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プラークerosionは冠動脈CTでも識別できない 急性冠症候群(ACS)につながる血栓発生の原因として3分の2はプラーク破綻(rupture)で,残る3分の1はプラークerosionであることが病理学的には確認されているが,後者の画像診断上の特徴は十分把握されていない。藤田保健衛生大学循環器内科の尾崎行男教授らは,ACS患者の不安定プラークを冠動脈CTなどの画像診断で評価し,プラークerosionにはプラーク破綻のようなポジティブリモデリングや脂質プールという特徴は存在せず,冠動脈CTでも識別できないことをEuropean Heart Journalオンライン版に報告した。 ACS責任病変の3割を占めるプラークerosion不安定プラークの同定は血栓の発生予防,ひいてはACS予防の鍵であり,非侵襲的な画像診断でプラークを早期に検出する試みは広く行われている。 同誌に付随論文を寄せたオランダのde Feijter教授らによると,血栓の55~60%はプラークの破綻に,30~35%はびらん状になったプラークerosionに,また数%は石灰化結節を伴ったプラークによって発生している。そのうちプラーク破綻については,(1)脂質に富んで線維性被膜が薄い(2)ポジティブリモデリングがしばしば見 られる-という特徴があり,(1),(2)ともある患者ではACS発症リスクが20倍以上高まることから,ACSの予防的治療を開始する重要な判断指標となることが,既に同じ尾崎教授のグループから報告され,国際的にも認知されている。 しかし,責任病変の3割を占めるプラークerosionは,「病理学者が見ても内皮細胞が1層はげた程度の傷害で,画像診断ではほぼ無傷に見える」(同教授)といわれるほど把握しにくく,研究が立ち遅れてきた。血管内超音波検査(IVUS)の10倍という高度な解析能を持つ光干渉断層法(OCT)においても確認しにくい。背景因子も,プラーク破綻に比べて若年者や女性に多く,喫煙に関連している可能性が示唆されている程度だ。 CT上ポジティブリモデリングやプラークの顕著な脂質プールは認められず そこで尾崎教授らは,同大学病院を受診したST上昇型心筋梗塞を除くACS患者のうち,冠動脈CT実施後に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に なった症例と安定狭心症でPCIになった症例計66例にOCT,冠動脈内視鏡,IVUSの各画像診断を行い,良好な画像が得られた57例の画像上の特徴を検討した。プラーク破綻が認められた25例をRuptured Fibrous Cap(RFC;プラーク破綻)群,線維性被膜に傷のないプラーク10例をIntact Fibrous Cap(IFC;erosion)群,および安定狭心症群22例に3分し,解析を行った。 その結果,OCTによる線維性被膜厚の測定ではプラーク破綻群が最も薄く,erosion群,安定狭心症群になるに従い,厚くなることが確認された(プラーク破綻群45±12μm,erosion群131±57μm,安定狭心症群321±146μm,P<0.001)。 血管内視鏡上,血栓はプラーク破綻群とerosion群で安定狭心症群より多く認められた(それぞれ88%,100%,14%,P=0.001)。また,内視鏡上の黄色プラークはプラーク破綻群,erosion群,安定狭心症群の順に少なくなる傾向はあったものの有意差はなかった(それぞれ 84%,70%, 55%,P=0.088)。 IVUSによるリモデリング指数はプラーク破綻群がほか2群より有意に高値となっていた(それぞれ1.14,1.00,0.95,P=0.001)。 しかし冠動脈CT画像については,プラークの脂質成分,リモデリング指数,ポジティブリモデリングの有無,および石灰化病変の点在の各指標でプラーク破 綻を検出するのには有用であったものの,erosionと安定狭心症を有意に区別することはできず,erosion病変を特徴的に見分ける指標は冠動脈 CTからは得られないことが明らかになった(図)。
出典 Medical Tribune 2011.9.22版権 メディカル・トリビューン社
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