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近親者との死別が急性心筋梗塞を誘発,死別後1日以内では21倍AMIサバイバー約2,000例対象研究急性心筋梗塞(AMI)の引き金としては,寒さや排便時のいきみなどがよく知られている。しかし,米ハーバード大学ベスイスラエル医療センターのMurray A. Mittleman氏らがAMIサバイバー1,985例を対象に研究を行ったところ,親や配偶者など近親者との死別後1日以内のAMI発症リスクが通常と比べて約21倍高いことが認められたという(Circulation 2012年1月9日オンライン版)。 死別後1週間でも発生率比は約6倍Mittleman氏らは,1989〜94年に米国内の45施設(地域病院22,三次医療センター23)においてAMIによる入院患者1,985例(うち女性590例,平均年齢61.6歳)を対象に行われた面接結果を基に,AMI発症と近親者の死別との関連を検討した。 近親者の死について正確な報告が可能であり,対象者の健康データが安定的に維持されることから,同氏らは死別後6カ月までを対象期間とした。 AMI発症6カ月以前に1人以上の近親者(親,児,同胞,配偶者など)と死別していたのは,1,985例中270例(13.6%)であった。このうち死別後1週間以内のAMI発症を見ると,1日以内が19例,1〜2日が7例,2〜3日が5例,4〜7日が21例であった。 死別後の実際のAMI発症と対象者の個別データに基づくAMI発症の期待度数を比較し,AMIの発生率比(IRR)を求めた。その結果,死別後1 日以内では21.1(95%CI,13.1〜34.1)と最も高く,その後は徐々に減少し1週間後では5.8(同3.7〜9.2)であったが,1カ月後までは有意に高かった(図)。
医療者による遺族らへの注意喚起訴える上記の結果から,フラミンガムリスクスコアに基づき,近親者との死別後1日および1週間におけるAMI発症の絶対リスクをリスク度別に求めた。その結果,死別後1日では,低リスクは3,543曝露例当たり1超,中等リスクは1,725曝露例当たり1超,高リスクは815曝露例当たり1超であった。 同様に,死別後1週間では,低リスクは1,394例当たり1超,中等リスクは678曝露例当たり1超,高リスクは320曝露例当たり1超であった。 また,年齢,性,身体活動頻度,冠動脈疾患(CAD)既往歴でも検討したが,有意差は認められなかった。 Mittleman氏らによれば,これまでは不安神経症やうつ病などのストレスが心血管系イベントの引き金となる可能性を指摘する研究報告が中心であったが,同氏らの研究は近親者の死別がAMIを引き起こすか否かを検討した初めてのものであるという。「近親者の死別によるAMIの発症は少数ではあるが,死別後1週間における絶対リスクは無視できる数字ではない」として,医療者による遺族らへの注意喚起の重要性を訴えている。 (松浦 庸夫)出典 MT Pro 2012.1.11
版権 メディカル・トリビューン社 <関連サイト>近親死が健康アウトカムに影響 超過死亡リスクと相関 ユトレヒト大学(オランダ・ユトレヒト)心理学科のMargaret Stroebe博士らは,近親者との死別(近親死)の健康アウトカム(予後)への影響に関する総説をLancet(2007; 370: 1960-1973)に発表し,そのなかで「近親死はとりわけその数週ないし数か月後まで超過死亡リスクと相関している。また,身体的健康の悪化とも関連している。さらに,死別後のさまざまな心理的反応について報告が行われており,少数ではあるが死者に対する深い悲しみにより精神障害や合併症が生じることもある」と述べている。 研究の大半は配偶者との死別 Stroebe博士は,心理的介入プログラムの効果について「介入は高リスク群や,うつ病・ストレス障害を伴う死別の過程や複雑な悲嘆を経験した人に的を絞るべきである。一般に専門家による心理的介入は,単純な悲嘆を経験した人に対しては正当性も効果も示さない」と説明している。悲嘆は死別において正常で自然なことであり,ほとんどの反応は複雑な悲嘆ではない。死別は大切な人との死亡による離別と定義される。
大半の人は悲嘆の後に精神的に回復する。同博士らは「死別はほとんどの人を苦しめる経験で,日常生活に大きな混乱を引き起こす。この経験は人々の心を混 乱させるが,許容範囲内であるため,時間とともに和らいでいく。多くの場合,家族や友人,宗教や地域のグループなどが支援してくれる」と述べている。死別 に関する研究は世界中で行われているが,その多くは米国,欧州,オーストラリアで行われた。
同博士らは「いくつかのサブグループは,とりわけ死別に関連する健康アウトカムが悪い。死別への順応には数か月から数年を要するが,個人や文化の違いで大きく変動する」と述べている。
配偶者との死別の影響については多くの研究がある。喪失による心理的苦悩と孤独感だけでなく,社会的なつながり,暮らし方,食習慣,経済的支援にも変化が生じる。
潜在的に苦悩を抱えている人の複雑な関係を検討した複数の研究から,早期の超過死亡リスクが示され,一部の研究でこのリスクが6か月以上も持続することが認められている。
短期間のうちに死別を経験した人は,長い時間をかけて死別した人に比べ死亡リスクが大きく,高リスクが長期間持続する。特に,アルコール関連疾患による死別や小児に先立たれた親の場合などで認められる。 超過死亡リスクは男性で高い サブグループ間には差異がある。超過死亡リスクは,妻と死別した男性のほうが逆のケースより高い。妻と死別した男性の場合,死亡リスクの増加は飲酒量の増加や,妻の喪失に対する深い悲しみに関連している。
研究では,配偶者との死別が自殺を含めた死亡の増加に関連していることが示された。配偶者のいる場合に比べ,妻と死別した男性や未亡人の死因は,事故死,暴力的原因による死亡,アルコール関連の死亡がきわめて多く,慢性虚血性心疾患,肺がんについては中等度で,他の死因はこれらよりも少ないことを示した研究もある(Martikainen P & Valkonen T, Journal of Epidemiology and Community Health 1996; 50: 264-268)。
しかし,死別経験者の多くは生存していることを認識すべきである。Stroebe博士らは「55歳以上で死別から6か月以内に死亡したのは,妻と死別した男性は5%,配偶者のいる男性では3%と,もとから死亡率が低かった」と述べている。
ただし,死別を経験した人は,死亡率だけでなく障害,服薬,入院の比率も高まる。特異的な状況,症状には疼痛,頭痛,めまい,消化不良,胸痛,記憶障 害,栄養上の問題,体重減少などがある。また悲嘆が大きい人の多くは,医療的支援が必要なときにも医師を受診しない。また,自殺念慮,孤独,不眠,就業困 難,社会的機能不全なども見られる。 死別への反応は多様 カウンセリングや治療においては,死者を悼む作業のグリーフケアモデルが用いられる。これは,(1)喪失の現実を受け入れる(2)死別した苦痛を味わう (3)死別した相手のいない環境に順応する(4)自分の感情のなかで死別した相手を位置付け直し,生活を続ける―の4つの作業から成る。重要なことは,す べての人がこれら4つの作業を全部行うわけではなく,また順序を変えることもある。これらの作業を行うか無視するかは,個人的,文化的な差異にも影響される。
複雑な悲嘆は,米国精神医学会「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM)第5版」の診断の項で提案されている。Stroebe博士らによると,慢性的な 悲嘆は文化的社会的意味での通常の悲嘆経験からの逸脱と定義される。逸脱は時間経過に沿って,また強く現れる。慢性的でより激しい経験もあれば,反応の抑 制もありうる。反応の抑制としては,通常の症状の欠如や症状出現の遅延が特徴である。なんらかの反応が死別に伴う症候群に必須というわけではない。
一般に,死別への反応はきわめて多様である。感情的反応には抑うつ,不安,苦悩,自責,自分を非難する怒り,敵意,無快感,孤独感,思慕と切望,ショッ クと麻痺などがある。認知的反応には故人への思いに捕らわれること,介入的思案,拒絶,自己評価の低下,自己非難,困惑,自殺念慮,現実感,記憶力と集中 力の低下などがある。(以下略)出典 MT pro 2008.5.22,29版権 メディカル・トリビューン社<私的コメント>
とても読み切れないほどの長文になっています。得てして循環器医は(私を含めて)気の短い先生が多いような気がします。一体何が書いてあるんだろうかというのが正直な感想です。一番知りたいことは、こういった場合の急性心筋梗塞の誘因が果たして精神的なものなのか、過労による肉体的なものかということです。諸外国の葬儀については分かりませんが、少なくとも日本の場合は、長期間の看病疲れに強行な葬儀日程による極度な睡眠不足が追い打ちをかけます。その辺りの検討が不十分で隔靴掻痒です。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ (「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版) があります。
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