戯れ言たれる侏儒
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初回心筋梗塞患者の院内死亡率がCHDの危険因子数と逆相関
ワトソンクリニックLLP(フロリダ州レークランド)のJohn G. Canto博士らは,初めての心筋梗塞で入院した患者における喫煙や高血圧などの冠動脈性心疾患(CHD)の危険因子と院内死亡リスクとの関連について観察研究で検討し,「初回心筋梗塞による入院患者では,CHD危険因子の数と院内死亡リスクが逆相関していた」との結果をJAMA(2011; 306: 2120-2127)に発表した。

 54万2,008例のデータを解析
研究の背景情報によると,心筋梗塞患者における高血圧,喫煙,脂質異常症,糖尿病などのCHD危険因子の保有率を評価した研究は複数あるが,初回心筋梗塞による入院患者の院内死亡率に焦点を合わせた研究は少ない。しかし最近,合併症のない非ST上昇型心筋梗塞患者においてCHD危険因子の数と死亡率との間に軽度ではあるが逆相関が認められたとする予想外の研究結果が報告されている
 
そこでCanto博士らは今回,1994~2006年の全米心筋梗塞登録データのうち,心血管疾患の既往のない初回心筋梗塞による入院患者54万 2,008例のデータを用い,CHDの5大危険因子(CHDの家族歴,高血圧,喫煙,脂質異常症,糖尿病)と入院中の全死亡率との関連性について検討し た。
 
対象患者のうち14.4%は入院時のCHD危険因子の数が0個であったが,81%は1~3個,4.5%は4~5個を有していた。
最も多く見られた危険因子は高血圧(52.3%)で,次いで喫煙(31.3%),脂質異常症(28.0%),CHDの家族歴(28.0%),糖尿病(22.4%)が続いた。
危険因子数ごとに患者を分類したところ,各群の平均年齢は危険因子数が多いほど低く,0個の群では71.5歳,5個の群では56.7歳であった
 
危険因子多いほど死亡率低い
院内死亡は計5万788例であった。
危険因子数が0個の患者では調整前の院内死亡率は14.9%,1個では10.9%,2個では7.9%,3個では 5.3%,4個では4.2%,5個では3.6%であった。
年齢などアウトカムと関連する入院時の因子で調整して解析したところ,院内死亡率とCHD危険因子数との間に有意な逆相関が認められた。
この逆相関は年齢などで層別化しても認められた。
Canto博士らは「CHDの危険因子がないからといって,必ずしも予後が良好であると考えてはならない」と指摘。
「今回の結果はこれまでの研究結果と一致するものであった。今後,危険因子数と院内死亡率の逆相関を説明しうる機序を解明するためには,さらなる研究が必要である」と付け加えている。
 
出典  Medical Tribune 2012.2.2
版権  メディカルトリビューン社
 

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ガイドラインによる急性心筋梗塞患者の血清K値,至適でない可能性
米,3万8,000例対象の後ろ向きコホート研究
米エモリー大学のAbhinav Goyal氏らは,急性心筋梗塞(AMI)治療に関し,現状のガイドラインが推奨する血清カリウム(K)値が至適ではない可能性を2012年1月11日発行のJAMA2012; 307: 157-164)に報告。
全米67施設,約3万8,000例を超えるAMI患者のデータを検討した結果,血清K値と死亡率におけるUカーブの底は現在の推奨値(4.0~5.0mEq/L未満)ではなく,3.5~4.5mEq/L未満だったとしている。
 
4.5~5.0mEq/Lで死亡率が3.5~4.0mEq/Lの2倍
適正なK値の維持は,冠動脈疾患患者の有害事象を予防するに当たり重大とGoyal氏。
現在,日本を含む各国のガイドラインの多くは,AMI患者で保持すべき血清K値の範囲を4.0~5.0mEq/Lとしており,中には4.5~5.5mEq/Lを推奨しているものもあるという。
 
この根拠とされているのが,1970年ころから2000年までの間に報告された複数の論文。
AMI患者の血清K値3.5mEq/L以下となった場合,心室性不整脈(VF)の増加が見られたとされている。

しかし,当時の試験では現在のようにβ遮断薬のルーチン使用や再灌流療法,早期からの積極的治療が行われていなかったほか,いずれも小規模な検討で,十分な解析が行われているとは言い難いと同氏らは指摘。
2000年から現在までの臨床情報から,現在の環境とガイドライン推奨値の間に隔たりがないかどうかを検証することにした。

全米67施設の患者登録システムから2000~08年のAMI確定診断例のデータを抽出,入院期間中の平均血清K値と院内死亡との関連を解析。

その結果,死亡率が4.8%と最も低かったのは血清K値が3.5~4.0mEq/L未満の群で,これを参照群とした場合,4.0~4.5mEq /L未満群の死亡率は5.0%だったが,4.5~5.0mEq/L未満では10.0%と参照群の2倍に上っていた。
一方,同値が3.0~3.5 mEq/L未満の場合も死亡率は11.4%と同様に高まっていることが示された()。
 

図 また,入院期間中のVFまたは心停止の明らかな増加が見られたのはK値が最も低かった群(3.0mEq/L未満)と最も高かった群(5.0mEq/L以上)のみであった。

以上の結果から,同氏らは現行のAMIガイドラインが推奨する血清K値は再考の余地があると提言している。
                    (坂口 恵)
出典 MT pro  2012.1.12
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
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近親者との死別が急性心筋梗塞を誘発,死別後1日以内では21倍
AMIサバイバー約2,000例対象研究
急性心筋梗塞(AMI)の引き金としては,寒さや排便時のいきみなどがよく知られている。
しかし,米ハーバード大学ベスイスラエル医療センターのMurray A. Mittleman氏らがAMIサバイバー1,985例を対象に研究を行ったところ,親や配偶者など近親者との死別後1日以内のAMI発症リスクが通常と比べて約21倍高いことが認められたという(Circulation 2012年1月9日オンライン版)。
 

死別後1週間でも発生率比は約6倍
Mittleman氏らは,1989〜94年に米国内の45施設(地域病院22,三次医療センター23)においてAMIによる入院患者1,985例(うち女性590例,平均年齢61.6歳)を対象に行われた面接結果を基に,AMI発症と近親者の死別との関連を検討した。
 
近親者の死について正確な報告が可能であり,対象者の健康データが安定的に維持されることから,同氏らは死別後6カ月までを対象期間とした。
 
AMI発症6カ月以前に1人以上の近親者(親,児,同胞,配偶者など)と死別していたのは,1,985例中270例(13.6%)であった。
このうち死別後1週間以内のAMI発症を見ると,1日以内が19例,1〜2日が7例,2〜3日が5例,4〜7日が21例であった。
 
死別後の実際のAMI発症と対象者の個別データに基づくAMI発症の期待度数を比較し,AMIの発生率比(IRR)を求めた。
その結果,死別後1 日以内では21.1(95%CI,13.1〜34.1)と最も高く,その後は徐々に減少し1週間後では5.8(同3.7〜9.2)であったが,1カ月後までは有意に高かった()。
 
photo
 
医療者による遺族らへの注意喚起訴える
上記の結果から,フラミンガムリスクスコアに基づき,近親者との死別後1日および1週間におけるAMI発症の絶対リスクをリスク度別に求めた。
その結果,死別後1日では,低リスクは3,543曝露例当たり1超,中等リスクは1,725曝露例当たり1超,高リスクは815曝露例当たり1超であった。
 
同様に,死別後1週間では,低リスクは1,394例当たり1超,中等リスクは678曝露例当たり1超,高リスクは320曝露例当たり1超であった。
 
また,年齢,性,身体活動頻度,冠動脈疾患(CAD)既往歴でも検討したが,有意差は認められなかった。
 
Mittleman氏らによれば,これまでは不安神経症やうつ病などのストレスが心血管系イベントの引き金となる可能性を指摘する研究報告が中心であったが,同氏らの研究は近親者の死別がAMIを引き起こすか否かを検討した初めてのものであるという。
「近親者の死別によるAMIの発症は少数ではあるが,死別後1週間における絶対リスクは無視できる数字ではない」として,医療者による遺族らへの注意喚起の重要性を訴えている。       (松浦 庸夫)
出典  MT Pro 2012.1.11
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
<関連サイト>
近親死が健康アウトカムに影響
超過死亡リスクと相関
ユトレヒト大学(オランダ・ユトレヒト)心理学科のMargaret Stroebe博士らは,近親者との死別(近親死)の健康アウトカム(予後)への影響に関する総説をLancet(2007; 370: 1960-1973)に発表し,そのなかで「近親死はとりわけその数週ないし数か月後まで超過死亡リスクと相関している。また,身体的健康の悪化とも関連している。さらに,死別後のさまざまな心理的反応について報告が行われており,少数ではあるが死者に対する深い悲しみにより精神障害や合併症が生じることもある」と述べている。
研究の大半は配偶者との死別
Stroebe博士は,心理的介入プログラムの効果について「介入は高リスク群や,うつ病・ストレス障害を伴う死別の過程や複雑な悲嘆を経験した人に的を絞るべきである。一般に専門家による心理的介入は,単純な悲嘆を経験した人に対しては正当性も効果も示さない」と説明している。
悲嘆は死別において正常で自然なことであり,ほとんどの反応は複雑な悲嘆ではない。
死別は大切な人との死亡による離別と定義される。
 

大半の人は悲嘆の後に精神的に回復する。
同博士らは「死別はほとんどの人を苦しめる経験で,日常生活に大きな混乱を引き起こす。この経験は人々の心を混 乱させるが,許容範囲内であるため,時間とともに和らいでいく。多くの場合,家族や友人,宗教や地域のグループなどが支援してくれる」と述べている。
死別 に関する研究は世界中で行われているが,その多くは米国,欧州,オーストラリアで行われた。
 

同博士らは「いくつかのサブグループは,とりわけ死別に関連する健康アウトカムが悪い。死別への順応には数か月から数年を要するが,個人や文化の違いで大きく変動する」と述べている。
 

配偶者との死別の影響については多くの研究がある。
喪失による心理的苦悩と孤独感だけでなく,社会的なつながり,暮らし方,食習慣,経済的支援にも変化が生じる。
 

潜在的に苦悩を抱えている人の複雑な関係を検討した複数の研究から,早期の超過死亡リスクが示され,一部の研究でこのリスクが6か月以上も持続することが認められている。
 

短期間のうちに死別を経験した人は,長い時間をかけて死別した人に比べ死亡リスクが大きく,高リスクが長期間持続する。特に,アルコール関連疾患による死別や小児に先立たれた親の場合などで認められる。
 
超過死亡リスクは男性で高い
サブグループ間には差異がある。
超過死亡リスクは,妻と死別した男性のほうが逆のケースより高い。
妻と死別した男性の場合,死亡リスクの増加は飲酒量の増加や,妻の喪失に対する深い悲しみに関連している。
 

研究では,配偶者との死別が自殺を含めた死亡の増加に関連していることが示された。
配偶者のいる場合に比べ,妻と死別した男性や未亡人の死因は,事故死,暴力的原因による死亡,アルコール関連の死亡がきわめて多く,慢性虚血性心疾患,肺がんについては中等度で,他の死因はこれらよりも少ないことを示した研究もある(Martikainen P & Valkonen T, Journal of Epidemiology and Community Health 1996; 50: 264-268)。
 

しかし,死別経験者の多くは生存していることを認識すべきである。
Stroebe博士らは「55歳以上で死別から6か月以内に死亡したのは,妻と死別した男性は5%,配偶者のいる男性では3%と,もとから死亡率が低かった」と述べている。
 

ただし,死別を経験した人は,死亡率だけでなく障害,服薬,入院の比率も高まる。
特異的な状況,症状には疼痛,頭痛,めまい,消化不良,胸痛,記憶障 害,栄養上の問題,体重減少などがある。
また悲嘆が大きい人の多くは,医療的支援が必要なときにも医師を受診しない。
また,自殺念慮,孤独,不眠,就業困 難,社会的機能不全なども見られる。
 
死別への反応は多様
カウンセリングや治療においては,死者を悼む作業のグリーフケアモデルが用いられる。
これは,
(1)喪失の現実を受け入れる
(2)死別した苦痛を味わう
(3)死別した相手のいない環境に順応する
(4)自分の感情のなかで死別した相手を位置付け直し,生活を続ける
―の4つの作業から成る。
重要なことは,す べての人がこれら4つの作業を全部行うわけではなく,また順序を変えることもある。
これらの作業を行うか無視するかは,個人的,文化的な差異にも影響される。
 

複雑な悲嘆は,米国精神医学会「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM)第5版」の診断の項で提案されている。
Stroebe博士らによると,慢性的な 悲嘆は文化的社会的意味での通常の悲嘆経験からの逸脱と定義される。
逸脱は時間経過に沿って,また強く現れる。
慢性的でより激しい経験もあれば,反応の抑 制もありうる。
反応の抑制としては,通常の症状の欠如や症状出現の遅延が特徴である。
なんらかの反応が死別に伴う症候群に必須というわけではない。
 

一般に,死別への反応はきわめて多様である。
感情的反応には抑うつ,不安,苦悩,自責,自分を非難する怒り,敵意,無快感,孤独感,思慕と切望,ショッ クと麻痺などがある。
認知的反応には故人への思いに捕らわれること,介入的思案,拒絶,自己評価の低下,自己非難,困惑,自殺念慮,現実感,記憶力と集中 力の低下などがある。
(以下略)
出典 MT pro  2008.5.22,29
版権 メディカル・トリビューン社

<私的コメント>
とても読み切れないほどの長文になっています。

得てして循環器医は(私を含めて)気の短い先生が多いような気がします。
一体何が書いてあるんだろうかというのが正直な感想です。
一番知りたいことは、こういった場合の急性心筋梗塞の誘因が果たして精神的なものなのか、過労による肉体的なものかということです。
諸外国の葬儀については分かりませんが、少なくとも日本の場合は、長期間の看病疲れに強行な葬儀日程による極度な睡眠不足が追い打ちをかけます。
その辺りの検討が不十分で隔靴掻痒です。

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心筋梗塞の遺伝的な影響

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.01 00:16 / 推薦数 : 1
遺伝子の役割は脳卒中よりも心筋梗塞で重い
オックスフォード大学(英オックスフォード)脳卒中予防研究ユニットのAmitava Banerjee博士らは「虚血性脳卒中よりも心筋梗塞の方が遺伝的な影響を強く受けている」とする研究結果をCirculation: Cardiovascular Genetics(2011; 4: 390-396)に発表した。
 
ACS患者の30%は親に心筋梗塞歴
研究責任者で同大学臨床神経学のPeter M. Rothwell教授は「疾患発症リスクと親の既往歴との相関を調べたところ,虚血性脳卒中よりも心筋梗塞の方が,より強い関連性が認められた。
この結果から,虚血性脳卒中を起こしやすい素因は,心筋梗塞を起こしやすい素因ほど強く受け継がれないことが示唆された」と報告。
両親だけでなく兄弟姉妹も含めて 行われた第2の分析でも,虚血性脳卒中リスクより心筋梗塞リスクの方が家族歴の影響を受けることが分かった。
 
筆頭研究者のBanerjee博士らは今回,心筋梗塞と虚血性脳卒中の遺伝的素因について検証するため,Oxford Vascular Study(OXVASC)の登録患者のデータを解析。OXVASCは9万1,000人超の住民に対し1つの病院がサービスを提供しているオックスフォー ドシャー州で2002年に開始され,現在も進行中の住民対象研究である。
 
同博士らは以前にもOXVASCのデータを用いた解析を実施しており,その中で,母親から娘への心筋梗塞および虚血性脳卒中の遺伝には家族歴が関与していることを報告している。
 
今回の研究では,急性冠症候群(ACS)患者906例(男性604例,女性302例),虚血性脳卒中〔一過性脳虚血発作(TIA)あるいは脳梗塞〕患者1,015例(同484例,531例)のデータが解析された。
 
その結果,ACS患者群では,親のどちらかに心筋梗塞歴のある割合は30.6%で,両親とも心筋梗塞歴を有する割合は5.2%であった。
また,兄弟姉妹のうち1人以上に心筋梗塞歴のある割合は21.1%で,兄弟姉妹が2人以上心筋梗塞歴を有する割合は7.1%であった。
 
一方,虚血性脳卒中患者群では,両親のどちらかに虚血性脳卒中歴のある割合は21.3%で,両親とも虚血性脳卒中歴を有する割合は2.1%であった。
また,兄弟姉妹のうち1人以上に虚血性脳卒中歴のある割合は8.1%,兄弟姉妹が2人以上虚血性脳卒中歴を有する割合は1.4%であった。
 
ACS発症リスクは,両親に心筋梗塞歴があると5.97倍,親のどちらかに心筋梗塞既往があると1.48倍に上昇した。
対照的に,虚血性脳卒中発症リスクでは親の既往歴による有意な変化は認められなかった
 
Rothwell教授は「追加の研究で追認する必要はあるが,今回の知見から得られる重要な示唆は2点ある」と強調。
第1に,健康者の心筋梗塞または脳卒中リスクの予測法を見直すべきことが示された。
現在,大半のリスクモデルは心筋梗塞と虚血性脳卒中の家族歴を一括して評価しているが,将来的には,疾患別に家族歴を含むモデルを開発すべきとしている。
第2に,同じ基準で心筋梗塞と虚血性脳卒中の発症リスクを予測すると,虚血性脳卒中の発症リスクが過剰に評価される恐れがあることが示された。
同教授は 「虚血性脳卒中の遺伝的素因に関する知見は冠動脈疾患に後れを取っている。虚血性脳卒中では,遺伝子の果たす役割が他の疾患に比べて小さいのかもしれな い。この知見は,虚血性脳卒中において遺伝学的な研究は必ずしも最優先すべき事項でないことを意味する」と述べている。
 
出典 Medical Tribune 2011.10.27
版権 メディカル・トリビューン社

 
<私的コメント>
ここで注目すべきは虚血性脳卒中(TIAあるいは脳梗塞)をACSと比較したことです。
出血性脳卒中(脳出血)とACSを比較することは欧米では余り考えられないことかも知れません。
当然のことながら、出血性脳卒中は「高血圧」と関連があり、しかも高血圧は遺伝的素因が強い疾患です。
脂質異常症という遺伝的素因の共通性という観点からは、ACSとの比較には出血性脳卒中より虚血性脳卒中が適していることは当然です。
しかし、ACSと出血性脳卒中とを比較したデータもみたいものです。


<医学雑誌切り抜き帖>
読者欄のない雑誌はだれのための雑誌か
■査読者や編集者によって投稿論文のアイデアやが盗用されるなどの不正行為を防ぐため、BMJ誌は1999年から、担当する査読者の氏名を公開する「オープン・ピアレビュー」を実行している。
■査読だけが”質のフィルター”ではなく、共著者間のチェック、著者同意書、Contributorship、読者の手紙もフィルターである。
最終的なフィルターは読者であり、それは読者からの手紙欄になる。
これがなければ(読者のためではなく) 『著者のための雑誌』と思われても仕方がない。
   (出典; 日医新報 No.4449.2009.8.1 P15)
 
<きょうの一曲> It Never Entred My Mind
Miles Davis - It Never Entred My Mind (1956)
http://www.youtube.com/watch?v=9b2kWkhl3v4
 
~JULIE LONDON ~ It Never Entered My Mind ~
http://www.youtube.com/watch?v=HYHoJb8kduM&feature=fvwrel
 
 
ジャン・モワラス
ラベンダー畑の太陽    アクリル
http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=773&aid=95
 
 
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MCVとAMIリスク

戯れ言たれる侏儒 / 2011.10.04 00:51 / 推薦数 : 1

MCV低値は安定冠動脈疾患患者のAMIリスクに
基本的な末梢血球検査の1項目で貧血の診断時などに用いられる平均赤血球容積(MCV)が、安定冠動脈疾患患者における急性心筋梗塞(AMI)発症の予測因子になるという。
自治医科大学循環器内科の齋藤俊信氏らが、9月23~25日まで開催されていた第59回日本心臓病学会(JCC2011)で発表した。
 
心不全患者において貧血は、心血管イベントの予測因子になることが知られている。
そこで齋藤氏らは、安定冠動脈疾患患者でも貧血が心血管イベントの予測因子になる可能性があるとの仮説を立て、今回の検討を行った。
対象は、血行再建に成功した安定冠動脈疾患患者、連続803例(男性658例、女性145例、年齢64.4±9.7歳)。血液疾患や免疫異常の合併、急性冠症候群、3カ月以内の心血管イベントの既往がある患者は除外した。
観察開始時の体重指数(BMI)は、平均24.2 kg/m2。合併する心血管リスク因子は、高血圧75%、脂質異常症66%、糖尿病43%、喫煙37%、冠動脈疾患の家族歴21%、陳旧性心筋梗塞37%などだった。
 末梢血球検査値は、赤血球(RBC)428万/μL、ヘモグロビン(Hb)13.5g/dL、ヘマトクリット(Ht)40%、MCV 93.8 fL、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)31.5pg、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)33.6%、血小板数(Plt)22.6万/μLなどで、高感度CRP(hs-CRP)は3097ng/mL、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)は1317pg/mLだった。
平均774日のフォローアップ期間中に発生した主要心血管イベント(MACE:心不全、冠動脈再血行再建、AMI、致死的不整脈、脳卒中、突然死と定義) は、105例(13%)だった。
内訳は、冠動脈再血行再建43例(41%)、心不全30例(29%)、AMI 14例(13%)、脳卒中8例(8%)、突然死7例(7%)、致死的不整脈3例(3%)だった。
まず、赤血球の量的指標であるRBC、 Hb、Htをそれぞれ四分位して(低値からQ1、Q2、Q3、Q4)MACE発生との関連を見たところ、HbとHtに関してはQ1でMACE発生率が非常に高く、Q1とQ2~Q4との間で有意差が認められた(Hb:p=0.001、Ht:p=0.002)。
一方、RBCは4群間に有意差はなかった。
次に、赤血球の質的異常に着目し、MCV、MCH、MCHCの各四分位とMACE発生との関連を見た。
その結果、MCHとMCHCでは4群間に有意差はなかったが、MCVではQ1において、Q2およびQ3に比べて有意に高値を示していた(p=0.037)。
個々のイベントにおいて、MCVの四分位と有意な関連が認められたのはAMIだけだった。
MACEを従属変数、各指標(年齢、BMI、Plt、HbA1c、推算糸球体濾過量[eGFR]、GOT、HDL、MCV)を説明変数として、Cox比例ハザードモデルによる多変量解析を行うと、MCVだけが有意な予測因子となった。
以上より齋藤氏は、「MCVは安定冠動脈疾患患者において、AMI発症を予測する臨床上重要な予測因子となり得る」と結論した。
MCVとAMIの関係につ いて詳細は不明としたが、鉄欠乏性貧血などの小球性貧血でMCVが低値となること、また血清中への鉄移送を抑制するヘプシジンが慢性炎症で増加することから、「慢性炎症に伴う鉄欠乏性貧血が関与している可能性がある」と述べた。
出典  NM online 2011.9.28
     (日経メディカル別冊編集)
版権 日経BP社
 
<私的コメント>
MCV(平均赤血球容積)= Ht×10÷RBC
MCVが減少した状態はとりもなおさず小球性です。
どうしてMCVだけがMACE発生に関係しMCHCMCH、は関係がなかったのでしょうか。
血液のことはよくわかりませんがMCVが低ければ(Hbが正常でも)その時点で貧血という定義になるのでしょうか。

 

ラウ・デユフィ ヴァカンス・フォルセ:オパール・ブルー 木版画

http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=791&aid=19 




 

 

 

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心筋梗塞後の責任血管完全閉塞例へのPCI
施行を支持しないガイドライン推奨は浸透せず

ブリティッシュコロンビア大学(カナダ・バンクーバー)のMarc W. Deyell博士らは「心筋梗塞発症後の梗塞責任血管が閉塞した安定患者への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適切な施行に関するガイドラインの推奨が,診療に十分反映されていない」との研究結果をArchives of Internal Medicine(2011; オンライン版)のLess Is Moreシリーズに発表した。
 
改訂後もPCI施行率は不変
米国立心肺血液研究所(NHLBI)の助成を受けたOccluded Artery Trial(OAT)の結果が2006年に発表された。
OATは,心筋梗塞発症後24時間以降(2~28日後)に梗塞責任血管の完全閉塞が同定された安定症例を対象に,バルーン血管形成術やステント留置などのPCIの効果を検討したものである。
Deyell博士らは「OATにより,そのような患者に対する PCIの施行は臨床イベントの減少につながらないこと,また狭心症やQOLに対するPCIの効果は限られており,持続しないことを示すエビデンスが得られた。さらに,PCIは至適薬物療法単独に比べて費用が高かった。したがって,これらの知見に基づき,心筋梗塞後の責任血管完全閉塞例へのルーチンなPCI 施行は減少するはずであった」と述べている。
同試験の結果が発表された後,それに沿って米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)はガイドラインを改訂した。
 
同博士らは,ガイドライン改訂後の診療内容の変化について検討した。
米国の心カテーテル実施施設の情報を収集しているCathPCI登録に含まれる 2005~08年のデータを解析し,OATの発表前後ならびにガイドラインの改訂前後におけるPCI施行率を比較した。
また,診断的カテーテルの報告は義務付けられていないため,診断的カテーテルについて報告している上位四分位の施設の傾向を調査した。
 
調査には896施設の受診者2万8,780例のデータが含まれた。
PCI施行患者数は,OATの発表前で1万1,083例,同試験の発表からガイドライン改訂までの期間で7,838例,ガイドライン改訂後は9,859例であった。
年齢,性,保険などの変数を調整した結果,同試験の発表後またはガイドライン改訂後,閉塞例に対する全体のPCI月間施行率に有意な減少は認められなかった。
診断的カテーテルについて継続的に報告している施設でのPCI施行率は,同試験の発表後は減少していなかったが,ガイドライン改訂後は若干減少する傾向が認められた。
 
不適切なPCIの施行に警鐘
Deyell博士らは「今回の研究では,OATの結果やこれを踏まえたガイドラインの改訂が,その後1~2年間にわたり心疾患治療やPCIに影響を及ぼしたとするエビデンスは,わずかしか得られなかった。心筋梗塞後24時間以降に梗塞責任血管の完全閉塞が同定された安定患者に対するPCIについては,その施行を支持するエビデンスが乏しく,新ガイドラインでも施行しないよう推奨しているにもかかわらず,施行され続けている」と指摘。
「これは,多くの患者に対して有用性の低い高額な治療が施行されている可能性があること,また研究に費やした膨大な時間と労力が診療にさほど貢献していないことを意味している」と述べている。
 
出典 Medical Tribune  2011.9.29
版権 メディカル・トリビューン社
 
<私的コメント>
「安定患者」の定義は一体何どうなっているのでしょうか。
 はたして心筋梗塞後24時間以降で「安定」かどうか判定できるのでしょうか。
 
<自遊時間>
当院では月に一度、腕のいい先生にエコーに来ていただいています。
最近のこと。
60代男性でMR,TRのある方に肝うっ血の有無をチェックしていただきました。(急激に総コレステロール値が低下)
レポートには「バニーガールサイン」と書かれていました。
先生に「バニーガールの尻尾のところですか」と訊くと、即座に「いや耳のところです。肝静脈のうっ血像がウサギの両耳に似ていることからつけられた名称です」 と答えられました。
お尻を連想する私が悪いのですが、「それならラビットイヤーサインにすれば」と心の中では思いましたが、言わずにその場はこらえました。
 
 
 
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高感度トロポニンT、発症2時間以降のAMIでは感度・陰性的中率ともに100%
近年、高感度トロポニンT(hs-cTnT)は急性心筋梗塞(AMI)の早期診断において高い診断能が注目されている。
このたび日本でも5施設共同の前向き研究「HsTnT-iNET study」が行われ、発症2時間以降の症例では感度・陰性的中率ともに100%と高く、早期診断に極めて有用であることが示された。
9月23~25日に 開催されていた第59回日本心臓病学会(JCC2011)で、日本医科大学千葉北総病院集中治療部の北村光信氏らが報告した。
 
本研究では、18歳以上の急性冠症候群(ACS)が疑われる患者で、
(1)20分以上続く胸痛またはその他の虚血症状がある、
(2)発症24時間以内、
(3)本研究への参加同意が得られた
――という条件を満たす患者を登録。
<私的コメント>
この条件で「たこつぼ心筋症」が除外出来るのか、とふと思いました。
 
各種心筋マーカーにおけるAMIの早期診断能について分析した。

測定項目は、TnTとして迅速TnT定量検査、従来型cTnTおよびhs-cTnTの3種類と、ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)、CK-MB、ミオグロビン、NT-proBNPとした。

2009年11月から2011年1月に、5施設(日本医科大学千葉北総病院、日本大学医学部附属板橋病院、東京医科大学病院、杏林大学医学部付属病院、帝京大学ちば総合医療センター)から113症例を登録。

イベント発症あるいは病院搬入直後など、可能な限り早い時点で初回採血し上述の検査項目を測定(T0)。

迅速TnT定量検査が0.1ng/mL未満の場合 に、初回採血後180±20分(T3)、および6~12時間(T6)にも採血して再度測定を行った。
一方、T0における迅速TnT定量検査が 0.1ng/mL以上の場合には、その後のマーカー測定のための採血は行わず治療を優先させた。

解析対象は、登録した113症例中、

(1)迅速TnT定量検査がT0で陽性(≧0.1ng/mL)23例、
(2)従来型cTnT定量測定によりT0で0.10ng/dL以上だった4例、
(3)T0~T6の採血間でPCIを行った症例で正常上限の3倍を超えたType 4a MI(PCI related MI、universal definition 2007)疑い2例
――を除外した84例とした。

T0、T3、T6のいずれかで従来型cTnT定量測定値が 0.03ng/mL超の場合をAMIと定義した場合、AMIが45例(54%)、非AMIは39例(46%)だった。

非AMIの内訳は、不安定狭心症 (UAP)18例、安定型狭心症(SAP)3例、その他18例だった。

AMIの45症例について、心筋マーカー測定値と、発症から初回採血までの時間との関係を見ると、従来型cTnTでは検出限界の0.01ng/dL以下を示すものが数多く見られたが、hs-cTnTでは、ほとんどの症例で測定が可能となっていた。

北村氏は注目すべき点として、「発症から120分以内の症例ではhs-cTnT陰性症例が認められるが、120分を超える症例では、全症例がカットオフ値の0.014ng/dLを超えている。これに対して他の心筋マーカーは発症時間にかかわらず、基準値以下のものが散見される」と、hs-cTnTの超急性期診断における利点を指摘した。

実際の診断成績として感度は、2時間以下の症例に関しては、いずれの心筋マーカーも50%未満と低い値だった。2時間を超える症例に関しては、hs-cTnTは本研究では100%と極めて高く、陰性的中率も100%だった

他の心筋マーカーに関しては、特異度や陽性的中率は高いものの、感度は低かった。

以上の成績から北村氏は、「高感度トロポニンTは、従来型と比べて早期にAMIを診断することが可能であり、発症から120分を超える症例ではAMI診断における感度・陰性的中率が100%と、極めて高かった。現在サブ解析として、冠動脈造影所見とこれらマーカーとの関連性を検討中だ」とまとめた。

出典  NM online 2011.9.27
版権 日経BP社

 
<高感度トロポニンT 関連サイト
使える高感度トロポニン
 
心筋トロポニンT
 
高感度トロポニン
陰性的中率は97~99%であり,総合的に考えると胸痛発症後数時間の時点で高感度トロポニンが陰性であれば,心筋梗塞をほぼ否定できる。
それぞれの測定系で検出限界値,健康人の99パーセンタイル値,10%CV値が異なることが挙げられる。
さらに,同一検体をそれぞれの測定系で測定した場合,絶対値自体も異なるため,測定結果を解釈するうえでは今後,「どの測定系」を用いた数値であるのかが必要となる。


73回日本循環器学会・急性冠症候群
hs-TnT測定により,従来のTnT測定では規定できないACS患者のリスク層別化が可能である。

<自遊時間>
暴力団排除条例と医師法第19条診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない)との関係については、考える余地もないことかも知れません。
しかし、自分の頭の中では少し混乱しています。
個人的に診察をすることは良くて、職域(?) 健診はいけないということでしょうか。
診察した経験のある身としては日本医師会でマニュアルを是非作って欲しいものです。

「エ○バの証人」の輸血問題も、私には十分理解出来ていません。

 
マチス リトグラフ(石版画) 1958年
http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=650&aid=17
 
 
 
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ACSに伴う出血

戯れ言たれる侏儒 / 2011.09.21 00:39 / 推薦数 : 1
ACSに伴う出血は重要なアウトカム指標
ESC血栓症ワーキンググループが声明
急性冠症候群(ACS)の治療において,出血が重要なアウトカムであるとの認識が高まっている。
特に,急性期の出血がその後の死亡リスクを高めたとする報告もある。
欧州心臓病学会(ESC)の血栓症に関するワーキンググループ(Working Group on Thrombosis)は, ACSあるいは経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に伴う出血の疫学,その評価と定義などの最新知見を概観するとともに,これまでの出血に関する研究を踏まえ,アウトカム指標としての出血の重要性や,今後の研究課題などについての見解を示す声明(position paper)をEuropean Heart Journal(2011; 32: 1854-1864)に発表した。

治療の進歩で重要性増す
筆頭研究者でビシャ・クロードベルナール病院(パリ)のPhillippe Gabriel Steg博士によると,急性期の抗血栓療法と血行再建術の普及を基盤としたACS治療の進歩によって,従来は軽視されていた出血のアウトカムに及ぼす影響 が重要視されるようになった。
 
一方,PCIに関連した出血は,さまざまな要因の組み合わせによって惹起される。
同ワーキンググループの前委員長でWilhelminenspital 病院(オーストリア・ウィーン)のKurt Huber博士は「出血は抗血栓治療の結果として発生する場合もあるが,胃潰瘍や腎不全といった併存疾患が原因である可能性もある。さらに,血管穿刺の際に動脈に生じる外傷が原因であることも考えられる」と説明している。
 
近年,出血と有害なアウトカムとの修正可能な関連性の存在を強く示唆するエビデンスが蓄積されつつある。2006年,ハミルトン総合病院(カナダ・ハミ ルトン)のJohn Eikelboom博士らは,ACS患者3万4,146例を対象としたクロピドグレルの試験で出血と死亡あるいは虚血性イベントとの関連を検討。
大出血を経験した患者の30日死亡率は経験しなかった患者に比べて5倍高く,30日~6カ月間の死亡率は1.5倍高いとの結果をCirculation(2006; 114: 774-782)に発表した。

さらに,OASIS 5試験など複数の試験により,出血が極めて少ない患者では,その後の死亡率が低いことも明らかになった。
Steg博士は「われわれは,これが単なる偶然ではないかもしれないことに気付き始めている」と述べている。
 
出血と有害アウトカムとの関係については,既知の出血の予測因子が虚血性イベントの予測因子と重複しており,出血が虚血リスク上昇のマーカーの役割を果たしている可能性があるとの考え方がある。
しかしHuber博士によると,現在議論されているもう1つの可能性として,出血には直接的な有害作用があることも指摘されているという。

高齢者への抗凝固薬投与量に注意を
どのような出血であれ,なんらかの臨床的結果をもたらす可能性がある。
Steg博士は「例えば,単なる鼻血や歯を磨いたときの歯肉出血でも,ステントを留置している患者の抗血小板療法を中止することがありうる。そのようなことが続くと,ステント内血栓や死亡にもつながりかねない」と指摘している。
<私的コメント>
このような具体的な説明なら分かりやすいのですが、その前の抽象的な話はちょっと理解が困難でした。

今回の声明で出血を最小限に抑えるための戦略として提示されているのは,
(1)血管造影やPCIを行う際,大腿動脈アクセス(femoral access)ではなく橈骨動脈アクセス(radial access)を選択する
<関連サイト>
TRA vs. TFA RIVAL試験
ACSのCAGには橈骨動脈アクセス
 
(2)抗凝固薬の用量を可能な限り体重,年齢,腎機能に応じて調整する
—ことなどである。
<私的コメント> 
原文も(抗血小板薬ではなく)「 抗凝固薬」なのでしょうか。
 
同博士は「忘れてならないのは,患者の高齢化がますます進んでいることである。
高齢者では腎機能が低下していることが多いため,抗凝固薬を過量に投与してしまう可能性も高まる」と注意を促して いる。

複数の尺度による評価を提案
また,声明では心血管系の臨床試験における出血の定義に関するコンセンサス形成を目指す学術研究コンソーシアム(BARC)の取り組みに触れ,独立した学術集団,研究団体(ESCもその1つ),製薬業界と規制当局からの代表者によって定められ,Circulation(2011; 123: 2736-2747)に発表されたBARCの定義を紹介している。

この定義について,Huber博士は「データに基づくというよりも,コンセンサスに基づく定義である。したがって,今後の臨床試験で妥当性を検討していく必要がある」と指摘。
ただし,これまでさまざまな臨床試験で出血の定義が定まっていなかったために混乱が生じていたことを考慮すると,この発表は大きな 進歩ととらえられているという。
Steg博士は「試験の対象集団が同じでも,分析に用いる尺度が統一されていないと全く異なる出血率となり,採用する定義 によって出血率に3倍も差が開くことは既に立証されている」と述べている。
 
そこで,ワーキンググループはBARCの定義を含む2つ以上の尺度を用いて出血を評価することを提案している。同博士は「2つ以上の尺度を用いることは,出血イベントを選択的に報告するバイアスリスクを回避する1つの方法である」と説明している。
 
同博士によると,例えば出血を引き起こす可能性のある薬剤の試験を担当する研究者が,出血を過小評価してしまう可能性のある尺度を採用することによっ て,有害事象を過小に報告する可能性もある。
一方,感度の高い尺度を選択することで,試験薬以外の薬剤の安全性を過度に強調することもありうる
 
さらに,声明は出血発生率とその基礎にある機序に関する知識にはまだギャップがあり,出血は今後の研究の重要なテーマであることを強調。
今後の研究課題として
(1)出血はその後の死亡の直接的な原因なのか,あるいはベースラインの背景因子の悪化に関係したリスク増大の単なるマーカーなのか
(2)自然出血のアウトカムとPCIや血行再建術により生じた出血のアウトカムは異なるのか
(3)ACS患者にとって,最適な輸血戦略はどのようなものか
—などが挙げら れている。
 
出典 Medical Tribune 2011.9.15
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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フランス・ロワシーで開催された第33回欧州心臓病学会(ESC Congress 2011.8.27〜31)での発表記事です。
 
怒り,笑いに関する発表…これすべて,欧州心臓病学会の演題です。
心不全と抑うつ状態が合併しやすいことはよく知られているが,病的な精神状態とまではいかなくとも,日常誰もが持つ怒りや笑いが心血管に与えるインパクトについて,最近,臨床的な知見が集積されつつある。
 
怒りの心毒性」を臨床試験で確認
イタリアInstitute of Clinical Physiology of Research National Councilの精神科医Franco Bonaguidi氏らは急性心筋梗塞(AMI)により心臓集中治療室(CCU)に入院した男性患者228例を対象に,退院直前の質問票による精神心理学的評価と各種心機能,予後との関連を調査(Anger predicts long-term mortality in patients with myocardial infarction)。
 
追跡期間(中央値)97カ月の間に全例の約4分の1に当たる51例に心血管イベントが発生。
質問票による怒りなどの感情スコアが高い群では同スコアが低い群に比べ新たな心イベント発生あるいは心機能悪化のオッズ比が2.3(P<0.01)に上昇していた。
 
また,怒りの感情スコアが低い群の120カ月時点の生存率は78.5%であったのに対し,同スコアが高い群では57.4%と有意な低下が見られたという(P=0.0025)。
公式ニュースでは「敵対心や怒り,抑うつ感情や不安などはすべて心毒性を発揮する一方で,ポジティブな感情は心保護に働く」との同氏コメントを取り上げている。
 
認知行動療法で心血管疾患既往例のHDL-Cや運動量改善も
さらに公式ニュース記事では,そうしたネガティブな感情をコントロールする,認知行動療法の心血管疾患に対する意義を検討した演題も紹介している ( Cognitive behaviour therapy benefits depressed cardiac patients: results of a randomised controlled trial)。
 
オーストラリアHeart Research Centreの研究グループが,うつ病を合併した心血管疾患患者275例に対し,認知行動療法あるいは標準療法のみ(コントロール)によるランダム化比較試験(RCT)を実施。
 
試験開始から4カ月時点で,認知行動療法を行った群ではコントロール群に比べ,抑うつ症状や怒りをコントロールする自信の有意な改善だけでなく,HDLコレステロール(HDL-C)や運動量も有意に改善していた。
怒りをコントロールする自信の効果は試験開始から1年時点においても有意であったという。
「抑うつ症状があると服薬コンプライアンスの悪化や禁煙などの生活改善に対する意欲が低下する」と研究代表者のBarbara Murphy氏。
今後,試験参加患者のイベント発生率や生存率といった予後の評価も行っていくとのコメントを寄せている。
 
涙が出るほどの笑いは血管に対しスタチンに匹敵する効果を与える!?
さかのぼって学術集会初日(27日)の“Don’t worry, be happy”では,ネガティブな面で取り上げられることの多い精神・心理的問題ではなく,ポジティブな感情を中心とした心血管疾患に対する影響を取り上げたシンポジウムが開かれた。
 
シンポジストの1人として公式ニュースに登場しているのは米メリーランド大学のMicheal Miller氏。
同氏は以前から笑いと血管内皮機能に関する研究などを行ってきたという。
その業績の1つが,映画視聴による血管内皮機能(FMD)の変化を検討した研究だ。
 
喫煙歴のない20人の健康な男女にストレスフルな映画(「プライベートライアン」)とコメディー映画(「メリーに首ったけ」など)をそれぞれ別の日に見せ,FMDを調べた。
 
プライベート・ライアン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3

http://www.youtube.com/watch?v=hM2LqfmTKj4

メリーに首ったけ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AB%E9%A6%96%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%91

http://www.youtube.com/watch?v=8Xuah8LC-Cw

 
その結果,ストレスフルな映画を視聴中のFMDはベースラインから-35%,有意に低下していた(P=0.017)のに対し, コメディー映画ではベースラインに比べ22%の増加が見られた(P<0.0001)のだという(Heart 2006; 92: 261-262)。
 
「われわれの検討による,笑いの血管に与える効果は運動やスタチンの効果と同等と考えられる」と同氏。
一口に「笑い」と言っても,血管への効果を期待するには「くすくす笑い」のレベルではなく「お腹を抱えて涙が出るくらいの,ちょっとしたワークアウトに匹敵する大笑い,かつそれが15秒以上続くことが必要」だそう。
<私的コメント>
先生方は、最近腹が痛くなるほど大笑いしたことがありますか。
「15秒以上」も大笑いを続けることは至難の技です。
「至難の技 」といえば、お笑い芸人こそ「技」を磨いて国民の健康のために「15秒以上」毎日笑わせて欲しいものです。
「大笑い」も一生のうち、そうそうあるものでもありません。
たまに大笑いしてもそんなに効果が持続するとも思えません。
大笑い出来る性格ということが重要な気もします。
当院の女性スタッフに尋ねたら、涙が出るほど笑いこけることは珍しくはないとのこと。
男子たる者、そんなには笑いません。
女性が長寿な理由を見つけたような気がしました。
 
今後,心筋梗塞既往例によるRCTなどで,笑いによる心血管疾患の再発予防効果を確認すべきと同氏は考えているようだ。
ただ,悲しいことに,こうした研究に対する資金を出してくれるところが見つからない,とシンポジウムのタイトルとは裏腹に,あまりハッピーとは言えないようなコメントも紹介されている。     (坂口 恵)
 
出典 MT pro 2011.8.30
版権 メディカル・トリビューン社

同じくESC Congress 2011.8.27〜31での発表です。
心筋梗塞患者のかっとなる性格は長期アウトカムを悪化させるのに関与
心筋梗塞患者の「かっとなる性格」は、長期アウトカムを悪化させるのに重要な役割を担っていることが示された。イタリアInstitute of Clinical Physiology of CNRのF. Bonaguidi氏らが、8月31日までパリで開催された欧州心臓学会(ESC2011)で発表した
これまで、心理的状態は虚血性心疾患と相関があることが示唆されている。
演者らは、急性心筋梗塞(AMI)後に生還した患者において、性格特性と行動反応により長期死亡率予測ができるかどうかを検証した。
   
 結果 略

演者らは、「怒りとストレスに関連した症状は、AMIの長期アウトカムを悪化させるのに重要な役割を担っている」と結論。
「今回のデータは、すぐにかっとなる患者に対して的を絞った心理療法や行動介入を行う意義を疫学的に支持したものとなった」と考察した。

出典   NM online 2011.9.1
版権 日経BP社
<私的コメント>
A型性格という理解からは目新しい発表ではないかも知れませんが、長期死亡率予測というところがNeuesなのでしょうか。
性格は簡単には変わりません。
「心理療法や行動介入」をするほど患者も医療側も暇ではありません、と言ったらきっと怒られるでしょうけど。
 
<関連サイト>
Don't worry, be happy: how positive emotions can help protect the heart
http://www.escardio.org/congresses/esc-2011/congress-news/Pages/dont-worry-be-happy.aspx

 
「笑い」でもっと健康に 1日5回「わっはっは」
http://www.sanspo.com/gourmet/club/070303.html
 
 
<自遊時間 その1>
本日のGOOGLEのロゴ。



セントジェルジアルベルト - Wikipedia
生誕118年周年の「セント ジェルジ アルベルト」とは?ビタミンCの発見者 ...

セント ジェルジ アルベルトとは? | A!@attrip
 
<自遊時間 その2>
某日の夕方のこと。
30代の男性が下腹部痛で来院しました。
問診や症状から感染性腸炎は否定的でしたが
Mc Burney(+)
heel drop sign(+)
白血球数12,000
腹痛は余り強くなかったのですが、こちらでちょっと冗談を言って笑わせると腹痛が増強。

念のためと思い、「急性虫垂炎疑い」として某病院に紹介。

翌日に病院からFaxが届いていました。
「CTで虫垂が腫大しており腹膜刺激症状もあったため全身麻酔下に手術を行いました。手術所見では蜂窩織炎性虫垂炎でした」

井蛙内科開業医/診療録 : 急性虫垂炎の診断
http://wellfrog.exblog.jp/6883879
井蛙内科開業医/診療録(2) : 急性虫垂炎の診断
http://wellfrog2.exblog.jp/9677433/



急性虫垂炎を疑う理学的所見にはいろいろあります。
ひょっとして「笑うと腹痛が増強」というのも立派な理学所見(特に腹膜刺激症状)かも知れない、と思いました。
以前にも、「笑って胸壁が痛くなる」ということで胸壁の帯状疱疹を診断したことがあります。
きょうは「笑い」がテーマのため、思い出すまま書かせていただきました。

 

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Circulation Journal 2011.No.8の注目論文」というサブタイトルがついた、低リスクのAMI後患者へのβ遮断薬の効果を検討した論文の紹介記事で勉強しました。
東北大学循環器内科・下川宏明教授が選出(Pick Up)Circulation Journalの編集長(Chief Editor )をされてみえます。 された論文ですが、先生方もご存知のように下川教授は
数年前に、教授の講演を拝聴する機会があり、その際の懇親会で名刺をいただきました。
肩書きに編集長と書かれてあったのを見て、恥ずかしながらその時、初めて知りました。
 
低リスク患者でも予後改善の可能性示す
AMI患者へのβ遮断薬の効果は欧米から報告されていますが,PCI導入前のものでした。
今回,PCIが成功した低リスク患者でも投与すべきという示唆が国内で得られました。
薬剤間比較も興味深く,今後の参考になる研究論文です。
 
AMI治療進化の陰で位置付けあいまいなβ遮断薬
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)など血行再建術の導入やデバイスの進化,さらにレニンアンジオテンシン系 (RAS)阻害薬の有用性が証明され,急性心筋梗塞(AMI)の治療は1990年代以降急速に発展し,救命率が上昇してきている。
その一方で,1980年 代にはAMI治療の主役でもあったβ遮断薬の位置付けがあいまいとなった。
 
冠血行再建術が成功せずに再環流しなかった場合や,左室駆出率(LVEF)が低い高リスクAMI患者に対しては,β遮断薬の有用性を示す臨床試験結果があるが,大規模な前向き試験のエビデンスがなく,β遮断薬を使用すべきなのか,それともRAS阻害薬の増量で血圧が安定していればβ遮断薬は不要なのか, 治療指針は確立していない。
米国心臓協会(AHA)/米国心臓学会(ACC)ガイドラインにおいても,AMI高リスク群でのβ遮断薬はクラスⅠであるが,AMI低リスク群での推奨レベルはⅡaとなっている。
 
そこで今回,東京医科歯科大学医歯学融合教育支援センターの小西正則氏ら同大学循環器内科のグループはAMI患者にβ遮断薬を投与すべきかどうかを単施設による後ろ向き調査として解析し,Circulation Journal(2011; 75: 1982-1991)に報告した。
この中で,低リスク患者に対してもβ遮断薬が予後改善に有効な可能性を示した。
 

連続251例の後ろ向き解析でβ遮断薬が効果
研究の対象は2004年9月以降2009年9月までに同大学に搬送されたAMI患者382例のうち,
(1)AMI後のPCI施行
(2)β遮断薬・RAS 阻害薬の服用歴なし
(3)透析未導入
(4)PCI後のRAS阻害薬導入
—の条件を満たした251例。
β遮断薬投与群171人とβ遮断薬非投与群80例に割り付けられた。
両群の重症度や合併症頻度,投薬状況に有意差はなかった。
冠血行再建術歴は両群とも約6%で,心不全が5%前後,虚血性心疾患は約6%だった。
RAS阻害薬のほかにスタチンとアスピリンはほぼ全例が服用していた。
なお,RAS阻害薬の内訳としては,ACE阻害薬が85%,アンジオテンシンⅡ 受容体拮抗薬(ARB)が15%だった。

 
その結果,12カ月後の死亡や心疾患イベント非発生率はβ遮断薬投与群が4.1%で,非投与群13.8%と比べて有意に低下した()。
血圧変化率は両群間で差はなく,両群とも収縮期血圧で15mmHg程度低下したが,B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)やマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2,MMP-9はβ遮断薬群で有意に低下した。
 

図表
 
低リスク患者も全例に投与すべきか,どのβ遮断薬をどの程度投与するかを問題提起
小西氏らはさらに,LVEF 40%以下,血行再建術の不成功,心室細動の合併のいずれかを有する患者を高リスク群,これらのいずれにも該当しない患者は低リスク群として,それぞれの 群でβ遮断薬の効果を見た。
その結果,高リスク群だけでなく低リスク群(β遮断薬非投与群47例,β遮断薬投与群103例)においても,β遮断薬投与群ではβ遮断薬非投与群と比べて心疾患イベントの有意な発生率低下が認められた(19.1%対7.8%,)。

 
報告した同氏は,単施設の後ろ向き解析であるため選択バイアスの可能性が否定できない点などを検討の限界としている。
また,対象者のうち冠血行再建術を受けた患者や心不全,虚血性心疾患の既往者は数%と少なくなっており,AMIの一般集団として十分とは言い切れない点も考慮する必要があるとしている。
その上で,「低リスクAMI患者に対してもβ遮断薬の必要性を提起する結果になった。多施設で前向きな研究を計画する際のたたき台となるのではないか」と次の展開に期待を寄せている。
 
また,β遮断薬の種類や用量についても新たな知見が提示された。
β遮断薬は2種類投与されていたが,カルベジロールが91例に,ビソプロロールが80例に投与されており,両群の生存率,心疾患イベント非発生率に差はなく等しく有効だった。
また,両群とも血圧や心拍数,LVEFの有意な低下が認められているが,LVEFやBNPについてはカルベジロール投与群の方がビソプロロール群よりも有意に改善していた。
同氏は「試験期間における最小用量は,カルベジロールが現在使用されているのと同程度だったのに対してビソプロロールは倍量以上だった。実際に投与する際には割線を利用して最小用量の半量から開始し, 徐々に増量する場合もあるが,ビソプロロールの方が低用量での調整が難しかった点が影響しているのかもしれない」と考察している。
 
AMIの救命率は向上したとはいえ十分ではなく,今回の研究でもβ遮断薬非投与群では1割以上が1年以内に死亡している。
β遮断薬は用量調整や副作用の 管理が難しい薬剤ではあるが,その後の心疾患イベントや死亡抑制効果につながるのであれば臨床的意義は非常に大きいといえる。
 
出典 Medical Tribune 2011.8.25
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
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