戯れ言たれる侏儒
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PCI前の至適薬物療法

戯れ言たれる侏儒 / 2011.10.22 00:37 / 推薦数 : 1
~PCI前の至適薬物療法~ 実際の施行は半数に満たず
コーネル大学Weill医学部(ニューヨーク)のWilliam B. Borden博士らは「経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行する安定冠動脈性心疾患(CAD)患者に対して,至適薬物療法(OMT)を行うことの重要性がガイドラインで強調されているにもかかわらず,PCI前にOMTを受けている患者は半数に満たず,PCI後の退院時にOMTを受けていない患者も約3分の1に上ることが分かった」とJAMA(2011; 305: 1882-1889)に発表した。
<私的コメント>
この結果はあくまでも米国でのものです。
例えが悪いかも知れませんが(悪いですが・・汗)JAMAは、いわば日本医師会雑誌の米国版です。
 
安定CAD患者でPCIの有益性認められず
急性冠症候群(ACS)患者では,PCIによるアウトカムの改善が期待できるが,安定CAD患者ではPCIとOMTで心血管イベント率に差はないことが複数の臨床試験で示されている。
例えば,11件の臨床試験を対象としたメタアナリシスからは,安定CAD患者では,心筋梗塞や死亡を予防する上でPCIの有益性は認められないとの結論が導かれている
また, OMTにPCIを加えた場合とOMTのみの場合で比較したCOURAGE試験(Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluationでも,安定CADでは狭心症発作に関連するQOL以外のアウトカムにおいて同等性が示されている。
 
しかし,日常臨床でPCI前にどの程度OMTが施行されているのか,また2007年3月の同試験の結果発表後にOMTの施行が増加したかどうかは不明であった。
 
そこで,Borden博士らは今回,National Cardiovascular Data Registry(NCDR)のデータを用いて,PCI前後のOMTの施行状況を調査し, 同試験発表後のOMT施行率の変化について検討した。
対象は2005年9月~09年6月にPCIが施行された安定CAD患者とした。
OMTは,抗血小板薬,β遮断薬,スタチン系薬のすべての薬剤の処方を受けている(ただし,これらの薬剤のいずれか,あるいは全薬剤が禁忌であることが確認された場合は,処方されていなくてもOMTと見なす)と定義した。
<私的コメント>
ごこ最近、某教授の講演を某所で聴く機会がありました。
その中で、米国の雑誌に投稿しても日本からの(梗塞二次予防に関する)投稿論文がβ遮断薬よりCCBが多く処方されていることにEditorから指摘を受ける、ということを話されていました。
懇親会で少しお話をする機会がありましたが、とてもopenheartedな教授で「ブログを時々覗いてます」 という嬉しい言葉をいただきました。
偉い先生なのですが、少しも偉ぶらず随分好印象でした。
以前、東北大学のS教授にも懇親会で少しお話させていただきましたが、循環器学にかける情熱やopenでtruthfulな態度は大いに感心しました。
二人の教授ともに、これからの日本循環器学会を背負って立つ立場にある方です。
これからの日本循環器学会は明るいと確信しました。
(ちょっと従来の「偉い」方々とは違うと感じました)
 
大幅に改善の余地あり
解析対象は46万7,211例で,そのうち17万3,416例(37.1%)がCOURAGE試験前に,29万3,795例(62.9%)が試験後に PCIを受けていた。
また,20万6,569例(44.2%)はPCI前に,30万3,864例(65%)は退院時にOMTが施行されていた。
 
PCI前にOMTが施行された患者の割合は,同試験前の43.5%から試験後には44.7%に有意に増加したが,臨床的意義はほとんどなかった。
46カ月の観察期間におけるPCI前のOMT施行率を月ごとに見ると,2005年9月の43.4%から2009年6月には45.0%とわずかながらも増加傾向に あった。
 
PCI後の退院時のOMT施行率は,同試験前の63.5%から試験後には66%に増加していた。
 
Borden博士らは,今回の研究結果について「PCI前にOMTを施行することで血行再建によるさらなる効果が期待できることから,ガイドラインでは OMTの施行を推奨しているにもかかわらず,実際にPCI施行前にOMTを受けた患者は半数に満たないことが明らかになった。また,このような診療パターンは同試験の発表後もほとんど変化していなかった」と結論付けている。
 
さらに,「退院前のOMT施行は増加し,抗血小板薬はほぼ例外なく処方されていたが,患者の約3分の1は依然OMTを受けておらず,同試験の発表後もこ のパターンに変化は見られなかった。全体的に改善の余地は多いにあり,費用をかけて大々的に発表される臨床試験の結果が日常臨床に及ぼす影響は限定的であ ることも示唆された」と付言している。
 
出典 Medical Tribune 2011.10.13
版権 メディカルトリビューン社

 

<私的コメント>
この論文から、われわれは何を学ぶべきでしょうか?
いうまでもなく、本来循環器内科医はあくまでも(思慮深い)内科医です。
インターベンショニスト (昔は「カテ屋さん」とか「風船屋さん」とか、カテのできない旧来の循環器内科医から、ある種の「憧れ」と「皮肉」を込めて言われていました)が、知らぬ間に「外科医化」しているということに対する警鐘と捉えるべきなのでしょうか。

 

<関連サイト>
循環器内科医

 

 

読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
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