< 糖尿病治療による大血管障害予防 その1(... |
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リスクを見極めて薬剤選択や投与法を工夫 大血管障害の予防を目指すためには,患者の心血管危険因子を見極め,それらを悪化させない薬物や改善する薬物を 選択したり,投与法を工夫することが大切だ。山田センター長の場合,メトホルミン単剤で効果不十分な肥満傾向のある患者への追加薬剤を選択する際に,これ以上の体重増加が危険と思われるような場合に体重を増やさないDPP-4阻害薬,心血管イベントの既往がある人や高リスクの患者には二次予防のエビデンスを有するTZDのピオグリタゾンというような形での使い分けを心がけている。なお,同じTZDでもrosiglitazone(日本未発売)の場合は,ピオグリタゾンとは逆に冠動脈疾患の発症率を高めることが分かっているが,TZDのクラスエフェクトは認められていない。<私的コメント> 「ピオグリタゾンとは逆に冠動脈疾患の発症率を高めることが分かっているが,TZDのクラスエフェクトは認められていない。」→ 「ピオグリタゾンとは逆に冠動脈疾患の発症率を高めることが分かっている。」の方が読みやすいのでは。 私はクラスエフェクトというのは「薬効」に使うものと思っていました。この文章での「クラスエフェクト」も、恐らく薬効のことだと思いますが、ちょっと分かりにくい表現になっています。ちなみに、「リモデリング」という言葉も 生体にとって防御的な意味なのか、悪い意味なのか分からなくなってしまうことがあります。「フィードバック」もpositive、negativeと頭の悪い私には苦手な言葉です。
<参考>
Class effect
http://www.medicine.ox.ac.uk/bandolier/booth/glossary/class.html
■Class effect is usually taken to mean similar therapeutic effects and similar adverse effects, both in nature and extent. リモデリング
http://yangt3.blog.so-net.ne.jp/2010-01-06 リスクを見極めるための検査としては,定期的に血清脂質値や血圧などを測定することはもちろん,年に1回は心電図と胸部X線像を撮り,ST変化や心拡大の所見を見逃さないようにしている。 <私的コメント> 「年に1回は心電図と胸部X線像を撮り」開業医にとって心電図はまだしも胸部X線はなかなか患者さんに切り出しにくい検査です。循環器領域からはずれますが、最近こんな症例を経験しました。症例1.70代女性。当院へは骨粗鬆症で通院中(ビスホスフォネート処方)。休日に発熱。大病院を受診(多分研修医)。胸部写真は撮らず、胸部CT検査。異常影を指摘され、その後の精査で肺がんと診断。当院では最近胸部X線はしていない。4年前のレントゲンを出して見てみたが異常影なし。その後の患者さんの話では、後日CTの後に撮った胸部写真では異常影は指摘出来なかったとのこと。主治医は「普通のレントゲンでは写らないよ」 と患者さんに説明した由。何だかすっきりしない結末。
症例2.70代男性。
半年前から高血圧で通院中の。「先生、最近ちょっと階段を昇る時に息切れがするんですよ」 聴診器(これも今までに殆どあてた記憶なし)からはVelcro音がはっきり聴取。あわてて胸部X線をとったら両下肺野に間質性肺炎の像あり。
診療録を見てみたら、胸部X線は一度もとっていない。(冷汗)あわててKL-6をオーダー。返って来た検査値は3000オーバー。降圧剤の副作用かどうかも以前に検査がされていないため知る由もない。「初診時の検査が大切である」ということで猛省。高血圧自体についても、初診時に二次性高血圧の否定のためのレニン、アルドステロンや四肢血圧測定(これはCAVIなどで簡単にチェック可能)をしておかなければ「本態性高血圧」といういい加減な(便利な)病名に終わってしまう。 さらに同センター長は,初診時には必ず足背動脈に触れ,異常があればABI(Ankle Brachial Index)を測定している。糖尿病は「血管の老化を15年早める」といわれており,少なからぬ割合でABIの異常が見出されるという。<私的コメント> 「血管の老化を15年早める」が真実であっても、血糖のコントロールで大血管障害が予防出来ない(?) ところこそが今回のテーマです。 また,低血糖もイベント誘発につながる重要な危険因子だ。そこで,SU薬を使用している患者には,食事が遅れたときに異常がないかなど入念に問診を行い,服薬指導を徹底することが必要である。そうした指導にもかかわらず,低血糖が頻回に生じていることが疑われる場合は,SU薬の中止を考慮することも必 要だ。 なお,SU薬は経口血糖降下薬の草分けというべき存在であり,承認された当時は,SU単剤で効果不十分な場合に他に併用する薬剤がなかったという経緯もあり,承認用量が高めに設定されている。多くの選択肢が出そろった今,最大用量のSU薬が必要とされる局面はほとんどなく,最大用量の3分の1~6分の1 程度を用いることが一般的だ。むやみに増量しても効果の増強にはつながらず,低血糖のリスクを高めるので,慎重な対応が求められる。 高血糖予防だけでなく長期的な血糖管理や患者の意識向上にも役立つSMBG 近年,24時間連続して血糖値をモニターできる持続血糖モニター(CGM)が注目されているが,臨床の場で全例に使用することは困難である。患者自身の 高血糖予防や低血糖を含めた血糖変動を把握できる手段としては,やはり血糖自己測定(SMBG)システムが重要な位置付けとなる。渥美センター長 は,SMBGを早くから臨床に取り入れ,「1人1人の患者に合った治療戦略」を見いだすことを推奨している。 SMBGは,インスリン治療中の患者にとって欠くことのできない機器であるが,インスリンを用いていない糖尿病患者に用いられる機会はさほど多くない。 しかし,血糖降下薬による治療中の患者でもSMBGを用いれば,基本的な血糖日内変動を把握できるだけでなく,運動や食事,ストレスなど,日常生活が血糖変動に及ぼす影響を事細かに知ることができる。どの時点での血糖変動に問題があるのかが明らかになれば,ピンポイントでその修正を図ることも可能だ。すな わち,SMBGを指標とすることにより,HbA1cを指標とするよりきめ細かな血糖管理が可能となる。 短期的な血糖管理が改善されれば,長期的な血糖管理もおのずと改善される。同センター長が東京大学および都内9施設と協力して行ったSCCT(SMBG Control and Compliance Trial)では,SMBGを用いなかった患者群に比べ,SMBGを用いた患者群ではHbA1cの有意な改善が得られた。さらに,同研究ではQOLに関する調査もなされたが,QOL全般をはじめ,不安度,教育,行動,理解度,満足度といった項目のすべてに著明な改善が認められ,患者の治療への参加意識が高 まったことが示唆された。 SMBGは操作も簡便で,血圧を測定するように,患者自身の手で何度も繰り返し血糖を測定することが可能だ。血圧計の普及が高血圧患者の意識向上に果たした功績についてはあらためて語るまでもない。同センター長は「これからは血圧計と同じように,SMBGも身近な健康管理ツールとして活用していく時代に なって欲しい」と言う。 なお,米国ではインスリン治療の有無にかかわらず,糖尿病患者のほぼ全例にSMBGの指導がなされるようになってきているという。糖尿病の治療は,患者本人と医療者の双方が血糖プロファイルの特徴を知るところから始まる。そして,その特徴に合わせた最良の戦略を両者が協力して考え,継続していくことが大 血管障害の予防にもつながるのではないか。 糖尿病治療薬の気になる副作用,注意すべき副作用糖尿病治療薬の副作用には,欧州市場からの撤退を余儀なくされたrosiglitazone(日本未発売)の冠動脈疾患をはじめ,SU薬やグリニド薬の低血糖,ビグアナイド(BG)薬の乳酸アシドーシス,TZDの心不全など,生命にかかわりかねない重篤な副作用も多い。また最近では,ピオグリタゾンにより膀胱がんリスクが高まるとの疫学調査結果を受け,フランス医薬品庁は同薬の新規処方の禁止を決定した。<私的コメント> フランスでは、今後糖尿病患者に対してTZDは新規使用が出来なくなるのでしょうか。それともピオグリタゾン以外のTZDという選択肢はあるのでしょうか。もし前者ということなら、フランスと他の諸国での処方の差、すなわちTZDの処方の有無による大血管障害の差(TZDがはたして大血管障害を予防できるかどうか)をみる実験モデルとなるのではないでしょうか。 しかし,臨床試験のデータに「批判的吟味」が求められるのと同様に,副作用に関する情報についても提示された情報をうのみにせず,その正当性を自分なりに検証することが必要だ。特に,副作用に関する最近の報道のトーンや各国の行政当局の対応には過剰と思えるものも少なくない。「ピオグリタゾンと膀胱がんの関連をめぐる一連の報道とフランス政府の対応は,その最たるものだ」と山田センター長は指摘する。 発端となった疫学調査のデータを見る限り,ピオグリタゾンを処方された男性患者では,同薬を処方されていない患者に比べて高い頻度で膀胱がんの発症が見 られることは事実であるが,それだけでは両者の因果関係は証明できない。なぜなら,ピオグリタゾンが処方されやすい患者像(例えば肥満があって心血管リスクが高い人など)に共通するなんらかの未知の要素が存在し,その要素こそが膀胱がんの発症に直接関与しているという可能性が否定できないからだ。<私的コメント> なかなか鋭いコメントとして首肯せざるを得ません。しかし、この仮説が正しいかどうかは(後追い調査でも構いませんが)、この疫学調査のデータから簡単に解析出来そうです。 同セン ター長は「こうした不確かな情報に基づく処方禁止の決定は時期尚早であり,処方機会を奪われた患者の臨床的メリットを損なう可能性もある」と指摘。「今しばらく動向を見守るとした米国の判断の方が冷静で理論的だ」と述べた。<私的コメント>
冷静ということは分かりますが理論的かどうかは不明です。 なお,ピオグリタゾンにおける膀胱がんは事前に予期しえなかった副作用のように指摘されているが,糖尿病治療薬の副作用には低血糖のように血糖降下作用と表裏一体のものや,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の消化器症状のように薬剤の作用機序からある程度予想されたものもある。TZDによる浮腫や心不全もそうした「想定内」の副作用の1つであり,原因はインスリン作用の増強に伴うNa貯留の促進にある。裏を返せばインスリン抵抗性が改善された人ほど浮腫や水分貯留が起こりやすいといえ,「もともと心機能に異常がある人でなければ,まず心配いらない」ということだ。 また,体重増加もTZD使用時にしばしば見られる現象であり,その機序にはTZDの主たる作用である小型脂肪細胞の増加が密接に関与している。しかし, いくら小型脂肪細胞が増加しても,食事や運動が適切になされていれば,体重増加につながることはない。つまり,体重増加は上述の浮腫のように容認してよいものではなく,是正すべきものである。その点を患者にきちんと伝えず,単に「この薬は体重が増えやすい薬ですよ」という言い方をすれば,患者は体重が増加しても「薬のせいだから仕方がない」と誤解し,生活習慣を見直すことのないまま漫然と「体重を増やす治療」を続けてしまうことになりかねない。TZDの機序は複雑であり,正確に説明することは難しい面もあるが,「少なくとも体重増加を看過すべきでないことはきちんと説明すべきだ」と同センター長は指摘し た。 他剤の副作用のうち重篤なものとしては,BG薬による乳酸アシドーシスがある。しかし,その頻度は極めてまれで,造影剤を用いる際に使用を控えるなど,一般的な注意を遵守すれば危険はほとんどないという。 また,DPP-4阻害薬については,オランダから感染症リスクが上昇するとの報告が寄せられており,その動向が気になるところだ。そもそも,DPP-4 はリンパ球やマクロファージに発現する細胞表面抗原の1つであるCD26と同一の分子であるため,これを標的とするDPP-4阻害薬が免疫系になんらかの影響を及ぼすとしても不思議はない。しかし,同センター長は「そうした予断があるがゆえに,普段なら『ただのかぜ』と考える程度の症状でも『副作用の疑い例』として報告された結果,実際より頻度が高めとなった可能性もある」と言う。そのほか,インクレチン関連薬と膵炎・膵がんなどのがんとの関連を示すElashoff氏の報告がGastroenterologyオンライン版に掲載されたが,データの信頼性に乏しいとして一時撤回されたほか,EASDは反論のステートメントを公表した。同センター長も,現時点でなんら対応の必要はないとしている。しかし,DPP-4阻害薬は上市からまだ日が浅く不明な点も多いため,これからのデータ集積が待たれる。<私的コメント> 後半は「糖尿病治療における大血管障害予防はなぜ難しいのか」というテーマについての内容とはなっておらず些かの隔靴掻痒感があります。糖尿病の専門家には、糖尿病治療による「大血管障害予防」についてもう少し正面から議論して欲しいものです。そうでなければ、ただ血糖のコントロールをするという数字合わせにもなりかねません。実際、糖尿病患者に低血糖を起こさせるのは、糖尿病の専門家の方が多いのではないでしょうか(絶対数ではなく発生率)。 読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (循環器専門医向き) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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