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<私的コメント>


徳島大学 佐田政隆教授の記事で勉強しました。
サブタイトルは「内皮機能の観点からイベント抑制を考える」 です。
脂質異常、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満などの危険因子があると、酸化ストレスやレニンアンジオテンシン(RA)系などを介して内皮障害や炎症細胞の賦活化が起こり、動脈硬化が進展します。
これまでの報告からはRAS系が亢進するとプラーク破綻 が誘発されることが分かっており、大阪労災病院の星田氏らからは、ACS患者では血中のACE活性の亢進は検出できないものの、血管局所で亢進が認められたことが報告されています1)。
アンジオテンシンⅡは内皮機能の障害、酸化ストレスの増加などの悪影響をもたらします。
我々はマウスの実験でAT1aRが欠損するとコレステロール値が同じでも動脈硬化が半分になることを確認しており2)、 また、テルミサルタンを用いると、ヒドララジンと比べて動脈硬化がより強力に抑制され、脂質の沈着が減少し、不安定プラークを安定化させることを確認しま した。
つまり、アンジオテンシンⅡを遮断すると血圧が低下するのみではなく、炎症や内皮障害が抑制されることが分かっています。
我々は高血圧を合併したPCI施行患者40人をテルミサルタン群(メバロチン10mg/日+テルミサルタン80mg/日)、又は非テルミサルタン群 (メバロチン10mg/日+RAS系抑制薬を除く降圧治療)に無作為に割り付け、6ヶ月の追跡を行い冠動脈内プラーク組成に対する影響を比較しました。
本試験ではベアメタルステント(BMS)を留置しても良好な結果が得られると判断した大きな血管径の複雑でない病変に対してDriverステントを留置し、 ステント留置部位の4.5mm近位部のプラーク性状をIB-IVUSにて観察しました。
両群で血圧は同様に低下しました。
IB-IVUSによる観察で は、テルミサルタン群では線維性成分量がベースラインの48.1%から6ヶ月後は54.4%へと有意に増加したのに対し(p=0.03)、コントロール群 では57.5%から57.3%と変化はなく(p=n.s.)、脂質量はテルミサルタン群がベースラインの46.0%から6ヶ月後には38.4%へと低下し (p=0.03)、コントロール群では28.0%から27.7%と変化はありませんでした(p=n.s.)。
つまり、テルミサルタン群では線維性組織が増 え、脂質が減ったことから(図1)、半年間でプラークが安定化したと考えられます。
更に、テルミサルタンによるプラークの退縮も確認されました。
平均血管面積はテルミサルタン群、コントロール群の両群でベースラインと6ヶ月後とも差はなかったのですが、平均内腔面積はテルミサルタン群ではベースラインで7.9mm2、6ヶ月後は8.5mm2(p=0.03)と有意な増加を認めたのに対し、コントロール群ではそれぞれ8.0mm2と9.6mm2(p=n.s.)と差はありませんでした。
そして、プラーク量はテルミサルタン群では21.1mm3から19.4mm3へと有意に低下し(p=0.003)、コントロール群では差はありませんでした(両方21.8mm3: p=n.s.)。
また、冠循環局所採血を行い、炎症マーカーの測定をし、冠静脈 洞濃度-バルサルバ洞濃度と定義した冠循環血中濃度変化を見ると、CRPはテルミサルタン群とコントロール群に差はなかったのですが、PTX3、TNFα の変化率はコントロール群では変化はなかったものの、テルミサルタン群で有意差には至りませんでしたが、低下傾向が見られました。
動物実験からは、他のARBでも抗動脈硬化作用はあるものの、テルミサルタンではよりその作用が強いことを我々は確認しています。
その理由の1つにテルミサルタンは組織親和性が高く、目的臓器の組織へ移行しやすいという特徴が挙げられ3)、これが長時間の安定した降圧にも影響していると考えられます。
抗動脈硬化作用を有する薬剤として、PPARγ活性化作用を持つピオグリタゾンが近年注目されています。
しかし、新たな薬剤の追加は患者負担も大きくなります。
テルミサルタンはピオグリタゾンの1/3程のPPARγ活性化作用を持つことが確認されています4)。
我々も研究を行いましたが、PPARγを活性化すると脂肪細胞からアディポネクチンが増加しますが、テルミサルタンもピオグリタゾンと同様にアディポネクチンの発現を増加させることを確認しました(図2)。
従いまして、テルミサルタンは血管にも代謝にも有益な作用を持つ薬剤と考えられます。

また、我々のAT1ノックアウトマウスの実験でも、テルミサルタンを加えると付加的な抗動脈硬化作用が認められたことから、テルミサルタンにはARB以上の効果があることが証明されています(図3)5)。

1) Hoshida S, et al. Circulation. 2001; 103: 630-633
2) Fukuda D, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2008; 28: 90-96
3) Kurtz T, et al. J Hypertens. 2004; 22: 2253-2261
4) Schupp M, et al. Circulation. 2004; 109: 2054-2057
5) Fukuda D, et al. Biomed Pharmacother. 2010; 64: 712-717
https://www.tcross.co.jp/specialtopic2010_2/index.php
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
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メタボリックシンドロームモデルラットにおいてARBとCCBの併用は血管インスリン抵抗性を改善―脂肪細胞サイズ減少と抗炎症作用の相乗効果
Combination Therapy of an Angiotensin Receptor Blocker and a Calcium Channel Blocker Ameliorates Vascular Insulin Resistance in Metabolic Syndrome Model Rats Synergistically via a Reduction in Adipocyte Size and an Anti-Inflammatory Effect
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)の併用療法がメタボリックシンドロームに有用な効果をもたらす機序については,まだ十分には検討されていない。
今回,末田氏らは,メタボリックシンドロームモデルラットを用いてARB・CCB併用療法の有効性について検討し,両剤併用により血管インスリン抵抗性が大幅に改善され,その機序としてp22phox関連酸化ストレスの減弱と内臓脂肪細胞サイズの縮小が相乗的に関与していることを明らかにした。
■SHRcpラットを用いARB・CCB併用と各単剤の血管への効果を比較
末田氏らは,メタボリックシンドロームのモデルとして肥満・高血圧自然発症ラットSHR/NDmcr-cp(SHRcp)を用いて検討を行った。
SHRcpラットを,
(1)プラセボ群
(2)カンデサルタン0.3㎎/㎏/日(ARB)群
(3)アムロジピン3㎎/㎏/日(CCB)群
(4)カンデサルタン0.3㎎/㎏/日+アムロジピン3㎎/㎏/日(ARB+CCB)群
の4群に分け,4週間の経口投与を行った。
血管インスリン抵抗性は,インスリン誘発内皮依存性血管弛緩反応を検査して評価した。
SHRcpラットにおいて,収縮期血圧はARB群,CCB群,ARB・CCB併用群のいずれにおいてもプラセボ群と比べ有意な低下を示した (p<0.05)。
ARB群とCCB群での低下は同等であったが,ARB・CCB併用群では各単剤群よりもさらに有意に大きな低下を示した (p<0.05)。
アセチルコリン誘発内皮依存性血管弛緩障害に対しては,SHRcpラットにおいてARB群,CCB群,ARB・CCB併用群ともに同様の改善を示した。
インスリン誘発内皮依存性血管弛緩障害に対しては,ARB群でプラセボ群と比べ有意な改善を認めたが(p<0.01),CCB群では有意な変化は認められなかった。
興味深いことに,ARB・CCB併用群では,プラセボ群と比べ有意な改善を認めたほか,ARBあるいはCCB単剤群よりも大きな改善が認められ,ARB群との間に有意差が確認された(p<0.01)(図1)


<番外編 その1>