| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 |






第1群の死因として,第2群よりもハザード比が有意に高かったのは,男性ではがん,女性では脳出血,心不全であった。 (続)
<関連サイト>
動脈硬化とHDL
http://blog.m3.com/reed/20090129/_HDL
スタチン使用中でのHDL-C低値
http://blog.m3.com/reed/20110114/_HDL-C_
高齢者ではHDL-C値が高い場合にはコレステロール低下薬(スタチン)の効果は期待できない
http://www.m-junkanki.com/topics/topics15h.html
ポスト・スタチン”の最右翼はCETP阻害薬か HDLコレステロール値が2倍に--米研究
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/301941.html
(要パスワード)
■HDLコレステロール値を上昇させる、新しい脂質改善薬の臨床試験結果が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌2004年4月8日号に掲載された。
わずか19人を対象とした短期間のパイロット試験だが、8週間の服用でHDLコレステロール値が 2倍になるなど、期待の持てる結果になった。
■今回の臨床試験に使われたのは、脂質代謝で大きな役割を果たしている、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)の阻害薬。
CETPには、HDLからコ レステロールエステルを引き抜き、LDLや超低比重リポ蛋白(VLDL)に転送する(中性脂肪と交換する)作用がある。
CETPを阻害すると、HDLコレ ステロールが増え、LDLコレステロールが減ることが期待できる。
■面白いのは、LDLコレステロールやHDLコレステロールの「サブクラス分布」に変化がみられることだ。
作用機序からは当然ともいえるが、HDLコレステロールについては、粒子径が大きいHDL(HDL2)の比率が増えていた。
同様にLDLコレステロールでも、粒子径が小さく、比重が高いLDL(small,denseLDL)が減り、粒子径の大きなLDLが増えていた。
■ただし、CETPを完全に欠損した人(日本人では約1000人に一人と、他の人種より多い)の場合、HDLコレステロール値が高く、HDLの粒子径も大きいが、心疾患リスクはむしろ高いとの報告もある。
つまり、HDL2が増えることが、本当に心疾患予防の方向に働くか否かはまだわからない。
■ 次の課題は、CETP阻害薬によるHDLコレステロール値の増加が、心疾患の予防に結び付くことを、長期間の大規模試験で示すこと。副作用がスタチン並みに少なく、患者の服薬継続率(コンプライアンス)が高いことも必須条件だ。
原著
Effects of an Inhibitor of Cholesteryl Ester Transfer Protein on HDL Cholesterol
N Engl J Med 2004; 350:1505-1515
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa031766


その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
があります。
昨日の
日脂質栄養学会コレステロールガイドライン その1 http://blog.m3.com/reed/20101014/_1
の続きです。
山田先生の考察:相手を裁いた論理で自らをも裁くべき
実は,以前から大櫛氏の主張には興味深いと思うところがあり,英文論文(World Rev Nutr Diet 2009; 100: 63-70)をかなり苦労して入手し,読んだことがある。
その時私が同氏の論文に抱いた印象は「結論を急ぎすぎている」であった。
今回,日本脂質栄養学会ガイドラインに対して抱いた印象は全く同じであり,「ガイドラインの体を成していない」と思った。
実際,このように推奨度やエビデンスレベルを明示していない文章をガイドラインと呼べるのであろうか。
ここでは,これまでとは逆に,大櫛氏の論文について述べた上で,浜崎氏による日本動脈硬化学会ガイドライン批判について触れ,最後に日本脂質栄養学会に注文を付けさせていただきたい。
大櫛氏の論文について
1. 日本総合健診医学会に所属する施設の70万人の健診結果からLDL-Cの基準範囲を求めると上限は男性180mg/dL,女性190mg/dLである。
糖尿病の診断基準がそうであるように,健診受診者と何らかの合併症との関係から閾値を求め,基準範囲とするべきではなかろうか。
大櫛氏がLDL-Cが高い方が長生きすると主張するのであれば,この値より下がると死亡率が上がるという値をもってコレステロールの下限値を設定すべきである。
同氏の主張内容からすれば,健診受診者の平均値や標準偏差から基準値を求めるべきではない。
2. 神奈川県伊勢原市の男性約1万人,女性約1万6,000人(平均年齢63歳程度)の健診データから,平均追跡8.1年での死亡率を解析すると,LDL-Cが高い方が死亡率が低い。
以下のようなデータをお考えいただきたい。

ここで見ていただいて分かるように,真には肝硬変を有していても有さなくてもコレステロール高値群の方が死亡率が高いのに,一見,全体としてみるとコレステロール低値群の方が死亡率が高く見えることがある。
このような要素を交絡因子と呼ぶ。
一般には交絡因子を排除することが不可能である観察研究においても,調整と呼ばれる作業によって,既知の交絡因子の排除を試みるわけである。
この伊勢原市の研究では何の調整も実施されていない。
よって,「仮説探索」は可能であっても,「仮説立証」には向いていない。
3. 中性脂肪も高い方が死亡率が低い。
これも同じく「仮説探索」としては成立しているが,「仮説立証」は成されていない。
4. HDL-Cは女性では低値であるほど死亡率が高い(日本動脈硬化学会ガイドラインと同じである)が,男性ではU字型であり,高くても低くても死亡率が高く,善玉コレステロールとは言えない。
これも同じである。
5. 神奈川県伊勢原市と福島県郡山市の健診データから男性2,000人,女性1,800人程度の糖尿病患者の6年間の追跡を行ったところ,女性ではLDL-Cと死亡率に関係はなく,男性ではLDL-C 190mg/dL超で死亡率が高くなるのみであった。
これも基本は観察研究なのであるが,この糖尿病男性のデータを見て,それでも「LDL-Cが高い方が長生きする」という結論がいかにして導き出されたのかが理解不可能である。
6. 脳卒中データベースに登録された脳卒中患者のうち,入院前に高脂血症治療を受けていなかった男性2万2,000人,女性1万5,000人を対象として,高脂血症の有無で群別したところ,高脂血症あり群の方が臨床指標が有意に良かった。
これも観察研究なのであるが,性別・年齢・高血圧の有無・糖尿病の有無での調整をしたと記載があるので,仮説の立証を志したことは理解できる。
しかし,それでも交絡因子は除外し切れていない。
すなわち,高血圧・糖尿病状態において同等で,高脂血症もないのに脳卒中を呈する患者では,高脂血症があって脳卒中を生じた患者よりも喫煙者が多かったり,家族歴が濃厚であったりするなど,重症になりそうな要素を別に持ち合わせていたかもしれないのである。
そうであれば,高脂血症もないのに脳卒中になった患者で重症度が高くなることは,必ずしも高脂血症が脳卒中の予後を改善させることを意味しないことになる。
すなわち,観察研究は調整をしようとも交絡因子を除外し切れないものであり,あくまで仮説探索のための研究として扱うべきなのである。
これに対して既知・未知を問わず交絡因子を均等に割り振って行う研究が無作為介入研究であり,この研究が仮説検証研究となるものである〔だからこそランダム化比較試験(RCT)が過剰なまでに重視されるわけである〕。
ところで,このデータに対しては調整を行った大櫛氏が,なぜ伊勢原市や郡山市のデータに対しては調整をしなかったのであろうか。
この点については同氏は明確な記載をしていないように思う。
7. 脳卒中患者と一般健診対象者を比較すると,脳卒中患者の方が未治療の比率が低く,未治療であることが脳卒中に対して保護的であることが示唆される。
高脂血症を指摘されながら未治療の方の多くが軽度の(投薬不要と医者に判定された)高脂血症患者で,治療中の高脂血症患者の多くが重度の(投薬必要と医者に判定された)高脂血症患者であるとすると,脳梗塞患者に治療中(重度の)高脂血症患者が多かったり,一般健診対象者で未治療(軽症の)高脂血症患者が多かったりしても,あまり疑問には思わない。
症例対照研究を試みられたのだと思うが,この解析から何か結論が得られるとは思われない。
こうして考えると,大櫛氏のデータからは「LDL-Cが高い方の粗死亡率が低く,LDL-Cが高い方が死亡率を下げられるかもしれない」という仮説が立て得るのみで,何も仮説検証のデータはないことがよくご理解いただけると思う。
すなわち,「LDL-Cが高い方が長生きする」可能性と「死亡しやすい人では死の数年前からLDL-Cが低下している」可能性の両方が存在し,いずれが正しいのか(いずれも正しい,あるいは,いずれも誤りである可能性もある)について結論は出せないのである。
浜崎氏の日本動脈硬化学会ガイドラインの批判について
1. LDL-Cの疫学調査が示されていない。
日本動脈硬化学会ガイドラインが示しているのはTCの疫学調査であり,臨床的に分かりやすいようLDL-Cに変換してガイドラインを作ったことが問題だというスタンスであろうか。
LDL-Cがよいのか,TCがよいのか,non-HDLがよいのか,apo-B/apo-Aがよいのか,これは常に議論の対象である。
しかし,ガイドラインとはある物事についての方針を指し示す必要がある。
LDL-Cの疫学調査が示されていないからという理由で,より分かりやすくするためにLDL-Cを指標として選択されたことが誤りであるとまでは言えないのではなかろうか。
2. TC 240-260mg/dLで総死亡率が一番低下しているにもかかわらず,TC 220mg/dLに相当するLDL-C 140mg/dLを基準値にしている。
粗死亡率を重視するのか,調整死亡率や調整合併症発症率を重視するのかの相違であろうか。これもそれだけで誤りとは言えないように思う。
3. 男女別になっていない。
これはぜひ日本動脈硬化学会の次のガイドラインの改訂の際の参考にしていただきたい指摘だと思う。
4. ガイドライン作成委員の利益相反情報が公開されていない。
利益相反情報の公開についての指針は,日本内科学会を中心にして策定されたものが今年公開された。
それ以前に発表された日本動脈硬化学会ガイドラインに対して利益相反情報の公開がなされていないからという理由で批判するのは後出しじゃんけんのごとくに見える。
5. 論拠となるデータの死亡者数が一けたである。
総死亡率にのみ着目すると決めたのは浜崎氏あるいは浜崎氏が理事長をやっておられる日本脂質栄養学会であって,日本動脈硬化学会ではない。
自分たちが注目する指標のみで批判するのはいかがなものであろうか。
また,「LDL-Cが高い方が長生きする」という仮説を検証するための無作為介入研究は歴史上存在していない。
日本脂質栄養学会ガイドラインにおいて採用された介入試験での死亡者数はどの程度の数なのであろうか。
この批判は自らのガイドラインに対する批判としても使用しなくてはなるまい。
6. 食事療法の有効性を示すデータはない。
多くの方がご存じのように,コレステロールの多くは腸肝循環をしており,吸収されるコレステロールの多くは経口摂取に由来していない。
また,コレステロール摂取量が減少すると,肝臓のコレステロール合成が亢進してしまう。
従って,食事療法の有効性は理論的にも低く,その単独での有効性を示すデータはないのであろう。
そうであるならば,なぜ日本脂質栄養学会ガイドラインに食事についての記述をしたのであろうか。
ガイドラインのポイントとして最初に示した項目8,9を自らのガイドラインに上げた理由はどこにあるのであろうか。
この批判も自らのガイドラインに対する批判としても使用しなくてはなるまい。
7. MEGA study(Lancet 2006; 368: 1155-1163)は真には二重盲検試験でなく,かつ,途中で試験期間が延長されており,エビデンスとして採用すべきでない。
臨床研究の質を問題とするのは極めてよいことである。
しかし,質が悪い場合には不採用とせよとするのはいかがなものか。
通常は質が悪ければエビデンスレベルを低いものとして扱うべきなのであって,無視するのは奇異である。
また,仮に問題があるにしても日本人を対象とした無作為介入試験MEGA studyの方が,交絡因子による調整を実施していない観察研究(大櫛氏の論文)よりもはるかにエビデンスレベルは高いと思われる。
日本脂質栄養学会のガイドラインにおいては,エビデンスの採用ルールを明示する必要がある。
また,この批判をした以上は日本脂質栄養学会ガイドラインは二重盲検試験のみを根拠とするべきである。
その点でも同氏の論文(観察研究)を根拠にする姿勢には疑問を感じざるを得ない。
他人を批判するために用いた論理は自らにも当てはめるべきである。
8. 既存の欧米のエビデンスでは,4S試験のみが突出して死亡率を低下させており,うのみにできない。
torcetrapibやエゼチミブではLDL-Cの低下はあっても動脈硬化性疾患や死亡率への有効性は示せていない。
欧米のエビデンスをうのみにするかどうかは個々の臨床家の判断である。日本脂質栄養学会がなすべきは推奨度とエビデンスレベルの明示である。
そして,何よりもその前提となるエビデンスに対する判断ルールも日本脂質栄養学会は明らかにせねばなるまい。
また,スタチン以外でのコレステロールへの介入が有益性を示すのに困難であったことは,スタチンを中心としてコレステロール介入を勧める日本動脈硬化学会のガイドラインには直接は影響しない。
日本脂質栄養学会への注文
上記の大櫛氏,浜崎氏の論文への批判的吟味において述べたごとく,日本脂質栄養学会は,自らが日本動脈硬化学会のガイドラインを批判した理由そのものによって批判されるべきである。
真に二重盲検試験でないことによってMEGA試験を根拠とすべきでないとまで述べる以上は,真の二重盲検試験によって「LDL-Cが高い方が長生きする」という仮説を検証すべきである。
その試験がなされないうちに,あるいはその試験で死亡率に差がつかないうちに,日本脂質栄養学会がLDL-Cについてガイドラインを出すのは時期尚早であり,早急に撤回すべきである。
撤回ができないのであれば,「日本脂質栄養学会は先に結論を出しておいてから採用するエビデンスを選択した」というそしりを受けぬよう,エビデンスの採用ルールとエビデンスの質の評価について緊急に告知(追記)すべきである。
もはや後の祭りであるが,(他学会といえども)既存のガイドラインと対立する意見をガイドラインとして出す際には,患者の混乱を招かぬよう最大限の配慮をすべきであった。
これも後の祭りであるが,ガイドラインの要旨として発表するからには,明確な臨床指針を記載すべきであった。
日本脂質栄養学会が日本動脈硬化学会ガイドラインに批判を浴びせることは科学的に良いことだと思う。
しかし,ひとたび自分たちもガイドラインとして世に出した以上,責任が発生する。
少なくとも数年のうちに(LDL-Cを上昇させる介入によって死亡率を低下させる)大規模臨床介入試験を実施するしかあるまい(もちろん本来は既に試験済みであるべきなのだが)。
日本脂質栄養学会が日本動脈硬化学会ガイドラインに向けて振り上げた論理の拳,まさにその論理で自らのガイドラインにも裁きを与えられるかどうかに私は注目したい。
出典 MT pro 2010.10.12
版権 メディカルトリビューン社
羽柴正和 『曙光不二』 リトグラフ http://www.seikougarou.co.jp/sell/hashibamasakazu/1035.html
その他