戯れ言たれる侏儒
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第25回日本冠疾患学会(大阪)で記事で勉強しました。
冠血行再建術ガイドラインの作成委員である帝京大学循環器内科の一色高明教授と日本医科大学心臓血管外科の落雅美教授の講演およびシンポジウム後のディスカッション内容を紹介した記事で勉強しました。
 
冠血行再建術ガイドライン初の改訂が来月発表に
今年3月開催の第76回日本循環器学会で「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン〔待機的インターベンションにおける経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)の適応〕」の改訂が発表される見込みだ。
数年ごとに改訂が行われてきた欧米とは異なり,わが国では2000年の発表以降12年ぶりの初改訂となる。
大阪市で開かれた第25回日本冠疾患学会では,外科内科合同シンポジウム「ガイドラインに基づく冠血行再建治療」が企画され,改訂作業のプロセスや課題などが整理された。
 
12年ぶりの初改訂
今回の改訂に当たっては冠動脈血行再建術協議会が結成され,2010年4月から11年11月まで,外科系6人,内科系9人の委員が12回にわたって協議を重ねた。
外科・内科双方の治療の進歩やエビデンスの変遷を背景に,両者の見解には相違が生まれ,議論は白熱したものとなった。
協議会のメンバーである一色教授や落教授は,内科・外科それぞれの意見の取りまとめを行う立場で作成に当たった。
内科側の見解
ガイドラインがPCI適応を規定している実態
一色教授はまず,ガイドラインの位置付けを論じた著書から「主治医と患者が治療方法を決める際の仲介資料のようなもの」,「既存エビデンスの集合体であり,臨床場面における意思決定に影響する要因の1つ」などの見解を紹介し,これに賛意を示したが,現実的にはガイドラインが保険診療におけるPCIの適応を規定していると問題提起した。
実際,2008年の診療報酬改訂の際には,1998~99年作成のガイドラインに基づいて待機的PCIの手技料 が,2007年の改訂版を根拠に急性冠症候群(ACS)の手技料が算定された。
 
同教授らは医師の裁量権が認められない行政対応に改善を求めてきたが,ガイドラインが保険診療の縛りとなっているのが実態だ。
欧米のように2~3年置きに改訂がなされなければ,その時々の標準療法と保険診療上の適応が乖離していくばかりであると指摘した。
 
PCI実施の透明性確保が課題
日本の冠血行再建術については,「PCIが行われ過ぎている」という批判があるのも事実で,薬剤溶出ステント(DES)が登場してからもPCIとCABGの割合が4対1程度である米国に対してわが国では約10対1となっている。
一色教授は,日本でPCIが多い理由を次のように説明した。
合理的な理由としては,多枝病変を有する可能性の高いACS患者に段階的にPCIを実施するstaged PCIが挙げられる。
さらに,一部の施設では必要性の有無によらず多枝病変に対してstaged PCIが実施されたり,無症状の末梢病変や側枝病変といった適応外症例に対してPCIが実施されている例がある。
その背景には,保険診療上,多枝病変に対するPCIの診療報酬加算が認められておらず,PCI実施件数が多いほど収入が増加するといった,ガイドラインとは別の要因があるという。
同教授はこのような状況を踏まえ,PCI実施に当たっての透明性の確保を今後の課題に挙げた。
その上で「ガイドラインの存在は,自らが行う治療の立ち位 置を明確にする。それに沿わない診療行為を選択する場合には,他の医療スタッフにも妥当性を説明する必要が生じる。これが適正な医療につながる」と述べた。さらに,内科と外科の連携強化の重要性が盛り込まれた欧米のガイドラインと同様に,日本でもガイドラインがハートチームを象徴するものになると期待を 寄せた。
外科側の見解
CABGと同様にPCIの全国調査を
外科側を代表して発表した落教授は,外科側が行っている全国レベルの全件調査を内科側も実施し,透明性を担保した上でそれぞれの適応を検討していく姿勢が重要であると強調した。
わが国の冠血行再建術をめぐる比較データとしては,ランダム化比較試験(RCT)は皆無であり,前向き観察研究のCREDO-KYOTOが近年報告されているのみだ。
しかし,CABGについては学会主導の全例調査で95%超の回収率で手術成績が集計されており,一部のハイボリューム施設だけでなく,全国 の平均的な成績を概観することができる。
一方,PCIの国内成績については,一部の専門施設の優れた成績が公表されるのみで網羅的な調査が行われていな い。
これが,外科側が懸念を抱く根拠となっているという。
約10年前の実態調査(厚生科学研究)では,年間施行件数が経皮的冠動脈形成術(PTCA)10万9,788件(1,086施設),CABG 1万7,445件(582施設)と報告され,PTCAをめぐっては「左室駆出率が不明」,「症状のみを根拠として客観的な根拠がない」といった問題点が挙げられていた。
同教授は,この調査以降,内科系PCIの全国調査が行われておらず,10年前に指摘されていた問題が現在も放置されているとした。
近年,日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が中心となり全国調査の基盤を築きつつあるが,学会への参加もレジストリー登録についても強制力がない。
そのため,ガイドラインが作成されても,一部施設の不透明なPCI施行が放置される懸念が残るという。
 
ハートチームの推進を
特に問題視されているのが,手技の成否が生命にもかかわる非保護左冠動脈主幹部(LMT)病変の扱いだ。
欧米のガイドライン改訂の根拠となったRCTの SYNTAXでは,LMTを含む解剖学的高リスク病変(SYNTAXスコア33以上)における冠血行再建術を含む主要心血管イベント発生率(MACCE) が,3年でCABG群19.5%,PCI群34.1%とPCI群で有意に高く,追跡が長期になるにつれて差が広がってきている。
この結果から,落教授は「特に非保護LMT病変に対するPCI施行は慎重に行う必要がある」と警鐘を鳴らす。
米国では,LMT病変へのPCI推奨レベル が2009年に「有益でない,根拠がない」とするⅢから,「有用とする根拠が乏しい,意見が少ない」のⅡbへ引き上げられたものの,「多枝病変でない症例 に限定されるべき」,「外科医のバックアップが不可欠」などの詳細なただし書きが添えられている。
同教授は「日本のガイドライン改訂においても多枝病変や非保護LMTの扱いが焦点になったが,最も重要なのは欧米で重視されてきている外科・内科のハートチームによる協力体制を日本でも推進していくことだ」と締めくくった。
 
全件調査の重要性が強調される
講演後のディスカッションでは,ガイドライン改訂を踏まえた問題点などが討議された。
その中で,京都大学大学院心臓血管外科探索医療センターの丸 井晃准教授は,日本で唯一の比較レジストリーの解析に当たった経験を踏まえ,術件数や術成績の施設間格差が厳然と存在するため,「ガイドラインという1つ の枠組みで治療選択を決めるのは困難であると実感した」と述べた。
榊原記念病院循環器内科の浅野竜太部長は,外科側の優れた長期成績を造影検査などで目の当たりにする経験を積み重ねてきたことが,現在の治療選択 に大きく影響していると説明した。
一方,東京医科歯科大学心臓血管外科の田村清氏は,内科でステントを10本以上留置した後に外科に依頼が来る症例も存在する現状を指摘。ガイドラインにも掲げられることが予想される「ハートチームによる患者中心の良識的な治療が望まれる」とした。
PCI施行困難例にも優れたPCI成績を残している大阪大学大学院先進心血管治療学講座の角辻暁准教授は「ガイドラインを評価し,改訂を行う作業 を順次進めていくことが重要」と指摘した。
この点については一色教授も同意。現在,日本循環器学会では各ガイドラインについて5年ごとの改訂を進めているが,進化の速い領域であり,また内科と外科で協議を円滑に進めるためにも,数年ごとの更新が望ましいとした。
さらに,同教授は「ガイドラインを検証し,書き換える作業は重要であるが,基本的には遵守していくものである」と確認した。
落教授が講演の中で要望したPCIの全国・全件調査については,一色教授が専門医や研修施設の認定制度にリンクさせたレジストリー体制の構築を進めていると説明。
それでもなお,非学会員については野放しの状況になることから,内科側シンポジストからも,診療報酬とリンクさせるなどの強制力を持った 全件登録の実施を推す意見が挙がった。
出典 Medical Tribune  2012.2.9
版権 メディカル・トリビューン社

 

<きょうの一曲> Miles Davis Quartet - My Funny Valentine
http://www.youtube.com/watch?v=HS2BUr83O-8

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スタチンのpleiotropic作用はどの程度の臨床的インパクトがあり,どのようにして評価されるのか。
スタチンの中のアトルバスタチンに焦点を当てAHA開催中のディスカッション記事で勉強しました。
 (発言内容をピックアップ)

 
司会
平山 篤志
氏 日本大学内科学系循環器内科学分野教授
出席者(発言順)
David D. Waters
氏 Professor of Medicine, San  Francisco General Hospital University of California
代田 浩之
氏 順天堂大学循環器内科教授
石井 秀樹
氏 名古屋大学大学院循環器内科学
 
心血管系イベント抑制およびプラーク退縮を目指した脂質管理の重要性
スタチンはプラーク容積を減少させ心血管系イベントの発症を抑制
(平山)日本国内においても,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した急性冠症候群(ACS)患者70例を,アトルバスタチン投与群または通常療法群に無作為に割り付け,6カ月間追跡したESTABLISHや,ACS患者307例を対象にプラーク容積の変化率を検討したJAPAN-ACSなどにおいて,ストロングスタチンの投与による冠動脈プラーク容積の退縮に及ぼす影響が検討されています。

 <私的コメント>
JAPAN-ACSはピタバスタチンにおける検討。
 
(平山)最近発表されたPROSPECTでは,心血管系イベントの原因となるプラークは,薄い線維性被膜(TCFA)を伴い,血管腔が狭小化した,大型のプラークであることが示されています(図1)。
 
(平山)スタチンによりプラーク容積を減少させれば,心血管系イベントの発症率は低下するのでしょうか。
言い換えれば,スタチンによるプラーク容積の減少は,そのまま心血管系イベントの発症率の低下につながるといえるのでしょうか。
 この点については,これで得られている事実を総合すると,その可能性は十分考えられるものの,直接的に検証した試験がないことから,今後さらなる検証をしていく必要があると思います。
(平山)スタチンに関するもう1つの疑問は,スタチンによるプラーク容積の減少は,LDL-C低下だけによってもたらされるものかどうかということです。スタチン にはLDL-C低下とは独立したいわゆるpleiotropic作用があり,直接的にプラークに作用して容積を減少させることが指摘されています。

(平山)ロスバスタチンとアトルバスタチンという2つのストロングスタチンの最大用量を用い,冠動脈プラーク容積への減少効果を比較するSATURNが実施され,その成績が今回のAHAで報告されました。
 
アトルバスタチンによるプラーク容積の減少に抗炎症作用が関与
(Waters)MIRACLではACSによる入院患者約3,000例を対象に,アトルバスタチンの高用量を用いた積極的脂質低下療法群とプラセボ群に無作為割り付けし,16週間追跡して虚血性イベント再発の抑制作用を検討しています。
ここで興味深かったのは,試験開始時および治療中のLDL-Cレベルはどちらも,転帰の有意な予測因子となっていなかったことです。
しかし,C反応性蛋白(CRP)が関与し,抗炎症作用が影響した可能性が示唆されています。
さらに,他のスタチンとアトルバスタチンで相対リスクおよび両群間の差がいつから認められるかも検討されており,その他の報告も含め考えると,アトルバスタチンは効果発現が速く,LDL-C低下以外の作用が関与していることが考えられます。
 
アトルバスタチンについてのさまざまなエビデンス
(Waters)安定冠動脈疾患患者を対象としたTNTでは,アトルバスタチンの高用量を用いた積極的脂質低下療法と通常用量を用いた脂質低下療法における脳心血管イベント再発に与える影響を検討しています。
TNTの結果を治療中のLDL-Cレベルで5群に分けて層別化し,LDL-Cレベ ルと主要心血管イベント(MACE)発症の抑制作用も解析しており,アトルバスタチンによる治療では,LDL-Cは低ければ低いほどよいといえるのではないかと感じています。
また,eGFRはさまざまな患者集団において強力な予後予測因子になることが知られていますが,同様にTNTでは,eGFRへのアトルバスタチンの影響についても検討されており,eGFRを改善する可能性が示されています。
さらに,アトルバスタチン投与中のeGFRの変動により腎機能低下群,不変群,改善群に分けて,心血管イベント発症との関係についても検討されています。
アトルバスタチンの長期治療によりeGFRの改善が見られた患者群では,アウトカムの改善にもつながることが期待されています。
 
高まるアトルバスタチンの臨床的意義
(代田)わたしたちは腹部大動脈瘤の手術予定患者20例を対象に,アトルバスタチン20mg/日群と通常治療群に無作為割り付けして4週間治療後,腹部大動脈瘤置 換術を施行,組織における炎症への効果を比較しています。
その結果,アトルバスタチン群では炎症性細胞やマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現が有意に抑制されていました(図2)。
 
4週間という短い期間でアトルバスタチンが組織での抗炎症作用を示したということは,直接的な pleiotropic作用の部分が寄与しているのではないかと考えています。
こうした抗炎症作用は,より炎症反応の強いACS患者において,さらなる有 用性が期待できるのではないかと考えています。
事実,わたしたちが実施したExtended-ESTABLISHのLDL-C別サブ解析でも,ACS患者 におけるアトルバスタチン20mgのイベント抑制作用がより早期から見られています(図3)。

血管内視鏡により明らかとなったアトルバスタチンのプラーク安定化作用
(平山)わたしたちはIVUSと血管内視鏡を同一患者に施行することで,アトルバスタチンが冠動脈プラークにどのように作用するかを検討しています。
その結果,IVUSで確認されるプラークの退縮は80週の試験期間を通じ持続的に確認された一方,血管内視鏡で確認されるプラークの色調変化については,28週目までは黄色調から白色調への変化が認められたものの,その後80週の時点まで一定でした(図4)。

(石井)IB(integrated backscatter)-IVUSでは脂質成分は青色に,線維成分は緑色に映ります。
したがって青色部分の多いプラークは脂質含有量の多い,不安定なプラークと判断できます。
わたしたちは特に慢性腎臓病(CKD)患者でIB-IVUSを実施し,PCIの目標ステント留置部位には,脂質に富むプラークが多く存在することを報 告しています。
また最近,対象をeGFR(mL/min/1.73m2)60未満と60以上に分けてIB-IVUSの結果を解析し,前者は後者に比べて脂質容積が有意に大きく,線維容積が小さいことも報告しています。
また,岐阜大からの報告では,アトルバスタチン20mgで6カ月間治療すると,IB-IVUS所見の青色部分,すなわち脂質成分が有意に減少することも報告されており,虚血性心疾患のハイリスクグループと考えられるCKD患者に対しては,アトルバスタチンの効果が期待されています。

(Waters)エゼチミブをスタチンに併用すると,LDL-Cは低下するので有効だとは思いますが,エゼチミブでLDL-Cを低下させたことでイベントを抑制したという臨床試験のデータがないため,現状では,エゼチミブを加えるよりも,まずはスタチンを増量する方が良いと考えています。
 
出典  Medical Tribune 2012.2.9
版権  メディカルトリビューン社


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PCIガイドライン2011

戯れ言たれる侏儒 / 2012.02.09 00:43 / 推薦数 : 0
“ハートチーム”による治療選択の重要性を強調
ACCF/AHA/SCAIがPCIガイドライン2011発表
米国心臓病学会財団(ACCF),米国心臓協会(AHA),心血管造影・インターベンション学会(SCAI)は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の患者管理に関するガイドラインを改訂し, Journal of the American College of Cardiology(2011; 58: e44-e122),Circulation(2011; 124: e574-e651),Catheterization and Cardiovascular Interventions(2011; オンライン版)に発表した。
この2011年版ガイドラインでは,PCIあるいは冠動脈バイパス術(CABG)の適用を含む治療方針の決定に, “ハートチーム”による集学的アプローチを取り入れることをクラスⅠの推奨事項としているほか,PCIとCABGの比較についても,かつてない規模でペー ジを割いている。
 
PCIとCABGの作成委員が合同で血行再建術の項目を作成
発表に当たって,ガイドラインのタスクフォース委員長であるAlice K. Jacobs博士は,今回のガイドライン改訂で目指した包括的目標について「エビデンスに基づいた臨床診療の指針を示すと同時に,妥当性を維持しながら, 使いやすさを向上させることにあった」と説明。
特に,使いやすさを向上させるための新たな試みとして,「ガイドライン中のエビデンスやサマリーは簡潔な表にまとめ,エビデンスレベルとともに推奨事項を分かりやすく表示したほか,参考文献もカラーの表にまとめた」ことを挙げている。
 
さらに,今回のガイドラインでは初めて,臨床での利便性を考慮し, PCIとCABGの作成委員が合同で血行再建術の項目を作成した。
 
PCIガイドライン作成委員会委員長のGlenn N. Levine博士は「2011年版のPCIガイドラインでは,冠動脈疾患(CAD)に対する血行再建術の推奨をまとめる上で,最大の協力体制が組まれた。 このセクションでは,どのような患者が血行再建術を受けるべきなのか,またCABGとPCIのどちらが適しているのかといった内容が検討されている」と説明している。
 
インターベンション専門医と心臓外科医の連携を推進
また,CABG,ST上昇型心筋梗塞(STEMI),安定虚血性心疾患,不安定狭心症/非STEMIなど複数のガイドラインで重複する草稿の作成 に当たっては,各ガイドラインの作成委員が協働してコンセンサス会議でまとめることで,ガイドライン全体の一貫性を保ちつつ,作成に必要な時間を短縮した。
 
ガイドライン作成委員会は今回のガイドラインで,こうした作成プロセスのほか,“ハートチーム”アプローチなどの新たな概念を提示。
特に,保護されていない左冠動脈主幹部病変あるいは複雑病変を有するCAD患者に対するPCIあるいはCABGの治療選択における“ハートチーム”アプローチの導入に
ついては,最高の推奨レベルであるクラスⅠの推奨事項としている。
 
このアプローチは,PCIとCABGの治療選択に当たってはインターベンション専門医と心臓外科医が連携して患者の状態を精査し,それぞれの治療選択肢の長所と短所を評価して,患者にその情報を推奨内容とともに伝えるというものである。
 
SYNTAXスコアによる評価を推奨
改訂ガイドラインのそのほかの特記事項としては,多枝病変を有する患者の治療法の決定に際してSYNTAXスコアによる評価が推奨されていることが挙げられる。
Synergy between Percutaneous Coronary Intervention with Taxus and Cardiac Surgery

PCIガイドライン作成委員会副委員長のJames C. Blankenship博士は「このスコアは,冠動脈造影所見を基にコンピュータによって算出され,CAD病変の程度や複雑さを測定し,分類するツールとして用いられている。計算は複雑だが,このスコアを用いて疾患の程度をより客観的に分類することで,CABGとPCIのいずれが適切かを決定する一助となるだろう」と述べている。
なお,同スコアが導入されたSYNTAX試験の結果はNew England Journal of Medicine(2009; 360: 961-972)に発表されている。

改訂ガイドラインではまた,初めてCAD患者に対する生存率と症状の改善を目的とした血行再建術に関して,解剖学的サブグループごとに推奨が示された。

同博士は「それぞれのサブグループについてデータを入手することはこれまでも困難で,データがない場合はガイドラインから除外せざるをえなかった。そこで,今回のガイドライン作成委員会ではエビデンスレベルがA(複数のランダム化比較試験や比較試験で支持)であれ,C(専門家の意見あるいは症例 研究で支持)であれ,それぞれのグループが含まれるよう広範囲にわたる調査を行い,データ収集に努めた」と説明している。

理的問題にも言及
Levine博士はまた,通常のステントあるいは薬剤溶出ステント(DES)の留置術の推奨に関して「慎重かつバランスの取れたアプローチが取られるよう特に留意した」としている。

例えば,狭窄の再発を予防するためのDESの使用はクラスⅠの推奨とする一方,まず医師がPCIの施行前に抗血小板薬2剤併用療法に患者が耐えられるか否か,また遵守されるか否かを評価すべきとする推奨も示されている。

そのほか,改訂ガイドラインは,PCIのインフォームド・コンセントや主治医が利害関係のある専門的施設に患者を紹介する(self-referral)問題,利益相反の可能性などの倫理的な問題についても触れている。

また,スタチン療法や血管閉塞デバイスの使用,外科のバックアップ体制がない医療機関におけるPCIの施行,術中の放射線データのモニタリングと記録に関する推奨も明記されている。

なお,今回のガイドラインはACCとAHAが新たに導入した「委員長を含む作成委員のうち50%超が関連業界との関係がないこと」とする方針に基づいて作成された。
 
出典  Medical Tribune 2012.2.2
版権  メディカルトリビューン社



 
 

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新デバイスの生体吸収性スキャフォールド(BVS)、留置2年後においても血管内腔が維持される
ABSORB Cohort B試験は、エベロリムス溶出性の生体吸収性スキャフォールド(bioresorbable vascular scaffold:BVS)の有効性と安全性を検討する第2相試験である。
11月16日までフロリダ州オーランドで開催されていた第84回米国心臓協会・ 学術会議(AHA2011)において、同試験を代表してオランダErasmus Medical CenterのRobert-Jan van Geuns氏が、留置2年後までの追跡で、BVS留置部位の血管内腔が良好に維持されていることを報告した。
 
BVSのプラットフォームは生体吸収性の材質で、冠動脈に留置すると徐々に代謝・吸収され、最終的には完全に分解されて消失する。
こうした特性を持つ薬剤溶出性BVSは従来の金属製プラットフォームを有する薬剤溶出性ステントに比べて、遠隔期の血管内腔損失(late lumen loss)が生じにくい
ただし、第1世代として開発された「ABSORB BVS 1.0」は6カ月後に血管内腔が狭まってしまう傾向が見られたため、プラットフォームを改良し血管支持強度を高め、血管内での支持期間を延長するようにした第2世代の「ABSORB BVS 1.1」が開発された。
今回用いられたのは第2世代のABSORB BVS 1.1で、6カ月後の血管内腔損失は第1世代の0.43mmに比べて0.19mmと、さらに成績が向上していることが示されている。

ABSORB試験は複数の試験から構成され、ABSORB Cohort B試験は2年間のフォローアップ期間の有効性と安全性について検討するもの。

本試験は欧州、オーストラリア、ニュージーランドの12施設で実施されたオー プンラベルのプロスペクティブ試験であり、2009年3月~11月の期間に101例が登録された。

今回の解析対象はそのうち45例で、 ABSORB BVS 1.1の留置から2年間フォローアップされた44例を対象にMACE(心臓死、心筋梗塞、血行再建術再施行の複合エンドポイント)の発生率を調べ、さらに 44例のうち光干渉断層計(OCT)検査を受けた28例を対象にBVS留置領域の血管内腔を評価した。

45例の背景については、男性比 率が73%、平均年齢が65歳。

また、心筋梗塞の既往が36%、糖尿病が13%、高コレステロール血症(治療中)が93%、高血圧(治療中)が60%、喫 煙者が11%であった。
病変部位は、左前下行枝(LAD)が38%、右冠動脈(RCA)が36%、左回旋枝(LCX)が24%などで、病変分類はB1と B2で95%を占めた。なお、デバイス留置成功率は100%、手技成功率は98%であった。

2年後のフォローアップでは、心臓死は認められず、非Q波心筋梗塞が1例で発生し、PCI再施行が2例で行われたため、MACEの発生は3例(6.8%)だった。

なお、スキャフォールド血栓症(ARC定義)の発生は認められなかった。

また、OCTを用いた観察では、BVS留置部位の血管内腔は2年間にわたり安定して維持されること、BVSは想定されていたとおり吸収が進んでいること、血管内膜の過形成は最低限に留まっていることが確認された。

 以上の検討からvan Geuns氏は、「BVS留置2年後のMACEの発生率は6.8%と低く、金属製のプラットフォームを持つ従来のエベロリムス溶出性ステントの治療成績と同等であった。また、BVSは想定通り吸収が進んでいるが、BVS留置領域の血管内腔は安定して維持されていた」と結論した。

ディス カッサントである米国University Hospitals Case Medical CenterのMarco Costa氏は、BVSでは留置後にデバイスが破損するリスクがあることを指摘しつつも、「その有効性と安全性は優れており、いまや薬剤溶出性の金属製ス テントとの直接比較試験を行うときである」とコメントした。

出典  NM online 2011.11.19

版権 日経BP社

 
<関連サイト>
生体吸収性ステント

生体吸収性エベロリムス溶出ステント

 
生体吸収性スキャフォールド(BVS)
 
ABSORB試験
 
生体吸収性ステントの安全性
 
溶けて消えるDES
 
<番外編>
オルメサルタンは血漿中ATⅡを低下させる!?
http://yaplog.jp/hurst/archive/206
<私的コメント>
一般的にARBは血漿中ATⅡが上昇するはずです。
オルメサルタン→血漿中ATⅡ↓のメカニズムを知りたいところです。
 
<きょうの一曲> ゴルトベルク変奏曲
Glenn Gould, Goldberg Variations, 1981
http://www.youtube.com/watch?v=zpx6hJZ0-9o&feature=related

 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
があります。   

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PCI後の生命予後改善策

戯れ言たれる侏儒 / 2012.01.10 00:58 / 推薦数 : 1

徳島大学 佐田政隆教授の記事で勉強しました。
サブタイトルは「内皮機能の観点からイベント抑制を考える」 です。

 
脂質異常、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満などの危険因子があると、酸化ストレスやレニンアンジオテンシン(RA)系などを介して内皮障害や炎症細胞の賦活化が起こり、動脈硬化が進展します。
これまでの報告からはRAS系が亢進するとプラーク破綻 が誘発されることが分かっており、大阪労災病院の星田氏らからは、ACS患者では血中のACE活性の亢進は検出できないものの、血管局所で亢進が認められたことが報告されています1)
アンジオテンシンⅡは内皮機能の障害、酸化ストレスの増加などの悪影響をもたらします。
我々はマウスの実験でAT1aRが欠損するとコレステロール値が同じでも動脈硬化が半分になることを確認しており2)、 また、テルミサルタンを用いると、ヒドララジンと比べて動脈硬化がより強力に抑制され、脂質の沈着が減少し、不安定プラークを安定化させることを確認しま した。
つまり、アンジオテンシンⅡを遮断すると血圧が低下するのみではなく、炎症や内皮障害が抑制されることが分かっています。
 
我々は高血圧を合併したPCI施行患者40人をテルミサルタン群(メバロチン10mg/日+テルミサルタン80mg/日)、又は非テルミサルタン群 (メバロチン10mg/日+RAS系抑制薬を除く降圧治療)に無作為に割り付け、6ヶ月の追跡を行い冠動脈内プラーク組成に対する影響を比較しました。
本試験ではベアメタルステント(BMS)を留置しても良好な結果が得られると判断した大きな血管径の複雑でない病変に対してDriverステントを留置し、 ステント留置部位の4.5mm近位部のプラーク性状をIB-IVUSにて観察しました。
両群で血圧は同様に低下しました。
IB-IVUSによる観察で は、テルミサルタン群では線維性成分量がベースラインの48.1%から6ヶ月後は54.4%へと有意に増加したのに対し(p=0.03)、コントロール群 では57.5%から57.3%と変化はなく(p=n.s.)、脂質量はテルミサルタン群がベースラインの46.0%から6ヶ月後には38.4%へと低下し (p=0.03)、コントロール群では28.0%から27.7%と変化はありませんでした(p=n.s.)。
つまり、テルミサルタン群では線維性組織が増 え、脂質が減ったことから(図1)、半年間でプラークが安定化したと考えられます。
 
 
 
更に、テルミサルタンによるプラークの退縮も確認されました。
平均血管面積はテルミサルタン群、コントロール群の両群でベースラインと6ヶ月後とも差はなかったのですが、平均内腔面積はテルミサルタン群ではベースラインで7.9mm2、6ヶ月後は8.5mm2(p=0.03)と有意な増加を認めたのに対し、コントロール群ではそれぞれ8.0mm2と9.6mm2(p=n.s.)と差はありませんでした。
そして、プラーク量はテルミサルタン群では21.1mm3から19.4mm3へと有意に低下し(p=0.003)、コントロール群では差はありませんでした(両方21.8mm3: p=n.s.)。
また、冠循環局所採血を行い、炎症マーカーの測定をし、冠静脈 洞濃度-バルサルバ洞濃度と定義した冠循環血中濃度変化を見ると、CRPはテルミサルタン群とコントロール群に差はなかったのですが、PTX3、TNFα の変化率はコントロール群では変化はなかったものの、テルミサルタン群で有意差には至りませんでしたが、低下傾向が見られました。
 
動物実験からは、他のARBでも抗動脈硬化作用はあるものの、テルミサルタンではよりその作用が強いことを我々は確認しています。
その理由の1つにテルミサルタンは組織親和性が高く、目的臓器の組織へ移行しやすいという特徴が挙げられ3)、これが長時間の安定した降圧にも影響していると考えられます。
抗動脈硬化作用を有する薬剤として、PPARγ活性化作用を持つピオグリタゾンが近年注目されています。
しかし、新たな薬剤の追加は患者負担も大きくなります。
テルミサルタンはピオグリタゾンの1/3程のPPARγ活性化作用を持つことが確認されています4)
我々も研究を行いましたが、PPARγを活性化すると脂肪細胞からアディポネクチンが増加しますが、テルミサルタンもピオグリタゾンと同様にアディポネクチンの発現を増加させることを確認しました(図2)。
従いまして、テルミサルタンは血管にも代謝にも有益な作用を持つ薬剤と考えられます。
 
また、我々のAT1ノックアウトマウスの実験でも、テルミサルタンを加えると付加的な抗動脈硬化作用が認められたことから、テルミサルタンにはARB以上の効果があることが証明されています(図3)5)
 

 
1) Hoshida S, et al. Circulation. 2001; 103: 630-633
2) Fukuda D, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2008; 28: 90-96
3) Kurtz T, et al. J Hypertens. 2004; 22: 2253-2261
4) Schupp M, et al. Circulation. 2004; 109: 2054-2057
5) Fukuda D, et al. Biomed Pharmacother. 2010; 64: 712-717

 
https://www.tcross.co.jp/specialtopic2010_2/index.php

 

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ENDEAVOR Ⅳ試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.30 00:25 / 推薦数 : 0
Kandzari氏が報告したENDEAVOR Ⅳ試験の5年追跡から、Endeavorステントの長期安全性と有効性の検証結果がTCT2011で報告されました。
きょうは、その記事で勉強しました。
 
TCT2011がカリフォルニア州サンフランシスコで2011年11月7日から11日の5日間にわたり開催された。
世界最大級のこのライブコースには、本年は12,000人もの参加者が集まり、初日から多くのセッションで立ち見が出るほどの賑わいであった。
薬物溶出ステント(DES)が2003年にアメリカで認可され、7年以上が経過した。
今日では複数のDESが使用可能となり、長期追跡において各DESの 特徴も明らかになってきている。
中でも世界で3番目に認可を受けたEndeavorゾタロリムス溶出ステントは、PCコーティングを使用し薬剤を溶出する という、その他のDESとは一線を画すユニークな特徴を有する。
このEndeavorステントを第一世代のTaxusパクリタクセル溶出ステントと比較したENDEAVOR Ⅳ試験の最終結果となる5年の長期臨床試験結果が、TCT2011のPeer-Reviewed Researchセッションにおいて、Piedmont Heart InstituteのDavid Kandzari氏により報告され、注目が集まった。


初期成績でZESはPESと比べて非劣性を証明
ENDEAVOR Ⅳ試験の最初の報告は、今から4年前のTCT2007に遡る。
本試験では、アメリカの80施設よりデノボのシングル冠動脈疾患を有する1,548人を登録し、773人をEndeavorゾタロリムス溶出ステント(ZES)群、775人をTaxusパクリタクセル溶出ステント(PES)群に無作為に割り付け た。
8ヶ月の造影追跡では、ZES群のlate lossはPES群と比べ大きかったものの、主要評価項目に設定した9ヶ月の標的血管不全(TVF: 心臓死、MI、TVR)の割合は、PES群の7.2%に対し、ZES群では6.6%と非劣性が証明された(pNI<0.001)。
Kandzari氏は、「今回の報告では、8ヶ月時の造影追跡時のlate lossが長期の標的病変再血行再建術(TLR)に影響するか、また、ZESとPESの長期安全性が確保できるものか、そして、ZESの長期成績がこれま でにZESを評価した臨床プログラムで示された成績と一貫するかを検証した」と本解析の目的を述べた。
既に報告されているように、ZES群とPES群の患者背景は、年齢(63.5歳 vs 63.6歳)、男性(66.9% vs 68.5%)、心筋梗塞(MI)歴(21.1% vs 23.2%)、糖尿病(31.2% vs 30.5%)、不安定狭心症(51.6% vs 49.9%)の割合など両群で差はなく、リファレンス血管径(2.73mm vs 2.70mm)、病変長(13.41mm vs 13.80mm)、B2/C病変の割合(69.6% vs 70.9%)などの病変特徴も類似していた。
 
ZESが長期追跡でMIの発症率を有意に低下させる
Kandzari氏は、5年の全死亡と心臓死の割合は両群に差はなかったものの、MIの発症率はZES群で有意に低いことを強調し(2.6% vs 6.0%: p=0.002)、非Q波MIがZES群で少なかったことを指摘した(2.1% vs 5.3%: p=0.001)。
CKMBの上昇は、ZES群では正常上限値10倍以上を記録した患者が8人に対して、PES群では17人であった。
その結果、1年時に観察された心臓死/MIの累積率の差は、5年時には統計学的な差に至り〈図1〉、ZES群で有意に心臓死/MIが少ないとの結果が示された(相対リスク減少30%、p=0.048)。
Kandzari氏は、「これにはMIと遅発性ステント血栓症による影響が示唆される」と述べた。

 

 

図1 Cumulative Incidence of Cardiac Death/MI to 5 Years

本試験では、DESの臨床試験では初めて超遅発性ステント血栓症(VLST)の発症率に有意差が認められている。
 
TLRが1年時と5年時で逆転
TVFの累積率についても1年以降に、〈図2〉のように両群の差が拡大し、有意差には至らなかったものの、ZES群はPES群に比べて、TVFの約18%の相対リスク低下をもたらしたことが確認された。

 

図2 Cumulative Incidence of TVF to 5 Years

 

また、1年追跡でのTLRは数値的にはPES群で低かったが、5年追跡では逆転しており、ZES群ではPES群よりも低かった〈図3〉。

 

図3 TLR Rate Over Time


Kandzari氏は、「当初のlate lossの値とは相反して、TLRの増加率はZES群では時間の経過とともに減少していた」とまとめている。
Endeavorプログラムの統合解析においても、ZESの5年のTLRの割合は7.4%であることが報告されており、本試験においても一貫していた。
 
ZESはVLSTの懸念が少ない
更に、5年のARC定義のdefinite/probableステント血栓症のVLSTの累積発症率は、PES群が1.8%に対し、ZES群が0.4%を 記録し、全体では有意差はないものの、〈図4〉のように1-5年の超遅発性ステント血栓症(VLST)の発症率はZES群ではPES群よりも顕著に低いこ とが示された(相対リスク減少78%、p=0.012)。
2剤抗血小板療法下にあった患者の割合は、1年時はZES群、PES群で類似していたが(57.6% vs 57.2%)、2年時にはZES群ではPES群と比較して顕著に低下し(65.4% vs 71.3%: p=0.02)、5年時も同様にZES群で有意に低かった(41.8% vs 47.9%: p=0.03)。

 

図4 Cumulative Incidence of Very Late ST to 5 Years


以上により、Kandzari氏は、「本試験においても、その他のEndeavorステントの臨床試験プログラムで観察されたZESの長期における安全性 と有効性が一貫して認められた」と、まとめている。

本調査結果はZESの安全性と有効性を再認識させた。第一世代のDESとは異なった様式で薬剤を溶出させるEndeavorゾタロリムス溶出ステントの長 期的なVLSTのリスク低下は特記すべき事項である。全ての患者に同じような治療選択を行うのではなく、長期予後の改善を目指して、個々の患者に応じた DESを選択し、術後の管理にまでも介入して行くことが必要である。

 

出典
https://www.tcross.co.jp/pickup_TCT2011/index.php

 

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心臓インターベンション医
放射線曝露に抵抗する防御反応が体内で促進
心臓カテーテル検査(以下,心カテ)を用いて治療を行う心臓病専門医(以下,心臓インターベンション医)は,一般の放射線科医と比べて年間2~3倍の電離放射線に被ばくするが,イタリア国立研究評議会(CNR)臨床生理学研究所(伊ピサ)のEugenio Picano所長らは「心臓インターベンション医では,低線量放射線に継続的に曝露されることにより,放射線の有害な影響に拮抗する作用と考えられる自発的な変化が細胞レベルで起こっていることが分かった」とEuropean Heart Journal(2011; オンライン版)に発表した。
こうした変化をエビデンスとして示したのは,今回の研究が初めてである。
 
アポトーシス感受性も亢進
今回の研究では,職業上定期的にX線にさらされている心臓インターベンション医10人において,血中のグルタチオンと過酸化水素(H2O2)濃度が上昇していることが分かった。
グルタチオンは抗酸化物質で,活性酸素種(ROS)による細胞損傷を防ぐ役割を果たしていると考えられており,H2O2はROSによる酸化ストレスの指標である。
これら化学物質の変化に加え,リンパ球では,細胞のアポトーシスの誘導に関与する酵素カスパーゼ-3の発現が亢進していた。
 
研究責任者のPicano所長は「心臓インターベンション医では,放射線被ばくのない人と比べ,H2O2濃 度が3倍に上昇していた。
これは,放射線による有害な変化が細胞レベルで増大していることを示している。
しかし,その一方でグルタチオンが約2倍に上昇していること,白血球のアポトーシス感受性が高まっていることは,こうした有害な変化に対する防御反応の促進を反映していると思われる。
細胞のアポトーシス 感受性亢進は,DNAが損傷し,がん細胞になりうる細胞を排除するための防衛機構と考えられる」と述べている。
 
有益か有害かはまだ不明
筆頭研究者でCNR食品化学研究所(伊アベリーノ)の上級研究員であるGian Luigi Russo博士は「心臓インターベンション医では,規制基準では“安全”と考えられている一定レベルの放射線への曝露が,複雑な生化学的適応反応や細胞適 応反応を誘発する可能性が示された。
また,そうした反応により抗酸化防御が改善され,これら医師の体内で増大したROS濃度とのバランスが保たれていることも示唆された」と述べている。
さらに「こうした変化が適応上の有益な変化であるのか,それとも臨床的に重要な有害な変化の前兆であるのかはまだ明らかではない。なぜならDNA損傷や酸化ストレス,アポトーシス感受性の増大は,さまざまな疾患の発症に関与しているからだ」と指摘している。
 
線源近傍という作業環境が要因
職業上,電離放射線に曝露される人口は,軍人を除いても世界中で約2,300万人と多く,うち約700万人は医療従事者であるが,代表的なものとして心臓インターベンション医のX線被ばくや核医学者のγ線被ばくなどが挙げられる。
過去20年間に心カテの施行件数は増加してきており,それに伴い心臓イン ターベンション医が放射線に曝露される機会も増えている。
米国の心カテ施行件数は,1993年の245万件から2006年には460万件へと増加しており,欧州でも同様の傾向が見られる。
Picano所長によると,こうしたカテーテルインターベンションを施行された患者は,1回当たり胸部X線撮影300~5,000回に相当する大量のX 線を浴びる可能性がある。
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や心臓ラジオ波焼灼術による平均被ばく量は,胸部X線撮影750回分に相当する。
心臓インターベンション医の職業的被ばく量は放射線科医の3倍相当で,1人当たりの年間被ばく量が胸部X線撮影250回分に達しているのは,放射線源の近傍で 作業しなければならないという職業環境が原因である。
生涯リスクの推算にはまだ不明瞭な点もあるが,30年間従事することにより,約100人に1人ががん を発症するほど,生涯リスクが増大するという。
 
意識付けで被ばく量は90%削減可能
今回の研究では,心臓インターベンション医10人と放射線被ばくのない医療従事者10人を比較した。
前者の放射線曝露量は,着用している放射線バッジから入手し,そのデータに基づいて生涯予想被ばく量を算出した。
また,血液を採取し,グルタチオンとH2O2の血中濃度,さらに分離したリンパ球のカスパーゼ-3活性を調べた。
 
Russo博士は「今回の知見は,臨床的にも科学的にも示唆に富んでいる」とコメントしている。カテーテル処置室に「放射線を防ごう」という風潮が根付 いていれば,同じ治療行為を行っても,医師や他のスタッフ,患者の被ばく量を90%削減できることが示されていることに言及。「したがって,心臓インター ベンション医は,被ばく量を最小限にとどめるよう日常の業務であらゆる努力を払うべきである」と指摘している。
 
また,「心臓インターベンション医は,慢性的な低線量被ばくの影響を調べるのに適した特異な集団である」と説明している。
イタリアでは現在,この問題を 検討するHealthy Cath Lab研究という大規模研究が進行中であるという。
同博士は「同研究は“心臓インターベンション医による心臓インターベンション医を対象とした心臓イン ターベンション医のための研究”で,慢性的な低線量被ばくのがんまたは非がんに関する影響を解明することを目的としている」と述べている。
 
さらに「優秀な心臓インターベンション医は,救命のための放射線を恐れるべきではないが,それと,放射線に対して認識不足なことや無頓着であることとは全く異なる」と付け加えている。
 
認識を高め防御手段を講じるべき
ヨハネス・グーテンベルク大学医療センター(独マインツ)心臓医学部門のThomas Münzel教授とTommaso Gori博士は,同誌の付随論評(2011; オンライン版)で,今回の研究の限界として
(1)小規模研究であること
(2)関連機序に関する洞察が不完全であること(3)BMIの差
(4)他の心血管危 険因子に関する情報が欠落していること
—などを指摘している。
その一方で,興味深い研究であるとして「心臓インターベンション医の体内では,放射線による 酸化ストレス(より正確には放射線ストレス)が起こりやすいが,幸いにもそれに拮抗する抗酸化防御が働くようだ」と述べている。
 
また,心臓インターベンション医自身が認識を高め防御手段を講じるべきであることと,さらなる研究が必要である点に関してRusso博士らに賛同。
「電離放射線の影響はまだ完全には理解されておらず,心臓インターベンション医は患者,同僚,また自身においても,あらゆるリスク低減策を講じる必要がある。 現代の画像診断技術は目覚ましく,また複雑で長時間にわたるインターベンション手技を成功させた後には相当な自己充実感が得られるのは確かだが,これらと 手技の費用,臨床的有用性,リスクとの間でバランスを図ることが重要で,中でも長時間放射線に曝露される術者のリスクについては注意を払う必要がある」と述べている。
 
出典 Medical Tribune 2011.11.17
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
<一口メモ>
カルシウム拮抗薬とグレープフルーツの相互作用
かなり強い 
ムノバール(一般名フェロジピン)、バイミカード、アダラート
強い
カルブロック、カルスロット、バイロテンシン
やや強い
ベラパミル、ランデル、ペルジピン
少ない
アムロジン、ヘルベッサー
 
(ベニジピン?)
 

<トピックス> ・グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗薬の相互作用 ...

 

 
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経皮的弁膜症治療

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.17 00:42 / 推薦数 : 0
デバイスラグの解消が必要
非リウマチ性弁膜症がわが国でも増えている。
特に,加齢とともに頻度が高くなる大動脈弁狭窄症の増加が目立つ。
予後不良なため,早期に人工弁置換 術(AVR)を行う必要があるが,高齢者や高リスク患者は適応外とされることが多い。
こうした中,低侵襲手術として開発された経カテーテル的大動脈弁留置 術(TAVI)に期待が寄せられている。最近は,経カテーテル的僧帽弁留置術(TMVI)も考案され,両手術に用いるさまざまなデバイスの開発が進められ ている。大阪市で開かれた第20回日本心血管インターベンション治療学会(会長=大阪大学大学院先進心血管治療学寄附講座・南都伸介教授)のタウンホール ミーティング「経皮的弁膜症治療は,欧州では,すでに日常臨床として使用されている!果たして本邦にいつやってくるのか?」(座長=東邦大学医療センター 大橋病院循環器内科・中村正人教授,米スタンフォード大学循環器科・池野文昭氏,Boston Scientific社・内田毅彦氏)で,デバイス開発の最新情報が報告された。

TAVIの一部で治験進行,TMVIは出遅れ
座長の池野氏は「日本ではTAVIデバイスの一部で最近治験が開始されたところで,欧米,特に欧州からは大きく後れを取っている」と指摘。
行政,医師,企業によるチームワークの重要性を強調した。

SAPIEN XTの米国認可は年内か
池野氏は「日本ではごく一部の施設を除き,弁膜症のカテーテルインターベンションの研究が始まったばかり。世界の潮流に乗り遅れないようにする必要がある」とした。
TAVIデバイスは,フランスの心臓血管外科医Cribierが1990年代末に動物で有用性を確認。
2000年代に入って最初のヒトへの留置が行われた。
以後,さまざまなデバイスが開発され,現在はバルーン拡張型のEdwards Lifesciences社のSAPIEN XTと,自己拡張型のMedtronic社のCoreValveが,欧州で治験を終え,CE(European Conformity)マークを取得している。
SAPIEN XTに関しては,米国でもごく最近,治験が終了した。同氏は「米食品医薬品局(FDA)のパネルでかなりポジティブな意見が出されたので,おそらく米国で も今年中に認可されるのではないか」と述べた。
日本では,大阪大学など3施設共同の治験が進められている。そのほか,Boston Scientific社のSadraなど,多数のデバイスの開発が欧州で進められている(図1)。

 
図表
 
TMVIにおけるデバイスラグはさらに大きい。
同氏によると,米国の循環器医Goreが2000年ころに考案したMitra Clipは,2003年にヒトへの最初の応用が試みられた。
その後Abbott社により開発が進められ,欧州では2008年にCEマークを取得。
米国で は多数例を対象とした治験EVEREST-Ⅰ,Ⅱが終了したが,いつごろ承認されるかは明らかではない。
さらに,TMVIデバイスとして,米国 Cardiac Dimensions社が開発したCARILLONの治験が欧州で行われ,CEマークを取得している。
そのほかのデバイスの開発は欧州や中南米で進められている。
日本では,いずれのTMVIデバイスも治験開始にも至っていない(図2)。

図表
同氏は「device innovationには莫大なコストと時間,手間がかかる。弁膜症のカテーテルインターベンションのデバイスでも同じだが,日本の患者にもできるだけ早 く最新の治療を提供できるようにしなければならない。少しでもデバイスラグを解消するためには,行政,医師,企業によるチームワークが非常に重要だ」と訴えた。


日本のSAPIEN XT開発は順調に進展
日本のTAVIのパイオニアである大阪大学大学院心臓血管外科学の澤芳樹主任教授は,SAPIEN XTを用い,4例の臨床研究で良好な成績が得られたこと,現在3施設共同の国内治験が進行中であることを報告。
デバイスラグはおそらく生じないだろうとの見方を示した。

20mmサイズの治験が日本から
澤主任教授らは2009年秋に,TAVIの臨床研究を開始。2010年3月までに4例(年齢81~91歳,平均85歳)に実施した。
アプローチ法は,カ テーテルを肋骨間から入れ,肺,心尖部を通過,弁に到達させるtransapical approach(TA)が1例,transfemoral approach(TF)が3例。
ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類はⅡ度1例,Ⅲ度2例,Ⅳ度1例。間質性肺炎,慢性閉塞性肺疾患 (COPD),慢性腎不全などを有し,EuroScoreは平均26.8%と高い。
しかし,手術は全例成功し,TA例で心尖部出血が認められ,抜管がやや 遅れたものの,ほか3例では手術合併症はなく,術後平均9.2カ月のフォローアップで全例生存している。
同主任教授は,同じ年齢層のAVRに勝るとも劣ら ない成績が得られたとした。
圧較差の有意な低下も認められた。NYHA分類は全例1段階改善した。
 
一方,SAPIEN XTの治験は,上記4例を含む大阪大学症例31例(TF 23例,TA8例)と,榊原記念病院,倉敷中央病院の症例を併せた60例を対象に進められ,ごく最近終了した(23mm,26mmサイズ)。
さらに,弁輪 の小さい日本人に適した20mmサイズの治験が今年6月,世界に先駆けてスタートした。
 
同主任教授は,左室補助人工心臓(LVAD)が承認時既に製造中止になっていたという過去の苦い教訓を基に改革が進み,デバイスラグは明らかに短縮され つつあるとし,「SAPIEN XTの国内治験の進ちょくを見ると,おそらくデバイスラグが生じることはないだろう」と述べた。
また,承認までにTAVIを実施する施設,医師の基準案を 作成する必要があると指摘した。

臨床試験基盤とFIM試験体制の整備を
医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療機器審査第二部の鈴木由香部長は,TAVIデバイスの開発は「かなり順調に進んでいる」としながらも,先 進的な医療機器全般の国内開発をより促進するために,欧米に劣らない臨床試験の基盤とFirst in Man(FIM)試験ができる体制整備の必要性を強調した。

シーズが欧米に流出
日本でSAPIEN XTの治験届けが提出されたのは米国よりも半年早い2010年4月。
鈴木部長は「デバイスラグを生まないという企業の努力により,SAPIEN XTについては,かなり順調に開発が進んでいる」と評価した。
ただし,デバイスラグを回避するための体制は,いまだ理想的なものではないとも述べた。
 
デバイスラグの主な原因とされてきた承認審査の遅れは,現在,米国と同等レベルまで改善された。
しかし「審査期間の短縮だけではデバイスラグは解消しない」と同部長。
「有望なシーズが欧米に流出してしまい,欧米で開発後に日本で治験着手となることがデバイスラグの根本的な要因だ」と指摘。
「先進的な医療 機器の国内開発を促進するためには,自国で臨床試験を行い,エビデンスを構築できる体制をつくること,さらに,開発したデバイスを製品化できる仕組みを持 つことが重要だと考えている」。
そのためには「欧米に劣らない臨床試験の基盤を整備すること,FIM試験が拠点病院以外でも広く実施できる体制を整備する ことが必要だ」と述べた。
 
PMDAでは7月から,新医薬品・医療機器の創出を促すため,初期段階からの薬事戦略相談事業を開始した。

出典 MT pro 2011.9.22
版権 メディカル・トリビューン社
 
<関連サイト>
PARTNER試験
■術適応と判断された高リスクの重度症候性大動脈弁狭窄患者において,TAVIの1年後の生存率は心臓外科手術(大動脈弁置換術)と同等であった

僧帽弁逆流に経皮的クリップ術
■中等症から重症の僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流があり、手術が適応になる患者を対象に、低侵襲の僧帽弁閉鎖不全治療デバイスであるMitraClipを用いた経皮的修復術と外科的治療の有効性と安全性を比較したEVERESTⅡ試験の結果が、NEJM誌2011年4月14日号に報告された。
経皮的修復術群には、手術群に比べてその後に外科的治療が必要になった患者が多く存在したが、短期的な安全性とQOL、1年後の心不全の程度や左室駆出分画低下率などにおいては外科的治療に優っていた。

経カテーテル的僧帽弁尖クリッピング術
左心不全の独立予後規定因子ともいわれる僧帽弁逆流(閉鎖不全:MR)を、経カテーテル的にMR ジェット噴射部で僧帽弁両葉の弁尖を左室側からクリッピング接合することにより軽減するデバイス(MitraClip)が開発されたため、術後12ヵ月までの治療成績を従来の外科的僧帽弁形成・置換術と比較検討した。
新しいデバイス MitraClipは、外科手術に比べて治療効果は劣るが安全性では上回り、結果的に外科手術と同等の臨床予後を示した。
 
無症状の大動脈弁狭窄症への外科手術
ASは高齢者に多く,進行性で,生命予後が悪い疾患ですが,手術で劇的に改善します。
しかし,現実には多くの高齢者で手術は敬遠されています。
最近の欧州の多施設研究では,手術適応であっても,75歳以上で手術を受けた患者は7割しかいなかったとされています。
実際には高齢でも手術は十分可能で, 治療成績も良好なので,より積極的な手術の施行が望まれます。
また,より高リスクな症例でも欧米では経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)が普及し,RCTで有用性が確認されています。
わが国では治験中ですが,今後はTAVI導入と外科治療のさらなる適用によって,ASの治療成績がますます向上す ると期待されます。

<自遊時間>
MRさんが血管外科の研究会の案内を持って来ました。
「・・・に対してステントグラフト内挿術を施工した1例」
何だか変だなと思って少し考えました。
「施工」は「施行」の間違い?。
血管外科も職人化が進んでいるんでしょうか。
 
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~緊急PCIと待機的PCI~   米で適正な施行の割合に差
聖ルカ・ミッド米国心血管研究所(ミズーリ州カンザスシティー)のPaul S. Chan博士らは,50万件超の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)データを解析し,PCIの広範な適応の妥当性を検討した。
その結果,緊急PCIではほぼ全例が適正な施行理由を伴っていたのに対し,待機的PCIでは適正に施行されていたのは約半数のみであることが分かった。
詳細はJAMA(2011; 306: 53-61)に発表された。
 
6学会合同基準に基づいて分類
PCIは,バルーン血管形成術やステント留置を用いて狭窄した冠動脈を再開存させる手技である。
米国では年間約60万件のPCIが施行されており,総費 用は120億ドルを超えている。
PCI施行患者は,周術期合併症と長期の出血,ステント血栓症リスクにさらされる。
さらに,急性冠症候群を伴わない病状が安定した患者を対象とした最近の試験により,PCIによる症状緩和は薬物療法と比べ,人口平均値を若干改善するにすぎないことが示唆されている。
 
論文の背景説明では,PCIの費用と侵襲性の高さから判断すると,適正なPCIと不適正なPCIの施行範囲を把握することにより,PCIにおける質的改善,コスト削減が可能な領域を同定できるかもしれないとしている。
 
Chan博士らは「PCIに関するこれまでの研究は,PCIが現在のように進歩する以前に行われている。また,現在では多くの冠動脈血行再建術に関する臨床試験が実施されているが,これらの研究はそれ以前に実施されているものが多い」と指摘している。
 
2009年に米国の関連6学会は,PCIの合理的かつ賢明な適用を促進するために,冠動脈血行再建術の適正施行基準(Appropriateness Criteria for Coronary Revascularization)を合同で策定した。
今回の研究では,全米心血管データ登録より2009年7月から2010年9月の間に米国の 1,091施設でPCIを施行された患者のデータを抽出し,同基準に基づいて緊急PCIと待機的PCIのそれぞれで適応理由を「適正」,「不適正」,「適正性不明」の3通りに分類して定量化を試みた。
緊急PCIはST上昇型急性心筋梗塞(STEMI),非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI),高リスクの不 安定狭心症に対するPCI施行とし,待機的PCIと層別化した。
ST上昇は心筋梗塞心電図の特徴的所見の1つである。
 
不適切な施行の比率に施設間格差
計50万154件のPCI施行のうち,10万3,245件(20.6%)がSTEMI,10万5,708件(21.1%)がNSTEMI,14万 6,464件(29.3%)が高リスクの不安定狭心症,14万4,737件(28.9%)が緊急性の低い選択的PCIであった。
さらに,冠動脈血行再建術 の適正施行基準に基づくと,前3者の計35万5,417件(71.1%)が緊急PCI,後者の14万4,737件(28.9%)が非緊急PCIとなる。
緊急PCIの適応理由の58.8%を心筋梗塞が,残り41.2%を不安定狭心症が占めていた。
 
緊急PCI群は,そのほとんど(98.6%)が「適正」な適応に分類され,「適正性不明」は0.3%,「不適正」は1.1%であった。
一方,待機的 PCIで「適正」と分類されたのは50.4%にすぎず,38.0%が「適正性不明」,11.6%が「不適正」であった。
全体的に,「不適正」なPCIに分類された群では,「適正」または「適正性不明」に分類された群に比べ,狭心症状を伴わない患者や非侵襲的負荷試験で低リスクであった患者,狭心症治療が最適でなかった患者が多かった。
 
さらに,不適正な待機的PCI施行率には,施設により著明なばらつきが認められた。
四分位範囲による検討で,不適正なPCIの比率が最低四分位に属する施設では,不適正なPCIの施行率が6%未満であったのに対し,最高四分位に属する施設では16%を超えていた。
この解析結果は,同一病態の患者が別々の施設で治療を受けた場合,一方の施設では他方と比べ不適正なPCIが施行される確率が80%高まる可能性を示唆している。
 
Chan博士は「総合的に見て,今回の知見は緊急性の低い患者に対するPCI適応基準の検討と改善について,重要なきっかけを提供するものである」と指摘。
さらに「質的改善を図るためには,不適正なPCI施行を生み出している臨床的条件をさらに解明し,施設間の格差を是正することに焦点を合わせるべきで ある」とコメントしている。
 
出典 Medical Tribune  2011.10.20
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
<自遊時間>
武田鉄矢さん、心臓の持病で入院…手術成功
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20111027-OYT1T00931.htm
■俳優で歌手の武田鉄矢さん(62)が、心臓の持病の大動脈弁狭さく症治療のため、都内の病院に入院し手術(大動脈弁置換術)を受けていたと、所属事務所が27日、発表した。
■武田さんは、通常3枚ある心臓の大動脈の弁が、先天的に2枚しかなく、このため10年ほど前から狭さく症の症状があったという。    読売新聞 2011.10.27

武田鉄矢 心臓疾患で手術も来月上旬には退院
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2011/10/28/kiji/K20111028001907350.html

武田「先天性二尖弁」過去にシュワちゃんも
http://www.sanspo.com/geino/news/111028/gnj1110280506020-n1.htm
■「先天性二尖弁」は日本人、欧米人ともに1~2%の割合で患者がいるといわれ、前カリフォルニア州知事で米俳優、アーノルド・シュワルツェネッガー(64)も手術を受けたことで知られる。
<関連サイト>
 
 
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PCI前の至適薬物療法

戯れ言たれる侏儒 / 2011.10.22 00:37 / 推薦数 : 1
~PCI前の至適薬物療法~ 実際の施行は半数に満たず
コーネル大学Weill医学部(ニューヨーク)のWilliam B. Borden博士らは「経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行する安定冠動脈性心疾患(CAD)患者に対して,至適薬物療法(OMT)を行うことの重要性がガイドラインで強調されているにもかかわらず,PCI前にOMTを受けている患者は半数に満たず,PCI後の退院時にOMTを受けていない患者も約3分の1に上ることが分かった」とJAMA(2011; 305: 1882-1889)に発表した。
<私的コメント>
この結果はあくまでも米国でのものです。
例えが悪いかも知れませんが(悪いですが・・汗)JAMAは、いわば日本医師会雑誌の米国版です。
 
安定CAD患者でPCIの有益性認められず
急性冠症候群(ACS)患者では,PCIによるアウトカムの改善が期待できるが,安定CAD患者ではPCIとOMTで心血管イベント率に差はないことが複数の臨床試験で示されている。
例えば,11件の臨床試験を対象としたメタアナリシスからは,安定CAD患者では,心筋梗塞や死亡を予防する上でPCIの有益性は認められないとの結論が導かれている
また, OMTにPCIを加えた場合とOMTのみの場合で比較したCOURAGE試験(Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluationでも,安定CADでは狭心症発作に関連するQOL以外のアウトカムにおいて同等性が示されている。
 
しかし,日常臨床でPCI前にどの程度OMTが施行されているのか,また2007年3月の同試験の結果発表後にOMTの施行が増加したかどうかは不明であった。
 
そこで,Borden博士らは今回,National Cardiovascular Data Registry(NCDR)のデータを用いて,PCI前後のOMTの施行状況を調査し, 同試験発表後のOMT施行率の変化について検討した。
対象は2005年9月~09年6月にPCIが施行された安定CAD患者とした。
OMTは,抗血小板薬,β遮断薬,スタチン系薬のすべての薬剤の処方を受けている(ただし,これらの薬剤のいずれか,あるいは全薬剤が禁忌であることが確認された場合は,処方されていなくてもOMTと見なす)と定義した。
<私的コメント>
ごこ最近、某教授の講演を某所で聴く機会がありました。
その中で、米国の雑誌に投稿しても日本からの(梗塞二次予防に関する)投稿論文がβ遮断薬よりCCBが多く処方されていることにEditorから指摘を受ける、ということを話されていました。
懇親会で少しお話をする機会がありましたが、とてもopenheartedな教授で「ブログを時々覗いてます」 という嬉しい言葉をいただきました。
偉い先生なのですが、少しも偉ぶらず随分好印象でした。
以前、東北大学のS教授にも懇親会で少しお話させていただきましたが、循環器学にかける情熱やopenでtruthfulな態度は大いに感心しました。
二人の教授ともに、これからの日本循環器学会を背負って立つ立場にある方です。
これからの日本循環器学会は明るいと確信しました。
(ちょっと従来の「偉い」方々とは違うと感じました)
 
大幅に改善の余地あり
解析対象は46万7,211例で,そのうち17万3,416例(37.1%)がCOURAGE試験前に,29万3,795例(62.9%)が試験後に PCIを受けていた。
また,20万6,569例(44.2%)はPCI前に,30万3,864例(65%)は退院時にOMTが施行されていた。
 
PCI前にOMTが施行された患者の割合は,同試験前の43.5%から試験後には44.7%に有意に増加したが,臨床的意義はほとんどなかった。
46カ月の観察期間におけるPCI前のOMT施行率を月ごとに見ると,2005年9月の43.4%から2009年6月には45.0%とわずかながらも増加傾向に あった。
 
PCI後の退院時のOMT施行率は,同試験前の63.5%から試験後には66%に増加していた。
 
Borden博士らは,今回の研究結果について「PCI前にOMTを施行することで血行再建によるさらなる効果が期待できることから,ガイドラインでは OMTの施行を推奨しているにもかかわらず,実際にPCI施行前にOMTを受けた患者は半数に満たないことが明らかになった。また,このような診療パターンは同試験の発表後もほとんど変化していなかった」と結論付けている。
 
さらに,「退院前のOMT施行は増加し,抗血小板薬はほぼ例外なく処方されていたが,患者の約3分の1は依然OMTを受けておらず,同試験の発表後もこ のパターンに変化は見られなかった。全体的に改善の余地は多いにあり,費用をかけて大々的に発表される臨床試験の結果が日常臨床に及ぼす影響は限定的であ ることも示唆された」と付言している。
 
出典 Medical Tribune 2011.10.13
版権 メディカルトリビューン社

 

<私的コメント>
この論文から、われわれは何を学ぶべきでしょうか?
いうまでもなく、本来循環器内科医はあくまでも(思慮深い)内科医です。
インターベンショニスト (昔は「カテ屋さん」とか「風船屋さん」とか、カテのできない旧来の循環器内科医から、ある種の「憧れ」と「皮肉」を込めて言われていました)が、知らぬ間に「外科医化」しているということに対する警鐘と捉えるべきなのでしょうか。

 

<関連サイト>
循環器内科医

 

 

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