~緊急PCIと待機的PCI~ 米で適正な施行の割合に差
聖ルカ・ミッド米国心血管研究所(ミズーリ州カンザスシティー)のPaul S. Chan博士らは,50万件超の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)データを解析し,PCIの広範な適応の妥当性を検討した。
その結果,緊急PCIではほぼ全例が適正な施行理由を伴っていたのに対し,待機的PCIでは適正に施行されていたのは約半数のみであることが分かった。
詳細はJAMA(2011; 306: 53-61)に発表された。
6学会合同基準に基づいて分類
PCIは,バルーン血管形成術やステント留置を用いて狭窄した冠動脈を再開存させる手技である。
米国では年間約60万件のPCIが施行されており,総費 用は120億ドルを超えている。
PCI施行患者は,周術期合併症と長期の出血,ステント血栓症リスクにさらされる。
さらに,急性冠症候群を伴わない病状が安定した患者を対象とした最近の試験により,PCIによる症状緩和は薬物療法と比べ,人口平均値を若干改善するにすぎないことが示唆されている。
論文の背景説明では,PCIの費用と侵襲性の高さから判断すると,適正なPCIと不適正なPCIの施行範囲を把握することにより,PCIにおける質的改善,コスト削減が可能な領域を同定できるかもしれないとしている。
Chan博士らは「PCIに関するこれまでの研究は,PCIが現在のように進歩する以前に行われている。また,現在では多くの冠動脈血行再建術に関する臨床試験が実施されているが,これらの研究はそれ以前に実施されているものが多い」と指摘している。
2009年に米国の関連6学会は,PCIの合理的かつ賢明な適用を促進するために,冠動脈血行再建術の適正施行基準(Appropriateness Criteria for Coronary Revascularization)を合同で策定した。
今回の研究では,全米心血管データ登録より2009年7月から2010年9月の間に米国の 1,091施設でPCIを施行された患者のデータを抽出し,同基準に基づいて緊急PCIと待機的PCIのそれぞれで適応理由を「適正」,「不適正」,「適正性不明」の3通りに分類して定量化を試みた。
緊急PCIはST上昇型急性心筋梗塞(STEMI),非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI),高リスクの不 安定狭心症に対するPCI施行とし,待機的PCIと層別化した。
ST上昇は心筋梗塞心電図の特徴的所見の1つである。
不適切な施行の比率に施設間格差
計50万154件のPCI施行のうち,10万3,245件(20.6%)がSTEMI,10万5,708件(21.1%)がNSTEMI,14万 6,464件(29.3%)が高リスクの不安定狭心症,14万4,737件(28.9%)が緊急性の低い選択的PCIであった。
さらに,冠動脈血行再建術 の適正施行基準に基づくと,前3者の計35万5,417件(71.1%)が緊急PCI,後者の14万4,737件(28.9%)が非緊急PCIとなる。
緊急PCIの適応理由の58.8%を心筋梗塞が,残り41.2%を不安定狭心症が占めていた。
緊急PCI群は,そのほとんど(98.6%)が「適正」な適応に分類され,「適正性不明」は0.3%,「不適正」は1.1%であった。
一方,待機的 PCIで「適正」と分類されたのは50.4%にすぎず,38.0%が「適正性不明」,11.6%が「不適正」であった。
全体的に,「不適正」なPCIに分類された群では,「適正」または「適正性不明」に分類された群に比べ,狭心症状を伴わない患者や非侵襲的負荷試験で低リスクであった患者,狭心症治療が最適でなかった患者が多かった。
さらに,不適正な待機的PCI施行率には,施設により著明なばらつきが認められた。
四分位範囲による検討で,不適正なPCIの比率が最低四分位に属する施設では,不適正なPCIの施行率が6%未満であったのに対し,最高四分位に属する施設では16%を超えていた。
この解析結果は,同一病態の患者が別々の施設で治療を受けた場合,一方の施設では他方と比べ不適正なPCIが施行される確率が80%高まる可能性を示唆している。
Chan博士は「総合的に見て,今回の知見は緊急性の低い患者に対するPCI適応基準の検討と改善について,重要なきっかけを提供するものである」と指摘。
さらに「質的改善を図るためには,不適正なPCI施行を生み出している臨床的条件をさらに解明し,施設間の格差を是正することに焦点を合わせるべきで ある」とコメントしている。
出典 Medical Tribune 2011.10.20
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
■「先天性二尖弁」は日本人、欧米人ともに1~2%の割合で患者がいるといわれ、前カリフォルニア州知事で米俳優、アーノルド・シュワルツェネッガー(64)も手術を受けたことで知られる。
<関連サイト>
があります。
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