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第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会の記事でANBP2の勉強をしました。
ANBP2
高齢高血圧患者の長期生命予後
ACE阻害薬と利尿薬に有意差なし
ACE阻害薬と利尿薬を基礎薬とした治療の予後改善効果をPROBE法で比較,ALLHATと異なり「心血管イベント+総死亡」の抑制にACE阻害薬が優れるとの結果が話題を呼んだコホート研究ANBP2の10年近い追跡結果が発表された。
本解析では総死亡に有意差はなかったが,モナシュ大学(オーストラリア・メルボルン)のChristopher Reid氏によると,長期追跡でも,両群の総死亡に有意差は認められなかったという。
喫煙や糖尿病などが有意に関連
2003年に報告されたANBP2の対象は,65~84歳,SBP160mmHgかつまたはDBP90mmHg以上の高齢高血圧患者6,083例。
ベースラインの平均年齢は71.9歳,平均血圧168/91mmHgで,喫煙者は7%であった。
対象をACE阻害薬,利尿薬を基礎薬とする2群にランダムに割り付け,中央値で4.1年追跡した結果,血圧は両群とも26/12mmHgと同等の降圧が得られたにもかかわらず,1次評価項目の「心血管イベント+総死亡」のリスクは利尿薬群に比べてACE阻害薬群で有意水準ぎりぎり(P=0.05)で11%減少。
死亡については有意差には至らなかったものの,ACE阻害薬群で10%減少した。
通常,臨床試験の追跡期間は3~5年程度で,長期転帰に関するデータはほとんどないのが現状だ。
そこでReid氏らは,中央値で9.3年まで追跡期間を延長。
総死亡,心血管死の発生率,関連要因を評価した。
中央値で9.3年,5万3,260人・年の追跡の結果,総死亡の発生率は1,000人・年当たり利尿薬群25.6,ACE阻害薬群25.1であった。
Cox比例ハザードモデルによる利尿薬群に対するACE阻害薬群のハザード比(HR)は,年齢,性,心血管疾患の既往,糖尿病,SBPなどによる調整後で0.96〔95%信頼区間(CI)0.86~1.07〕と,両群に有意差は認められなかった。
心血管死のHRも1.04で,両群に有意差はなかった。
一方,10年後の生存には,糖尿病非合併,SBP低値,喫煙なしや婚姻状況などが有意に関連することがわかった。
実際,喫煙者では喫煙歴なしの2.46倍,糖尿病合併例では非合併例の1.50倍,離婚例で1.76倍に,総死亡のリスクが増大したという。
試験終了後の降圧治療について情報がないなどの限界を指摘したうえで,同氏は「10年後の生存には,5年の試験期間中にACE阻害薬,利尿薬のいずれの治療に割り付けられたかは関連しなかった」とした。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
ANBP2
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001466.html
(目的)
高齢の高血圧患者において,ACE阻害薬と利尿薬との転帰を比較する。一次エンドポイントは全心血管イベントまたは全死亡。
(桑島先生のコメント)
2002年の国際高血圧学会で発表されたときは,さほど反響をよばなかったが,今回はALLHATの発表後まもなく,まったく違った結果ということで俄然注目された。高齢者の,特に男性ではACE阻害薬の脳心血管合併症が利尿薬よりも良かったという結果であるが,ALLHATも含めて人種差の理解なしには日本人にその結果の適応は難しいことが実感させられる。
ALLHATとの基本的な違いは,二重盲検法ではなく,本試験はオープン試験である。対象者がALLHATでは黒人が約35%占めるのに対して,本試験では主に白人である。降圧薬がALLHATでは非サイアザイドのchlorthalidoneに対して,本試験ではサイアザイドのhydrochlorothiazideが推奨されている。追加薬としてはALLHATではβ遮断薬,reserpine,clonidineなど交感神経抑制系であるのに対し,本試験ではβ遮断薬,Ca拮抗薬,α遮断薬である。5年間での他の降圧薬併用率が利尿薬40.7%,ACE阻害薬43.0%であったのに対して,本試験ではそれぞれ33%,35%であった。また治療前血圧も大きく異なり,ALLHATでは146/84mmHgであるのに対して,本試験では168/91mmHgと高い。リスク因子や合併症もALLHATでは脳心血管合併症をすでに有している例が52%前後であるのに対し,本試験では13%である。糖尿病もALLHATでは36%前後であるのに対し,本試験では7%にすぎない。
このような様々な臨床背景,プロトコールの違いが,異なった結果をもたらしたと考えられる。しかし二つの臨床試験が伝えるメッセージはどの降圧薬を選択するかではなく,しっかり血圧を下げることの重要性である。
(結論)
高齢の高血圧患者において,ACE阻害薬で降圧治療を開始した場合,利尿薬と比べ降圧効果は同等であるものの,特に男性において良好な転帰をもたらすと思われる。
<自遊時間>
8月4日の
「脈圧と拡張期血圧」
http://blog.m3.com/reed/20080804/1
の中の<自遊時間>で「日本医師連盟」についてとりあげさせていただきました。
実は今月、「日本医師連盟」の”上納金”の案内があり、8月23日が集金締め切り日とのFAXが医師会支部の”班長”から届いていました。
以前から、この「日本医師連盟」については不満を持っていたため、勇気を奮って今年こそ支払いを断ろうと決めたことはすでにお話しました。
案の定、8月23日に督促のFAXが届きました。
文面は「以前FAXにてご連絡した医師連盟の寄付金ですが、集金締切日を過ぎまだご確認できておりません。つきましては当院までお持ちいただきますよう宜しくお願いいたします。A会員:30,000円となります。集金時に領収書をお渡しいたします。」というものでした。
早速、8月25日の朝、”班長”の診療所に電話を入れました。
こちらの気持ちを伝えたら、「実は私も医師会入会時に疑問に思い、医師会に問い合わせたことがある」ということでした。
そして「班内のある一人の先生には声をかけなくてもいいと上から言われている」という言質を取ることも出来ました。
想像するに、K党をはっきり支持しているような会員からはとらないように、ということか、うるさいないしはむつかしい(?)会員からは無理して集金しなくてもよいということだと思いました。
全員”寄付金”を支払っていると思っていたのに意外で、勇気づけられる言葉でした。
実はちょっと前に別の用件で医師会(本部ではありません)に電話した際に、事務に医師連盟のことをついでに聞いたことがありました。
返ってきた言葉は「入会は任意であり、かつ寄付金である」という非常にあっけらかんとしたものでした。
私はこのまま、”寄付”は断るつもりです。
私に対して、医師会からの脱会勧告でも出ればその時点で考えます。
皆さんはどうされますか?
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
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(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
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「第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会」で発表された「ONTARGETサブ解析」で勉強しました。
このONTARGETのサブ解析では非常に興味のある結果が得られました。
すなわちACE阻害薬+ARB併用療法によるいわゆる「RAS二重阻止」は腎障害を進行させる可能性があるということです。
たしかJIKEI HEART Studyでは多くの患者でこの「RAS二重阻止」がされていました。
ONTARGETサブ解析
ACE阻害薬+ARB併用療法 CKD患者で急性腎不全による透析が増加
心不全を伴わない心血管イベントの高リスク患者に対して,ACE阻害薬ramiprilとARBテルミサルタンの心血管イベント抑制効果に有意差はなかったものの,テルミサルタンのramiprilに対する非劣性を証明,一方,両者の併用療法がイベント抑制効果の増強をもたらすことなく有害事象の増加を招くことを明らかにした大規模臨床試験ONTARGETの発表は,記憶に新しい。
そのサブ解析では,ステージ3~4の慢性腎臓病(CKD)患者では,ramipril群に比べて併用群で急性腎不全による2か月以内の透析が増加したなどの新知見が判明した。
心血管イベント抑制は同等
主解析の対象は,心血管疾患の既往,臓器障害を伴う糖尿病のいずれかを有する55歳以上(平均年齢66.4歳)の高リスク患者2万5,620例。
エアランゲン大学病院(独エアランゲン)のRoland E. Schmieder氏によると,CKDのサブ解析では,このうち推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2未満(ステージ3~4)の6,249例をランダム化した。
1次評価項目の「心血管死+心筋梗塞+脳卒中+心不全による入院」の発生率は,1,000人・年当たりramipril群50.77,併用群51.58と両群に有意差はなく〔相対リスク(RR)1.01〕,Kaplan-Meier曲線でも主解析に比べて発生率は高かったものの,3群間に有意差はなかった。
次に,事前に設定された腎1次評価項目の「死亡+全透析+血清クレアチニン値の2倍化」は,ramipril群13.6%,テルミサルタン群13.5%,併用群14.6%で,ramipril群とテルミサルタン群に有意差はなかったが〔ハザード比(HR)1.00〕,併用群ではHR1.08と,リスクが有意(P=0.044)に増大した。
そこで,透析期間2か月超の慢性透析と,2か月以内の急性透析に分けて比較したところ,慢性透析は群間に有意差はなかったのに対し,急性透析のHRはテルミサルタン群1.47(P=0.2833),併用群2.10(P=0.024)となり,ramipril群に比べて前者で有意ではないが47%のリスク増大が,併用群で2.1倍の有意なリスク増大が確認された。
RAA系二重阻害は専門医監督下で
オックスフォード大学(英オックスフォード)のPeter Sleight名誉教授は,まず全例での主解析において,併用群ではramipril群に比べてSBPで約2mmHg降圧が優れたにもかかわらず,イベント抑制に反映されなかった理由を考察した。
同名誉教授は,心血管疾患の既往を伴う高齢の集団では,2mmHgの血圧低下が腎不全,低血圧などをより多く惹起し,腎血管の問題を生じた可能性を指摘。
「体液量の枯渇した高齢者では,併用療法によるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の過度のブロックは危険かもしれない。今後,RAA系の二重阻害は,例外的に専門医の監督下でのみ実施されるべきだ」との解釈を示した。
一方,同名誉教授らが実施したベースラインのSBP値による層別化解析(対象2万5,595例)によると,1次評価項目の発生率は,SBPの上昇に伴って有意(P<0.0001)な増加が認められた。
脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA;1次評価項目には含まれない)で,こうした傾向はより顕著であり,一方,心筋梗塞,心血管死の発生率には,SBP値による有意な相違はなかった。
同名誉教授は「正常高値またはステージ1の高血圧患者では,SBPの低下による利益は主として脳卒中またはTIAの減少によるものであり,その他の転帰についての利益はほとんどないようだ」と結論した。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<関連サイト>
注目の降圧薬臨床試験 ONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080404/__ONTARGET
ONTARGETの結果を考察する
http://blog.m3.com/reed/20080412/ONTARGET_
糖尿病からみたONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080413/_ONTARGET
RAS二重阻止
http://blog.m3.com/reed/20071014/RAS_
厳格な降圧がもたらす心保護効果http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/micardis/ontarget/001.html
(ARBの心保護効果とACE阻害薬との併用による相乗効果が期待されるという内容でしたが、今回のONTARGETのサブ解析の結果では・・・)
RAS抑制による厳格な降圧がもたらす臓器保護
ミカルディスの大規模臨床試験ONTARGET
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/micardis/ontarget/pdf/micardis_0220.pdf
(ここでも併用効果の期待が述べられていました)
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
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新着のMedical Tribune 誌(2008.7.24)の片隅に載っていた記事で勉強しました。
私にとっては、この週の中で一番の記事に思えました。
早速ですが話が少しとびます。
趣味に関する雑誌(私の場合には音楽やオーディオ)には評論家がいろいろな評論や視聴記を書いています。
多くは予定調和的で、よくもあんなに批評にもなっていないような長い文章が書けるなあと感心してしまいます。
一方、音楽評論でいえば、吉田秀和氏の文章(評論)は読むに値します。
奥様を亡くされた後、しばらく活動を中止してみえました。
最近活動を再開され、新聞の文芸欄ですばらしい評論を目にすることが出来、楽しみに読んでいます(ごく最近はブレンデルについて取り上げていました)。
さて、話は戻って桑島先生。
大規模臨床試験を評論するには絶妙のポジション(所属)です。
座談会の記事はまだしも、国内の大規模臨床試験についての多くの大学教授のコメントには、蕁麻疹が出るほどの美辞麗句が並んでいます。
ところが、桑島先生のコメントは一味違うのです。
以下の内容も、東京都内の某大学で行われた某ARBの大規模臨床試験のことを話されているように受け取ってしまいました。
今後、京都や名古屋の大規模臨床試験の成績が出たときのコメントも今から楽しみにしています。
大規模臨床試験の読み解き方
併用薬やエンドポイントの設定に注目すべき
大規模臨床試験の実施が難しいとされてきたわが国でも,近年,高血圧症領域の大規模臨床試験報告が相次いでおり,これらの結果を日本の臨床現場にどのように反映させていくかが問われている。
そこで,東京都老人医療センターの桑島巌副院長に,臨床試験の読み解き方について解説してもらった。
エンドポイントに影響を与える併用薬の投与状況
臨床試験の結果を読み解く際に最も重要となるのが,一次エンドポイントだが,桑島副院長は「結果が正しく解釈されていないのではないか」と危機感を説く。
例えば,イベント発生率の比較を,時期に区切って分けて示されるような場合がある。
しかし,本来Kaplan-Meier曲線は各治療群に割り付けが開始されてから心血管イベントが発生するまでの時間を比較するものであり,単純に期間ごとの発生率を比較するものではない。
したがって,早期にイベント発生数が少ない群の治療効果が高いことを意味しており,試験開始後数年を経てからイベント発生率が低下して逆転しそうになったからといって「後になってじっくり効いてくる」という解釈は正しくない。
エンドポイントとともに重視すべきなのが併用薬の使用状況。
同副院長によると,特に国内の大規模臨床試験では,結果発表からJournal掲載までにタイムラグが発生することが多く,その間に併用薬が公表されない場合は注意すべきという。
併用薬の使用率が極端に異なる場合などは,「ベース薬を純粋に比較しているとは言えない」とした。
客観的指標か?―PROBE法
国内では,倫理的に二重盲検比較試験の実施が難しい事情もあり,PROBE法がよく選択される。
その際の約束事項として,桑島副院長は「治療介入が関係する項目をエンドポイントとしない」点を挙げた。
治療者が割り付けを把握しているPROBE法では,「心不全による入院」や「狭心症によるカテーテル検査」などは程度の差はあれ恣意的な介入があると考えざるをえない。
死亡や心筋梗塞といった厳格なエンドポイントに限定することが結果の信頼性を得る条件になるという。
このようなエンドポイントを設定せざるをえない背景として,もともと心血管イベントが少なく,治療レジメンが充実している日本では,患者の心血管イベント発生リスクが低いという事情がある。
国際的にも,スタチン系薬やアスピリンはほとんどの患者に使用されるなど,有意差が付かない試験が多くなってきた。それを反映してか,最近では非劣性試験も多く行われているが,同副院長はコストへの配慮や耐容性,持続性も考慮して臨床現場に応用していくべきと指摘している。
予定外のサブ解析には注意
桑島副院長は,サブ解析の読み解き方にも注意が必要とする。
まず,試験開始前のプロトコル文献に明記されていたサブ解析かどうかを確認する。
予定外のサブ解析は,より注意深く検討しなければならない。
本試験の対象症例数よりはるかに少ない場合は,恣意的な患者選択が行われていないかを確認する必要がある。
近年,サブ解析で多く扱われる「糖尿病新規発症」は,同副院長が分析した結果,「やはり降圧が重要」との結果にたどり着いたという。
糖尿病新規発症が重視される研究として,PIUMA study( Hypertension 2004; 43: 963-969)が有名だが,この試験では,糖尿病既往群と新規糖尿病発症群,さらに糖尿病未発症群に分けて心血管イベントを比較したところ,未発症群よりも糖尿病既往群と新規糖尿病発症群でともに有意にイベント発生率が高く,新規,既往での群間差はなかった。このため,糖尿病の新規発症は既に糖尿病を発症していた場合と同程度の心血管イベントリスクと考えられたわけだ。
しかし,同副院長が試験開始時の血圧を確認したところ,24時間血圧が両群で同等に高かったことが判明。
「糖尿病患者ではより厳格に降圧治療を行う必要性が示唆されているにすぎない」と指摘した。
「結果が未公表だったり,エンドポイントの一部の結果を強調したり,後ろ向き解析で補正を行うといった好ましくないことも行われている」と同副院長は指摘。
試験結果を臨床に反映させていく際には,医師自身が正しく読み取る努力をしていくべきとした。
ポイント
■ エンドポイントは発生までの時期を連続的に見る
■ 併用薬の使用状況は重要な情報
■ サブ解析はプロトコル論文で予定されていたものかを留 意する
■ PROBE法のエンドポイントは治療介入による項目が含まれていないか注意する
出典 Medical Tribune 2008.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

ベル串田 油彩8号『少女』
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t80862402
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ENHANCE試験については今までにも取り上げました。
エゼチミブの臨床的位置付け
http://blog.m3.com/reed/20080614/1
ENHANCE試験
http://blog.m3.com/reed/20080418/ENHANCE
ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080428/1
ENHANCE試験をめぐる論争 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080429/ENHANCE__
ENHANCE試験は、ネガティブデータだったため、その後もいろいろくすぶっているようですし、アングロサクソンは我々日本人と違って、いろんなことに尾を引くようです。
ENHANCE試験といえば、頚動脈のIMTの計測値論争です。
いわば「ノミのき○た○」ないしはその「や○ざ○」論争です。
IMTのような微妙な計測値は、超音波装置の性能や計測者によって当然変化するはずです。
少なくとも超音波装置は同一にすべきと思いますが、恥ずかしながら原著を読んでいないのでよくわかりません。
エゼチミブ・シンバスタチン併用めぐる終わりなき論争
今年初め、、ENHANCE(Effect of Ezetimibe Plus Simvastatin vs Simvastatin Alone on Atherosclerosis in the Carotid Artery)試験の主な結果が学会や医学専門誌ではなく、プレスリリースの形でメディアに発表された。
このとき示されたエゼチミブ・シンバスタチン配合剤のアテローム硬化に対する進展抑制効果について、専門家のあいだで論争がいまだに続いている。
それについてJAMA(2008;299:2266)が取り上げている。
2カ月後に開催された米国心疾患学会(AAC)総会で、ENHANCE試験の詳細なデータがようやく発表された。
AACはこの件についてすぐに専門委員会で検討し、活発な販売促進が展開されている本剤は、低比重リポ蛋白コレスデロール(LDL-C)値の低下が必要な患者への切り札として
残すべきだという見解を発表した。
AACでENHANCE試験の結果を発表した筆頭研究者、Academic Medical Center(オランダ)Jhon.JP.Kastelein博士によると、ENHANCE試験は24カ月間の無作為化、二重盲検、対照試験で、家族性高コレステロール血症患者720人を対象に実施された。
対象患者はエゼチミブ・シンバスタチン併用群(10mg/80mg配合剤)もしくはシンバスタチン単独群(80mg)に無作為に割り付けられた。
1次エンドポイントは、アテローム硬化進展の代理マーカーとして、頚動脈内膜中膜複合体厚(IMT)平均の変化を用いた。Kasteleinは、IMTに関して2つの治療群間に有意差は認められなかったが、エゼチミブ・シンバスタチン併用群ではシンバスタチン単独群に比べ、LDL-C値が有意に低下したと報告している(Kastelein.J.JP,et al.N.Engl J Med 2008;358:1431~1443)。
Kasteleinによる発表に続いて、Yale大学内科教授のHarlan M. Krumholzが壇上から見解を述べている。
「これらは明らかにネガティブな成績であり、実地診療における高脂血症治療を見直す必要がある。特に、米国内ではエゼチミブの適切な処方を考えるべきだ」。
実際、ENHANCE試験の結果が公表されるまで、米国内におけるエゼチミブの売り上げは高コレステロール血症治療の市場で約15%を占めていた。
エゼチミブ・シンバスタチン配合剤は2004年に米食品医薬品局(FDA)から承認されたが、臨床上の有用性を明確に示すエビデンスがあったわけではない。
しかし、積極的な販売活動によって売り上げが何十億ドルに
も)膨らんだ、とKrumholzは述べている。
これは医療費だけではなく、患者全般に影響する問題でもある。
例えば、スタチンが臨床転帰を改善するというエビデンスは多数報告されているにもかかわらず、LDL-C低下作用のみを重視して高用量スタチンの代わりにエゼチミブ・シンバスタチン配合剤を処方してきた医師も少なくないからだ、と彼は指摘する。
ENHANCE試験(2004年開始)の解析結果が、そろってから発表されるまでに時間がかかった問題を調べている米国議会の議員もいる。
Chuck Grasserley上院議員は3月末に、エゼチミブ・シンバスタチン配合剤を販売している合弁会社の親会社、Merck社とScering-Plough社の幹部に疑義を問う書簡を送っている。
専門医はSchering-PloughとMerckからの依頼で実施された同様な別の臨床試験、IMPROVE-IT(Examining Outcomes in Subjects With Acute Coronary Syndrome: Vytrin[Ezetimibe/Simvastatin] vs Simvastatin)に対しても批判的な意見を寄せている。
IMPRONE-ITもエゼチミブ・シンバスタチン併用とシンバスタチン単独を比較した試験だ。
Harvard大学医学部内科教授のJerry Avornによると、エゼチミブ・シンバスタチン併用療法とシンバスタチン単独療法を受ける患者の臨床転帰を比較するという研究デザイン自体に問題がある、と指摘する。
かりにIMPRONE-ITでエゼチミブ・シンバスタチン併用の優
位性を支持する結果が出たとしても、併用群ではエゼチミブ(10mg)、シンバスタチン(40mg)、単独群でもシンバスタチンの用量は40mgに設定されており、80mg用量での比較が行われていない、と理由を説明する。
IMPROVE-IT試験の終了時期が2012年に延びたと最近発表され、エゼチミブ・シンバスタチン併用の是非をめぐる論争はいっそう激しくなっているようだ。
試験実施研究者の説明によると、当初11,000人の患者を
登録する予定だったが、さらに7,000人追加する必要があるからだという。
そして、ある程度の件数の臨床イベントを集積するためにも、試験期間の延長が必要と説明している。
IMPROVE-ITの終了がエゼチミブ・シンバスタチン配合剤の承認から8年後にもなることについて、 Avornは次のように批判している。
「この薬が他剤より有用なのかどうかはっきりするまで、何年間も販売が継続される。この間に何百万人もの患者に処方され、何十億ドルもの医療費が使われるのを眺めているのは奇異な状況と言わざるを得ない」
出典 MMJ Vol.4 No.7 2008
版権 毎日新聞社

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制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<自遊時間>
長らく愛用した超音波装置がご臨終になった話は以前にさせていただきました。
いよいよデモも終わり、機種選定は最終段階に入りました。
カラードップラーといえば今や当たり前のことです。
そして頚動脈エコーでのIMT測定、そして椎骨動脈の描出も当たり前の時代のようです。
CWは開業医には不要かも知れませんが欲しいような気もします。
東芝、日立、GEの中からファイナルアンサーを迫られています。
ここはちょっと奮発して老後のボケ防止のおもちゃとして・・・。
あるハリウッドスター(男優)が妊娠した奥さんのために(自宅と別荘に最上級機種を2台、しかも言い値で)購入して新聞沙汰(医師法違反?)となったメーカーに決まりそうです。
自分なりに清水の舞台から飛び・・・です。
当然、最上級機種なんかではありませんが。
読んでいただいてありがとうございます。
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ACC2008―注目の降圧薬臨床試験
ACE阻害薬 とARBのガチンコ対決として衆目が一致するところのONTARGETの結果が、ついに発表になりました。
そのONTARGETの結果は、米国シカゴで行われた米国心臓学会の学術集会「ACC2008」のLate-Breaking Clinical Trials Iの中で発表されました。
はたして結果はいかに。
以下はMTproの最新記事からです。
第57回米国心臓学会(ACC2008;3月29日~4月1日,米国シカゴ)における発表から,降圧薬に関する2つの試験を紹介する。
いずれも発表と同時にNew England Journal of Medicine オンライン版(NEJMoa0801317,NEJMoa0801369)に掲載された。
臨床的インパクトが高く,今後日本のガイドラインにも影響を及ぼしそうだ。
ONTARGET;RA系阻害の意義を再確認も併用の有用性は認めず
40か国733施設が参加し,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を用いた臨床試験としては最大規模となったONTARGETでは,心血管疾患のハイリスク患者を対象にARBテルミサルタン,ACE阻害薬ラミプリル(国内未承認)の各単剤および併用療法が行われ,心血管イベント抑制効果が検証された。
テルミサルタンはHOPE試験で有効性が確認されているラミプリルに対し非劣性であることが証明されたが,併用療法の有用性は認められないという結果であった。
主任研究者のS.Yusuf氏が発表した。
対象は冠動脈疾患(CHD),末梢動脈疾患,脳卒中,臓器障害を伴う糖尿病のいずれかに合致する55歳以上の患者で(心不全例は除外),導入期間の後,約2万5,620例をラミプリル単独群,テルミサルタン単独群,両薬剤の併用群の3群にランダムに分け,二重盲検法により56か月追跡した。
最大用量はラミプリル10mg/日,テルミサルタン80mg/日とした。
各群の平均血圧値はいずれも約141/82mmHgで,治療による血圧低下度はラミプリル単独群 - 6.0/4.6mmHg,テルミサルタン単独群 - 6.9/5.2mmHg,併用群 - 8.4/6.0mmHgであった。
また,各群の平均年齢は約66歳,女性の割合は26~27%,CHDおよび糖尿病の保有率はそれぞれ約74%,36~38%であった。
1次評価項目の非劣性検定では,心血管死亡,心筋梗塞,脳卒中,心不全による入院発現率の割合はラミプリル単独群16.46%,テルミサルタン単独群16.66%で,テルミサルタンのラミプリルに対する非劣性が証明された。
忍容性についてはテルミサルタンが優れる傾向にあり,咳,血管浮腫による試験中止率がラミプリル群に比べ有意に低率であった。
一方,併用療法については,ラミプリル単独群と併用群との間で1次評価項目の発現率に有意差は認められなかった。
また,併用群では低血圧,失神,下痢,腎機能障害が有意に高率であった。
ONTARGETの結果から,ARBはACE阻害薬と同等の心血管疾患抑制効果を持つことがわかり,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害の意義が再確認された。
RA系を“二重阻害”する有用性は認められなかったが,慢性腎臓病(CKD),心不全など特定の病態で有用である可能性はあるという。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0804/080404.html
版権 日経BP社
<参考>
ONTARGET(The Ongoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint Trial)
<関連サイトから>
ARBの有用性に確証--心血管イベント抑制効果はACE阻害薬に劣らず、副作用が減少
レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬であるACE阻害薬とアンジオテンシンII拮抗薬(ARB)については、脳、心、腎などの心血管系臓器に対し保護作用を示すことが既報の臨床成績から明らかになっている。
しかし、ACE阻害薬とARBの心血管イベント抑制効果に違いがあるか否かは不明であり、両者を直接比較した大規模試験はまだない。
ONTARGET試験はこの問題の解答を得るべく実施された史上最大規模の臨床研究である。
今回ONTARGET試験の結果を報告したカナダ・マクマスター大のSalim Yusuf氏によれば、ARBの有効性がACE阻害薬と同等か否かという疑問は、2000年に発表されたHOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation)試験の成績から生じたものである。
この試験では、心血管疾患のハイリスク患者約9000例を対象にACE阻害薬の心血管イベント抑制効果をプラセボと比較しているが、ACE阻害薬は心筋梗塞、脳卒中、心血管死などの発生率を有意に低下させたものの、咳、血管浮腫などの副作用が高率に認められ、治療の忍容性に問題があることも判明した。
したがって、ARBの有効性が少なくともACE阻害薬と同等であり、かつ副作用が低減するならば、治療の有用性は大きく向上するであろう。
また、RAS系抑制薬の評価が高まるなかで、ACE阻害薬とARBの併用により心血管イベント抑制効果がさらに改善するか否かにも関心が集まっているが、本試験ではこの問題も検証された。
中略
以上の成績についてYusuf氏は、「心血管疾患リスクの高い患者の治療において、テルミサルタンはラミプリルに代る心血管保護薬として使用できること、その心血管イベント抑制効果はラミプリルと同等だが、忍容性、安全性からみて信頼性の高い薬剤であることが明らかになった」と述べ、心血管疾患リスクの高い患者の治療において、ARBがACE阻害薬と並ぶ有力な選択肢になったとの見解を示した。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acc2008/200804/505929.html
<コメント>
結局、結論としてはARB(テルミサルタン)はACE阻害薬(ラミプリル)に比較して副作用の発現は少ないものの、それ以上のものではない(非劣性という便利な表現があるようです)ということのようです。
そして何よりも、両者併用によるRA系を“二重阻害”する有用性が認められなかったことの衝撃は大きいものと思われます。
今後この臨床試験の解説が多く出るものと思われます。
<参考サイト>
RAS抑制を介した厳格な降圧が心血管保護に及ぼす影響
ミカルディスの大規模臨床試験ONTARGET
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/micardis/ontarget/
■ AT1受容体遮断作用に加えて、選択的PPARγ活性化作用を有するミカルディスは、強力な降圧効果を発揮して臓器保護に好影響を及ぼすと考えられる。
■ 現在、ミカルディスが心血管イベント発症にどのような影響を及ぼすかを検討する大規模臨床試験ONTARGETプログラムが進行中である。
ミカルディスはAT1受容体を遮断して強力な降圧効果を発揮する
■ ミカルディスは、AT1受容体に対する解離半減期が長く、血中半減期も長いことから、長時間にわたり強力かつ安定して血圧を低下させることができると考えられる。
■ ARBはマクロファージの活性化を阻害して、血管壁の石灰化を抑制する。
以下は
群馬大学 倉林正彦教授のONTARGET試験に関するコメントです。
■ HOPE試験で優れた心血管イベント抑制効果を有することが実証されたラミプリルとの比較のため、同等性が示されただけでも、ミカルディスの心血管イベントへの影響は高く評価できる。
■ 評価項目のなかでも特に注目しているのは心筋梗塞である。なぜなら、心筋リモデリングに対するACE阻害薬のエビデンスは信頼性が高く、メタアナリスでもACE阻害薬はARBに比べて優位ではないかという見解も報告されているからである。脳卒中については血圧レベルが大きく影響すると考えられるから、降圧効果が強いミカルディスが優位ではないか。
■ 従来の臨床試験では、心不全や心房細動に対するARBとACE阻害薬の影響には違いは認められなかった。ONTARGET試験でこれらの評価項目に差が認められれば、それはPPARγ活性化による影響が加わった結果ではないかと考えられる。
サブスタディでの項目に心臓のMRI所見が比較検討されることになっており、心臓に対してPPARγ活性化がどのような影響を及ぼすのか興味がある。
また、酸化ストレスのマーカー、OGTTによる耐糖能異常にもPPARγ活性化の影響が認められるのではないか。
<過去ブログへの追加>
EPA
http://blog.m3.com/reed/20080403
MEGA studyとともに,わが国で行われ2005年AHAのLate-Breaking Clinical Trialsに選ばれた冠動脈疾患予防の大規模臨床試験である。特徴は高LDL血症を対象としているので全員にスタチン系薬剤が用いられており,その上でイコサペント酸エチル(EPA)を使用した群とそうでない群を比較した試験であり,EPAの効果をみたということができる。従来,魚油が心筋梗塞予防に効果があることは,疫学的にも介入試験でも証明されており,3つの試験のメタ解析でも有意な動脈硬化予防効果を示していた。本論文は純粋なEPAにその効果があることを示しており,これまでの試験の中核となる部分を証明したという意味で評価できる。薬剤としての有効性という面と,食のエビデンスという意味で意義深いものと考えられる。
JELIS
Japan EPA Lipid Intervention Study
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002357.html
(寺本先生のJELIS に対するコメントです)
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) があります。
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高性能ACEI
http://blog.m3.com/reed/20071023
という内容で10月23日に書かせていただいた内容について
以下の内容のコメントをいただきました。
その1
本当に私もARBが過度に評価されているように思います。
冠動脈疾患、またCKDのコントロールにもACEIの方がEvidenceが揃っています。
しかし、イミダプリル、キナプリル、トランドラプリル等の「高性能ACEI」がそれ以外のACEIに比して確かに臓器保護に優れるという臨牀データはあるのでしょうか?
理論的には、組織親和性が高く、T/P比が長いものの方が良さそうな気はしますが、実際の臨牀でこのあたりの違いはどうなんでしょうか?
written by のんきい / 2007.10.23 07:03
その2
高性能ACEIに関しては、相当誇張がありすぎると思っています。
当然トランドラのような脂溶性で長時間作動型のACEIとレニベース・カプトプリルのような水溶性で短時間作動型のACEI間で、同じ土俵で(というより前者に有利な)比べると結果の差が明らかになります。
しかし、問題は血圧をSurrogateマーカ(代用評価項目)とすると、それだけでは組織RASの抑制は不十分であることが明らかにされています(下がっていてもRASの抑制ができていない;ARBとの併用が有用ですが)。
そこで、ACEIの投与量と使いかたが非常に重要となります。後者を十分臓器保護として使用するならば、分割頻回投与が有効です。前者の場合なら分割投与よりむしろ一回の量を増やす方が有効です。
繰り返しますが、一番重要な点は降圧でなくて(もちろん大切ですが)、いかに臓器保護を24時間しっかり得るかです。
上記をご注意いただくと、コスト、忍容性の問題をのぞくと、どれを使用しても変わらないと思います。
written by COOPERATE / 2007.11.20 19:19
アンディ 草原と馬 リトグラフ
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d79124950
高性能ACEI (その1)
http://blog.m3.com/reed/20071023
高性能ACEI (その2) http://blog.m3.com/reed/20071027
高性能ACEI(その3)
http://blog.m3.com/reed/20071103
高性能ACEI(その4)
http://blog.m3.com/reed/20071104
コメントはあまりいただけないのでとてもうれしく思います。
忌憚のない意見を取り交わすのがブログの醍醐味と思います。
これからもFace to faceの意見交換ができるといいなあと念じております。
昨今、なかなか本音がいえる機会が減りました。
学会しかり、大規模臨床試験のコメントしかりです。
しかるに、昨日の私のブログに転載させていただいたK先生のコメントはかなりエキサイティングでシニカルな内容のものでした。 HIJ-CREATE
http://blog.m3.com/reed/20071128
研究者とはいえ人間です。
それぞれの立場で無難なコメントをするのが賢い生き方、処世術というものです。
ところがK先生のコメントたるや歯に衣着せぬ快刀乱麻ぶりでした。所属が大学でないということもあるのでしょうか。
私(達)は、このようなコメントはわかりやすくて大歓迎です。
一度、K先生の講演を聴いてみたいとも思いました。
JIKEI HEART Study
http://blog.m3.com/reed/20070822
JIKEI HEART Study(その2)
http://blog.m3.com/reed/20070910
他に 「井蛙内科/開業医診療録」 http://wellfrog.exblog.jp/があります。
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第80回米国心臓協会学術集会(AHA)で発表されたLate-Breaking Clinical Trialsの中からHIJ-CREATEの紹介です。
東京女子医大の笠貫宏先生の発表で、桑島巌先生がコメントを寄せられています。
HIJ-CREATE Japanese
Heart Institute of Japan- Candesartan Randomized Trial for Evaluation in Coronary Artery Disease
高血圧を合併した日本人冠動脈疾患患者において,ARB candesartanをベースとした治療による有意な心血管リスクの抑制は認められず。
-腎機能障害症例での有効性が示される。
presenter:Hiroshi Kasanuki, MD ( Tokyo Women's Medical University, Japan )
目的
高血圧を合併した冠動脈疾患患者での心血管イベント抑制効果において,candesartanをベースとした治療がARB以外の降圧薬による標準治療を凌ぐことを検証する。
一次エンドポイントは主要な心血管イベント(MACE:心血管死,非致死的心筋梗塞[MI],入院を要する不安定狭心症・心不全・脳卒中・その他の心血管イベント)。
コメント
心疾患を合併した高血圧に対するARBの予後改善効果を非ARBと比較したという意味でJIKEI-HEART study (以下JIKEIと略す)試験に類似している。
JIKEIではARBの心血管イベント予防効果が非ARBに比較して著しく高いことが示され話題になったが,本試験ではARBの優位性は証明されなかった。両試験の結果の違いは何に由来するのであろうか。
両試験の違いを分析すると,まずエンドポイントの発生率がJIKEIでは6%に過ぎないのに対して,本試験では25.8%と約4倍である。これは冠動脈疾患合併率がJIKEIの33%に対して,本試験では100%と高リスクであることによると考えられる。また試験期間もJIKEIの3.1年に対して5年と長かったことも関係していよう。するとJIKEIは低リスク,低イベント発症で,かつ試験期間が短いにもかかわらず,なぜあのような非ARB群との大きな差がでてきたのかということが改めて疑問視される。一般的にいえば試験の信頼性はイベント発症数が多いほうが遙かに高いことはいうまでもない。JIKEI では物議を醸したTIAは本試験では含まれていないようである。
また非ARB群の内容も両試験では異なる。JIKEIでは大半がCa拮抗薬とACE阻害薬であったのに対して,本試験ではランダム化時点ではCa拮抗薬の併用率は各々45%,56%と治療群間に大きな差はない(試験期間中の非ARBの併用率については未発表)。本試験は実質的にはACE阻害薬との比較と考えられる。そういった意味では2008年春発表予定のONTARGET試験の前哨戦ともいえよう。
また新規糖尿病発症が5年間でARB群7例(1.1%),ACE阻害薬群で18例(2.9%)と両群とも非常に低く,有意性の信頼度が高いとはいえない。糖尿病基準を知りたいところである。
両試験の試験薬であるcandesartanとvalsartanの違い,とくに持続性などが結果の差をもたらしたとはこれまでの両薬剤の成績からいっても考えにくい。 JIKEIの信頼性に問題を投げかけたという点では意義のある試験であろう。
デザイン
PROBE(prospective randomized open-label blinded-endpoint),多施設(14施設),intention-to-treat解析。
期間
追跡期間の中央値は4.2年。ランダム化は2001年6月~2004年4月,追跡終了は2007年6月30日。
対象患者
2049例。20~80歳。冠動脈造影で確認された冠動脈疾患(CAD)を合併した高血圧患者;CADの定義:急性冠症候群(ACS);安定 CAD,高血圧の定義:血圧≧140/90mmHgあるいは降圧薬投与例。主な除外基準:1週間以内の急性心筋梗塞(AMI),3ヵ月以内の脳血管疾患,血清クレアチニン(sCr)≧2.0mg/dL。
■患者背景:平均年齢65歳,BMI 25kg/m2,女性(candesartan群 18%,標準治療群21%),血圧(135/76 mmHg,136/76mmHg),高血圧治療例(91%,94%),ACS(34%,37%),安定CAD(66%,63%),既往:MI(40%, 36%);PCI(83%,82%);CABG(12%,11%);狭窄病変数≦1(両群とも57%),糖尿病(37%,39%),高コレステロール血症(59%,60%),EF(54%,55%),CRP(中央値:両群とも2mg/L),クレアチニンクリアランス(Ccr:63mL/分,62mL/ 分)。
治療状況:candesartan投与量<8mg/日(75%,-),ACE阻害薬(-,71%),Ca拮抗薬(45%,56%),β遮断薬(45%,49%),利尿薬(10%,8%),スタチン系薬剤(45%,44%),硝酸薬(49%,51%),aspirin(93%,91%)。
治療法
candesartan群(1024例):candesartanを第一選択薬とし,その他のRAS系抑制薬は使用しない,標準治療群(1025例):ARBを除く標準降圧薬治療。
目標血圧は<130/85mmHg。
結果
一次エンドポイントはcandesartan群264例(25.8%)vs 標準治療群288例(28.1%)でcandesartan群でリスクが11%低下したが,両群間に有意差は認められなかった:ハザード比[HR] 0.89;95%信頼区間0.76~1.06(P=0.194)。
3~6ヵ月後はcandesartan群で有意に抑制された:0.55;0.34~0.91(P=0.021)。
二次エンドポイントである血行再建術は256例(25.0%)vs 271例(26.4%):相対リスク低下(RRR)7%(P=0.414),新規糖尿病発症は7例(1.1%)vs 18例(2.9%):RRR 63%(P=0.027)。
candesartan群は標準群に比べ投与中止例(P<0.001),薬剤関連の有害イベント(P=0.027),咳(P<0.001)が有意に少なく,同群の忍容性は良好で安全性にも問題はみられなかった。
サブ解析
Ccr<60mL/分例:標準群と比べたcandesartan群のMACE:HR 0.79;95%信頼区間0.63~0.99(P=0.039),Ccr≧60mL/分例:HR 1.04;0.81~1.34(P=0.764)。
http://www.ebm-library.jp/circ/index_top.html
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/aha2007/HIJ-CREATE.html
Heart Institute of Japan Candesartan Randomized Trial for Evaluation in Coronary Artery Disease (HIJ-CREATE - Presented at AHA 2007)
http://www.cardiosource.com/clinicaltrials/trial.asp?trialID=1632
The Results of HIJ-CREATE Study, a Large-scaled Clinical Study of Candesartan with Coronary Artery Disease Patients with Hypertension in Japan
http://www.takeda.com/press/article_28732.html
No Clinical Gain From Subbing ARB for ACE Inhibitor for BP-Lowering in CAD Population
http://www.medscape.com/viewarticle/565609
CREATE-LBCT-PRESS slides Nov 7-2007
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=HIJ+CREATE&lr=lang_en
米国心臓学会における高血圧症治療薬ブロプレス®の大規模臨床試験 「HIJ-CREATE[※1]」の成績発表について
http://www.takeda.co.jp/press/article_25718.html
第80回AHA Late-Breaking Clinical Trials
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_AHA_2007.html
第80回米国心臓協会学術集会(AHA)がで発表されたLate-Breaking Clinical Trialsの結果が掲載されています。
掲載トライアルは以下のごとくです。
AF-CHF(心房細動と心不全の合併例)/ BRIEF-PCI(PCI施行例)/ CORE64(冠動脈疾患が疑われる症例)/ CORONA(高齢虚血性収縮不全)Details/ Couma-Gen(経口抗凝固療法(INR 2~3)適応)/ COURAGE(心筋灌流SPECT実施例)/ EVA-AMI(ST上昇型心筋梗塞)/ HIJ-CREATE(高血圧を合併した冠動脈疾患)Details/ ILLUMINATE(冠動脈疾患)Details/ MASCOT(心臓再同期療法を受ける心不全患者) / MASTER I(心筋梗塞既往のICD植込み例)/ PCI in the OAT(米国のPCI施行例)/ POISE(非心臓術例)/ PROVIDENCE(間欠性跛行)/RethinQ(QRS間隔の短い症例)/ TRITON TIMI-38(PCI施行予定の急性冠症候群)
高性能ACEI http://blog.m3.com/reed/20071023
高性能ACEI(その2) http//blog.m3.com/reed/20071027
高性能ACEI(その3)
http://blog.m3.com/reed/20071103
高性能ACEI(その4)
http://blog.m3.com/reed/20071104
小柳 晟 水彩画4号「佐田岬 灯台」
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c152521414
<2008.6.30追加>
HIJ-CREATE試験/ARBとACE阻害薬
http://blog.m3.com/reed/20080629
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BMJ Ferreira-Gonzalez l,et al.2007;334:756-757の紹介です。
November 2007 Vol3 No.11 MWJに原著の和訳と解説が掲載されていますので紹介させていただきます。
特に佐藤先生の解説が読み応えがあると思います。
多くの循環器疾患の大規模臨床試験では「複合エンドポイント」が設定されています。
その問題点について解説されています。
複合エンドポイントは解釈が難しく誤解を招くことも
心血管系の臨床試験に複合エンドポイントを用いる場合の問題: 無作為化比較試験の系統的レビュー
ProbIems with use of composite end points in cardiovascular trials: systematic review of randomised controlled triaIs
BMJ Ferreira-Gonzalez l,et al.2007;334:756-757
目的
無作為化比較試験で使われる複合エンドポイントに含まれる個々の評価項目が患者への重要性に関してどれくらい幅があるのか、重要性の高いあるいは低い評価項目のイベントの頻度、個々の評価項目間で相対リスク減少にどれくらい差異があるのか検討する。
中略
結論
心血管系の臨床試験で使われる複合エンドポイントは、評価項目ごとに患者への重要度が異なったり、治療効果で大きな差異が生じるため、しばしばその解釈が難しくなっている。
複合エンドポイントに含まれている重要性の低い評価項目はイベント発生率が高く、治療効果が大きく現れる傾向がみ
られ、治療効果に対して誤った印象を与えかねない。
高畠達四郎 St.Poul 油彩 3号
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h43173571
以下はこの論文に対する佐藤先生のコメントです。
解説
複合エンドポイントの問題を改善する工夫も必要
佐藤俊哉 京都大学社会健康医療統計学教授
心血管系の臨床試験で死亡率の低下や心筋梗塞の発症予防をエンドポイントに設定すると、イベント発生が少ないため、膨大な数の試験参加者を長期間追跡する必要がある。このような場合に、「死亡、非致死的な心筋梗塞、または非致死的な脳出血のうち最初に観察されたもの」といった複合エンドポイントを主要評価項目にすれば
1)必要な対象者数を減らすことができる
2)治療の心血管系イベント全体への効果を調べられる
3)重要な評価項目を無理に1つ選ばなくてもよい
4)検定の多重性を回避できる
といった利点がある。
複合エンドポイントを使用する一番の動機が観察イベント数
を増やすことにあるため、本論文で述べられている、患者への重要'性が中等度・軽度の評価項目でイベントが発生する割合が高く、致死的・重篤な評価項目で低いという結果はしごく当然な結果である。
つまり、複合エンドポイントを使用する以上、その結果は中等度や軽度の評価項目に重きがおかれているものだと思って解釈すべきであり、そのことが治療効果に対して誤った印象を与えるのであれば、複合エンドポイントは用いないほうがいいということになる。
あるいは本文最後に提案されているように、結果を報告する
際には、複合エンドポイントを構成するすべての評価項目の結果を記述することで、適切な複合エンドポイントの解釈が可能となるかもしれない。
しかし、すべての評価項目の結果が記述されたとしても、致死的や重篤な評価項目でのイベント数が少ないため、結局のところ中等度・軽度の評価項目への治療効果としてしか解釈できないこともありうる。
複合エンドポイントの使用は致死的あるいは重篤な評価項目のイベント数が少ないことに由来しているのであるから、この問題を回避する方法として、下位の評価項目として致死的・重篤な評価項目のサロゲート(代替変数)と考えられる評価項目を選ぶことが考えられる。
個々の評価項目を階層的に選ぶことで、あまり重要でない項目が選ばれて患者への重要性の幅が広くなるという、本論文で指摘されている問題も改善されるだろう。
さらに、このように階層的に選んだ個々の評価項目について
は、「いずれかのうち最初に観察されたものをイベント」とするのではなく、試験期間中はすべてのイベント発生を調べ、「いずれかのうち試験期間中に観察された最も重要なイベント」を解析する方法も有効と考えられる。
個々の試験参加者に対する追跡の負担が増えるため、試験環境によっては現実的でない場合もあるかもしれないが、個々の評価項目でのイベント数が増えるだけでなく、評価項目間の関連の程度を調べる手がかりともなりうる。
最後に、本論文の著者らと本論文で最初に引用されている
論文の著者Freemantle and Calvertが複合エンドポイントに関する誌上討論をJournal of Clinical Epidemiology誌で行っているので、こちらも参考にしてほしい(Variance and Dissent.Journal of Clinical Epidemiology 2007;60:651~662)。
<コメント>
今まで、何の問題意識も持たずに大規模臨床試験をみてきた私としては、これからはエンドポイントンのところでつっかかってしまいそうです。
話は別ですが、ドロップアウト例って追跡はどうなっているんでしょうか?それらの症例の中にも真実が隠されているような気がいつもしています。もちろん死亡例もあるかも知れません。
他に 「井蛙内科/開業医診療録」 http://wellfrog.exblog.jp/があります。
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BPLTTC とは
Blood
Pressure
Lowering
Treatment
Trialists's
Collaboration
の略です。
BPLTTCはWHO/ISHによって設立され、血圧に関するデータを解析するグループで、著名な大規模臨床試験の実施メンバーと統計解析のプロが行うものです。
したがってメーカーのバイアスはかかっていません。
これまでにも世界の降圧治療試験(治験)のプロスペクティブなメタ解析を行ってきました。
最新のプロジェクトでは、RA系阻害薬による26の大規模臨床試験のメタ回帰分析を行って、ACE阻害薬とARBの心血管系イベント抑制効果を比較しています。
各種降圧薬のイベント抑制効果の解析は血圧を補正して評価されています。
つまり、「どの降圧薬が最も効果があるか?」という最も気になる疑問について、権威ある解析機関が見解を示すというものです(メタ回帰分析)。
その中で一番興味深いのは大規模臨床試験での(ACE阻害薬vs.プラセボ、ACE阻害薬vs. 対照治療薬)の血圧と冠動脈イベント抑制率の関係です。
治療後の両群のそれぞれの降圧差を横軸、冠動脈イベント抑制率(オッズ比)を縦軸にとると、血圧差(収縮期血圧で検討)が大きい(プラセボを対照とした試験では当然ながら大きな差になる)ほどイベント抑制率が大きく、差が小さいほど(実薬対照では血圧の差は無いかあっても小さい)抑制率は小さくなるが、各試験のプロットから回帰直線をひくと血圧差ゼロでも数%のイベント抑制が見られたという結果が示されています。
つまりACE阻害薬は降圧効果とは別の機序で心筋梗塞を減らしているという解析結果です(「降圧と独立した効果」)。
さて、問題のARBはどうかというと、この降圧差と.冠動脈イベント抑制率の回帰直線が、血圧差ゼロのポイントで冠動脈イベントがゼロより少し上(つまりARB群でやや心筋梗塞が多い傾向)という結果です。
(図を文章で説明しているので分かりにくくてすいません。
J Hypertension 2007;25:951に図が出ています。)
冠動脈イベント抑制は、ARBに比較しACE阻害薬で約17%有意なリスク低下がみられました。
脳卒中と心不全のイベント抑制は両者に差はありませんでした。
“統計学的な有意差”をもって増加しているわけではないのですがひょっとして
ARBは心筋梗塞を増やす!?
■心筋梗塞患者を対象としたOPTIMAALであはACEIに対してARBでは心血管死を有意に増加させた(相対リスク1.17、95%信頼区間1.01-1.34)。

斎藤三郎 セビージャシリーズ 踊り子 80号http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x21702022
冠動脈疾患予防効果におけるACE阻害薬とARBの違い
~世界規模のメタ解析BPLTTCより~
http://www.carenet.com/hypertension/tana02/kuwa/index.aspx
(視聴形式ですがログインが必要です。)
Furberg氏らによる降圧試験メタ分析、最新版がJAMA誌に掲載
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/248910.html
(2003年5月 4年間の治療ならば低用量利尿薬が第一選択)
アムロジピンの心筋梗塞抑制効果
http://cardiovascular.jp/value/value_04_03.html
(大規模臨床試験の限界も述べられ、かなり本音で語られている。三氏の座談会形式。どの先生がすご腕か発言内容で評価してみるのも一興)
New Evidence of Blood Pressure-Independent Effects for Agents Acting via the Renin-Angiotensin System: Analyses From The Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration
http://www.medscape.com/viewarticle/507293
(ログインが必要です。)
ALLHAT, Trialists' Collaboration compare BP-lowering agents in diabetes
http://www.medscape.com/viewarticle/538714
(ログインが必要です。)
ACE inhibitors and ARBs: insight from meta-analysis and the Blood Pressure Lowering Treatment Trialists・Collaboration
http://www.servier.com/pro/cardiologie/pdfs/Ver01ang.asp
(I agree をクリックして下さい)
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THE LANCET に掲載されたJIKEI HEART Study(Lancet2007;369:1431-39)の英文原著と著者監訳を読みました。
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/d2007-08-22
私自身の興味は方法論に集中していました。以下思いついたことを単刀直入に書いてみます。
(日本語は著者監訳のままです)
その1
Participating centres included the four hospitals of the Jikei University in Tokyo,
which has some of the largest inpatient and outpatient facilities in Japan, and 17 associated hospitals led by physicians from Jikei University.)
参加施設は東京慈恵会医科大学4病院(その一部は日本の入院および外来施設としては最大である),および東京慈恵会医科大学出身医師を中心とする関連病院17施設であった。
<コメント>
和訳の「最大である」という言葉に疑問を感じてネットで調べてみました。思いつくままに病床数の多そうな大学病院を調べてみましたが最大ではありませんでした。
原文ではsome of the largestとなっていますから、「最大である」は誤訳といっていいでしょう。しかし著者が責任を持つべき誤訳であることは言っておきたいと思います。
さて話は脱線しますが、私自身私学出身ではないため、附属病院が4つもあるという世界を知りません。そしてそれらのほとんどの医師が自校出身であるという世界も。
このことはいいことかも知れないし、問題のある点かも知れません。
その2
At every visit,a skilled physician took standard blood pressure measurement, with the patient at rest(5-10 min) in the sitting position.with a validated sphygmomanometer.
The mean of three measurements was caluculated and recorded.The timing of blood pressure measurement was not constant in relation to patients' intake of medication.
来院ごとに熟練医師が水銀血圧計を用いて,安静時(5~10分)座位にて標準的な血圧測定を行った。3回の測定値の平均を求め,記録した。血圧測定時期と患者の服薬時刻との関係は一定ではなかった。
<コメント>
「skilled physician熟練医師」がどれぐらいの医師を指すのかは別として、一番知りたいことがさらりと「standard blood pressure measurement標準的な血圧測定」と表現されていました。
具体的には、左右どちらかに統一して測られていたのか、左右を数回または数日にわたって測定してその後に高い方の側に決定したのか、同一の患者には同一の医師だったかなどです。
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/6725043/
私事で恐縮ですが、昔の大学時代の研究テーマが血圧と血中カテコラミンで、結構血圧測定には神経を使った覚えがあります。
さて5~10分座位 、3回測定は忙しい外来の中で大変だったと思います。
「血圧測定時期と患者の服薬時刻との関係は一定ではなかった」は恐らく査読の際に求められた事項だったと思います。
この点は降圧剤の薬効を判定するには核心的なところかも知れませんが、なかなかそこまで一般的には思いを馳せることはできません。
今回の研究の主目的が血圧測定ではないということで 問題とならなかったと邪推するわけです。
結論としては、Lancetの査読者はかなり厳しいテクニカルな要求をし、血圧測定法についてかなり詳述した論文と受け取りました。
以上、方法論の箇所だけですが、生意気な私見を一介の開業医として書かせていただきました。
国領経郎 油彩画8号『川口の風景』
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x19203224
<参考>
東京慈恵会医科大学 1,075床
http://www.jikei.ac.jp/hospital/honin/greeting.html
慶応義塾大学病院 1,072床
http://www.hosp.keio.ac.jp/
東京大学附属病院 1,150床
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/outline/beds.html
東京女子医科大学 1,423床
http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/hospital/gaikyo.html
藤田保健衛生大学病院 1,505床
http://www.fujita-hu.ac.jp/HOSPITAL1/general/history.html
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