某日、国立循環器病研究センター心臓血管内科・臨床研究部の北風政史先生の講演を聴く機会がありました。
その際、北風先生から会場の先生方に以下のパンフが配布されました。
http://www.evfc.jp/
パンフによれば
「医師を対象とし、循環器・糖尿病領域に特化した質の高い情報を提供する目的で活動したサイトです。医師主導型なので、中立性の高い医療情報を提供できます」
「ID(メールアドレス)とパスワードを登録」
「入会金・年会費一切不要」
と書かれていました。
私は早速登録しました。
<自遊時間> 
Google 2011 クリスマス ハッピーホリデー「ホリデーシーズン」ロゴに!
http://www.mif-design.com/blog/2011/12/23-001240.php
AstraZeneca announces top-line results from SATURN studyhttp://www.astrazeneca.com/Media/Press-releases/Article/02092011-astrazeneca-saturn-study-resultsFriday, 2 September 2011AstraZeneca today announced top-line results from SATURN (Study of Coronary Atheroma by InTravascular Ultrasound: Effect of Rosuvastatin Versus AtorvastatiN). SATURN was designed to measure the impact of CRESTOR (rosuvastatin) 40 mg and atorvastatin 80 mg on the progression of atherosclerosis in high risk patients.<私的コメント>
クレストールとリピトールの国内での用量は各々以下のようにSATURN studyより少ない量です。しかも多くが最小用量で処方されているのが現状です。
クレストール 常用量 2.5〜5mg、最大量20mg
リピトール 常用量10~20mg、 最大量40mg
クレストール40mgやリピトール80mgはちょっと信じられない量であり、 またハイリスク患者が対象といった点も開業医がみる患者と対象の違いがありそうです。
もちろん人種差はありますが、対象患者にもこの試験結果の解釈には配慮が要りそうです。 The results for the primary efficacy measure, which was change from baseline in percent atheroma volume (PAV) in a ≥40 mm segment of the targeted coronary artery as assessed by intravascular ultrasound (IVUS), demonstrated a numerically greater reduction in favour of CRESTOR versus atorvastatin but did not reach statistical significance.
For the secondary IVUS measure, which was change from baseline in total atheroma volume (TAV) within the targeted coronary artery, CRESTOR demonstrated a statistically significant reduction compared with atorvastatin. Tolerability and efficacy of CRESTOR seen in SATURN were in line with previous studies and approved product labelling.Further data and analyses will be presented by the study’s academic investigators at the American Heart Association Scientific Sessions (AHA) on Tuesday, 15 November.<私的コメント>クレストールとリピトールそれぞれのコレステロール低減率や脂質値(TC、LDL−C、TG、HDL、L/H)が記載されていません。炎症マーカーの変化も興味のあるところです。
NOTES TO EDITORSAbout SATURNSATURN is a 104-week, randomized, double-blind, parallel group, multi-center Phase IIIb study of approximately 1,300 patients, investigating the effects of treatment with rosuvastatin 40 mg and atorvastatin 80 mg on atherosclerotic disease burden as measured by IVUS in patients with coronary artery disease.About PAV and TAVPercent atheroma volume (PAV) and total atheroma volume (TAV) can be estimated as part of an intravascular ultrasound examination of a coronary artery. PAV and TAV are two different derivatives of the same measurements taken with a tiny ultrasound probe that is inserted inside the coronary artery. In effect, they take the same ultrasound data, but look at the volume of plaques, or fatty deposits, in different ways to represent what is happening in the patient’s artery. <関連サイト> 第136号【SATURN試験の成績:クレストールとリピトールの勝負の結果は?】http://medicinenewsnow.blog27.fc2.com/blog-entry-142.html■この試験は、世界的に最も売られているリピトールの後発品が市場に出回る前に、クレストールがリピトールよりもベネフィットのある薬剤であることを示すためにアストラゼネカ社が規格した試験でした。■結果は、プライマリーエンドポイントであるアテローム体積率(percent atheroma volume:PAV)についてアトロバスタチンに比べてロスバスタチンの方が低下が認めれたものの有意な差は認められませんでした。
一方、セカンダリーエンドポイントである総アテローム体積(total atheroma volume:TAV)では、アトロバスタチンに比べてロスバスタチンで有意な低下が認められました。■ 詳細な解析結果は、11月15日に予定されている
American Heart Association (AHA)にて発表される予定です。<私的コメント>
ロスバスタチンはアトロバスタチンに対してプライマリーエンドポイント(PAV )で有意差がでなかったことで、たとえセカンダリーエンドポイント(TAV)で有意差が出てもネガティブな結果という捉え方になったようです。
PAV がTAVより臨床的に重要である理由も私には今ひとつ理解できませんでした。
プライマリーエンドポイントとセカンダリーエンドポイントを逆にしたプロトコールが妥当性かどうかはわかりませんが、その場合にはどのように結果が解釈されるのでしょうか。 現段階では、あまり話題になっていない試験ですが、ロスバスタチンを発売しているアストラゼネカ社にとっては大きな意味を持ちます。本年11月にAHAで発表された後にはいろいろなコメントが寄せられるものと思われます。 AstraZeneca Falls as Crestor Study Results Not Significant
http://www.bloomberg.com/news/2011-09-02/astrazeneca-s-crestor-had-some-benefit-over-lipitor-in-study-1-.html <私的コメント>
進行性非小細胞肺がんや前立腺がんでの別の大規模臨床試験で同名のSATURN試験もあるようです。 <番外編>CTTメタ解析
Cnoresterol Treatment Triallist'(CTT) Collaboration.
Lancet.2010:376(9753);1670-1681
http://asc.m3.com/ck9a575b788b92ae92f0bebaf34c5dfd3d16d/contents/crestor_cnc/10/index.html?cid=201106NNDH
LDL-Cを39mg/dL低下させた時のイベントリスク
すべての心疾患 16%/年減少
すべての血管疾患 14%/年減少
全死亡 10%/年減少
全死亡が減少したという結果は以下の理由から重要である。
以前からスタチンなどによる脂質低下療法は、心疾患は減らすが、脳出血や癌を増やすのではないか、という懸念があった。つまり、心疾患だけをみるのではなく、全体として死亡率が減るかどうかもみる必要があった。
コレステロールが低い人は、心疾患は少ないが、脳出血や癌はむしろ多いという疫学調査のデータがあった。
■脳卒中は全体としてみると、スタチン群はコントロール群に比べて、あるいは積極的スタチン療法群は、標準的スタチン療法群に比べて、いずれも有意に少なくなっており、LDL-Cの低下が脳卒中を減らすことが示された。
■出血性の脳卒中は、いずれも有意な増減はなかった。
■試験期間中に起こったさまざまな癌と、LDL-Cの関係を解析したところ、LDL-Cの低下と癌の発症には関係がみられなかった。(LDL-Cを39mg/dL低下させた時のイベントリスク)
■疫学調査と、薬剤を使った介入研究は全く性質が異なる。
疫学調査でコレステロールが低い人はコレステロールが低くなる原因、たとえば癌や肝臓の疾患、低栄養などが考えられまする。
癌細胞が増えるには大量のコレステロールが必要で、血中のコレステロールは低下し、低栄養では脳出血を起こしやすいといわれている。
(私的コメント;コレステロールが高い人は癌細胞増殖の材料が多いということで増殖・進行が早いということはないだろうかとふと思いました。)
つまり、コレステロールが低いから癌や脳出血が起きるのではなく、コレステロールが低いことは、他の病気の可能性がある。
■(LDL−Cはどこまで下げればよいか)
このメタ解析でも、はっきりした結論は得られなかったが、投与前のLDL-C値135mg/dl以上と高い人でも、78mg/dl以下と低い人でも、LDL-Cを39mg/dl低下させたときの主要血管イベントのリスク低下率は変わらなかった。
すくなくともこれまでの試験の範囲では、LDL-Cは低ければ低いほど、イベントリスクは低いと言える。
結論
CTTのメタ解析によって、LDLコレステロールを下げることは、心筋梗塞や脳卒中を減らし、癌や脳出血などの発症リスクに影響を与えない。 (私的コメント;最近、抗癌剤の勉強を少ししました。
抗癌剤が抱える4つの宿題 その1(1/2)
その中で腫瘍が増大しない、ないしは縮小して無増悪生存期間(progression free survival:PFS)が延長しても全生存期間(overall survival:OS)が延長しないならば、抗癌剤が有効とはいえない、という考え方があるというコメントがありました。これは至極当然のことと思われます。抗癌剤とコレステロール低下剤を一緒にするわけにはいけませんが、日本人のように心血管イベントが少ない場合には、「全死亡」の方がよりいい結果が出る可能性もあります。それはそれで興味のあることです。)
ラウル・デュフィ ヴァカンス・フォルセ:オパール・ブルー 木版画http://www.suiha.co.jp/?cat=9&pid=791&aid=19 読んでいただいて有り難うございます。コメントをお待ちしています。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
減塩の遵守度を確認するのは容易ではない
http://blog.m3.com/reed/20110819/___1_
の続編です。
減塩のエビデンスを考える
<2>栄養疫学的な考察とは
ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー
今村文昭先生
メタ解析や総説などは,研究を集約して1つの結論を導くものではなく,既存のエビデンスの不確定性(ばらつき)や問題点を整理することも目的としている。
コクラン共同計画(Cochrane Collaboration)のグループが発表した減塩の効果に関するメタ解析の論文についても,その目的によるところが大きい。
今回は,メタ解析に含められたそれぞれの研究がどのようなものだったか,特に遵守度(compliance)について述べたい。
介入試験において遵守度は,その「有効性」と「効果」の検証で非常に重要な要素である。
今回のメタ解析では7つの臨床試験が解析対象とされた が,7つの研究がそれぞれ遵守度のassessmentを行ったとしている。
しかし,遵守度の検討を行ったということは,遵守度が期待通りだったというわけではない。
例えば,減塩の指導が施されたグループにおいて,対照群と比較して,血圧が有意に下がれば,遵守度が保持されたといってよいのだろうか。
もちろん「ある程度」は認められ全否定することはできないが,実際に期待される遵守度だったか否かは分からない。
例えば,塩分摂取量が平均約10gの国民に対し,介入群には野菜・果物の摂取と5g未満の塩分摂取を指導し,対照群には野菜・果物の摂取のみを指導したとする。
そして,1年半後,収縮期血圧が対照群に比べて2mmHg有意に減少していたとする(P<0.01)。
この効果は,「5g未満の塩分摂取を指導した効果」ではあるが,「5g未満の塩分摂取を1年半続けた効果」ではない。
言い換えれば,「効果」を検討したもので「有効性」を検討したものではない。
この「効果」と「有効性」の違いに大きく寄与しているのが遵守の程度である。
これらの数字はTrials of Hypertension Prevention(TOHP)と呼ばれる臨床試験で実際に得られたものである。
この臨床試験は1年半の栄養指導の成果を見た後,10年強,両群を追跡し,心血管疾患(CVD)の罹患率および死亡率の違いを検証した。
その結果は今回のメタ解析にも含まれている。
この研究では,24時間蓄尿により塩分の摂取量を推定し(24時間分の尿を取りナトリウムの排出量を測定),遵守度を確認したとされている。
それによる と,1年半の介入試験後で減塩は4.7g未満には及ばず平均6.5gほど,さらにその介入試験を終えた後は,遵守度の確認は質問票への回答(減塩を心がけているかなど)でのみ行われた。
TOHPおよびその後に行われたTOHPⅡでは,研究に参加した人数が併せて3,000人ほどであった。
2年ごとに病気が発症したかどうか追跡したと論文の著者らは述べている。
1回質問票を郵送して回収するだけでも数十万円かかり,当然,人件費なども要する。
追跡期間中の生体指標の測定などの遵守度を検証するなど,相当の障壁があることは想像に難くない。
「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべき
今回のメタ解析に含められた7つの研究のうち,Changらの研究を除いた6つの研究が,栄養指導による減塩の介入を行っており,被験者の遵守を食事摂取の調査やナトリウム排出量などで確認している。
<私的コメント>
「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべき・・・このタイトルが今回、筆者がいいたいすべてだと私なりに考えました。

尿中ナトリウムの濃度は,病態などの個人因子によっても日によってもばらつきがあるため, 必ずしも信頼できるものではない。
その不確定性を考慮しても,すべての試験群において塩分の排出量が減っていることから,対照群に比べてある程度の指導の効果があったことが確認できる。
しかし,その排出量の程度を量的に解釈すれば,期待されるほどの遵守度ではなかったケースがほとんどであることが分かる。
実際には,食事指導を伴う研究の被験者は,減塩の介入試験と知りながら,食事調査,検尿などを行うため(盲検化されていない),遵守度の確認にもバイアス が伴う可能性が考えられる。
このことから,今回のメタ解析は「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべきだろう。
報告されたメタ解析は1つ1つの解析に寄与する研究の数が少ないばかりでなく,1つ1つの研究でも「有効性」を知るには重篤な限界があったことが分かる。
当然ながら,減塩の生物学的な価値を知るメタ解析とはいえない。
そして,あくまで栄養指導のエビデンスであるから,例えばフィンランドやイギリスが実践している食品中の塩分濃度を下げる政策に関して,有効な知見を与えることはない〔2つの異なる総説の1人は,今年(2011年)2月に訪日し,減塩政策に関する講演を行ったDr. MacGregor氏である。
減塩指導に対する遵守度を数字で確認すれば,行われたメタ解析から「減塩」の効果が検討されたわけではないことが明白である。
しかしながら,公に発信された情報の多くはあたかも減塩の効果がないことを示すかのようであった。
エビデンスの正しい解釈がなされなかったことに原因があるが,「効果」と 「有効性」の違いについて,抄録に明確に記載するべきだったといえるだろう。
台湾のChangらの研究の素晴らしさと問題点
今回のメタ解析に含まれた台湾におけるChangらによる研究は, 退役軍人(Veterans)の過ごす複数の施設のうち,3つのキッチンにある塩を通常のもの,2つのキッチンでは低ナトリウム高カリウムの塩(醤油などの調味料を除く)に替えて追跡研究を行った。
1カ月かけてゆっくり入れ替えていることはイギリスの減塩政策に類似している。
この研究デザインの素晴らしいところは,試験対象の施設に滞在している限り,減塩の影響に従わざるをえないという点である。
こうした研究デザインで記憶に新しいのはNew England Journal of Medicineに報告された減量の研究であろう。
イスラエルにおいて研究者と軍隊が協力し合い,軍隊のカフェテリアの食事をランダムに分け,栄養摂取のコントロールを行ったもので,減量の知見に大きく貢献した。
高い遵守度を長期間(2年)保持することができた特異な例である。
視野を広げれば,発展途上国などでも集団レベルで農業政策,ワクチンや栄養素の サプリメントの介入試験など,集団を対象にして臨床試験が古くから実践されている。
ものにもよるが,組織のディレクター,地域のリーダーから協力が得られれば,高い遵守度が期待できる。
Changらの研究の問題点の1つは,高い遵守度が期待できるものの,遵守度の確認が試験開始3カ月に限られたものであったことが挙げられる。
試験群において,ナトリウムとクレアチニンの比が15%低下が認められているので,約8.2gの摂取量であれば,約7.0gに減少したと考えることができる。
他の研究と同様,推奨される減塩のレベルからすれば軽度といえる。
これはキッチンに備えた塩以外に,醤油や漬物などの摂取がナトリウムの摂取に寄与していることが影響しているためである。
4年強の追跡で,試験群でCVDの死亡率が有意に低下したが,どれほどの塩分摂取量の低下によるものか分からない。
またもう1つの問題点は,減塩の介入として普通の食塩を低ナトリウム高カリウムの塩に置き換えたことも挙げられる。
いうまでもなく減塩はある程度達成されたとはいえ,カリウムの摂取量が増加しているため,減塩の効果なのかカリウムの摂取の効果なのか分かりえない。
減塩の介入試験としては非常に価値のある研究ではあるが,この研究からも減塩の推奨レベルの効果が検証できたとまではいえない。
比に頼ったエビデンスの解釈には注意が必要
ところで,近年,塩分の摂取に関する研究で,ナトリウムの摂取とカリウムの摂取の両方に着目し,その比を取って疾患の罹患率との関係を検証する研究が複数,報告されている。
先日のArchives of Internal Medicineの論文もその1つである。
こうした比を計算して解析する方法は,生物統計学の領域では批判の対象となっているが,医学界には浸透していない。
Changらの研究のように,ナトリウムによる影響なのか,カリウムによる影響なのか,判断できないことが批判の1つの理由である。
比に頼ったエビデンス は,ナトリウムの摂取低減に特化した減塩の政策などを考える際には,当然,エビデンスの抽出における弊害となるため,解析,報告,解釈において研究者や読者は気を付けなくてはならない。
栄養学的な側面に着目して,減塩のメタ解析を解釈すれば,遵守の程度や,研究デザインのばらつきから,減塩そのものの医学的なエビデンスは皆無といってよい。
今回の論文の著者らが述べているように,効果的な介入の方法を探る研究,そして実践とその評価が必要といえるだろう。
出典 MT Pro 2011.8.16
版権 メディカル・トリビューン社
<きょうの一曲> J.S.バッハ ゴールドベルグ変奏曲
Glenn Gould Goldberg Variations 1955 & 1981: Var 1
http://www.youtube.com/watch?v=QQk1bQPXbOE&feature=related

2011.8.13 撮影 果樹園(ブドウ畑) 山梨県笛吹市にて
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
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(循環器専門医向き)
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(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
があります。
この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。
ACST-1試験(Asymptomatic Carotid Surgery Trial)
の記事で勉強しました。
このACST-1は無症候性頸動脈狭窄例において,即時頸動脈内膜切除術(CEA)と長期間待機CEAの有効性と安全性を比較した試験です。
主なエンドポイントは周術期の死亡率および合併症(脳卒中,心筋梗塞)の発症率および非周術期脳卒中。
結果は70%以上の頸動脈狭窄を有する75歳未満の無症候性患者において,即時CEAは5年脳卒中発症リスクを12%から約6%へ半減させたというものです。
ACST-1試験 即時のCEAで脳卒中リスクが半減
即時のCEAで脳卒中リスクが半減
オックスフォード大学(オックスフォード)臨床医学のAlison Halliday教授らは,頸動脈狭窄が認められるが無症候性の患者に対する即時の頸動脈内膜切除術(CEA)の長期的な効果を検討するランダム化臨床試験ACST-1を実施。
結果をLancet(2010; 376: 1074-1084)に発表した。同試験ではこのような患者のうち,頸動脈狭窄を除けば健康状態が良好な75歳未満の男女では,即時のCEAにより脳卒中の10年リスクを抑制できることが示された。
30カ国126施設の3,120例を対象に検討
神経学的症状が見られない無症候性であっても,左頸動脈または右頸動脈に60~90%の狭窄が認められる患者では,特にその動脈が血液を供給する側の脳において虚血性脳卒中を発症する長期リスクが上昇する。
このような患者に対して,CEAを施行することで狭窄の原因となる脂肪性沈着物の除去は可能だが, 手技そのものを原因とした脳卒中または死亡のリスクもある。
30カ国126施設で実施されたACST-1では,頸動脈エコーによる検査で片側または両側に重度(私的コメント;頸動脈エコーにて60%以上の頸動脈径の減少)と考えられる頸動脈狭窄が認められ,過去6カ月間にその狭窄に起因した脳卒中や一過性脳虚血発作,あるいは関連する神経学的症状が見られない無症候性の患者3,120例を対象に,CEAによる長期効果が検討された。
(私的コメント;除外基準 同側CEAの既往,最近発症の心筋梗塞などのために外科的リスクが高いと思われるもの,心源性塞栓を発症する可能性があるものなど。)
これらの患者は,医師が直ちに手術を実施すべきか否か確定的な判断ができない患者であった。
Halliday教授らは,これらの患者の半数を即時CEA群に,残りの半数を待機的CEA群にランダムに割り付けた。
即時CEA群ではできるだけ早くCEAを施行し,待機的CEA群では頸動脈灌流領域の虚血症状の発症,あるいは明確に手術適応となる症状の発現までCEAの施行を待機した。
(私的コメント;両群とも適切な薬物療法として抗血小板療法,降圧療法,脂質低下療法などを実施)
5年リスクは即時CEAで半減
追跡期間の中央値は9年間であった。
待機的CEA群の一部は最終的にCEAを受け,また対側のCEAを受けた患者もいたことから,今回の試験期間中に合 計1,979件のCEAが施行された。
これらの患者における30日以内の周術期における脳卒中または死亡の発生率は3.0%であった〔95%信頼区間 (CI)2.4~3.9〕。
これには,重度ではない脳卒中26件と重度または致死的な脳卒中34件が含まれた。
周術期のイベントと脳卒中以外の原因による死亡を除外すると,脳卒中の5年リスクは即時CEA群の4.1%に対して待機的CEA群では10.0%(両群 の差5.9ポイント,95%CI 4.0~7.8),10年リスクは即時CEA群の10.8%に対して待機的CEA群では16.9%(同6.1ポイント,2.7~9.4)であった。
また, 周術期のイベントと脳卒中を含む複合リスクは,5年で即時CEA群の6.9%に対して待機的CEA群では10.9%(同4.1ポイン ト,2.0~6.2),10年では即時CEA群の13.4%に対して待機的CEA群では17.9%(同4.6ポイント,1.2~7.9)であった。
なお,両群が抗血小板薬や降圧薬,脂質異常症治療薬を組み合わせた薬物療法を同等に受けていた。
スタチン系薬の使用の有無にかかわらず便益
今回,被験者の大半が試験期間を通じて抗血栓療法と降圧療法を受けていたが,スタチン療法に関しては今回の試験が開始された1993年の10%未満から徐々に増加し,2006~08年には80%を超えた。
なお,スタチン系薬の使用の有無にかかわらず即時CEAには実質的な便益が認められた。
また,ベースライン時の年齢が75歳未満の男女では即時CEAによる便益が認められたが,75歳以上の被験者では認められなかった。
この結果を踏まえ,Halliday教授らは「頸動脈狭窄を除けば健康状態が良好な75歳未満の男女では,周術期リスクが低ければCEAによる実質的な便益が得られることが示唆された」と結論付けている。
さらに,「今回,無症候性の頸動脈狭窄患者で脳卒中の10年リスクが抑制されたが,この抑制されたリスクの半数は重度または致死的な脳卒中であった。
CEAから期待できる便益は,未手術の頸動脈病変に起因した脳卒中のリスクがどの程度かに左右される。
このようなリスクは薬物療法で抑制できると考えられ るが,抑制できた場合はCEAによってもたらされる便益は小さくなる。
また,CEAによる便益は,10年以内の脳卒中以外の原因による死亡リスクにも左右 される」と説明している。
75歳以上に対する有益性も今後の検討課題に
頸動脈病変には一般的に冠動脈病変の場合と同様の脂肪性沈着物が関与するが,主に左右の頸動脈が脳に血液を供給していることから,頸動脈病変は致死的な,または不可逆的な重度脳卒中を惹起する可能性がある。
Halliday教授は「CEAの長期的な効果を明らかにするために実施した今回の試験は,終了までに15年以上を要した。
この試験で得られた知見は, 医師や患者がリスクも伴う即時のCEAを選択するか否かについて決断する上で,実用的な判断材料となるであろう」と述べている。
なお,同教授らは次の段階としてCEAの代替となる治療法の1つである頸動脈ステント留置術とCEAの長期的な効果を比較するACST-2を計画しているという。
ビシャ病院(パリ)のPierre Amarenco教授らは,同誌の付随論評(2010; 376: 1028-1031)で「Halliday教授らは,今回の試験結果は施行された全CEAで周術期のリスクが3.0%であったことに大きく依存していると 明言している。
同教授らが指摘するように,患者特性,頸動脈狭窄症,手技,術者などの脳卒中リスクを上昇させうる要因を正確に同定するために,より大規模な患者登録が必要である」と述べている。
さらに「今回は有意な便益が認められなかった75歳以上の患者に対しても,一部では即時CEAによる便益が得られるか否かを確認するために,さらなる研究が必要である」と付け加えている。
出典 Medical Tribune 2011.4.7
版権 メディカル・トリビューン社
この試験に関しては八尾市立病院副院長の星田四朗先生が
にコメントしてみえます。
頸動脈内膜切除術(CEA)は周術期に致死的/介護を要する脳卒中を生じ,術後の血栓塞栓症のリスクを永久には取り除けないが,症候性高度頸動脈狭窄例に対する長期的効果は1991年,ECSTとNASCETにより明らかとなっている。無症候性高度狭窄例に対するCEAは,一過性脳虚血発作や介護を要さない脳卒中の発生率を低下させるが致死的/介護を要する脳卒中は低減しないと報告されている(VA,ACAS trial)。
本研究は1993年より10年間かけて多数例をエントリーし,無症候性例に対するCEAの長期的効果(脳卒中発生率)を検討している。
本論文は途中経過であるが,75歳未満の高度狭窄例では即時CEAが明らかに脳卒中リスクを低下させている。
本研究はACASより症例数が多く観察期間が長い ので両者の結果が異なると思われる。
サブグループ解析では,コレステロール値,高血圧,陳旧性心筋梗塞や糖尿病の有無による有用性の違いはみられていない。
患側だけではなく対側の頸動脈支配領域の脳卒中の発生率も明らかに低下しているのは,脳内の側副血行路(Willis環)と関連しているのであろう。
本研究の75歳以上の無症候性例は650例と少なく偽陰性の可能性もあるが,生命予後を考えるとCEAの適応は限られる。
しかし,症候性であればCEAの 有用性は2~3年で出現するので,75歳以上でも施行する意義はある。
<自遊時間>
日経新聞に「交遊抄」というコーナーがあります。
中には私の高校時代の同級生が登場する場合もあります。
(それこそ今話題のT電力の偉い人)
多くは実施はどれだけの交遊?と鼻につく内容のこともあります。
文芸春秋の「同級生交歓」 のコーナーも、近頃は知っている人が登場するようになりました。
昔はおじいさんのコーナーと思っていたのですが、歳を取ったものです。
さて、この「交遊抄」。
日経新聞だけに「功成り名を遂げた社長さん」が執筆することが多いので少し嫌みなこともあります。
2011.4.18の記事もちょっと「嫌み」 でした。
執筆者はご多分に漏れず社長さん。
■大学卒業を控えた春休み 、九州に旅行をした。
旅の連れは、今は○○社長の○○君、元 ○○専務の○○君。
K大学経済学部の同窓である。
詰め襟姿、安い切符で列車を乗り継ぎ、西を目指した。
■2週間の旅だが、さして小遣いは持たなかった。
友人を訪ねてそこに転がり込む魂胆。だが知己のいない土地ももちろんある。
どうするか。
■カネはないが、Kボーイの自負だけはたっぷりあった。
安宿になど泊まれるものか。
行く先々で最高級の旅館を訪ねた。
「出世払いで泊めてください」 。
不思議と断られたことがない。
(私的コメント;Kは記事ではもちろん実名です)
「Kボーイの自負」「最高級の旅館」は余分です。
「自負」といっている「Kボーイ」という言葉は世間が「ボンボン育ち」を揶揄してつけた言葉であることを知らないがごとくです。「出世払い」も、その後にきちんと支払っていなければ無銭飲食という立派な犯罪です。
彼自身が「自分達はエリート」と思うならば、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という言葉を思い起こすべきであり、こういった反社会的行為を得々と語る神経はちょっと私には理解出来ません。
何となく読後に嫌な後味を残したエッセイでした。
このエッセイを読んで思い出したことがあります。
昔あるバーで静かに酒を飲んでいたら、SK戦の流れのK・OBがなだれ込んで来て突然「若き血」を歌い出しました。
「何たる傍若無人」と思ったものでした。
こういったことは、バーを借り切ってやっていただきたい。
昔の旧制高校生気どりのバンカラ風情を決め込んでおみえのようですが、昔の旧制高校生とりわけナンバースクールの学生は(こういっちゃ何ですが) もう少しエリートでした。
(これは亡父から生前に聞いていた話)
K大出身の先生が読んでみえたらごめんなさい。
加藤静児
http://search-art.aac.pref.aichi.jp/p/sakuhin.php?OI=OBJ199704211