中年期の血圧変化がCVDのライフタイムリスクを決める米7研究70万人・年の分析結果米・ノースウエスタン大学のNorrina Allen氏らは,米国の7研究約70万人・年を分析した結果,中年期の血圧の上昇が心血管疾患(CVD)のライフタイムリスク(死亡までに発症する絶対 累積リスク)に大きなインパクトを与えており,41~55歳の間に正常血圧を維持したか正常血圧に低下した群でリスクが低く,55歳までに高血圧を起こし た群でリスクが高かったと報告した(Circulation 2011年12月19日オンライン版)。中年期において高血圧の発症を防ぐか遅らせることが,CVDを予防する上で重要と指摘している。 55歳で高血圧なら85歳までに最大で男性7割,女性5割がCVD発症Allen氏らは,追跡期間10年以上のコホート研究を集めたCardiovascular Lifetime Risk Pooling Projectのデータを用い,研究条件に適合した7研究の6万1,585人を対象に,55歳時から心血管疾患の発症または死亡まで69万5,394人・ 年追跡した。 血圧のカテゴリーは,米国合同委員会第7次報告(JNC-7)にのっとり,正常血圧120mm/80mmHg未満,前高血圧:120~139 /80~89mmHg,ステージ1高血圧:140~159/90~99mmHg,ステージ2高血圧:160/100mmHg以上,とした。 その結果,CVDのライフタイムリスクは男性52.5%(95%CI 51.3~53.7%),女性39.9%(同38.4~41.0%)で,冠動脈疾患(CHD)については男性30.9% (同29.8~31.9%),女性17.5%(同16.6~18.3%),脳卒中については男性11.2%(同10.3~12.1%),女性14.7% (同13.6~15.8%)だった。 55歳時の正常血圧は男性25.7%,女性40.8%で,前高血圧は男性49.7%,女性47.5%だった。各疾患のライフタイムリスクは男女ともに血圧のカテゴリーが高いほど増加していた。 血圧のカテゴリーが高いほどCVDのライフタイムリスクが8%に達する年齢は低下した。特にアフリカ系米国人女性においては,血圧のカテゴリーが最も低い群と高い群でCVD 9年,脳卒中21年という開きがあった。同じ血圧カテゴリーではアフリカ系米国人は白人より8%を超える年齢が低かった。 平均41~55歳の中年期に,半数は血圧カテゴリーが変わらなかった。血圧カテゴリーは男性では約20%が低下し,約30%は上昇。女性では約40%は上昇し,約10%のみ低下しており,女性で中年期の血圧上昇が目立った。 男女ともにその間正常血圧を維持しているか正常血圧に下がった群でCVDのライフタイムリスクが最も低く(21.8~41.0%)で,正常血圧を 維持あるいは正常血圧に低下した群の間ではライフタイムリスクは同等だった。それに対し,55歳までに高血圧を発症するか,高血圧が続いていた場合はリス クが最も高く,男性では最大69.0%,女性では最大49.4%が85歳までにCVDを発症すると見積もられた(表)。
血圧の経時的変化をリスクの個別化,予防戦略に取り入れるべきなお,この期間を通して高血圧だった男性は脳卒中のリスクが高く,高血圧に移行した男性はCVD,CHDのリスクが高かった。一方,女性はこの間に高血圧に移行した場合脳卒中のリスクが高く,高血圧が続いた場合CVD,CHDのリスクが高い傾向があった。 Allen氏らは「CVDのリスクは高血圧の期間の長さに依存することが示唆された」とし,血圧の測定値のみならず経時的血圧変化をリスクの個別化,CVDの予防戦略に取り入れることが有用としている。 (木下 愛美) 出典 MT pro 2011.12.26
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