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閉経後のスタチン使用と糖尿病発症 >
豊橋ハートセンターのの寺島充康先生の、 DES留置後の血管内皮機能障害がテルミサルタンにより改善するかどうかをみた発表記事(AHA2010、シカゴ)で勉強しました。 DES留置後の血管内皮機能障害に対するテルミサルタンの効果DES留置後に局所の内皮機能障害が起こることは既に知られており、それが将来の心血管イベントと関連している可能性があります。Angiotensin Ⅱ Receptor Blocker(ARB)は内皮機能に有用な作用をもたらすことが報告されています。我々はその作用を検証することを目的に、ARBのクラスエフェクトに 加えて選択的PPARγ活性化作用を持つテルミサルタンを用いて、Ca拮抗薬のアムロジピンと比較検討する前向き無作為研究を行いました。
本研究では、シロリムス溶出ステント(SES)で治療予定の新規冠動脈病変を有する高血圧症を合併した安定型狭心症患者 51人を登録し、テルミサルタン治療群(25人)、又はアムロジピン治療群(26人)に無作為に割り付け、まずSES留置前にアセチルコリンとニトログリ セリンの冠動脈注入により内皮依存性、非依存性の血管反応を観察しました(〈 図1〉)。
冠動脈造影の48時間前から血管作動薬はすべて中断し、アセチルコリン冠注前のコントロール、アセチルコリン(10-7mol/Lと10-6mol/L)の冠注後、ニトログリセリン(200μg)の冠注後に冠動脈造影を行い、SESの遠位端の5mmから25mmの内腔径を定量的に計測し、この20mmのセグメントの平均内腔径を求めました。
SES留置前の評価において、アセチルコリン冠注によりテルミサルタン群の4例、アムロジピン群の5例に病変部位、あるいはその他の部位において有意な冠攣縮が誘発されたため除外し、テルミサルタン群、アムロジピン群、各々21例を対象とし、3ヶ月に再度アセチルコリンとニトログリセリンの冠注による血管反応を評価しました。 両群の患者背景、また登録時点でのARB/アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、Ca拮抗薬、βブロッカー、スタチン、経口糖尿病薬の使用率に有意な差を認めておりません。
追跡期間中、降圧薬として試験薬以外のARB/ACE阻害薬、あるいはCa拮抗薬の併用は禁止しており、スタチンによる内皮機能改善効果も考えられることから、背景を揃えるために試験薬開始と同時に全例にフルバスタチン30mg/日を投与しました。また追跡期間中、選択的PPARγ活性化作用のある糖尿病 治療薬、ピオグリタゾンは投与しておりません。
テルミサルタン群とアムロジピン群の冠動脈病変背景、あるいはカテーテル治療手技としては、標的血管にも差はなく、タイプB2/C病変の割合、病変毎のステント本数、ステント径、ステント長、並びに最終バルーン拡張圧にも両群の差はありませんでした。
テルミサルタン群でテルミサルタンの平均用量は78.1mg、アムロジピン群でアムロジピンの平均用量は7.9mgで、追跡期間中の併用薬物療法も両群に差はありませんでした。 結果ですが、治療前の収縮期/拡張期血圧、平均血圧、及び3ヶ月後の収縮期/拡張期血圧、平均血圧、更には3ヶ月間での血圧変化には両群の差はありませんでした。
ラボデータでは、テルミサルタン群とアムロジピン群のLDL-Cは治療前(113mg/dL vs 104mg/dL: p=0.33)、3ヶ月後(101mg/dL vs 111mg/dL: p=0.25)とも差はありませんでしたが、その変化量には有意差が確認されました(-11±21mg/dL vs 7±22mg/dL: p=0.01)。HDL-C、中性脂肪、hs-CRPについては治療前、3ヶ月後、及びその変化量に差はありませんでした。
空腹時血糖値、ヘモグロビンA1cについても、治療前、3ヶ月後、及びその変化量に両群間で差はありませんでした。ただ、興味深いことに、アディポネクチンは治療前と3ヶ月後に両群間で有意差はありませんでしたが、その変化量はアムロジピン群では-1.6±2.4μg/dLに対し、テルミサルタン群では 0.4±1.0μg/dLで、両群に有意差が認められ(p=0.02)、アムロジピン群ではアディポネクチンレベルが低下したのに対し、テルミサルタン群では維持されました。 冠動脈造影における評価で、SES留置前のコントロール、及びアセチルコリンとニトログリセリン冠注後の平均血管内腔径は両群で差を認めませんでした。ところが、3ヶ月後では両群でコントロールには差はなかったのですが、アセチルコリン10-7mol/L、及び10-6mol/L注入後の平均内腔径はアムロジピン群で有意に低値でした。その後のニトログリセリン冠注後の平均内腔径には両群に差は認めませんでした。
アセチルコリンに対する血管内皮依存性、ニトログリセリン対する内皮非依存性の血管反応の指標として、それぞれの薬剤冠注後の平均内腔径とコントロール造 影時の平均内腔径との比を算出しました(平均内腔径の変化率)。SES留置前では、アセチルコリン注入時、及びニトログリセリン注入時いずれの変化率にも 差を認めませんでしたが、3ヶ月後にはアセチルコリン注入時の変化率に両群で有意な差を認め、テルミサルタン群で低値でした(<図2>)。し かし、ニトログリセリン注入時の変化率には差を認めませんでした。
以上、高血圧を伴う安定型狭心症患者において、SES留置後の冠動脈内皮機能障害によって生じるアセチルコリンによる冠攣縮は、テルミサルタン治療 によりアムロジピン治療と比べて有意に緩和されました。治療期間でのアディポネクチンレベルの変化にも差を認めたことから、この効果はARBのclass effectに加えて、テルミサルタンの選択的PPARγ活性化作用も寄与した可能性が推測されます。これらから、高血圧を伴う狭心症患者のDES留置後 の内科的治療としてのテルミサルタンの血管内皮保護作用が示唆されました。https://www.tcross.co.jp/specialtopic2010_1/index.php <自遊時間>
ニコラウス・ステノ http://media.yucasee.jp/posts/index/10084 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/ (「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版) があります。
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