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湘南鎌倉総合病院は,2010年9月に移転(鎌倉市内)し,15階建て542床の新施設として生まれ変わった。
3.0テスラMRI,高精度放射線治療専用機X線トモセラピー,320列マルチスライスCTといった最新の高度医療機器に加え,屋上にはヘリポートも備えた。
また,同院は全国でもまだ少ないという血管造影装置を備えたハイブリッド手術室を県内で初めて導入。腹部および胸部大動脈破裂例の開腹,開胸手術にも対応する高レベルの清潔度を実現した。

以上の紹介で始まるEVAR(Endovascular aneurysm repair)に関する記事で勉強しました。
湘南鎌倉総合病院/低侵襲な腹部大動脈瘤EVARなど積極的に取り組む
■腹部大動脈瘤は95%が腎動脈下に発生し,その形状は紡錘瘤,嚢状瘤の2つに分けられる。
■破裂の危険要因は,女性,高血圧,慢性肺疾患,動脈瘤破裂の家族歴,急速拡大(>5mm/年),嚢状瘤とされている。
■わが国では,2008年に女性の死因第10位に大動脈瘤・大動脈解離が初めて入った。
60歳以上の5%に発症が見られ,破裂した場合は90%が死に至るとされている。
腹部大動脈瘤を呈している患者はその75%が無症状である。
超音波検査によるスクリーニングが有用である。
■最も大動脈瘤は急激に拡大することが少ないため,検査に急を要することはあまりない。
そのため,人間ドック健診や住民健診など,定期的な超音波検査による発見が重要になると指摘する。
■EVARは開腹手術と比較して、手術時間,集中治療室(ICU)在室期間,絶飲食期間,入院期間が有意に短く,出血量,輸血量も有意に少ないなど,その低侵襲性が示されている。
出典 Medical Tribune 2011.1.13
版権 メディカルトリビューン社
<EVAR 関連記事>
腹部大動脈瘤の内視鏡的手術は安全
出典 Medical Tribune 2004.10.21
版権 メディカルトリビューン社
■EVARの短期的な結果としては,動脈瘤の径が大きくても適用を誤らなければ安全であり,臨床試験として,あるいは条件が整ったうえでの試みとしてはEVARを施行する正当性が得られた。
ただし,今回の短期的な好成績が長期間持続するとは限らない。
今回の結果はEVARを今後続けても支障はないとの免罪符にすぎず,腹部大動脈瘤の現行治療法を一変させるものではない。
EVARの中期成績は開腹手術と同等
出典 MT Pro 2010.12.9
版権 メディカルトリビューン社
■東京慈恵会医科大学外科・血管外科の石田厚講師らは,自験例の検討結果から,AAAに対するSG(ステントグラフト)を用いたEVARは,SG関連合併症対策の必要性はあるものの,開腹手術と同等の早期・中期成績が得られていることを示した。
■AAA患者約1,200例の開腹術とEVARのランダム化比較試験であるEVAR1では,中央値6年以上の追跡の結果,開腹術に比べて,EVARの手術死亡率は有意に低いものの,長期的な総死亡率と動脈瘤関連死亡率には差がないこと,またEVAR群にはSG関連合併症と再介入が有意に多く,治療費が高くなることが報告された。
■国内のEVAR症例数は年々増加し,年間約2,000例に施行されている。
■EVAR術後はエンドリーク・脚閉塞に対し追加治療を要した症例があるため,生涯にわたる画像検査が必要不可欠である。
さらに長期耐久性に関して今後の経過を見守る必要がある。
腹部大動脈瘤に対する血管内治療の成績
EVAR 1, 2試験から
出典 MT Pro 2010.4.15
版権 メディカルトリビューン社
■近年開発された血管内治療は,経血管的に動脈瘤をステントグラフトでカバーして動脈瘤内への血流を遮断し,動脈瘤を縮小させる方法である。
手術と比較して侵襲が少ない一方で,長期予後は不明であった。
■今回発表されたEVAR 1試験では,腹部大動脈瘤治療に関して血管内治療と外科手術との比較が,EVAR 2試験では内科治療との比較が長期にわたって行われた。
EVAR 1試験
Endovascular versus Open Repair of Abdominal Aortic Aneurysm
The United Kingdom EVAR Trial Investigators
N Engl J Med 2010; 362:1863-1871
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0909305
EVAR 2試験
Endovascular Repair of Aortic Aneurysm in Patients Physically Ineligible for Open Repair
The United Kingdom EVAR Trial Investigators
N Engl J Med 2010; 362:1872-1880
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0911056
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■腹部大動脈瘤について,EVAR 1試験では血管内治療は外科手術と比較した場合,手技中の生命に与えるリスクは少ないが,長期成績は再インターベンションが多く,不安定であった。
しかし,デバイスのさらなる開発により,長期成績がよくなる可能性が残っている。
■外科手術に適応のない患者を対象としたEVAR 2試験では動脈瘤による死亡は,血管内治療により内科治療と比較すると著明に改善した。
総死亡では両群間に有意差が認められなかったが,そもそも合併症が多く手術適応がない患者を対象としたために,8年もフォローすると,多くの人が寿命を迎えたと判断され,これは当然のことと考えられる。
■2つの試験結果を合わせて考えると,(1)合併症が多くて外科治療の適応にならない患者には血管内治療を推奨,
(2)外科手術の適応となりうる患者では,血管内治療のメリット(手技中の死亡が少ない),デメリット(長期には再インターベンションが多くなり,長期生存率は手術と同等)を説明して,いずれか選択
―という考えでよいと思われる。
しかし,デバイスの開発によっては,長期予後も血管内治療のほうがよくなる可能性がある。
(EVAR試験は腹部大動脈瘤が対象)
~IFU外症例に対するEVAR~
術後1年成績はIFU内症例と同等
出典 Medical Tribune 2010.12.9
版権 メディカルトリビューン社
■低侵襲性に優れるSG治療が広がる中で,IFU(instruction for use)外症例にもEVARが試みられている。
山口県立総合医療センター外科の善甫宣哉診療部長らは,自験例の検討結果から,IFU外症例のうち,proximal neck(PN:腎動脈起始部から瘤頭側端)の解剖学的適応条件を満たさない,いわゆるchallenging neck症例に対するEVAR後1年の治療成績は,IFU適合症例とほぼ同等であることを示した。
■IFU外症例に対するEVAR適応の妥当性について結論するには長期成績を待つ必要がある。
第51回日本脈管学会
EVAR後の瘤径にネック長,エンドリークが関連
出典 Medical Tribune 2010.12.9
版権 メディカルトリビューン社
■腹部大動脈瘤(AAA)に対するEVARが保険適用となり,3年が経過した。
名古屋大学血管外科の山本清人講師らは,自験例を対象にEVAR術後の瘤径縮小に関連する因子について検討。
「EVAR後の瘤径の縮小にはネック長とエンドリークが関連していた。瘤径縮小を得るにはエンドリークの観察と管理が重要」と述べた。
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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経カテーテル的大動脈弁留置術が大動脈弁狭窄症の生命予後を改善
PARTNER試験から
研究の背景:根本的治療は外科手術だが,高齢者では適応に困ることも
大動脈弁狭窄症は軽症の場合は経過観察可能な疾患である。
しかし加齢とともに進行し,労作時の胸痛や心不全などの症状が発症し始めると急激に病状が悪化してゆき,放置すれば致命的経過をたどる。
現在まで根本的治療は外科手術しかなく,合併症の多い高齢者では手術適応に困ることもしばしばある。
カテーテルを用いて生体弁を大動脈弁の病変部に留置する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)は2002年に初めて報告されたが,著しい速さで手技の改良が行われ,良好な長期予後も見込めるようになってきた。
N Engl J Med9月22日オンライン版に掲載されたPARTNER試験は,欧米の21施設で外科手術の適応でないと判断された重症の大動脈弁狭窄症患者を対象に,TAVI群と経皮的大動脈弁バルーン形成術を含む従来治療群(非TAVI群)を比較した最初の多施設試験である。
研究のポイント:総死亡率,心血管死亡率が著明に減少
外科手術が適応でないと判断された大動脈弁狭窄症患者358例を対象として,TAVI群179例と非TAVI群179例に割り付けられた。
デバイスはウシ生体弁を使用したEdwards SAPIEN heart valve systemを用いた。
手技は全身麻酔下に経食道エコーガイド下で行われ,大動脈弁バルーン形成術によって大動脈弁を拡大した直後に続いて行われた。
大動脈弁輪が著明に拡大しているためにTAVIを断念した症例は2例であった。
TAVIの手技に直接起因する24時間以内の死亡は1.1%,脳卒中は1.7%であったが,緊急手術は認められなかった。
1次評価項目の1年後の総死亡率はTAVI群で有意な改善が認められた(TAVI群30.7% vs. 非TAVI群50.7%,ハザード比0.55,95%CI 0.40~0.74,P<0.001;図1)。
心血管死亡率もTAVI群で有意に改善した(TAVI群20.5% vs. 非TAVI群44.6%,ハザード比0.39,95%CI 0.27~0.56,P<0.001;図2)。


1年後生存した患者において,TAVI群ではニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類III+IV度の患者の割合が非TAVI群よりも有意に低率であった(TAVI群25.2% vs.非TAVI群58.0%, P
一方,30日後の脳卒中(TAVI群 5.0% vs.非TAVI群1.1%, P=0.06),血管合併症(TAVI群16.2% vs.非TAVI群1.1%, P<0.001)については,TAVI群で多く認められた。TAVI群の生体弁としての機能(大動脈弁弁口面積,大動脈弁圧較差)は1年後も保たれた。1年後,中等度以上の大動脈弁閉鎖不全はTAVI群で4.2%,非TAVI群で15.2%であった。
佐藤先生の考察:重症合併症の多い患者で非常に良好な成績だが,脳卒中の増加が問題
TAVIによる大動脈弁狭窄症治療が,従来治療と比較して,生存率を著明に改善させることを報告した最初の試験である。
従来,合併症のために手術適応がないと判断された高齢者では内科治療を行うのみであったが,当然予後は悪い。本治療は,そのような合併症のある患者において,有効な治療手段の1つであることが判明した。
なお,従来治療群には経皮的大動脈弁バルーン形成術も含まれたが(過去の既往も含めると83.8%),従来治療群の1年後死亡率は50%であるので,TAVIを続いて行わない限り,バルーン形成術単独治療に予後改善効果は期待できないと思われる。
今回の試験で驚嘆すべきは,患者群は平均年齢83歳であり,背景因子として冠動脈疾患合併(70%)や冠動脈バイパス術(CABG)などの冠動脈治療後(40%),脳血管疾患合併(27%),末梢血管合併(30%),慢性閉塞性肺疾患(COPD;50%),腎不全合併(5~9%)の割合が著明に高い,非常に重症の合併症の多い患者群が対象であったことである。
しかも,術前のNYHA心機能分類は90%以上の患者がNYHA ⅢまたはⅣ度であり,患者の20%は過去にバルーンによる大動脈弁形成術を受けていた。
さらに,術前の大動脈弁弁口面積は0.6cm2と,デバイスを通過させるのにも困難が予想されるほど小さかった。
また,非TAVI群では1年後,結果として大動脈弁置換術を行った患者が9.5%,バルーン形成術を行った患者が37%であったが,TAVI群ではそれぞれ1.1%,0.6%であった。
感染性心内膜炎の合併もTAVI群と非TAVI群で差が認められていない。
では,この治療法は外科手術全般に置き換わるのだろうか。
今回,問題となった点は脳卒中がTAVI群で多く認められた点である。
デバイスが小型になり,脳血管の保護デバイスが改良されるなどによって,この点がクリアできれば第一選択としての治療法になる可能性もある。
しかし,当面はこの合併症が見られるために,「合併症のために外科手術の適応がなく,従来の内科治療では予後改善の期待できない患者」が対象になると思われる。
出典 MT pro 2010.9.28
版権 メディカルトリビューン社
<関連サイト>
経カテーテルでの弁置換術
http://blog.m3.com/reed/20100726/1
<きょうの一曲>
モーツァルト/ピアノ・ソナタ第9番 全楽章/演奏:仲田 みずほ
http://www.youtube.com/watch?v=VLBWndHMdpw
モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第8(9)番 ニ長調 / Sonate für Klavier Nr.8 D-Dur K.311
http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/mozart_a/001282.html
モーツァルト:ピアノソナタ第9番 ニ長調 K 311
http://www.yung.jp/yungdb/op.php?id=911
モーツァルト ピアノ・ソナタ第9番ニ長調K.311
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hainn-hitorigoto/m-090mozart.html

楢原健三 『富士山景』 リトグラフ
http://www.komorebi.co.jp/item_photo/h0317_02.jpg
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「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
http://wellfrog4.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
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早期診断・治療で救命可能を広く訴える
米国心臓学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)が中心となって胸部大動脈疾患(thoracic aortic disease;TAD)の臨床ガイドラインを作成した。
これにはTADの診断や治療に関する最新の推奨が盛り込まれているだけでなく「早期診断と早期治療を行えば救命できる」という力強いメッセージが医師と患者に向けて発信されている。
同ガイドラインはJournal of American College of Cardiology(JACC,2010; 55: e27-e129)とCirculation(2010; 121: e266-e369)に発表された。
背景に治療の進歩とエビデンスの集積
ガイドライン作成委員会の委員長を務めたTriHealth社(オハイオ州シンシナティ)のLoren F. Hiratzka博士は「TADを早期に診断し,治療することができれば,まだ状態が安定している段階で,外科的治療あるいは血管内修復の適応となる患者の特定が可能となる。疾患が安定しているときに治療したほうが,急性期の破局的状況にある大動脈瘤破裂や大動脈解離の治療よりも成績ははるかに良好だ」と述べている。
同ガイドラインは,米国胸部外科学会(AATS),米国放射線学会(ACR),米国脳卒中協会(ASA),心血管麻酔学会(SCA),心血管造影・インターベンション学会(SCAI),インターベンショナルラジオロジー学会(SIR),米国胸部外科医学会(STS),血管内科学会(SVM)が共同で作成したもの。
米国救急医学会(ACEP)と米国内科医学会(ACP)の代表も執筆委員会に参加した。
共同研究者でミシガン大学(ミシガン州アナーバー)心血管センターのKim A. Eagle所長は「近年の科学的および臨床的進歩が,大動脈解離や大動脈瘤を含むTADの臨床ガイドライン作成への原動力となった」とし,「現在,TADの遺伝的素因に関する理解が深まり,この領域での知見が集積されつつある。非侵襲的な画像診断法も急速に進歩し,薬剤療法は格段によくなっている。麻酔下での開胸手術の技術も劇的に進歩し,患者によってはカテーテルを用いた侵襲性が最も低い血管内治療で対処可能になってきた」と説明している。
症状ベースの診断は困難
大動脈瘤は大動脈の一部が膨張し,その部位の血管の直径が50%以上拡張した状態である。
これに伴い大動脈壁は非常に薄くなるが,大動脈瘤を有する患者は瘤が破裂するまで無症状であることも少なくない。
大動脈解離では大動脈の内膜が裂けることにより血液が中膜に侵入し,その結果つくられる偽腔を介して血液が流れる。
この偽腔には全身からの血液供給の一部が流れ込むことになる。
古典的な症状に,胸,背中,肩,腹部に生じる突然の激痛がある。しかし,明確な症状を呈さない患者も多く,診断が困難なこともある。
大動脈破裂の場合は大動脈壁の3層がすべて破裂し,体内で大量出血する。
TADの危険因子には,
(1)コントロール不良の高血圧
(2)加齢
(3)男性
(4)動脈硬化
(5)血管に障害を与える炎症性疾患
(6)結合組織の脆弱化をもたらすマルファン症候群などの遺伝性疾患
-がある。
大動脈二尖弁を有する者も大動脈瘤のリスクが高い。
また,妊娠,重量挙げなど身体に過度の負担をかけるもの,コカイン使用などは大動脈解離リスクを上昇させることが知られている。
家族歴の重要性を強調
TADに家族性が認められる傾向にあるという点は特に重要で,家族歴の聴取は,未診断のTAD症例の発見に重要な手がかりとなる。
患者は大動脈瘤や大動脈解離,あるいは破裂の家族歴についてだけでなく,原因不明の突然死の家族歴についても医師に伝える必要がある。
Eagle所長は「家族歴は非常に重要だ。心血管虚脱(cardiovascular collapse)は心筋梗塞だけでなく,突然で破局的な大動脈解離によって生じることもあるからだ」と述べている。
ガイドラインの要点は以下の通り。
(1)TADの発見および将来リスクの評価には,CT,MRI,場合によっては超音波を用いて胸部大動脈の画像検査を試みるべきで,胸部X線撮影のみでは不十分である
(2)TADリスクを伴う遺伝性疾患を有する患者は,診断時に画像検査で大動脈のサイズを評価し,その後は定期的にフォローアップ検査を受けるべきである
(3)大動脈二尖弁の患者に対しては,大動脈が拡大していないかどうかの評価を行う
(4)急性大動脈解離の症状は心筋梗塞などの胸痛と似ており,しばしばそれが迅速な診断の妨げとなることがあり,その結果,救命治療が遅れる可能性がある。
医師は病歴や家族歴,疼痛の種類やパターンを聴取し,患者を診察する際,大動脈解離を念頭に置くべきである
(5)上行大動脈に解離が及ぶ場合は致死的で,外科的治療を要する
(6)胸部下行大動脈の解離は,生命を脅かす合併症がなければ,血圧や心拍を管理する薬剤で治療が可能なことも多い。
薬剤治療にはこのほか,血中コレステロール値を下げるためにスタチン系薬が追加されることもある
(7)胸部下行大動脈の解離や大動脈瘤に対しては,最も侵襲性の低い手技である血管内治療が選択肢となる患者もいる
(8)胸部大動脈瘤あるいは解離,もしくは大動脈二尖弁を持つ患者の近親者は全員,心血管専門医の診察を受け,画像検査で大動脈のサイズを測定し,無症候性疾患の有無を確認すべきである
社会的な治療体制の構築訴える
Hiratzka博士は,高リスク無症候性患者や,そのなかでも特に家族歴を理由に施行される画像検査に対して,すべての保険会社が支払いに応じるわけではないことを指摘し,「画像検査によって救命できる可能性があるのだから,新しいガイドラインによってこの状況が変わることを期待する」と強調している。
患者集団と専門家集団の非営利連合であるTAD同盟を招集した米国マルファン財団のCarolyn Levering理事長は「大動脈疾患を有する者は,診断されて治療を受ければ,長く生きることができる。TAD同盟を招集したのは,幅広い国民キャンペーンにより医学認識を広め,新しいガイドラインの効果を最大限に拡大するためだ」としている。
出典 MT pro 2010.7.15
版権 メディカルトリビューン社
<番外編>
APPROACH
The Assessment on the Prevention of Progression by Rosiglitazone on Atherosclerosis in Diabetes Patients with Cardiovascular History
目的
心血管疾患既往を有する2型糖尿病患者において,インスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジンジオン系薬剤rosiglitazoneの冠動脈アテローム性動脈硬化進展に対する効果をスルホニル尿素(SU)薬のglipizideと比較する。
一次エンドポイントはインターベンションを施行していない冠動脈におけるアテローム容積率(PAV)の変化。
#コメント
2型糖尿病が心血管イベントの大きな危険因子になっていることは周知のことであり,随伴する高コレステロール血症や高血圧の治療がイベント抑制に有効であることは多くの臨床試験から明らかにされている。
一方,血糖コントロールによるイベント抑制については十分な有効性が示されていなかったが,近年メトホルミンやαグルコシダーゼ阻害薬(GI)などのインスリン分泌亢進型でない薬剤の有効性が示されている。
そこで,インスリン感受性亢進型のチアゾリジン(TZD)に期待が寄せられている。
ところが,最近のrosiglitazone(ROSI)を用いた試験のメタ解析では,むしろROSI使用群で心筋梗塞の危険度が高まるということから問題となっているところである。
一方のpioglitazone(PIO)ではPROactiveという試験で,サブ解析ながら有効性を示している。
本論文では,ROSIの問題を克服すべくIVUSによるイメージ試験でROSIとSU剤の比較試験を行っているが,やはりROSIの有効性を示すことができなかった。
いくつかの問題があるものと思われる。確かにROSI群で若干のプラーク容積の減少がもたらされたものの,有意性が示しえなかった。
検出力の問題があるかもしれない。
いずれにしてもTZDの効果が抗炎症,内皮機能の改善というところにあるとすれば,大規模な心血管イベントに対する本格的な臨床試験を行うしかないのではなかろうか?
ただし,様々な確立された治療法が出てきた現状ではイベント発症率が低下しており,この手の試験は困難であり,方法論を検討する必要があるであろう。
(帝京大学・寺本民生教授)
結論
アテローム性動脈硬化を合併した2型糖尿病患者において,glipizideと比べたrosiglitazoneの有意な冠動脈アテローム性動脈硬化の進展の抑制効果は認められなかった。
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2003242.html

2010.7.18撮影 晴天、暑い1日でした。
(国立新美術館 オルセー美術館展2010)
<自遊時間 その1>
2010年7月20日、アポロ11号による人類初の有人月面着陸成功から41年が経過しました。
つまり1969年7月20日の出来事です。
その時、先生方はどんな思い出がありますか。
まだ生まれてみえない先生もきっといるんでしょうね。
Adamo - À demain sur la lune (1969)
http://www.youtube.com/watch?
v=oTyZ0IM8ivw&feature=related
CARAVELLI~ADEMAIN SUR LA LUNE~明日は月の上で
http://www.youtube.com/watch?v=e_8aT1CGWr0
FRANK POURCEL-A Demain Sur La Lune フランク・プゥルセル~明日は月の上で
http://www.youtube.com/watch?v=sCOyzY8KBOc&feature=related
<自遊時間 その2>
昨夜遅くたまたま「救命医ハンク」というドラマをTVで観ました。
早い展開に思わず最後まで観てしまいました。
なかなか面白そうです。
ちょっとハマってしまいました。
救命医ハンク セレブ診療ファイル [全12話]
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/060470001/
その他
CTOについては
慢性完全閉塞(CTO)
http://blog.m3.com/reed/20070919/1
j-CypherとJ-CTO
http://blog.m3.com/reed/20090320/j-Cypher_J-CTO
でもとりあげました。
きょうは第15回日本血管内治療学会でのCTOに関するパネルディスカッションの記事で勉強しました。
CTOに対する血管内治療はどこまで進んだか
血管内治療領域では,治療手技の進歩や器具の改良により,従来難しいとされてきた慢性完全閉塞(CTO)に対してもカテーテル治療が施行されるようになっている。
しかし,血管内治療の急速な普及とともに,適応の拡大に伴う問題点も指摘されている。
東京都で開かれた第15回日本血管内治療学会(会長=慶應義塾大学放射線科学・栗林幸夫教授)のパネルディスカッション「タフなCTOには,こうして立ち向かえ」(座長=日本医科大学循環器内科・水野杏一教授,日本大学放射線科・高橋元一郎教授)から,冠動脈,大腿膝窩動脈,腸骨動脈についての報告を紹介する。
〜冠動脈〜 事前の十分な検討で適切な選択を
冠動脈CTOに対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の成功率は依然として術者の技量に依存する部分が少なくないとされる。
大阪警察病院心臓センター循環器科の松尾浩志氏は「CTOに対するPCIの適応については事前に十分検討を行う必要がある」と指摘した。
#MSCTとガイドワイヤが寄与
松尾氏は冒頭,「高い穿通性を有するガイドワイヤといった器具の発達,逆行性アプローチなど手技の習熟により,CTOに対するPCIの初期成績は大きく改善した」と説明。
さらに,薬剤溶出ステント(DES)の登場により再狭窄が大幅に減少し,長期開存が望めるようにもなった。
しかし,CTOへのPCIでは通常のPCIとは異なる合併症(冠動脈穿孔や偽腔形成など)が起こるケースがある。
どうしても手技時間が長くなるため,造影剤の量が多くなることによる造影剤腎症,放射線照射量が増えることによる皮膚障害なども同氏らは実際に経験しているという。
同氏は「CTOに対するPCIの成功率は,依然として術者の技量に依存する部分が少なくない。昨今施行されている逆行性アプローチに関しても,経験豊富な施設はいまだに多くない。したがって,CTOに対するPCIの適応については十分検討する必要がある。適切な選択が行われ,成功した場合にこそ,患者に症状や予後の改善といった恩恵がもたらされる」との考えを示した。
同院では現在,順行性アプローチにより成功率を上げることを目指している。
術前に冠動脈造影CT(マルチスライスCT:MSCT)を施行するが,その利点は,
(1)閉塞部位の走行が3次元的に捉えられる
(2)閉塞部位より末梢の血管構築が把握できる
(3)閉塞長・血管径とともに病変性状もわかる
―ことで,治療戦略を決めるうえでの判断材料になるという。
例えば,左前下行枝のCTO症例は部分的に高度石灰化が見られ,末梢血管の血流もほとんどないと判断,慎重に治療を実施した。
最初,ガイドワイヤはEEL intermediateを用いたが,途中で石灰化に阻まれ,Miracle 3.0に変更。マイクロカテーテルもFinecrossからTornusに替えて進め,ステント留置に成功した。
同院ではCTOの成功率が今年は9割超と年々上昇しているが,同氏はその背景にあるものとして,冠動脈造影CTの導入とワイヤ選択の変化を挙げた。
ちなみに,病理学的にはCTOの約3割で閉塞内部に順行性のマイクロチャネルが存在するとされている。
同チャネルは最小のもので0.3mm程度だが,現在は直径0.25mmのガイドワイヤもあり,再開通させることができるという。
最後に,同氏は「MSCTにより,造影剤の入る腔だけでなく閉塞した血管や周囲の構造物も同時に描出されるため,術前に難易度を予測したり使用デバイスを選択したりすることが可能となる。MSCTの時間分解能や空間分解能がさらに向上すれば,CTOのPCI成功率もより高まることが期待できる」と締めくくった。
〜大腿膝窩動脈〜
1次開存率は不良のため,適応は慎重に
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター(石川県)心臓血管外科の笠島史成氏は,大腿膝窩動脈CTOに対するステント留置術について「現時点では初期成績はよいが長期成績は悪い。
1次開存率も不良のため,末梢動脈疾患の管理に関する国際的ガイドライン(TASC)分類のB型病変であっても適応は慎重にすべき」と述べた。
TASC B・C型病変で開存率低い
同科で大腿膝窩動脈の閉塞病変にステント留置を行ったのは50例。Fontaine分類ではII度が約8割と多く,足関節上腕血圧比(ABPI)は平均0.46と低下していた。
病変長は平均55.6mmで,TASC分類ではB型病変が半分を占めた。
ステントは時期によって異なり,今回の検討ではWallstentが最も多かったが,最近はより新しいSMARTステントを使用しているという。
ガイドワイヤはRadifocusを基本とし,必要に応じて4Fストレートカテーテルを用いる。
どうしても貫通できない場合にのみ,内膜下血管形成を試みる。前拡張は3〜4mmのバルーンで低圧で行い,ステントは正常血管より1〜2mm大きいものを留置する。
中略
以上から,笠島氏は「1次開存率はやはり不良で,TASC分類のA型病変はまだ成績がよいが,B型病変,C型病変は悪い。したがって,B型病変であっても適応は慎重に決めるべき。C型病変に関しては救肢目的以外には適応はないのではないか」と指摘したうえで,「重要なのは,閉塞部位を通過させる手技ではなく,適応の見極めや合併症の回避,術後の厳重な経過観察である」と結んだ。
〜腸骨動脈〜
Pull-through法の併用で高い成功率
1980年代後半から腸骨動脈CTOに対して積極的に血管内治療を行ってきた奈良県立医科大学放射線科の吉川公彦教授は「pull-through法の併用により高い成功率が得られている」ことを明らかにした。
C・D型病変でも安全,確実に施行
血管内治療を実施した腸骨動脈CTO 166例(168病変)の分析では,病変長は平均10cmで,TASC分類で見るとB型病変30%,C型病変24%,D型病変46%と,長い区域の閉塞例が半数近くを占めていた。
ガイドワイヤの貫通法には,
(1)逆行性に進める
(2)cross-over法で順行性に進める
(3)順行性に進め反対側からの(逆行性)ガイドワイヤをつかみ取るpull-through法
―という3種類のテクニックがある(図)。

中略
ステント留置後の5年累積開存率は,1次開存率が88.7%,2次開存率が97.6%で,吉川教授は「長期的に見ても腸骨動脈の場合は十分な成績が得られている」との考えを示した。
合併症としては,初期の症例で塞栓症が3%に起こっていたが,これらはウロキナーゼ動注や血栓吸引により対応できているという。
同教授は「腸骨動脈CTOに対するステントを用いた血管内治療は,pull-through法の併用により高い成功率が得られ,TASC分類C・D型病変でも安全かつ確実に治療できることが示唆された」と結論。ただし,総大腿動脈病変を合併している例に関しては,外科手術とステント治療の併用が適応であろうと付言した。
出典 MT pro 2009.9.3
版権 メディカル・トリビューン社
<きょうの一曲> "LULLABY OF BIRDLAND"
Chris Connor - "LULLABY OF BIRDLAND"
http://www.youtube.com/watch?v=KkiVkinGx8U&hl=ja

http://www.upopvocal.com/lullaby.html
#米のジャズ歌手、クリス・コナーさん死去
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、クリス・コナーさん(米国の女性ジャズ歌手)が8月29日、がんのため米ニュージャージー州で死去、81歳。
ミズーリ州出身。スタン・ケントン楽団に参加した後、独立。恋に焦がれる女心をハスキーな声で切々と歌って人気を博し、50年代から60年代にかけて活躍した。
「バードランドの子守唄(うた)」などが代表曲として知られる。
一時は舞台から遠のいたが、80年にカムバックを果たし、03年のアルバムが最後となった。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0902/TKY200909020186.html
出典 asahi.com 2009年9月2日13時34分
版権 朝日新聞社
<コメント>
医学生時代、下宿で何度もレコードを擦り切れるほど聴いていました。
私にとって懐かしいジャズ歌手です。
その他