CABGとPCIの選択に関する推奨事項を提示
ACCF/AHAがCABGガイドライン2011を発表
米国心臓病学会財団(ACCF)と米国心臓協会(AHA)は,冠動脈バイパス術(CABG)施行時の患者管理に関するガイドラインを改訂し,Journal of the American College of Cardiology(2011; オンライン版)に発表した。
この2011年版ガイドラインでは,冠動脈血行再建術におけるCABGと経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の選択に関する推奨事項が盛り込まれている。
2つのガイドライン委員会が共同執筆
今回のガイドラインの作成に当たっては,CABGガイドラインとPCIガイドラインの作成委員会が協力体制を組み,合同で冠動脈疾患(CAD)患者の血行再建術に用いられるCABGとPCIの治療選択について検討している。
2つのガイドライン作成委員会が,共同で同じ項目の執筆に当たるのは初めてである。
2011年版CABGガイドラインの発表と同時期に,ACCFとAHA,米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)は2011年版PCIガイドラインを発表しているが,このPCIガイドラインにもCABGとPCIの治療選択に関する推奨事項が盛り込まれている。
CABGガイドライン作成委員会のL. David Hillis委員長によると,2011年版CABGガイドラインは「どのような患者が血行再建術を受けるのか」,「CABGとPCIのどちらが適している のか」という臨床医の疑問に答えるもので,2004年にガイドラインが発表されて以来,PCI対CABGという議論が熱を帯びていることから「医師の関心 が高いと考えた」と述べている。
同委員長は,近年,PCIの施行例が増えているが,PCIかCABGかという選択は年々複雑さを増していると指摘。「過去10年間に,PCIの技術が向上してきたことから,10~15年前であれば適応ではなかった症例に対してもPCIが行われるようになってきた。PCIの技術が成熟するに従って処置も向上し,術者が経験を積むのに従って,手技も向上している」と述べている。
例えば,左冠動脈主幹部病変を有するCADに対する標準治療は,10年前であればCABGだったが,冠動脈の解剖学的所見によってはPCIが可能で,現在ではPCIの施行例が増加しているという。
今回のガイドラインでは,左冠動脈主幹部病変を有する安定CAD患者で,PCIの合併症リスクが低い場合や手術による有害アウトカムリスクが上昇している場合には,PCIがCABGの代替術式として推奨されると明記された。
一方,3枝病変を有する大部分の患者に対しては,薬物療法あるいはPCIと比べて,CABGの方が優れていることが明記されている。
インターベンション専門医と心臓外科医の連携を推奨
今回のガイドラインでは,術式の選択に際して“ハートチーム”によるアプローチを推奨している。
このアプローチは,インターベンション専門医や心臓外科医から成るハートチームが,患者や冠動脈の状態を精査し,それぞれの治療選択肢の良い面と悪い面を評価して,患者にその情報を伝え,患者の意思決定を支援するというものである。
CABGガイドライン作成委員会のPeter K. Smith副委員長は「外科医と心臓専門医が協働することで,最適な推奨を行えるというハートチームによるアプローチの有効性は,ランダム化比較試験で証 明されており,今回のガイドラインでは,このようなアプローチを診療の場に導入することを支持している」とコメントしている。
糖尿病合併患者に対するCABGの適応にも言及
今回のガイドラインではCABGかPCIかという術式選択のほかに,オフポンプCABGか,従来のオンポンプCABGかといったバイパスグラフト導管の適切な選択や,糖尿病合併例のような特定の患者に対するCABGの適応などについても盛り込まれている。
そのほか,改訂ガイドラインでは周術期管理についても言及しており,術前術後の抗血小板療法や心臓リハビリテーション,禁煙の実行に関する推奨も明記されている。
今回のガイドラインは,過去10年間に発表された論文を対象に行われた文献レビューに基づいて改訂されている。
なお,このガイドラインではACCFとAHAが新たに導入した「委員長を含む作成委員のうち50%超が関連産業と関係がないこと」とする方針に基づいて作成された。
出典 Medical Tribune 2012.2.9
版権 メディカル・トリビューン社
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