戯れ言たれる侏儒
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胸郭内インピーダンスは心室性不整脈イベント予測にも有用
胸郭内の電気抵抗を評価するデバイスが登場
心機能の悪化に伴い同期不全が生じると,心不全がさらに進行し,不整脈イベントの発生リスクも高まる-重症心不全で多く見られるそのような悪循環に対して,両室ペーシング機能を有する心臓再同期療法(CRT)や除細動機能も有するCRT-Dが臨床効果を上げてきた。
さらに2007年には,胸郭内の電気抵抗(胸郭内インピーダンス)を評価する機能を搭載したCRT-Dが登場。
心不全の悪化徴候をいち早くとらえることができるようになった。
筑波大学大学院循環器病態医学分野の関口幸夫講師は,国際多施設研究Concerto-ATのコホートを後ろ向きに解析し,CRT-Dに搭載された胸郭内インピーダンスの測定で閾値を超えた変化が生じた場合には,心不全の悪化だけでなく,心室性不整脈の発生リスクも高いことを明らかにした(Circ J 2011; 75: 2614-2620)。
 
未確立の指標でも臨床的意義は高い
胸郭内インピーダンスは胸郭内の電気抵抗のことで,前胸部に留置されたデバイス本体と右室内に挿入されたリードのコイル電極間の抵抗を測定した値だ(図1)。
肺に水がたまると電気伝導性が高まる原理を利用して肺うっ血の徴候をとらえるものだが,胸郭内の電気抵抗は,肺炎や胸部の傷害といった他の影響も受けるため,心不全以外の症状も反映してしまうことがある。
 

図表

 
OptiVol®はメドトロニック社が開発した胸郭内インピーダンスのモニター装置で,CRT-Dや植え込み型除細動器 (ICD),ペースメーカにも搭載されている。
このOptiVolでは,植え込み後30日間の胸郭内インピーダンス測定値を参考値として,30~34日の間に正常範囲が設定される。
これが完了すると,毎日心機能が比較的安定している12時~17時の間,20分ごとに計測が行われ,閾値を超えると警告される仕組みになっている。

胸郭内インピーダンスは,このように,一般医や患者が測定できる血圧や左室駆出率などとは異なり,仕組みも閾値の設定も複雑な未確立の指標といえる。
それでも,注目されるのはなぜか。
 
CRT-Dが植え込まれる重症心不全患者は,致死性不整脈の発生リスクも高く管理が難しい状態にある。
うっ血などの心不全症状の悪化は不整脈を誘発しやすい重要な徴候であるが,これまで心不全の悪化を評価できる機能はデバイスに備わっていなかった。
「OptiVolが登場して,胸郭内インピーダンスが測定できるようになったことは,重症心不全に向き合う臨床医にとって画期的なことであった」と関口氏は言う。
 
心室性不整脈イベントは閾値超後早期に多発
Concerto-AT研究は,日米欧41施設でOptiVol機能を有するCRT-Dが植え込まれた282例を対象に,慢性重症心不全における心房への電気的除細動の有用性を示した前向きコホート研究だ(Pacing Clin Electrophysiol 2009; 32: 13)。
関口講師らは「OptiVolで評価される心不全悪化の徴候は,不整脈イベントにもつながっている」という仮説を証明すべく,このコホートの後ろ向き解析を行った。
対象患者282例は男性が7割,平均年齢68.3歳,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ度が93%,Ⅳ度が7%の重症心不 全群だった。

CRT-D植え込み後の平均観察期間は10カ月。
OptiVolによる胸郭内インピーダンスの測定で閾値を超えたのは145例(51%)221件で,正常範囲内で推移したのは137例だった。
この閾値を超えた閾値逸脱群と正常範囲群に分け,頻脈性不整脈発生率を比較した。
 
その結果,全体で発生した頻脈性不整脈は129例(46%)4,725件で,うち閾値逸脱群(145例)では3,241件のイベントが発生しており,正常範囲群(137例)の1,484件に比べて有意に多く発生した(P<0.0001)。
また,心室性不整脈と心房性不整脈の内訳を見ると,ともに閾値逸脱群の方が正常範囲群よりも発生が有意に多くなっていた()。
 

図表

 
さらに,閾値を超えた後に発生した不整脈イベントを抽出し,発生時期を確認したところ,心室性不整脈イベントについては,閾値を超えてから1カ月以内の発生数がそれ以降の発生数より有意に多くなっており(図2),閾値逸脱後早期に起こりうる心室性不整脈の発生に注意を要することが示された。
 

図表

 
同講師は「胸郭内インピーダンスの閾値を超えた患者では,まず心不全の悪化が予測されるが,その際には心室性不整脈のリスクも認識すべきことが分かっ た」と述べる。
具体的な対応としては,利尿薬の追加や塩分摂取の減量などで体循環の血液量を減少させることが重要になるという。
つまり,心不全の進行をより厳格に食い止めることで,不整脈イベントも抑制できるということだ。
同講師は,現在の閾値設定の妥当性の検証や,心不全の予測能を高める方法の開発が今後の課題であると指摘している。

出典 Medical Tribune  2011.11.24
版権 メディカル・トリビューン社
 
<自遊時間>
自覚症状や体重変化との関係はどうなのでしょうか。
欧米の臨床研究では、こういった知見を日常臨床にフィードバックさせる手法をしばしば用いています。
少なくとも、こういった「物入り」な装置を使用する限りは、従来の手法(自覚症状はもちろん体重変化や尿量チェックなど) よりはるかに鋭敏でかつ有用でなければいけないと思うのですが。
 
 
 

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