戯れ言たれる侏儒
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糖尿病患者の血圧管理

戯れ言たれる侏儒 / 2011.11.14 00:43 / 推薦数 : 0
埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科の片山茂裕教授の,高血圧合併糖尿病患者における血圧管理についての解説で勉強しました。
 
糖尿病患者の血圧管理
イベント抑制には厳格さが必要だが,過度の降圧には注意
糖尿病患者における高血圧の合併は,心血管疾患の発症率を2~3倍増加させ,また糖尿病腎症の進行を促進する。
一方,血圧を良好にコントロールすることで,心血管疾患の発症や糖尿病腎症の進行を抑制しうる。
近年,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)+利尿薬など各種合剤が使用可能となり,良好なコ ンプライアンスが期待できるようになり,血圧を厳格に管理しやすくなった。
一方,降圧目標に関して従来の130/80mmHg未満では低過ぎるのではないかとの意見が出され,波紋を呼んでいる。
 
高血圧合併糖尿病患者では3剤併用が必要なケースが多い
糖尿病患者では,高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)で定める降圧目標である130/80mmHg未満を達成しているケースは 20~30%ではないかといわれる。
その背景として,糖尿病患者では肥満などのため,単剤では降圧目標到達が困難な場合が少なくないことに加え,利尿薬の併用率も低いことが指摘されている。
JSH2009における糖尿病を合併する高血圧の治療計画では,血圧が130/80mmHg以上であれば,生活習慣の修正・血圧管理と同時に薬物療法を 開始し,第一選択薬としてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはARBが推奨されている。
さらに,効果不十分であれば用量を増量するか,Ca拮 抗薬または利尿薬を併用,それでも効果不十分であれば,3剤(ARBまたはACE阻害薬+Ca拮抗薬+利尿薬)を併用すると記されている。
  以下、一部略
 
日本人でARB+利尿薬とARB+Ca拮抗薬の比較試験が実施中
服用する薬剤の数が多くなると,コンプライアンスの低下が懸念される。
近年,ARB+利尿薬やARB+Ca拮抗薬といった合剤が使用可能となり,コンプライアンスの向上が期待できる。
降圧治療では,これまでわが国では利尿薬はあまり使用されていなかったが,ARB+利尿薬の合剤が登場したことで,利尿薬が投与されている患者が増加しつつある。ARBと利尿薬の併用は,両者の作用機序を増幅し,降圧効果の増強が期待できる。また,糖尿病患者では高血糖や肥満,腎機能低下などにより食塩感受性のケースが多い。ARBは圧利尿曲線が緩やかであるが,ARBと利尿薬を併用することで,圧利尿曲線が急峻化し,より高い降圧効果が得られる可能性がある
米国では,ACE阻害薬+利尿薬とACE阻害薬+Ca拮抗薬の併用による複合イベント発生率を比較したACCOMPLISH studyの成績が報告されている。
わが国でもARB+利尿薬とARB+Ca拮抗薬の心血管イベント抑制効果を比較検討するCOLM studyが現在進行中である。
 
降圧療法の普及・強化などにより糖尿病患者の透析導入例が減少
降圧療法により心血管疾患の発症や糖尿病腎症の進展が抑制されることは,多くの大規模臨床試験で証明されている。
また,55歳以上の糖尿病患者を対象としたADVANCE試験では,治療中に到達した血圧レベルの低下とともに腎イベント発生率が直線的に減少し,収縮期血圧(SBP)110mmHg未満,DBP 65mmHg未満で最低値となったことが報告されている。
さらに,ROADMAP試験では,ARBが微量アルブミン尿の発症を減少させるとの成績が得られており,降圧療法により糖尿病腎症の進展抑制だけでなく発症予防も可能と考えられる。
日本透析医学会の調査では,2010末時点における日本の慢性透析患者数は29万7,126人で,前年度より6,465人増加したが,患者数の増加は鈍化している。
また,糖尿病腎症を原因とする透析導入患者の割合は2008年度に初めて減少し,2010年度も再度減少した。患者数は2010年度に導入された総患者数3万7,532人の43.5%に当たる1万6,326人で,初めて前年度に比べて約600人減少した。
これらは降圧療法の普及・強化によるところが大きいと考えられる。
糖尿病腎症が進行すると血圧管理も難しくなることから,早期から厳格な血圧管理が重要である。
 
個々の患者の病態を考慮して降圧目標を決定
糖尿病患者における降圧目標は欧米のガイドラインにおいても,日本と同様に130/80mmHg未満とされている。
近年,この降圧目標が低過ぎるのではないかとの意見が出されている。
2010年に発表されたACCORD血圧試験における1次エンドポイント(非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心血管疾患による死亡)の年間発生率は厳格管理群(SBP 120mmHg未満を目標,開始4カ月後に119.3 mmHgに到達)1.87%,標準管理群(SBP 140mmHgを目標,開始4カ月後に133.5mmHgに到達)2.09%,ハザード比(HR)0.88で,有意差は認められなかった(ただし,脳卒中発症率はHR 0.59で,厳格管理群で有意に低下した)。
また,冠動脈疾患合併高血圧患者を追跡したINVEST試験では,糖尿病患者のサブ解析が報告された。
到達したSBP値別にイベント(全死亡,非致死性 心筋梗塞,非致死性脳卒中)発生率を比較したところ,厳格管理群(130mmHg未満)のイベント発生率は12.7%で,降圧不良群(140mmHg以 上,19.8%)より低かったものの,通常管理群(130~139mmHg,12.6%)とほぼ同等であった。
厳格管理群を詳細に検討したところ,110mmHg未満で全死亡のリスクが有意に上昇し,Jカーブ現象が認められた。
さらに,前述のROADMAP試験では,心血管疾患の発症率は2.9/1,000人・年と極めて低く,統計学的な検出力が足りず意味はないが,非致死性 心血管疾患発症率はARB群で3.6%(81例)とプラセボ群4.1%(91例)より低かったが,死亡率はARB群0.7%(15/2,232例)とプラ セボ群0.1%(3/2,215例)より高かった。
事後解析の結果,同試験の対象には冠動脈疾患の既往例が約25%含まれており,これらの症例のイベント発生前のSBP値別に解析したところ,122mmHg以下の群で心血管疾患による死亡率が高く,また登録時からイベント発生前までの血圧差が大きいほど死亡率が高い傾向が認められた。
これらの成績から欧州高血圧学会(ESH)は,2007年のガイドラインの再評価という形で,すべての高血圧における降圧は 130~139/80~85mmHgを目指し,できればその下限である130/80mmHgに近づけると記しているが,糖尿病患者については140 /90mmHg以上であれば降圧治療を開始するが,正常高値血圧での治療開始を勧めるエビデンスおよび130/80mmHg未満を降圧目標とするエビデン スとも十分ではなく,また実際の達成率も高くないことから,降圧目標値を明示せず「できるだけ降圧を図る」との表現にとどめている。
米国糖尿病学会(ADA)も2011年のClinical Practice Recommendationsでは,SBPはほとんどの患者で130mmHgを目指すが,個々の患者の病態に応じて決めるとしている(DBPは80mmHg未満を目指す)。
厳格な降圧によるイベント抑制効果について日本人を対象とした成績はないが,現在実施中のJ-DOIT3試験では診察室での随時血圧を指標に,通常治療群(130/80mmHg未満)と強化治療群(120/75mmHg未満)のイベント発生率が比較検討される予定である。日本人を対象とした 試験の結果が待たれるが,とりあえずは130/80mmHg未満を目指し,冠動脈疾患の既往など個々の患者の病態に合わせて血圧管理を行い,過度な血圧低下には十分注意すべきである。
出典 Medical Tribune  2011.11.10
版権 メディカル・トリビューン社
 
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
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があります。 

 
 
 

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