戯れ言たれる侏儒
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SHRで降圧効果と腎保護作用を確認
アンジオテンシンⅡ(AⅡ)ワクチンの効果を検証する第Ⅱa相試験の結果が2008年にLancetに報じられ,特に早朝から日中 での有意な降圧効果が明らかになった。
しかし,降圧作用の機序や腎障害に対する効果など不明な点が多い。慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科(伊藤裕教授,篠 村裕之准教授)のグループは,AⅡタイプ1(AT1)受容体ワクチンの高血圧自然発症ラット(SHR)への効果を検証。
降圧効果だけでなく,腎保護作用も確認。
3回接種で約半年間効果が持続することが判明したと,同グループの畔上達彦氏が第34回日本高血圧学会〔会長=自治医科大学内科学講座循環器内科学部門・島田和幸教授(同大学病院長)〕で報告した。
 
3回接種が至適,効果は約半年持続
検証は,AT1受容体ワクチンの降圧効果と腎保護効果の解析,至適接種回数と降圧の機序,同ワクチンの長期効果の3局面で行った。
 
まず,AT1受容体第2細胞外ループの181~188アミノ酸にシステインを付加し,キャリア蛋白質KLHと結合させた。さらにフロイントアジュバント を加えて,AT1受容体ワクチンを作製。
また,無処置のSHR以外の全群に,18~21週齢にかけてNO合成酵素阻害薬L-NAMEを投与,高血圧・腎症 モデルとした。
これらのSHRを,L-NAMEのみ投与のコントロール群,4週齢,6週齢,8週齢にワクチンを皮下接種したワクチン群,KLHのみ接種し たvehicle群,ヒドララジン投与群,カンデサルタン投与群の5群に分けた。
降圧薬は,ワクチン接種群と同等の血圧を維持するよう用量を調節した。
 
SBPは,9週齢以降,コントロール群,vehicle群と比べてワクチン群,降圧薬投与群では有意に低下した(P<0.05)。
尿蛋白は,コントロール群,vehicle群で著明に増加したが,ワクチン群,カンデサルタン群で抑制された。
ヒドララジン群では,上記2群と同等の血圧を維持したが,尿蛋白 抑制効果は認められなかった。
また,糸球体スリット膜蛋白ネフリンとポドシンの発現を蛍光免疫染色で検討したところ,ワクチン群とカンデサルタン群でいず れの蛋白質も発現量が有意に増加していた。
 
次いでワクチン接種回数を1,3,6回とし,降圧効果と抗体機能を評価。1回接種では有意な降圧効果は得られず,3回接種群で10週齢以降に血圧が有意に低下。
6回接種でもほぼ同等の結果が得られた。
抗体価も3回接種,6回接種でほぼ同等の良好な上昇を示した。
抗体機能を評価するため,vehicle 群,ワクチン群の尾静脈からAⅡを投与したところ,vehicle群では注射後著明に血圧が上昇したが,ワクチン群では血圧上昇は抑制された。
ラットの培養血管平滑筋細胞にvehicle群の血清IgG,ワクチン群の血清IgGをそれぞれ添加した後,AⅡを投与した実験では,ワクチン群の血清IgG投与でのみ,細胞増殖に関与する細胞外シグナル調節キナーゼ(Erk)のリン酸化が抑制された。
 
ワクチン群とvehicle群を約1年にわたり追跡した結果,ワクチン群の降圧効果は接種後約半年間持続し,抗体価は10~14週齢でピークに達した後,半年~1年で漸減した()。
 
図表
畔上氏は一連の実験結果から,「AT1受容体ワクチンにより,高血圧だけでなく腎障害の予防効果も期待できるのではないか」と述べた。
出典 Medical Tribune  2012.11.24
版権 メディカル・トリビューン社

 

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アリスキレン+RA系阻害薬による高K血症・急性腎障害のメタ解析
カナダの研究
カナダ・トロント大学のZiv Harel氏らは,レニン阻害薬アリスキレンとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)併用の安全性に関するシステマチックレビューとメタ解析の報告を行った(BMJ 2012; 344: e42)。
両者の併用による高カリウム(K)血症のリスクは,各薬剤の単独療法に比べ有意に増加していたが,急性腎障害のリスクの有意な増加は見られなかったという。
降圧療法におけるRA系阻害への期待と安全性の現状
高血圧治療および高血圧に伴う臓器障害治療の成績を向上させるには,レニン・アンジオテンシン(RA)のより完全な阻害が必要ともいわれている。
その期待を裏付けるかのように,各企業の開発競争はすさまじく,現在,世界各国で用いられているRA系阻害薬の種類はACE阻害薬12種類,ARB8種類の計20種類にも上る。
ジェネリックを除けば,同一クラスに属する薬としては類を見ない多さだろう。
一方,これまでACE阻害薬とARBの併用による臨床試験では,必ずしも期待された成績はまだ得られていないようだ。
Harel氏らはその1例としてONTARGET試験を挙げ,緊急透析を必要とする急性腎障害や高K血症といった有害事象が同試験で見られたため,関連学会が両者の併用は慎重に行うべきとの見解に達したと紹介している。
 
10件,計4,814例の糖尿病患者含むRCTを解析
レニン阻害薬のアリスキレンは発売以来,臨床現場での使用が拡大しているが,他のRA系阻害薬との併用による安全性を判断するための十分な規模の検討はまだないとHarel氏ら。
そこで他のRA系阻害薬との併用による安全性について,システマチックレビューとメタ解析を行うこととした。

同氏らは,既に論文発表されたランダム化比較試験(RCT)のほか,学会抄録,あるいは企業による未発表のRCTのデータを収集。
10件のRCT における4,814例の解析を行った。
被検薬の投与期間は少なくとも4週間以上で,高K血症および急性腎障害に関するデータが含まれているものが対象となった。
ほとんどすべての試験に糖尿病患者がエントリーされていたほか,試験期間における安全性評価期間は5件の試験で投与開始から8週時点までに行われていた。
 
併用で高K血症は1.5倍以上,急性腎障害は増加せず
解析の結果,アリスキレンおよびACE阻害薬またはARBの併用療法により,各薬剤の単独療法に比べ,高K血症リスクの有意な増加が認められた

一方,急性腎障害については,単独療法に比較して有意なリスクの増加は見られなかった。

Harel氏らは,今回の解析対象となった試験の登録患者では比較的腎機能が保たれていたと評価。
その上で,アリスキレンと他のRA系阻害薬の併用療法では,単独療法に比べ高K血症の有意なリスク上昇が見られた一方,急性腎障害リスクの影響は認められなかったと結論。
ただし,今回の解析結果を日常臨床に一般化できるかは不明だという。
アリスキレンと他のRA系阻害薬の併用療法の有効性や安全性については,現在進行中のALTITUDE(最近中止)やATMOSPHEREなどの試験結果が待たれると述べている。         (坂口 恵)
出典 MT Pro  2011.11.2
版権 メディカル・トリビューン社

 
<私的コメント>

最近の循環器領域の大規模臨床試験やメタ解析は「糖尿病を合併した・・・」対象が多いようです。
今回の論文も「ほとんどすべての試験に糖尿病患者がエントリーされていた」ということです。
「比較的腎機能が保たれていた」ということなので、糖尿病の有無で高K血症がそんなに変わるとも思えません。
しかし、ちょっとひっかかります。
さて、この論文での高K血症の定義がちょっとわかりませんが、不整脈に関しては低K血症の方が心配な気もします。
不整脈を予防するには低Kより高K傾向の方が、(心停止の恐れを除けば)有利ではないでしょうか。
   
<番外編>
処方ミス多発で名称変更 大日本住友の高血圧症薬
 大 日本住友製薬は13日、同社が販売する血圧を下げる薬「アルマール」について、名称が似ている別の薬を医師や薬剤師が処方するミスが多発しているため、 薬品名を変更することを明らかにした。昨年12月、厚生労働省に変更を申請しており、早ければ6月から新しい名称で販売する。 (共同通信社 2012.1.16)
http://community.m3.com/doctor/showNewsArticleDetail.do?boardId=3&boardTopicId=181215&messageListBoardTopicId=181215&newsArticleId=1786250

<私的コメント>
アマリール(サノフィ・アベンティス)は変更予定はないとのことです。
アルマールは、1985年、アマリールは2000年から日本で発売。
先行発売のアルマールが折れた形になります。
2010年度の売上高が前者26億円、後者292億円ということで「浴びせ倒し」状態です。

タキソールとタキソテール、サクシンとサクシゾンも「関連メッセージ」で指摘されていました。
ユリノームとユリーフもヒヤリハットの事例だそうです。
 
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ALTITUDE試験早期中止

戯れ言たれる侏儒 / 2012.01.13 00:14 / 推薦数 : 1
ALTITUDE試験早期中止に熊本大・小川久雄教授がコメント
高血圧や糖尿病高リスク患者へのレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の有用性は確立しているが,ACE阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の併用による強化治療の有用性については,ONTARGETなどの大規模臨床試験で証明されていない。
しかし,高リスク患者の管理において,RA系抑制強化による効果を期待する専門家も多く,血管障害の進行した2型糖尿病患者へACE阻害薬やARBへのレニン阻害薬アリスキレン上乗せ効果 を検証したALTITUDE試験には期待が集まっていたが,同試験においてもイベントリスク上昇が認められ,早期中止に至った。
詳細な結果は未発表の段階だ。
以下は,この問題についての熊本大学循環器病態学・小川久雄教授の緊急コメント。
教授は,対象設定が妥当であったか,また細心の注意を要する治療に対して十分な管理が行われていたかどうかについて疑問を呈している。

十分な管理が行えていたか,対象は妥当であったか
ALTITUDE試験の中止理由として,非致死性脳卒中や腎合併症,高カリウム血症などの有害事象発現が指摘されているが,日本で通常行われている診療,つまり2週間から少なくとも1カ月に1回の頻度でしっかり患者を診ていれば,このような事象は発生しないだろう。
欧米では,通常のフォローアップ 期間が平均3カ月程度であり,腎機能検査や血液検査が十分に行えていなかった可能性がある。
 
ALTITUDE試験の早期中止とイベント事象増加を受けて,ノバルティスファーマから糖尿病合併高血圧患者においてはACE阻害薬やARBにアリスキレンを併用しないという趣旨の「一時的な予防措置」が発表されているが,個人的な考えとしては必要ないと思っている。
十分な管理を行った上で併用すればイベント増加にはつながらないからだ。
 
腎機能が悪化している症例でも注意深く管理しながら併用すれば,効果は得られる。
ACE阻害薬とARBの併用についても,東京慈恵会医科大学循環器内科教授の吉村道博氏らのグループが,重症心不全例に対して,厳重な管理の上で効果を見いだしている(Circ J 2008; 72: 2004-2008)。
われわれも,生命が危ぶまれるほど重症でありながら,徒歩で退院できた症例も経験しており,結果が独り歩きすることには危機感を抱いている。
 
また,ALTITUDE試験の対象(アルブミン尿や心血管疾患既往と腎機能低下を合併する2型糖尿病患者)が,併用治療の効果を評価するには血管障害が進行し過ぎていた可能性もある。最終結果を待って,慎重に検討したい。
           (田中 かおり)
出典 MT pro  2012.1.11
版権 メディカル・トリビューン社

 

<私的コメント>
この記事には
「本記事は,RA系阻害薬の併用療法という今後も検討すべき臨床上の重要テーマについて専門家の意見を聞いたもので,現時点においてアリスキレンとACE阻害薬やARBとの併用を勧める意図はありません。」
と「編集部注」が書かれています。
 
<関連サイト>
ALTITUDE試験中止

日本でのアリスキレンに関する一時的措置
http://yaplog.jp/hurst/archive/222

 

 
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豊橋ハートセンターのの寺島充康先生の、 DES留置後の血管内皮機能障害がテルミサルタンにより改善するかどうかをみた発表記事(AHA2010、シカゴ)で勉強しました。
 
DES留置後の血管内皮機能障害に対するテルミサルタンの効果
DES留置後に局所の内皮機能障害が起こることは既に知られており、それが将来の心血管イベントと関連している可能性があります。
Angiotensin Ⅱ Receptor Blocker(ARB)は内皮機能に有用な作用をもたらすことが報告されています。
我々はその作用を検証することを目的に、ARBのクラスエフェクトに 加えて選択的PPARγ活性化作用を持つテルミサルタンを用いて、Ca拮抗薬のアムロジピンと比較検討する前向き無作為研究を行いました。

本研究では、シロリムス溶出ステント(SES)で治療予定の新規冠動脈病変を有する高血圧症を合併した安定型狭心症患者 51人を登録し、テルミサルタン治療群(25人)、又はアムロジピン治療群(26人)に無作為に割り付け、まずSES留置前にアセチルコリンとニトログリ セリンの冠動脈注入により内皮依存性、非依存性の血管反応を観察しました(〈
図1〉)。 
 
 
冠動脈造影の48時間前から血管作動薬はすべて中断し、アセチルコリン冠注前のコントロール、アセチルコリン(10-7mol/Lと10-6mol/L)の冠注後、ニトログリセリン(200μg)の冠注後に冠動脈造影を行い、SESの遠位端の5mmから25mmの内腔径を定量的に計測し、この20mmのセグメントの平均内腔径を求めました。

SES留置前の評価において、アセチルコリン冠注によりテルミサルタン群の4例、アムロジピン群の5例に病変部位、あるいはその他の部位において有意な冠攣縮が誘発されたため除外し、テルミサルタン群、アムロジピン群、各々21例を対象とし、3ヶ月に再度アセチルコリンとニトログリセリンの冠注による血管反応を評価しました。 

 
両群の患者背景、また登録時点でのARB/アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、Ca拮抗薬、βブロッカー、スタチン、経口糖尿病薬の使用率に有意な差を認めておりません。

追跡期間中、降圧薬として試験薬以外のARB/ACE阻害薬、あるいはCa拮抗薬の併用は禁止しており、スタチンによる内皮機能改善効果も考えられることから、背景を揃えるために試験薬開始と同時に全例にフルバスタチン30mg/日を投与しました。

また追跡期間中、選択的PPARγ活性化作用のある糖尿病 治療薬、ピオグリタゾンは投与しておりません。

テルミサルタン群とアムロジピン群の冠動脈病変背景、あるいはカテーテル治療手技としては、標的血管にも差はなく、タイプB2/C病変の割合、病変毎のステント本数、ステント径、ステント長、並びに最終バルーン拡張圧にも両群の差はありませんでした。


テルミサルタン群でテルミサルタンの平均用量は78.1mg、アムロジピン群でアムロジピンの平均用量は7.9mgで、追跡期間中の併用薬物療法も両群に差はありませんでした。 

 
結果ですが、治療前の収縮期/拡張期血圧、平均血圧、及び3ヶ月後の収縮期/拡張期血圧、平均血圧、更には3ヶ月間での血圧変化には両群の差はありませんでした。

ラボデータでは、テルミサルタン群とアムロジピン群のLDL-Cは治療前(113mg/dL vs 104mg/dL: p=0.33)、3ヶ月後(101mg/dL vs 111mg/dL: p=0.25)とも差はありませんでしたが、その変化量には有意差が確認されました(-11±21mg/dL vs 7±22mg/dL: p=0.01)。HDL-C、中性脂肪、hs-CRPについては治療前、3ヶ月後、及びその変化量に差はありませんでした。


空腹時血糖値、ヘモグロビンA1cについても、治療前、3ヶ月後、及びその変化量に両群間で差はありませんでした。

ただ、興味深いことに、アディポネクチンは治療前と3ヶ月後に両群間で有意差はありませんでしたが、その変化量はアムロジピン群では-1.6±2.4μg/dLに対し、テルミサルタン群では 0.4±1.0μg/dLで、両群に有意差が認められ(p=0.02)、アムロジピン群ではアディポネクチンレベルが低下したのに対し、テルミサルタン群では維持されました。 
 
冠動脈造影における評価で、SES留置前のコントロール、及びアセチルコリンとニトログリセリン冠注後の平均血管内腔径は両群で差を認めませんでした。
ところが、3ヶ月後では両群でコントロールには差はなかったのですが、アセチルコリン10-7mol/L、及び10-6mol/L注入後の平均内腔径はアムロジピン群で有意に低値でした。
その後のニトログリセリン冠注後の平均内腔径には両群に差は認めませんでした。

アセチルコリンに対する血管内皮依存性、ニトログリセリン対する内皮非依存性の血管反応の指標として、それぞれの薬剤冠注後の平均内腔径とコントロール造 影時の平均内腔径との比を算出しました(平均内腔径の変化率)。

SES留置前では、アセチルコリン注入時、及びニトログリセリン注入時いずれの変化率にも 差を認めませんでしたが、3ヶ月後にはアセチルコリン注入時の変化率に両群で有意な差を認め、テルミサルタン群で低値でした(<図2>)。
し かし、ニトログリセリン注入時の変化率には差を認めませんでした。 
 
 
 
以上、高血圧を伴う安定型狭心症患者において、SES留置後の冠動脈内皮機能障害によって生じるアセチルコリンによる冠攣縮は、テルミサルタン治療 によりアムロジピン治療と比べて有意に緩和されました。
治療期間でのアディポネクチンレベルの変化にも差を認めたことから、この効果はARBのclass effectに加えて、テルミサルタンの選択的PPARγ活性化作用も寄与した可能性が推測されます。
これらから、高血圧を伴う狭心症患者のDES留置後 の内科的治療としてのテルミサルタンの血管内皮保護作用が示唆されました。
https://www.tcross.co.jp/specialtopic2010_1/index.php
 
<自遊時間>
 
ニコラウス・ステノ
http://media.yucasee.jp/posts/index/10084
 
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PCI後の生命予後改善策

戯れ言たれる侏儒 / 2012.01.10 00:58 / 推薦数 : 1

徳島大学 佐田政隆教授の記事で勉強しました。
サブタイトルは「内皮機能の観点からイベント抑制を考える」 です。

 
脂質異常、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満などの危険因子があると、酸化ストレスやレニンアンジオテンシン(RA)系などを介して内皮障害や炎症細胞の賦活化が起こり、動脈硬化が進展します。
これまでの報告からはRAS系が亢進するとプラーク破綻 が誘発されることが分かっており、大阪労災病院の星田氏らからは、ACS患者では血中のACE活性の亢進は検出できないものの、血管局所で亢進が認められたことが報告されています1)
アンジオテンシンⅡは内皮機能の障害、酸化ストレスの増加などの悪影響をもたらします。
我々はマウスの実験でAT1aRが欠損するとコレステロール値が同じでも動脈硬化が半分になることを確認しており2)、 また、テルミサルタンを用いると、ヒドララジンと比べて動脈硬化がより強力に抑制され、脂質の沈着が減少し、不安定プラークを安定化させることを確認しま した。
つまり、アンジオテンシンⅡを遮断すると血圧が低下するのみではなく、炎症や内皮障害が抑制されることが分かっています。
 
我々は高血圧を合併したPCI施行患者40人をテルミサルタン群(メバロチン10mg/日+テルミサルタン80mg/日)、又は非テルミサルタン群 (メバロチン10mg/日+RAS系抑制薬を除く降圧治療)に無作為に割り付け、6ヶ月の追跡を行い冠動脈内プラーク組成に対する影響を比較しました。
本試験ではベアメタルステント(BMS)を留置しても良好な結果が得られると判断した大きな血管径の複雑でない病変に対してDriverステントを留置し、 ステント留置部位の4.5mm近位部のプラーク性状をIB-IVUSにて観察しました。
両群で血圧は同様に低下しました。
IB-IVUSによる観察で は、テルミサルタン群では線維性成分量がベースラインの48.1%から6ヶ月後は54.4%へと有意に増加したのに対し(p=0.03)、コントロール群 では57.5%から57.3%と変化はなく(p=n.s.)、脂質量はテルミサルタン群がベースラインの46.0%から6ヶ月後には38.4%へと低下し (p=0.03)、コントロール群では28.0%から27.7%と変化はありませんでした(p=n.s.)。
つまり、テルミサルタン群では線維性組織が増 え、脂質が減ったことから(図1)、半年間でプラークが安定化したと考えられます。
 
 
 
更に、テルミサルタンによるプラークの退縮も確認されました。
平均血管面積はテルミサルタン群、コントロール群の両群でベースラインと6ヶ月後とも差はなかったのですが、平均内腔面積はテルミサルタン群ではベースラインで7.9mm2、6ヶ月後は8.5mm2(p=0.03)と有意な増加を認めたのに対し、コントロール群ではそれぞれ8.0mm2と9.6mm2(p=n.s.)と差はありませんでした。
そして、プラーク量はテルミサルタン群では21.1mm3から19.4mm3へと有意に低下し(p=0.003)、コントロール群では差はありませんでした(両方21.8mm3: p=n.s.)。
また、冠循環局所採血を行い、炎症マーカーの測定をし、冠静脈 洞濃度-バルサルバ洞濃度と定義した冠循環血中濃度変化を見ると、CRPはテルミサルタン群とコントロール群に差はなかったのですが、PTX3、TNFα の変化率はコントロール群では変化はなかったものの、テルミサルタン群で有意差には至りませんでしたが、低下傾向が見られました。
 
動物実験からは、他のARBでも抗動脈硬化作用はあるものの、テルミサルタンではよりその作用が強いことを我々は確認しています。
その理由の1つにテルミサルタンは組織親和性が高く、目的臓器の組織へ移行しやすいという特徴が挙げられ3)、これが長時間の安定した降圧にも影響していると考えられます。
抗動脈硬化作用を有する薬剤として、PPARγ活性化作用を持つピオグリタゾンが近年注目されています。
しかし、新たな薬剤の追加は患者負担も大きくなります。
テルミサルタンはピオグリタゾンの1/3程のPPARγ活性化作用を持つことが確認されています4)
我々も研究を行いましたが、PPARγを活性化すると脂肪細胞からアディポネクチンが増加しますが、テルミサルタンもピオグリタゾンと同様にアディポネクチンの発現を増加させることを確認しました(図2)。
従いまして、テルミサルタンは血管にも代謝にも有益な作用を持つ薬剤と考えられます。
 
また、我々のAT1ノックアウトマウスの実験でも、テルミサルタンを加えると付加的な抗動脈硬化作用が認められたことから、テルミサルタンにはARB以上の効果があることが証明されています(図3)5)
 

 
1) Hoshida S, et al. Circulation. 2001; 103: 630-633
2) Fukuda D, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2008; 28: 90-96
3) Kurtz T, et al. J Hypertens. 2004; 22: 2253-2261
4) Schupp M, et al. Circulation. 2004; 109: 2054-2057
5) Fukuda D, et al. Biomed Pharmacother. 2010; 64: 712-717

 
https://www.tcross.co.jp/specialtopic2010_2/index.php

 

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ARBが骨量を増加させる!?

戯れ言たれる侏儒 / 2011.12.24 00:44 / 推薦数 : 1
ARBが骨量を増加させる!?
明らかになりつつあるレニン・アンジオテンシン系の骨作用
研究の背景:骨と血管には深い関係がある(骨-血管連関)
骨粗鬆症と動脈硬化性疾患はともに高齢者に多く,しばしば合併するのは日常的によく経験することである。
これは,さまざまな疫学調査でも裏付けられており,これらの疾患の病態間になんらかの関連が存在する可能性が想定されてきた。
 
近年の研究の進展により,動脈硬化巣の石灰化は受動的なカルシウム沈着ではなく,血管平滑筋などの間葉系細胞がRunx2,Msx2などの骨形成 に関連する転写因子を発現して,骨・軟骨細胞様細胞への形質転換を起こし,骨形成と類似した様式により,能動的に石灰化をもたらすことが明らかになりつつある。
また,破骨細胞形成に必須の因子であるRANKLが動脈石灰化を促進すること,そして内因性のRANKL阻害因子オステオプロテゲリン(OPG)が動脈石灰化を抑制することも示されており,破骨細胞形成にかかわる因子の関与も示唆されている。
 
逆に,心血管系因子の骨への作用も報告されている。
例えば,中枢神経系や血管内皮細胞から分泌されるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は内因 性骨伸長促進因子であり,その受容体B型グアニル酸シクラーゼ(GC-B)遺伝子の機能喪失型変異によりマロトー型遠位中間肢異形成症がもたらされる。
本症患者は,出生直後の骨格系には顕著な異常を認めないが,著明な骨伸長障害のため最終身長はー5SD以下となる。
 
また,血圧調節における中心的な内分泌系であるレニン・アンジオテンシン(RA)系の構成因子であるアンジオテンシン変換酵素(ACE),アンジ オテンシンⅡ1型(AT1)受容体,同2型(AT2)受容体などが骨の細胞に発現すること,アンジオテンシンⅡが骨芽細胞に作用してRANKLの産生を促進し,骨吸収を亢進させて骨量を減少させることなどが報告されている。
 
今回,国立長寿医療研究センターの兼子佳子氏らは,AT1a受容体遺伝子欠損マウスを解析し,RA系が骨代謝回転を抑制し骨量を減少させることを報告した(J Bone Miner Res 2011; 26: 2959-2966)。
 
研究のポイント:AT1a受容体欠損マウスでは骨代謝回転が亢進して骨量が増加
脛骨近位部海綿骨の骨密度をマイクロCTを用いて3次元的に測定したところ,25カ月齢雄のAT1a受容体遺伝子欠損マウス(−/−)では,同齢の雄野生型(+/+)マウスに比べてBV/TV(骨密度)が有意に増加していた(図1)。
 
図1
 
同様に,12週齢雌AT1a受容体遺伝子欠損マウス(−/−)は同齢の雌野生型マウス(+/+)よりも脛骨近位部海綿骨のBV/TV(骨密度)が有意に高く,卵巣摘除により骨密度は低下しなかった(図2)。
 
図2
 
脛骨骨幹端における骨形態計測の結果,骨吸収の指標である骨面当たり吸収面(ES/BS),骨面当たり破骨細胞面(Oc.S/BS),骨面当たり破骨細胞数(N.Oc/BS),骨形成の指標である骨面当たり類骨面(OS/BS),骨面当たり骨芽細胞面(Ob.S/BS),骨面当たり骨形成率 (BFR/BS)は,いずれも野生型マウス(+/+)に比べてAT1a受容体遺伝子欠損マウス(−/−)で有意に上昇しており,本遺伝子欠損マウスでは骨 代謝回転が亢進していることが示された(図3)。
 
図3
 
考察1:RA系降圧薬が骨を増やす可能性
これは大変に興味深く,また臨床的にも重要な注目すべき成績である。
AT1a受容体欠損マウスでは,骨代謝回転が亢進して骨量が増える,ということは,AT1a受容体のシグナルを低下させるRA系降圧薬,すなわち直接的レニン阻害薬,ACE阻害薬,AT1受容体拮抗薬(ARB)が骨代謝に好ましい 作用を示す可能性があるからである。
一方,同じRA系薬でも,アルドステロン受容体拮抗薬は,ネガティブフィードバックの結果,AT1a受容体を活性化して骨代謝に悪影響を及ぼす可能性が懸念される。
 
しかし,その作用機序はなお謎に満ちている。
なんといっても,骨代謝回転が亢進しているにもかかわらず骨量が増える点が不思議である。
なぜなら, 閉経後骨粗鬆症に代表的されるように,骨代謝回転が亢進すると,ほとんどの場合,骨吸収が骨形成を上回って,骨量が減少するのが常だからである。
不勉強な わたしには,骨代謝回転が亢進して骨が増えるなどという状態は,成長期のモデリング骨か,骨損傷の治癒過程くらいしか思い浮かばない。
ということは,裏返 せばこれらの骨形成過程では,少なくとも局所のRA系が抑制されている可能性があるということなのであろうか。
 
本論文の成績では,RANKL/OPG比の上昇が骨吸収亢進の要因の1つであり,sclerostinの発現低下が骨形成促進機序の1つのようであるが,AT1a受容体とこれらの関係の詳細については,今後の課題である。
 
なお,本研究はAT1a受容体の全身的な遺伝子欠損マウスの成績であり,RA系の全身的な影響による可能性も否定はできない。
例えばRA系の亢進 により,交感神経系の活性化がもたらされるが,交感神経系の活性化は,骨代謝回転の亢進を伴う骨量減少をもたらすことが知られている。
となると,RA系の 抑制により,交感神経系が不活化されて,骨代謝回転が低下し,骨量が増加するという推測も成り立つ。
しかし,やはり骨代謝回転は合致しないのである。
 
また,AT1a受容体遺伝子欠損マウスでは,不思議なことに子宮重量が増加することも示されている。
卵巣摘除で骨量が減少しないことと併せて,こ のマウスではなんらかの女性ホルモン作用の促進機序があるものと推測される。
なお,何かと話題のセロトニンの関与は否定されている。
 
骨粗鬆症治療薬との関係はどうだろうか。
骨代謝回転を促進する点からは,窒素含有ビスホスホネート(N-BP)との併用により,N-BPの作用を 阻害する可能性が懸念される一方で,N-BPによる過度の骨吸収抑制が原因と考えられる顎骨壊死や非定型骨折を防止する可能性も考えられる。
選択的エスト ロゲン受容体モジュレーター(SERM)との関係も微妙である。
RA系阻害作用の結果,女性ホルモン作用が促進されるのであれば,SERMとの併用は少な くとも骨には有効ではないかもしれない。
RA系と女性ホルモンの関連がもう少し明らかになる必要がある。
 
私の考察2:骨という臓器の概念や人間の進化過程にまで関連か
それにしても,RA系の抑制がいかに生体の健康にとって重要なのか,目を見張るばかりである。
血圧が低下するのみならず,糖尿病発症抑制効果,さまざまな臓器保護効果,生命予後改善効果があり,さらには本論文に示されているように女性ホルモン作用は促進され,骨代謝回転が亢進して骨量が増加する。
さらに,AT1受容体遺伝子欠損マウスでの寿命延長効果も報告されている。
まるで生体を若返りさせているようである。
そもそも,いったいなぜRA系などという魔物をわれわれは背負うことになったのであろうか。
陸上生活に適応する上では必要不可欠であったのであろうが,少なくとも現代人には割が合わない。
われわれの孫やその孫くらいの時代には,さっさと退化していっていただきたいものである。
 
骨も陸上生活への適応に伴って進化してきたという点では,RA系と同様である。RA系と骨との関連のルーツは,そこにあるような気もするのであ る。
浅瀬や海岸に生息していた動物は,塩分摂取は充足しており,RA系は未発達であったが,まずは重力に抗するために,石灰化した骨を獲得しつつあったものと想像される。
その後,完全に海岸から離れた生活に適応するために,骨はますます強化され,RA系が進化してミネラルの乏しい環境に適応していったので あろう。
 
ただし,塩分摂取量によるRA系の変動と骨量との関連には若干の課題が残る。
塩分摂取の過多は,RA系を抑制する一方で,カルシ ウムバランスを負にして骨量を減少させることが示されているのである。
塩分摂取の多い環境は,海に近い場所であり,必ずしも強力な骨を必要としなかった可能性がある点からは,理解できる。
しかし,塩分摂取過多がもたらす結果は,本論文の成績と矛盾するように見えるのである。
おそらく塩分摂取とカルシウム代 謝との間には,別の機序が関与するものと考えられる。
また骨代謝には,RA系の全身的な作用よりも局所作用の方が重要なのかもしれない。
 
しかし,骨と血管の密接な関連が明らかになるにつれ,実は骨という臓器自体がもともと一種の血管なのではないかという想像(妄想?) にまで行き着く。
わたしが学生時代に使っていた教科書「標準組織学総論第2版」146ページには「血管の豊富な分布と血管を基本とした組織構築が,骨という組織の一大特徴である」とある。
 
皮質骨には血管を中心としたハヴァース系があって,それを取り巻くように骨が形成されるのである。
さらに妄想の羽を伸ばすと,長管骨はそれこそ生 理的に石灰化した大血管にも思えてくる。
血管はもともと石灰化するものなのかもしれない。
通常,骨外では血管の石灰化を抑制する機構が強力に働くが,加齢あるいは酸化ストレスなどにより,その機構が弱体化・破綻すると石灰化が進んでしまうということなのではないだろうか。
 
このように本論文のテーマは,骨という臓器の概念や人間の進化にまで及ぶ壮大な背景を持っているのである。今後の研究のさらなる進展が大いに楽しみである。
(がん研有明病院総合内科 中山耕之介先生)

出典 MT pro 2011.12.21
版権 メディカル・トリビューン社

 

<自遊時間>
ライトアップされた東京スカイツリー=23日夜、東京都墨田区、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影
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降圧治療において,多くのメリットを持つ配合薬が広く普及しつつあり,主にARBと利尿薬またはCa拮抗薬を組み合わせた配合薬が用いられている。
どちらがより望ましいかについて,さまざまな議論が行われているが,決着はついていない。
第34回日本高血圧学会〔会長=自治医科大学内科学講座循環器内科学 部門・島田和幸教授(同大学病院長)〕のディベート「配合薬の選択:ARB/利尿薬 vs. ARB/CCB」(座長=愛媛大学大学院病態情報内科学・檜垣實男教授,旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野・長谷部直幸教授)では, それぞれの組み合わせを推奨する立場から報告が行われた。
このディベートでは、メタボリックシンドローム・糖尿病合併例,慢性腎臓病(CKD)合併例における優劣が論じられた。
 
メタボ糖尿病
サロゲートマーカーも改善するCa拮抗薬を

旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野の中川直樹氏らは,メタボリックシンドロームや糖尿病を合併する高血圧に用いる配合薬としては,心血管イベントの抑制に加え,中心血圧,血圧変動性,アディポネクチンの改善が期待できるARB/Ca拮抗薬配合薬を使用すべきと指摘した。
 
高分子量アディポネクチン上昇
ACCOMPLISH試験では,レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬+Ca拮抗薬群の心血管イベントが,RA系抑制薬+利尿薬群よりも少ないことが示されたが,糖尿病合併例を対象としたサブ解析でも同様の結果が得られている。
 
中川氏は,RA系抑制薬+Ca拮抗薬により,心血管イベント抑制効果だけでなく,さまざまなサロゲートマーカーの改善効果が期待できるとした。
例えば, 中心血圧をより低下させ,心血管リスク低減の一因になることが報告されている。
また,糖尿病性腎症の進展リスクを高めるとされる血圧変動性に対して,ARB+利尿薬は増大させるが,Ca拮抗薬は安定化作用をもたらすことが報告されている。
アディポネクチンに対しては,ARB+Ca拮抗薬がARB+ 利尿薬に比べ,メタボリックシンドローム合併高血圧患者で上昇させることが明らかにされている。
透析患者を対象とした同氏らの検討では,ARB+Ca拮抗 薬群で生理活性の高い高分子量アディポネクチンの上昇が確認された。
 
同氏は「ARB/Ca拮抗薬配合薬は厳格な血圧管理,臓器保護に加え,血圧変動性軽減,アディポネクチン増加,さらには浮腫,頭痛といったCa拮抗薬の副作用の軽減も期待できる」()とし,「メタボリックシンドローム,糖尿病を合併する高血圧にはARB/Ca拮抗薬配合薬を使用すべき」と強調した。
 
図表

メタボ糖尿病
食塩感受性是正する利尿薬併用が合理的

慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科の中谷英章氏らは,メタボリックシンドローム合併高血圧患者は食塩感受性が亢進し,non-dipperの場合が多いため,食塩感受性を是正する利尿薬が合理的であること,また利尿薬をRA系抑制薬と組み合わせると代謝系副作用を打ち消し合うことから,ARB/利尿 薬配合薬がベストチョイスだとした。
 
血糖上げるK低下を打ち消す
メタボリックシンドローム患者は食塩摂取量が多く,食塩感受性高血圧の割合も高い。
食塩感受性が亢進して,低レニン状態になるとRA系抑制薬による降圧効果が減弱するが,低ナトリウム(Na)の状態にすると逆に降圧効果が増強する。
また,食塩感受性高血圧の患者では,心血管イベントのリスクを高める non-dipper型高血圧を呈することが多い。
こうしたことから,中谷氏は,メタボリックシンドロームを合併する高血圧患者には,食塩感受性を是正するサイアザイド系利尿薬が有用だと指摘した。
 
一方,利尿薬は代謝系の副作用が問題となるが「低用量ならほとんど起こらないし,利尿薬は少量でも十分な降圧効果が期待できる」と同氏。
RA系抑制薬と組み合わせると,利尿薬によるカリウム(K)低下に伴う血糖上昇が,RA系抑制薬の副作用であるK上昇により相殺されることも考えられるとした。
 
以上から,「ARB/利尿薬配合薬は,特にメタボリックシンドローム,糖尿病を合併した高血圧患者のベストチョイスだ」と結論した。


GFR保持という点でCa拮抗薬が有利
愛媛大学大学院病態情報内科学の三好賢一氏らは,糸球体濾過量(GFR)保持という点では利尿薬よりもCa拮抗薬の方が有利とするデータが多いことから,CKD合併高血圧に対してはARB/Ca拮抗薬配合薬が望ましいとした。
尿蛋白減少効果は利尿薬
三好氏は,Ca拮抗薬と利尿薬を比較した各種試験のデータを次のように紹介した。
ACCOMPLISH試験では,心血管疾患高リスク患者の複合イベント 相対リスクが,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群においてACE阻害薬+利尿薬群より約20%低かった。ALLHAT試験のCKDサブ解析では,GFR保持効果はCa拮抗薬がACE阻害薬や利尿薬よりも大きかった。
糖尿病患者に限った場合も同じ結果だった。
 
アルブミン尿を伴う2型糖尿病合併高血圧患者を対象としたGUARD試験では,尿蛋白の減少はACE阻害薬+利尿薬群がACE阻害薬+Ca拮抗薬群に比べて大きかったが,GFR保持効果はACE阻害薬+Ca拮抗薬群の方が大であった。
<私的コメント> 
腎臓専門家は「尿蛋白の減少」と「GFR保持効果」とどちらが重要と考えるでしょうか。
多分前者のことと推測されます。
勿論両者の改善を目指すなら3剤を併すればよいだけのことですが。
 
ACCOMPLISH試験でも,尿中アルブミン/クレアチニン(Cr)比の低下はACE阻害薬+利尿薬群が大きく,CKD進行(血清Cr2倍化)抑制効果はACE阻害薬+Ca拮抗薬群が勝った。
J-CORE試験でも同様の結果が得られている。
 
以上から,「尿蛋白減少効果は利尿薬,GFR保持効果はCa拮抗薬の方が有利」と同氏。
末期腎不全の進行でどちらが有利かはまだ不明としながらも,GFR保持の面からはARB/Ca拮抗薬配合薬が望ましいと述べた。

 
CKD
尿蛋白の方が腎予後に重要な可能性

横浜市立大学循環器腎臓内科学の押川仁氏らは,ARB+利尿薬はARB+Ca拮抗薬に比べ,GFRは低下するものの,低下は一過性とする報告があること,また利尿薬併用で認められる尿蛋白減少はGFR改善よりも予後への影響が大きい可能性が示唆されていることなどから,CKD合併高血圧には ARB+利尿薬を積極的に選択すべきと強調した。

RENAALやKDIGOメタ解析で
押川氏はまず,GUARD試験,ACCOMPLISH試験,J-CORE試験において,利尿薬併用群はGFR低下が大きいが,尿中アルブミン低下も著しいことが報告されているとした。
また一部の試験で,糖尿病性腎症患者ではCKD進行の程度にCa拮抗薬併用群と差がないこと,CKD患者ではGFR低下が著明でないことが示されていると述べた。
 
尿蛋白減少の意義については,RENAAL試験で,尿蛋白減少に伴って腎予後が改善するデータが得られているとした上で,今年報告された KDIGO(Kidney Disease: Im- proving Global Outcome)におけるメタ解析の結果を紹介。
各種イベントのリスクに及ぼす影響は,GFRよりも尿蛋白の方が大きいことが明らかにされたと述べた。
さらに,利尿薬併用によるGFR低下は一過性と考えられるデータもある。
同氏らが行ったK-CAT試験でも,利尿薬併用群におけるGFRの著明な低下は投与3カ月後までだったという()。
 
図表
 
以上のデータと,利尿薬による代謝への悪影響はARBとの併用で相殺されるという利点を合わせ,同氏は「ARB/利尿薬併用はCKD患者において積極的に選択すべき降圧療法だ」と結んだ。
 
出典 Medical Tribune  2011.11.24
版権 メディカル・トリビューン社

 

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end_line メタボリックシンドロームモデルラットにおいてARBとCCBの併用は血管インスリン抵抗性を改善―脂肪細胞サイズ減少と抗炎症作用の相乗効果
Combination Therapy of an Angiotensin Receptor Blocker and a Calcium Channel Blocker Ameliorates Vascular Insulin Resistance in Metabolic Syndrome Model Rats Synergistically via a Reduction in Adipocyte Size and an Anti-Inflammatory Effect
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)の併用療法がメタボリックシンドロームに有用な効果をもたらす機序については,まだ十分には検討されていない。
今回,末田氏らは,メタボリックシンドロームモデルラットを用いてARB・CCB併用療法の有効性について検討し,両剤併用により血管インスリン抵抗性が大幅に改善され,その機序としてp22phox関連酸化ストレスの減弱と内臓脂肪細胞サイズの縮小が相乗的に関与していることを明らかにした。

■SHRcpラットを用いARB・CCB併用と各単剤の血管への効果を比較
末田氏らは,メタボリックシンドロームのモデルとして肥満・高血圧自然発症ラットSHR/NDmcr-cp(SHRcp)を用いて検討を行った。
SHRcpラットを,
(1)プラセボ群
(2)カンデサルタン0.3㎎/㎏/日(ARB)群
(3)アムロジピン3㎎/㎏/日(CCB)群
(4)カンデサルタン0.3㎎/㎏/日+アムロジピン3㎎/㎏/日(ARB+CCB)群
の4群に分け,4週間の経口投与を行った。
血管インスリン抵抗性は,インスリン誘発内皮依存性血管弛緩反応を検査して評価した。
SHRcpラットにおいて,収縮期血圧はARB群,CCB群,ARB・CCB併用群のいずれにおいてもプラセボ群と比べ有意な低下を示した (p<0.05)。
ARB群とCCB群での低下は同等であったが,ARB・CCB併用群では各単剤群よりもさらに有意に大きな低下を示した (p<0.05)。
アセチルコリン誘発内皮依存性血管弛緩障害に対しては,SHRcpラットにおいてARB群,CCB群,ARB・CCB併用群ともに同様の改善を示した。
インスリン誘発内皮依存性血管弛緩障害に対しては,ARB群でプラセボ群と比べ有意な改善を認めたが(p<0.01),CCB群では有意な変化は認められなかった。
興味深いことに,ARB・CCB併用群では,プラセボ群と比べ有意な改善を認めたほか,ARBあるいはCCB単剤群よりも大きな改善が認められ,ARB群との間に有意差が確認された(p<0.01)(図1

 

図

 

ARB・CCB併用は血管インスリン抵抗性に対して相乗的な効果を示した。
この機序を検討するため,p22phoxの発現をウエスタンブロッティング法で評価したところ,SHRcpラットにおいて,ARBおよびCCB各単剤群よりもARB・CCB併用群でp22phoxの発現が有意に抑制されていた。
このことから,p22phox発現亢進阻害によるp22phox関連酸化ストレスの大幅な減弱が機序として一部関与している可能性が示唆された。
p22phoxは,活性酸素種生成にかかわる細胞膜中の酵素NADPHオキシダーゼ(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate-oxidase,Nox)の活性化に必要な蛋白質のひとつである。
p22phoxは,細胞膜貫通型蛋白質であるチトクロームb558pのサブユニットであり,その発現亢進は酸化ストレス亢進をもたらし,内皮依存性血管弛緩反応の異常や血管障害の成因となることが示唆されている。
 

■内臓脂肪細胞サイズの縮小と抗炎症作用が相乗的に作用
次に末田氏らは,代謝異常と血管インスリン抵抗性との関連を調べるため,肥満および炎症に対する各薬剤の効果を比較検討した。
その結果,ARB・CCB併 用群ではSHRcpラットの肥大化した内臓脂肪細胞サイズの有意な縮小を認めたが,プラセボ群,ARB群,CCB群では有意な変化は認められなかった(図2)。
 図

 

またARB・CCB併用群では,ARBあるいはCCB単剤群に比べ,内臓脂肪細胞のマクロファージ浸潤と腫瘍壊死因子-α(TNF-α)レベルが有意に抑制され,これらに対しても相乗的な効果が示された。
このことから,ARB・CCB併用は肥満を相乗的に改善し,その結果として抗炎症作用を増強すると考えられる。
以上より末田氏は,ARB・CCB併用は,メタボリックシンドロームにおける血管インスリン抵抗性を相乗的に改善し,その背景にはp22phox関連酸化ストレスの減弱,内臓脂肪細胞サイズの縮小を介した抗炎症作用の増強などの機序が関与していると結論した。
(メディカルライター 坂井順子)


■監修者の自治医科大学内科学講座循環器内科学部門 苅尾七臣主任教授のコメント
ARB・CCB併用療法の血管・脂肪細胞への相乗効果
本研究は,メタボリックシンドロームのモデルラットにおいて,ARB・CCB併用が酸化ストレスを減少させ,血管に対してはインスリン誘発内皮依存性血管弛緩反応を改善し,さらに脂肪細胞に対してはサイズを縮小させ,抗炎症性に働くことを示した。
つまり,ARB・CCB併用は血管・脂肪細胞の両側面よりイ ンスリン抵抗性を改善することになる。
また,これらのARB・CCB併用の効果は,ARBあるいはCCBそれぞれの単剤治療よりも,有意に相乗的に増強することが示された。
これらの実験成績は,ヒトにおける高血圧患者を対象とした臨床研究から得られた成績と一致する。
以前,我々はARBで治療中の高血圧患者を対象としたJCORE研究において,ARB・CCB併用の効果をARB・利尿薬併用と比較した。
2群とも同程度に血圧レベルが低下したにもかかわらず,酸化ストレス指標である8-isoprostaneや高感度CRP,さらにインスリン抵抗性指標であるHOMA指数の改善はARB・CCB併用のほうが優れていた。
以上の実験ならびに臨床研究の結果から,ARB・利尿薬併用と同程度の降圧が得られた場合には,血管保護や糖代謝の面から考えると,ARB・CCB併用はよい組み合わせであるといえる。
   引用文献
   1) Am J Hypertens 2011;24(4):466-473

出典
http://www.biomedisonline.jp/aha2011hl/?link=mail

 

<番外編 その1>
シタグリプチンと血管内皮
シタグリプチンの動脈硬化抑制作用 
 
<番外編 その2>
[メディカル版]最新の話題 第34回日本高血圧学会
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/11/25/144956/?fullArticle=true
■高血圧治療と心不全治療は、前者は高血圧との、後者は低血圧との戦いという点で大きく異なるという。
 このため、高血圧を基盤とした心不全の場合、後負荷を軽減するという意味では、ARBは有効でしかも使いやすい。だが、血圧が低めの心不全では、ARBやβ遮断薬は降圧効果が強く、使い難くなる。
■心不全の重症度が増すほどレニン・アンジオテンシン(RAA)系やその他の多彩な血管収縮系のホルモン群、それに関連した酵素が活性化するため、アンジオ テンシンII(AII)の作用を抑制するだけでは不十分となる。ACE阻害薬は、AII合成抑制効果は弱いが、ブラジキニンの増加、それに引き続く一酸化 窒素(NO)の増強作用があり、その他の複数の酵素群にも干渉する。
■ACE阻害薬の使い方では、海外では比較的高用量が使われている。国内では、血圧低下が心配になり、心不全の重症度に伴って投与量が減量されているケース が目立つが、心不全の重症度に伴い、増量すべきであると考えられる。その理由は、ACE阻害薬がAIIの合成を強く抑制できないことが、心不全ではむしろ 有利に働き、血圧をあまり下げることなく増量できる可能性があり、増強された多面的効果で心不全の病態に対抗できるためだ。
■ACE阻害薬の空咳は、高血圧治療では高頻度に空咳が出現するが、心不全では極めて少ない。同剤は、心不全の予防薬としても期待も大きい。
■アリスキレンの腎保護効果は、降圧剤の中で最も期待できる。
■ACE阻害薬、ARBで尿蛋白が出現する患者に対してアリスキレンを投与すると、尿蛋白は減少する。最大量のARBで降圧効果が不十分な症例に対して、アリスキレンを併用すると、さらなる降圧効果が期待できることも報告されている。
■高血圧性臓器障害やイベントに対するリスク評価に対する中心血圧の応用は、その特性を十分に理解する必要がある。
○利尿薬やβ遮断薬の投与では、上腕血圧は下がっても中心血圧は下がらない。
○減塩は中心血圧の変化が大きい。
○内臓脂肪の蓄積あるいは肥満では、上腕血圧測定の方が精度が高く、中心血圧測定は肥満に関連するリスクを過小に評価する可能性がある。
○軽症候性脳血管障害のように、血圧の要因が強い臓器障害に関しては、中心血圧測定の精度は高い。
○肥満や糖尿病、インスリン抵抗性も重要な成因となる動脈硬化や腎障害などでは、中心血圧は臓器障害との関連性において上腕血圧に劣る可能性がある
 
<番外編 その3>
[医療費] 薬局調剤費が医療費の伸びのもっとも大きな要因と分析  日医
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/11/21/144761/?fullArticle=true 
 
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ARBとCCBによる併用療法

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.15 00:05 / 推薦数 : 0
第34回日本高血圧学会総会(2011.10.20〜222) での発表されたARBとCCBの併用療法に関する発表記事で勉強しました。
 
ARBあるいはCCB単独療法中の高血圧患者に対するARBとCCBによる併用療法の治療効果についての多面的検討
横浜市立大学大学院医学研究科病態制御内科学
前田 晃延先生
田村 功一准教授
 
血圧管理は,臓器障害の予防や心血管イベントの抑制に有用であることが多くの臨床試験で証明されている。
しかし,実臨床での降圧目標達成率は改善の余地が大きい。
前田氏らは,降圧効果や汎用性,安全性などの点から,実臨床で広く用いられているアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)の併用療法が,それぞれの単剤療法での限界を乗り越える上で有用であることを示した。
 
単剤療法による降圧目標未達成患者にARBとCCBを併用
「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」に示されている通り,ARBやCCBは,心血管疾患,慢性腎臓病(CKD),糖尿病をはじめとした多くの合併症患者に対しても積極的適応が可能であり,利用しやすい降圧薬である。
その一方,降圧目標達成のためには,降圧薬の併用が必要となる患者も少なくないことが指摘されている。
そこで前田氏らは,4週間以上のカンデサルタン8mg/日単剤,またはアムロジピン5mg/日単剤投与下で 降圧目標に達していない高血圧患者各 10例を対象として,カンデサルタン8mg/日とアムロジピン5mg/日の併用療法を12週間行い,血圧,その他の心血管関連指標を検討した。ARBと CCBの併用はJSH2009でも推奨されている併用療法の1つである。
カンデサルタンを追加したARB追加群と,アムロジピンを追加したCCB追加群とでは,併用前のベースラインにおける血圧をはじめとする患者背景に有意差はなかった。
平均年齢は62歳,平均BMIは25.6kg/m2,インスリン抵抗性指標のHOMA-IR平均値は3.9であった。
 
併用療法で良好な降圧効果が得られ心血管関連指標も改善
ARBとCCBの併用療法を12週間行った結果,全20例における診察室血圧は 153.2/89.2mmHgから135.1/78.0mmHgへ,起床時の家庭血圧は149.5/86.8mmHgから132.4/76.4mmHg へ,いずれも有意に低下した(P<0.0001)。
診察室脈拍に変化は認められなかった。
 
さらに,併用療法は腎機能(推算糸球体濾過量;eGFR)の低下を伴わず,尿中アルブミン排泄量(尿中アル ブミン/クレアチニン比;UACR)を373mg/g-Crから105mg/g-Crへ有意に改善したほか(P<0.01),動脈硬化関連指標である上腕 -足首脈波伝播速度(baPWV)を1,912cm/秒から1,790cm/秒へ,中心血圧も165.2mmHgから149.8mmHgに有意に改善し た。さらにHOMA-IRも3.9から2.6に有意に改善した。
 
以上の結果から前田氏は,ARBあるいはCCBの単独療法にて降圧目標未達成であった高血圧患者に対するARBとCCBの併用療法は,
(1)診察室血圧,家庭血圧,中心血圧の低下
(2)eGFRの低下を伴わない尿中アルブミン排泄の抑制
(3)インスリン抵抗性の改善
—に寄与するとまとめた上で,今回の併用療法について「pleiotropic(多面的)な改善が認められた」と述べた。

 
出典 
http://site2.mtpro.jp/jpnsh/34/contents/cp3-13/
 
<私的コメント>
「カンデサルタンを追加したARB追加群と,アムロジピンを追加したCCB追加群とでは,併用前のベースラインにおける血圧をはじめとする患者背景に有意差はなかった 」ということですが、これはちょっと不思議です。
「ARBとCCBのいずれを第一選択とするか」ということでは差があるべきだと思うからです。
また、両者で血圧値に差がなかったのも妙です。
カンデサルタン8mgとアムロジピン5mgの降圧度が同等ということだからです。
個人的には、現在ARBとACEI との併用療法に興味を持っています。
もちろん、降圧というよりは臓器保護についてのことでですが。
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
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血圧変動の少ない降圧剤

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.08 00:40 / 推薦数 : 1
Ca拮抗薬シルニジピンやARBは血圧変動への影響が少ない
近年、独立した脳血管障害リスクとして血圧の変動が注目されているが、降圧薬の血圧変動への影響を、クラス間あるいはクラス内で比較したデータは少ない
埼玉医科大学の木下俊介氏らは、降圧薬のクラス間、および脳卒中合併高血圧への処方頻度が高いCa拮抗薬のクラス内での比較を行い、ARBとCa拮抗薬はβ遮断薬に比べて脳梗塞患者の血圧変動への影響が少ないこと、Ca拮抗薬の中ではシルニジピンが、比較的影響が少ないことを見いだした。
この知見は、10月20日から22日まで宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で報告された。
<私的コメント>
 私の予想としては少なくともCCBよりもBBの方が血圧変動が少ないのではと思っていました。
昔、よくアテノロールを処方していましたが外来血圧が安定していたという経験があります。

CCBの方がよかったというのは少し意外でした。

本検討の対象は、埼玉医大神経内科を受診し、脳梗塞と診断された患者のうち、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施し得た440人。
使用した降圧薬は、ACE阻害薬が35人、ARBが52人、β遮断薬が53人、Ca拮抗薬が168人であり、132人は降圧薬未使用だった。
<私的コメント>
対象が脳梗塞患者ということでCCBの使用患者が圧倒的に多いようです。
そのことは統計処理上問題にならないのでしょうか。

Ca拮抗薬の中では、ニフェジピンが14人、ニカルジピンが50人、アムロジピンが50人、シルニジピンが38人に用いられていた。

木下氏らは、これらの患者のABPMデータから血圧の変動係数(CV:標準偏差を平均値で除したもの)を求めて血圧変動の指標とし、降圧薬の影響を比較した。

その結果、使用降圧薬別にみた24時間全日の収縮期血圧のCV値は、ACE阻害薬群が14.5±4.3、ARB群が12.7±3.8、β遮断薬群が15.0±3.8、Ca拮抗薬群が13.8±3.5であり、ARB群とβ遮断薬群の間には有意な差がみられた。

また、日中覚醒時の収縮期血圧のCV値は、ACE阻害薬群が13.1±4.3、ARB群が11.5±3.1、β遮断薬群が14.3±3.1、Ca拮抗薬群 が12.6±3.4であり、ARB群とβ遮断薬群の間だけでなく、Ca拮抗薬群とβ遮断薬群の間にも有意差が認められた。

続いて木下氏らは、降圧薬を投与された患者全体を覚醒時の収縮期血圧のCV値に基づいて五分位とし、降圧薬のクラスによって各分位層への患者の分布がどのように異なるかを調べた。

その結果、ARB群ではCV値が最も低い分位層に属する患者が最も多く、CV値が高くなるほど患者数が少なくなる「右肩下がり」の分布がみられたのに対し、β遮断薬群では逆に、CV値が低い分位層で患者が少なく、CV値の上昇とともに患者数も増加する「右肩上がり」の分布を描いた。

一方、Ca拮抗薬群では全ての分位層にほぼ同数の患者が分布していたが、Ca拮抗薬の種類別に分けてみた場合、シルニジピン使用例ではARB群に類似した「右肩下がり」の分布が認められた。

このように、降圧薬のクラス間、クラス内薬剤間でCV分布パターンの違いがみられるにもかかわらず、各分位層の日中覚醒時の収縮期血圧値は、ほぼ同じ値だった。

すなわち、薬剤間のCVへの影響は降圧度に依存しないことが示唆された。

木下氏は以上の結果を総合し、「降圧薬はクラスの違い、クラス内の薬剤の違いによって、血圧変動に及ぼす影響が異なる可能性があると考えられ、今回の検討からは、β遮断薬よりARBやCa拮抗薬が、またCa拮抗薬の中ではニフェジピンやニカルジピンよりシルニジピンの方が、血圧変動の低減という点では、脳 梗塞患者に適した薬剤である可能性が示唆された」と結論した。


<私的コメント> 
ACE阻害薬が結構使用されているようですがこの記事で見る限り、ACE阻害薬が後半では消えてしまっています。
ACE阻害薬とARBの比較も知りたいところです。
CCBも日本高血圧学会の演題を見る限りシルニジピン一色のようです。
「ニフェジピンやニカルジピンに対してシルニジピンの方が、血圧変動が低減される」というのも当たり前といえば当たり前のような気もします。
アムロジピンとの優劣を論じないのは恣意的と取られそうです。

出典  NM online 2011.10.25
版権 日経BP社
 
<きょうの一曲>

Glenn Gould Bach:The Well Tempered Clavier-BWV 888
http://www.youtube.com/watch?v=3RjebdVKIAM&feature=related
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/107372
 
 
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