心筋梗塞後の責任血管完全閉塞例へのPCI
施行を支持しないガイドライン推奨は浸透せず
ブリティッシュコロンビア大学(カナダ・バンクーバー)のMarc W. Deyell博士らは「心筋梗塞発症後の梗塞責任血管が閉塞した安定患者への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適切な施行に関するガイドラインの推奨が,診療に十分反映されていない」との研究結果をArchives of Internal Medicine(2011; オンライン版)のLess Is Moreシリーズに発表した。
改訂後もPCI施行率は不変
米国立心肺血液研究所(NHLBI)の助成を受けたOccluded Artery Trial(OAT)の結果が2006年に発表された。
OATは,心筋梗塞発症後24時間以降(2~28日後)に梗塞責任血管の完全閉塞が同定された安定症例を対象に,バルーン血管形成術やステント留置などのPCIの効果を検討したものである。
Deyell博士らは「OATにより,そのような患者に対する PCIの施行は臨床イベントの減少につながらないこと,また狭心症やQOLに対するPCIの効果は限られており,持続しないことを示すエビデンスが得られた。さらに,PCIは至適薬物療法単独に比べて費用が高かった。したがって,これらの知見に基づき,心筋梗塞後の責任血管完全閉塞例へのルーチンなPCI 施行は減少するはずであった」と述べている。
同試験の結果が発表された後,それに沿って米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)はガイドラインを改訂した。
同博士らは,ガイドライン改訂後の診療内容の変化について検討した。
米国の心カテーテル実施施設の情報を収集しているCathPCI登録に含まれる 2005~08年のデータを解析し,OATの発表前後ならびにガイドラインの改訂前後におけるPCI施行率を比較した。
また,診断的カテーテルの報告は義務付けられていないため,診断的カテーテルについて報告している上位四分位の施設の傾向を調査した。
調査には896施設の受診者2万8,780例のデータが含まれた。
PCI施行患者数は,OATの発表前で1万1,083例,同試験の発表からガイドライン改訂までの期間で7,838例,ガイドライン改訂後は9,859例であった。
年齢,性,保険などの変数を調整した結果,同試験の発表後またはガイドライン改訂後,閉塞例に対する全体のPCI月間施行率に有意な減少は認められなかった。
診断的カテーテルについて継続的に報告している施設でのPCI施行率は,同試験の発表後は減少していなかったが,ガイドライン改訂後は若干減少する傾向が認められた。
不適切なPCIの施行に警鐘
Deyell博士らは「今回の研究では,OATの結果やこれを踏まえたガイドラインの改訂が,その後1~2年間にわたり心疾患治療やPCIに影響を及ぼしたとするエビデンスは,わずかしか得られなかった。心筋梗塞後24時間以降に梗塞責任血管の完全閉塞が同定された安定患者に対するPCIについては,その施行を支持するエビデンスが乏しく,新ガイドラインでも施行しないよう推奨しているにもかかわらず,施行され続けている」と指摘。
「これは,多くの患者に対して有用性の低い高額な治療が施行されている可能性があること,また研究に費やした膨大な時間と労力が診療にさほど貢献していないことを意味している」と述べている。
出典 Medical Tribune 2011.9.29
版権 メディカル・トリビューン社
<私的コメント>
「安定患者」の定義は一体何どうなっているのでしょうか。
はたして心筋梗塞後24時間以降で「安定」かどうか判定できるのでしょうか。
<自遊時間>
当院では月に一度、腕のいい先生にエコーに来ていただいています。
最近のこと。
60代男性でMR,TRのある方に肝うっ血の有無をチェックしていただきました。(急激に総コレステロール値が低下)
レポートには「バニーガールサイン」と書かれていました。
先生に「バニーガールの尻尾のところですか」と訊くと、即座に「いや耳のところです。肝静脈のうっ血像がウサギの両耳に似ていることからつけられた名称です」 と答えられました。
お尻を連想する私が悪いのですが、「それならラビットイヤーサインにすれば」と心の中では思いましたが、言わずにその場はこらえました。
コメント
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PCIをしていただいた病院は、大規模病院で3時間待ち3分診療と言っても良いくらいで、主治医は忙しそうであまり質問ができません。
先生のブログを読んで、僕の病状と予後についての自分の疑問に対する先生の御意見を聞かせていただきたいと強く思いました。
先生の医院に診察を受けに伺いたいので、先生の医院の名前と住所を教えていただけませんか?
当方のメルアドはtorikai777@gmail.com です。
よろしくお願いします。
r.kousokuより
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