の副作用などを説明し,ほぼ100%DESを使っています。

松村 
当院のDES使用頻度は8割ぐらいです。再狭窄はDESのほうが少ないため,コスト面でもDESが優勢だと考えています。ACSに対するDESの使用に関しては,今後の大きな課題であると考えています。

DES後のカンデサルタン投与の意義を探る4Cトライアル
小川 
最後に,PCI後降圧療法を必要とする患者さんにカンデサルタンを投与する意義についてご意見をお聞かせください。

坂本 
心筋梗塞後は,心機能低下や心不全の発症が懸念されます。
カンデサルタンは慢性心不全患者を対象にしたCHARMで,心筋梗塞の発症を抑制することが示されており,PCI後の心機能が低下した患者さんに,カンデサルタンを使う意義があると考えます。
さらに糖尿病がある場合,再発リスクが約2.6倍高まることがFinnish studyで示されています。
ARBに糖代謝の改善が期待できることからも,PCI後のフォロー薬にカンデサルタンを用いる意義は非常に大きいと考えます。
Ogaki研究では,PCI後6か月以上が経過し,心電図異常を認めないなど,症状が安定した患者さんにカンデサルタンを投与した結果,2年間でCVDの再発をほぼ半減しました(図3)。
この研究では,PCI後の再狭窄を免れた症例を対象としているという点が,再狭窄リスクの減少が期待されるDES使用者と共通しており,DES使用例の予後を予測できるものです。現在進行中の4C トライアルでは,DES使用例の降圧療法や心不全治療を必要とする患者さんを対象に,従来治療にカンデサルタンを追加する群としない群に分け,カンデサルタンの有効性を検討しています(図4)。
2,200例の登録を目標としており,現在,全国38施設のご協力をいただき,約650例の登録をいただいておりますが,まだまだ多くの先生方のご協力が必要です(表1)。
ご興味のある先生は,熊本大学循環器内科ホームページ(
http://www.kumadai-junnai.com/「→RCTへのお誘い」)をご覧いただくか,私どもにご連絡いただき,一緒に本研究にご参加いただきたいと思います。

小川 
DES使用例に対する介入試験は,報告が非常に少なく,インパクトの大きい試験になると期待しています。
本日は,PCIを専門とする先生方から,「肥満者,高齢者のCVDの一次予防,二次予防には,CVDのリスク因子を発症させないこと,発症している場合には厳格にコントロールしていくことが重要である」ことをお話しいただきました。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=OGAKI&perpage=0&order=0&page=0&id=M4047761&year=2007&type=allround
(図表については、上記のサイトでご確認ください)

出典 Medical Tribune 2007.11.22
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
あまりにも盛りだくさんな内容で、テーマが絞り込まれていないような印象を受けました。
結局はARB,しかもスポンサーのカンデサルタンという結論なのでしょうか。

以下は武田薬品から配布されたOGAKI Studyのパンフからです。

 

 

三塩清巳 「阿蘇外輪山」 油彩10号
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v64675852 

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
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ふくろう医者の診察室
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AHA2007に関する記事で勉強しました。

DES留置患者における遅発性ステント血栓
重要視される抗血小板療法による抑制
冠動脈疾患のステント治療では、遅発性ステント血栓症(Late ST:Late stent thrombosis)の克服が大きな課題となっている。
そこで、2007年11月に、米国オーランドで開催された米国心臓協会・学術集会(AHA2007)の「Late Stent Thrombosis:Mechanisms,Modulators and Clinical Implications」のセッションでは、Late STの発症機序、リスクの定義、適応、患者教育、経済などの面から検討が行われた。

米国 CVPath Institute, Inc.のRenu Virmani氏は、第1世代DES(Drug-Eluting Stent:薬剤溶出性ステント)留置例におけるLate STの病理所見や解析結果などを示しながら、その発症機序について解説した。

まず、DESによる血栓症の主な原因としては、長いステント、ステントの重なり、不適切な留置(malapposition)、新生内膜による被覆の遅れ、ストラット金属やポリマーに対する過敏性(炎症反応)、分岐部のステント挿入、心筋梗塞と不安定プラーク、再狭窄などを指摘した。
また、Late STのリスクを増加させる患者側の要因としては、糖尿病、腎不全、駆出率低下、抗血小板療法コンプライアンスを挙げた。

心筋梗塞におけるDESの使用に関しては議論があるが、Virmani氏は、プラークの破綻、TCFA (Thin Cap Fibroatheroma)を伴った心筋梗塞例では、責任病変部分における新生内膜形成が十分でなく、炎症反応が生じているストラットが多いために血栓症が発症することが多いので、DESは使うべきではないと訴えた。

■ 抗血小板療法のコンプライアンスが最も重要
症例登録のデータやメタアナリシスによって、DESとBMSを比較した多くの研究が行われているが、その結果は異なっており、その原因はステント血栓症の定義の不統一があると考えられている。

そこで、米国とヨーロッパの研究者、企業、行政によってARC (Academic Research Consortium)という組織が設置され、ステント血栓症はDefinite/Confirmed、Probable、Possibleという3段階に分けられた。

Definite/Confirmedは、血管造影または剖検によってステント閉塞あるいは血栓症のエビデンスが認められる新規の急性虚血イベント。
Probableは、30日以内の原因不明の死亡および血管造影または他の責任病変によることを示すエビデンスがない標的血管における心筋梗塞。
Possibleは30日を過ぎた原因不明の死亡とし、標的病変における再開通処置に伴うイベントも含む。

また、発症時期に関しては、Early(Acute:24時間以内、Subacute:24時間~30日)、Late (31日~1年)、Very Late(1年~)に分けられた。

米国のベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターのDonald Cutlip氏は、このARC分類の意義について述べ、さらにそれを用いた試験結果や解析結果を紹介した。

DESとBMSの無作為化比較試験では、1年後以降、DES群でDefinite/Probableのリスクが約0.2%/年の率でBMS群を上回ることを示すデータが報告されている(Mauri L et al. N Engl J Med.2007; 356:1020-1029)。
また、米国の症例登録EVENTのデータでステントの適応内使用 (On-Label)群と適応外使用 (Off-Label)群を比較すると、Definite STのリスクが適応外使用群において有意に高いことを示すデータが報告されている(Win H et al. JAMA 2007; 297:2001-2009)。
これらはARCの定義を用いて解析されており、今後、他の試験結果や解析結果と比較するうえで意義は大きい。

Early、Late STの大きなリスク要因としては、2剤による抗血小板療法(DAT:dual antiplatelet therapy)に対するコンプライアンスの欠如が指摘されており、コンプライアンスの欠如によって、ステント挿入後6~9カ月のリスクは、20倍以上になると報告されている。

そこでCutlip氏は、クロピドグレルに対するコンプライアンスは、Early、Late STのリスク要因として最も重要である、と指摘した。
また、Very Late STの主要なリスク要因は、新生内膜形成の遅れであり、DATが有効であるかどうかは、まだ明確になっていないと言及した。

■ DESの使用が推奨される患者は
フランス パリ大学のPhillipe Gabriel Steg氏は、抗血小板療法からみた、DESの適応について報告した。

BMS留置患者に比べて、DES留置患者ではLate STの発症率が高いことが示されている。
しかし、死亡率に関するDESとBMSの比較では、異なった結果が報告されている。
例えば、スイスベルン大学で行われた無作為化試験のメタアナリシスでは、DES群とBMS群の間で4年間の死亡率に差はみられていない(Settler et al. Lancet 2007; 370:937-948)。
しかし、スウェーデンの症例登録SCAARのデータでは、4年間の死亡+心筋梗塞の率は、DES群においてBMS群より高くなっている(James SK et al.ESH2007)。
さらに、米国マサチューセッツ州における2003~2004年のステント挿入患者をDES群とBMS群に分け、5441対について傾向適合解析を行った結果では、死亡率と再開通処置率はBMS群で有意に高く、心筋梗塞は有意差が認められていない(Mauri L et al. AHA 2007)。

一方、DES留置患者におけるステント血栓症の発症率は、クロピドグレル中止によって有意に高くなることが示されている(Spertus JA et al. Circulation 2006; 111: 341-348、Eisenstein et al. JAMA 2007; 297:159-168)。
こうした研究結果は、DATを伴わないDES挿入例では、期待した結果が得られないことを示していることから、Steg氏は出血やその既往がある患者、出血のリスクが高い患者、長期のDATに対するコンプライアンスが期待できない患者、癌や手術・生検の予定があるためにDATの早期中断が必要になる患者、長期の経口抗凝固薬の服用が必要な患者では、DESは挿入すべきでないと述べた。

また、DES留置例では再狭窄率が低いことから、再狭窄のリスクが高い病態ではDESを使用すべきであると指摘。
これらの病態としては、糖尿病、小血管 (3.0mm未満)、長い病変 (20mm以上)が挙げられる。

カナダの症例登録(Cardiac Care Network of Ontario)の1万3353例のデータでは、標的血管径3.0mm未満、病変長20mm以上、糖尿病の3リスク要因のうちの2~3要因を保有する症例は半数以下で、過半数は0~1要因しか保有していない。これら低リスク患者では、BMSを使うことができる、と同氏は指摘した。

STEMI (ST elevation myocardial infarction:ST上昇型心筋梗塞)では、1年以内に再度インターベンションを行う率は、BMS群よりもDES群で低いと報告されているが、退院後2年間の死亡率はBMS群よりもDES群の方が高いと報告されている。
したがって、STEMIにおいてDESを使うかどうかは、これらのことを考慮して決めなければいけない、とSteg氏は強調した。

また、びまん性病変で多枝の糖尿病性血管病変、STEMIに対する1次的PCI、適応外あるいは未試験の適応におけるDESの使用に関しては、ケース・バイ・ケースの判断が求められると述べた。

■ ステント治療における新しいインフォームドコンセント
ミズーリ大学のCarole Decker氏は、ステントの選択に際し、患者に十分な情報を提供して決定に参加してもらうことの重要性を強調し、その目的に沿ったインフォームドコンセントの新しい方法を紹介した。

米国の症例登録PRIMIER (The Prospective Registry Evaluating Myocardial Infarction: Events and Recovery) のデータでは、急性心筋梗塞でDESを挿入した患者で、1カ月後にクロピドグレルを服用していなかった患者は13.6%に上っている。
また、1カ月以後1 年までの死亡率は、クロピドグレル服用中止群では7.5%で、服用群の0.7%より有意に高いことが示されている。
こうしたことから、Decker氏は、抗血小板療法に対するコンプライアンスを高めるうえで患者教育が重要視されると語った。

Decker氏が紹介した新しいインフォームドコンセントの方法はPREDICT (Patient Refined Expectations for Deciding Invasive Cardiac Treatment) と呼ばれ、これによって各患者のリスク評価、報告データによる死亡率・血管合併症・再狭窄率の評価、患者への情報提供が行われる。

患者が書類を読んだ率は、従来の方法では41%であったのに対し、PREDICTでは71%に上った。
また、決定に参加したという意識をもった患者の率も従来の方法44%に対し、PREDICTで65%だった。この方法を介して医師と話し合い、DESを選択した患者で抗血小板療法の重要性の理解が深まることが期待できるとDecker氏は述べた。

■ ステント血栓症発症抑制やクロピドグレルの投与期間の短縮が目標
米国 Saint Luke's Mid America Heart InstituteのDavid J. Cohen氏は、DESによる治療を経済面から検討した結果について報告した。

米国の高齢者医療保険制度であるMedicareの1998~1999年のデータでは、PCIを受けた患者の医療費は、再狭窄を起こさなかった場合の 4087ドルに対し、再狭窄を起こした場合は2万3808ドルで、その差は1万9721ドルとなっており、補正すると再狭窄によって生じるコストは1万 8944ドル、PCI患者1人当たり2550ドルの費用増になる。

一方、1ステント当たりのDESの費用はBMSより1400ドル高く、1処置当たり1.6~1.7のステントを使う。
またDESによる再狭窄の抑制率は70~80%であり、DATのコストが最低限1200ドル必要になる。

医療の費用対効果の検討では、単に医療費を節約することではなく、得られる生命の延長や質の向上と比較して費用を判断する必要がある。
その指標としては QALY (quality-adjusted life-year:質調整生存年数)とQOLがある。
再狭窄を避けることによってQOLは高くなり、再狭窄1回を回避するために社会的に受け入れられる費用が1万ドルとすると、BMSでTVR (target vessel revascularization)の率が10%を超える病態では、DESの費用対効果の方が優れているとCohen氏は述べた。
これらの病態としては、糖尿病で血管径が小さく、病変長が長い場合などが該当する。

症例登録のデータでは、ステント挿入後の1年間の医療費は、DES群ではBMS群に比較して1894ドル低くなっており、再開通処置1回を回避するための費用は760ドル、QALY (quality-adjusted life-year:質調整生存年数)1年を得るための費用は5105ドルになり、費用対効果は優れている。

また、ステント血栓症が発症した場合のコストを1イベント当たり1万7000ドル、ステント血栓症(Early+Late+Very Late)を年1.5%とすると、1ステント当たり400ドルの費用増でステント血栓症を25%以上抑制できれば、社会的に受け入れられると考えられる QALY当たりコスト5万ドルが達成できるとした。

さらに、DESのコストを1ステント当たり2000ドル、DESによるTVRのリスク抑制率を70%、BMSでのTVRの率を14%、BMSでのDAT を1カ月とすると、再開通処置1回を避けるための費用を1万ドル以下にするためにはDATの期間は18カ月以内という試算結果を示した。

最後にCohen氏は、DESは多くの場合、費用対効果は優れているが、再開通処置率は毎年低下しているため、今後は、ステント血栓症発症率やクロピドグレルの投与期間の短縮が目標になると結論した。

(日経メディカル開発)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/ac/topics/200803/506038.html

 

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JAPAN-ACS アゲイン

戯れ言たれる侏儒 / 2008.06.08 00:02 / 推薦数 : 0

第72回日本循環器学会特集
Late Breaking Clinical Trials
で勉強しました

JAPAN-ACSについては以前にもとりあげました。 

JAPAN-ACS
http://blog.m3.com/reed/20080330/JAPAN-ACS

 

日本人を対象にした多施設大規模試験で、プラーク容積の減少がみられたのは初めてということです。

日本人のACSを対象にアトルバスタチンを投与したESTABLISH試験では、プラーク容積の減少がみられていたが、小規模の試験であることが指摘されていました。

JAPAN-ACS
冠動脈プラークの退縮においてピタバスタチンの非劣性を証明
日本人の急性冠症候群(ACS)患者を対象とした多施設共同ランダム化比較試験JAPAN-ACSにより,冠動脈プラークの退縮に関して,アトルバスタチンに対するピタバスタチンの非劣性が証明されたことを,京都大学大学院循環器内科学分野の木村剛・准教授がLate Breaking Clinical Trialsセッションで発表した。

糖尿病ではプラーク退縮少ない
対象は,血管内超音波(IVUS)ガイド下に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が施行されたACS患者で,PCI後72時間以内にピタバスタチン4mg/日とアトルバスタチン20mg/日の2群にランダムに割り付けた。
8~12か月間試験薬を投与した後,再びIVUSを行い,冠動脈プラーク量の変化を評価。
一次評価項目は,責任病変から5mm以上離れた部位のプラーク容積の変化率と設定した。
したがって,退縮が起これば,この値はマイナスとなる。
 307例が登録され,153例がピタバスタチン群,154例がアトルバスタチン群に割り付けられた。このうち,ベースラインとフォローアップのIVUSが評価可能であった症例(それぞれ125例,127例)を解析対象とした。
患者背景は両群間で差はなかったが,一般のPCI患者に比べてやや年齢が若く,糖尿病の割合が少なく,LDLコレステロール(LDL-C)も比較的低めであった。
 
脂質の変化は両群間で差はなく,LDL-C変化率は-35~36%。

中止率はピタバスタチン群2.7%,アトルバスタチン群4.7%と非常に低く,コンプライアンスは良好であった。
 
プラーク容積の変化率は,ピタバスタチン群が-16.9%,アトルバスタチン群が-18.1%で,両群間に有意差は認められなかった。
そして,あらかじめ設定した5%の非劣性マージンを超えなかったことから,ピタバスタチン群のアトルバスタチン群に対する非劣性が証明された。
 
また,LDL-C変化率は糖尿病の有無で差がなかったのに対し,プラークの退縮は非糖尿病患者に比べ糖尿病患者で有意に少ないことがわかった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41190963&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社 

<コメント>
ピタバスタチン4mg/日とアトルバスタチン20mg/日のいずれも臨床的に用いるには高用量という点に問題がありそうです。
今後、日常的に使用される用量で検討する必要があります。
一方、8~12カ月という短期間でプラーク容積の減少がみられたのは興味深いところです。
日本人のスタチンに対する高感受性、ACSという病態のプラークの特殊性が関係しているかも知れません。
プラークの退縮がアウトカムにどの程度関与しているか。
そのあたりは今後の長期的な検討が必要と思われます。 

<参考ブログ>
JAPAN-ACS試験の概要
http://www.japan-acs.or.jp/summary.html

JAPAN-ACS
http://blog.m3.com/reed/20080330/JAPAN-ACS

JAPAN-ACS  ピタバスタチンおよびアトルバスタチンの急性冠症候群患者に対するプラーク退縮効果に関する多施設共同臨床試験
http://www.jhf.or.jp/josei/studies/number/162.html
ピタバスタチンのアトルバスタチンに対する非劣性が証明された。


日本人の冠動脈疾患の現状とメタボリックシンドロームを視野に入れた治療
http://www.livalo.com/m/07/index.htm

松﨑 
現在,日本におけるACS患者に対する積極的脂質低下療法の意義を検討する目的で「JAPAN-ACS」というトライアルを代田先生と一緒に行っています。
PCI施行後のACSの患者さんにピタバスタチン4mg/日あるいはアトルバスタチン20mg/日を約1年間投与して,プラークの退縮と主要心血管イベントを両薬剤間で比較検討するという研究です。
CHDの発症において重要なLDL-CとともにHDL-Cについても注目したいと思っています。

松﨑 
理屈からいえば,LDL-Cを下げるよりもHDL-Cを上げた方が,プラークを安定化させる作用は強い気がします。
ピタバスタチンは, LDL-C低下作用やHDL-C上昇作用に優れ,また,糖代謝への影響を考慮した場合にも選択しやすい薬だと思います。

 

<「心房細動」 山下武志先生講演録より(1)>
「心房細動」の講演を聴きにいきました。
これから数回に渡って講演の内容を紹介したいと思います。

特別講演「心房細動に出会ったら」
心臓血管研究所 研究本部長 山下武志先生

■ 国内の慢性心房細動患者数は74万人
  (日本人人口の0.59%に相当)
■ 日本循環器学会「心房細動疫学調査班」によると、将来的には200万人の心房細動患者になると思われる。
(1万人の循環器専門医がいるとして1人の循環器専門医  が200人の心房細動患者をみる単純計算になる)

■心房細動を3ステップで考えよう
①ファーストステップ
心房細動の存在を頭から解き放つ。
患者の全体像をまず把握しよう。
②セカンドステップ
脳梗塞を予防しよう。
③サードステップ
心房細動の治療を考えよう。

要するに、あわてて心房細動の治療を考えないこと。 

 

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PCIとCABGの治療選択

戯れ言たれる侏儒 / 2008.06.03 00:07 / 推薦数 : 0

学会にはほとんど出席しないのでわかりませんが、循環器内科医と心臓外科医が同じ壇上でデイスカッションする機会は最近は結構あるものなんでしょうか。
ある発表によると、国内でのCABGとPCIの件数は2004年で、約1万7000件対15万件。比率としては1:8.4。
米国では1:2~3とのことです。

きょうはいつも問題となるPCIとCABGの選択基準。特にLMT病変についての見解を勉強しました。結局は施設によって技量も事情も異なるため、なかなか基準化が難しいというのが現状のようです。

第21回日本冠疾患学会
~PCIとCABGの治療選択~
基準化に向けた状況把握が課題
保護されていない左冠動脈主幹部(LMT)の治療選択については,日本循環器学会の「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン」のなかで,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の原則禁忌と明記されている。しかし,薬剤溶出ステント(DES)の登場以降,LMTや 3枝病変など,複雑病変に対してもPCIが選択される傾向にある。京都市で開かれた第21回日本冠疾患学会〔会長=京都府立医科大学心臓血管・呼吸器外科・夜久均教授(外科系),京都大学循環器内科・木村剛教授(内科系)〕では,内科・外科の合同シンポジウム「PCI,CABGのガイドラインを考える」(座長=国立循環器病センター・北村惣一郎センター長,湘南鎌倉総合病院心臓センター・齋藤滋センター長)で,PCIとCABGの治療選択についてさまざまな角度から問題提起がなされた。

内科医の立場から
PCIのエビデンスづくりが急務
天理よろづ相談所病院(奈良県)循環器内科の中川義久部長は,内科医の立場から,PCIの治療効果に関するエビデンスづくりが求められている点を指摘した。

同部長によると,血行再建術としてPCIより先に登場した冠動脈バイパス術(CABG)は,まず薬物治療との治療効果をランダム化試験で比較し,その有用性を確認したうえで普及が進んだのに対して,PCIについては登場以降,エビデンスが不十分な状況が続いているという。
特に国内のデータが不足しているが,この背景にはPCIのデバイスや技術進化の過程が速いため,試験実施期間のタイムラグを考えると,その必要性が疑問視されていた面もある。
 
さらに,欧米では合併症を減らすために適応範囲を制限する傾向にあったのに対し,わが国では患者利益を優先してきたため,適応を制限するのではなく,複雑病変に対しても技術を向上させることで合併症を減らそうと試みてきた経緯を同部長は指摘。
その結果,治療効果の評価機能が欠如しているのが現状であるという。
 
近年,データ集積と情報開示が不可欠と考えた循環器内科医らにより,DESが上市された際に日本初となるレジストリー調査j-CYPHERが実施され,遅まきながら日本でもエビデンスの蓄積が進んでいる。
同部長は「信頼に足るレジストリー調査のなかで評価すべき基準を構築すべきではないか」と述べた。

外科医の立場から
ガイドラインを遵守した治療選択を
国立循環器病センター心臓血管外科の小林順二郎部長は,外科医の立場からCABGも技術進化が著しく低侵襲化傾向にあることを説明。
ガイドラインを遵守した治療選択が望ましいとした。
 
CABGの実施件数は世界的に減少傾向にあり,日本でも2002年以降減少に転じている。
日本の2006年のCABG件数は,2002年と比べて17%減少していた。
これに対し,CABG件数に対するPCI件数の比は年々増加傾向で,2006年は12.1倍となっている。
 
PCIとCABGの比較試験には,糖尿病患者を対象にレジストリー調査とランダム化比較試験が行われたBARI試験がある。
治療後の死亡率について,レジストリー調査では有意差がなかったが,ランダム化比較試験ではCABGが有意に低かった。
また,CABGとPCIの全例登録が義務付けられている米ニューヨーク州の報告では,左前下行枝近位病変を含む 3 枝病変は,死亡のハザードリスクがPCIと比べてCABGのほうが36%低かった。
 
同部長は,術式の改善はPCIだけでなくCABGでも著しいと指摘。
心機能低下症例や糖尿病患者などでは静脈グラフトに代わって両側内胸動脈を使用することで治療成績が向上している。
侵襲が低い心拍動下のoff-pump CABGの普及も進み,日本胸部外科学会の報告では,2004年の段階で単独CABGの60%をoff-pumpが占めていた。
この実施率は欧米と比較しても高く,初回待機的off-pump CABGの病院死亡率も1.3%と低率である。
 
同部長は「DESの登場により再狭窄が減少したとは言え,LMT,入口部,分岐部病変は禁忌とされており,遅発性血栓症のリスクも報告されている状況下では,米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインを遵守すべき」と述べた。

施設からの報告
基準化には施設間格差が課題
済生会横浜市東部病院循環器科の村松俊哉部長は,治療法の選択基準には施設間格差が課題であることを指摘した。
 
まず,同部長は以前所属していた川崎社会保険病院での 5 年間のLMT病変の治療成績を報告。
CABGかPCIかの選択が議論されるLMT病変であるが,同院では105例全例に対してPCIが施行されていた。
このうち,不安定狭心症が14%を,治療領域としては分岐部が59%を占めていた。
PCI留置後,院内でイベントが発生したケースはなかった。平均227日間の追跡による遠隔期の再狭窄率は14.3%で,血管血行再建術は10.5%であった。
 
現在,同部長が勤務する横浜市東部病院では2007年 4 月の開院以来CABGが33件,PCIは734件となっているが,施設によってこの比は著しく異なっており,その治療成績もまちまちである。
この背景にはCABGやPCIの手技レベルが均一化できず,施設間で設備規模が異なる,さらに患者側から強い希望が出される場合などの課題がある。
同院ではLMTで分岐部を含む症例に対してはCABGが第一選択となっているが,同部長は「PCIやCABGの選択基準については課題が伴いやすい」と述べた。

運用面の課題
遵守状況を把握すべき
ガイドラインの運用面の課題について,横浜市立大学市民総合医療センター心臓血管センターの木村一雄教授が解説。

医師によって治療成績が大きく異なる可能性が低い薬物療法と違い,PCIやCABGでは術者によって成績が異なることから,まずはガイドラインの遵守状況について把握することが必要と述べた。
 
ガイドライン作成において参考とされるエビデンスは,総じて設備が整い経験豊富な術者によるランダム化試験であり,このような質の高いエビデンスをすべての施設,医師に適応するのには無理がある。
ガイドラインの遵守状況により結果が異なる例としては,術者当たりの年間プライマリPCI施行件数が16件以下である場合は,血栓溶解療法のほうが死亡率は低かったとする米国からの報告( JAMA 2000; 284: 3131-3138)や,昼間に実施したPCI不成功例が 4 %なのに対して,夜間は約 7 %に増加していたとするオランダの施設からの報告などがある。
 
ACC/AHAガイドラインの2005年の改訂では治療の質についても言及し,個々の術者の技量について検討する必要性が指摘されている。
待機的PCI施行件数が年間75例を下回る術者については,PCIの優位性が低下するほか,来院から初回バルーン拡張までを90分以内にすることがPCIの優位性を保証する指標とされている。
 
そこで同教授らは,わが国でのガイドライン遵守状況を横浜市立大学第二内科関連施設において検証した。
過去 1 年間に来院した発症12時間以内のST上昇型心筋梗塞患者のうち緊急冠動脈造影検査を施行した385例の来院から初回バルーン拡張(door-to-balloon)までの時間は,3 次救急病院の63分に対して市中病院は104分であった。この差は病院到着から心カテ室入室までの時間差によるものであったという。
また,市中病院では夜間でさらに時間がかかる傾向にあった。
3 次救急病院と市中病院の梗塞サイズの比較では,発症から来院まで 2 時間以内である場合は 3 次救急病院で梗塞サイズが縮小する傾向にあったが,2 時間以上かかる場合は有意差がなかった。
同教授は「発症 2 時間以内で来院した場合は,door-to-balloon時間が短いほど梗塞サイズは小さくなる。このため,発症早期こそdoor-to-balloon時間が重要」と指摘。
実際にdoor-to-balloon時間は30日死亡を規定する因子であったという。 
以上から同教授は,すべての施設がガイドラインの条件に合致する状況でPCIが施行されているわけではない現状を踏まえ,「術者が自施設の成績とガイドラインを比較しながら,治療方針に反映させていくことが責務である」と述べた。

アンケートから
建設的な標準化作業が求められる
PCIに携わる医師はPCIとCABGの治療選択についてどのように考えているのか。
日本医科大学外科・心臓血管外科の落雅美教授は,日本心血管インターベンション学会と日本冠疾患学会の関東・東北・北海道在住の評議員105人(100施設)に対してアンケートを実施した。

74人(70.5%)から得た回答の結果を報告し,「内科外科の建設的な基準化作業が必要」と述べた。
 

まず,DESの登場によりPCIの適応が変わったかどうかについては,94.5%が「大きく変わった」,「多少変わった」と答えており,PCIの実施率が増加傾向にあることを裏づけていた。
次に,保護されていないLMTの治療方針については「ガイドラインに準拠する」,「CABGの適応」などの理由から13.9%が「CABGを選択」と答えているが,65.3%は「原則CABGだが症例によってPCIを選択」と答えている。
この理由には,「部位や形態によってはPCIで十分可能」や「DESが登場する前からPCIを施行しているが,手術死亡率が低く,低侵襲」などが挙げられており,同教授は「内科医の実感から出た意見であろう」と述べた。
 
複雑 3 枝病変の治療方針については,「原則CABGを選択」の回答が55.6%を占め,CABGを優位と評価する意見がある一方,DESの登場によりPCIも可能になったとする意見や,外科の成績により判断が左右されるなど,施設により異なる現状も浮き彫りにされた。
虚血性心疾患治療における外科治療の位置付けについては,完全血行再建を目指すうえで必要不可欠と重要視する意見が大半であったが,「術者の技術や施設間格差をなくすための標準化も必要」,「CABG施行施設が多すぎて年間50症例以下の施設もある」との指摘もあったという。
 
PCIについても,「野放図にPCI偏重となっている事態に対して質的なチェックシステムがない」との問題提起もあり,同教授はアンケートに寄せられた重要な提言として,「内科外科双方の学会が話し合い,適切な専門医数,施設数を合理的に決める必要がある。
さもないと,症例数偏在が進行し,成績の劣る少数症例施設が存続して,外科内科の水かけ論が続く事態になる」との意見を示した。

出典 Medical Tribune   2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社

 田中忠雄 「薔薇」 6号
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x35950139

 

<コメント>
CABGとPCIの治療法を検討した23試験(総症例数9,963人)を対象に、早期および遠隔期で複数の検討項目を検討した論文があります。

Systemic review: The comparative effectiveness of percutaneous coronary intervention and coronary artery bypass graft surgery
Bravata DM et al. ANN INTERN MED 147:703-716,2007

それによれば、周術期死亡率は両群に差がなかったのに、治療に関連した脳梗塞発生率がCABG群に有意に高いという外科側に不利な結果でした。
外科側のい言い分として、多くが人工心肺を使った心停止下CABGであったということがあげられます。
一方、狭心症寛解と血行再建術再施行率ではCABG群が優位という結果でした。

国内では、現在心拍動下CABG(OPCAB)が標準術式(約60%)になっているという話も聞きます。
動脈硬化の強い症例には脳梗塞などの人工心肺関連合併症を防ぐためにも、上行大動脈操作を行わない動脈グラフトを用いる工夫もされています。

効果や合併症が同じなら、患者は当然ながら低侵襲なPCIを選択します。
外科治療の適応は重症化した病変に限られるのはこれからも同じと思われます。
病変が重症でも、患者の状態自体が重症ならPCIが選択されるかも知れません。
逆に、出血傾向のある患者や、薬剤アレルギーのため抗血小板剤が服用できない症例はOPCABの適応例かも知れません。

 

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ACC2008/SCAI その2(2/2)

戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.28 00:03 / 推薦数 : 0

 

三塩清巳(日展評議員・田代沼
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c177248075
 

 

薬剤溶出バルーン,次世代ステントに注目
薬剤溶出ステント(DES)は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のアキレス腱とされた再狭窄を激減させたものの,新たに浮上した遅発性血栓症の問題がある。
また,DESはベアメタルステント(BMS)に比べ再搾取を減少させたとは言え,なお残るステント内再狭窄への対策など課題も少なくない。
さまざまな解決策が模索されているが,ここでは薬剤溶出バルーン(DEB)生体吸収性ポリマーを使用したシロリムス溶出ステント(SES)内皮前駆細胞(EPC)抗体被覆ステントなど,SCAI-ACCi2で発表された次世代ステントの成績を紹介する。
いずれも,長期有用性の評価は今後の検討を待つことになる。 

パクリタキセル溶出バルーン
ステント内再狭窄の再発抑制はDESより良好
フランクフルト大学(独フランクフルト)のMartin Unverdorben准教授らは,未治療冠動脈にステント内再狭窄を生じた狭心症患者を対象に,パクリタキセル溶出バルーン(SequentRPlease,独B. Braun Vascular Systems社)の安全性と有効性をパクリタキセル溶出ステントと比較した第II相試験PEPCADIIを実施。
1年後のイベント回避率は,intention-to-treat(ITT)解析では有意差には至らなかったものの,パクリタキセル溶出バルーンで優れる傾向にあったと報告した。
 
パクリタキセル溶出バルーンは,パクリタキセル3μg/mm2をバルーン表面にコーティングしたもの。
ステントに比べて薬剤と血管壁の接触表面積が大きいというメリットがあり,バルーンを標的病変部位で拡張すると,脂溶性のパクリタキセルが血管壁に迅速に吸収されるという。
 
今回の検討では,血管径2.5~3.5 mm,病変長22mm以下の未治療冠動脈にBMSによりステント内狭窄を生じた安定または不安定狭心症患者131例を,パクリタキセル溶出バルーン(DEB群)およびパクリタキセル溶出ステント(DES群)の2群にランダムに割り付け追跡した。
 
その結果,PCI後の最小血管径(MLD)は,DEB群2.30mm対DES群2.56mmと後者で有意に大きく,狭窄率は20%対11%とDEB群で高かった。
しかし,一次評価項目の6か月後のITT解析による遠隔期内腔損失は,DEB群0.20±0.45mm,DES群0.45±0.68mmと,DEB群で有意(P=0.02)に小さかった。
セグメント内のbinary再狭窄は7.0%対20.3%(P=0.06),主要有害心血管イベント(MACE)は7.8%対16.9%(P=0.2)と,ともにDEB群で発生率が低かったが,有意差には至らなかった。
 
1年後のイベント回避率は,ITT解析でDEB群約92%,DES群約83%と,DEB群で高い傾向(P=0.09)を示した。実際にそれぞれの手技を受けた症例のみで解析すると,1年後のイベント回避率はDEB群で有意(P=0.01)に優れたという。

生体吸収性ポリマー使用SES
1年後のMACE発生率は2.7%
一方,Shenyang Northern病院(中国瀋陽市)のYaling Han氏らは,生体吸収性ポリマー使用SESの市販後調査として実施された前向き多施設登録研究CREATEの成績を報告。

同ステントは,再狭窄抑制に有効で,1年後のMACE発生率は2.7%と低く,実地診療で安全に使用できることを示した。
 
今回,同氏らが用いたのはExcel(TM)ステント(中国JW Medical Systems社)。
ポリマーは6か月で完全に吸収されるという。
 
対象は,冠動脈ステント留置術の適応例2,077例。そのうち17.8%は発症24時間以内の急性心筋梗塞が占め,31.6%に実施された冠動脈造影によると,平均で血管径2.77mm,病変長22.4mm,狭窄率は73.5%,MLDは0.74mmであった。
 
ステント留置後の平均ステント径は3.05mmで,追跡の結果,9か月後の遠隔期内腔損失はセグメント内0.21±0.35mm,ステント内0.21±0.39mm,binary再狭窄発生率はセグメント内6.7%,ステント内3.8%。
 
一次評価項目の1年後のMACE発生率は2.7%であった。また1年後の標的病変再血行再建(TLR)率は1.6%で,心臓死は1.1%,非致死性心筋梗塞は0.4%に認められた。
 
抗血小板療法については77.7%が6か月でクロピドグレルの使用を中止していた。
30日~1年後の遅発性血栓症の発症は「確実」1例,「強い可能性あり」0例,「可能性あり」6例の計7例(0.34%)で,3例がクロピドグレル中止後に発症した。
1年後の全血栓性イベント発生率は0.82%で,「確実」のみでは0.29%であったという。

EPC抗体被覆ステント
高リスク患者で14か月後のMACE発生率は16%
ステント血栓症と再狭窄の予防を目指し,EPC抗体でステントを被覆した新規ステントの1年以上の有効性と安全性も,Campus Bio-Medico大学(伊ローマ)のMarco Miglionico氏らの追跡結果から明らかになった。
 
EPC抗体被覆ステント{Genous R-stent(TM),中国香港OrbusNeich社}は,循環EPC表面抗原に対する特異的抗体(抗CD34抗体)で被覆されており,病変部位にEPCを捕捉して血管の自然な修復過程を促そうとしたもの。
再狭窄を防ぐために修復過程の細胞増殖を抑制しようとしたDESとは,逆の発想から生まれたわけだ。
 
同氏らは,同大学病院を受診した糖尿病,不安定冠症候群(発症1か月内の不安定狭心症,ST上昇型/非ST上昇型心筋梗塞),左室機能不全,多枝病変,B2/C冠動脈病変のうち2つ以上を伴う連続する高リスク患者80例に,EPC抗体被覆ステントを留置した。
ステント留置は98%で成功(93ステント留置),PCI後のMLDは3.3mm, PCI後のQ波心筋梗塞,院内死亡や緊急冠動脈バイパス術(CABG)はなく,急性・亜急性ステント血栓症は生じなかった。
 
平均14か月追跡した結果(追跡可能78例),遠隔期内腔損失は0.88mmで,非心臓死1例(1%),心筋梗塞1例(1%),ステント血栓症はなく,TLRは10例(13%),MACEは13例(16%)に生じた。Kaplan-Meier life-table解析による「心臓死,心筋梗塞,再PCI」のイベント回避率は86%であったという。 
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41210241&year=2008

出典 Medical Tribune   2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
なによりも驚いたのがインターベンションの新しいデバイスが中国で開発され製品化されていることです。
石原都知事は以前、製品を作る金型などを例にあげて、「中国では新しい製品は作れない。永遠に日本を抜くことはない」と例の石原節で豪語していました。
彼の発言は新銀行東京を始め、信用できないことが今回の記事でもわかります。
日本もうかうか出来ません。
テ○モさん、がんばって下さい。

<番外編>
ひさしぶりのコメントをいただきました。
うれしかったです。

はじめまして。
ONTARGETの結果についてARBに有利なデータは出なかったと私も考えています。冠動脈疾患発症に関しても,実際の値をBPLTTCの回帰曲線にプロットすると見事にのっかります。したがって今回の試験の結果はBPLTTCの解析結果を覆すものではなく,IHDにはACEIを投与すべきだと思います。
written by ドロッポ透析医 / 2008.05.27 11:10
ドロッポ透析医 様。

コメント有難うございます。
ACEIの利点はARBに比較して安価なこと。
欠点は周知のごとく咳嗽や咽頭違和感などの副作用のため増量が困難なこと。
一方、ARBの利点は増量が比較的容易なこと。
欠点は高薬価のため、この増量が難しいこと。
日本人に比較してACEIの認容性(コンプライアンス)のよい諸外国では、大規模臨床試験の際の用量が多くてACEIによい結果が出やすいと思います。
この辺でいつも隔靴掻痒感を感じてしまいます。
先生の考えはいかがでしょうか。
またのコメントをお待ちしています。
written by 戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.28 08:09

<番外編・ホットニュース>
ビタミンB群心筋梗塞抑制・厚労省研究班が調査
レバーやホウレンソウなどを普段の食事で食べ、ビタミンB群(B6、B12、葉酸)を多く摂取する人はあまり摂取しない人に比べて心筋梗塞(こうそく)になるリスクが37―48%低くなるとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。
3種類をバランスよくとれば予防効果がさらに高まるという。
 
研究班メンバーの磯博康・大阪大学教授らは全国の男女約4万人を約11年間追跡調査した。聞き取りでビタミンB6とB12、葉酸の摂取量を推計した。
サプリメントは対象外。期間中に192人が心筋梗塞を発症した。

ビタミンB6の摂取量で五グループに分けた。最も摂取量の多いグループ(1日あたり1.6ミリグラム)は最も少ないグループ(同1.3ミリグラム)と比べ、心筋梗塞になるリスクが48%下がった。ビタミンB6は肉や魚に100グラムあたり0.4ミリグラム、野菜に同0.2ミリグラムほど含まれる。
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008052703220h1

日経新聞・夕刊 2008.5.27
版権 日経新聞社
 

読んでいただいてありがとうございます。
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他に
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(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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2008.5.21~

「井蛙内科/開業医診療録」 
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~2008.5.21

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ACC2008/SCAI その1(1/2)

戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.27 00:03 / 推薦数 : 0

第57回米国心臓病学会(ACC 2008)/
米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)での発表で「t-PA投与後のSTEMI患者にはPCI施行施設へ転送することが必要」「機能性MRに対してクリップを用いた経皮的弁修復術」「VASPガイド治療」の3つについて勉強しました。

~ t-PA投与高リスクSTEMI患者 ~
PCI施行施設へ直ちに転送し追加治療を
〔シカゴ〕経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行していない施設へ搬送され血栓溶解療法を受けた高リスクST上昇型心筋梗塞(STE MI)患者に対して,緊急にPCI施行施設へ転送し,6時間以内にPCIを追加すると,標準治療に比べて30日後の虚血イベントのリスクをほぼ半減できることがわかった。
Southlake Regional Health Centre(カナダオンタリオ州)のWarren J. Cantor部長らが,多施設ランダム化試験TRANSFER-AMIにより明らかにしたもので,第57回米国心臓病学会(ACC 2008)と合同で当地で開かれた米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)-ACCi2で報告した。

出血増なく虚血イベントが半減
今回の解析対象は,発症12時間以内の高リスクSTEMI患者で,PCIを施行していない施設で組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)製剤tenecteplaseのボーラス投与による血栓溶解療法を受けた1,010例。
これらの対象を,ルーチンPCI群および標準治療群にランダムに割り付けた。
 
各群の治療方針は,ルーチンPCI群はPCI施行施設へ緊急搬送し,再灌流状況にかかわらず,6時間以内にルーチンにPCI(ステント使用)を追加。
標準治療群は60~90分後に胸痛,ST上昇消失を評価し,再灌流不成功の場合には転送してrescue PCIを施行,一方,再灌流成功例には必要に応じて24時間を超えてから待機的PCIを施行することとした。
登録には42施設が参加,PCIは11センターで実施された。
 
両群の手技などを標準治療群,ルーチンPCI群の順に比較すると, PCI施行は62%対84%,ステント使用はともに98%,t-PA投与後PCI施行までの時間は18時間対4時間,t-PA投与後6時間以内のPCI施行は実際の施行例中38%対89%で,GPIIb/IIIa受容体阻害薬使用は53%対73%であった。
 
その結果,一次評価項目の30日後の「死亡,再梗塞,虚血再発,心不全,ショック」を合わせたイベント発生率は,標準治療群の16.6%に対してルーチンPCI群では10.6%と,46.3%の有意(オッズ比0.537,95%信頼区間0.368~0.783,P=0.0013)なリスク減少を示した。

個別には,再梗塞,虚血再発の発生率が,ルーチンPCI群で有意に低かった。
心原性ショックは標準治療群2.6%,ルーチンPCI群4.5%で,両群に有意差はなかった(P=0.11)。
 
安全性については,頭蓋内出血は標準治療群1.2%,ルーチンPCI群0.2%で両群に有意差はなく,TIMIまたはGUSTOスケールによる出血や輸血にも有意差は認められなかった。
 
これらの成績から,Cantor部長は「PCIを施行できない施設で血栓溶解療法を受けた高リスクのSTEMI患者に対しては,再灌流が成功したか確認を待つことなく,血栓溶解療法後直ちにPCI施行施設へ転送すべきだ」と結論。
PCI施行施設へのSTEMI患者の迅速な転送を確実にするため,地域連携システムの構築を課題として挙げた。

 

クリップを用いる経皮的僧帽弁修復術が有望
機能性の僧帽弁逆流(MR)に対して,開胸手術を行わず,経皮的にクリップを装着する経皮的僧帽弁修復術が,新たな治療選択肢となる可能性が出てきた。聖ビンセント心臓センター(インディアナ州)のJames Hermiller部長の報告によると,少数での登録試験ながら,同修復術は1年後のイベント回避率向上,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類の改善,左室リモデリングの退縮などをもたらしたという。

1年後のイベント回避率は74%
Hermiller部長らは,今回EVER EST試験の一環として,経食道心エコーによる評価で構造上弁欠損が認められない機能性MR患者を対象に,MitraClipRを用いる弁葉修復術の安全性と有効性を検討した。
 
対象は,
(1)18歳以上
(2)MR III~V度
(3)A2-P2接合不良に起因
(4)僧帽弁外科手術の適応
(5)経心房中隔が実行可能と思われる
(6)垂直弁尖組織2mm以上
―などの条件を満たす機能性MR患者23例。左室駆出率(LV EF)25%未満,左室収縮末期径55 mm以上,腎不全,心内膜炎,リウマチ性心疾患などは除外した。
 
方法は,鼠径部から経静脈的にカテーテルを挿入,右房から中隔を経て左房へ進めMitraClipRを開き,僧帽弁を通過させて左室側から,いわば"洗濯挟み"のように収縮時に弁尖を挟み込んで留めるというもの()。


 
対象の背景因子は,年齢75歳,心不全の既往87%,心臓手術の既往が43%で,LVEFは50%,左室収縮末期内径は43mmで,NYHA分類III~IV度が83%を占めた。
 
検討の結果,1つ以上のクリップを植え込み退院時にMR II度以下を達成した急性期手技成功(APS)率は23例中19例(83%)で,クリップを植え込んだもののMR II度超が3例(13%),クリップを植え込まずMR II度超が1例(4%)。
30日後の主要有害イベント回避率は87%であった。
 
長期成績を見ると,APS達成例では1年後も89%がMR II度以下を維持しており,「死亡,僧帽弁手術,MR II度超」を合わせたイベント回避率は74%であった。
 
APS達成後,手術を施行することなく1年後まで追跡できた12例では,
(1)9例(75%)でNYHA分類がⅠ度以上改善し,2例(17%)は不変,1例(8%)で悪化
(2)左室収縮末期径,左室拡張末期径がともに有意に低下(3)左室拡張末期容積も有意に減少
(4)LVEFは50%から48%に若干低下したが,有意差なし
―などの成績が確認された。
 
23例中19例(83%)では1年後も外科手術を回避でき,クリップ脱落や塞栓症は認められなかった。
 
以上から,同部長は「少数例での検討ではあるが,Mitra ClipRは機能性MR患者の僧帽弁逆流を軽減する弁尖接合を容易にした」と述べた。
現在,MR患者280例の登録を目指して,MitraClipRによるクリッピング術と開胸手術の有用性を比較する第II相試験EVEREST IIが進行中であるという(
http://www.mitralregurgitation.org/Pages/EVEREST.html中で同修復術のイメージビデオを視聴できる)。


VASPガイド治療でクロピドグレル低反応例の予後が改善
ノルド大学病院(仏)のLaurent Bonello氏らは,vasodilator stimulated phosphoprotein(VASP)指数を用いた血小板反応性のモニタリングにより,クロピドグレル低反応例に対し初期用量を調節するVASPガイド治療と,通常治療の臨床転帰を比較。VASPガイド治療群で,30日後の主要有害心血管イベント(MACE)発生が有意に減少することを示した。

VASP50%未満を目標に追加投与
VASPのリン酸化はクロピドグレルの標的である血小板P2Y12受容体の活性化レベルに依存している。
 
Bonello氏らは,標準化されたフローサイトメトリーアッセイキット(Platelet VASPR,仏Stago社製)を用いて,VASPのリン酸化状況を反映するVASP指数を求め,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後のMACE発生は,VASP指数50%以上の群から生じることを報告している。
 
今回の検討では,急性冠症候群,安定狭心症を伴い,PCI(緊急PCIを除く)施行予定の406例に対し,全例に初期用量としてアスピリン(ASA)250mg,クロピドグレル600 mgを投与した後,VASP指数50%以上であった「低反応例」162例を対象とした。
対象を,対照群およびクロピドグレルの初期用量をVASP指数をもとに調節するVASPガイド治療群にランダムに二分し,後者にはVASP指数が50%未満に低下するまで24時間ごとにクロピドグレル600 mgを3回まで追加投与し,追跡して臨床転帰を比較した。
維持用量として,両群ともに1日ASA 160mg,クロピドグレル75mgを投与した。両群の背景因子に有意差はなかったという。
 
VASP指数は,ベースライン時には対照群68%,VASPガイド治療群69%で,後者ではVASP指数に基づく調節後には38%まで有意(P<0.001)に低下した。
しかし,3回のクロピドグレル追加投与後(計2,400 mg)も,14%はVASP指数50%以上の低反応にとどまった。
 
追跡の結果,一次評価項目の30日後の心血管死,心筋梗塞,血行再建を合わせたMACE発生は,対照群の8例(10%)に対してVASPガイド治療群では0例と有意(P=0.007)に低かった()。


対照群のMACEの内訳は,心血管死2例,急性・亜急性ステント血栓症4例,血行再建2例で,ステント血栓症の大半は5?7日後に生じた。
 
安全性については,TIMI大出血が両群で1例ずつ,TIMI小出血は対照群3例,VASPガイド治療群2例で,両群に有意差はなかった。
 
同氏は「治療後のVASP指数50%未満の達成は,PCI施行患者のMACEを防ぐうえで適切であるようだ」と述べた。

<コメント>
難しくて何だかよくわかりませんでした。


VASP-Pモニタリングによる治療、クロピドグレル耐性例のMACE発生率を減らす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acc2008/200803/505899.html

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41210241&year=2008
出典 Medical Tribune   2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

 

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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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今年3月の日循総会で発表されたMEGA study、TWINS試験、MUSASHI-PCIについて勉強しました。


第72回日本循環器学会総会・学術集会
(2008.3.28~30、福岡)
メーンテーマは「循環器病学の輝く未来をめざして-発見、創造、そして挑戦-」。
Late Breaking Clinical Trialsでは、日本人を対象にした大規模臨床試験が数多く報告され、循環器領域のエビデンス構築に向けた動きがかいま見られる場となった。
 
エビデンスを実地臨床に生かすには
日本人対象の大規模臨床試験をめぐり討議

日本人のエビデンス構築に向けた動きが加速している。学会初日の28日には、「日本発のエビデンスをどうガイドラインに反映させるか」をテーマにシンポジウムが開催された。
シンポジウムでは、MEGA study、TWINS試験、MUSASHI-PCIなど日本人を対象にした大規模臨床試験の結果から、いかにエビデンスをひも解いて、実地臨床に生かすかをめぐり活発な議論が行われた。


スタチンは女性にも治療効果
MEGA study
日本医科大内科学第一の水野杏一氏は、MEGA studyの結果から、「女性の高コレステロール血症でも、スタチンの効果が男性と同様に認められ、特に60歳以上の人では著明な効果が得られる」ことが分かったと報告した。

これまでの研究では、スタチンを女性に投与した際の有効性は確立されておらず、同studyのサブ解析の結果が待たれていた。

MEGA studyは、スタチンの有効性・安全性を検討した多施設前向き無作為化比較試験で、冠動脈疾患(CHD)の1次予防効果をみる。
対象は、総コレステロール値220~270mg/dLの軽・中程度の高コレステロール血症の男女で、
①食事療法群
②食事療法+プラバスタチン投与群
-の2群に分け、治療効果を比較した。

女性に絞った解析結果をみると、全体の解析同様に、CHDの発症率を有意に抑制することが分かった。

水野氏は、従来の試験がCHDの発症が少ない若年者を対象に行われていたことが多く、また対象患者に男性がより多く含まれていたため、「統計的なパワーが不足していた」との見方を表明した。

同試験では、女性が対象者の68%を占めることから、女性のエビデンスを新たに構築できたとした。

水野氏は、「今後MEGA studyのエビデンスがわが国のGLづくりに役立つと思う」と期待感を示した。


LDL-C100mg/dLが目標値として妥当 TWINS試験
日本大循環器内科の平山篤志氏は、日本人でCHDをすでに発症したことのある人への2次予防