戯れ言たれる侏儒
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エビデンス創出者倶楽部

戯れ言たれる侏儒 / 2011.12.23 00:21 / 推薦数 : 0

某日、国立循環器病研究センター心臓血管内科・臨床研究部の北風政史先生の講演を聴く機会がありました。

その際、北風先生から会場の先生方に以下のパンフが配布されました。

 

 

 

 http://www.evfc.jp/

 

パンフによれば

「医師を対象とし、循環器・糖尿病領域に特化した質の高い情報を提供する目的で活動したサイトです。医師主導型なので、中立性の高い医療情報を提供できます」

 

「ID(メールアドレス)とパスワードを登録」

「入会金・年会費一切不要」

 

と書かれていました。

 私は早速登録しました。

 

<自遊時間>

Google 2011 クリスマス ハッピーホリデー「ホリデーシーズン」ロゴに!

http://www.mif-design.com/blog/2011/12/23-001240.php

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糖尿病治療における大血管障害予防はなぜ難しいのか
糖尿病と大血管障害の因果関係は明らかであるにもかかわらず,糖尿病治療による心血管イベント抑制効果を検討した近年の大規模臨床試験は,いずれも有意な抑制効果を証明できずに終わった。
特にACCORD試験からは,「HbA1cを絶対視した厳格で画一的な血糖管理」はむしろ死亡リスクを高めることが示唆され,かえって糖尿病治療の難しさが印象付けられたとの感が否めない。
さらに,糖尿病治療薬の副作用をめぐる昨今の報道も,治療現場に迷いを生む要因となっている。

血糖降下療法による大血管障害予防効果はエビデンス上では未確立
東京都済生会中央病院糖尿病臨床研究センター・渥美義仁センター長
糖尿病患者の死因の第1位を占める大血管障害の発症を防ぐことは,糖尿病治療の究極の目的だ。
だが,治療法の進歩にもかかわらず,血糖降下療法により大血管障害が予防できることを1次エンドポイントで証明した試験はまだない
 
1970年代後半に開始されたUKPDSでは,2型糖尿病患者5,102例を食事療法主体の従来療法群と薬物療法主体の厳格治療群に分け,6年以上(中央値10.5年)追跡を行った結果,厳格治療群では従来療法群に比べてHbA1cが0.9%改善するとともに,細小血管障害の発生が25%抑制されたが,大血管障害の有意な抑制は示されなかった。
しかし,全例を対象とした後付け解析では,大血管障害についてもHbA1c低下に依存したリスクの低下が認めら れ,HbA1cが1%低下すれば心筋梗塞は14%,脳卒中は12%減少することが示唆された(図1)。
 

 
UKPDSの結果は,より厳格な治療によって確実にHbA1cを低下させることができれば,大血管障害の予防は可能であるとの期待を抱かせるものであった。
しかしながら,大血管障害を1次エンドポイントに設定したACCORDおよびADVANCEの両試験(2008年)では,いずれの強化療法群とも従来療法群より1%以上低いHbA1cを達成できたにもかかわらず,心血管イベントの発生率は従来療法群と変わりなかった。
特にACCORD試験では,強化療法群において従来療法群を有意に上回る総死亡の発生が認められたため,試験は期間満了を待たずに打ち切りとなった。
さらに,耐糖能異常(IGT)の段階からナテグリニドによる介入を行ったNAVIGATOR試験(2010年)や,早期の2型糖尿病患者に対して血清脂質管理や血圧管理なども含めた多因子介入を行ったADDITION試験(2011年)でも,介入による有意な心血管イベント抑制効果は確認できなかった。
 
“real world”では必ずしも“study world”と同じ結果は得られない
しかし,こうした試験の結果から大血管障害予防における血糖降下療法の有用性を否定することは短絡だ。
臨床試験は特定の背景因子を持つ集団を対象とし,特殊な状況下で治療成績を検討するものであり,渥美センター長は「病態も背景因子も1人1人異なる患者と対峙する“real world”で臨床試験と同様の結果が得られるとは限らないことを心しておくべき」と指摘する。
特に,糖尿病は薬物以外の要素が治療に及ぼす影響が他の疾患以上に大きく,“study world”と“real world”の違いは大きいという。
<私的コメント>
ちょっと理解しにくいコメントです。
糖尿病だけが「病態も背景因子も1人1人異なる」わけではないのです。
「糖尿病は薬物以外の要素が治療に及ぼす影響が他の疾患以上に大きく」 ということは、「薬物」と「薬物以外の要素」とどちらの影響が多いと言っているのでしょうか。
 
試験結果がネガティブであったとしても,すべての患者にその治療の有用性が否定されたわけではない。
「ネガティブだったのは,患者の選択やプロトコルが適切でなかったからかもしれない」と同センター長。
事実,ACCORDでは,短期間で血糖降下を目指すプロトコルの中で低血糖が頻発したことが死亡率の上昇につながった可能性が指摘されている。
 
また,NAVIGATOR試験の対象となった欧米人のIGTは肥満傾向が強く,インスリン抵抗性が基盤にあることが容易に想像できる人がほとんどだ。
山田センター長は「そうした人々に対して速効型インスリン分泌促進薬であるグリニド薬をあえて投与するという設定自体に無理があるのではないかという指摘もある」と言う。
逆に言えば,やせ型でインスリン分泌低下傾向の強い日本人のIGTであれば,グリニド薬の効果が実証されうる可能性もあるわけだ。
<私的コメント>
この山田先生のコメントは示唆的です。
「やせ型でインスリン分泌低下傾向の強い日本人のIGT 」での「グリニド薬の効果」は、果たして期待できるのでしょうか。
他の薬剤介入もあることですし、実際にはなかなか難しい臨床試験になりそうです。
グリニド薬に一定のclass effectが確認されていない限りはnegativeな結果となることが予想されます。
 
なお,ACCORDやADVANCEの対象患者は他の心血管リスクも併せ持つ高リスクな糖尿病患者集団だった。
このような患者には,より早期から脂質や血圧なども含めた多因子の管理が重要になってくる。
それを実践したADDITION試験では,統計学的に有意な抑制効果は認められなかったが,多因子介入群と通常治療群の累積イベント発生率には5年で約17%の開きが生じていた。
同センター長は「生涯にわたる付き合いが予想される糖尿病という疾患の最初の5年でこれだけ差がついたことの意味は大きい」と考えている。
<私的コメント>
統計学的に有意な抑制効果はなかったということはさておいて、多因子介入群で累積イベント発生率が低下したのは、血糖より脂質や血圧のコントロールの重要性を物語っているのではないでしょうか。
糖尿病専門の先生の今回のコメントは、少し我田引水的ではないでしょうか。

 
紋切り型のEBMではなく患者1人1人に適した治療戦略の模索が必要
逆に,試験の結果がポジティブであっても,それがそのまま実臨床に当てはまるとは限らない。
例えばDCCT(1989年)は,1型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロールの有用性を証明した歴史的な研究であるが,同研究の参加希望者には事前に1日4回の尿糖検査をはじめとする2週間の厳しいコンプライアンステストが課され,これをクリアできた約10%の応募者のみが選抜されていた。
つまり,同研究は与えられた指示を厳格に守れる「エリート集団」だからこそなしえた試験であり,同じ治療法を“real world”で試しても同等の効果を得ることはまず無理だと考える方が賢明だ。
 
コンプライアンス不良の原因は怠慢だけでなく,経済的事情や仕事の都合で指示を守れない患者もいる。
「そうしたコンプライアンス不良例は社会的・経済的に恵まれない層ほど多く,その格差は年々拡大している」と渥美センタ―長は指摘する。
そうした事情も勘案し,紋切り型のEBMではなく,1人1人の患者に合った治療戦略を考えていくことが求められる。
 
大血管障害の予防を視野に入れた血糖降下療法には何が必要か
血糖降下療法は,食事療法と運動療法を基本とし,それで十分な効果が得られなければ薬物療法を考慮することになるが,日本糖尿病学会のガイドラインでは,現在6系統ある経口血糖降下薬のどれを第一選択薬として用いるべきかという基準は示されていない。
 
一方,米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)では,2009年に両学会の合同による具体的な治療アルゴリズムを発表。また,英国立医療 技術評価機構(NICE)も,2008年に2型糖尿病診療ガイドラインの改定を行い,新たな治療アルゴリズムを提唱している(図2)。

 
 
2つのアルゴリズムには若干の違いはあるが,どちらもメトホルミンを第一選択薬と位置付け,必要に応じてスルホニル尿素(SU)薬やチアゾリジン誘導体(TZD),DPP-4阻害薬,基礎インスリンなどを追加するという基本的なスタンスは共通している。
 
これらの姿勢には,渥美,山田両センター長ともおおむね賛意を寄せるが,欧米向けのアルゴリズムであるためか「肥満を伴わない糖尿病患者についてあまり考慮されていない感がある」と山田センター長は指摘する。
肥満のない患者には「第一選択薬は少量のSU薬。それで不十分ならメトホルミン,次いでTZDか DPP-4阻害薬を追加する方が好ましい」ということだ。
<私的コメント>
このあたりの理屈は糖尿病専門医でない、われわれ循環器医にも今や常識となっています。
しかし、適応はともかくとして大血管障害予防を含めた生命予後に対する各々の経口糖尿病薬の効果がはっきり分かっていないのが現状ではないでしょうか。
この領域ではclass effectやdrug effect ,さらには
pleiotropic effectの話はほとんど聞かれません。
 
出典 Medical Tribune 2011.9.22
版権 メディカル・トリビューン社

 
 
http://www.wako.ac.jp/art/cn16/Event-Teacher-0901.html

佐藤泰生

 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
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井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
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ARISTOTLE試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.09.14 00:39 / 推薦数 : 1
新規抗凝固薬apixaban,心房細動の脳卒中・出血・死亡抑制でワルファリン上回る
ESC 2011発表のARISTOTLE試験
非弁膜性心房細動患者の抗凝固療法として,ワルファリンに替わる新規抗凝固薬が相次いで登場している。
わが国ではトロンビン阻害薬のダビガトランが今年(2011年)3月から使用されているが,消化管出血による死亡例の報告もあり,慎重な導入が望まれている。
このような中,第33回欧州心臓病学会(ESC Congress 2011;8月27~31日,仏ロワシー)では,apixaban(Xa阻害薬)とワルファリンを比較したARISTOTLE試験※1が発表された。
ダビガトランを対象にしたRE-LY試験,rivaroxaban(Xa阻害薬)を対象にしたROCKET-AF試験に続き,apixabanでもワルファリンへの非劣性が証明された上に,脳卒中やその他の塞栓症,大出血,さらに総死亡のエンドポイントにおいて,いずれも apixabanの有意な優位性が示されたことを米デューク大学メディカルセンター(ダーラム)循環器科ディレクターのChristopher B. Granger氏が明らかにした。
試験の結果は,N Engl J Med 8月28日オンライン版でも同時に掲載された。
 
CHADS2スコア1点以上が対象
ARISTOTLE試験の対象は,18歳以上で脳卒中リスクを1つ以上有する(CHADS2スコア1点以上)心房細動患者※2
血清クレアチニン2.5mg/dL超の腎機能障害例などは除外された。
ダブルダミーによる二重盲検ランダム化比較試験(RCT)として行われ,39カ国1,012施設から1万8,201例が登録された。
 
仮説では,脳卒中と全身性塞栓症の有効性エンドポイントと大出血の安全性エンドポイントにおけるapixabanのワルファリンに対する非劣性を想定。
それぞれ非劣性が確認された場合は,優位性の評価が予定されていた。
Apixaban群では特定の患者※3以外,5.0mg錠を1日2回服用,ワルファリン群は2.0mg/日から始めてプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)2.0~3.0を目標範囲として調整が行われた。
エンドポイントの解析は,intention to treat(ITT)解析で行われた。
 
登録患者の平均年齢は70歳で,女性の割合が35%,一過性脳虚血発作(TIA)または脳卒中の既往が19%を占め,平均CHADS2スコアは2.1だった。
CHADS2スコア1点の患者の割合は34%で,抗凝固療法未経験者は43%だった。
 
有効性・安全性項目ともにapixaban群が有意に優れる
追跡期間中央値は1.8年。
有効性1次エンドポイントの脳卒中とそれ以外の塞栓症の発生は,ワルファリン群1.60%/年に対して apixaban群1.27%/年で,apixaban群が有意に低かった〔ハザード比(HR)0.79,95%CI 0.66〜0.95,非劣性評価P<0.001,優位性評価P=0.01〕。
脳出血についてもHR 0.51で有意な低下が認められた(P<0.001)。
また,2次エンドポイントの総死亡は,ワルファリン群3.94%/年に対してapixaban群は 3.52%/年とHR 0.89で有意に低下した(P=0.047)。
 
安全性の1次エンドポイントである大出血は,ワルファリン群3.09%に対してapixaban群2.13%で,apixaban群で有意に低下した(HR 0.69,95%CI 0.60〜0.80,P<0.001)。
個々の出血項目については,apixaban群のHRが頭蓋内出血で0.42(P<0.001)となるなど,消化管出血以外はすべてapixaban群が有意に低下していた。
消化管出血についてもHRは0.89(P=0.37)だった。
 
これらの結果,1次エンドポイントの有効性および安全性項目を合わせた全体の臨床有効性評価で,apixaban群のHRは0.77と有意に優れていた(P<0.001)。
今回のARISTOTLE試験の結果に基づけば,心房細動患者1,000人をapixabanで1.8年治療した場合,ワルファリンと比べて脳卒中が6件(うち4件が出血性,2件が虚血性)と大出血が15件,死亡が8人減ることが見込まれる。
なお,治療の脱落例はapixaban群が25.3%,ワルファリン群が27.5%だった。
 
ワルファリンの治療状況はapixabanの優位性に影響せず
ワルファリンとの比較試験では,ワルファリンのコントロール状況によって結果が左右されることになる。
そこで,プロトロンビン時間国際標準比 (PT-INR)2.0~3.0の範囲に調整された有効な治療域にある時間(TTR)とイベント発生率の関係が調べられた。
このデータは,ウプサラ臨床研 究センター(スウェーデン)教授のLars C. Wallentin氏が報告した。
それによると,全体のTTRは66%で,TTRが72超の管理良好な患者群でも,TTRが58未満の管理不良な患者群に おいてもapixabanが優位な傾向は変わらなかった。
 
指定討論者のランケナウ医学研究所(米国)のMichael D. Ezekowitz氏は,近年立て続けに発表されてきた3つの新規抗凝固薬がワルファリンとの比較でそれぞれ頭蓋内出血を有意に抑制していること,ARISTOTLE試験では1次エンドポイントに加えて総死亡も有意に抑制した点などを挙げ,「新たな時代の夜明け」と評した。
また,残された課題は 「抗凝固療法からの脱落者をいかに減らしていくか」と指摘した。  (田中 かおり)
 
※1 Apixaban for the Prevention of Stroke in Subjects with Atrial Fibrillation(ARISTOTLE)
※2 以下のいずれかを有する場合:75歳以上,脳卒中既往,TIAまたは全身性塞栓症,症候性うっ血性心不全または左室駆出率40%以下の左室機能障害,治療を要する糖尿病または高血圧
※3 80歳以上,60kg以下,血清クレアチニン1.5mg/dL以上に2つ以上該当する場合は2.5mg錠を1日2回
 
出典 MT pro 2011.8.29
版権 メディカル・トリビューン社


 
<関連サイト>
第Xa因子阻害薬アピキサバン(apixaban)の実力:ARISTOTLE試験
http://stroke-memorandum.blogspot.com/2011/09/xaapixabanaristotle.html
 
心房細動に対する新規Xa阻害薬アピキサバンの大規模試験:ARISTOTLE試験「何が最高善か」
http://dobashin.exblog.jp/13416606/

ARISTOTLE
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2004793.html
堀正二先生と井上博先生のコメント
■心房細動患者に対する直接Xa因子阻害薬apixabanの第III相大規模臨床試験(ARISTOTLE試験)の結果は,warfarinに対する非劣 性のみならず,優越性を示す良好な内容であった。
有効性エンドポイント(脳卒中および全身性塞栓症)を21%抑制すると同時に大出血のリスクを31%抑制し,層別解析において日本を含むアジア・太平洋地域住民における有効性も安全性も優れた結果を示唆したことはさらに歓迎すべき成績であった。
本試験によって,トロンビン阻害薬(dabigatran)およびXa因子阻害薬(rivaroxaban,apixaban)の心房細動患者における心原性塞栓症の予防効果が明らかにされ,これらの新規抗凝固薬がいずれもwarfarinの欠点を克服しているのみならず,その有効性においてもwarfarinを超え る成績が得られたことは,抗凝固療法の新しい時代の幕開けを確信させた。
これらの新規薬剤の比較については,3試験間の試験デザイン,患者背景(CHADS2ス コアなど),薬剤投与方法(用量・用法),warfarin群のTTRなどの差異があるため単純比較は困難であり,2剤間の突合試験を待たねばならないが,共通して明らかになったことは,これらの新規抗凝固薬がwarfarinに比し,頭蓋内出血を著明に抑制している一方,本来期待される虚血性脳卒中 (脳梗塞)の抑制は弱く,有効性のかなりの部分が出血性脳卒中の抑制によることである。
これは,warfarinが頭蓋内出血・出血性脳卒中を特異的に増 加させていたことによるのかも知れないが,新しい抗凝固薬が有効性と安全性においてwarfarinより特段に優れた薬剤ではないことを銘記する必要があろう。
(堀正二先生)
■Xa阻害薬のアピキサバンが,塞栓症リスクを1つ以上もつ心房細動患者の脳卒中,全身性塞栓症の予防においてワルファリンよりも優れており,かつ出血性合 併症が少ないことが示された。
さらには,死亡リスクもワルファリンに比べて低かったことは注目すべき結果である。
これまでは心房細動塞栓の予防(経口薬) にはワルファリンしか手段がなかったが,直接抗トロンビン薬に加えてXa阻害薬の有効性が示され,我々の選択肢が大きく広がった。
 
【緊急コメント】apixabanの優位性には出血リスクを考慮した用量設定が奏効か
ARISTOTLE試験について是恒之宏氏と一問一答

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1108/1108088.html
■新規抗凝固薬の中で初めて,有効性,安全性ともにワルファリンを上回った。
■有効性,安全性両面で素晴らしい結果だった。新規抗凝固薬での増加が懸念されている消化管出血に関して,有意差はないがワルファリンに比べて若干少なくなっていたことを含め,安全性の面での懸念事項がクリアされていたと言える。
■新規抗凝固薬には1日2回投与のダビガトラン,apixaban,1日1回投与のrivaroxaban,エドキサバンがある。rivaroxabanの場合,ROCKET-AF試験で消化管出血が増加しており,推測ではあるが,最大血中濃度が影響した可能性もある
同じ1日1回投与のエドキサバンのデータも含めて検討していくことになると思う。
■apixabanでは2用量が設定されていた。
年齢80歳以上,体重60kg以下,腎機能障害(血清クレアチニン1,5mg/dL以上)の3条件のうち2 つに相当する場合は,投与量を半減させることになっていた。
これが奏効した可能性もある。
腎排泄が少ない点(25%)は,薬剤選択の幅が広がったことを意味するだろう。
■臨床試験の結果は,経験豊富な医師が厳格に調整しながら治療する,いわば「優等生の治療」によるもの。
安全なイメージが先行して市販後に適切に使われない と,出血事故につながる。これは抗血栓薬すべてに当てはまることであるが,試験で安全性が示されていても,やはり導入の際には慎重な姿勢が求められる。
<私的コメント>
臨床試験が「優等生の治療」 には少し疑義があります。
私は最近、随分前から市販されている某ニューキノロン系抗菌剤を投与し、意識障害による交通事故を起こした症例を経験しました(症例報告としては本邦初症例)。
市販後に副作用が見つかるケースも多く、臨床試験に関わった経験のある身として、大学病院を含めた勤務医が十分な観察をしているとは思えません。
 
 
アイズピリ 赤い背景の花束  リトグラフ(石版画)
http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=1477&aid=89



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http://wellfrog3.exblog.jp/
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http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
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SATURN study

戯れ言たれる侏儒 / 2011.09.06 00:20 / 推薦数 : 2
AstraZeneca announces top-line results from SATURN study
http://www.astrazeneca.com/Media/Press-releases/Article/02092011-astrazeneca-saturn-study-results
Friday, 2 September 2011
AstraZeneca today announced top-line results from SATURN (Study of Coronary Atheroma by InTravascular Ultrasound: Effect of Rosuvastatin Versus AtorvastatiN). SATURN was designed to measure the impact of CRESTOR (rosuvastatin) 40 mg and atorvastatin 80 mg on the progression of atherosclerosis in high risk patients.
<私的コメント>
クレストールとリピトールの国内での用量は各々以下のようにSATURN studyより少ない量です。しかも多くが最小用量で処方されているのが現状です。
クレストール   常用量  2.5〜5mg、最大量20mg
リピトール      常用量10~20mg、 最大量40
mg
クレストール40mgやリピトール80mgはちょっと信じられない量であり、 またハイリスク患者が対象といった点も開業医がみる患者と対象の違いがありそうです。
もちろん人種差はありますが、対象患者にもこの試験結果の解釈には配慮が要りそうです。
 
The results for the primary efficacy measure, which was change from baseline in percent atheroma volume (PAV) in a ≥40 mm segment of the targeted coronary artery as assessed by intravascular ultrasound (IVUS), demonstrated a numerically greater reduction in favour of CRESTOR versus atorvastatin but did not reach statistical significance.

For the secondary IVUS measure, which was change from baseline in total atheroma volume (TAV) within the targeted coronary artery, CRESTOR demonstrated a statistically significant reduction compared with atorvastatin.

Tolerability and efficacy of CRESTOR seen in SATURN were in line with previous studies and approved product labelling.
Further data and analyses will be presented by the study’s academic investigators at the American Heart Association Scientific Sessions (AHA) on Tuesday, 15 November.
<私的コメント>
クレストールとリピトールそれぞれのコレステロール低減率や脂質値(TC、LDL−C、TG、HDL、L/H)が記載されていません。
炎症マーカーの変化も興味のあるところです

NOTES TO EDITORS
About SATURN
SATURN is a 104-week, randomized, double-blind, parallel group, multi-center Phase IIIb study of approximately 1,300 patients, investigating the effects of treatment with rosuvastatin 40 mg and atorvastatin 80 mg on atherosclerotic disease burden as measured by IVUS in patients with coronary artery disease.

About PAV and TAV
Percent atheroma volume (PAV) and total atheroma volume (TAV) can be estimated as part of an intravascular ultrasound examination of a coronary artery. PAV and TAV are two different derivatives of the same measurements taken with a tiny ultrasound probe that is inserted inside the coronary artery. In effect, they take the same ultrasound data, but look at the volume of plaques, or fatty deposits, in different ways to represent what is happening in the patient’s artery.
 
 
<関連サイト>
第136号【SATURN試験の成績:クレストールとリピトールの勝負の結果は?】
http://medicinenewsnow.blog27.fc2.com/blog-entry-142.html
■この試験は、世界的に最も売られているリピトールの後発品が市場に出回る前に、クレストールがリピトールよりもベネフィットのある薬剤であることを示すためにアストラゼネカ社が規格した試験でした。
■結果は、プライマリーエンドポイントであるアテローム体積率(percent atheroma volume:PAV)についてアトロバスタチンに比べてロスバスタチンの方が低下が認めれたものの有意な差は認められませんでした。
一方、セカンダリーエンドポイントである総アテローム体積(total atheroma volume:TAV)では、アトロバスタチンに比べてロスバスタチンで有意な低下が認められました。

■ 詳細な解析結果は、11月15日に予定されている
American Heart Association (AHA)にて発表される予定です。

<私的コメント>
ロスバスタチンはアトロバスタチンに対してプライマリーエンドポイント(PAV )で有意差がでなかったことで、たとえセカンダリーエンドポイント(TAV)で有意差が出てもネガティブな結果という捉え方になったようです。
PAV がTAVより臨床的に重要である理由も私には今ひとつ理解できませんでした。
プライマリーエンドポイントとセカンダリーエンドポイントを逆にしたプロトコールが妥当性かどうかはわかりませんが、その場合にはどのように結果が解釈されるのでしょうか。
現段階では、あまり話題になっていない試験ですが、ロスバスタチンを発売しているアストラゼネカ社にとっては大きな意味を持ちます。
本年11月にAHAで発表された後にはいろいろなコメントが寄せられるものと思われます。
 
AstraZeneca Falls as Crestor Study Results Not Significant
http://www.bloomberg.com/news/2011-09-02/astrazeneca-s-crestor-had-some-benefit-over-lipitor-in-study-1-.html
 
<私的コメント>
進行性非小細胞肺がんや前立腺がんでの別の大規模臨床試験で同名のSATURN試験もあるようです。
 
<番外編>
CTTメタ解析
Cnoresterol Treatment Triallist'(CTT) Collaboration.
Lancet.2010:376(9753);1670-1681
http://asc.m3.com/ck9a575b788b92ae92f0bebaf34c5dfd3d16d/contents/crestor_cnc/10/index.html?cid=201106NNDH

LDL-Cを39mg/dL低下させた時のイベントリスク
 すべての心疾患  16%/年減少
 すべての血管疾患 14%/年減少
 全死亡      10%/年減少

全死亡が減少したという結果は以下の理由から重要である。
以前からスタチンなどによる脂質低下療法は、心疾患は減らすが、脳出血や癌を増やすのではないか、という懸念があった。つまり、心疾患だけをみるのではなく、全体として死亡率が減るかどうかもみる必要があった。
コレステロールが低い人は、心疾患は少ないが、脳出血や癌はむしろ多いという疫学調査のデータがあった。

■脳卒中は全体としてみると、スタチン群はコントロール群に比べて、あるいは積極的スタチン療法群は、標準的スタチン療法群に比べて、いずれも有意に少なくなっており、LDL-Cの低下が脳卒中を減らすことが示された。
■出血性の脳卒中は、いずれも有意な増減はなかった。
■試験期間中に起こったさまざまな癌と、LDL-Cの関係を解析したところ、LDL-Cの低下と癌の発症には関係がみられなかった。(LDL-Cを39mg/dL低下させた時のイベントリスク)
■疫学調査と、薬剤を使った介入研究は全く性質が異なる。
疫学調査でコレステロールが低い人はコレステロールが低くなる原因、たとえば癌や肝臓の疾患、低栄養などが考えられまする。
癌細胞が増えるには大量のコレステロールが必要で、血中のコレステロールは低下し、低栄養では脳出血を起こしやすいといわれている。
私的コメント;コレステロールが高い人は癌細胞増殖の材料が多いということで増殖・進行が早いということはないだろうかとふと思いました。)
つまり、コレステロールが低いから癌や脳出血が起きるのではなく、コレステロールが低いことは、他の病気の可能性がある。
■(LDL−Cはどこまで下げればよいか)
このメタ解析でも、はっきりした結論は得られなかったが、投与前のLDL-C値135mg/dl以上と高い人でも、78mg/dl以下と低い人でも、LDL-Cを39mg/dl低下させたときの主要血管イベントのリスク低下率は変わらなかった。
すくなくともこれまでの試験の範囲では、LDL-Cは低ければ低いほど、イベントリスクは低いと言える。
結論
CTTのメタ解析によって、LDLコレステロールを下げることは、心筋梗塞や脳卒中を減らし、癌や脳出血などの発症リスクに影響を与えない。

(私的コメント;最近、抗癌剤の勉強を少ししました。

抗癌剤が抱える4つの宿題  その1(1/2)

その中で腫瘍が増大しない、ないしは縮小して無増悪生存期間(progression free survival:PFS)が延長しても全生存期間(overall survival:OS)が延長しないならば、抗癌剤が有効とはいえない、という考え方があるというコメントがありました。これは至極当然のことと思われます。抗癌剤とコレステロール低下剤を一緒にするわけにはいけませんが、日本人のように心血管イベントが少ない場合には、「全死亡」の方がよりいい結果が出る可能性もあります。それはそれで興味のあることです。)  

 
ラウル・デュフィ 
ヴァカンス・フォルセ:オパール・ブルー  木版画
http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=791&aid=19
 
 
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減塩の遵守度を確認するのは容易ではない
http://blog.m3.com/reed/20110819/___1_
の続編です。
 
減塩のエビデンスを考える

<2>栄養疫学的な考察とは
ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー
今村文昭先生
メタ解析や総説などは,研究を集約して1つの結論を導くものではなく,既存のエビデンスの不確定性(ばらつき)や問題点を整理することも目的としている。
コクラン共同計画(Cochrane Collaboration)のグループが発表した減塩の効果に関するメタ解析の論文についても,その目的によるところが大きい。
今回は,メタ解析に含められたそれぞれの研究がどのようなものだったか,特に遵守度(compliance)について述べたい。

 
介入試験において遵守度は,その「有効性」と「効果」の検証で非常に重要な要素である。
今回のメタ解析では7つの臨床試験が解析対象とされた が,7つの研究がそれぞれ遵守度のassessmentを行ったとしている。
しかし,遵守度の検討を行ったということは,遵守度が期待通りだったというわけではない。
例えば,減塩の指導が施されたグループにおいて,対照群と比較して,血圧が有意に下がれば,遵守度が保持されたといってよいのだろうか。
もちろん「ある程度」は認められ全否定することはできないが,実際に期待される遵守度だったか否かは分からない。

 
例えば,塩分摂取量が平均約10gの国民に対し,介入群には野菜・果物の摂取と5g未満の塩分摂取を指導し,対照群には野菜・果物の摂取のみを指導したとする。
そして,1年半後,収縮期血圧が対照群に比べて2mmHg有意に減少していたとする(P<0.01)。
この効果は,「5g未満の塩分摂取を指導した効果」ではあるが,「5g未満の塩分摂取を1年半続けた効果」ではない。
言い換えれば,「効果」を検討したもので「有効性」を検討したものではない。
この「効果」と「有効性」の違いに大きく寄与しているのが遵守の程度である。

 
これらの数字はTrials of Hypertension Prevention(TOHP)と呼ばれる臨床試験で実際に得られたものである。
この臨床試験は1年半の栄養指導の成果を見た後,10年強,両群を追跡し,心血管疾患(CVD)の罹患率および死亡率の違いを検証した。
その結果は今回のメタ解析にも含まれている。
この研究では,24時間蓄尿により塩分の摂取量を推定し(24時間分の尿を取りナトリウムの排出量を測定),遵守度を確認したとされている。
それによる と,1年半の介入試験後で減塩は4.7g未満には及ばず平均6.5gほど,さらにその介入試験を終えた後は,遵守度の確認は質問票への回答(減塩を心がけているかなど)でのみ行われた。

 
TOHPおよびその後に行われたTOHPⅡでは,研究に参加した人数が併せて3,000人ほどであった。
2年ごとに病気が発症したかどうか追跡したと論文の著者らは述べている。
1回質問票を郵送して回収するだけでも数十万円かかり,当然,人件費なども要する。
追跡期間中の生体指標の測定などの遵守度を検証するなど,相当の障壁があることは想像に難くない。
 

「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべき
今回のメタ解析に含められた7つの研究のうち,Changらの研究を除いた6つの研究が,栄養指導による減塩の介入を行っており,被験者の遵守を食事摂取の調査やナトリウム排出量などで確認している。

<私的コメント>

「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべき・・・このタイトルが今回、筆者がいいたいすべてだと私なりに考えました。
 



尿中ナトリウムの濃度は,病態などの個人因子によっても日によってもばらつきがあるため, 必ずしも信頼できるものではない。
その不確定性を考慮しても,すべての試験群において塩分の排出量が減っていることから,対照群に比べてある程度の指導の効果があったことが確認できる。
しかし,その排出量の程度を量的に解釈すれば,期待されるほどの遵守度ではなかったケースがほとんどであることが分かる。
実際には,食事指導を伴う研究の被験者は,減塩の介入試験と知りながら,食事調査,検尿などを行うため(盲検化されていない),遵守度の確認にもバイアス が伴う可能性が考えられる。

このことから,今回のメタ解析は「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべきだろう。
報告されたメタ解析は1つ1つの解析に寄与する研究の数が少ないばかりでなく,1つ1つの研究でも「有効性」を知るには重篤な限界があったことが分かる。
当然ながら,減塩の生物学的な価値を知るメタ解析とはいえない。
そして,あくまで栄養指導のエビデンスであるから,例えばフィンランドやイギリスが実践している食品中の塩分濃度を下げる政策に関して,有効な知見を与えることはない〔2つの異なる総説の1人は,今年(2011年)2月に訪日し,減塩政策に関する講演を行ったDr. MacGregor氏である。

 
減塩指導に対する遵守度を数字で確認すれば,行われたメタ解析から「減塩」の効果が検討されたわけではないことが明白である。
しかしながら,公に発信された情報の多くはあたかも減塩の効果がないことを示すかのようであった。
エビデンスの正しい解釈がなされなかったことに原因があるが,「効果」と 「有効性」の違いについて,抄録に明確に記載するべきだったといえるだろう。
 

台湾のChangらの研究の素晴らしさと問題点
今回のメタ解析に含まれた台湾におけるChangらによる研究は, 退役軍人(Veterans)の過ごす複数の施設のうち,3つのキッチンにある塩を通常のもの,2つのキッチンでは低ナトリウム高カリウムの塩(醤油などの調味料を除く)に替えて追跡研究を行った。
1カ月かけてゆっくり入れ替えていることはイギリスの減塩政策に類似している。
 
この研究デザインの素晴らしいところは,試験対象の施設に滞在している限り,減塩の影響に従わざるをえないという点である。
こうした研究デザインで記憶に新しいのはNew England Journal of Medicineに報告された減量の研究であろう。

イスラエルにおいて研究者と軍隊が協力し合い,軍隊のカフェテリアの食事をランダムに分け,栄養摂取のコントロールを行ったもので,減量の知見に大きく貢献した。
高い遵守度を長期間(2年)保持することができた特異な例である。
視野を広げれば,発展途上国などでも集団レベルで農業政策,ワクチンや栄養素の サプリメントの介入試験など,集団を対象にして臨床試験が古くから実践されている。
ものにもよるが,組織のディレクター,地域のリーダーから協力が得られれば,高い遵守度が期待できる。
 
Changらの研究の問題点の1つは,高い遵守度が期待できるものの,遵守度の確認が試験開始3カ月に限られたものであったことが挙げられる。
試験群において,ナトリウムとクレアチニンの比が15%低下が認められているので,約8.2gの摂取量であれば,約7.0gに減少したと考えることができる。
他の研究と同様,推奨される減塩のレベルからすれば軽度といえる。
これはキッチンに備えた塩以外に,醤油や漬物などの摂取がナトリウムの摂取に寄与していることが影響しているためである。
4年強の追跡で,試験群でCVDの死亡率が有意に低下したが,どれほどの塩分摂取量の低下によるものか分からない。
 
またもう1つの問題点は,減塩の介入として普通の食塩を低ナトリウム高カリウムの塩に置き換えたことも挙げられる。
いうまでもなく減塩はある程度達成されたとはいえ,カリウムの摂取量が増加しているため,減塩の効果なのかカリウムの摂取の効果なのか分かりえない。
減塩の介入試験としては非常に価値のある研究ではあるが,この研究からも減塩の推奨レベルの効果が検証できたとまではいえない。
 
比に頼ったエビデンスの解釈には注意が必要
ところで,近年,塩分の摂取に関する研究で,ナトリウムの摂取とカリウムの摂取の両方に着目し,その比を取って疾患の罹患率との関係を検証する研究が複数,報告されている。
先日のArchives of Internal Medicineの論文もその1つである。

こうした比を計算して解析する方法は,生物統計学の領域では批判の対象となっているが,医学界には浸透していない。
Changらの研究のように,ナトリウムによる影響なのか,カリウムによる影響なのか,判断できないことが批判の1つの理由である。
比に頼ったエビデンス は,ナトリウムの摂取低減に特化した減塩の政策などを考える際には,当然,エビデンスの抽出における弊害となるため,解析,報告,解釈において研究者や読者は気を付けなくてはならない。

栄養学的な側面に着目して,減塩のメタ解析を解釈すれば,遵守の程度や,研究デザインのばらつきから,減塩そのものの医学的なエビデンスは皆無といってよい。
今回の論文の著者らが述べているように,効果的な介入の方法を探る研究,そして実践とその評価が必要といえるだろう。
 
出典 MT Pro  2011.8.16
版権 メディカル・トリビューン社

 

 
<きょうの一曲> J.S.バッハ ゴールドベルグ変奏曲
Glenn Gould Goldberg Variations 1955 & 1981: Var 1
http://www.youtube.com/watch?v=QQk1bQPXbOE&feature=related
 

 
 
 2011.8.13 撮影 果樹園(ブドウ畑) 山梨県笛吹市にて
 


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最近、T社の講演会に出かけてその時いただいたパンフできょうは勉強しました。
 T社は最近、非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤を新発売した会社です。
講演内容も尿酸の話と中性脂肪の話(2演題)で、循環器領域ではちょっとニッチな領域でした。
しかし、これが却って新鮮でなかなか興味深い内容で興味深く聴くことが出来ました。
こういった企画および演者の招聘は、学術などのメーカー側か座長が側か、どちらがするのか。
下々の私には勿論経験のないことなので、講演を聴きながら思いを巡らしてしまいました。
 
 
2型糖尿病患者のレジデュアル・リスクを低減させるために今、われわれは何をすべきか
 

 
 

 
 
 

 
 
 
 
 

■糖尿病をめぐる危機的な状況に対応すべく、R3iへの参加は設立後の1年間で41か国となった(2009年11月現在)。
 
 

■主要な14のRCT(計90,056人)を対象にしたメタアナリシスが示すように、スタチンによるLDL-C低下療法は冠血管イベントを23%低下させたが、それを上回る77%ものリスクが”残された”ままである。
(スタチンが示した成果は「レジデュアル・リスク」の概念を生み出す結果にもなった)
 
■Steno-2試験は平均約55歳の160例を対象にした小規模な試験であったが、血管リスクの生活習慣の改善に加え、薬物療法による血糖・ 血圧・LDL-Cなどの厳格なコントロールを約8年間行い、積極的かつ厳格な糖尿病コントロールが心血管疾患のみならず糖尿病合併症の発症・進展抑制に有 用であることを明らかにした。しかしながら、約13年間観察を続けると、51%が糖尿病網膜症を進展させ、25%が腎症を発症し、55%が末梢神経障害を進展させていた(Gaede P,et al.N Engl J Med 2003;358:580-591)
 
レジデュアル・リスク低減のための次なるターゲットはTGとHDL−C
■心血管疾患を有する患者にみられることが多い動脈硬化性の脂質異常症の特徴の1つは、低HDL−Cかつ高TGである。
これらは2型糖尿病患者やMetS患者では典型的にみられる病態であり、糖尿病合併症の発症機序にも強く関与すると考えられている。
 
■TGの特徴の1つは、LDL−Cとは独立して心血管リスクを増大させる点である。
PROVE-IT-TIMI22試験が示すように、高用量スタチンでLDL-C<70mg/dlが達成されても、低TG群(TG<200mg/dl)では心血管イベント発症率は56%増加した(図1)。
 
 
 
■ HDL-CもまたTGと同様、LDL-Cとは独立して心血管リスクを増大させることが分かってきた。
TNT試験では、LDL-C ≦ 70mg/dlにコントロールされていても、HDL-Cが低くなるほど心血管イベント発症率は上昇し、高HDL-C群( ≧ 55mg/dl)と低HDL-C群( < 37mg/dl)との間の相対リスクの差は39%であった(図2右)。
■これらの知見は、スタチンによる低下療法がいかに奏功しても、LDL-Cのコントロールだけでは糖尿病患者やMetS患者の心血管リスク低減に限りがあることを示唆している。
■ LDL-Cに加えて高TG血症や低HDL-C血症の改善を目指せば、この78%のレジデュアル・リスクの山をさらに低減させる可能性がある図2左)。 
 
TGとHDL−Cに注目した2つの疫学調査 PROCAMとREALIST
 
 
 
 

 
 
 
レジデュアル・リスク低減のための新たな治療選択肢
■レジデュアル・リスクを低減させるためには生活習慣の改善が前提であり、そのうえでHbA1cや血圧の正常化、脂質の改善である。
R3iが挙げる具体的な戦略は、フィブラート製剤やナイアシン、ω−3多価不飽和脂肪酸などとスタチンとの併用療法である。
 
■なかでも、低HDL-C+高TGをターゲットにした治療戦略としてFruchart氏が推奨するのはフィブラート製剤、とくにFDAによって安全性のレビューが終了しているフェノフィブラートとスタチンとの併用療法であり、「まず生活習慣の改善、そして早期に治療介入することが重要」と指摘する。
 
心血管リスクに対するフェノフィブラートの有用性
■2型糖尿病患者9,795例を対象に行われたFIELD試験では、低HDL-C+高TG群に対してフェノフィブラートは有意に冠動脈イベントを減少させた(表3)。
ハザード比が0.73なので冠動脈イベントの減少率は27%。
ARR(absolute risk reduction:絶対リスク減少率)は4.3%(P=0.01) 、患者1例を減少させるために必要な治療対象患者数を示すNNTは23と少なく、フェノフィブラート療法が心血管リスクの低減を図るうえで有用性の高い薬剤であることを示している。
 
 

 
 
 
 糖尿病合併症に対するフェノフィブラートの有用性
■Steno-2では積極的かつ幻覚な糖尿病治療・管理を行っても13.3年後には51%が糖尿病網膜症を進展させていた。
これが、積極的かつ厳格コントロールで得られる現行の最良の治療法が引き出した結果である。
■一方、FIELD試験のフェノフィブラート群はレーザー治療を要する糖尿病網膜症患者を5年間で31%減少させ(P<0.001) 、アルブミン尿は14%(P=0.002)、外傷性を除外した下肢切断も36%減少した(P=0.001)(図3)。
 
■すでに糖尿病網膜症であってもレーザー治療を回避するためのNNTは17であり、17例に治療を行うことで1例を回避させることが可能になる計算である。

 
 
 
 
同じフィブラート製剤でも安全性・薬剤特性の点で大きな違いがある
■海外で起きた「ゲムフィブロジル+セリバスタチン」による横紋筋融解以来、日本ではスタチンとフィブラート製剤の併用はされない傾向にある。
つまり、すべてのフィブラート製剤の併用に関する安全性に疑問を投げかけられた。
しかし、欧米ではゲムフィブロジルとフェノフィブラートが異なる特性をもつことに理解が得られている。
■欧米ではスタチン+フェノフィブラート併用療法は通常の投与法として定着している。
 
■すでに20年以上にわたり欧米で使用されてきた実績があるフェノフィブラートは日常診療でも安全性が確認されており(図4)、1万人近くが参加したFIELD試験でも、フェノフィブラートとスタチンも併用が多かったにもかかわらず、問題となるようなクレアチニンやALTの上昇は認められなかった。
 
■腎機能への注意は、他の薬剤と同様、腎排泄型の薬物治療を行う際の基本的な注意点であり、特筆すべき点ではない。
 
■レジデュアル・リスクの低減と糖尿病合併症の発症・進展抑制のためにはLDL-Cだけでなく、HDL−CやTGをターゲットにした視点も重要であり、そのためには「スタチン+フェノフィブラート併用療法が有用」である。
 

出典   MMJ 2009 Vol.5 No.11
版権 毎日新聞社
 
以下は、ある講演会(「残された血管リスク」)の要旨
■動脈硬化と内臓脂肪の蓄積には炎症が関与しており、MCP-1およびマクロファージが重要な役割を演じている。
■プロパゲルマニウムは肥満に伴う炎症を抑制し、MetSの有用な治療薬となることが考えられる。 
■糖尿病に合併する脂質異常症の特徴はLDKの小型化、食後高脂血症、低HDLコレステロール血症、レムナントの増加である。
■フィブラートは糖尿病における脂質代謝異常改善に有効である。
■スタチンは糖尿病における脂質異常症治療の第一選択薬となるが、Residual risk管理のため、高TG、低HDLの場合、フィブラートの追加投与を考慮する。

 

 <関連サイト>
http://asc.m3.com/ck9a50df243771d09413c863dd1ebf52fb0b9/contents/crestor_sokuhou/02/index.html?cid=2011061QJ9

 
 
 
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PROBE法による臨床試験の信頼性を担保する発表の在り方とは?
近年,国際的学術誌や国際学会において日本の試験が取り上げられる機会が多くなってきたが,わが国ではいまだに最も信頼性が高いとされる二重盲検によるランダム化比較試験(RCT)の実施が難しいのが現状だ。
そのため,医師・患者双方が割り付けを知るPROBE法によるRCTが主流となっており,「試験命題がPROBE法に適しているか」,「評価項目は恣意的な要素が入らない客観的なものか」など,試験デザインの注意点が論議されてきた。
PROBE:
Prospective Randomized Open Blinded-Endpoint
そこで,論点を一歩先に進め,PROBE法による試験の信頼性を担保する発表の在り方や論文作成のポイントを京都大学医学教育推 進センターの森本剛講師に聞いた。
 
デザイン論文発表のタイミングに注意して
近年,臨床試験を計画した段階からの透明性が重視されている。
試験のほとんどは米国国立衛生研究所(NIH)の臨床試験サイト大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)のサイトに登録されており,外部の者も計画段階から試験デザインを閲覧することができる。
UMIN
http://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm
 
また,試験デザインをプロトコル論文として論文化するケースも多くなっており,試験結果の報告では,詳細なデザインについてはこの論文を参照することになる。
森本講師はまず,試験デザインを論文化する際には,そのタイミングに気を付ける必要があると指摘する。
試験デザイン論文の発表時期に関して制限はないが,例えば,2年程度の患者登録期間に加えて3年程度の観察期間があるにもかかわらず,結果が発表される2年以内に試験デザインが論文化されていると,部分的にでも結果に合わせて試験デザインを執筆することが可能となる。
そのような恣意性を感じさせる要素は極力避けた方がよい。
 
同講師が統計解析を担ったJPAD試験では,初期段階でプロトコル論文を論文化しておらず,途中の段階でプロトコル論文の提出が提案されたが,見送ったという。
上記NIHサイトに試験デザインが登録されており,透明性は保たれている。
恣意性が疑われる時期に論文化するのは賢明ではないと判断したという。
同試験は,結果的にJAMAに報告され,その後もサブ解析が国際的な主要ジャーナルに次々と発表されている。
避けるべきパターンは,初期段階で試験サイトに登録されたデザインとプロトコル論文や試験結果の報告の際における研究方法の内容が異なることだ。
特に,変更を行ったのにもかかわらず,プロトコル論文の段階であたかも初めて計画したように記載すると,査読者など第三者への信頼性を損ねることになる。
恣意的なデザイン変更は避け,デザインに忠実な発表を
次に森本講師が挙げるのが,デザイン変更に関する注意点だ。
先に挙げたNIHのサイトでは,デザインの変更歴も一目で分かるようになっており,変更がいつなされたのか,またどのような点が変更されたのかも第三者の目に触れる。
 
第三者が理解できない変更がなされると,試験者にとって都合の良い結果を出すために変更したと受け取られかねない。
そのため,試験の目的を大きく変える変更は避け,変更する場合は試験の目的から考えて妥当な点に限定すべきである。
特に,試験結果の要となる1次評価項目と2次評価項目の変更は慎重に考える必要がある。
 
また,試験結果を発表する際には,デザイン通りにすべてを発表すべきだと指摘する。
「試験結果の一貫性」という観点から,1次評価項目を裏付けたり,説明できる2次評価項目が設定されることが多いが,PROBE法ではそこに客観的な指標を挙げる必要がある。
症例数が少なくなる死亡や心筋梗塞などの限定された項目とも一貫性があるか,さらにその背景を裏付ける客観的な指標が全体の結果を支持していることが重要であるという。
客観的な指標としては,左室駆出 率(LVEF)やヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などが挙げられる。試験デザインで予定されていたエンドポイントが発表の際に抜けていたり,客観的な指標が省略されていたりすると,その場合も恣意的と見なされる恐れがある。

森本講師は,臨床試験の意義は「仮説が正しかったことを証明」−つまり試験薬の優位性を示すことよりも,背景を含めて試験の全体像が理解されることであると説明する。
試験薬が仮説と反して有意差をもって優位でなくても,仮に劣性であったとしても,試験結果の報告を通してその全体像が理解できれば,信頼性の高い有用な知見として,臨床に応用できるという。
出典 Medical Tribune 2011.5.26
版権 メディカル・トリビューン社

 

<関連サイト>

治験ナビ-治験・医薬用語集<PROBE法

PROBE法
(Prospective,Randomized,Open,Blinded-Endopoint design)
試験デザインの1つで、
前向き(Prospective)
無作為 (Randomized)
オープン (Open)
エンドポイントブラインド (Blinded-Endopoint)
で行う試験方法です。
この「PROBE法」で実施される試験を「PROBE試験」と言います。
「PROBE試験」は、「前向き無作為オープン結果遮蔽試験」と呼ばれることもあります。
PROBE法は、高血圧の大規模臨床試験で
初めて提唱された試験デザインで前向き(プロスペクティブ)、 無作為化(ランダム化)、オープン(非盲検)で試験が実施され、
エンドポイントの評価を、被験者がいずれの群に割り付けられたかを知らない 第三者が行うことにより盲検化するのが特徴です。
大規模臨床試験においては、二重盲検試験を導入することには困難が伴う為、結局オープン試験が実施される場合が多いのですが、オープン試験には、被験者がいずれの群に割り付けられたかを評価者が知ってしまう為、
結果(エンドポイント)の評価にバイアスがかかる
可能性があるという欠点があります。
そこで、このオープン試験の欠点を解消し、試験の精度を高める方法として「PROBE法」が提唱されたのです。
 
JIKEI HEART STUDY と PROBE 法(070518、090923)
 
薬の臨床試験 - 万事塞翁が馬
私的コメント;最初に2005年5月31日/HealthDayNewsの「ファイザー社、メルク社はまだすべての情報を公開せず」という興味深い記事を紹介しています。そしてPROBE法の問題点に切り込んで「PROBE法を喧伝した人間が2人いる。2人ともスウェーデン人で,大学教授の肩書きを持っているが,その実態は,臨床試験実施会社(治験屋)の社長だ」と舌鋒鋭く書いています。そうだったんだ。スウェーデン・シャルグレンスカ大学病院教授Björn Dahlöf氏って。ショックです。しかも医療関係者でないブロガーがここまで切り込んでいるのには感服しました。)
 
ウィキジャーナル 地域医療に役立つ論文まとめサイト - PROBE法

PROBE法で複合エンドポイントなJIKEI HEART STUDY - 病院薬剤師の ...
 
特別企画/JIKEI HEART Study/その成果の理解を深める
PROBE法の問題点|生活習慣病の予防
 
MEGAスタディーなど - 女性のメタボとコレステロールを考える ニコー ...

PROBE法 - 田舎に暮らしたい! - Yahoo!ブログ

PROBE法の問題点|生活習慣病の予防

■山崎力先生(東大大学院医学系研究科 クリニカル バイオインフォマティクス研究ユニット教授)のご講演を聴く機会があった。
慈恵ハートスタディ、京都ハートスタディは問題のある研究だということがよく分かった。
■オープン試験にソフトエンドポイントを入れると、結果をある程度操作できると思われるので、海外のPROBE法を用いた研究はハードエンドポイントだけでソフトエンドポイントを入れていないものが多い。
しかし、上記の研究はどちらもソフトエンドポイント(狭心症による入院など)を取り入れており、そこが大きな有意差発生の要因となってしまっている。
ハー ドエンドポイントである心筋梗塞の発生にはほとんど差がない。
■ちなみに、同じ企業のサポートによる研究でも、Value研究は極めて質が高く価値のある研究だった。
山崎先生によると、

1)統計学的有意差=薬の力 × 企業努力
2)大規模臨床試験=小規模効果試験
(私的コメント;この「小規模効果試験」は「小さな効果をみる試験」という意味のようです)

確かにSteno2研究(N Engl J Med 2003;348:383-93)などは、1群80人、計160人を対象とした研究だ。
■本当に良い治療は、NNTも少ないし大規模にしなくても有意差が出ている。

 

 

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ACST-1試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.04.19 00:10 / 推薦数 : 0
この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方、そして計画停電中の首都圏の方にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。
 
 
ACST-1試験(Asymptomatic Carotid Surgery Trial)
の記事で勉強しました。
このACST-1は無症候性頸動脈狭窄例において,即時頸動脈内膜切除術(CEA)と長期間待機CEAの有効性と安全性を比較した試験です。
主なエンドポイントは周術期の死亡率および合併症(脳卒中,心筋梗塞)の発症率および非周術期脳卒中。
結果は70%以上の頸動脈狭窄を有する75歳未満の無症候性患者において,即時CEAは5年脳卒中発症リスクを12%から約6%へ半減させたというものです。
 
ACST-1試験 即時のCEAで脳卒中リスクが半減
即時のCEAで脳卒中リスクが半減
オックスフォード大学(オックスフォード)臨床医学のAlison Halliday教授らは,頸動脈狭窄が認められるが無症候性の患者に対する即時の頸動脈内膜切除術(CEA)の長期的な効果を検討するランダム化臨床試験ACST-1を実施。
結果をLancet(2010; 376: 1074-1084)に発表した。同試験ではこのような患者のうち,頸動脈狭窄を除けば健康状態が良好な75歳未満の男女では,即時のCEAにより脳卒中の10年リスクを抑制できることが示された。
 
30カ国126施設の3,120例を対象に検討
神経学的症状が見られない無症候性であっても,左頸動脈または右頸動脈に60~90%の狭窄が認められる患者では,特にその動脈が血液を供給する側の脳において虚血性脳卒中を発症する長期リスクが上昇する。
このような患者に対して,CEAを施行することで狭窄の原因となる脂肪性沈着物の除去は可能だが, 手技そのものを原因とした脳卒中または死亡のリスクもある。
30カ国126施設で実施されたACST-1では,頸動脈エコーによる検査で片側または両側に重度
私的コメント;頸動脈エコーにて60%以上の頸動脈径の減少と考えられる頸動脈狭窄が認められ,過去6カ月間にその狭窄に起因した脳卒中や一過性脳虚血発作,あるいは関連する神経学的症状が見られない無症候性の患者3,120例を対象に,CEAによる長期効果が検討された。
私的コメント除外基準 同側CEAの既往,最近発症の心筋梗塞などのために外科的リスクが高いと思われるもの,心源性塞栓を発症する可能性があるものなど。
これらの患者は,医師が直ちに手術を実施すべきか否か確定的な判断ができない患者であった。
Halliday教授らは,これらの患者の半数を即時CEA群に,残りの半数を待機的CEA群にランダムに割り付けた。
即時CEA群ではできるだけ早くCEAを施行し,待機的CEA群では頸動脈灌流領域の虚血症状の発症,あるいは明確に手術適応となる症状の発現までCEAの施行を待機した。
私的コメント両群とも適切な薬物療法として抗血小板療法,降圧療法,脂質低下療法などを実施

5年リスクは即時CEAで半減
追跡期間の中央値は9年間であった。
待機的CEA群の一部は最終的にCEAを受け,また対側のCEAを受けた患者もいたことから,今回の試験期間中に合 計1,979件のCEAが施行された。
これらの患者における30日以内の周術期における脳卒中または死亡の発生率は3.0%であった〔95%信頼区間 (CI)2.4~3.9〕。
これには,重度ではない脳卒中26件と重度または致死的な脳卒中34件が含まれた。
 
周術期のイベントと脳卒中以外の原因による死亡を除外すると,脳卒中の5年リスクは即時CEA群の4.1%に対して待機的CEA群では10.0%(両群 の差5.9ポイント,95%CI 4.0~7.8),10年リスクは即時CEA群の10.8%に対して待機的CEA群では16.9%(同6.1ポイント,2.7~9.4)であった。
また, 周術期のイベントと脳卒中を含む複合リスクは,5年で即時CEA群の6.9%に対して待機的CEA群では10.9%(同4.1ポイン ト,2.0~6.2),10年では即時CEA群の13.4%に対して待機的CEA群では17.9%(同4.6ポイント,1.2~7.9)であった。
 
なお,両群が抗血小板薬や降圧薬,脂質異常症治療薬を組み合わせた薬物療法を同等に受けていた。
 
スタチン系薬の使用の有無にかかわらず便益
今回,被験者の大半が試験期間を通じて抗血栓療法と降圧療法を受けていたが,スタチン療法に関しては今回の試験が開始された1993年の10%未満から徐々に増加し,2006~08年には80%を超えた。
なお,スタチン系薬の使用の有無にかかわらず即時CEAには実質的な便益が認められた。
また,ベースライン時の年齢が75歳未満の男女では即時CEAによる便益が認められたが,75歳以上の被験者では認められなかった。
この結果を踏まえ,Halliday教授らは「頸動脈狭窄を除けば健康状態が良好な75歳未満の男女では,周術期リスクが低ければCEAによる実質的な便益が得られることが示唆された」と結論付けている。
さらに,「今回,無症候性の頸動脈狭窄患者で脳卒中の10年リスクが抑制されたが,この抑制されたリスクの半数は重度または致死的な脳卒中であった。
CEAから期待できる便益は,未手術の頸動脈病変に起因した脳卒中のリスクがどの程度かに左右される。
このようなリスクは薬物療法で抑制できると考えられ るが,抑制できた場合はCEAによってもたらされる便益は小さくなる。
また,CEAによる便益は,10年以内の脳卒中以外の原因による死亡リスクにも左右 される」と説明している。
 
75歳以上に対する有益性も今後の検討課題に
頸動脈病変には一般的に冠動脈病変の場合と同様の脂肪性沈着物が関与するが,主に左右の頸動脈が脳に血液を供給していることから,頸動脈病変は致死的な,または不可逆的な重度脳卒中を惹起する可能性がある。
Halliday教授は「CEAの長期的な効果を明らかにするために実施した今回の試験は,終了までに15年以上を要した。
この試験で得られた知見は, 医師や患者がリスクも伴う即時のCEAを選択するか否かについて決断する上で,実用的な判断材料となるであろう」と述べている。
なお,同教授らは次の段階としてCEAの代替となる治療法の1つである頸動脈ステント留置術とCEAの長期的な効果を比較するACST-2を計画しているという。
ビシャ病院(パリ)のPierre Amarenco教授らは,同誌の付随論評(2010; 376: 1028-1031)で「Halliday教授らは,今回の試験結果は施行された全CEAで周術期のリスクが3.0%であったことに大きく依存していると 明言している。
同教授らが指摘するように,患者特性,頸動脈狭窄症,手技,術者などの脳卒中リスクを上昇させうる要因を正確に同定するために,より大規模な患者登録が必要である」と述べている。
さらに「今回は有意な便益が認められなかった75歳以上の患者に対しても,一部では即時CEAによる便益が得られるか否かを確認するために,さらなる研究が必要である」と付け加えている。
出典 Medical Tribune  2011.4.7
版権 メディカル・トリビューン社 
 
 
この試験に関しては八尾市立病院副院長の星田四朗先生が
にコメントしてみえます。
 
頸動脈内膜切除術(CEA)は周術期に致死的/介護を要する脳卒中を生じ,術後の血栓塞栓症のリスクを永久には取り除けないが,症候性高度頸動脈狭窄例に対する長期的効果は1991年,ECSTとNASCETにより明らかとなっている。無症候性高度狭窄例に対するCEAは,一過性脳虚血発作や介護を要さない脳卒中の発生率を低下させるが致死的/介護を要する脳卒中は低減しないと報告されている(VA,ACAS trial)。
本研究は1993年より10年間かけて多数例をエントリーし,無症候性例に対するCEAの長期的効果(脳卒中発生率)を検討している。
本論文は途中経過であるが,75歳未満の高度狭窄例では即時CEAが明らかに脳卒中リスクを低下させている。
本研究はACASより症例数が多く観察期間が長い ので両者の結果が異なると思われる。
サブグループ解析では,コレステロール値,高血圧,陳旧性心筋梗塞や糖尿病の有無による有用性の違いはみられていない。
患側だけではなく対側の頸動脈支配領域の脳卒中の発生率も明らかに低下しているのは,脳内の側副血行路(Willis環)と関連しているのであろう。
本研究の75歳以上の無症候性例は650例と少なく偽陰性の可能性もあるが,生命予後を考えるとCEAの適応は限られる。
しかし,症候性であればCEAの 有用性は2~3年で出現するので,75歳以上でも施行する意義はある。
 
 
<自遊時間>
日経新聞に「交遊抄」というコーナーがあります。
中には私の高校時代の同級生が登場する場合もあります。
(それこそ今話題のT電力の偉い人)
多くは実施はどれだけの交遊?と鼻につく内容のこともあります。
文芸春秋の「同級生交歓」 のコーナーも、近頃は知っている人が登場するようになりました。
昔はおじいさんのコーナーと思っていたのですが、歳を取ったものです。
さて、この「交遊抄」。
日経新聞だけに「功成り名を遂げた社長さん」が執筆することが多いので少し嫌みなこともあります。
 
2011.4.18の記事もちょっと「嫌み」 でした。
執筆者はご多分に漏れず社長さん。
 
■大学卒業を控えた春休み 、九州に旅行をした。
旅の連れは、今は○○社長の○○君、元 ○○専務の○○君。
K大学経済学部の同窓である。
詰め襟姿、安い切符で列車を乗り継ぎ、西を目指した。
■2週間の旅だが、さして小遣いは持たなかった。
友人を訪ねてそこに転がり込む魂胆。だが知己のいない土地ももちろんある。
どうするか。
■カネはないが、Kボーイの自負だけはたっぷりあった。
安宿になど泊まれるものか。
行く先々で最高級の旅館を訪ねた。
「出世払いで泊めてください」 。
不思議と断られたことがない。
私的コメント;Kは記事ではもちろん実名です)
 
「Kボーイの自負」「最高級の旅館」は余分です。
「自負」といっている「Kボーイ」という言葉は世間が「ボンボン育ち」を揶揄してつけた言葉であることを知らないがごとくです。
「出世払い」も、その後にきちんと支払っていなければ無銭飲食という立派な犯罪です。
 
彼自身が「自分達はエリート」と思うならば、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という言葉を思い起こすべきであり、こういった反社会的行為を得々と語る神経はちょっと私には理解出来ません。
 
何となく読後に嫌な後味を残したエッセイでした。
 
このエッセイを読んで思い出したことがあります。
 
昔あるバーで静かに酒を飲んでいたら、SK戦の流れのK・OBがなだれ込んで来て突然「若き血」を歌い出しました。
 
「何たる傍若無人」と思ったものでした。
こういったことは、バーを借り切ってやっていただきたい。
 
昔の旧制高校生気どりのバンカラ風情を決め込んでおみえのようですが、昔の旧制高校生とりわけナンバースクールの学生は(こういっちゃ何ですが) もう少しエリートでした。
(これは亡父から生前に聞いていた話)
 
K大出身の先生が読んでみえたらごめんなさい。
 
 
 
加藤静児
http://search-art.aac.pref.aichi.jp/p/sakuhin.php?OI=OBJ199704211
 
 
 
 
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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EXCELLENT試験

戯れ言たれる侏儒 / 2011.04.10 00:36 / 推薦数 : 0
この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方、そして計画停電中の首都圏の方にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。
 
DES留置後の6ヶ月 vs 12ヶ月の2重抗血小板療法
EXCELLENT試験より、DES留置後の6ヶ月の2剤(アスピリンとクロピドグレル)の抗血小板療法は、12ヶ月の継続と同等の効果が得られることが、韓国、Sungkyunkwan UniversityのHyeon-Cheol Gwon氏により、ACC.11 & i2 Summit Late-breaking Clinical Trialsセッションで発表された。

本試験では、韓国の19施設よりエベロリムス、又はシロリムス溶出ステントの留置を受ける1,443人を登録し、6ヶ月、又は12ヶ月の2重抗血小板療法を受ける群に無作為に割り付けた。


12ヶ月の追跡で、主要評価項目のTVF(心臓死、MI、TVR)の割合は6ヶ月の2重抗血小板療法群で4.7%、12ヶ月群で4.4%であり、事前に設定した非劣性のマージンを満たし、6ヶ月群の非劣性が確認された(p
NI=0.0031)。
また、安全性の評価項目(死亡、MI、脳血管イベント、ステント血栓症、TIMI大出血)も6ヶ月群で3.4%、12ヶ月群で3.1%と差はなく(p=0.764)、MACCEの割合も同等であった(7.5% vs 8.4%: p=0.559)。

Gwon氏は「2剤の抗血小板療法を12ヶ月未満で中止しても問題がない可能性が確認されたが、いくつかのサブグループにおいては6ヶ月の2重抗血小板療法の安全性は証明されておらず、クロピドグレルの中止には患者のリスクプロファイルを考慮する必要がある」と、まとめている。


出典 Medical Tribune 2011.4.7
版権 メディカル・トリビューン社
 

 

<自遊時間>

国、社保審査むちゃくちゃな返戻急増 
http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=4&messageId=1604536&messageRecommendationMessageId=1604536&topicListBoardTopicId=162489
 
レセプトといえば、「最近傷病名コード」に関する指導が強化されています。
このコードがよく理解できません。
具体的には当院では

胆石症 → 胆のう結石症
頭位眩暈症 → 頭位めまい症
急性腎盂炎 → 急性腎盂腎炎
緊張型頭痛 → 筋収縮性頭痛
などです。
 
レセプト病名のチェックソフトでチェックをかけると
糖尿病 → 2型糖尿病
 
冠不全は冠動脈不全 といった医学用語とは思えないような病名になります。
 
メバロチンに高コレステロール血症という病名を入れると「高脂血症に変更しなさい」という指示が出ます。
最近学会で推奨されている「脂質異常症」は、もちろん ダメです。

ストロングスタチンやゼチーアは「高コレステロール血症」、トライコア・ベザトールは「高脂血症」と入れなければなりません。
ゼチーアとトライコア・ベザトールを併用した場合には一体何て病名をつければいいのでしょうか。
高コレステロール血症      開始○○年○月○日

高脂血症                       開始○○年○月○日
と書くのでしょうか。
つくづく保険病名は医学ではないと感じます。

 

<きょうの一曲>
ドビュッシー/プレリュード第1集 5.アナカプリの丘/演奏:大崎 結真
http://www.youtube.com/watch?v=XRMfLJvXqF0

ドビュッシー : プレリュード(前奏曲)集 第1集 / Préludes 1
http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/debussy/000671.html

前奏曲 (ドビュッシー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_%28%E3%83%89%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC%29

 

 

その他
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OSCAR-Study

戯れ言たれる侏儒 / 2011.04.09 00:01 / 推薦数 : 1

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方、そして計画停電中の首都圏の方にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。
 
 「降圧度が同等ならば高用量オルメサルタンによる心血管系予後改善作用は通常用量オルメサルタン+Ca拮抗薬併用を上回る」という仮説のもとに2007年5月に患者登録が完了してスタートした多施設共同研究、大規模試験「OSCAR-Study」の結果が第60回ACCで発表されました。
 
 
高齢者高リスク高血圧対象に高用量ARB vs. ARB+Ca拮抗薬
OSCAR試験,併用療法でイベントリスク低い
熊本大学大学院循環器病態学教授の小川久雄氏は,65歳以上85歳未満の高リスク高血圧患者へのアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタン高用量と,ARBオルメサルタン+長時間作用型Ca拮抗薬(アムロジピンまたはアゼルニジピン)併用の効果を比較したOSCAR試験Olmesartan and Calcium Antagonists Randomized-Studyの結果を第60回米国心臓病学会(第60回ACC;4月2~5日,ニューオリンズ)のLate-Breaking Clinical Trialsで発表した。
その結果,有意ではないもののARBとCa拮抗薬併用群のイベントリスクが高用量ARB群よりも低く,特に心血管疾患既往患者ではその差が有意であった。
 
心血管疾患既往が70%の高齢高リスク患者が対象
OSCAR試験の対象は,心血管疾患,腎障害,2型糖尿病のリスクを1つ以上有する65歳以上85歳未満の高血圧患者。血圧については,単独薬による降圧療法で座位時収縮期血圧(SBP)140mmHg以上もしくは拡張期血圧(DBP)90mmHg以上などが条件とされた。
 
ただし,登録時点の降圧治療を継続すべき患者やニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能クラス分類Ⅲ度以上の心不全や二次性高血圧,がん,重篤な肝・腎障害を有する場合は除外された。
 
PROBE法によるRCTとして行われた同試験には,国内134施設が参加。
1,217人が登録され,基準を満たした1,164人が高用量ARB 群578人とARB+Ca拮抗薬併用群586人に割り付けられた。
試験患者の平均年齢は約74歳で,登録時の平均血圧は158/85mmHg,心血管疾患 既往は約70%,糖尿病患者は54%だった。
プロトコルは,オルメサルタン20mg/日でのランイン期間が設けられ,その後高用量ARB群では40mg/日に増量され,併用群ではCa拮抗薬およびオルメサルタン20mg/日の併用療法が行われた。
併用群でのCa拮抗薬は長時間作用型のアムロジピンまたはアゼルニジピンが使用された。
血圧管理が不良な場合は試験薬以外の薬剤が追加された。
1次評価項目は,脳血管疾患,冠動脈疾患,心不全,他の動脈硬化性疾患,糖尿病性細小血管合併症,総死亡を合わせた複合評価項目と設定された。
 
心血管疾患既往者では併用療法が高用量ARBより有意なリスク低下
36カ月の追跡の結果,血圧は両群とも同等に低下したが,収縮期血圧(SBP)で2.4mmHg,拡張期血圧(DBP)で1.7mmHg,それぞれ併用群が高用量ARB群よりも低下していた。
1次評価項目の発生は,併用群48例に対して高用量ARB群58例で,高用量ARB群のハザード比は 1.31〔95%信頼区間(CI)0.89~1.92〕だったが,有意差はなかった(P=0.1717)。
 
サブグループ解析では,心血管疾患既往患者群でのみ有意差が認められた。
高用量ARB群51例に対して併用群は34例で,ハザード比 1.63(95%CI 1.06~2.52,P=0.02610)だった。
心血管疾患既往がない糖尿病患者では,1次評価項目の発生が高用量ARB群7例に対して併用群14例で 高用量ARB群で低い傾向にあったが,有意差はなかった(ハザード比0.52,95%CI 0.21~1.28,P=0.1445)。
小川氏はOSCAR試験の意義について「高用量ARBとCa拮抗薬との併用をRCTで比較した初めての試験」と述べ,この結果をどのように臨床に適応させていくかという点については「2つの治療法は等しく有効であったが,心血管疾患既往患者ではARBとCa拮抗薬の併用が高用量ARBよりも有効であり,患者の背景リスクを考慮して治療法を決定する必要がある」とまとめた。
              
出典 MT Pro 2011.4.7
版権 メディカル・トリビューン社
 
<私的コメント>
■この試験の特徴の一つに、対象が高齢(65歳以上85歳未満)高リスク患者である、ということです。
ここでいう高リスク患者とは以下の少なくとも1つを有する場合とされます。
「2型糖尿病」「脳血管障害既往(直近6カ月を除く)」「無症候性脳血管障害」「心筋梗塞既往(直近6カ月を除く)」「狭心症またはNYHA分類I〜II度心不全」「左室肥大」「大動脈瘤」「大動脈解離既往(直近6カ月を除く)」「閉塞性末梢動脈疾患(Fontaine分類:2〜4度)」「血清クレアチニン:1.2〜2.5mg/dL(男性)、1.0〜2.5mg/dL(女性)」「尿蛋白(定性:+1以上、定量値:0.3g/g・Cr以上)」。
 
主要評価項目は複合評価項目で「致死的・非致死的心血管系イベント」と「総死亡」。
心血管系イベントの内訳は「脳血管障害」「冠動脈疾患(突然死を含む)」と「心不全」、「その他動脈硬化性疾患」「糖尿病性合併症」と「腎機能の悪化」。
 
■ARBの高用量投与は、糖尿病性腎症や、心不全患者における心血管系疾患の発症予防において、高い予防効果があると指摘されています。
しかし、ARBとCa拮抗薬の併用と比較してどちらが高い効果が得られるのかは明確に分かっていませんでした。
 
■ARBの高用量投与群の方が心血管系疾患の発症予防が高いという予測で始まった試験です。
ITT解析を行った結果は 1次評価項目の発生については両群間に差が見られないというものでした。
降圧度はARBとCa拮抗薬併用群が、ARB高用量群に比べ、有意に大きかった(P<0.05)ことが、高用量ARBの理論上の優位性がキャンセルされてしまったのかも知れません。
このように両群間の血圧値に優位差が出てしまったのがこの試験の不幸(残念)なところともいえます。
 
■「心血管系疾患の既往例」に限定して検討したサブグループ解析の結果、主要評価項目(致死性または非致死的心血管系イベントの複合「脳血管疾患、心血管系疾患、心不全、そのほかアテローム血栓症、糖尿病性微小血管障害、腎疾患」+総死亡)の発生がARB高用量群で有意(P=0.0261)に高い結果となりました。
一方、心血管系疾患の既往がなく糖尿病だけを合併する患者では、主要評価項目の発生が、ARB+Ca拮抗薬と比較しARB高用量群で低い結果(傾向?)となりました(P=0.1445)。
しかし、有意差がないためこれは考察には値しません。
 
■2011.4.12追加
後日オルメサルタンを発売しているK社のMRさんが訪問され、OSCAR試験の話になりました。
その際に「弊社はD社と違って配合剤の取り扱いが出来ないんです」 との言葉。
それを聞いて、「ああ、そうなんだ。どっちに転んでもいい試験だったんだ」と思いました。
しかし、よく考えたらレザルタス配合錠はオルメサルタン+アゼルニジンの合剤です。
私はてっきり今回の Ca拮抗薬をアムロジピンと読み間違えていました。
読み返してみるとCa拮抗薬は「アムロジピンまたはアゼルニジピン」となっています。
ある意味で「巧み」(Ca拮抗薬追加群でいいデータが出てもレザルタス配合錠を推奨できる、という意味において)といえますが、この「アムロジピンまたはアゼルニジピン」というプロトコールの設定は些か微妙ではないでしょうか。
さらに一言。
アムロジピン、アゼルニジピンのそれぞれの解析はされているのでしょうか。
されているとすれば、その結果はどうだったのでしょうか。
 
<関連サイト>
OSCAR: Olmesartan improves outcomes in patients with diabetes
http://www.endocrinetoday.com/view.aspx?rid=82323
■Combination therapy with olmesartan and a calcium channel blocker was associated with similar rates of cardiovascular events and mortality when compared with a high-dose angiotensin II receptor blocker alone in patients with cardiovascular disease.


 
■However, dual therapy appeared inferior to angiotensin II receptor blocker monotherapy in patients with diabetes, according to results of the OSCAR study.
私的コメント;前述のように有意差がない事象のためこの記述は間違っています)

 
■High-dose angiotensin II receptor blockers (ARBs) are more effective than low-dose ARBs for the prevention of CVD in patients with diabetic nephropathy or heart failure; however, the question of whether combination therapy with an ARB plus a calcium channel blocker (CCB) is superior to ARB monotherapy remains unanswered.
私的コメント;この文章表現は、心血管系イベントに関し「併用療法」がARB高用量より有効であるかも知れないというニュアンスになっています) 

 
Compared with monotherapy, combination therapy induced considerably greater decreases in BP, according to the researchers. Mean systolic BP was a mean 2.4 mm Hg lower and mean diastolic BP 1.7 mm Hg lower.
私的コメント;この血圧差は、きっと今後に出されるであろうコメントで問題にされそうです。もし議論されなければ「出来レース」ないしは「人情コメント」の誹りを免れないことになります。今後のコメンテーターの内容が楽しみです。) 
 
■It is interesting to see how different subgroups seem to benefit differently from different antihypertensive medicines.
I think that people really do need to take into consideration the patient’s individual profile before deciding which drugs to use and which combination of antihypertensive treatments because many patients need more than one drug. That’s bottom line.
– Byron Lee, MD
Associate Professor of Medicine
University of California, San Francisco

 


日本医事新報2011.4.9に掲載されていました。
「OSCAR-Study」が某メーカーの期待を集めて行われたスタディであることがわかります。
Medical Tribune誌 2011.4.7 にも見開き2ページのOSCAR-Studyの紹介(広告)がされていました。
http://www.oscar-study.info/
このサイトで早速「コメント」を見ることが出来ます。

熊本大学大学院生命科学研究部 循環器病態学分野
小川 久雄教授
■日本人のCVD既往のあるハイリスク高齢高血圧患者における厳格な降圧、つまり数mmHgの降圧の重要性が示されました。
■ハイリスク高齢者高血圧患者さんに対しては、オルメサルタンをベースとした治療が有用であるということを意味していると考えられました。
私的コメント;Ca拮抗薬単独と比較した試験ではないので「オルメサルタンをベースとした治療が有用」とは言えないのでは。)

日本高血圧協会 荒川 規矩男理事長
■「結論として、ハイリスク高齢高血圧患者においてもARBをベースとして、降圧目標達成のために必要ならCa拮抗薬を併用した降圧治療が有用であることが検証されました。」
私的コメント;「ARBをベースとして」という結論も微妙です。) 
 
熊本大学大学院生命科学研究部 生体機能薬理学分野
光山 勝慶教授

「糖尿病のみを合併している患者においては、オルメサルタン増量(40mg)群でCa拮抗薬併用群よりイベント抑制が示唆されました。」
私的コメント;「抑制が示唆されました」という表現は有意差がなかったためです。この点については「更なる検討の必要性が示唆されました」とも述べられています。) 
ARB+Ca拮抗薬併用群、ARB単独増量群と別にCa拮抗薬単独(増量)群を加えた検討ならどういった結果になったのでしょうか。
以前から、高齢者とCa拮抗薬の相性はいいことが知られていたわけですから。
 
<きょうの一曲> Chopin Prelude n°24
Chopin Prelude n°24 - Yuma Osaki
http://www.youtube.com/watch?v=0CS2bwTw0Jg
24の前奏曲集(プレリュード)
http://www.chopin-web.com/work/prelutde.html
前奏曲 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_%28%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3%29
ショパン : 24のプレリュード(前奏曲集) / 24 Preludes Op.28
http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/chopin/002078.html
(楽譜および音源再生あり)
 
大崎結真オフィシャルホームページ
http://www.yumaosaki.com/


<自遊時間>
医療機関は停電対象外に 厚労相、東電に注文 
細川律夫厚生労働相は5日の記者会見で、地域ごとに交代で電気を止める計画停電をめぐる対応について「病院などへの送電停止は例外でお願いしたい」と述べ、冷房需要が増加する夏でも、医療機関は計画停電の対象外とするよう東京電力にあらためて求めた。
厚労省によると、これまでに実施した計画停電では、自家発電により入院患者らに被害が出たケースは報告されていない。
しかし、医療機関が自家発電で賄えたのは医療機器に使う電気のみで、病室などの冷房に回す電気までは確保できない可能性もあるという。
http://community.m3.com/doctor/showNewsArticleDetail.do?boardId=3&boardTopicId=162430&messageListBoardTopicId=162430&newsArticleId=1603957
 
<私的コメント>
この記事を読んで厚労省もなかなかやるわいなと思ってしまった私はお馬鹿さんでした。
「技術的に出来るわけがない」 「厚労省のパフォーマンス」とか、m3.comで散々叩かれていました。
m3.comって賢明な方々の集いの場なんですね。
再認識しました。
 



その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります
 
 
 
 
 

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