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日米の高血圧研究のエキスパートがRA系抑制薬をベースとした,より最適な治療法について話し合った座談会の記事で勉強しました。
大規模臨床試験の実施にまつわるエピソードも話題になっています。
最新のエビデンスから探る最適な降圧薬治療
ARB+Ca拮抗薬の併用療法, ARBの高用量投与で得られるベネフィットとは?
厳格な血圧管理のためには複数の降圧薬の併用が必要になることが多く,その基礎薬にレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬が用いられる頻度は高い。
一方,最近報告された大規模臨床試験ACCOMPLISHからは,RA系抑制薬とCa拮抗薬との併用は利尿薬との併用と比べ,より優れた心血管系イベント抑制作用が得られることが示された。
では,RA系抑制薬単剤を高用量投与した場合はどうなのか。
出席者(発言順)
熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学教授
小川 久雄 氏(司会)
福岡大学名誉教授
荒川 規矩男 氏
Professor, SUNY Downstate College of Medicine, USA
Michael A. Weber 氏
熊本大学大学院医学薬学研究部生体機能薬理学教授
光山 勝慶 氏
日米の降圧薬治療の現状
―RA系抑制薬,Ca拮抗薬,利尿薬の使用頻度
小川
高血圧に起因する心血管系イベントを抑制するためには,各国の高血圧治療ガイドラインの定める降圧目標の達成が必要です。
その達成のために,現在,国内外でACE阻害薬やARBといったRA系抑制薬,Ca拮抗薬,利尿薬などが降圧薬として用いられています。
最適な降圧薬治療のために,これらをどのように使用したらよいかは議論の分かれるところです。
荒川先生,まず,わが国でよく使用されている降圧薬についてご紹介ください。
荒川
わが国の高血圧治療ガイドライン(JSH 2004)が発表された当時,最も高頻度に使用されていた降圧薬はCa拮抗薬で,2番目がARBでした。
その後もARBの使用頻度は増え続けています。
Weber
日本でCa拮抗薬が好まれてきたのはなぜですか。
荒川
1972年に,わが国の研究者(金沢大学・村上ら)によってジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の降圧作用が,世界で初めて報告されています。
したがって,わが国の臨床医は早くからCa拮抗薬を降圧薬として認識していたという事情があります。
Weber
日本では利尿薬は人気がないようですね。
荒川
利尿薬は食塩摂取量の多い日本人に適した治療薬だと思いますし,私自身はARBに少量の利尿薬をよく併用しています。
ただ,一般的にはあまり使われていません。
Weber
米国では合剤として広く用いられていますが,利尿薬単剤での使用率は低いですね。
荒川
米国の高血圧治療ガイドライン(JNC 7)では,第一次薬として利尿薬が推奨されているので,よく使用されているのかと思っていました。
Weber
JNC 7は推奨していますが,実際に利尿薬単剤を初期治療で使う医師はほとんどいません。
荒川
しかし,米国での利尿薬使用率はかなり高いのではないですか。
Weber
それはRA系抑制薬との併用で処方されることが多いためだと思います。
併用療法における心血管系イベント抑制作用の検討
小川
Weber先生は,高血圧治療の現場に大きなインパクトを与えた大規模臨床試験ACCOMPLISHの運営委員でもいらっしゃいます。
そこで,次はこの試験についてお話を伺いたいと思います。まず,
試験の概要をご紹介いただけますか。
Weber
ACCOMPLISHは,ACE阻害薬をベースにした2つの併用療法を比較した試験で,目的は,ACE阻害薬(ベナゼプリル)とCa拮抗薬(アムロジピン)との併用は利尿薬〔ヒドロクロロチアジド(HCTZ)〕との併用に比べ,心血管系イベント抑制作用が勝っているかどうかを明らかにするというものです。
対象は心血管系リスクの高い高血圧患者約11,500例です。これらの患者をACE阻害薬+Ca拮抗薬群,またはACE阻害薬+利尿薬群に無作為に割り付けました。
降圧目標値は140/90 mmHg未満で,糖尿病や腎障害合併患者では130/80mmHg未満です。
投与法は,まず,最初の1か月が経過した時点で,ベナゼプリルを20mg/日から40mg/日に一律に増量しました。
これはRA系抑制薬から得られる心血管保護作用を両群で同等にするためです。
降圧目標値に達しない場合はさらに各併用薬の増量,他の降圧薬の追加と,降圧薬治療の強化を段階的に行いました。
そして平均39か月の追跡の結果,ACE阻害薬とCa拮抗薬との併用により,心血管系イベントが有意に20%抑制されることが明らかになりました。
小川
ACCOMPLISHは,昨年,独立モニタリング委員会の勧告により,途中で試験を終了したと聞いています。
Weber先生,そのあたりの事情も少しお話しいただけますか。
Weber
われわれはその勧告に対し,すぐに納得したわけではありません。
ACCOMPLISHの一次エンドポイントは6つの心血管系イベントの複合(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+不安定狭心症による入院+冠動脈血行再建術+心肺停止からの蘇生)です。
しかし,ここに不安定狭心症を含んだことに対し,抗狭心症薬でもあるアムロジピンと併用するほうが,利尿薬と併用するより結果がよくて当然だろうという批判がありました。
そのため,独立モニタリング委員会から,両群間に十分な差が出たので試験を終了するよう勧告されたときも,一次エンドポイントだけでなく,ハードエンドポイント(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中)でも十分な差が認められなければ,試験を終了するつもりはありませんでした。
結局,どちらも同等のリスク低下が認められたということでしたので,われわれは試験終了に同意しました。
小川
興味深いお話ですね。
ハードエンドポイントでも同等の有意なリスク低下が得られたということは,非常に意義のある結果だと思います。
RA系抑制薬の最適な併用薬とは?
光山
ひとつ教えていただきたいのですが,ACCOMPLISHの一次エンドポイントに含まれる心血管系イベントに心不全が含まれていないのはなぜですか。
Weber
その疑問を持たれるのは当然だと思います。
通常,こういった大規模臨床試験では心血管系イベントに関するエンドポイントに心不全を含めますが,われわれはあえて除外しました。
みなさんよくご存知の大規模臨床試験ALLHATでは,Ca拮抗薬により心不全の発症リスクが上昇しています。
しかし,この試験で行われた心不全の診断は十分に検証されたものではなく,浮腫を心不全としたケースも含まれている可能性が指摘されています。
このように心不全の診断は容易ではなく,エンドポイントとしての信頼性を確保することが難しいのです。
そこでわれわれは,心不全は安全性の評価項目に入れ,一次エンドポイントには含めませんでした。
結局,心不全の発症リスクは両群間で有意差は認められていません。
荒川
そのほかの有害事象についてはどうでしたか。
Weber
糖代謝関連の指標としてHbA1Cを測定しましたが,軽度上昇がみられたものの,上昇の程度に両群間で差はみられませんでした。
小川
つまり,安全性に問題はなかったわけですね。
Weber
はい。安全性に問題はなく,心血管系イベント抑制作用はRA系抑制薬とCa拮抗薬との併用のほうが優れていることが明らかになりました。
この試験結果によって,多くの方が初期治療からRA系抑制薬とCa拮抗薬の併用療法を行うことが有用だと認識してくださるのではないかと期待しています。
ARBの高用量投与で得られるベネフィットとは?
小川
では次に,RA系抑制薬とCa拮抗薬の個々の特徴について伺いたいと思います。
まず,RA系抑制薬ですが,ACCOMPLISHでは降圧薬から得られる心血管保護作用を両群で同等にするために,ACE阻害薬の増量は全例に実施されたとのことでした。
光山先生,RA系抑制薬の増量に伴い,心血管保護作用も高まると考えてよろしいのでしょうか。
光山
その点については,ARBの増量により心血管保護作用が高まることを示した実験結果がありますのでご紹介します。
まず心肥大に対する作用ですが,脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)による検討から,オルメサルタン(オルメテックR)の投与量増加に伴う心肥大抑制作用の増強が確認されました(図1左)。
また,ラット頸動脈のバルーン傷害による血管内膜肥厚モデルを用いた検討からは,オルメサルタンの投与で血管内膜肥厚は著明に抑制され,さらに投与量増加による抑制作用の増強も認められています(図1右)。
小川
ARBの高用量投与は,特にどのような患者にメリットがあるとお考えですか。
光山
ARBにはインスリン抵抗性の改善や糖尿病の新規発症抑制,さらに蛋白尿改善や腎不全への進展抑制作用などが認められています。
したがってARBの高用量投与は,糖尿病,あるいは腎障害を合併する高血圧患者に対し,より大きな効果が期待できると考えられます。
Ca拮抗薬の降圧以外のベネフィットとは?
小川
次に,Ca拮抗薬の降圧効果以外のベネフィットについてお聞きしたいと思います。
Ca拮抗薬は脳循環や冠動脈循環に好影響を与えるだけでなく,心肥大抑制作用があることも確認されていますが,一方で心拍数を増加するという問題がありますね。
光山
一般にジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は降圧により反射性に交感神経系を亢進するため,心拍数の増加を来すと考えられますが,アゼルニジピン(カルブロックR)は,高血圧患者を対象とした臨床試験で,心拍数を逆に抑制することが確認されています。
Weber
それはどのような機序によるのでしょうか。
光山
詳細な機序はまだわかっていません。
アゼルニジピンは交感神経系の活動を直接抑制することが示唆されていますから,それも一因ではあると思います。
荒川
心拍数の上昇は心血管系イベントのリスクファクターのひとつですから,心拍数を抑制するアゼルニジピンは,イベント抑制の面からも期待が持てそうですね。
光山
私もそう思います。
われわれが行った動物実験では,アゼルニジピンは降圧効果とは関係なく,心肥大や心筋の線維化,炎症などに対する抑制作用が強いことが認められています。
またこの作用は,酸化ストレスの低下が関与している可能性も示唆されました。
こういったことから,アゼルニジピンにはARBに似た心血管保護作用があるのではないかと考えています。
ARB高用量投与とARB+Ca拮抗薬併用の比較試験がわが国で進行中
小川
そうなると次に,RA系抑制薬の高用量投与とRA系抑制薬+Ca拮抗薬併用のどちらがより有用かという問題が出てきます。
この点を検討するために,現在,わが国ではOSCAR Studyという臨床試験が進行しています。
その概要を,試験の代表を務めていらっしゃる荒川先生,ご説明いただけますか。
荒川
OSCAR Studyでは,オルメサルタンの高用量投与とオルメサルタン+Ca拮抗薬(アムロジピンまたはアゼルニジピン)併用のどちらが心血管系イベントの抑制作用に優れているかを比較検討しています。
対象は心血管系リスクが高く,オルメサルタンの標準量(20mg/日)投与で降圧目標の140/90mmHgに達しなかった65?84歳の高血圧患者です(図2)。
登録は既に締め切りましたが,約1,200例の患者が試験に導入されています。
オルメサルタンは降圧効果の強いARBですから(図3),その高用量投与とCa拮抗薬との併用の比較試験は,意味があると考えています。
Weber
非常に興味深いですね。Ca拮抗薬にはアムロジピンかアゼルニジピンのどちらかを使用するということですが,両者の割合はどのくらいですか。
荒川
ほぼ半々になっています。
光山
Weber先生はこの試験結果をどのように予測されますか。
Weber
私は,ARBの高用量投与よりCa拮抗薬と併用したほうがよい結果が得られるような気がします。
荒川
以前,ある医師から,ARBの高用量投与よりCa拮抗薬との併用のほうがよい結果が出るのは当然なのに,なぜ試験を行う必要があるのかと聞かれたことがあります。
それに対しては,想像だけでなくエビデンスとして証明することが重要だからだと答えたのですが,やはり臨床試験を実施する意義はそこにあるのだと思います。
小川
その通りですね。
光山
蛋白尿や糖尿病を合併した高血圧では,ARBの高用量投与のほうがよい結果が出る可能性もあります。
小川
そうですね。
OSCAR Studyの結果が出るのを楽しみに待ちたいと思います。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41410141&year=2008
<関連サイト>
ACCOMPLISH
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/acc2008/ACCOMPLISH.html
高リスク高血圧症例では,降圧目標値がより低くということが常識になり,併用療法,あるいは合剤の時代になってきている。本試験はACE阻害薬の併用薬としてCa拮抗薬を用いた方が降圧利尿薬よりも心血管合併症予防に優れるという仮説を証明するために行われた試験である。したがってACE阻害薬を中心に併用を組み立てた場合ということが前提である。
これまでのいくつかの臨床試験は,ACE阻害薬やARBなどのRA系抑制薬が心血管合併症を抑制しうるだけの降圧効果を発揮するためには,降圧利尿薬あるいは他の降圧薬の併用が必要であることを示してきた。ACE阻害薬ではPROGRESS試験がそうであるし,最近のVALUEやCASE-JではARB に降圧利尿薬を併用してCa拮抗薬に近い降圧効果を発揮することが示されている。したがってACE阻害薬とCa拮抗薬の併用の方が,ACE阻害薬と降圧利尿薬の併用よりも優れるという今回のACCOMPLISHの結果は予想された通りといえよう。降圧度の差がそのまま心血管イベント発症率の差になっているのも,臓器保護は厳格な降圧こそ重要という考え方を支持する結果といえる。
本試験の対象は,降圧薬治療(78%がACE阻害薬またはARB)を処方されているにもかかわらず収縮期血圧が160mmHg未満に下降しない症例が対象であることから,第一選択薬としてRA系抑制薬を用いた場合ということが前提となっている。実際には,単独で十分な降圧効果を発揮しうるCa拮抗薬を第一選択薬として用いる場合の方が効率とコストの面からも実際的である。副作用などの詳細は発表では明らかになっていないので,さらなるコメントは論文化されてから行いたい。
(桑島先生のコメントです)
<コメント>
相変わらずのはっきりした物言いのコメントです。
私はいつも桑島先生のコメントを楽しみにし、大規模臨床試験の評価のいわばバイブルにしています。
製薬メーカーの講演会や座談会にあまり登場しないのも何だかわかる気がします。
呼ばれないのか、断ってみえるのかは知りませんが。
<きょうの一曲> “La boheme”
Charles Aznavour-La bohème
http://jp.youtube.com/watch?v=oMOsXXJw7pA&feature=related
Charles Aznavour ( La boheme)
http://jp.youtube.com/watch?v=u5zfkOvuXJY&feature=related
La Bohème
http://jp.youtube.com/watch?v=nZvehG_Lgls&feature=related
La Bohème - Charles Aznavour
http://jp.youtube.com/watch?v=oMOsXXJw7pA&feature=related
Charles Aznavour - La boheme (English Subtitles)
http://jp.youtube.com/watch?v=neazIF9vDIU&feature=related
CHARLES AZNAVOUR - LA BOHEMIA (Espanol)
http://jp.youtube.com/watch?v=CyF9W-OovnY&feature=related
'La bohème'- A Tribute to Grace Kelly.
http://jp.youtube.com/watch?v=9JlxCKcqxzA&feature=related
Projet de français : Charles Aznavour, La Bohème
http://jp.youtube.com/watch?v=XF40m0rT_Y0&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
シリーズ
循環器官用薬と飲食物・サプリメントの
相互作用とマネジメント(1)
大西憲明 京都薬科大学 病院薬学教室 助教授
高良恒史 助手
横山照由 教授
降圧薬/Ca拮抗薬
カルシウム(Ca)拮抗薬は,おもに小腸と肝臓に豊富に存在する薬物代謝酵素シトクロムP450(CYP)3A4により代謝され,その効果が消失または減弱することが知られている。
さらに,本薬剤は初回通過効果を受けやすく,他の薬剤との薬物動態学的相互作用例が顕著に多い化合物群の 1つである。
したがって,Ca拮抗薬の体内動態は,CYP3A4を阻害するか,または誘導するような食物・サプリメントの併用の影響を大きく受けるものと考えられる。
グレープフルーツジュースには要注意
なかでも,グレープフルーツジュース(GFJ)とCa拮抗薬の相互作用が最も有名である。
GFJ中のフラノクマリン誘導体が,おもに小腸上皮細胞中のCYP3A4を不可逆的に阻害し,薬物の消化管吸収が増大するため,血中薬物濃度は上昇し,その有害作用が増強されることがある。
また,GFJの阻害強度はCa拮抗薬間で大きく異なるだけでなく,GFJの摂取量,銘柄,摂取タイミングなどの影響を強く受ける。
例えば,ニソルジピンの場合,GFJ同時摂取に伴い,その最高血中濃度は 3 ~ 5 倍に上昇するが,アムロジピンやジルチアゼムでは,2 ~15%増加するのみである。
さらに,その阻害効果は,GFJと薬物を同時摂取した場合より,GFJ飲用後 3 ~6 時間後に薬物を服用したときのほうが顕著に大きくなる。
また,GFJの単回飲用による阻害は,上記の時間帯をピークに経時的に漸減するものの,少なくとも 4 日間程度持続することを理解しておかなければならない。
以上のことから,GFJの同時飲用を回避するだけでは本相互作用は防止できず,GFJ摂取そのものを中止するのがベストである。
しかし,それらの同時摂取を禁じているだけで,併用そのものを禁止していない内容の添付文書が多数現存している。さらに,併用が危険である科学的根拠を示す文献が既に報告されているにもかかわらず,添付文書に反映されていない場合も多いので,医師・薬剤師は最新の情報を入手し,そのデータに基づき細心の注意を払うべきである。
また,一部のCa拮抗薬は,近年注目されている種々雑多な薬物輸送担体の 1 つであるP-糖蛋白質(MDR1)の基質でもあることから,今後はMDR1を介した飲食物-医薬品間相互作用の発現にも注意が必要である。

図は
循環器官用薬と飲食物・サプリメントの
相互作用とマネジメント(1) 2005.1.27
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E5%BE%AA%E7%92%B0%E5%99%A8%E5%AE%98%E7%94%A8%E8%96%AC%E3%81%A8%E9%A3%B2%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE&perpage=0&order=1&page=0&id=M3804691&year=2005&type=article
の中の図をクリックしていただくと大きくみることが出来ます。
<引用文献>
大西憲明編: 一目でわかる医薬品と飲食物・サプリメントの相互作用とそのマネージメント,フジメディカル出版,2003.
1)N Engl J Med 1984; 310: 951.
2)Biol Pharm Bull 2004; 27: 2006.
3)Eur J Clin Pharmacol 2002; 58: 515.
4)薬誌 1983; 103: 426.
5)Circulation 1998; 98: 2702.
出典 Medical Tribune 2005.1.27
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
多くの書き物には「グレープフルーツジュース」と記載されており、「グレープフルーツ」ではありません。
フラボノイドは果皮と果肉の間の白いところに多いということで、グレープフルーツの「果肉」は問題ないという文献を読んだことがあります。
「グレープフルーツジュース」は果皮と果肉のまるごとミキサーにかけるためいけないんだと納得していました。
しかし最近は果肉もいけないということに変わってきているようです。
それなら「グレープフルーツ」および「グレープフルーツジュース」ということにしていただければすっきりするのですが・・・。
私自身いまだにすっきりはしません。
今回の論文の図でもGFJ(Grapefruit Juice)と記載されておりGF(Grapefruit )との記載はありません。
果肉もダメという文献を探していますが今のところ見つかりません。
Grapefruit Juice Can Interact With Medicines!
http://www.medicinenet.com/script/main/art.asp?articlekey=14760
Grapefruit Juice Can Block Calcium Chanel Blockers
http://longevity.about.com/b/2006/10/03/grapefruit-juice-can-block-calcium-channel-blockers.htm
(このブログに対するコメントで、CCBの効果を弱めるのではなく強めるのである、と誤りを指摘されています)
<参考文献>
知らないと危険なことになりますよ… グレープフルーツと糖尿病薬
http://allabout.co.jp/health/diabetes/closeup/CU20050717A/
グレープフルーツも薬物相互作用があるものとして知られています。グレープフルーツ・ジュースが危険なので、グレープフルーツを食べるのは大丈夫だと教えられた方はいませんか?そんなことはありませんよ。作用は同じです。
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/yaku6.htm
阻害作用が強いGF-I-1,GF-I-2,GF-I-4 はグレープフル
ーツの果肉の部分に存在しており、実の袋や皮、種にはあまり存在していないことがわかっています。このことから、グレープフルーツの果肉においてもジュースと同様に、カルシウム拮抗剤との同時摂取には注意が必要といえます。
Ca拮抗剤とグレープフルーツ
http://blogs.yahoo.co.jp/kumiranngonnrinn/48508462.html
以前はグレープフルーツのフラボノイドは果皮と果肉の間の白いところに多いのでジュースは影響があるが果肉を食べるのは問題ないと言われていましたが詳しいメカニズムについては良く覚えてはいないのですが、ほかの方のレスのとおりグレープフルーツの果皮に薬の成分を阻害する物質が入っ
ているようです。
市販されているグレープフルーツジュースは皮ごと圧搾して作っているために一緒に摂取しないように外来でお話ししています。
もちろん自分で絞って作ったジュースは飲んでもOKということになります。
グレープフルーツジュースと薬
http://www.hyoyaku.org/cntnt.php?cnt=224
<きょうの一曲>
Just The Way You Are
Diana Krall "Just The Way You Are"
http://jp.youtube.com/watch?v=V-a_cCBzXRg&feature=related
素顔のままで
http://jp.youtube.com/watch?v=-jhFs0GHmBs
Billy Joel - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=PpUHu21osiM&feature=related
素顔のままで(訳詞付) - Billy Joel
http://jp.youtube.com/watch?v=N9-CEbvhNX4&feature=related
Billy Joel - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=wAw_gJ6wS44&feature=related
Billy Joel - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=ounJsqomcv8&feature=related
Barry White Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=1BFrTxvxKTs&feature=related
Barry White - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=zNWNYxNJV6w&feature=related
Jose Feliciano - Just The Way You Are ( Billy Joel cover )
http://jp.youtube.com/watch?v=qo82VMvmw20&feature=related
Billy Joel - Just The Way You Are (Live in Tokyo, Japan 1998)
http://jp.youtube.com/watch?v=LI_vj-xbNl8&feature=related
Billy Joel "Just the way you are" Live 1977
http://jp.youtube.com/watch?v=QPiK_yGG8ag&feature=related
Just The Way You Are
http://jp.youtube.com/watch?v=FSqW8SPTVnA&feature=related
Just The Way You Are
http://jp.youtube.com/watch?v=5qQBaKNqArY&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
CASE-Jは
「高リスク高血圧患者において,AII受容体拮抗薬candesartanとCa拮抗薬amlodipineの長期の心血管イベント抑制効果に有意差は認められず。左室肥大,新規糖尿病発症はcandesartan群で有意に低かった。」
といったような内容でした。
今回、このCASE-Jのサブ解析の記事が出ていました。
第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会特集 CASE-Jサブ解析
糖尿病やCKD,左室肥大を有する患者では130/80mmHgレベルからイベントリスク増加
日本人の高リスク高血圧症に対してARBカンデサルタンとCa拮抗薬アムロジピンの有用性を比較した大規模臨床試験がCASE-J(前回のISHで主要結果発表)である。
同試験のサブ解析から,糖尿病や慢性腎臓病(CKD),左室肥大を有する患者では130/80mmHg以上で心血管イベントリスクの増加が見られたと,大阪府立急性期・総合医療センターの荻原俊男院長が発表した。
イベント発生の血圧閾値がシフト
サブ解析の対象は,CASE-J試験の主要解析対象と同じ4,703例。
到達血圧は最終来院時(心血管イベントを起こした患者はその発生前6か月以内に測定したもの)と定義した。
糖尿病,CKD,左室肥大の有無で分け追跡期間中の血圧推移を見ると,いずれもベースライン時に比べ最終来院時に有意に低下していた。
到達血圧のレベル別に心血管イベント発生率を見ると,ほぼすべての血圧レベルにおいて糖尿病群のほうが非糖尿病群よりもイベント発生率が高かった。
SBP130mmHg未満を1とすると,イベント発生の相対リスク(RR)は,非糖尿病群ではSBP 130~139mmHgで1.14だったのに対し,糖尿病群では1.46。DBPも75~79mmHgを1とすると,80~84 mmHgでのRRはそれぞれ1.38,1.51となった。
CKDも同様で,各血圧レベルで非CKD群よりCKD群のほうがイベント発生率が高く,SBP 130?139mmHgでのRRは非CKD群の1.11に対し,CKD群では1.47。DBP 80~84mmHgでのRRはそれぞれ2.13,1.22。左室肥大もある群のほうがない群より各血圧レベルでイベント発生率が高く,SBP 130~139 mmHgでのRRは非左室肥大群の1.03に対し,左室肥大群は2.21。DBP 80?84mmHgでのRRはそれぞれ1.14,2.28であった。
以上のように,糖尿病やCKD,左室肥大の有無にかかわらず,到達血圧が高いほど心血管イベントは増加したが,いずれの到達血圧レベルにおいても,これらの危険因子を持つ患者では持たない患者に比べて心血管イベント発生率が高かった。
危険因子がある患者では,ない患者に比べて心血管イベントが起こる血圧閾値がより低いレベルにシフトしており,130/80mmHg以上からリスクの増加が認められたため,荻原院長は「2型糖尿病やCKD,左室肥大を有する高血圧患者の心血管イベントを予防するには130/80mmHg未満に下げることが重要だ」と結論した。
腎機能高度低下例でより有益
同じくCASE-J試験のサブ解析から,腎機能低下が著しい症例ではカンデサルタンのほうが心血管イベント抑制に優れていたと,慶應義塾大学の猿田享男名誉教授が報告した。
対象は,ベースライン時に推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満であったか,または蛋白尿が認められ,CKDと診断された2,720例。
対象例の試験期間中の血圧の推移は,カンデサルタン群とアムロジピン群で差はなかった。
また,心血管イベントの発生率も両群で差は認められなかった。
そこで,CKDのレベルで分けて検討したところ,腎機能高度低下のステージ4(eGFR 15~29mL/分/1.73 m2)では,カンデサルタン群で心血管イベント発生率が有意(P=0.043)に低いことが判明。
イベントのなかでもとりわけ腎イベント発生が同群で少なく,両群間の差は有意(P=0.003)であった。
同名誉教授は「腎機能低下が著しい高血圧患者に対して,カンデサルタンはアムロジピンよりも心血管イベント予防のうえで有益である可能性が高い」と述べたうえで,「CKD合併の高血圧患者におけるカンデサルタンの効果を明らかにするには,適切にデザインされたランダム化比較試験を行う必要がある」と結んだ。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<関連サイト>
CASE-J ISH2006
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/ish2006/caseJ.html
CASE-J
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002499.html
candesartan群の方が明らかに多くの降圧薬を併用していることが明らかになったことの意味は大きい。すなわちcandesartanは他の薬剤をたくさん併用しなければamlodipine群と同等の降圧が得られないことを証明しているのである。
またエンドポイントの内訳をあらためて見直してみると,candesartan群が優位なのは狭心症,TIAといった客観性に乏しいエンドポイントばかりであり,脳卒中などの客観性のあるエンドポイントはむしろamlodipine優位に傾いているのである。狭心症やTIAが試験薬群に優位という傾向は JIKEI- HEART試験でも同じように認められ,ここに企業支援によるPROBE法の問題点が明瞭に浮かんでくるのである。
トライアル初期から中期にかけてcandesartan群の方の脱落例が明らかに増えており,candesartan群はハイリスク症例で早期にイベントを起こしていることを示している。このような試験ではtime to eventまでの期間を比較するべきであり,その意味ではamlodipine群の方がcandesartan群よりもハイリスク症例のイベント発症をより先送りさせることができたことを示している。amlodipine群の方が治療中の血圧が低かったことが早期のイベント発症抑制に効果があったと考えられる。
(桑島先生の読み応えのある、相変わらずの辛口コメントです)
<CASE-J関連ブログ>
全国CASE-Jサミット・・・日本人の日本人による・・・
http://blog.m3.com/Aget-KNKblog/20061104/_CASE-J_
(私もこの会に参加しました)
降圧薬の治験:CASE-Jの勉強会
http://blog.m3.com/DrTakechan/20061104/_CASE-J_
(この先生も参加してみえました)
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他に
ふくろう医者の診察室
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(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
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があります。
第51回日本腎臓学会学術総会ランチョンセミナー
「腎障害を伴う高血圧の薬物治療」
で勉強しました。
演者の土肥 靖明 先生は新進気鋭の方です。
最近、ベニジピン(商品名コニール)の学術講演を、ある講演会でお聞きし、講演後の懇親会でご本人と少しお話をしました。
現在,日本の透析患者数は26万人と推定されるが,水面下にはその予備軍である糸球体濾過量(GFR)60mL/min/1.73m2未満の患者が約1,926万人,GFR50mL/min/1.73m2未満の患者が約418万人存在するとみられる。
慢性腎臓病(CKD)対策が急がれる状況のもと,第51回日本腎臓学会学術総会において,新しい日本人のGFR推算式が発表された。
同総会では,名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学准教授の土肥靖明氏が腎障害を伴う高血圧の薬物療法について講演し,CKD治療におけるCa拮抗薬には腎輸出細動脈を拡張し,尿蛋白を減少させる薬剤が推奨されるなか,L型およびT型CaチャネルをブロックするCa拮抗薬ベニジピン塩酸塩(コニールR錠)の位置づけを明らかにした。
司会
東北大学大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野教授
伊藤 貞嘉 氏
演者
名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学准教授
土肥 靖明 氏
ベニジピンはラットのNO依存性弛緩反応を改善
高血圧の持続により蛋白尿,腎障害・腎不全を来す一方,腎性高血圧にみられるように腎障害が高血圧の原因になることもありうる。
また最近では,微量アルブミン尿が心血管系疾患の危険因子の1つとして認識されるようになった。
このように高血圧と腎障害,心血管系疾患は密接に関連しているが,土肥氏は「いわゆる心腎連関の一部には血管内皮機能低下が絡んでいる」と指摘した。
同氏らの研究によると,高血圧自然発症ラットの腎抵抗動脈ではNO依存性の内皮弛緩反応が低下するが,ベニジピンの投与により正常血圧ラットと同レベルにまで改善することが明らかになった。
この効果は,検討したCa拮抗薬のうちベニジピンに特有なことから,同氏は「ベニジピンは,降圧に依存しない血管内皮改善作用を有することが示唆された」と考察している。
一方,種々の大規模臨床試験の結果から,心血管死は血圧が高値であるほど増加し,降圧治療により減少することが知られている。
同様に,腎機能は降圧に伴い改善し,とりわけ初期の厳格な降圧が重要であることが明らかになっている。
L型・T型Ca拮抗薬であるベニジピンは尿中アルブミン排泄量の改善に寄与
「高血圧治療ガイドライン2004」では,腎障害患者の降圧目標を130/80mmHg未満とし,一次選択薬としてACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を推奨している。またRENAAL研究において,ARBはプラセボに比べ末期腎不全に至るリスクを28%低下させ,腎機能を維持するうえでは厳格な降圧とともにレニン・アンジオテンシン(RA)系の抑制が重要であることを示した。
全身血圧の上昇に伴う腎輸入細動脈の自動調節の破綻により糸球体に流入する血流が増加している場合,RA系抑制薬は腎輸出細動脈を拡張して糸球体内圧を低下させ,過剰濾過,尿蛋白を是正する作用が知られている。
しかし,腎障害患者のうちRA系抑制薬単独で降圧目標をクリアできる例は25%に満たないという報告(Chobanian AV, et al: Hypertension 42: 1206-1252, 2003)があり,多くの症例においては複数の降圧薬の併用が求められるのが実情である。
昨年発表されたヨーロッパの「高血圧管理ガイドライン(ESH-ESC 2007)」では,RA系抑制薬との併用薬としてCa拮抗薬,利尿薬が推奨されている。
L型Caチャネルのみに作用するCa拮抗薬は,腎輸入細動脈を拡張するものの腎輸出細動脈は拡張しないことから,血圧が十分に低下しない場合はかえって糸球体内圧の上昇を来すと考えられている。
一方,ベニジピンはL型CaチャネルのみならずT型Caチャネルにも作用することから,腎輸入細動脈とともに腎輸出細動脈も拡張し,糸球体内圧を改善する効果が期待される。
実際,ベニジピン投与後は全身血圧が下降するとともに,腎輸入・輸出細動脈が拡張し,糸球体内圧が低下すると報告されている。
また,Dahl食塩感受性ラットを用いた実験では,ベニジピンは単独で同等の降圧効果を示す用量の他のCa拮抗薬と比較して,単独治療,RA系抑制薬との併用治療のいずれにおいても尿中アルブミン排泄量を減少させた(図1)。

以上より,ベニジピンとRA系抑制薬の併用は,他のCa拮抗薬とRA系抑制薬の併用に比べ,より腎機能を改善することが期待されている。
腎保護作用が期待されるCa拮抗薬をRA系抑制薬と併用する
土肥氏らは,微量アルブミン尿が検出された高齢者高血圧患者をベニジピン+ARB群,他のCa拮抗薬+ARB群の2群に分けて血圧および尿中アルブミン排泄量を検討した結果,血圧は両群で同等に低下したが,尿中アルブミン排泄量はベニジピン+ARB群で有意に低下したのに対し,他のCa拮抗薬+ARB群では有意な低下は認められなかったことを示した(図2)。

これらの結果を血圧低下度で補正したところ,ベニジピン+ARB群では降圧効果を超えた腎保護作用が示唆された。
以上の結果を踏まえ,同氏は「L型およびT型CaチャネルをブロックするベニジピンとARBを併用することで,腎輸入細動脈に比べ腎輸出細動脈がより拡張し,糸球体内圧が低下して尿蛋白減少効果が示された可能性がある」と指摘した。
また,別の報告では,ベニジピン服用時は,治療前に比べ,糸球体濾過圧が低下することを示唆する結果が得られている。
同氏は,最近のメタ解析の結果から降圧薬の臓器保護作用について,
1)脳卒中予防効果はCa拮抗薬がAC E阻害薬に優り,ARBはACE阻害薬と同等,
2)虚血性心疾患予防効果はACE阻害薬がCa拮抗薬,ARBに優る,
3)腎保護効果はRA系抑制薬がCa拮抗薬に優る,
4)降圧効果はCa拮抗薬がRA系抑制薬に優ると考えられるとした。
そのうえで同氏は,腎障害を伴う高血圧の治療についてはRA系の抑制とともに厳格な降圧が重要であると重ねて強調し,「RA系抑制薬で降圧目標に達しない場合,ベニジピンのように強力な降圧効果を示し,腎保護作用が期待されるCa拮抗薬を併用する意義は大きい」と述べ,講演を締めくくった。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社
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ACCOMPLISH試験についてはすでに
ACCOMPLISH試験
http://blog.m3.com/reed/20080601/ACCOMPLISH_
でとりあげています。
最近、JAMAにその内容が論文として出たということで再度とりあげてみました。
現行のJNC7のガイドラインでは、ステージ1高血圧症の初期治療としてチアジド系利尿薬の単剤での使用を勧めています。
日本でこのような治療をする先生はまずいないはずです。
そして、ステージ1高血圧症の段階で2剤が処方されていることが多いのではないでしょうか。
しかも今回のACCOMPLISH試験で評価されたCCB+ACEI(ARB)です。
何をいまさらといった感じは否めません。
考えてみればJNCは米国合同委員会、JAMAは米国医師会雑誌というわけですから彼岸の話というくくりでいいのかも知れません。
米国一のプロ野球チームを決めるシリーズをワールドシリーズと呼ぶ国です。
JNCを気にせずに日本独自(日本発)のガイドラインを作成して欲しいものです。
このことは喘息治療ガイドラインなどにもあてはまることです。
Ca拮抗薬・ACE阻害薬併用の有用性をめぐる論議
JAMA ( 2008; 299: 2263~2264 )によると、ステージ2高血圧症患者の治療において、アンジオテンシン変換酵素 (ACE)阻害薬とCa拮抗薬(CCB)の併用療法は、ACE阻害薬とチアジド系利尿薬の併用療法に比べ、心血管疾患の発症率および死亡率が20%低いという知見が最近、米国心疾患学会(ACC)で報告された。
両治療群の差が事前に定めた基準より有意に大きかったため、同臨床試験 ( ACCOMPLISH;Avoiding Cardiovascular Events in Combination Therapy in Patients Living with
Systolic Hypertension ) は途中で中止されたという。
「高血圧症の予防、発見、評価、治療に関する米国合同委員会」第7次報告書( JNC-7 )による現行のガイドライン(http://www.nhlbi.nih.gov/guidelines/hypertension/jnc7fulll.pdf)では、ステージ1高血圧症(収縮期血圧139~160 mmHg、拡張期血圧89~100 mmHg)の患者に対する初期治療として生活習慣の改善とチアジド系利尿薬の使用を推奨している。
一方、高リスクのステージ2高血圧症(収縮期血圧160 mmHg以上、拡張期血圧100 mmHg以上)に対しては生活習慣の改善ならびに2種類の薬剤、通常は利尿薬とACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬またはCCBの併用を推奨している。
高血圧症患者の6割がコントロール不良
現在、米国には高血圧症の患者が約7300万人いると推定される(高血圧症であることを知らない患者も含む)。
しかし、このうち血圧がJNCの推奨目標値である140/90 mmHg未満にコントロールされている患者はわずか約3分の1だ、とACCOMPLISHの筆頭研究者でMichigan大学医学部内科教授のKenneth A. Jamersonは指摘する。
JamersonらがCCBとACE阻害薬の併用療法を評価しようと考えた根拠は、動物モデルで両剤の組み合わせが血管機能を改善し、-酸化窒素(NO)値の上昇がもっとも高く、心血
管系の保護作用が期待されたからだ。
ACCOMPLISHは無作為化、二重盲検、対照試験として米国と北欧諸国で11,462人の患者を登録して実施された。被験者は55歳以上(平均68歳)で心血管疾患の高リスク者であった(収縮期血圧160mmHg以上、または現在降圧薬を服用している、心血管・腎疾患の既往)。
試験が中止されるまで最長36カ月間追跡された。
患者はベナゼプリル(ACE阻害薬)とアムロジピン(CCB)の配合剤もしベナゼプリルとヒドロクロロチアジド(利尿薬)の配合剤(対照群)のいずれかを無作為に投与された。
30カ月後、両群とも血圧が低下し、収縮期血圧が平均約130mmHg、拡張期血圧は約80mmHgに低下した。
注目すべき点は、CCB・ACE阻害薬の併用群では対照群に比べ、心血管疾患の発症・死亡が20%少なかったことだ。
ステージ2高血圧症をCCB・ACE阻害薬併用療法で治療した場合の他の利点として、それほど高価でないこと、配合剤として製剤化が可能であること、そのため良好な服薬遵守
が期待できることだ、とJamersonはあげている。
ガイドラインも変更?
現行のガイドラインはステージ2高血圧症の患者に対する併用療法にチアジド系利尿薬を含めるよう推奨しているが、今回の新しい治験からは、ガイドライン変更の必要性が示唆さ
れる。
「今回の臨床試験で明らかにしたように、CCB・ACE阻害薬併用は利尿薬と他の降薬の併用に比べ優れている」とJamersonは言う。
なお、彼自身が現行のJNCガイドラインの作成委員であった。
しかし、ACCOMPLISH試験の結果のみで日常診療における降圧療法が変わるという予測は、時期尚早だと言う専門家もいる。
その1人、Jhons Hopkins大学医学部内科教授のLawrence J. Applel も、この試験結果はまだピアレビュー誌に発表されていないと指摘する。
「本研究について否定的な見方をしているわけではないが、もっと長期間追跡して評価したい」
出典 MMJ Vol.4,No7 2008
版権 毎日新聞社

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<関連サイト>
ACE阻害薬・Ca拮抗薬併用療法はACE阻害薬・利尿薬併用療法より優れる
日経メディカル オンライン 2008. 4. 1
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acc2008/200804/505928.html
■ 両投与群の比較では、ACE阻害薬とCa拮抗薬併用療法がACE阻害薬と利尿薬併用療法よりも、心血管疾患の発病および死亡の抑制において20%(p<0.0001)優れているとの結論が出た。これは95%のエンドポイントの裁定を基にした中間分析によるものである。この結果をふまえると、今後、高血圧管理のガイドライン(利尿薬をベースにした療法)が書き換えられていくことになりそうだ。
特別企画 高血圧治療の新たな戦略は?
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=ACCOMPLISH&perpage=0&order=0&page=0&id=M41250081&year=2008&type=allround
Medical Tribune 2008.6.19
■ 高血圧治療については,これまで,数多くの降圧薬が開発され使用されてきましたが,その一方で,血圧が十分コントロールされている患者さんは,まだまだ一部に過ぎません(Messerli FH, et al : Lancet 370 : 591-603, 2007)。
降圧治療の戦略の1つとして,併用療法が用いられますが,■ 最近では,異なる作用機序を組み合わせた合剤も新たな選択肢として加わってきています。そうしたなか,今回のACCで結果発表されたのがACCOMPLISH試験です。
■ 従来の臨床試験は,1剤から投与を始めて,次第に増量・追加するというプロトコールでの比較でした。これに対してACCOMPLISHでは,始めから併用のかたちで比較を開始したのです。RA系抑制薬と併用する降圧薬としてはCa拮抗薬のほうが優れると考えられます。(Daholf )
■ ACCOMPLISHの結果は,利尿薬に重きを置いた米国の高血圧ガイドラインJNC-7の内容変更に繋がるでしょうか?
(森下)
そうですね,大きな影響を与えると思います。(Daholf)
降圧薬の合剤でコンプライアンス改善
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=ACCOMPLISH&perpage=0&order=0&page=0&id=M4026681&year=2007&type=allround
Medical Tribune 2008.6.28
■ ミシガン大学(ミシガン州アナーバー)心血管センター(CVC)のメンバーで同大学心血管内科のKen Jamerson教授は,1 万700例以上の高血圧患者を対象にACE阻害薬の塩酸ベナゼプリルを含む 2 種類の合剤を用いて国際的な研究を行ったところ,
中等度の高血圧患者であっても血圧管理に有効であったとする18か月に及ぶデータを米国高血圧学会(ASH)の集会で報告した。
6 か月のデータについてはBlood Pressure(2007; 16: 13-19)に発表された。
■ 数百万人の米国人が高血圧のため薬剤を服用しているが,血圧のコントロールができていないケースも多い。
18か月の治療後,患者の血圧コントロールは良好に維持された。実際,被験者の80%以上がコントロールでき,平均SBPが129mmHgとなった。米国で臨床医の治療を受けている一般の患者の場合,SBP 140 mmHg,DBP 90mmHgの平均血圧値を達成するのは36%であることを考えれば,これは例外的な好成績である。
■ 今回のACCOMPLISH(Avoiding Cardiovascular Events through Combination Therapy in Patients Living with Systolic Hypertension)試験は,Novartis社の助成を受けて2003年に開始され,2 つの合剤が高血圧患者の世界的サンプルの長期的健康に与える影響を比較することを目標としている。
同社は,2 つの合剤を販売しているが,合剤中に含まれる単剤はいずれも個別の薬剤としても上市されている。
今回の試験では患者をランダムに 2 つの合剤のいずれかに割り当てた。
いずれの合剤にも,ACE阻害薬の塩酸ベナゼプリルが含まれており,一方には利尿薬のヒドロクロロチアジド,他方にはCa拮抗薬のアムロジピンが含まれていた。
■ 降圧効果と,心血管関連イベントと死亡の予防に対しいずれの合剤が優れているかについて判断するのは時期尚早である。
■ Jamerson教授は「血圧が低下すれば脳卒中,心筋梗塞,心不全などの疾患リスクが低下する可能性があることが多くの研究により示されているので,高リスクの人の多くが血圧をコントロールできれば,それ自体が快挙である」と述べている。
■ 現在,血圧治療ガイドラインでは,SBPが140mmHg以上160mmHg未満,DBPが90mmHg以上100 mmHg未満である第 1 期の高血圧患者にはまず 1 種類の薬剤を投与すべきであるとしている。
■ 米国では6,000万人もが高血圧である。
しかし,高血圧には症状がないので,患者の大部分はその自覚がない。
血圧管理を怠ると次第に血管壁に影響が見られるようになり,動脈瘤が形成されたり,心筋梗塞や脳卒中の原因になる血栓を生じさせる可能性のある狭窄部位や炎症のある領域の形成が促進される。
■ 現在米国では,血圧コントロールができているのは高血圧患者のわずかに30%,降圧薬を服用している患者でも60%にすぎない。幸いにも,診断が付けば,それを管理するための薬剤は,ジェネリックを含め幅広く利用できる。
しかし,研究によると,患者は必要な複数の薬剤を服用するのが困難であることが多いため,多くのメーカーが合剤を開発している。
■ ACCOMPLISHのデータによると,これらの合剤はコントロール達成率を80%以上に改善する可能性があるという。
第57回米国心臓病学会(ACC 2008)/
米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=ACCOMPLISH&perpage=0&order=0&page=0&id=M41200221&year=2008&type=allround
Medical Tribune 2008.5.15
(HYVET,ACCOMPLISH,ONTARGET,PERISCOPE,TAPASなどの臨床試験の成績が簡潔にかつわかりやすくまとめられています)
高血圧治療におけるCa拮抗薬の位置付け
―交感神経系亢進抑制の意義,腎保護を中心として―
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=ACCOMPLISH&perpage=0&order=0&page=1&id=M41260281&year=2008&type=allround
Medical Tribune 2008.6.26
■ わが国でも,日本高血圧学会の後援により,高齢高血圧患者を対象に,ARB+Ca拮抗薬とARB+少量利尿薬の比較試験であるCOLM studyが進行中です。
本試験でも,Ca拮抗薬+RA系抑制薬の有用性が示されるかどうかが大変注目されます。
冠攣縮の関与の多い日本人の狭心症の治療はCa拮抗薬の役割は大きいといわざるを得ません。
数多くのCa拮抗薬が発売されている現在、先生方はどの薬剤を主としてお使いになってみえますか?
異型狭心症の患者さんを診た場合、どの薬剤を選択するのか、どのタイミングで服用するように指示するのか、投与量をどれだけにするのか。
このことはまさに循環器内科医の醍醐味であり、循環器科を選択してよかったと思う瞬間でもあります。
患者さんの個人差はあるでしょうが、このように薬剤の使用法によってものの見事に発作が抑えられたり、逆に悪化するかが分かるので
どの薬剤がよいかは一目瞭然です。
そんな中で、今日とりあげるのは、バイエル社の企画ということで当然ニフェジピンのお話です。
特別企画
座談会
狭心症に対する薬物療法を考える
日本人の冠動脈疾患の特徴とCa拮抗薬ニフェジピンによる治療意義
高齢化社会を迎え,冠動脈疾患を含む脳・心血管イベント抑制が大きな課題になっているが,日本人は欧米人と比較して異型狭心症の頻度が高く,特に冠攣縮(スパズム)を伴うことが少なくない。
薬物療法においては,これらの特徴を考慮することが重要であるが,ジヒドロピリジン(DHP)系Ca拮抗薬ニフェジピンは,30年以上にわたり狭心症に対して頻用されており,近年,血管保護を示す成績も報告されていることから, 高い有用性が期待される。
本座談会では,狭心症に対する薬物療法を中心に,日欧のエキスパートの先生方に討論頂いた。
注)ACTION試験, INSIGHT試験は本邦未承認の1日1回型ニフェジピン製剤を用いた大規模試験です。
出席者:
東北大学大学院医学系研究科 循環病態学 教授
下川 宏明 氏(司会)
名古屋市立大学大学院医学系研究科 心臓・腎高血圧内科学 准教授
土肥 靖明 氏
スイス・チューリッヒ大学
Noll G 氏
日本人における冠動脈疾患の特徴と治療のあり方
下川
本日は,狭心症に対する薬物療法について,特に日本人の冠動脈疾患の特徴を踏まえてCa拮抗薬の意義を検証してみたいと思います。
まず,日本人の狭心症は,白人に比べて冠攣縮の頻度が高いことが知られています。急性心筋梗塞後患者を対象に実施された,日本とイタリアの共同研究の結果では,アセチルコリン誘発による冠攣縮発現頻度は,白人に比べ日本人では約3倍高いことが示されており,日本人の冠動脈は冠攣縮を起こしやすいことがわかっています。
また,日本人では心筋梗塞関連部位に冠攣縮が多くみられるのに対して,白人では心筋梗塞との関連は認められていません(図1)。

Noll
冠攣縮を引き起こす原因について日本と欧米で相違があるのでしょうか?
下川
酸化ストレスや高血圧,糖尿病,脂質異常等が引き金になって内皮障害を起こし,冠攣縮を誘発しているのではと言われていますが,現時点では不明です。
一方で日本人と欧米人,特に白人では冠動脈疾患の病態に違いがみられることから,治療方針や使用薬剤にも相違が出てしかるべきだと思います。
欧米の第一選択薬はβ遮断薬ですが,冠攣縮の頻度が高い日本では,ニフェジピンの登場以降,DHP系Ca拮抗薬が頻用されてきました。
この違いについてそれぞれの有用性を検証するためにJBCMI試験が実施され,心血管死,不安定狭心症,非致死性心筋梗塞,脳卒中の発現率がβ遮断薬,DHP系Ca拮抗薬の両群で同等であったことが示された一方で,冠攣縮による不安定狭心症と心不全の新規発症頻度はCa拮抗薬群で有意に抑制されたことが明らかにされました(表)。

Noll
Ca拮抗薬群で心不全の新規発症が有意に低下したのはなぜでしょうか。
下川
最大の要因は,心機能低下例に対する当時のβ遮断薬の用量設定が不適切であったと考えられています。
その一方で,Ca拮抗薬が心不全の発症を抑制したのは,心筋梗塞部位に頻発する冠攣縮を抑制したことが,病態の進展・悪化を抑制した結果であると考えられます。
いずれにせよ,Ca拮抗薬は安全性に優れ,また冠攣縮による不安定狭心症の発症予防にも優れた薬剤であるといえます。
1日1回型ニフェジピン製剤の有用性を実証したACTION試験
下川
90年代にDHP系Ca拮抗薬は,メタ解析の結果から冠動脈疾患の予後を悪化させる報告が出て大きな論争が巻き起こりました。
しかし,このメタ解析の対象となっていたのは,短時間作用型Ca拮抗薬であり,現在の主流である長時間作用型Ca拮抗薬にこの結果が当てはまるのかどうかについては疑問の声が少なくありませんでした。
特に頻用し,かつ十分な治療実績をもつ日本の循環器専門医は懐疑的でした。
そのような中で,長時間作用型Ca拮抗薬の有効性と安全性を実証したのが,2004年に報告されたACTION試験でした。
既に十分な治療を受けている安定狭心症患者を対象に,1日1回型ニフェジピン製剤の有効性と安全性をプラセボ対照二重盲検法により比較検討したところ,ニフェジピン群では死亡や心筋梗塞の発症率を増加させることなく,脳卒中や狭心症悪化,冠動脈バイパス術をプラセボに比べ有意に減少させ,さらには心不全の新規発症までも有意に抑制しました(図2)。

つまり長時間作用型ニフェジピン製剤は虚血性心疾患患者の予後改善に有用であると考えられます。
また,長時間作用型Ca拮抗薬が心不全の新規発症を抑制したことを実証したのはこの試験が初めてですが,この結果がもたらされた背景として,どのようなことが考えられますか。
Noll
心不全の新規発症抑制を含めACTION試験の結果は,主にニフェジピンの強力な降圧効果によってもたらされたと考えています。
高血圧は,冠動脈疾患に加え,慢性心不全の進展要因であるからです。
事実,試験開始時に高血圧を合併した患者のみで比べると,ニフェジピン群では心不全の発症抑制がより大きいことが示されています。
一方で,冠動脈バイパス術の施行が有意に減少したことは,降圧によらない効果=血管保護効果がニフェジピンにはあるのではないかと考えられます。
ニフェジピンの降圧以外の作用を検証する
下川
ACTION試験で示された,1日1回型ニフェジピン製剤によるイベント抑制の機序を考える上で考慮すべきことは,Noll先生らが報告された内皮機能へのニフェジピンの作用です。Noll先生,ご自身からご紹介頂けますか。
Noll
内皮機能の異常が動脈硬化進展と密接な関連があるとの考えに基づいて,1日1回型ニフェジピン製剤(本邦未承認GITS製剤)による冠動脈血管内皮機能の改善について検討を行いました。
ニフェジピン群では,短期間に血管内皮機能の改善がみられ,その作用はニフェジピンの投与継続により6か月以上の長期にわたって維持されることを確認しています。
また,同時に,プラーク進展抑制も確認され,IVUSによる検討では動脈硬化進展抑制が認められています。
下川
1日1回型ニフェジピン製剤による冠動脈血管内皮機能の影響については,土肥先生は炎症との関連性を示す興味深いデータを報告されていますが,ご紹介頂けますか。
土肥
PCIを施行した安定労作狭心症17例を,1日1回型ニフェジピン製剤(ニフェジピンCR)群8例,プラセボ群9例に無作為に割り付け,4か月間追跡したところ,ニフェジピンCR群で,冠循環中の炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)濃度が投与前と比較して有意に低下していました(図3・右)。
また,これに伴い,冠動脈の血管内皮依存性弛緩反応もニフェジピンCR群で有意な改善が認められました(図3・左)。

Noll
CRP濃度の低下と血管内皮機能の改善が相関している点は,非常に興味深いですね。
ニフェジピンは高リスク高血圧症患者の血管内皮機能を改善するのか?
下川
さらに土肥先生は,高血圧患者においてもニフェジピンCRによる血管内皮機能の改善についても報告されていますね。
土肥
軽症高血圧症例を対象に検討したところ,ニフェピンCR群では対照群と比べて,前腕動脈内皮機能の改善とともに,EPC(血管内皮前駆細胞)の有意な増加が認められました(p<0.05)。
またEPC増加と血管内皮機能の改善には有意な正の相関を認めました。
下川
ニフェジピンがEPCを増加させ,結果的に内皮機能が改善するということですね。
それではその機序はどのように考えられますか。
土肥
高血圧患者から採取した末梢血単核球を培養し検討したところ,ニフェジピンはEPCの数だけでなく,分化・増殖遊走能といった機能をも改善することが明らかになりました。
酸化ストレスはEPCの機能を低下させますが,ニフェジピンは酸化ストレスに対するEPCの抵抗性を高めました。
したがって,このEPCに対する作用にはニフェジピンのもつ抗酸化作用が少なからず関与しているものと考えます。
また,このとき用いたニフェジピンの添加濃度は,通常の臨床用量に相当することがわかっています。
Noll
私たちの研究では,1日1回型ニフェジピン製剤の血管内皮機能改善の機序として,エンドセリン1への拮抗作用を明らかにしています。
本態性高血圧症21例に対して,6週間1日1回型ニフェジピン製剤(本邦未承認GITS製剤)を投与したところ,前腕動脈内皮機能が有意に改善しました(p<0.05)。
同時に,ノルエピネフリン,あるいはエンドセリン1に対する前腕動脈の収縮反応が有意に抑制されたことも認められています。
さらに興味深いことに,ニフェジピンによるエンドセリン1拮抗作用が認められたのは,高血圧症患者と脂質代謝異常患者のみで,血圧が正常な場合には拮抗作用を認めませんでした。
つまり,ニフェジピンは内皮機能障害が進展している患者の内皮機能を修復しており,機能障害が進展している高リスク患者ほどその改善作用は大きいと考えられます。
下川
高リスク患者ほど,血管内皮機能の改善が期待できる点は面白いですね。
Noll
今後は糖尿病合併高血圧症患者においても検討をすべきであると考えています。
既に1日1回型ニフェジピン製剤は,INSIGHT試験において糖尿病の新規発症を抑制することが示されていることからも,少なくとも糖代謝には悪影響は与えませんので,内皮機能の改善が得られるとすれば臨床的メリットが大きいと考えられます。
ニフェジピンは冠攣縮を伴う狭心症への第一選択薬となりうるか?
下川
既に述べました通り,日本人では冠攣縮の頻度が高く,特に心筋梗塞関連部位に冠攣縮が多く認められるという事実には十分な注意を払うべきです。
したがって狭心症患者では常に冠攣縮を念頭に置き,冠攣縮抑制を考慮した治療法を選択することが必要といえます。
Noll
冠攣縮の発現が少ないとされる欧米人でも,冠動脈造影時に攣縮が誘発されるケースはさほど珍しいことではありません。
下川
そのような症例ではどのような薬剤を選択されていますか。
Noll
1日1回型ニフェジピン製剤を使います。
欧州において安定狭心症患者を対象とした大規模臨床試験において有用性が確認されたCa拮抗薬は,1日1回型ニフェジピン製剤のみだからです。
下川
欧州においても,冠攣縮を認める狭心症に対しては,1日1回型ニフェジピン製剤が第一選択薬ということでよいでしょうか。
Noll
はい,そう思います。
土肥
日本において,異型狭心症の適応を有しているDHP系Ca拮抗薬は,ニフェジピンを含めて2成分しかありませんので,狭心症の薬物療法における第一選択薬になると思います。
下川
本日は,狭心症をはじめとする冠動脈疾患に加え,血管保護におけるニフェジピンの有用性について両先生にお話いただきました。狭心症の薬物療法において本日の話題が参考になればと思います。
出典 Medical Tribune 2008.7.3
版権 メディカル・トリビューン社
冠攣縮(冠スパスム)
http://blog.m3.com/reed/20071002/1
誘発冠攣縮
http://blog.m3.com/reed/20080223/1
日本人の狭心症 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080328/1
日本人の狭心症 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080329/1
第72回日循シンポジウム「冠攣縮」
http://blog.m3.com/reed/20080510/_72_
冠攣縮性狭心症・診断基準と薬物治療
http://blog.m3.com/reed/20080617/1
<番外編>
分子生物学のフロンティア 柳沢 正史 氏
筑波大学基礎医学系博士課程に在籍中の1987年,強力な血管収縮作用を持つ生理活性物質エンドセリンを発見,間髪を入れずその異性体と受容体を同定し,世界に衝撃を与えた米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター教授兼ハワード・ヒューズ医学研究所研究員の柳沢正史氏。
神経ペプチド,オレキシンの研究でも注目され,ノーベル賞に近い日本人の1人と言われる。
猛スピードの研究で発見したエンドセリン
柳沢氏は1960年,東京・練馬の生まれ。生来,探求心が強く,物心が付くころには研究者の姿に自らの将来像を重ねていたという。
筑波大学卒業後,分子生物学に着目していた同大学の眞崎知生教授(現・大阪成蹊大学学長)の薬理学研究室に入局,その意を受けて岡崎国立共同研究機構に出向し,1年ほどで基礎を身に付けた。
この経験は研究室に戻ってほどなく,教授がテーマに掲げたミオシンのクローニングの成功という形で結実を見る。
次の目標を模索し始めた1987年の4月,同教室の助教授が米国で手に入れた教科書の一文に目がとまった。
「血管内皮細胞の培養上清中には,未知の血管収縮因子が存在する」。
早速,調べてみると,まだだれも本格的な研究に手を付けてはいない。
内皮由来弛緩因子(EDRF)が一酸化窒素という意外な正体を明かす前夜,時代の風が吹き寄せつつあった。
時を移さず研究に乗り出すと,7月には早くもブタの大動脈内皮の培養上清から未知の因子(エンドセリン)を単離できた。しかも,年内に構造の確定,相補的DNA(cDNA)のクローニング,ペプチド合成,薬理学的な作用の確認を完了,翌3月には最初の論文が英国の科学雑誌Natureに掲載された。
そのスピードたるやすさまじい。
「ペプチドの精製,測定や動物実験などにかかわる技術のアドバイザーがそろい,人的・経済的な資源にも恵まれたうえ,皆が本気で取り組んだことが成功につながった」
オーファン受容体へテーマを拡大
研究の終了と同時に母校の講師に就任した柳沢氏。
注がれる海外の視線は熱かった。
米ハーバード大学MGH,ジェネンテック社と相次ぐ誘いに心が動いた矢先,1985年のノーベル生理学・医学賞を受賞したテキサス大学メディカルセンター教授のジョセフ・ゴールドスタインとマイケル・ブラウンが声をかけてくる。
「世界第2位の医学研究財団,ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)に研究員として迎え,テキサス大学にも准教授のポストを用意したい」―彼らの膝詰めの説得は直截だった。
そこで1991年4月,京都大学に転身する眞崎教授とともに筑波大学を辞し,恩師の研究室の立ち上げがほぼ完了した11月,ダラスへと赴く。
ラボの人材採用でつまずき,しばしの空白を強いられたが,94年には足場を確保,エンドセリン関連の論文を矢継ぎ早に,Cellに送り出した。
続いてオーファン受容体へとテーマを拡大させた。細胞の表面に分布する受容体(特にG蛋白質共役型受容体)のなかには,遺伝子配列が判明しながら,機能が明らかでないものが含まれる。
この"種"の受容体をいわばおとりに使い,スイッチングを誘う生理活性物質(リガンド)を吊り上げようというわけである。
1998年,HFGAN72と呼ぶオーファン受容体として働く神経ペプチド,オレキシン(食欲という意味を持つギリシャ語,オレキシスにちなむ)の同定に成功し,再び世界をあっと言わせた。
おまけに,このペプチドが摂食行動をコントロールする一方,睡眠や覚醒と密接に関係し,その欠乏が睡眠障害の一種,ナルコレプシーを引き起こすこともわかった(2001~06年,独立行政法人・科学技術振興財団機構の出資で実施された「柳沢オーファン受容体プロジェクト」による)。
オレキシンは血液脳関門を通過しないため,臨床には応用しにくい。
そこから,オレキシン受容体のアゴニスト(作動薬)やアンタゴニスト(拮抗薬)が睡眠障害の治療薬の候補と目されるようになった。
柳沢氏も複数のアゴニストに着目,創薬を検討中という。
科学者であり,またクリスチャンでもある柳沢氏は毎日曜日,愛用のフルートを携え,賛美歌の伴奏役を引き受ける。
「科学者は,データという個人を超えたのものに謙虚であるべきで,現実に頭のなかで描き上げた構図よりも,真理のほうがはるかにおもしろい」
出典 Medical Tribune 2008.7.3
版権 メディカル・トリビューン社
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他に
ふくろう医者の診察室
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(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
昨日の
JATOS腎サブ解析 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080107
の続きです。
マックナイト Classical Bridge http://page18.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w18454654
多彩なメカニズムを介して腎保護を発揮するT型Caチャネル抑制薬
T型Caチャネル抑制薬の腎保護作用の機序としては、
①腎輸出細動脈拡張/糸球体高血圧改善
②NF-κB抑制
③白血球接着抑制
④Rhoキナーゼ抑制
などの機序が考えられる。
Rhoキナーゼ抑制に関して,5/6腎摘SHRラット(高血圧自
然発症ラット)を用いた我々の研究では、高食塩食下で対照群と比べて大きく増加していた尿蛋白排泄量は,fasudil(Rhoキナーゼ抑制薬)の投与で低下した(Kanda T et al. Kidney lnt 2003; 64: 2009-2019)。
また対照群よりも高値を示していた腎組織内Rhoキナーゼ活性は、エホニジピン投与で低下した。
エホニジピンの光学異性体であるR(-)-エホニジピン( T型Caチャネル抑制作用はあるがL型Caチャネル抑制作用はない) 投与では未治療と同様に血圧が上昇するが、蛋白尿は
抑制するとのデータが得られていることから、T型Caチャネル抑制がRhoキナーゼ抑制などを介して血圧非依存性に腎保護作用をもたらす可能性が示唆される。
先程の腎組織内Rhoキナーゼ活性の検討においても、腎亜全摘群における活性高値はR(-)-エホニジピン投与でも減少していた。
T型Caチャネル抑制による血圧非依存性の腎保護作用については,R(-)-エホニジピン投与により腎線維化が抑制されたとの腎組織染色の検討データもある。
また最近では,T型Caチャネル抑制薬によるRhoキナーゼの阻害によって心筋内血管周囲の繊維化が抑制されるとの報告もあり、T型Caチャネル抑制による心血管障害への保護作用も研究されてきている。
また、腎臓病にはアルドステロンが関与することも知られているが、T型Caチャネル抑制薬がL型Caチャネル抑制薬よりも、ヒト副腎由来細胞におけるアルドステロン産生を抑制することが報告されている(Imagawa K et al. J Cardiovasc Pharmacol 2005; 47:133-138)。
また高血圧症例において、ACE阻害薬やARBの投与の有無に関わらず、L型Caチャネル抑制薬よりもT型Caチャネル抑制薬が血中アルドステロン濃度を低下させたとの報告もある(Tanaka Tet aLl. Hypertens Res2007; 30: 691-697)。
以上のようにT型Caチャネル抑制薬は、多彩な機序を介して腎障害の進展を抑制していると考えられる(図2)。

JATOS腎サブ解析のデータは、T型Caチャネル抑制薬エホニジビンの持つ腎保護作用の可能性を、大規模臨床研究レベルで示唆したものと言えよう。
<参考>
RHOキナーゼ研究の進展と阻害剤の将来展望
http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/127_3/pdf/501.pdf
創薬の標的としてのRho/Rhoキナーゼ経路の重要性
http://nenkai.pharm.or.jp/126/program/pdf/11.pdf
ためしてガッテン:見過ごすと危険!狭心症の落とし穴
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q4/20051012.html
(Rho-キナーゼはこんな番組にも取り上げられています)
JATOSホームページ
http://www.jatos.jp/top.html
JATOS・サブ解析
http://www.jatos.jp/sub/sub02.html
(今回の内容がアップされています)
他に 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。
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新着の日経メディカルの記事で勉強してみました。
CCBのT型、L型の概念については興味があったのですが開業医がサイトで見るといった程度ではなかなかしっかりした解説は出てきません。
昨年末、ある製薬メーカーの支店での研究会 でCCBの話をする機会があり、この点に関する資料が見つからずに困ったことがありました。
今回、その点についての記事が掲載されていたので飛びついた次第です。
題して
JATOSから明らかにされたCKDと心血管イベントの関係をT型チャンネル抑制との関連から考察する
コメンテイターは林 晃一氏(慶應義塾大学医学部内科学専任講師)です。
坂口紀良 窓辺の風景油彩8
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v37455810?u=;enchanteart
ATOS賢サブ解析で示されたCKD(慢性腎臓病)と心血管イベントの関連、Ca拮抗薬であるエホニジピン(商品名ランデル)の腎保護作用などについて慶應穣塾大学医学部内科学専任講師の林晃一氏に語っていただいた。
CKDステージ悪化例で心血管イベント発症が有意に増加
JATOS腎サブ解析では、JATOSで得られた結果を腎機能の観点から評価した。
解析項目は、2年間における糸球体濾過量 (GFR)・蛋白尿の変化、心血管イベント発症率との関連である。
同サブ解析では、CKDステージをKDIGOの分類に従ってGFRから30mL/分未満群、30-60mL/分未満群、60-90mL/分未満群、90mL/分以上群の4ステージに層別化した。
2年間の治療によりA群・B群・全体ともに約70%でGFRが維持されており、約17%に改善が認められた。
CKDステージの変化を改善、変化なし、悪化に分けて検討すると、A群・B群・全体ともに2年後のCKDステージが悪化した群で改善および不変の群よりも、心血管イベント発症率が有意に増加した(p<0.01,χ2検定)。
従来、試験開始時のCKDステージが予後に関連すると言われていたが、CKDステージの変化も予後に関連することが示唆された。
さらにCKDステージの悪化に伴う心血管イベント発症率の増加は、非糖尿病群よりも糖尿病群で高かったことから、CKDの進行と糖尿病は相乗的に心血管イベントを増加させることが分かった。
GFRの変化率と心血管イベントとの関連を調べたところ、GFRの低下率が大きくなるにつれて心血管イベントが増加しており、特にGFRが20%以上減少した場合は、A群・B群・全体ともにそれ以外の変化(10-20%減少、10%減少-10%増加、10-20%増加、20%以上増加)よりも心血管イベントの増加が顕著だった。
蛋白尿の存在や変化が予後マーカーに
蛋白尿と心血管イベントとの関連では、試験開始時に蛋白尿を認めた群では認めなかった群よりも、心血管イベント発症が約2倍高かった(5.6% vs 2.2%)。
また、試験開始時に蛋白尿を認めた群の中で試験終了時にも蛋白尿を認めた群では、終了時消失した群よりも有意に心血管イベント発症率が高かった(p<0.05、χ2検定)。
蛋白尿の存在およびその変化が、予後のマーカーとなること
を示唆するデータと言える。
エホニジピンを基礎薬とした降圧治療でGFRが増加
JATOS経過中のGFRの変化を図1に示す。

2年間の治療でA群・B群ともにGFRの有意な増加が認められており、この増加は糖尿病の有無に関係なく認められた。試験開始時のGFRから60mL/分未満と60mL/分以上に分けた検討では、A群,B群ともにGFR60mL/分以上ではその後のGFRに変化はなかったが、60mL/分未満ではむしろ増加していた。
GFRの自然歴からみると、加齢に伴いGFRは0.3-1mL/分/年ずつ低下するとされているだけに、エホニジピンを基礎薬とした降圧治療でGFRが増加したというこのデータは、T型Caチャネル抑制薬が腎アンチエ