戯れ言たれる侏儒
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ちょっと前の記事になりますが、第72回日本循環器学会特集  "急性心筋梗塞"で勉強しました。

スピロノラクトンはAMIにおけるPCI後のCSNAを改善させる
ミネラルコルチコイド受容体阻害薬(MRA)スピロノラクトンは,アルドステロン受容体拮抗作用を有し,急性心筋梗塞(AMI)後の左室リモデリングを抑制するが,同薬の心臓交感神経活性(CSNA)に対する作用は明らかでない。
北関東循環器病院(群馬県)の笠間周氏らは,同薬のCSNAに及ぼす影響をシンチグラフィーで評価した結果を報告。
MRAは,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後のCSNAを改善することが示唆された。

WRや心筋取り込み指標が改善
対象は60例(男性42例,女性18例,平均年齢68±10歳)で,AMIと確定診断後,MRA群あるいはプラセボ(non-MRA群)にランダムに割り付け,PCI前から継続投与した。
 
PCI後は全例に対し標準的な治療(ACE阻害薬,β遮断薬,アスピリン,チクロピジン)を行った。
その後,5日以内に99mTc-PYPと201Tl 2核種同時収集SPECTでtotal defect score(TDS)とextent score(ES)を,3週間後に123I-MIBG心筋シンチグラフィーでTDSと心筋取り込み指標である心縦隔比(heart-mediastinum activity ratio;H/M比),washout rate(WR)を算出。
また,心臓カテーテル検査により左室駆出率(LVEF)や拡張末期容積(LVEDV)も評価した。
 
その結果,初期の心筋障害の指標であるESは両群で差はなかったが,MRA群ではnon-MRA群よりもTDSとWRが有意に低値で(P<0.05,P<0.01),H/M比は有意に高値であった(P<0.05)。
さらに,LVEDVとLVEFもMRA群で有意に良好であった(P<0.05,P<0.05)。123I-MIBG心筋シンチグラフィーによる典型的なplanar(平面)像でも,MRA群(H/M比=2.28,WR=38%)とnon-MRA患者(H/M比=1.76,WR=50%)の心筋の状態の差がはっきりと映し出された。
 
以上から,笠間氏は「AMI患者にMRAであるスピロノラクトンを直ちに投与することにより,CSNAは改善され,PCI後の左室リモデリングも抑制できることが示唆された」と述べた。

プラークに壊死性コア多いSTEMIは遠位閉塞のリスク高い
ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に遠位閉塞が認められる患者の予後は不良だが,遠位閉塞を起こしやすいプラークの成分は不明である。
群馬県立心臓血管センター循環器内科の河口廉氏らがvirtual histology血管内超音波(VH-IVUS)でプラークを検討したところ,プラーク成分のうち壊死性コアの体積量が遠位閉塞の予測因子として有用であることが示唆された。

33.4mm3が遠位閉塞リスク示唆
PCIを施行した初発のSTEMI患者71例(男性50例,女性21例,平均年齢64±12歳)を対象とした。
血栓吸引療法施行後にIVUSで評価し,その後ステントを留置。血栓吸引前およびステント留置の直前,直後にSTスコアを評価し,留置後のSTスコア上昇(>2mm)をST再上昇(STR)と定義してステント誘発性の遠位閉塞とみなした。
 
VH-IVUSの結果,総プラーク体積量の平均値は113.0±67.3mm3で,プラーク成分の構成割合は,線維組織63.0±9.1%,線維脂肪組織11.5±6.9%,壊死性コア18.8±8.6%,カルシウム石灰化6.6±5.1%であった。
線維組織の割合は総プラーク体積量と有意に逆相関し,石灰化の割合は総プラーク体積量と有意な正の相関が認められたが,線維脂肪組織と壊死性コアは総プラーク体積量と相関しなかった。
 
STスコアの検討から,STR群は11例(15.5%),非STR群は60例(84.5%)となった。
ステント留置直後のSTR群のSTスコアは18.0±8.4,非STR群では8.3±7.8(P=0.0004),corrected TIMI frame count(CTFC)は各群37.5±16.6,21.2±5.8(P<0.0001)であった。
また,IVUSによる評価から,壊死性コアの体積量のみが両群で差があることがわかった(STR群32.9±14.1,非STR群20.4±19.2,P =0.0439)。
 
以上をもとに受信者動作特性(ROC)解析を行った結果,河口氏は「体積量33.4mm3においてAUC 0.756,感度81.7%,特異度63.6%であり,STEMIにおける遠位閉塞の予測因子としては壊死性コアが最も有用である」と結論した(表)。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41191002&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
MRA、CSNA、WR、TDS、ES、H/M比、VH-IVUS、ROC解析などの略語の勉強になりました。
エプレレノンではなくスピロノラクトンというところが面白いところです。

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<きょうの一曲> “Leaving on a jet plane”
Leaving on a jet plane- peter, paul and mary
http://jp.youtube.com/watch?v=Fa3h3pnhg8s
John Denver - Leaving on a Jet Plane
http://jp.youtube.com/watch?v=vLBKOcUbHR0&feature=related
Leaving On A Jet Plane
http://jp.youtube.com/watch?v=CpYcpi0HjQw&feature=related
Leaving On A Jet Plane
http://jp.youtube.com/watch?v=qK2bEbtpFOc&feature=related
Aerosmith - Leaving On A Jet Plane
http://jp.youtube.com/watch?v=VR72wWw-4F8&feature=related
Leaving On a Jet Plane (Music Video)
http://jp.youtube.com/watch?v=ykFhOFQ2wGw&feature=related
Leaving on a jet plane
http://jp.youtube.com/watch?v=QmSEs9eJj3U&feature=related
Breakfast at Tiffany's: Leaving on a Jet Plane
http://jp.youtube.com/watch?v=KmpLXbhC16o&feature=related
Leaving On A Jet Plane
http://jp.youtube.com/watch?v=Fa3h3pnhg8s
Leaving on a Jet Plane by Chantel Kreviazuk
http://jp.youtube.com/watch?v=Jb6J_ejLd7o&feature=related

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
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レニン・アンジオテンシン系阻害薬を再考する
Evidence-Based Coronary Interventionを目指して
―これからのPCI専門医に求められる再発抑制治療を考える―(続)


PCI患者の生命予後を改善する内科的治療:
ACE-Iの降圧と独立した冠動脈イベント抑制効果
では,心筋梗塞の二次予防には何が必要か?
図2に示すように,PCIは冠動脈局所の治療,CABGはエリアの治療,薬剤は全身的治療と位置付けられる。
心筋梗塞既往例の生命予後に新規病変の発症が大きく影響しているという事実は,生命予後の改善に全身的治療が重要であることを示している。
 
PCI患者の薬物療法においてRA系阻害薬は重要な位置を占める薬剤だが,2006年のCirculationに「ARBは心筋梗塞の発症を増加させるのではないか」という衝撃的な論説が掲載された(Circulation 114:838,2006)。
その論旨は「ACE-IはARBよりも心筋梗塞と心血管死を低減するとのエビデンスがある以上,冠動脈イベントのリスクを低減するためには,ACE-Iを第一選択にすべきである」というものである。
 
この論説の翌年,降圧薬の大規模臨床試験のメタ解析を行っている世界的なプロジェクトBPLTTC(Blood Pressure Lowering Treatment Trialists'Collaboration)が,ACE-IとARBの心血管イベント抑制効果を検証するメタ回帰分析の成績を発表した。
解析対象となった大規模臨床試験は26試験(n=146,838)で,ACE-Iは17試験(n=101,626),ARBは9試験(n=45,212)であった。
解析にあたっては,臨床試験担当責任者から提供された個々の被験者の生データが使用されている。
果たしてその結果は,脳卒中および心不全に関してはACE-IとARBのイベント抑制効果に差がみられなかったものの,冠動脈イベント抑制効果はACE-Iが有意に優れるというものであった図3)。


両者の差は,対照薬との降圧差(収縮期血圧)が0mmHgであっても,ACE-Iでは9%のリスク減少,ARBでは8%のリスク上昇として現れたことから,ACE-Iは「降圧と独立した冠動脈イベント抑制効果」をもつと考察されている。
このようにACE-Iが「降圧と独立した冠動脈イベント抑制効果」をもたらすメカニズムとしては,ブラジキニン(BK)-NO系,シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2),マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP),プラスミノーゲン・アクチベータ・インヒビター-1(PAI-1)など動脈硬化の進展に関与するさまざまな因子に対し多彩な作用が示唆されている図4)。


特に最近では,MMPに対し"直接的な"活性阻害作用を有することも明らかにされている図5)。

心筋梗塞の二次予防には,循環器内科医の総合力が問われる
ACE-Iと同様,ARBもエビデンスが増えてきた。
しかし,エビデンスにはその質に応じたレベルがあり,その代表的なものが米国保健政策研究局(AHRQ)による分類である(表2)。

この基準にあてはめると,BPLTTCは I aに分類されるエビデンスであり,ランダム化された大規模臨床試験はI bとなる。
 
また,ACE-IはARBに比べ薬価が安く,医療経済の面でもベネフィットが大きい降圧薬だが,わが国における2007年度の降圧薬市場が約1兆円にも上るなか,実にその半分をARBが占めている(図6)。


 
一方,わが国でのACE-Iの問題点として,通常量が欧米の約半分であることが挙げられよう。
ARBの通常量は国際的な標準投与量とほぼ同じである。ACE-Iの投与量を国際標準にまで引き上げることができれば,その臨床効果をさらに実感できるであろう。
 
われわれが血行再建の手段としてPCIを選択する理由は,CABGよりも治療成績がよいとか,狭心症の症状がなくなるとか,そういうことだけではなく,患者さんの生命予後を向上させることにある。
そのためには,同時に適切な内科的治療を行い,長期予後を包括的に管理することが重要である。
心筋梗塞の二次予防には,循環器内科医は総合力が問われている。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
文中の
「PCIは冠動脈局所の治療,CABGはエリアの治療,薬剤は全身的治療と位置付けられる。」
は私にとってまさに目から鱗(ウロコ)でした。

高リスク患者ではDESに固執しないようにということは

第30回欧州心臓病学会
高リスク冠動脈疾患でDESの非劣性は証明されず
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41370012&year=2008
でも発表されています(今週のMedical Tribune 2008.9.11)。

概略は
左冠動脈主幹部(LMT)病変および3枝病変を対象に,薬剤溶出ステント(DES)と冠動脈バイパス術(CABG)を比較したSYNTAX試験でDESの非劣性が証明できなかった
というものです。

内科循環器医は巨視的な見方で冠動脈疾患を把握し、ただの「風船屋(ステント主体の最近では何というのでしょうか。風船はいずれにしても使うわけです)」にはならないようにしなければなりません。

インターベンション以上に地道な内科治療が重要なことは、国内でもかなり以前から、前虎の門病院循環器病センター医長の西山先生(現 千代田区公庫ビル診療所 西山クリニック院長)が発表されていました。
今からして思うと勇気ある発表だったと思い出させられます。

 

 

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TRANSCEND試験

戯れ言たれる侏儒 / 2008.09.11 00:48 / 推薦数 : 0

ACE阻害薬に忍容性のない患者6000人を対象とした大規模臨床試験「TRANSCEND試験」について勉強しました。
<関連サイト>
ARBのテルミサルタンとACE阻害薬のラミプリルで心血管保護効果を比較
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/ebm/ontarget/design/200803/505853.html
テルミサルタンは心血管イベント高リスク患者の心筋梗塞、脳卒中を抑制--TRANSCEND試験
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/esc2008/200809/507657.html
ARBは本当に心血管イベントを抑制するのか
http://on-target.jp/transcend/outline.html
高血圧治療薬ミカルディスの心血管イベント抑制効果が明らかに
http://www.astellas.com/jp/company/news/2008/pdf/080902.pdf
(ベーリンガーとアステラスのプレスリリースです)

高リスク患者におけるARBテルミサルタンの標準治療への上乗せ効果について―TRANSCEND試験より
ONTARGET組み入れ時にACE阻害薬に忍容性のなかった患者が対象
ONTARGET(Ongoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint Trial,New Engl J Med 2008; 358: 1547-1559)の結果,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタンは,高リスク患者において,強力な心血管イベント抑制効果を持つACE阻害薬ラミプリルと同等の心血管イベント抑制効果を持つことが証明された。

ONTRGETではACE阻害薬に忍容性のある患者を組み入れたが,その際ACE阻害薬に忍容性のない患者はTRANSCEND(Telmisartan Randomized Assessment Study in ACE Intolerant Subjects with Cardiovascular Disease)に組み入れられた。
その結果が8月31日のLancet オンライン版に紹介された。

「HOPEエンドポイント」ではテルミサルタンが勝る
対象患者はONTARGETの組み入れ時にACE阻害薬に忍容性のなかった,冠動脈疾患,末梢動脈疾患,脳血管疾患または臓器障害を伴う糖尿病という高リスク患者である(心不全症例は除外)。
5,926例がテルミサルタン80mg/日群(2,954例)とプラセボ(2,972例)に振り分けられた。

中央値56か月の観察期間の結果,一次エンドポイントである「心血管死,心筋梗塞,脳卒中,心不全による入院」では,両群に有意差を認めなかったが〔テルミサルタン群465例(15.7%)vs. プラセボ群504例 (17.0%) ,ハザード比0.92, 95% 信頼区間(CI)0.81~1.05, P=0.216〕,「心血管死,心筋梗塞,脳卒中」というHOPE(The Heart Outcomes Prevention Evaluation)試験(N Engl J Med 2000; 342: 145-153)のときと同じエンドポイントでは,テルミサルタン群が有意に勝っていた〔テルミサルタン群384例 (13.0%) vs. プラセボ群440例 (14.8%), ハザード比0.87, 95% CI 0.76?1.00, P=0.048(非補正) 〕。

一次エンドポイントに差がなかった理由:
心不全発症低リスク集団で心不全抑制効果示すことは困難
 
TRANSCENDの結果について,次のように考察した。

(1)一次エンドポイントで両群間に有意差を認めなかった原因は,おもに「心不全による入院」の結果について差がなかったためである。
この点はACE阻害薬,ARBが新規心不全発症を抑制し,心不全入院を抑制するとされてきた過去の報告と一見著しく異なるように思える。

しかし,
(a)ACE阻害薬ラミプリル,ペリンドプリルについても心不全発症の高リスク群では心不全を抑制したが,低リスクの母集団では心不全抑制効果を示さなかったことが報告されている。
したがって,心不全発症低リスク群ではACE阻害薬,ARBとも心不全抑制効果が弱い可能性があり,今回のように心不全抑制効果が見られないという結果になることもありえる。

また,
(b)プラセボ群で経過中に利尿剤の投与が多くなったこともプラセボ群での心不全発症を抑制して,プラセボ群に有利に働いた可能性もある。
さらに
(c)図のようにテルミサルタンのイベント抑制効果は,18か月以内はプラセボ群と差がなく,その後出現することより観察期間が短かった可能性もある。
最後に,
(d)最近の薬剤試験全般に言えることではあるが,ガイドラインに準じて基礎治療薬としてのイベント抑制効果が認められた薬剤の投与頻度が多くなっており(スタチン,他の降圧薬,抗血小板薬),新規に薬剤を追加した場合の上乗せ効果は得られにくくなってきている。
その環境において「HOPEエンドポイント」についてテルミサルタンの抑制効果が認められたことは評価できる。


なお,一次エンドポイントである「心血管死,心筋梗塞,脳卒中,心不全入院」について,TRANSCEND試験にPRoFESS(Prevention Regimen for Effectively Avoiding Second Strokes)試験のデータを加えて解析すると,テルミサルタン群がプラセボ群に比べて有意に抑制していた。

「ARBは心筋梗塞を抑制しない」という懸念は払拭
(2)TRANSCEND試験においてもテルミサルタン群はプラセボ群よりも心筋梗塞発症を抑制する傾向にあり,ARBが心筋梗塞を抑制しないのではないかという懸念は前回のONTARGET試験のときと同様に払拭された。

(3)TRANSCEND試験では,ACE阻害薬に忍容性のない患者を試験に組み入れたが,そのような母集団においてもテルミサルタン群の薬剤コンプライアンスはプラセボ群よりもすぐれていた。

TRANSCEND試験の解釈としては
「心血管病予防のための基本的治療を既に受けている高リスク患者においても,テルミサルタンを上乗せすることにより,心血管イベントをさらに抑制できた」でよいと思われる。

日本での処方は既にACE阻害薬からARBへシフトしているが,ONTARGET試験と同じくARB使用の根拠となる試験と思われる。

MTpro  2008年9月9日掲載
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr080903.html
(文中の図はサイトで確認下さい。図.「HOPEエンドポイント」での結果)

<コメント>
「『ARBは心筋梗塞を抑制しない』という懸念は払拭」ということですが、ARB全体の懸念を払拭したわけではありません。
他のARBでは「心筋梗塞を増加させる」という大規模臨床試験の結果が出ているわけですから、「テルミサルタンというARBは心筋梗塞を増加させない」というのが正しい表現です。
また「心筋梗塞発症を抑制する傾向」は「心筋梗塞発症を抑制」とは違います。

メタアナリシス・ARBと心筋梗塞のリスク
http://blog.m3.com/reed/20080825/_ARB_
アンギオテンシン受容体ブロッカーは心筋梗塞のリスクを増すか?
http://www.city-nakatsu.jp/hospital/digest1/digest200609/09_matsui.pdf
アンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)に心筋梗塞のリスク
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=62
BMJ誌2004年11月27日号(329,1248- 1249)に「ARB(アンギ オテンシン受容体阻害剤)と心筋梗塞ーこれらの薬剤は心筋梗塞を増加させる恐れ があり、患者にはそのことを伝えておく必要がある」と題する論説(以下、このサイトから引用)。

ラン セット誌のVALUE試験論文は、ハイリスク患者での血圧を下げる 効果をみたものだが、ARBのバルサルタンが、アムロジピン(カル シウム拮抗剤)との比較で、前もって定めていた心筋梗塞(致死性 および非致死性)の2次エンドポイント(臨床試験における、目標 とする評価項目)において、心筋梗塞を有意に19%増加させている。
  
著者のひとり(Subodh Verma医師)の患者でもある1人の医師は、 心筋梗塞がバルサルタンで増加するなら、バルサルタンを高リス クの高血圧患者に処方するに際しては、インフォームド・コンセ ントにおける必須の構成要素として、そのことを患者に告げる必 要があるとコメントしている。このことはARBと心筋梗塞の関係 をめぐるエビデンスの注意深い検討が必要であることを示している。
あいにく、最近のエビデンスを注意深く評価すれば、ARBはACE 阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤)とは違って、血圧を下 げるという有益な効果にかかわらず、心筋梗塞の発現には変化 をもたらさないか増加させるかのどちらかであることが、示されている。
例えば、CHARM試験は、血圧を減少させたにかかわらず、カンデ サルタンがプラセボに比し、心筋梗塞を有意に39%増加させることを示した。
SCOPE試験で、カンデサルタンはプラセボに比し、有意ではなかったが心筋梗塞を10%増加させた。
さらに、LIFE試 験では、ロサルタンはアテノロールに比し、血圧を1.7mmHg低下させたが、心筋梗塞の頻度を減じなかった。
腎障害のある糖尿 病患者で行われたRENAAL試験では、ロサルタンが腎保護効果を示したが、心血管死亡率(患者の30%が心血管イベントで死亡)を減少させなかった。
同様の患者集団で、イルベサルタンは腎保護 作用を示したが、心血管イベントの24%の発現率(2次エンドポイ ント)にインパクトを与えなかった。
イルベサルタンは、血圧降下 作用を示したが、心筋梗塞、脳卒中、心血管イベントでの死亡 に減少は見られなかった。
アムロジピンと比較してイルベサルタ ンは、降圧効果が同じにかかわらず、非致死性心筋梗塞の36%の 増加(P=0.06)、脳卒中の有意でない48%の増加、死亡の有意でない29%の増加と関連していた。

心筋梗塞に関するARBのこれらの特徴的な効果は、糖尿病、高血 圧、腎不全、動脈硬化をもった患者で、いつも心筋梗塞が20%ないしそれ以上減少する成績が得られているACE阻害剤とは対照的である。

Editorial(原著)
Angiotensin receptor blockers and myocardial infarction
http://www.bmj.com/cgi/content/full/329/7477/1248

 

アンジオテンシン受容体拮抗薬と心筋梗塞のリスクについて: システマティックレビュー 
http://minds.jcqhc.or.jp/G0000053_S0023303_0005.html
(以下引用)
高血圧,2型糖尿病,腎症,心不全などの患者にARB或いはACE阻害薬を用いた場合に心筋梗塞の発症を減らせるか,増加させるかについて評価したメタアナリスの論文である。
上記患者において心筋梗塞発症は,ARB群では4.09%,プラセボ群では4.3%であり,心筋梗塞を高めることはないという結論であった。
ARBとACEとの比較では心筋梗塞発症がそれぞれ8.05% vs 8.3%で有意差なし。
ARBとACEとの比較で有意差がないという結論は理解できるとしても,ARBとプラセボでARB群で心筋梗塞発症の抑制効果がないのにはいささか驚きである。

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
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HORIZONS-AMI試験

戯れ言たれる侏儒 / 2008.09.07 00:04 / 推薦数 : 0

Bivalirudinが心筋梗塞の生命予後を改善
〔ニューヨーク〕心血管研究財団(CRF,ニューヨーク)のGregg Stone会長らは「抗凝固薬のbivalirudinは,標準療法と比べて経皮的冠動脈インターベーション(PCI)後の有害事象リスクを24%低下させ,総死亡リスクも34%低下させた」とNew England Journal of Medicine(NEJM,2008; 358: 2218-2230)に発表した。

出血の減少が生存率改善に寄与
今回のHORIZONS  AMI(Harmonizing Outcomes With Revascularization and Stents in Acute Myocardial Infarction)試験では,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に罹患した3,602例に対して,PCIとbivalirudinまたはヘパリンとGp II b/III a阻害薬を併用し,その成績を比較検討した。
 
同試験は,STEMI患者に対する抗凝固薬と薬剤溶出ステントの適切な使用に焦点を当てた最大規模試験で,2007年の米国心臓協会(AHA)「ベストリサーチトップ10」の1つに選ばれた。
 
コロンビア大学医療センター/ニューヨーク長老派教会病院(ニューヨーク)の内科教授でもあるStone会長は「HORIZONSの急性心筋梗塞(AMI)試験データは,PCIに際して,ヘパリン+Gp II b/III a阻害薬の代わ りにbivalirudinを併用することで,大量出血やその他の合併症を大幅に減らすことができ,その結果,患者の生命予後が改善されることを示すものである。
この試験は心筋梗塞患者の死亡率を減らせることを証明した初めての大規模試験で,われわれは簡便で費用効果の高いこの治療法が,早急に世界中で広く採用されることを期待している」と述べている。
 
さらに,同会長は出血リスクを低下させることの重要性を強調し,「今回の試験では,bivalirudinがAMIの虚血性合併症を効果的に予防する一方,過剰出血やその他の出血性障害が少ないことから,これまでの標準的抗凝固療法よりも安全性が高いことが示された。
出血はPCIを受ける患者の短期および長期死亡率の強力な予測因子の1つである。
したがって,出血リスクの低下が今回の試験で観察された生存率改善に直接関係している可能性がある」と付け加えている。
 
なお,HORIZONS  AMI試験の被験者は,タクサスR(パクリタキセル溶出ステント)あるいはベアメタルステントのいずれかにランダムに割り付けられており,薬剤溶出ステントとベアメタルステントを比較する画期的な試験としても注目されている。
この部分の結果は10月に開かれるCRF主催の経カテーテル心血管治療学シンポジウム(TCT)2008で発表される予定である。

出典 Medical Tribune 2008.7.17
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
ホルモン補充療法による心疾患リスク
血中コレステロール値で予測可能
〔米メリーランド州ベセズダ〕女性健康イニシアチブ(WHI)ホルモン補充療法(HRT)臨床試験被験者のサブグループを新たに解析した研究「閉経後HRTを受けている女性における治療関連冠動脈イベントの予測因子としての試験開始前脂質とC反応性蛋白の有用性」がAmerican Journal of Cardiology(2008; 101: 1599-1605)に発表された。

リスクは減らない
今回の研究では,血中コレステロールが正常ないし低値の健康な閉経後女性ではHRTを受けても心筋梗塞の短期的リスクは上昇しないことが明らかにされた。
とりわけ心疾患の既往がなく,LDLコレステロール(LDL-C)値とHDLコレステロール(HDL-C)値の比が2.5未満の女性のうち,エストロゲンとプロゲスチンの併用ないしエストロゲン単独のHRTを受けていた女性では,HRTを受けていない対照群に比べ,4年の追跡期間を通して心筋梗塞リスクも心筋梗塞による死亡リスクも上昇しなかった。
 
米国立心肺血液研究所(NHLBI)予防・人口科学部のMichael S. Lauer部長は,このWHIによるHRT臨床試験の解析結果についてコメントを寄せている。
 
同部長が強調しているのは,同試験の一次結果が示すように,全体としてはどのようなHRTを行っても健康な閉経後女性の心疾患リスクを減らすことはなく,エストロゲン+プロゲスチン併用は女性の心疾患リスクを高めるということである。
さらに,エストロゲン+プロゲスチン併用もエストロゲン単独も脳卒中と血栓(これは今回の解析で取り上げていない重大な心血管の状態である)リスクを高める。
併用療法は乳がんリスクも高める。

HRTにより心筋梗塞リスクが増加しやすい女性を十分な情報に基づいて判別することは,HRTの利益がリスクを上回るか否かを決定するうえで,女性患者と医師の双方にとって有益である。
 
しかし一般に,女性は心疾患の予防のためにHRTを受けるべきではなく,更年期症状の治療にHRTを選択する場合は可能な限り少量を短期間用いるべきである。
また,血中コレステロール値の高い女性では,HRTの有無にかかわらず,心疾患リスクが高いため,リスクを減らす治療を受けるべきである。心疾患は米国で男女を問わず第1の死因である。
 
出典 Medical Tribune 2008.7.17
版権 メディカル・トリビューン社

<自遊時間>
昨夜、少し時間的余裕が出来たので久しぶりに番組表を見ました。
土曜日というのに自分に興味の湧く番組が何一つ見当たりません。
番組表をじっくりみるのも久しぶりでした。
ふと、BSデジタルがいい番組をやっていたのを思い出しました。
早速、BSの番組を探していたらNHKハイビジョンで「小澤征爾指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ/マーラー/交響曲第一番」のライブの番組が目に飛び込みました。

小澤氏はしばらく腰痛で体調を崩していたという話を聞いていましたが画面には”相変わらず”の指揮ぶりが映っていました。

私はクラシックが大好きです。
音楽評論家はどのように評論するかは知りませんが、「小澤征爾指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ」は素晴らしいと思います。
N饗の演奏よりはるかにハートに飛び込んでくるのです。
そして音楽性云々といった評論は私にとってはどうでもいいのです。
昔は「レコード芸術」を定期購読していましたが、あんなものは何の役にも立たないことが齢を重ねるにつれ分かりました。

この「マーラー/交響曲第一番(巨人)」の演奏については元オーボエ奏者の宮本文昭氏(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E6%96%87%E6%98%AD)が、マーラーの交響曲の入門版といった感じの割りと醒めた解説をしていました。
しかし、個人的には中学時代にブルーノ・ワルター指揮/コロンビア交響楽団のレコードで盤が擦り切れるほど聴いた想い出のある曲です。

そして、この小澤/サイトウ・キネンの何より感動する場面は演奏が終わってからにあります。
小澤が(世界中や国内から馳せ参じた)楽団員各々と握手をします。
打楽器の外人は感激して涙を浮かべています。
小澤が退場した後、楽団員同士が満足な出来栄えにお互いに握手を組み交わします。

こんな光景は他のオーケストラでは見られません。

クラシックのOZAWA、ロックのYAZAWA(こちらはよくわかりません)。
世界的にはもちろん・・・。

素晴らしいサタデーナイトでした。

<関連サイト>
OZAWA
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/09/09

ヴェニスに死す ~ マーラー
http://allabout.co.jp/entertainment/classicmusic/closeup/CU20010302/

Death in Venice (Muerte en Venecia)
http://jp.youtube.com/watch?v=4kpJehOi2p4

2008 サイトウ・キネン・フェスティバル松本
http://eplus.jp/sys/web/s/saito/index.html
ブルーノ・ワルター/マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」  
 
http://harukko45.exblog.jp/2297718/
 ブルーノ・ワルターが聴きたくなった(4)マーラー
http://www.yodobashi.com/enjoy/more/i/cat_1107_8081458_8080729/28123346.html

◇ワルター/コロンビア交響楽団◇マーラー:交響曲第1番「巨人」◇
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h58974540
(オークションの説明にはもったいないような内容です。終了後には消えてしまうためコピペしてしまいました。興味のない方はごめんなさい)
■ブルーノ・ワルター(Bruno Walter, 1876年9月15日-1962年2月17日)は、ドイツ出身の指揮者・ピアニスト・作曲家。より正確なドイツ語読みはヴァルターであり、そのように表記される場合もある。
また、本来の苗字はシュレージンガーであり、これは彼がブレスラウの歌劇場の指揮者になったとき、ブレスラウにはシュレージンガー姓のものが多いので、ヴァルターに改めたという。
そのため、ヴァルター・シュレージンガーと表記されることも稀にある。
20世紀を代表する偉大な指揮者の1人で、モーツァルトやマーラーを得意とした。
戦前や戦後間もなくの日本では、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、アルトゥーロ・トスカニーニとブルーノ・ワルターを「三大巨匠」と呼ぶことが多かった。

あまり知られていないが、作曲家として2曲の交響曲、室内楽曲、歌曲などを残している。
ワルターは、19世紀生れの指揮者の中では珍しく録音を多く残しており、録音期間も1920年代のSPレコードから1960年代のステレオ録音に至るまでの長期間にわたっている。
そのレパートリーも得意としていたマーラーやモーツァルトの他、ハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーなどのドイツ・オーストリア系音楽やベルリオーズ、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、バーバーなど幅広い。
録音には残されていないが、同時代の作曲家の作品も積極的に取り上げていた。
よくワルターの演奏は微笑に例えられ、夢のような幸福感に満ちた美しい演奏、感情を荒々しく出すことのない中庸な演奏をする指揮者として知られている。
確かに、モーツァルトの交響曲や晩年のステレオ・スタジオ録音によるベートーヴェンの交響曲第6番『田園』などの録音は非常に美しい演奏である。
しかし、それは彼の一面を捉えたものでしかない。
壮年期であるモノラル録音時代のライヴ録音などにはニューヨーク・フィルとのベートーヴェン交響曲第7番や、ナチス・ドイツの脅威が迫り来る中で演奏された1938年のヴィーン・フィルとのマーラー交響曲第9番のように何かに憑かれたような熾烈な演奏をしている事例も多い。
ワルター自身、自伝で自分の中にはアポロ的な部分とディオニュソス的な部分が両立している、と述べている。

全体的にテンポは速めだが(緩序楽章ではゆっくりと演奏することも多く、それが他の楽章と好対象となっている)、ところどころでテンポの変化(ルバート)を自然な形でつけ、オーケストラを豊かに響かせながらたっぷりと歌わせるのが特徴である。
特に旋律を「歌わせる」ことに意を用いていたらしく、残されているリハーサル映像や音源でも、オーケストラに向って何度も"Sing!"(歌って!)と指示を出している。
このため、当時の弦楽器奏者の水準の低さ(特にヴィオラ以降の低弦)からくる音程の怪しさも、他の指揮者では気になるが、ワルターの演奏ではさほど気にならない。

残されている映像を見ると、ワルターの指揮は、基本的にタクトを持った右手のみを使い、必要以上に体を動かすことも、左手を使うこともあまりしていない。
それは、長いタクトを使って右手だけで優雅にオーケストラを操ってるように見える。
また、リハーサルでは、文学的な解説や長い演説は余りせず、タクトを振りながら「歌って!」「ディミヌエンド!」「エスプレッシーヴォ!」といった指示を出すのみである。
しかし、その指示だけでワルター独特の節回しやたっぷりした響き、そして歌うような演奏を実現しているのである。

彼は自伝に「自分は教育的指揮者だ」と残している。
それは、つまりワルターが楽員達に繰り返し言って聞かせるうちに、いつの間にかオーケストラが自分たちの意思で行う演奏がワルターの意に沿った演奏になる、という出来そうで出来ない演奏を成し遂げることが出来た稀有な指揮者だったということなのだ。
このことは、ワルターがトスカニーニやフルトヴェングラーのようにオーケストラに対して専制君主として振舞う指揮者ではないことを示しており、ワルターの人柄を良く表している。例えば、ヴィーン・フィルでのリハーサルでは悲しい顔をし「なぜあなた達は美しい音を出さないのですか?もっと歌ってください」と言い、団員達は「あんな悲しげな顔でリハーサルされたら音を出さざるを得ないよ。トスカニーニなどの怒りんぼう指揮者以上に困った指揮者だね」と、言ったという。

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地方に比べて都市部の壮年男性では血清総コレステロール(TC)レベルが高く,1980年代の終わりごろから冠動脈疾患(CHD)が増加していることが報告された(J Am Coll Cardiol 2008; 52: 71-79)。
一般住民の観察研究によりCHDの増加が確認されたのはアジアでは初めてで,今回の知見は,欧米の生活様式が浸透しつつあるアジアの都市部を中心に,CHDが増加する予兆を示唆しているものと考えられる。

高血圧や糖・脂質代謝異常の増加が背景
コホート研究の対象は,大阪府八尾市M地区(2000年人口2万3,552人),秋田県I町(同6,116人)の40~69歳の地域住民。
2つのコホートは,全国でも有数の長期観察期間を有し,それぞれ都市部と地方のコホートとして,1964?2003年の循環器疾患の発症動向が明らかにされた。
 
冠動脈インターベンション(PCI)施行を含む心筋梗塞,心臓突然死をCHDと定義して発症率を調べたところ,都市部の男性では,CHDの年齢調整発症率(人口10万人対/年)が1980~87年の56から96~2003年は127に有意に上昇したことが判明した()。


一方,都市部の女性と地方の男性と女性についてはCHD発症率に一定の傾向は見られなかった。
 
男性のCHDは都市部,地方ともに1970年代まで増加傾向にあったが,80~87年にいったん減少し,88年以降は都市部のみで増加に転じている。
今回の分析をまとめた大阪府立健康科学センター健康開発部の北村明彦部長は,脳卒中予防対策が成果を上げた70~80年代に血圧が低下したことでCHDも減少したが,その後,都市部の男性で血清総コレステロールレベルが過度に上昇し続け,さらに高血圧,糖・脂質代謝異常などのリスク要因が集積してきたために,喫煙率の減少のみではCHD増加を抑制し切れなくなったのではないかと見ている。

管理職に多いイメージは過去のもの
従来は管理職に多いとされてきた心筋梗塞であるが,現在では一般住民にも珍しくなくなったことも注目点だ。
都市部男性の生活様式として,高カロリー・高脂肪食,身体活動の低下,職場での過重なストレスなどが一般化してきたことがうかがわれる。
 
対象地域は45年前から疫学研究が行われているため,行政や住民の健康意識が高く,周辺地区より健診受診率が高いことを考慮すると,都市部での平均的なCHD発症率はさらに高い可能性がある。
北村部長は「都市の生活環境下における心血管疾患対策として,個人の生活習慣に焦点を当てた従来の予防対策に加え,都市生活者が健康的な生活様式を選択しやすい環境整備など,集団に対する予防対策を強化する必要があるのでは ないか」と述べている。


わが国で実際に心筋梗塞が増加しているのか,社会的にも医学的にも大きな関心事であったが,その発生動向に関するエビデンスは乏しかった。
今回,大阪府立健康科学センター健康開発部の北村明彦部長らは,都市部において壮年男性の冠動脈疾患(CHD)発症率が増加しつつあることを明示した。
かつて東北や北関東の農村を中心に脳卒中が多発したように,CHDの発症動向にも地域特性があり,特に都市型の食・労働環境と密接に関係して発症することを物語っている。

地方は血清脂質上昇が緩やか
1964~2003年を5期に分け,健診データを用いて心血管リスク要因の推移を検討すると,都市部男性で,1988年以降CHDが増加に転じた背景が浮かび上がってくる()。


2期に比べ,2000年以降の5期では,喫煙率が3割近く減少し,収縮期血圧が有意に低下傾向にあるものの,血清総コレステロール(TC)値,拡張期血圧,BMIが有意に上昇する傾向にある。
高トリグリセライド(TG)血症,高血糖の比率は,いずれも3期から5期にかけて有意に増加し,5期ではいずれも22%に達した。
 
これに対し,地方男性では,血清コレステロール値は増加しているものの,5期においても平均値が198mg/dLと都市部男性の約20年前のレベルにある。
女性については,地方に比べて都市部でCHD発症率は高いものの,男性よりもはるかに低いレベルにあり,増加傾向も認められていない。

危険因子への社会的介入を
北村部長は,CHD増加に歯止めをかけるため,集団を対象とした予防対策を検討する必要性を指摘する。
米国心臓協会は,7月に集団を対象とした肥満対策をより重視する声明を発表し,高脂肪食や糖分の多い飲料の供給制限,飲食店の立地や地域デザインなどを検討し,より好ましい食品選択や運動の習慣化を支援する環境整備を呼びかけている。
 
日本ではこのような対策はまだ耳慣れないが,深夜も多くの店舗が営業する都市の生活環境は,知らず知らずのうちに食品選択に影響を与えている。
同部長は「例えば,大盛りブームに乗って,昔に比べて大きなデザートや惣菜が多く売られるようになった。
大きなサイズの食物を当たり前と思って食べ続けた子供たちが,将来脂質異常症になっても,これを自己責任と捉えるのには,もはや限界を感じる。
集団を対象とした予防対策は,規制と受け止められて物議をかもすかもしれないが,疾病対策の観点から社会的な議論を深めて,国レベルの対策につなげることが求められる」と述べている。

出典 Medical Tribune 2008.8.28
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
このような、どちらかというと地道な疫学研究がJACC誌にaceptされることに驚きを感じます。

 

<自遊時間>
「お互い顔の見える医療」については、先日
末梢血管インターベンション
http://blog.m3.com/reed/20080830/1
で触れました。

それに関連したお話を少ししたいと思います。

私は現在、多発性嚢胞腎(PCKまたはPKD)の姉妹(実は母親も同病)の症例を診察しています。
妹さんは腹満感と腹痛で悩んでみえます。
彼女の場合は巨大肝嚢胞の合併があります。
ある病院の泌尿器科へ紹介したのですが、けんもほろろの扱いで戻ってみえました。
そんな中、数日前に某病院の腎臓内科部長の講演会を聴きにいきました。
その部長とは面識はありません。
講演後の懇親会の席で、その症例について思い切ってお話しました。
腎臓専門の先生だけに数多くの症例を経験してみえました。
早速、紹介できる病院があること、脳卒中合併が多いから血圧コントロールをきちんとすること、脳MRAを検査する必要があることなどを親切にご教示いただきました。
早速その先生に紹介し、紹介状を書いていただくようにお願いしました。
患者と意思疎通が図れた時はもちろんうれしいのですが、医師同士で心が通うこともとてもうれしいものです。
それは医師になってよかった思う瞬間でもあります。
そんな瞬間があまりないのは寂しいことですが。

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

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冠動脈疾患と親族リスク

戯れ言たれる侏儒 / 2008.08.28 00:17 / 推薦数 : 0

急性心筋梗塞で病院に搬送された患者が血液検査で脂質異常がみられることはしばしば経験することです。
このことに触れることは、学会や講演会では一種のタブーとされています。
きょうは、そんな疑問のごく一部の解答が得られるかもしれない報告で勉強しました。
 

冠動脈疾患では親族リスクも高い
〔米オハイオ州クリーブランド〕グラスゴー大学(英グラスゴー)のC. K. Chow博士らは,早発性冠動脈疾患(CAD)の家族歴を有する中年層を対象にスクリーニングを行うだけで,早発性急性心筋梗塞(AMI)の42%,AMI全体の 8 %を予防できるとの知見を,BMJ(2007; 335: 481-485)に発表した。

生活習慣と遺伝的素因が同じ
Chow博士らは「同胞(兄弟姉妹)にCAD患者がいる人を一般人口と比較した場合,生活習慣と遺伝的素因を同胞と共有しているという理由から,CADリスクが少なくとも 2 倍になる」とし,さらに「一 親等は高リスク群であるにもかかわらず,臨床では彼らを対象としたスクリーニングは行われていない。例えば,デンマークでは早発性CAD患者325例の同胞のうち高血圧患者の83%,高コレステロール血症患者の33%しか治療を受けていなかった。
しかも,十分な治療域に達していたのは,それぞれ28%,7 %であった」と述べている(Hengstenberg C, et al. European Heart Journal 2001; 22: 926-933)。
 
ジョンズホプキンス大学(メリーランド州ボルティモア)で行われた研究(Yanek LR, et al. Hypertension 1998; 32: 123-128)では早発性CAD患者490例の同胞859例を対象としたが,米国の一般人口と比較した場合,患者の同胞は高血圧リスクに関する認知度が低く(60%対90%),高血圧を管理する方法に関する知識も低かった(16%対24%)。
 
同博士は「早発性CAD患者の親族に対して禁煙を促し,高血圧を治療し,他の危険因子を調整するなどCADを予防できる絶好のチャンスが医師の目前にある。また,家庭内で危険因子について話し合うことにより,家族のAMIを予防できる。だれかが早発性MIで病院に搬送されると,患者家族も来院するが,その家族もMIリスクを有していることから,このときが高リスク家族と接するのに理想的なタイミングである」と述べ,「従来,オンラインでのアンケート,あるいは学校や職場で高リスク者を検出する試みが行われてきたが,家族の来院時にCADリスクを説明し,高リスクとなる生活習慣を改めるよう指導するほうが予防的意義が高い」と主張している。
出典 Medical Tribune 2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社

 

 

早期心疾患とメタボリックシンドロームに
まれな遺伝的変異が関与
〔米コネティカット州ニューへブン〕 エール大学(ニューヘブン)内科心臓病学のArya Mani助教授と同大学遺伝学のRichard Lifton学科長らによる国際的な研究から,メタボリックシンドロームと世界的に主要な死因となっている早期心疾患の実質的リスクである単独の遺伝子のまれな変異を同定したとScience(2007; 315: 1278-1282)に発表した。
新しい経路を特定
今回の研究では,心疾患に関与していると思われる新しい経路が特定された。
今回の知見からメタボリックシンドロームと早期心疾患に対する健康的側面を改善するための新たなアプローチが示唆された。
Mani助教授は「われわれの知見から,よく知られているWntシグナル伝達経路の活性の変化が,心疾患に寄与している複数の代謝経路に大きな影響を与えることが示された」と述べている。
一般に冠動脈疾患(CAD)は,高LDLコレステロール(LDL-C),高トリグリセライド値,低HDLコレステロール,高血圧,糖尿病などの危険因子の集積を含むメタボリックシンドロームにより引き起こされる。
今回の研究は,早期CADの有病率が異常に高いイラン人の大家族の家系に基づいている。
親族58例中28例は,男性が50歳以前に,女性が55歳以前に早期CADと診断された。
この28例中23例は,CADにより若年で死亡した。
対照的に,早期CADを発病しなかった親族は平均81歳で死亡している。
CADと診断された親族は,LDL-Cとトリグリセライドが高値で,高血圧,糖尿病であったが,CADに罹患しなかった親族ではこれらの疾患は認められなかった。
また,CAD罹患者は骨粗鬆症になりやすい素因を有していたが,骨粗鬆症とCADの関連性を示す最近のエビデンスを考えると,これは特に興味深い知見である。

複数の危険因子が関与
研究チームは,この家系のCADの遺伝的形質と各染色体断片の遺伝的形質を比較することにより,疾患の原因となる遺伝子の位置を第12染色体の短断片にまで絞り込むことに成功した。
この染色体領域において,LRP6と呼ばれる遺伝子に単一変異が発見された。
LRP6遺伝子はWntシグナル伝達経路に作用し,特定の癌の発現に関与していることが知られている。
この変異により 1 つのアミノ酸が蛋白質に変換し,この蛋白質がLRP6によりコードされている蛋白質の活動を変化させることがわかった。
Lifton学科長は「複数の危険因子が互いに関連している理由はこれまでなぞに包まれていたが,われわれの知見から多数の危険因子の形成と早期CADにおけるWntシグナル伝達経路の関与が示唆される。
今後,早期CADとメタボリックシンドロームの患者を対象にWntシグナル伝達経路の研究を進めれば,疾患原因の基礎生物学に関する新しい知見が得られるとともに,疾患予防の新たなアプローチが示唆されるのではないか」と見ている。 

出典 Medical Tribune 2007.5.17
版権 メディカル・トリビューン社


<関連サイト>
■ 左主冠動脈と遺伝
http://blog.m3.com/reed/20080102/1

■ 日本人における虚血性心疾患の特徴
http://minds.jcqhc.or.jp/G0000131_0016.html
日本人における狭心症あるいは冠動脈疾患への遺伝学的なアプローチもみられる。
性差や,従来の冠危険因子の有無などの条件にもよるが,apolipoprotein E(ApoE)やstromelysin-1(MMP3),またconnexin-37(GJA4)の特定の遺伝子多型が冠動脈疾患との関連性を示したという報告がある。
また,Heme oxygenase-1遺伝子プロモーターの多型と冠危険因子を有する冠動脈疾患患者との関連性を示す報告がある。
Paraoxonase(PON)のA/B多型は冠動脈疾患の危険性との関連はみられなかった84)が,PON-1については,そのR/R genotypeは冠動脈疾患になりにくいという報告がある。
また,アンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の多型性は日本人の血清ACE活性ならびに冠動脈疾患のリスク増加と関連するとされ,DDは冠動脈疾患の危険因子という報告がある。
von Willebrand因子の受容体である血小板GPI bαの大きさが異なる遺伝子多型では,日本人の心筋梗塞患者ならびに狭心症患者においては少なくとも1つの4-repeat alleleを持つものが多いという。
遺伝的背景の差異や対象症例数などにより必ずしも同様の成績が報告されるとは限らないが,今後とも検討の必要な領域である。
■ 心臓病と他の疾患を結びつける遺伝子
Gene Links Heart Disease and Other Disorders
http://www.sciencemag.jp/highlights/20070302.html
冠動脈疾患は、高血圧症や糖尿病など集合的に「メタボリック・シンドローム」と呼ばれる病気と関係している場合が多いが、その理由を解明する新たな手がかりが得られた。冠動脈疾患は心臓発作を引き起こし、全世界で主要な死亡原因となっている。
Arya Maniらは、メタボリック・シンドロームの特徴の多くを備えた、珍しい遺伝性の若年性冠動脈疾患に苦しむ家族を調査し、この疾患の原因となる遺伝子の突然変異が「Wntシグナル経路」の一部であるLRP6遺伝子で起こっていることを報告した。
Wntシグナル経路は幅広い生物学的プロセスに関与するタンパク質の複雑なネットワークで、胚発生や癌との関連が特によく知られている。
この経路でのたったひとつの変異により、冠動脈疾患に付随する様々な種類の疾患が生じるという発見は、これらの疾患が相互に関連していることが多い理由を説明するのに役立つだろう。  


■ Wnt Induces LRP6 Signalosomes and Promotes Dishevelled-Dependent LRP6 Phosphorylation
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/316/5831/1619


■ 骨粗鬆症治療画像集
http://www2.eisai.co.jp/motor/gazou/0607v5n3/01.html
http://www2.eisai.co.jp/motor/gazou/0607v5n3/02.html
http://www2.eisai.co.jp/motor/gazou/0607v5n3/03.html

 

読んでいただいてありがとうございます。
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ふくろう医者の診察室
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(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
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第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会の記事で勉強しました。

メタアナリシス・ARBによる心筋梗塞のリスク増加は認められず
ここ数年,ARBが心筋梗塞のリスクを増すかどうかが論争になっていたが,ローマ大学ラ・サピエンツァ校(ローマ)のGiuliano Tocci氏は,最近の大規模臨床試験ONTARGET,PRoFESSまでを含め,11万人を超える対象でのメタアナリシスから,プラセボや他の降圧薬に比べて,ARBによる心筋梗塞リスクの有意な増加は認められなかったと指摘した。

薬剤別の比較でも有意差認めず
2004年,Verma,Straussらが,ARBにより心筋梗塞のリスク増加の懸念があるとの仮説を発表した後,8件のメタアナリシスが報告されたが,Straussらの2件を除くと,リスク増加は認められていないという。
 
Tocci氏らのグループも既に,2005年3月までのPubMedデータベースを用いて,1次評価項目,2次評価項目の一部として致死性/非致死性心筋梗塞の発症リスクに対するARBの有用性を評価した主要な多施設ランダム化対照試験11試験を同定,そのメタアナリシスにより,ARB群とプラセボ群または他の実薬群との間で,致死性/非致死性心筋梗塞の発症リスクに有意差は認められないことを報告している。
 
今回の解析対象試験は,ELITE I およびII,Val-HeFT,IDNT,RENAAL,OPTIMAAL,LIFE,VALUE,SCOPE,CHARM-AlternativeおよびPreserved,VALIANT,DETAIL,MOSES,E-COST,Jikei Heart Study,ONTARGET,PRoFESSの18試験。
 
ARB群5万5,344例とプラセボ,実薬を併せた対照群5万5,249例の比較では,対照群に対するARB群の心筋梗塞のオッズ比(OR)は,試験内分散のみを反映する固定効果モデルでの解析で1.019,試験内分散と試験間分散の両者を反映するランダム効果モデルでの解析では0.992であり,ともに両群間に有意差は認められなかった。
ただし,試験間には有意(P=0.0006)な不均一性が存在した。
新規に加わった症例数の大きいONTARGETのORは1.061,PRoFESSのORは1.032で,ともに対照群とARB群に有意差はなかった。
 
薬剤別の比較では,プラセボ(OR解析同順で0.990,0.948),利尿薬/β遮断薬(0.977,0.700), Ca拮抗薬(1.112,1.074),ACE阻害薬(ともに1.006)と,いずれも両群に有意差はなく,他の実薬群に対するARB+ACE阻害薬のORも0.993,0.986と,両群に有意差はなかった。
 
以上から,同氏は「ARBの投与を受けている患者において,心筋梗塞のリスクが増すとのエビデンスは認められなかった」と結論した。
 
なお,
昨年報告されたBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタアナリシスによると,「冠動脈疾患」としての解析で,ACE阻害薬とARBによる血圧依存性の抑制効果は同等だが,他薬に比べてACE阻害薬には血圧非依存性に約9%のリスク減少が認められ,この点ではARBと有意差があったという。

出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>
ここ数年間に、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が、心血管イベント・リスクを抱える患者の心筋梗塞リスクを上昇させるという報告が複数あった。カナダAlberta大学のMichael A McDonald氏らは、ARBの心筋梗塞リスクを評価するため、利用可能なすべてのエビデンスの系統的レビューを試みた。その結果、ARBと偽薬、ARBとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の間で、心筋梗塞リスクに有意な差はないことが示された。詳細はBritish Medical Journal誌電子版に2005年9月29日に報告された。

 ACE阻害薬が、左心室機能不全のある患者、最近の心筋梗塞の既往歴がある患者、心血管リスクの高い患者の死亡率と有病率を下げることを示すエビデンスがある。理論上ARBは、ACE阻害薬に比べ、アンジオテンシンIIの作用を阻害する効果は高く、忍容性もより高いと考えられた。

 しかし、先の複数の臨床試験では優越性は示されず、逆に心筋梗塞リスクの上昇が示唆された。その結果、医療従事者と患者の間に、ARBの使用に対する不安が生じた。このところの、ロフェコキシブなどの一般的な処方薬の回収も、副作用に対する警戒意識を高めている。

 著者らは、ARBの心筋梗塞リスクを確認すべく、各種データベースから抽出した比較対照試験の系統的レビューを実施した。ARBを偽薬またはACE阻害薬と比較した試験19件、3万1569人の患者を分析。うち2件は高血圧、4件は真性糖尿病および糖尿病性腎症、10件は心不全、3件は心筋梗塞または虚血症状を経験して間もない患者が対象。ARBと偽薬を比較したのは11件(2万1062人)、ACE阻害薬との比較は9件(1万625人)だった。

 まず、偽薬と比較した試験では、1万656人がARB、1万406人が偽薬に割り付けられていた。ARB群の心筋梗塞発症者は436人(4.09%)、偽薬群では450人(4.31%)。ランダム効果モデルにおいて、ARBの使用と心筋梗塞リスク上昇との間に有意な関係は見られなかった(プールしたオッズ比0.94、95%信頼区間0.75-1.16)。固定効果モデルでも同様となった(0.95、95%信頼区間0.83-1.09)。

 ACE阻害薬との比較では、5406人がARB、5219人がACE阻害薬の投与を受けていた。ARB群では435人(8.05%)、ACE阻害薬群では433人(8.30%)が心筋梗塞を発症。ランダム効果モデル(1.01、95%信頼区間0.87-1.16)、固定効果モデル(1.00、95%信頼区間0.87-1.16)のいずれにおいても差は認められなかった。

 著者らは、大規模前向き試験などによって、この問題に関する情報が追加されるまでの間、今回の結果が、この種の薬剤の安全性に関する不安を緩和するだろう、と述べている。

 本論文の原題は「Angiotensin receptor blockers and risk of myocardial infarction: systematic review」。アブストラクトは、BMJ誌Webサイトの[こちらhttp://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/bmj.38595.518542.3Av2]で閲覧できる。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200510/401685.html
日経メディカル オンライン 2005.10.5


アンギオテンシン受容体ブロッカーは心筋梗塞のリスクを増すか?
http://www.city-nakatsu.jp/hospital/digest1/digest200609/09_matsui.pdf


アンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)に心筋梗塞のリスク
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=62

 

 

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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

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皆さん、グーグルスカラーを活用してみえますか。
かくいう私は、恥ずかしながら今日の今日まで知りませんでした。
たまたま、きょう届いた卒業大学の同門誌を読んでいて「グーグルスカラーの検索の入り口には、巨人の肩の上に立てば、つまり先人の研究成果を学べば、遠くが見渡せるという標語が掲げてあります。医学・医療も先人の業績の上に成り立つ科学とその応用ですから、基礎知識は詰め込まなくてはいけない。・・・」という文章に目が止まりました。
えっ。
そんな言葉聞いたたことないんだけど。
早速ググッてみました。
http://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja
http://scholar.google.co.jp/
http://wiredvision.jp/archives/200411/2004111904.html

これからは、このグーグルスカラー。

思いっきり利用したいと思います。 

 

急性冠症候群患者の高血糖に全米規模の検討を
AHAが学術声明
〔米テキサス州ダラス〕米国心臓協会(AHA)は「高血糖と急性冠症候群」と題した学術声明をCirculation(2008; 117: 1610-1619)に発表した。
急性冠症候群(ACS)のため入院した患者の高血糖を巡る問題を取り上げ,全米規模の検討の必要性を強調している。

参考事項としてのガイダンス
今回の声明の執筆委員長でカリフォルニア大学サンフランシスコ校と復員軍人局医療センター(ともにカリフォルニア州フレズノ)心臓病学科長のPrakash Deedwania教授は「ACS患者の4分の1~2分の1は病院到着時に高血糖を呈しているが,高血糖は死亡率上昇に強く関連するにもかかわらず無視されることが多い」と指摘している。
多くの研究は,ACSによる入院中に高血糖が見られる患者では死亡率と院内合併症の発症率が上昇することを示しているが,医師の知識の差が大きい。
 
同教授は「高血糖とアウトカム不良との関連に関するわれわれの理解には欠けている点が多くある」と述べ,ACS患者における血糖値上昇が心筋傷害のマーカーやその原因であるのか否かは不明である点を挙げている。
 
ACS患者の血糖管理に関するエビデンスは現在集積中のため,医療チーム自体が重要な意志決定を強いられる。
AHAが学術声明を発表するのは明確な治療プロトコルが存在する場合であるのが通例だが,今回の分野では決定的なエビデンスに欠けるため,同声明では「一般的な参考事項」と題したガイダンスを示している。
 
同声明では,血糖値の上昇を呈する全ACS患者で院内評価の一環として糖尿病や耐糖能異常の有無を検討し,入院時に著しい高血糖が見られ集中治療室(ICU)で治療中のACS患者では血糖値を90?140mg/dLに維持することを推奨している。

国家的な努力が不可欠
Deedwania教授らは「米国立衛生研究所(NIH)などの機関は,ACS患者の高血糖に関する重要な疑問点の解明に向けて,適切な大規模ランダム化臨床試験を計画すべきである。こうした試験を実施しなければ,死亡率の低下に向けた治療の開発・実施が不可能である」と指摘。医療の改善が速やかに得られる研究に支援するといったNIHの最近の意向にも沿うとしている。
 
同教授は「われわれは救命と医療費削減について議論しており,これらの重大な問題の解決には国を挙げての努力が必要である」と述べている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41170132&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.4.24
版権 メディカル・トリビューン社

宮下 孝一  「バラ」   F6号   
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p118269878
 

<参考サイト>
■ 高血糖は予後不良の予測因子
救急部の初発急性心筋梗塞は高リスク群に
〔ニューヨーク〕 三軍總醫院(台湾・台北)救急部のChin-Wang Hsu博士らは,3 年間にわたる後ろ向きコホート研究により,「救急部における高い初期血糖値は初発急性心筋梗塞(AMI)患者における短期・長期予後不良の予測因子である。
したがって,救急部における初期血糖値の高い初発AMI患者は高リスク群とみなすべきである」と,詳細をAnnals of Emergency Medicine(2007; 49: 618-626)に発表した。

生存曲線に有意差
Hsu博士らは「高血糖は性,年齢,糖尿病の状態,梗塞部位,再灌流療法とは独立したリスクで,血糖値そのものがAMI後の心機能不良の基本マーカーとなる」と述べている。

中略

高血糖の解釈は慎重に
短期イベント,長期イベントともに救急部における初期血糖値や糖尿病状態との間に有意な関連性は認められなかった。
研究開始時点で糖尿病と診断されていたのは正常群では16%,中間群では24%,高値群では60%であった。また,糖尿病を合併していたAMI患者には高齢者と女性が多かった。
 
糖尿病患者では短期イベントリスクが有意に高かったが(OR 2.25,95%CI 1.25~4.04),長期イベントリスクは有意に上昇していなかった。
 
Hsu博士らは「AMI患者における初期血糖値は糖尿病に交絡されやすく,治療開始前の血糖値は信頼できないため,AMIストレスへの実際の血糖の応答を反映していない。
高血糖症は急性ストレスへの血糖応答として代表的なものではないことから,糖尿病を合併しているAMI患者に対する短期予後ないし院内死亡のマーカーとはならない」と述べている。
 
同博士らによると,高血糖症の短期作用と長期作用の機序は大幅に異なっている。
短期的アウトカムに関しては急性ストレス関連イベントが指摘され,とりわけ重要なのはストレスホルモンにかかわる機序,あるいは梗塞の範囲それ自体である。
ストレスが激しいほど血清カテコールアミン分泌が高まり,血糖応答も刺激される。血漿カテコールアミンはAMI後の心原性ショックリスク上昇に関連していると報告されている。
一方,高血糖症は梗塞規模の大きさの結果で,重度の心筋損傷の範囲を反映している。

基盤に耐糖能異常
一方,長期予後に強く関連するのは高血糖が血栓形成を促進するとともに,側副血行を抑制するため梗塞が広がることである,とHsu博士らは説明している。
 
また,初期血糖値が高かった患者の75%は,糖尿病を有していたことも長期予後に強く関連していた。
同博士らによると,初期血糖値が高かった患者は血糖管理が不良だった可能性があり,もしそうであれば大血管疾患と微小血管疾患の有病率が高まり,長期的に有害な心血管イベントに影響する。
 
しかし,初期高血糖は糖尿病と診断されていなかった患者にも長期的問題を引き起こす可能性がある。
これらの患者の一部は未診断の糖尿病,また一部は糖代謝障害であるかもしれない,と同博士らは示唆している。
 
先行の前向き研究によると,AMI後のグリコシル化上昇は,非糖尿病患者においても,未診断の糖尿病患者においても 4 ~8 週間持続する(Chandalia HB, et al. Lancet 1984; 2: 811-812)。
 
同博士らは,この知見からも今回の研究の知見からも,ストレス性高血糖症は基盤にある耐糖能異常を反映するものであると結論している。
そうであれば,このような基盤となる耐糖能異常が,AMI後の短期的な心臓アウトカムと長期的な心血
管イベント双方のリスク上昇に関連しているはずである。

ストレス性高血糖症の管理は不要
Hsu博士らは「ストレスレベルが低下するまでAMI患者に対してストレス性高血糖症をコントロールする必要はないだろう。耐糖能異常あるいは明瞭な糖尿病が48~72時間または2 ~4 週間持続するなら,長期的な有害心血管イベントを予防するために,高血糖に対する強力な代謝治療が必要となるであろう」と示唆している。
 
今回の研究は,初発AMI中の初期血糖値に焦点を当てた点でユニークであるが,血糖値とAMIとの関係についてはこれまでもよく研究されている。
いくつかの先行研究によると,入院時の高血糖は心不全,心原性ショック,AMI後死亡などの心臓アウトカムの独立した予測因子で,このことは糖尿病患者に関しても非糖尿病患者に関しても実証されている。
 
多くの研究が示すように,入院時高血糖症のAMI患者においては,短期,長期の有害イベントリスクとも高まる。
 
同博士らは「高血糖症は過剰なストレスホルモン応答に関連し,この応答は梗塞範囲にも梗塞規模にも無関係である」との興味深いコメントを寄せている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E6%80%A5%E6%80%A7%E5%BF%83%E7%AD%8B%E6%A2%97%E5%A1%9E%E3%80%80%E8%A1%80%E7%B3%96&perpage=0&order=0&page=0&id=M4051861&year=2007&type=allround

出典 Medical Tribune 2007.12.20
版権 メディカル・トリビューン社

■ JACSSの特徴は症例数が非常に多いことで,このため興味深いデータが数多く得られている。その1つが,院内死亡率と血糖値の関係を調べた成績である。入院時の血糖値を6段階に分けて院内死亡率との関係をみたところ,血糖値が高い患者ほど死亡率が高かった。このデータから,急性心筋梗塞患者では,入院時の血糖値が予後に大きな影響を及ぼしていることがわかる。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E6%80%A5%E6%80%A7%E5%BF%83%E7%AD%8B%E6%A2%97%E5%A1%9E%E3%80%80%E8%A1%80%E7%B3%96&perpage=0&order=0&page=1&id=M3830361&year=2005&type=allround
出典 Medical Tribune 2005.7.28
版権 メディカル・トリビューン社


■入院時に血糖値を測定したAMI患者1,253例を検討した結果,血糖値の高い患者ほど,院内死亡率が高かった。このデータからAMI患者では,血糖値が予後に影響を及ぼしていることが示唆された。同氏によると,AMI患者にPCIを施行して冠動脈を開いても,血糖値が高い患者の場合には,No-reflow現象?すなわち血管閉塞が解除された後にも血流が再開しない現象?が発生して,死亡につながるケースが多いという。そのため,ACSの発症予防には,血糖コントロールが重要だと強調した。
出典 Medical Tribune 2006.9.7
版権 メディカル・トリビューン社

<番外編>
80歳以上ではECG標準値の変更を
〔米オハイオ州クリーブランド〕メイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)救急医療学のLatha Stead助教授らは,年1回の定期健診のために同クリニックを受診した80歳以上の患者702例の心電図(ECG)を分析した結果,80歳以上の患者に対しては,ECGを評価する際に標準的なカットオフ値を変更すべきであるとの知見をAmerican Journal of Geriatric Cardiology(2008; 17: 87-91)に発表した。

間隔のカットオフが最大2倍
Stead助教授らは,80歳以上の集団では,ECGのPR間隔,QRS間隔,QT間隔の延長を評価するための平均的なカットオフ値が標準値よりも大きくなることを見出した。
また,参加した331例の男性では,間隔の差が有意に増大していた。
 
被験者の約18%は心疾患の既往を有していたため,標準域は心疾患の既往歴がないか,あるいは心疾患治療薬を服用しているいわゆる「健康な」小集団578例に基づいて設定された。
 
被験女性のECG上の各間隔の平均的なカットオフ値は,文献で報告されている数値よりも高くなっていた。
男性ではその差がさらに大きく,文献にある数値の2倍の例もあった。
 
これらの知見から,同助教授は「80歳以上の患者に対しては,年齢と性の観点からECG所見の標準値を見直したほうがよいだろう」と推奨している。
 
さらに,同助教授は「高齢者の割合が急速に増加している現状を考えると,今回の研究は特に意義深い」とし,「中年の集団には標準であることが,高齢者層では標準になりえない可能性がある」と付け加えた。

出典 Medical Tribune 2008.4.24
版権 メディカル・トリビューン社

 

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~2008.5.21
があります。

 

 

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ビバリルジン

戯れ言たれる侏儒 / 2008.06.15 00:28 / 推薦数 : 0

ビバリルジンはST上昇心筋梗塞の大出血リスクを低減
ヘパリン+GP IIb/IIIaとの比較試験の結果

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後のGP IIb/IIIa阻害薬投与は、短期的、長期的な死亡リスクを減じる可能性がある半面、出血性合併症と血小板減少症のリスクを高める。
ST上昇心筋梗塞(MI)でPCIを受ける患者を対象に、ヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬とビバリルジン(商品名:アンジオマックス)の出血リスク、心血管イベントリスクなどを比較する前向き無作為化試験の結果、ビバリルジン群の方が、割り付けから30日間の大出血が少なく、無イベント生存率も高いことが示された。
米国Columbia大学のGregg W. Stone氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年5月22日号に報告された。

米国ではPCIを受ける患者の90%超にGP IIb/IIIa阻害薬が投与されている。
安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇急性冠症候群によりPCIを受ける患者を対象に先に行われた大規模無作為化試験の結果は、ヘパリン++GP IIb/IIIa阻害薬とビバリルジンを比較すると、PCI後の虚血抑制効果は同等だが、出血と血小板減少症のリスクはビバリルジン群のほうが低いことを示した。 
しかし、よりハイリスクとなるST上昇MIでPCIを受ける患者を対象に、ビバリルジンの安全性と有効性を評価した研究はこれまでなかったため、著者らは国際的無作為化試験を行った。

対象としたのは、1mm以上のST上昇、新規左脚ブロック、または純後壁心筋梗塞が認められ、症状発現から12時間以内にプライマリPCIを受けることになった18歳以上の患者3602人(平均年齢60.2歳)。
2005年3月5日から2007年5月7日まで、11カ国の123医療機関で登録した。
患者を、未分画ヘパリン++GP IIb/IIIa(1802人)、またはビバリルジン単剤(1800人)に無作為に割り付けた。

緊急血管造影後、92.7%の患者がPCIを、0.2%が時期を置いてPCIを受けた。
プライマリCABGが1.7%、薬物療法が5.3%に適用された。

主要エンドポイントは大出血と有害事象に設定した。大出血は、頭蓋内または眼内の出血、アクセス部位に生じた出血(5cm以上の血腫または介入が必要な出血)、ヘモグロビン値が4g/dL以下(出血場所が明らかでない場合)または3g/dL以下(出血場所が明らかな場合)、出血が原因の再手術、輸血が必要、と定義した。
TIMIとGUSTOに基づく出血の評価も行った。

有害事象は、大出血と有害な心血管イベント(死亡、再梗塞、標的血管の梗塞による血行再建術、脳卒中)を合わせた複合イベントとし、分析はintention-to-treatで行った。

ビバリルジン単剤をヘパリン++GP IIb/IIIa阻害薬と比較すると、30日時の複合有害イベントは前者で有意に少なかった。
それぞれ9.2%と12.1%で相対リスク0.76(95%信頼区間0.63-0.92、P=0.005)。差は主に大出血の頻度が低いことに起因していた(4.9%と8.3%、0.60、0.46-0.77、P<0.001)。心血管イベントの発生率は5.4%と5.5%、相対リスクは0.99(0.76-1.30、P=0.95)で差はなかった。

後付け解析で、大出血の定義から血腫を除くと、ヘパリン++GP IIb/IIIa群のイベント発生率は7.8%に減少したが、ビバリルジン群は4.7%となり、引き続き有意差は明らかだった(P<0.001)。

ビバリルジン群ではヘパリン++GP IIb/III群に比べ、TIMIスケール(大出血が3.1%と5.0%、P=0.002)とGUSTOスケール(生命を脅かすまたは重症の出血と中症の出血を合わせると3.5%と5.6%、P=0.002)に基づく出血性合併症が有意に少なかった。
また、血小板減少症(中症が1.1%と2.9%、P=0.003、重症が0.3%と0.9%、P=0.02)、輸血の必要性(2.1%と3.5%、P=0.009)にも有意差が見られた。

ヘパリン++GP IIb/IIIa群に比べ、ビバリルジン群の30日時の心イベントによる死亡率は有意に低かった(1.8%と2.9%、0.62、0.40-0.95、P=0.03)。
全死因死亡も同様(2.1%と3.1%、0.66、0.44-1.00、P=0.047)だった。

再梗塞、標的血管血行再建術、脳卒中の頻度には差はなかった。

ステント留置が成功した3124人について、30日までのステント血栓症の発生率に差はなかった(2.5%と1.9%、P=0.30)。しかし、当初24時間では、ビバリルジン群でステント血栓症が17人多かった(1.3%と0.3%、P<0.001)。
一方、24時間後から30日目までのステント血栓症はビバリルジン群で7人少なかった(1.2%と1.7%、P=0.28)。

このように、ビバリルジン単剤は、ヘパリン++GP IIb/IIIaに比べ、プライマリPCIを受けるST上昇MI患者の30日間の大出血と複合有害イベントを有意に抑制することが明らかになった。


ビバリルジンはST上昇心筋梗塞の大出血リスクを低減
日経メディカル オンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200806/506812.html


原著
Bivalirudin during Primary PCI in Acute Myocardial Infarction
http://content.nejm.org/cgi/content/short/358/21/2218