~evacetrapibの第Ⅱ相試験~ 優れた脂質改善効果が明らかに
HDLコレステロール(HDL-C)値の上昇を目指す治療が模索される中,期待を集めているのがコレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬だ。
クリーブランド・クリニック臨床研究調整センター(オハイオ州クリーブランド)のStephen J. Nicholls部長らは,新規CETP阻害薬evacetrapibが,懸念される血圧上昇などを来すことなく,HDL-C値を著明に上昇させ,LDL コレステロール(LDL-C)値を低下させることを,第Ⅱ相試験としてオーランドで開かれた第84回米国心臓協会年次集会(AHA 2011)で明らかにした。
結果の詳細はJAMA(2011; 306: 2099)に報告された。
500mg/日群でHDL-C 128.8%上昇,LDL-C 35.9%低下
対象は,18歳以上で食事療法と脂質改善薬のウオッシュアウト後に,低HDL-C(男性45mg/dL,女性50mg/dL未満),または高LDL- C(100mg/dL以上,上限はリスク別に130~190mg/dL),トリグリセライド(TG)400mg/dL未満の脂質異常症患者。
欧米の70施 設から393例が登録され,
(1)evacetrapib単剤療法(プラセボと同薬30mg,100mg,500 mg/日の4群)
(2)スタチン併用療法(アトルバスタチン20mg,シンバスタチン40mg,ロスバスタチン10mg+プラセボまたは evacetrapib 100mg/日の6群)
-にランダムに割り付け,二重盲検で12週間追跡した。登録時の背景因子は各群同様で,平均年齢58.3歳,女性が56%,平均 LDL-C 144.3mg/dL,同HDL-C 55.1mg/dLだった。
単剤療法でのベースラインからの脂質変化は,HDL-Cがプラセボ群0.7mg/dL低下に対し,evacetrapib群では用量依存性に30.0mg/dL,50.9mg/dL,66.0mg/dL上昇した。
1次評価項目はベースラインからのHDL-CとLDL-Cの変化率で,HDL-C変化率はプラセボ群の−3.0%に対し,evacetrapib群では 用量依存性に53.6%,94.6%,128.8%と増大した(各P<0.001)。
一方,LDL-C変化率はプラセボ群の3.9%増大に対 し,evacetrapib群では用量依存性に有意な減少を示し,500mg/日群では−35.9%に及んだ(各P<0.001)。
臨床現場で頻用されるスタチン3種との併用療法では,evacetrapib併用群のHDL-C変化率は79.9~94.0%,LDL-C変化率も −46.1~−52.3%で,evacetrapib併用によりHDL-C上昇(P<0.001)とLDL-C低下(P<0.01)の増強が認められた。
安全性評価では,evacetrapib単独/併用群で有意な血圧上昇,鉱質コルチコイド作用などの有害作用や重篤な有害事象の増加はなく,忍容性も良好だった。
有用性高い対象の解明が課題
指定討論者でペンシルベニア大学内科・薬理学(ペンシルベニア州フィラデルフィア)のDaniel J. Rader教授は,HDL-C上昇が心血管イベントを減少するとの“HDL-C仮説”をCETP阻害薬が検証する可能性に期待を表明。今回の evacetrapibの用量によるCETP阻害率は50~90%だが,CETP阻害と心血管リスク減少との間に直線的関係が存在するかは不明であり,「心血管リスク減少のためのCETP至適阻害率の解明と,CETP阻害薬により最も恩恵を受ける対象集団を明らかにすることが今後の課題だ」と展望した。
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