戯れ言たれる侏儒
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フランス・ロワシーで開催された第33回欧州心臓病学会(ESC Congress 2011.8.27〜31)での発表記事です。
 
怒り,笑いに関する発表…これすべて,欧州心臓病学会の演題です。
心不全と抑うつ状態が合併しやすいことはよく知られているが,病的な精神状態とまではいかなくとも,日常誰もが持つ怒りや笑いが心血管に与えるインパクトについて,最近,臨床的な知見が集積されつつある。
 
怒りの心毒性」を臨床試験で確認
イタリアInstitute of Clinical Physiology of Research National Councilの精神科医Franco Bonaguidi氏らは急性心筋梗塞(AMI)により心臓集中治療室(CCU)に入院した男性患者228例を対象に,退院直前の質問票による精神心理学的評価と各種心機能,予後との関連を調査(Anger predicts long-term mortality in patients with myocardial infarction)。
 
追跡期間(中央値)97カ月の間に全例の約4分の1に当たる51例に心血管イベントが発生。
質問票による怒りなどの感情スコアが高い群では同スコアが低い群に比べ新たな心イベント発生あるいは心機能悪化のオッズ比が2.3(P<0.01)に上昇していた。
 
また,怒りの感情スコアが低い群の120カ月時点の生存率は78.5%であったのに対し,同スコアが高い群では57.4%と有意な低下が見られたという(P=0.0025)。
公式ニュースでは「敵対心や怒り,抑うつ感情や不安などはすべて心毒性を発揮する一方で,ポジティブな感情は心保護に働く」との同氏コメントを取り上げている。
 
認知行動療法で心血管疾患既往例のHDL-Cや運動量改善も
さらに公式ニュース記事では,そうしたネガティブな感情をコントロールする,認知行動療法の心血管疾患に対する意義を検討した演題も紹介している ( Cognitive behaviour therapy benefits depressed cardiac patients: results of a randomised controlled trial)。
 
オーストラリアHeart Research Centreの研究グループが,うつ病を合併した心血管疾患患者275例に対し,認知行動療法あるいは標準療法のみ(コントロール)によるランダム化比較試験(RCT)を実施。
 
試験開始から4カ月時点で,認知行動療法を行った群ではコントロール群に比べ,抑うつ症状や怒りをコントロールする自信の有意な改善だけでなく,HDLコレステロール(HDL-C)や運動量も有意に改善していた。
怒りをコントロールする自信の効果は試験開始から1年時点においても有意であったという。
「抑うつ症状があると服薬コンプライアンスの悪化や禁煙などの生活改善に対する意欲が低下する」と研究代表者のBarbara Murphy氏。
今後,試験参加患者のイベント発生率や生存率といった予後の評価も行っていくとのコメントを寄せている。
 
涙が出るほどの笑いは血管に対しスタチンに匹敵する効果を与える!?
さかのぼって学術集会初日(27日)の“Don’t worry, be happy”では,ネガティブな面で取り上げられることの多い精神・心理的問題ではなく,ポジティブな感情を中心とした心血管疾患に対する影響を取り上げたシンポジウムが開かれた。
 
シンポジストの1人として公式ニュースに登場しているのは米メリーランド大学のMicheal Miller氏。
同氏は以前から笑いと血管内皮機能に関する研究などを行ってきたという。
その業績の1つが,映画視聴による血管内皮機能(FMD)の変化を検討した研究だ。
 
喫煙歴のない20人の健康な男女にストレスフルな映画(「プライベートライアン」)とコメディー映画(「メリーに首ったけ」など)をそれぞれ別の日に見せ,FMDを調べた。
 
プライベート・ライアン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3

http://www.youtube.com/watch?v=hM2LqfmTKj4

メリーに首ったけ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AB%E9%A6%96%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%91

http://www.youtube.com/watch?v=8Xuah8LC-Cw

 
その結果,ストレスフルな映画を視聴中のFMDはベースラインから-35%,有意に低下していた(P=0.017)のに対し, コメディー映画ではベースラインに比べ22%の増加が見られた(P<0.0001)のだという(Heart 2006; 92: 261-262)。
 
「われわれの検討による,笑いの血管に与える効果は運動やスタチンの効果と同等と考えられる」と同氏。
一口に「笑い」と言っても,血管への効果を期待するには「くすくす笑い」のレベルではなく「お腹を抱えて涙が出るくらいの,ちょっとしたワークアウトに匹敵する大笑い,かつそれが15秒以上続くことが必要」だそう。
<私的コメント>
先生方は、最近腹が痛くなるほど大笑いしたことがありますか。
「15秒以上」も大笑いを続けることは至難の技です。
「至難の技 」といえば、お笑い芸人こそ「技」を磨いて国民の健康のために「15秒以上」毎日笑わせて欲しいものです。
「大笑い」も一生のうち、そうそうあるものでもありません。
たまに大笑いしてもそんなに効果が持続するとも思えません。
大笑い出来る性格ということが重要な気もします。
当院の女性スタッフに尋ねたら、涙が出るほど笑いこけることは珍しくはないとのこと。
男子たる者、そんなには笑いません。
女性が長寿な理由を見つけたような気がしました。
 
今後,心筋梗塞既往例によるRCTなどで,笑いによる心血管疾患の再発予防効果を確認すべきと同氏は考えているようだ。
ただ,悲しいことに,こうした研究に対する資金を出してくれるところが見つからない,とシンポジウムのタイトルとは裏腹に,あまりハッピーとは言えないようなコメントも紹介されている。     (坂口 恵)
 
出典 MT pro 2011.8.30
版権 メディカル・トリビューン社

同じくESC Congress 2011.8.27〜31での発表です。
心筋梗塞患者のかっとなる性格は長期アウトカムを悪化させるのに関与
心筋梗塞患者の「かっとなる性格」は、長期アウトカムを悪化させるのに重要な役割を担っていることが示された。イタリアInstitute of Clinical Physiology of CNRのF. Bonaguidi氏らが、8月31日までパリで開催された欧州心臓学会(ESC2011)で発表した
これまで、心理的状態は虚血性心疾患と相関があることが示唆されている。
演者らは、急性心筋梗塞(AMI)後に生還した患者において、性格特性と行動反応により長期死亡率予測ができるかどうかを検証した。
   
 結果 略

演者らは、「怒りとストレスに関連した症状は、AMIの長期アウトカムを悪化させるのに重要な役割を担っている」と結論。
「今回のデータは、すぐにかっとなる患者に対して的を絞った心理療法や行動介入を行う意義を疫学的に支持したものとなった」と考察した。

出典   NM online 2011.9.1
版権 日経BP社
<私的コメント>
A型性格という理解からは目新しい発表ではないかも知れませんが、長期死亡率予測というところがNeuesなのでしょうか。
性格は簡単には変わりません。
「心理療法や行動介入」をするほど患者も医療側も暇ではありません、と言ったらきっと怒られるでしょうけど。
 
<関連サイト>
Don't worry, be happy: how positive emotions can help protect the heart
http://www.escardio.org/congresses/esc-2011/congress-news/Pages/dont-worry-be-happy.aspx

 
「笑い」でもっと健康に 1日5回「わっはっは」
http://www.sanspo.com/gourmet/club/070303.html
 
 
<自遊時間 その1>
本日のGOOGLEのロゴ。



セントジェルジアルベルト - Wikipedia
生誕118年周年の「セント ジェルジ アルベルト」とは?ビタミンCの発見者 ...

セント ジェルジ アルベルトとは? | A!@attrip
 
<自遊時間 その2>
某日の夕方のこと。
30代の男性が下腹部痛で来院しました。
問診や症状から感染性腸炎は否定的でしたが
Mc Burney(+)
heel drop sign(+)
白血球数12,000
腹痛は余り強くなかったのですが、こちらでちょっと冗談を言って笑わせると腹痛が増強。

念のためと思い、「急性虫垂炎疑い」として某病院に紹介。

翌日に病院からFaxが届いていました。
「CTで虫垂が腫大しており腹膜刺激症状もあったため全身麻酔下に手術を行いました。手術所見では蜂窩織炎性虫垂炎でした」

井蛙内科開業医/診療録 : 急性虫垂炎の診断
http://wellfrog.exblog.jp/6883879
井蛙内科開業医/診療録(2) : 急性虫垂炎の診断
http://wellfrog2.exblog.jp/9677433/



急性虫垂炎を疑う理学的所見にはいろいろあります。
ひょっとして「笑うと腹痛が増強」というのも立派な理学所見(特に腹膜刺激症状)かも知れない、と思いました。
以前にも、「笑って胸壁が痛くなる」ということで胸壁の帯状疱疹を診断したことがあります。
きょうは「笑い」がテーマのため、思い出すまま書かせていただきました。

 

読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖 
があります。

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