戯れ言たれる侏儒
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減塩の遵守度を確認するのは容易ではない
http://blog.m3.com/reed/20110819/___1_
の続編です。
 
減塩のエビデンスを考える

<2>栄養疫学的な考察とは
ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー
今村文昭先生
メタ解析や総説などは,研究を集約して1つの結論を導くものではなく,既存のエビデンスの不確定性(ばらつき)や問題点を整理することも目的としている。
コクラン共同計画(Cochrane Collaboration)のグループが発表した減塩の効果に関するメタ解析の論文についても,その目的によるところが大きい。
今回は,メタ解析に含められたそれぞれの研究がどのようなものだったか,特に遵守度(compliance)について述べたい。

 
介入試験において遵守度は,その「有効性」と「効果」の検証で非常に重要な要素である。
今回のメタ解析では7つの臨床試験が解析対象とされた が,7つの研究がそれぞれ遵守度のassessmentを行ったとしている。
しかし,遵守度の検討を行ったということは,遵守度が期待通りだったというわけではない。
例えば,減塩の指導が施されたグループにおいて,対照群と比較して,血圧が有意に下がれば,遵守度が保持されたといってよいのだろうか。
もちろん「ある程度」は認められ全否定することはできないが,実際に期待される遵守度だったか否かは分からない。

 
例えば,塩分摂取量が平均約10gの国民に対し,介入群には野菜・果物の摂取と5g未満の塩分摂取を指導し,対照群には野菜・果物の摂取のみを指導したとする。
そして,1年半後,収縮期血圧が対照群に比べて2mmHg有意に減少していたとする(P<0.01)。
この効果は,「5g未満の塩分摂取を指導した効果」ではあるが,「5g未満の塩分摂取を1年半続けた効果」ではない。
言い換えれば,「効果」を検討したもので「有効性」を検討したものではない。
この「効果」と「有効性」の違いに大きく寄与しているのが遵守の程度である。

 
これらの数字はTrials of Hypertension Prevention(TOHP)と呼ばれる臨床試験で実際に得られたものである。
この臨床試験は1年半の栄養指導の成果を見た後,10年強,両群を追跡し,心血管疾患(CVD)の罹患率および死亡率の違いを検証した。
その結果は今回のメタ解析にも含まれている。
この研究では,24時間蓄尿により塩分の摂取量を推定し(24時間分の尿を取りナトリウムの排出量を測定),遵守度を確認したとされている。
それによる と,1年半の介入試験後で減塩は4.7g未満には及ばず平均6.5gほど,さらにその介入試験を終えた後は,遵守度の確認は質問票への回答(減塩を心がけているかなど)でのみ行われた。

 
TOHPおよびその後に行われたTOHPⅡでは,研究に参加した人数が併せて3,000人ほどであった。
2年ごとに病気が発症したかどうか追跡したと論文の著者らは述べている。
1回質問票を郵送して回収するだけでも数十万円かかり,当然,人件費なども要する。
追跡期間中の生体指標の測定などの遵守度を検証するなど,相当の障壁があることは想像に難くない。
 

「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべき
今回のメタ解析に含められた7つの研究のうち,Changらの研究を除いた6つの研究が,栄養指導による減塩の介入を行っており,被験者の遵守を食事摂取の調査やナトリウム排出量などで確認している。

<私的コメント>

「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべき・・・このタイトルが今回、筆者がいいたいすべてだと私なりに考えました。
 



尿中ナトリウムの濃度は,病態などの個人因子によっても日によってもばらつきがあるため, 必ずしも信頼できるものではない。
その不確定性を考慮しても,すべての試験群において塩分の排出量が減っていることから,対照群に比べてある程度の指導の効果があったことが確認できる。
しかし,その排出量の程度を量的に解釈すれば,期待されるほどの遵守度ではなかったケースがほとんどであることが分かる。
実際には,食事指導を伴う研究の被験者は,減塩の介入試験と知りながら,食事調査,検尿などを行うため(盲検化されていない),遵守度の確認にもバイアス が伴う可能性が考えられる。

このことから,今回のメタ解析は「減塩」の研究ではなく「減塩指導」の研究と考えるべきだろう。
報告されたメタ解析は1つ1つの解析に寄与する研究の数が少ないばかりでなく,1つ1つの研究でも「有効性」を知るには重篤な限界があったことが分かる。
当然ながら,減塩の生物学的な価値を知るメタ解析とはいえない。
そして,あくまで栄養指導のエビデンスであるから,例えばフィンランドやイギリスが実践している食品中の塩分濃度を下げる政策に関して,有効な知見を与えることはない〔2つの異なる総説の1人は,今年(2011年)2月に訪日し,減塩政策に関する講演を行ったDr. MacGregor氏である。

 
減塩指導に対する遵守度を数字で確認すれば,行われたメタ解析から「減塩」の効果が検討されたわけではないことが明白である。
しかしながら,公に発信された情報の多くはあたかも減塩の効果がないことを示すかのようであった。
エビデンスの正しい解釈がなされなかったことに原因があるが,「効果」と 「有効性」の違いについて,抄録に明確に記載するべきだったといえるだろう。
 

台湾のChangらの研究の素晴らしさと問題点
今回のメタ解析に含まれた台湾におけるChangらによる研究は, 退役軍人(Veterans)の過ごす複数の施設のうち,3つのキッチンにある塩を通常のもの,2つのキッチンでは低ナトリウム高カリウムの塩(醤油などの調味料を除く)に替えて追跡研究を行った。
1カ月かけてゆっくり入れ替えていることはイギリスの減塩政策に類似している。
 
この研究デザインの素晴らしいところは,試験対象の施設に滞在している限り,減塩の影響に従わざるをえないという点である。
こうした研究デザインで記憶に新しいのはNew England Journal of Medicineに報告された減量の研究であろう。

イスラエルにおいて研究者と軍隊が協力し合い,軍隊のカフェテリアの食事をランダムに分け,栄養摂取のコントロールを行ったもので,減量の知見に大きく貢献した。
高い遵守度を長期間(2年)保持することができた特異な例である。
視野を広げれば,発展途上国などでも集団レベルで農業政策,ワクチンや栄養素の サプリメントの介入試験など,集団を対象にして臨床試験が古くから実践されている。
ものにもよるが,組織のディレクター,地域のリーダーから協力が得られれば,高い遵守度が期待できる。
 
Changらの研究の問題点の1つは,高い遵守度が期待できるものの,遵守度の確認が試験開始3カ月に限られたものであったことが挙げられる。
試験群において,ナトリウムとクレアチニンの比が15%低下が認められているので,約8.2gの摂取量であれば,約7.0gに減少したと考えることができる。
他の研究と同様,推奨される減塩のレベルからすれば軽度といえる。
これはキッチンに備えた塩以外に,醤油や漬物などの摂取がナトリウムの摂取に寄与していることが影響しているためである。
4年強の追跡で,試験群でCVDの死亡率が有意に低下したが,どれほどの塩分摂取量の低下によるものか分からない。
 
またもう1つの問題点は,減塩の介入として普通の食塩を低ナトリウム高カリウムの塩に置き換えたことも挙げられる。
いうまでもなく減塩はある程度達成されたとはいえ,カリウムの摂取量が増加しているため,減塩の効果なのかカリウムの摂取の効果なのか分かりえない。
減塩の介入試験としては非常に価値のある研究ではあるが,この研究からも減塩の推奨レベルの効果が検証できたとまではいえない。
 
比に頼ったエビデンスの解釈には注意が必要
ところで,近年,塩分の摂取に関する研究で,ナトリウムの摂取とカリウムの摂取の両方に着目し,その比を取って疾患の罹患率との関係を検証する研究が複数,報告されている。
先日のArchives of Internal Medicineの論文もその1つである。

こうした比を計算して解析する方法は,生物統計学の領域では批判の対象となっているが,医学界には浸透していない。
Changらの研究のように,ナトリウムによる影響なのか,カリウムによる影響なのか,判断できないことが批判の1つの理由である。
比に頼ったエビデンス は,ナトリウムの摂取低減に特化した減塩の政策などを考える際には,当然,エビデンスの抽出における弊害となるため,解析,報告,解釈において研究者や読者は気を付けなくてはならない。

栄養学的な側面に着目して,減塩のメタ解析を解釈すれば,遵守の程度や,研究デザインのばらつきから,減塩そのものの医学的なエビデンスは皆無といってよい。
今回の論文の著者らが述べているように,効果的な介入の方法を探る研究,そして実践とその評価が必要といえるだろう。
 
出典 MT Pro  2011.8.16
版権 メディカル・トリビューン社

 

 
<きょうの一曲> J.S.バッハ ゴールドベルグ変奏曲
Glenn Gould Goldberg Variations 1955 & 1981: Var 1
http://www.youtube.com/watch?v=QQk1bQPXbOE&feature=related
 

 
 
 2011.8.13 撮影 果樹園(ブドウ畑) 山梨県笛吹市にて
 


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ご存知の方も多いかも知れませんが、大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学の小室一成教授が編集委員長となっているCardioProというコーナーがMSD提供の”univadis” というサイトにあります。
対象ジャーナルは
 ・ Hypertension
 ・ Circulation
 ・ Journal of the American College of Cardiology
 ・ Lancet
 ・ New England Journal of Medicine 
です。
「Expert Opinion」というコーナーでは動画による解説 があったり「レクチャースライド」や「英語による学会発表テクニック」や「EBMのための医療統計」 があったりとしてメーカー提供サイトとしては結構アカデミックです。
興味を持たれた先生はパスワードを取得されるとよいかも知れません。
 
さて、きょう勉強した論文も”Must-read Articles” というコーナーからのものです。
編集委員が厳選した論文を毎月3報掲載されるということですが、この編集委員は苅尾七臣先生、小室一成先生、 山下武志先生、横井宏佳先生の4人で、(私からみたら)若手の新進気鋭の各斯界のエクスパートの諸先生です。
 
睡眠呼吸障害と心血管病:心血管病の発症により睡眠呼吸障害が悪化するか?

Association of incident cardiovascular disease with progression of sleep-disordered breathing

Chami HA, et al.
Circulation 2011; 123: 1280-1286

執筆:社会保険小倉記念病院循環器内科
 馬崎 徹 先生
監修:社会保険小倉記念病院循環器内科 部長


 横井宏佳先生
【概要】


数々の前向き研究により睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing)が心血管病(CVD)の発症リスクを高めることが報告されているが、逆にCVDの発症が睡眠呼吸障害を悪化させるかどうかについては これまで十分に研究されていない。


40歳以上の男女約6,600人を対象としたSleep Heart Health Studyの参加者で、開始時にCVDを有していなかった被験者のうち、2,721人(平均年齢62歳、女性57%、少数民族23%)に対し約5年間隔で 2回の睡眠ポリグラフ検査を実施した。
CVDイベントは心筋梗塞、うっ血性心不全、脳梗塞とし、CVD発症と5年間の無呼吸低呼吸指数(AHI)の変化との関係を評価した。


その結果、2回の睡眠ポリグラフ検査を実施した間に95人の被験者にCVD発症が認められた。
睡眠ポリグラフ検査にて、CVD非発症群と比較し、CVD発 症群ではAHIがより多く増加した。
両群間における平均AHI変化の差は、2.75イベント/時であった(95%CI 0.26~5.24、p=0.032)。
この相関は、中枢性無呼吸を除外した後も認められた。
さらに、CVD非発症群に比較し、CVD発症群では閉塞性・ 中枢性両方の無呼吸指数がより多く増加し、両群の変化はそれぞれ1.75イベント/時(95%CI 0.1~3.39、p=0.04)、1.07イベント/時(95%CI 0.40~1.74、p=0.001)であった。 



 
【なぜMust-readなのか】


睡眠呼吸障害は一般成人の2~4%に認められ、有病率はより高年齢層において高くなる[1]。
また、動脈硬化性心疾患は大部分が高齢者の疾患であり、多く は虚血性イベントや心不全の発症によりその存在が明らかになる。
睡眠呼吸障害は心身ストレスと間欠的低酸素血症を助長することなどにより動脈硬化を促進し、心機能に悪影響を与えると予想される[2, 3]。 


最近では、睡眠呼吸障害を合併している心不全患者において、睡眠中に下肢から頸部へ水分がシフトすることにより上気道の狭小化がもたらされ、睡眠呼吸障害が悪化するという逆の因果関係も成立することが示唆されている[4]。
さらに、重篤な心不全患者は、肺うっ血や循環時間の遅延により換気応答が不安定となり、中枢性睡眠時無呼吸とCheyne-Stokes呼吸の重要な危険因子となることはよく知られているが、重症閉塞性睡眠時無呼吸に対しても危険因子となりうることが示唆されている[5, 6]。


睡眠呼吸障害がもたらす日中の傾眠や易疲労感は、背景にあるCVDからも出現しうる症状であり、患者も医療者もそれらの原因が睡眠呼吸障害であると認識しないことが多い。
しかしながら、未治療の睡眠呼吸障害は生活の質(QOL)の低下に関連するのみならず、心不全患者の死亡率を約3倍にも増加させるとの報告があり、適切な診断および治療がなされれば、睡眠呼吸障害の臨床的予後は大きく改善しうる[7]。


では、CVDを発症したすべての患者に対し、スクリーニングとして睡眠検査を実施したほうがよいのであろうか? 
それを支持するエビデンスはなく、ま たそれは実臨床の場では現実的ではない。
本研究では大規模コホート研究であるSleep Heart Health Studyを用い、フォローアップ期間中の心筋梗塞および心不全の発症が睡眠呼吸障害の新規発症とは相関しなかった一方で、すでに有する睡眠呼吸障害の悪化とは相関していたことを報告している。
AHI増加の平均値は比較的小さいが、一部の被験者は臨床的に重要な影響を受けたと考えられる。
CVD発症予備軍 を対象としたコホートのため、一般市民に比べ睡眠呼吸障害の有病率が高いことや、観察研究であるといった制約はあるが、サンプルサイズが巨大であること、 睡眠ポリグラフ検査が厳格な基準で施行されていることより、質が高く信頼しうるデータであるといえる。 


すべてのCVD患者に睡眠検査を実施するのは不可能だとしても、患者が睡眠呼吸障害に特徴的な症状を訴える場合や、基礎心疾患へのoptimal therapyに反応しない場合には、睡眠呼吸障害の診断を考慮するのは妥当であると思われるとともに、睡眠呼吸障害を適切に治療することにより心疾患との負の相互作用の連鎖を断ち切ることが可能になると考えられる。 


日本においても、昨年(2010年)、「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」が発表され、循環器診療に携わる医師が睡眠呼吸障害の重要性を認識することへの必要性が高まっている。
本報はCVDの発症が睡眠呼吸障害を増悪させる可能性を示した大規模研究であり、今後の循環器診療のあり方にも影響を与えうる意義深いものであると考えられる。 



 
[参考文献]


1)Young T, et al. N Engl J Med 1993; 328: 1230-1235.

2)Bradley TD, Floras JS. Lancet 2009; 373: 82-93.

3)Marin JM, et al. Lancet 2005; 365: 1046-1053.

4)Yumino D, et al. Circulation 2010; 121: 1598-1605.

5)Younes M, et al. Am J Respir Crit Care Med 2001; 163: 1181-1190.

6)Tkacova R, et al. Circulation 2001; 103: 238-243.

7)Wang H, et al. J Am Coll Cardiol 2007; 49: 1625-1631.
 
 
出典
http://www.univadis.jp/Services/CardioPro/Pages/mustreadarticles1105_01.aspx#105

<私的コメント>
私もそうですが、諸先生方も睡眠呼吸障害の興味をお持ちの先生は少ないのではないのでしょうか。
Must-readということで勉強しましたが、やっぱり何となく地味な分野ですね。
これは言ってはいけないことなんでしょうが・・・。

 

 

<新聞切抜き帖>
朝日新聞・朝刊「天声人語」2011.3.5
■鉄道紀行の先駆、宮脇俊三さんは「東海道中膝栗毛」などを引き合いに、「旅の価値の大半は道行きにある」と力説した。
■車窓の移ろいや駅弁の味、同行や土地の人との語らい。
目的地という点よりも、そこに至る線こそが旅であると。
■飛行機との競争もあって、日本の鉄道は点から点へと、どんどん速くなった。
正確で濃密な幹線のダイヤは芸術的でさえあるが、車中を楽しむ「線の旅」はますます難しい。せめて心の片隅に、各駅どまりを愛でるゆとりを残しておきたい。
人生という長旅にも。

 

 

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“超悪玉”コレステロール “MGmin-LDL”を発見
心疾患リスクが高い人にとって“超悪玉”となる新しいLDL(低比重リポ蛋白 [たんぱく])コレステロールが見つかった。
これはMGmin-LDLという粘着性が特別に高いコレステロールで、動脈の血管壁に付着して脂肪プラークを形成しやすく、これが心疾患や脳卒中につながる。
この発見により、糖尿病患者で冠動脈性心疾患(CHD)リスクが高い理由が説明でき、新しい抗コレステロール治療法開発の助けとなる可能性が示されるという。
この研究は、英国心臓病財団(BHF)の資金援助で行われたもので、英ウォーリック Warwick大学の研究者らは、通常のLDLコレステロールに糖を付加する糖化反応(glycation)によりMGmin-LDLを作製した。
LDLコレステロールは普通“悪玉”コレステロールと呼ばれるが、糖化反応により形態を変え、粘着性がより高く脂肪プラークを作りやすい “超悪玉”コレステロールとなる
プラークは、血管を狭窄させ、血流を減少する。
この知見は、冠動脈性心疾患の治療、特に高齢者や糖尿病患者において、多大な効果をもたらすという。
また、2型糖尿病治療薬として普通に用いられるメトホルミンが、どのようにして通常のLDLコレステロールが高粘着性LDLコレステロールに変換されるのを阻害して心疾患と戦うのかについての説明にもなるという。
この研究は、医学誌「Diabetes(糖尿病)」 オンライン版に5月26日掲載された。
筆頭著者であるウォーリック大学医学部準教授のNaila Rabbani氏は、本研究が「このコレステロールへの理解へとつながり、糖尿病患者や高齢者における心疾患に貢献することになる」と述べている。
次の課題は、このより危険なタイプのコレステロールについて、その有害な作用を中和する助けとなる治療法と取り組むことだという。
 (HealthDayNews 2011.5.27
出典 Care Net.com   2011.6.10
版権 Care Net


 

 <関連サイト>
超悪玉コレステロール : ”MGmin-LDL”
http://intmed.exblog.jp/12676950/

What is MGmin LDL Cholesterol & why does it want to kill you?
 
「超悪玉」コレステロール sdLDL=MGmin-LDL?|takのアメブロ 薬理学 ...

First Person: 'Ultra Bad' MGmin-LDL Cholesterol and Type 2 ..

極悪玉コレステロール:科学ニュースの森

 

 


 

 

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先週、学校検診で心電図異常を指摘された小学校1年生の女児が母親に連れられて来院しました。
ちょっとやせ型というだけに発育異常もありません。
生来、心臓の異常を指摘されたことはなく運動も普通にやって来たとのことでした。

持参した心電図の自動解析のコメントは「陰性TV4、右軸偏位」、判読医のコメントは「陰性T」です。

聴診上、心雑音はまったくありません。
そして胸部写真も異常を指摘できませんでした。
しかし、これが固定性分裂というのかというはっきりしたⅡ音分裂が聴取されました。

念のためと思って心エコー検査(UCG)の予約をして帰ってもらいました。

後日行ったエコー検査では、しっかり「ASD」でした。
ASDは就学後の検診で100%見つかるといわれます。
心雑音なし、胸部写真正常ということで、見落とすところでした。

もし今回、見落としていれば一生気付かれなかった可能性もあります。(冷汗)
左Ⅱ弓の突出は認めません。強いて言えば左肺動脈主幹部がやや太いかも知れません。
ちょっと見には正常です。
四肢誘導
胸部誘導

  
V1 拡大図。
R波の上行脚にnotchを認める。
rsR'patternとは異なるが、Ⅰ, V5, 6の幅広いS波からは不完全右脚ブロック所見と解釈すべきかも知れない。
V1~V4のT波陰点も右側胸部誘導の負荷と読むべきというより素直に不完全右脚ブロック所見賭するべきなのだろうか。
<参考>
心房負荷
http://www.udatsu.vs1.jp/atrial-overload.htm
心室肥大
http://www.udatsu.vs1.jp/vent-fuka.htm
心房中隔欠損(二次孔)では、いわゆる不完全右脚ブロック所見(V1のrsR′型、Ⅰ, V5, 6の幅広いS波)を示す。(右室拡張期性

 


 
欠損口は6.6mm.

 

IVSの奇異性運動を認める。
右室拡大あり。
 

 


<関連サイト>

心房中隔欠損症(日本小児外科学会)
http://www.jsps.gr.jp/05_disease/cv/ASD.html
(治療実施医療機関についてはサイト内で紹介されています)
■先天性心疾患の7~10%を占め,比較的よく見られる病気です.
通常,左心房の血液が右心房に流れこみますが,成人まで放置されたときには稀に右から左へ 流れることもあります.
乳幼児期に心不全症状が現れることはほとんどなく,三才児検診や,小学校入学時の検診で疑われて発見されることが大部分です.
肺静脈還流異常,肺動脈狭窄,心室中隔欠損などを伴うことがあります.

心房中隔欠損
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E6%88%BF%E4%B8%AD%E9%9A%94%E6%AC%A0%E6%90%8D
■先天性心疾患の他、心筋梗塞等で発症する。
■中央部欠損型(卵円孔開存)が70%、下部欠損型が20%、高位欠損型が10%、となっている。
■女性等華奢な体格の人に良く診られる。
聴診 
肺動脈領域の駆出性収縮期雑音
右心負荷による肺高血圧症による。
II音の固定性分離
正常心音のII音は大動脈弁の閉鎖音(大動脈成分、以下IIa)と肺動脈弁の閉鎖音(肺動脈成分、以下IIp)とから構成されるが、本症では右心負荷によってIIpが常にIIaよりも遅れて別々に聞こえるので、これをII音の分離という。遅れ方が常に一定なので固定性分離と言う。
III音
収縮期に左心房から右心房へ短絡した血液の分だけ肺循環系を通って左心房へ多く流れ、その分だけ拡張早期に左心房から勢いよく血液が左心室壁を振動させる事で生じる。
胸骨左縁下部の拡張中期雑音
左右短絡による相対的三尖弁狭窄による。
欠損が極めて小さく10歳以下の場合は自然閉鎖も期待できる場合もある。

短絡量が50%以下の場合は手術の必要が無いものもある。
短絡量が50%以上の場合は幼児期に待機手術を行う。手術療法は、過去においては人工心肺を使用し実際に胸を切り開き直視下で欠損孔を縫って閉じる パッチと呼ばれる手術方法しかなかったが、米国のAGA Medical Corporationが製造するAmplatzer(アンプラッツァー) Septal Occluderと(ASO)呼ばれる欠損孔を閉鎖する専用の医療機器を国内の企業が2005年に厚生労働省より輸入の承認を取得しASD閉鎖セットの販 売名で医療 現場へ提供を行っている。
。2008年6月現在、国内での治療実施数は800人を越えて新しい治療として確立しつつあるが、沖縄、東北、北海道にはこの治療を行える施設が無いのも問題点の一つであろう。
(実施医療機関も紹介されています)
■40歳以上でうっ血性心不全を生じて、右心不全を来たしやすい。
乳児期に発見された場合、自然閉鎖する事もある。


心房中隔欠損
http://www.amplatzer.jp/
(心房中隔欠損欠損症の患者さんや家族にも推薦できるサイトです。2011年4月現在「心房中隔欠損症のカテーテル治療」を実際に行ったいる病院も紹介されています。)
心房中隔欠損症について
http://www.hosp.go.jp/~swymhp2/kyuoubukekkangeka/asd.html
■心房中隔は発生学的に2枚の膜でできています。
胎生期に最初にできる膜が一次中隔、あとでできる膜が二次中隔です。
出生後はこの2枚の膜が重なってくっつき1枚の心房中隔となり左右の心房の境の壁となります。
胎生期には2枚の膜の間に間隙があり、そこを通って右心房に戻った血液の大部分は左心房に流入しま す。
この間隙を卵円孔といい、出生後は自然に閉鎖します。
心房中隔欠損症はこの一次中隔または二次中隔の欠損で発生します。
最も多いタイプが二次中隔欠損 です。
■心房中隔欠損は、通常大人では横1-4cm、縦2-5cmの楕円形をしています。
通常は、体外循環下に右心房を切開して、小さい穴の場合には、直接縫合して閉鎖します。
大きな場合には、ゴアテックス製のパッチを用いて閉鎖します。
■一般的に、小学校へ入学前の4-5歳位に行うことが推奨されています。


心房中隔欠損症
http://president.jp.reuters.com/article/2010/06/19/4F2D93F2-6F98-11DF-873D-C5D83E99CD51.php
■心房中隔欠損症が発見されると、選択肢は以下の3点。(1)「一生、そのまま」
(2)「いつか手術をして治す」
(3)「いつかカテーテル治療で治す」
たとえば、開いている孔が5ミリ以下であれば選択は(1)、10ミリ前後であれば選択は(3)、15ミリ以上であれば選択は(2)になる。
■一生、そのままの場合でも孔は成長に伴って大きくなるので、成人であってもその点はしっかり考え、定期的に状況を検査する必要がある。
カテーテル治療 は脚の付け根の動脈から、直径約2ミリの細い管・カテーテルを入れて心臓の右心房にまで通す。次に、そのカテーテルを閉じなかった孔 を使って右心房から左心房へ通す。
カテーテルが左心房に入ったら、そこで“ワンタッチ傘”を開くようにする。これがアンプレッサーである。
■傘は手前に引くと壁である中隔に引っかかり、カテーテルをまわすと傘がカテーテルからはずれる。
そして、右心房側にも同様の傘をつけて心房中隔を挟むように固定する。
これで治療は完了。
■ただし、前述の通り孔が10ミリ前後であること以外に、もうひとつ条件がある。
孔がどこに開いているか、である。
中央に開いているのが適応となる。
条件に合うと身体に傷をつけないカテーテル治療が受けられる。
■大人は孔が大きいので人工血管用に開発されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)パッチを使って閉鎖する。
(私的コメント;自己心膜という選択もあるそうです)
■術後、患者は3日程度で退院できる。
■さらに、今、日本では遠隔治療用のロボット手術機の「ダ・ヴィンチ」を使った手術も行われている。
この場合、脇の下あたりに4カ所、直径10ミリ程度の刺し傷がつくだけなので、1年も経つと傷跡は見えなくなってしまう。
ただし、ダ・ヴィンチでの手術は、日本では金沢大学医学部附属病院と東京医科大学病院でしか行われていない。
また、保険の適用はない。
■このような心房中隔欠損症だが、13年くらい前から、小学校入学時に心電図を取るようになり、その時点でほぼ100%発見されるようになっている。
(私的コメント;私は、「うっかり聴診」と「心電図」「胸部写真」だけでは診断を誤る、つまりASDを見逃すところでした。改めてUCGの威力を再認識しました。)


 
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安定狭心症患者へのPCI前と退院時の至適薬物治療実施率、COURAGE試験発表後も微増にとどまる
COURAGE試験では、安定狭心症患者に対する、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施前の至適薬物治療(OMT)の妥当性を示したが、同試験発表前後のPCI前・退院時のOMT実施率を比べた結果、微増にとどまっていたことが明らかになった。
米国・コーネル大学Weill Cornell医学校のWilliam B. Borden氏らが、47万人弱の安定冠動脈疾患患者を対象に行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年5月11日号で発表した。
 
被験者全体のPCI前OMT実施率は44.2%、退院時実施率は65.0%
同研究グループは、2005年9月から2009年6月にかけて、PCIを実施した安定冠動脈疾患患者、46万7,211人について観察研究を行った。
主要評価項目は、COURAGE(Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation)試験発表前後の、PCI前と退院時のOMT実施率だった。
なおCOURAGE試験は、安定冠動脈疾患患者を対象に、OMTのみと、OMTとPCIの併用について、その臨床アウトカムを比較した無作為化試験。
同試験の結果から、生存率や 心筋梗塞発症率に両群で有意差が認められず、すなわちPCI前の積極的なOMTの妥当性が示されていた。
今回のBorden氏らによる試験の結果、被験者全体でPCI前のOMT実施率は44.2%(95%信頼区間:44.1~44.4)、退院時のOMT実施率は65.0%(同:64.9~65.2)だった(p<0.001)。
PCI前OMT実施率は1.2ポイント増、退院時実施率は2.5ポイント増
COURAGE 試験の前後で比較してみると、同試験発表前の被験者17万3,416人のうち、PCI前にOMTを実施していたのは7万5,381人(43.5%、 同:43.2~43.7)だったのに対し、同試験発表後の被験者29万3,795人中では13万1,188人(44.7%、同:44.5~44.8)であ り、1.2ポイント増だった(p<0.001)。
またPCI後の退院時OMT実施率も、COURAGE試験前63.5%(同:63.3~63.7)に対し、同試験後は66.0%(同:65.8~66.1)で、2.5ポイント増(p<0.001)
と変化は微増だった。
        (當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
出典 Care Net.com   2011.5.24
版権 Care Net
 
<原文>
Borden WB et al. Patterns and intensity of medical therapy in patients undergoing percutaneous coronary intervention. JAMA. 2011 May 11;305(18):1882-9.
 
 
<自遊時間>
先生方にも以下のメールが届いているかと思います。
 
JCS Newsletter 号外
-----------------------------------------------------
今回のJCS NEWS LETTERはテキストメールにてお送りいたします。
 【日循】アジア太平洋心臓病学会(APSC)退会のお知らせ-JCS Newsletter 号外-
 
 
日本循環器学会
会員各位
日本循環器学会は、このたび諸般の事情を熟考し、
これまで会員であった、アジア太平洋心臓病学会(APSC)(本部NPOは京都市内設置)を正式に退会いたしました。
これまで日本循環器学会は毎年学会員数(約24,000名)に見合うAPSC年会費を定期的にかつ自動的に納入しておりましたが、今後はこの納入と、循環器学会がサポートしていたAPSC事務局を閉鎖することに決定いたしました。
日本循環器学会
理事長  松崎 益徳
http://www.j-circ.or.jp/international/apsc.htm
 
<参考>
シンガポール訪問記
http://www.kamakuraheart.org/world/no16_singapore01/singapore.html
 
アジア太平洋心臓病学会
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E5%BF%83%E8%87%93%E7%97%85%E5%AD%A6%E4%BC%9A
 
アジア太平洋心臓病学会(APSC) 新理事長就任のお知らせ
http://worldheartday.blogspot.com/2011/05/apsc.html
■「松森昭先生 (Dr. Akira Matsumori)」次期理事長が、5月8日付で新理事長に就任いたしました。 

(私的コメント;新理事長になったばかりだったようですが。)

 

<私的コメント>
日本循環器学会も脱亜入欧?
諸般の事情についての説明がされていません。
私は昔、3回APCCで発表しました。
(バンコック、台北、オークランド)
おかげで海外旅行が出来、いい思い出が出来ました。
 APCCとASPのの関係を調べたのですが、ASPC学術集会がAPCC(最近は2年ごとに開催)とのことです。
退会に至った経緯はどういったものか知れませんが、日本が脱会すれば自然消滅の危機と思われます。
ちょっぴり残念です。
 
 
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ACC2011で発表された「EPA製剤の左室拡張能改善作用」の記事で勉強しました。
 
精製EPA製剤はEPA/AA比が低い高血圧患者の左室拡張能を改善する
日常臨床で左室拡張能が低下した患者に遭遇する機会が増えている。
左室拡張能障害は加齢、高血圧、インスリン抵抗性を伴う症例で多く、糖尿病と合併する頻度が高いが、治療に関するデータは不足していた。
ただし、最近の基礎研究で、エイコサペンタエン酸(EPA)がTGFβ1およびリン酸化JNK経路の抑制を介して、エンドセリン1誘発性の心肥大を抑制することが報告されて、新たな治療法につながると期待されている。
 
大阪赤十字病院循環器科部副部長の伊藤晴康氏らは、高血圧患者を対象に、精製EPA製剤が左室拡張能を改善するかどうかをドップラー心エコー所見 から非侵襲的に検討し、その結果を米国ニューオーリンズで4月2~5日に開催された第60回米国心臓学会(ACC2011)で報告した。

 
対象は、拡張能障害を伴う高血圧患者41例(平均年齢68歳)。
ドップラー心エコーで、拡張早期僧帽弁輪運動速度(e’)<8cm/秒かつ左室駆出率が50%より高い場合に左室拡張能障害と定義した。

本研究では、登録時の血清EPA/アラキドン酸(AA)比の中央値(0.42)を境界として高EPA/AA比群と低EPA/AA比群の2群に割り付けた。

全例に精製EPA製剤1.8g/日を6カ月間投与し、登録時および6カ月後のe’、EPA/AA比、脳性ナトリウム利尿性ペプチド(BNP)の変化を評価した。

高EPA/AA比群(21例)と低EPA/AA比群(20例)の背景を比較すると、年齢、性別、BMI、収縮期血圧/拡張期血圧、心拍数に群間差はなく、喫煙者は両群ともにいなかった。

また、登録時におけるARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬、スタチンの服用状況にも群間差はなく、フィブラート服用例は両群ともにいなかった。


登録時と精製EPA製剤6カ月間投与後の各指標を評価した結果、両群ともに血糖コントロールに大きな変動はなく、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値についても治療前後で有意な変動は認められなかった。

中性脂肪値は低EPA/AA比群でのみ登録時と比較して有意に低下していた(p=0.03)。

EPA/AA比については、精製EPA製剤の投与によって、高EPA/AA比群では0.57±0.12から1.24±0.30に、低EPA/AA比群では0.28±0.08から1.12±0.42に、それぞれ有意に増加した(p<0.0001)。

拡張能を評価した結果、e’は高EPA/AA比群では有意な変動は認められなかったが、低EPA/AA比群では5.6±1.1cm/秒から 6.1±1.0cm/秒に有意に増加していた(p<0.05)。

血漿BNP値は、高EPA/AA比群では有意な変動は認められなかったが、低EPA/AA 比群では40.9±39.7pg/mLから32.6±33.7pg/mLに有意に低下していた(p<0.05)。
収縮期/拡張期血圧には両群で有意な変動は認められなかった。

伊藤氏は、「EPA/AA比が高い患者は、血中のEPA量が多いことから精製EPA製剤によってEPAを追加しても効果が少ないかもしれない。しかし、EPA/AA比が低くなってしまっている患者においては、精製EPA製剤投与によってEPA濃度を高めることで拡張能改善が期待できる可能性がある」と指摘した。

 
出典 NM online 2011.5.27
版権 日経BP社

 

<私的コメント>

今回は、
高EPA/AA比群では精製EPA製剤による拡張能改善は期待出来ないという結果でした。
結局、精製EPA製剤投与による拡張能改善を目的とした場合には、 投与前にEPA/AA比を測定して投与の要否を検討した方がよい、ということが結論とも考えられます。
今回のようにEPA/AA比を2群に分類して、中性脂肪の低下率しいてはHDLの上昇率を検討した報告はあるのでしょうか。
本来、スタチンのように精製EPA製剤の治療開始基準や治療目標のガイドラインがあれば、決して薬価の安い薬剤ではないだけにいいのかも知れません。
製薬メーカーとしてはガイドラインを作ってもらっては困るかも知れませんが。
 
さて、今回の研究では最初から高EPA/AA比群と低EPA/AA比群の2群に割り付けられています。 
症例数を揃えるにはやむを得ないことです。

しかし、「年齢、性別、BMI、収縮期血圧/拡張期血圧、心拍数に群間差はなく、喫煙者は両群ともにいなかった。ARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬、スタチンの服用状況に群間差はなく、フィブラート服用例は両群ともにいなかった。と「ないないづくし」 がちょっと気になります。

 
 
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若年成人の高尿酸血症

戯れ言たれる侏儒 / 2011.05.29 00:31 / 推薦数 : 0
メタボリック症候群でない若年成人においも高尿酸血症は高血圧の危険因子
若い年齢層(18~30歳)において、高尿酸血症がメタボリック症候群とは独立して高血圧の予測因子となることが分かった。
前向き観察研究であるCARDIAコホート研究で明らかになったもので、米スタンフォード大学医科大学院のE.Krishnan氏氏らが、5月28日までロンドンで開催されている欧州リウマチ学会(EULAR2011)で報告した。

Krishnan氏らはすでに、中年層(35-57歳)においては、メタボリック症候群とは独立して高尿酸血症が高血圧の危険因子であることを報告している。
今回は、もっと若い年齢層(18-30歳)においても、高尿酸血症がメタボリック症候群とは独立して高血圧の予測因子となるかどうかを検証した。

方法としては、前向き観察研究であるCARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)コホートのデータを分析した。

このコホートは、登録時に18~30歳であった5115人の被験者を2年から5年間隔で診察し、15年間 (1986-2001)追跡したものである。

コホート登録時に、高血圧(米高血圧合同委員会第7次報告に基づく)であった被験者、あるいは他のメタボリック症候群(米高脂血症治療ガイドラインATPIIIに基づく)の被験者は除外した。

年齢、性別、人種、血清クレアチニン値および腹囲などの交絡因子となる可能性のあるものの影響については、補正して多変量コックス回帰分析を行った。

最終的な分析対象は4918人で、45%が男性、51%がアフリカ系アメリカ人だった。

登録時の年齢、体格指数、血清尿酸値、および収縮期/拡張期血圧の平均(標準偏差)は、それぞれ順に、25(4)歳、24(5)kg/m2、5(1)mg/dL、および110/68(10/9)mmHgであった。

注目した高血圧の発症は、血清尿酸値の四分位が上がるごとに増加していた。

多変量回帰分析の結果、血清尿酸値の下から2番目、3番目、最高の四分位の調整 ハザード比(95%信頼区間)は、最低の四分位を1とすると、順に1.20(0.85-1.70)、1.50(1.05-2.10)、 1.76(1.19-2.59)となった。

これらの結果から演者らは、「高尿酸血症は若年層の成人の間でも、高血圧の独立した予測因子であり、メタボリック症候群と無関係である」と結論した。

出典  NM online 2011.5.28
版権 日経BP社
 
<私的コメント>
高尿酸血症が年齢にかかわらず高血圧発症の独立した危険因子であるということはともかくとして、高血圧の人は尿酸値が高いということはいえるのでしょうか。
また、高尿酸血症と若年成人の高血圧発症の関連についての考察はされていませんが、高尿酸血症のコントロールをすれば高血圧発症が防止できるのでしょうか。
防止できないような気がするのは私だけでしょうか。
 

<自遊時間>
近未来の医学部受験もこのようになるのでしょうか。
医学部新設推進派の方々はどのようにお考えでしょうか。
新設に慎重な立場の全国医学部長病院長会議会長の黒岩教授も7月に医学部長を辞任されます。
 
横浜市大医学部長解任、「全く身に覚えなし」
http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=1002&topicListBoardTopicId=163492&messageId=1613570&messageRecommendationMessageId=1613570&F=rm  

 
医学部新設をめぐり、文科省で議論スタート
http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=1002&topicListBoardTopicId=155355&messageId=1541385&messageRecommendationMessageId=1541385&F=rm
私が医学部新設を目指すわけ 
http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=1002&topicListBoardTopicId=156688&messageId=1554103&messageRecommendationMessageId=1554103&F=rm

 
 
以下、記事の転載。
私立歯科大・歯学部、受験者全員合格校も
■大幅な定員割れが問題になっている私立歯科大・歯学部で、今春も全国17校のうち10校が定員を満たさなかったことが、文部科学省の調査でわかった。
■半数を超える大学の定員割れは3年連続で、全体の競争倍率も1・52倍と低く、「大学によっては質的に一定レベルの入学者が確保できていない」との指摘も出ている。  入試結果は、25日に開かれた同省の「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」で報告された。
■昨春に比べて、定員割れした学校数は1校減。今春は、5大学で定員を削減したこともあり、全体の定員充足率も83・5%と5ポイント改善した。各校別にみ ると、最も充足率が低かったのは、奥羽大で25%。北海道医療大、神奈川歯科大、松本歯科大も充足率が6割を切った。国公立では、東北大だけが定員割れした。
■松本歯科大は81人の受験者全員が合格していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110526-OYT1T00553.htm
 
<私的コメント>
いよいよ国立大学の歯学部の定員割れの時代に突入しました。
これは震災の影響による一時的なものでしょうか。
願書をだしておけばとホゾをかんだ私立歯学部受験性も多かったのでは。
学費は雲泥の差。
しかし、入ってからの進級の問題も。

大昔、私の父が戦前に大学医学部を受験した時、京大医学部が定員割れ(無試験ではない)していた、と言っていました。
しかし、それは旧制高校という振るい落としの洗礼を受けて来た受験生なので意味が違います。
 
 
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~腹部大動脈瘤の手術適応~ 瘤径に加え成長速度も重視すべき
腹部大動脈瘤は無症候に増大し,破裂する恐れがあるが,確立した薬物治療はなく,手術適応の見極めが重要になっている。
わが国のガイドライン(大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2006年改訂版)では,米国の指針にならって最大瘤径が男性で5.5cm超,女性で5cm超の場合にクラスⅠの手術適応としている。
しかし,これまで日本人のデータが十分に検討されていなかったことから,今回,東京医科大学血管外科の渡部芳子氏らは,同科において経過観察を行っていた患者のデータを解析した。
その結果,瘤径のカットオフ値は男性でも5.0cmが妥当と考えられたが,それ以下の場合でも瘤の成長速度を考慮に 入れるべきとした。
 
瘤径4.0cm以上,成長速度0.3cm/年は手術の可能性高い
渡部氏の検討の対象は,1999~2009年にCTを2回以上撮影した124例。
同科では,瘤径5.0cm以上の場合や成長速度が0.5cm/年以上の場合に手術適応としているため,瘤径5.0cm未満や手術高リスク,または手術拒否の患者が含まれた。対象の平均年齢は73.7歳,平均追跡期間は3.0 年だった。
 
観察期間中に他病死が10例あり,瘤の破裂により死亡した症例はなかったが, 26例は手術施行に至った。
そのうち開腹術は20例で,6例についてはステントグラフト内挿術が施行された。
 
観察開始時の瘤径を0.5cmごとに区切って成長速度と手術施行の有無を見たところ,4.9cm以下では成長速度は遅かったが,5.0cm以上では0.3~0.5cm/年と速くなっていた。
また,4.0cm以上では5年以内の手術施行率が高かった()。
 

図表
同氏らはさらに,瘤径5.0m超となるか成長速度が0.5cm/年であった症例を増大群とし,非増大群と2群に分けて比較したところ,増大群が34.2%であった。
増大群は平均0.34cm/年の成長速度で,3cm台から0.3cm/年以上を呈した。
 
以上の結果から,同氏は「腹部大動脈瘤の瘤径が4.0~5.0cmであっても,成長速度が0.3cm/年以上で手術リスクが低い患者では手術を考慮してもよいのではないか」とした。
 
出典 Medical Tribune 2011.5.26
版権 メディカルトリビューン社
 
<私的コメント>
AAAの手術適応が、瘤径に加え成長速度も重要であるというのは別に目新しい知見ではなく、ごく常識的な結論と思われます。
 
Surgery is usually recommended for patients who have aneurysms bigger than 2 inches or 5.5 cm across and aneurysms that are growing quickly. 
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/000162.htm
 
誰しもが疑問に思うことは、体格によって瘤径の許容範囲が変わる筈だということです。
メタボ健診の腹囲の正常値が 身長差が全く考慮されないのは、一般の人でも分かることです。
こんな滑稽なことが何故ゴリ押しされるのでしょうか。
私は、ある講演で斯界の重鎮のT大のK教授にこのことについて質問したことがあります。
その返答はまったく納得のいくものではありませんでした。
想定通りでしたが、学会側に都合のいい返答しかされないのです。
 
さて、この記事で「米国の指針にならって最大瘤径が男性で5.5cm超,女性で5cm超の場合」と書かれています。
このことは非常にショッキングでした。
これって、裏をかえせば「米国人と日本人の体格が同じだ 」といっていることになります。
今頃になって、「男性でも5.0cmが妥当」という結論もどうでしょうか。
男性と女性が同じというのも変じゃないでしょうか。
CTで大動脈径を計測して、(体格を考慮せず)一律5.1cmになるまで様子をみていいというのもどうかと思うのですが。
 

 

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尿中ナトリウムが少ない方が心血管死亡リスクは高い
欧州で行われた大規模前向き研究の結果
一般住民が食塩の摂取量を減らせば、 心血管イベントは減るのではないかと考えられている。
だが、ベルギーLeuven大学のKatarzyna Stolarz-Skrzypek氏らは、この定説に疑問を投げかける長期的な大規模研究の結果を、JAMA誌2011年5月4日号に報告した。
著者らはこの論文で

(1)24時間蓄尿中のナトリウム排泄量の増加に伴って収縮期血圧は上昇するが、拡張期血圧には影響は見られないこと、
(2)ナトリウム排泄量が少ないほど心血管死亡リスクは高いこと、
(3)ナトリウム排泄量と心血管イベントリスクの間には有意な関係はないこと、
などを報告している。

塩分摂取と血圧の関係を示した集団ベースの観察研究や無作為化試験は、これまでに複数報告されている。

特に、INTERSALT研究は、世界32カ国、52の集団を対象に尿中ナトリウム排泄量と血圧の関係について分析し、年齢上昇に伴う収縮期血圧と拡張期血圧の上昇はナトリウム排泄量が多い人ほど急激であると報告した。
その後行われたメタ分析では、ナトリウム排泄量の低下が血圧低下に関係することが示された。
また、塩分摂取を1日当たり3g程度減らすと心血管イベントが減少するとの報告もある。

今回著者らは、ナトリウム排泄量がその後の血圧上昇や心血管イベントの予測因子になるかどうかを調べるため、集団ベースの前向き研究を行った。

Flemish Study on Genes、Environment and Health Outcomes(1985~2004年)またはEuropean Project on Genes in Hypertension(99~01年)に登録された家族のメンバーで、ベースラインで必要なデータが記録されており、心血管疾患ではなかった3681 人(全員が欧州在住の白人)をアウトカムコホートとした。

このうち、追跡調査への参加に同意した患者の中から、ベースラインで高血圧だった760人を除外した2096人を高血圧コホートとし、高血圧発症について評価した。
さらに、ベースラインと05~08年の両方で血圧とナトリウム排泄量が測定されており、降圧薬の投与を受けていないなどの条件を満たした1499人を血圧コホートとし、ナトリウム排泄量の変化と血圧変化の関係を調べた。

アウトカムコホートでは、中央値7.9年、3万9780人・年の追跡で219人が死亡し、232人が致死的または非致死的心血管イベントを経験していた。

死亡のうち心血管死亡は84人だった。

心血管死亡は24時間ナトリウム排泄量が多いほど低かった。

コホートをベースラインの尿中ナトリウム排泄量に基づいて3分位群に分けたところ、心血管死亡は、最低3分位群(平均107mmol)の1220人中50人、中間3分位群(平均168mmol)の1250人中24人、最高3分位群(平均 260mmol)1211人中10人(P<0.001)に発生し、死亡率はそれぞれ4.1%(95%信頼区間3.5-4.7%)、1.9% (1.5-2.3%)、0.8%(0.5-1.1%)となった。

コホート全体と比較した各3分位群の心血管死亡リスクを求めるCox回 帰分析を実施。

ベースラインの性別、年齢、血圧、BMI、飲酒量、降圧薬の使用、尿中カリウム排泄量、喫煙歴、糖尿病、総コレステロール値、登録された施設、学歴などを共変数として調整を行ったところ、最低3分位群の心血管死亡の多変量ハザード比は1.56(1.02-2.36、P=0.04)、中間3分 位群が1.05(0.72-1.53)、最高3分位群は0.95(0.66-1.38)となり、ナトリウム排泄量と心血管死亡率の間には有意な逆相関関係が認められた(P=0.02)。
ベースラインのナトリウム排泄量は、全死因死亡と心血管イベントの予測因子ではなかった。
全死因死亡のオッズ比は最低3分位群が 1.14(0.87-1.50)、中間3分位群が0.94(0.75-1.18)、最高3分位群では1.06(0.84-1.33)(P=0.10)、致死的イベントと非致死的なイベントを合わせた心血管イベントのオッズ比はそれぞれ1.13(0.90-1.42)、1.11(0.90-1.36)、 0.90(0.73-1.11)だった(P=0.55)。

高血圧コホートについては、6.5年の追跡で2096人中552人が高血圧と 診断されていた。

ベースラインのナトリウム排泄量はその後の高血圧発症の予測因子ではなかった。
高血圧と診断されたのは最低3分位群が187人 (27.0%)で調整ハザード比は1.00(0.87-1.16)、中間3分位群は190人(26.6%)で1.02(0.89-1.16)、最高3分位 群は175人(25.4%)で0.98(0.86-1.12)だった(P=0.78)。

血圧コホート1499人の血圧は、6.1年の追 跡期間中に有意に上昇していた。収縮期血圧は1年当たり0.37mmHg(P<0.001)、拡張期血圧は0.47mmHg(P<0.001)上昇した が、ナトリウム排泄量には有意な変化が見られなかった(1年当たり0.45mmol減少、P=0.15)。

だが、多変量解析を行い、ナトリウム排泄量 100mmol上昇当たりの血圧変化値を求めたところ、収縮期血圧は1.71mmHg上昇(P<0.001)するが、拡張期血圧には変化がない(変化量は0.38mmHg、P=0.28)ことが示された。

著者らは、ナトリウム排泄量が少ないグループの方が心血管死亡リスクが高い理由について、「尿中ナトリウム排泄量低値が示す塩分低摂取状態が血圧低下を引き起こすレベルになり、それが持続すると、交感神経の活性化やレニン-アンジオテンシン系の活性化が起き、アルドステロン分泌が刺激され、インスリン感受性が低下する、といった一連の反応が起こるため、心血管死亡が発生しやすくなるのではないか」との考えを示している。

なお、著者らは、今回の結果は、高血圧患者における減塩の効果を否定するものではない、とも述べている。

            大西淳子=医学ジャーナリスト
原文
Fatal and Nonfatal Outcomes, Incidence of Hypertension, and Blood Pressure Changes in Relation to Urinary Sodium Excretion
http://jama.ama-assn.org/content/305/17/1777.short
 
出典   NM online 2011.5.25
版権 日経BP社
 
<私的コメント>
ドキドキわくわくしながら読み進みましたが、最後に
「高血圧患者における減塩の効果を否定するものではない」と一気にトーンダウンしています。
ここで誰しもが考える疑問があります。
(1)「全員が欧州在住の白人」であり、食塩感受性が高い集団ではない。したがってこの研究は日本人などの非白人には敷衍できない。
(2)この対象は、もともと食塩摂取量は多くないため、さらなる減塩(厳しい減塩)により今回の考察のような「交感神経やRASの活性化」が起きているのではないか。
(3)「尿中ナトリウム排泄量」は「ナトリウム摂取量」にきれいな相関があるのか。(これはあくまでも初歩的な、そして素朴な疑問です)
(4) 「高血圧コホート」は、非高血圧者の高血圧発症について評価したものと分かるのですが、「血圧とナトリウム排泄量が測定されており、降圧薬の投与を受けていないなどの条件を満たした人」を対象とした「血圧コホート」」では「降圧薬の投与を受けていない高血圧者」も入っているのか。そして、この集団の評価目的は何なのか。
 
是非、東大・藤田教授や名市大・木村教授らのコメントを知りたいものです。
さて講演会などでとりあげていただけるでしょうか。
 
 
<自遊時間>
最近、岡山大学の先生の講演を聴く機会がありました。
一番前の席だったのでよく見えたのですが、スライドで赤煉瓦の医学部正門の写真と小さなロゴが紹介されていました。
そのロゴにsince 1870。
明治維新のすぐ後ですよね。
「医学部長のあいさつ」 をネットで見てみましたが、「岡山大学医学部は明治3年(1870年)の創立で、来年140周年を迎えます。東京大学医学部に次ぐ長い歴史と伝統を誇る医学部です。」と書かれています。
ちょっとびっくりしました。
鹿児島大学、長崎大学も古そうですね。
長崎大学にいたっては「1857年11月 医学伝習所設置 」「1868年10月 精得館を長崎府医学校と改称」と書かれています。
何が何だかわかりません。
11世紀に設立されたボローニャ大学に比べたらどうでもいいことです。
 
 
http://www.hsc.okayama-u.ac.jp/med/meddean.html

http://blog.goo.ne.jp/fc2008-2/e/471b6f817816deec65d96c6f7bd32530

http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/guidance/history/index.html
 
日本最古の西洋医学校
http://blog.livedoor.jp/bakumatusaga/archives/51090386.html
世界最古の大学
http://d.hatena.ne.jp/gkmond/20070114/p1
 
 

その他
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(循環器専門医向き)
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があります
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方、そして計画停電中の首都圏の方にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。

 
 
テキサス大学サウスウェスタン医療センター(テキサス州ダラス)のJames A. de Lemos博士らは,高感度心筋トロポニンT(cTnT)検査の検査値と左室異常(私的コメント;あまり耳慣れない言葉です。左室壁運動異常または左室機能異常か?)の有病率や全死亡率との関連を検討し,高感度検査法は従来の標準的な検査法より優れるとの研究結果をJAMA(2010; 304: 2503-2512)に発表した。
 
高感度検査で3,500例強を検討
cTnTは心筋梗塞の診断に用いるバイオマーカーであるが,血中のトロポニン濃度上昇が冠動脈疾患(CAD),心不全,慢性腎臓病などの慢性疾患のマーカーとなるとの認識も広がっている。
一部の研究ではトロポニンは無症候性心血管疾患(CVD)の検出に有用で,一般人口におけるCVDリスクを評価する マーカーとなることが示唆されているが,標準的な検査法では検出感度が低いため限界があった。
そこでde Lemos博士らは,高感度cTnT検査法を用いて一般人口の血中cTnT濃度の測定を行い,cTnTの検出率と心臓異常や全死亡率との関連を検討。
2000~02年にダラス心臓研究(Dallas Heart Study)に参加した30~65歳の被験者3,546例を対象に標準検査法と高感度検査法による血中cTnT濃度の測定を行った。
今回の研究では,人種構成は多岐にわたっていた。
死亡の有無に関する追跡調査は,2007年まで実施。
被験者を血中cTnT濃度に従い5段階のカテゴリーに分類した。
心臓の構造と機能は,MRIで評価した。
 
全死亡リスクと関連
cTnTの検出率(0.003ng/mL以上)は高感度検査法を用いた場合は25%,標準検査法では0.7%であった。
検出率は性や人種・民族で大きく異なり,男性の検出率は女性の3倍(37.1%対12.9%),アフリカ系米国人での検出率はヒスパニック系や白人に比べ有意に高かった(34.4%対 25.4%対19.0%)。
検出率は加齢に伴い上昇し,30~39歳は14%であったが,60~65歳では57.6%であった。
標準検査法では,最大濃度群の3分の2を検出できなかった。
cTnT濃度の段階が上がると高血圧の有病率は27.2%から70.9%へ,糖尿病の有病率 は7.7%から41%へと増加した。
左室容積と左室壁厚は高濃度群ほど大きく,左室肥大の有病率は最小濃度群で7.5%,最大濃度群では48.1%であった。
自己申告による心不全,CADおよびCVDの有病率は,高濃度群ほど高かった。
6.4年間(中央値)の追跡期間中,151例が死亡した。そのうち62例はCVD死であった。
全死亡率は,最小濃度群の1.9%から最大濃度群では 28.4%とcTnT濃度に伴い上昇した。
数種の因子で調整した後も,cTnT濃度別カテゴリーは全死亡と独立した関連を示した。
 
マーカーとしての有用性の検討が必要
de Lemos博士らは「近年,高感度cTnT検査法が開発され,標準的な検査法の検出限界の約10分の1の濃度でも測定できるようになった。過去の研究では,標準検査法で測定したトロポニン濃度と死亡リスクとの関連が明らかにされていたが,今回の研究では,現行の検査法では検出限界未満のトロポニン濃度でも関連が認められた。新しい高感度検査法では慢性心不全やCADの患者のほぼ全例で循環中のcTnTが測定でき,血中cTnT濃度の上昇と心血管死の増加との間に強固な相関が認められた」と述べている。
同博士は,今後は高感度検査法を採用した場合に従来の心血管危険因子をしのぐマーカーとしての有用性が得られるか否かを検討する必要があるとしている。
 
出典 Medical Tribune 2011.3.10
版権 メディカル・トリビューン社
高感度心筋トロポニンT

 

<関連サイト>
高感度心筋トロポニンT検査の実力は?
出典 NM online 2009.12.2
版権 日経BP社
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kitazawa/200912/513318.html
(要パスワード)

 ■高感度心筋トロポニンTについては、心血管疾患の早期発見に役立つとの結果が蓄積されつつあるようです。
以前に行われたランダム化比較試験(RCT)のサブスタ ディーとして、高感度心筋トロポニンT検査の結果と心血管イベントの関連を検討した結果が発表されました
■Omland T, de Lemos JA, Sabatine MS, Christophi CA, Murguia Rice M, Jablonski KA, et al. A sensitive cardiac troponin T assay in stable coronary artery disease. New Engl J Med (published online on Nov 25, 2009.)
○この研究は、冠動脈疾患患者を対象に、ACE阻害薬であるトランドラプリルの効果を検討したプラセボ対照二重盲検RCTであるPEACE試験のサブスタディーとして計画されました。今回の研究の対象集団(コホート)は、PEACE試験の参加者の一部です。
○今回の結果は、過去の研究と基本的に矛盾しておらず、高感度心筋トロポニンT検査でほんのわずかな量を測定することが、心血管イベントの早期発見に役立つ可能性を示しています。
○ほんのわずかな(今回の高感度アッセイ系は0.001μg/L以上で測定可能)心筋トロポニンT値を測定することの臨床的意義については、さらに検討する 必要があると思われます。
ごくわずかな値を測定することで、患者に余計な不安を与えたり、余計な検査や治療が行われたりする可能性がないとは言えないということも考慮しなければならないと思います。
(私的コメント;以上筆者の北澤京子氏のコメントです
 
高感度トロポニン
http://blog.m3.com/reed/20090914/1
 
安定冠動脈疾患における高感度心筋トロポニンTアッセイ
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/361/361dec/xf361-26-2538.htm
 
心筋トロポニンTの高感度検査法が糖尿病リスクの検出にも有用
高レベルが心疾患や全死因死亡と関連
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2010/12/010942.php

 
 
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
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井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
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(内科医向き)
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http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/  
があります

 

 

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