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動脈硬化性疾患ガイドライン2012年改訂... >
冠動脈疾患の初発予防,日本人でもスタチンによる強化脂質管理が有用 欧州心臓病学会で発表の多施設前向き研究脂質管理の治療方針は,日本でも動脈硬化性疾患のリスクの度合いに応じて決められているが,欧米では冠動脈疾患既往患者の再発(二次)予防だけでなく初発(一次)予防でも,糖尿病などの危険因子を複数有する高リスク症例に対してはLDLコレステロール(LDL-C)70mg/dL未満という厳格な目標を掲げている。
日本人でも一次予防の段階からより厳格な脂質管理が求められるか否かは重大な論点となっている。
そのような中,第33回欧州心臓病学会(ESC Congress 2011;8月27~31日,仏ロワシー)において,頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)の肥厚が認められ,LDL-Cが高値の患者を対象にした多施設試験 JART*1 の結果を,カレスサッポロ北光記念クリニック所長の佐久間一郎氏が発表。
強力なスタチンを用いた強化脂質低下療法の有用性を示した。
【動画】日本人の冠動脈疾患初発予防について佐久間一郎氏がコメント
欧州心臓病学会での発表を受け
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1109/1109028.html
頸動脈の平均IMT変化率が1年で有意な差に,試験は早期終了
JART試験は多施設前向きランダム化オープン(エンドポイント遮蔽)試験(PROBE試験)として,2008年6月~11年4月に実施された。
全国20施設から,20歳以上でIMT最大値が1.1mm以上かつLDL-C 140mg/dL以上の患者348例が登録された。
強化療法群(ロスバスタチン5mg/日)と標準療法群(プラバスタチン10mg/日)にランダムに割り付けられた。管理目標値は,
(1)強化療法群:一次予防患者=LDL-C値80mg/dL未満,二次予防患者=70mg/dL未満,
(2)標準療法群:日本動脈硬化性疾患予防ガイドライン*2 に準じて,一次予防患者=120mg/dL未満,140mg/dL未満,160mg/dL未満のいずれか,二次予防患者=100mg/dL未満―と設定された。
一次エンドポイントは,頸動脈IMT平均値の2年間の変化率とされた。
IMTの画像データはすべて順天堂大学に設置されたコアラボ専任検査技師により解析され,総頸動脈2cm間60ポイントの平均値が計測された。
<私的コメント>IMTの画像データは具体的にはどのように順天堂大学に集積されたのでしょうか。また全国20施設の測定機器(具体的には超音波装置)の解像度(精度)のばらつきや手技の差はなかったのでしょうか。
今回は,全登録患者のうち一次予防患者(強化療法群133例,標準療法群132例)の12カ月後の解析結果が報告された。
平均年齢は約63歳で, 喫煙者が約4分の1を占めた。
その他,高血圧が60%程度,糖尿病が45%で,降圧薬は約半数が,糖尿病治療薬は2割強の患者が服用中で,これらの患者背 景に両群間で差はなかった。
登録時の頸動脈平均IMT値は強化療法群0.901mm,標準療法群0.855mmであったが(P<0.049),調整解析 (共分散分析)結果から,有効性評価には影響がないと判断された。
中間解析に当たる12か月後の平均IMTは,強化療法群が0.915mm,標準療法群が0.891mm,平均IMT変化率は強化療法群が 1.78±10.7%,標準療法群が5.44±11.5%と後者の平均IMT増加率が有意に高かった(P=0.011)。
このため,独立データモニタリン グ委員会の勧告により試験は早期中止となった。
頸動脈IMT測定が行えない場合はLDL-C/HDL-C比が有用な目安に
発表した佐久間氏は,両群のLDL-C目標値達成状況に触れ,標準療法群での163.7mg/dLから119.1mg/dLへの低下に対して,強化療法群では166.8mg/dLから84.4mg/dLへと大幅に低減したものの,目標値は上回っていたと指摘。
「達成されていれば,平均IMT変化率 の差はさらに拡大していた可能性が高い」と述べる。
また,頸動脈IMTは心血管疾患の代替マーカーとして広く用いられており,その最大IMT値が1.1mm以上である場合は心血管疾患の高リスク群と考えられることから,今回の結果は,「日本人においても高リスク患者に対しては一次予防の段階から強力なスタチンによる厳格な脂質管理療法が重要である ことを示唆する」としている。
ところで,一般の診療現場でIMT測定を行うことは容易ではない。そこで同氏は今回の結果のうち,LDL-C/HDLコレステロール(HDL- C)比に着目し,標準療法群では3.1から2.1に,強化療法群では3.0から1.5に変化したが,LDL-C/HDL-C比を低リスク患者では2.0未満に,高リスク患者では1.5を下回るように管理すべきであるとしている。
日本でのガイドラインの目標設定は緩やかなものとなっているが,同氏は「今回の中間解析からも分かるように,短期間でも血管への影響が大きな差となって現れることが明らかとなったため,死亡や心筋梗塞などのイベントをエンドポイントとしたLDL-C低下効果のエビデンス構築は必要ではあるものの, 倫理面から難しくなったといえるかもしれない」と指摘。
「冠動脈疾患一次予防の段階でも危険因子を有し,頸動脈IMTの肥厚や脂質プロファイルの悪化が認められる患者では,より厳格な脂質管理が求められる」と強調した。
なお,両群で24カ月の追跡を完遂した患者(強化療法群55例,標準療法群61例)においては,平均IMT変化率の差はさらに拡大していた。 (田中 かおり)
*1 Justification for Atherosclerosis Regression Treatment
*2 心血管疾患の一次予防では,LDL-C以外の主要危険因子0では160mg/dL未満,1~2つでは140mg/dL未満,3つ以上は120mg/dL未 満を目指す。主要危険因子は加齢(男性45歳以上,女性55歳以上),高血圧,糖尿病(耐糖能異常含む),喫煙,冠動脈疾患の家族歴,低HDL-C血症 (40mg/dL未満)を指す。糖尿病,脳梗塞,閉塞性動脈硬化症の合併はそれのみでも120mg/dL未満を目指す。二次予防では100mg/dL未満 出典 MT Pro 2011.9.8
版権 メディカル・トリビューン社 <私的コメント>ESC Congress 2011のでの発表の際、強化療法群のロスバスタチンの用量が5mg/日という設定にはきっと会場では驚嘆の声があがったのではないでしょうか。SATURN試験ではロスバスタチンは40mg/日使用されています。SATURN study <番外編>
文中の「頸動脈IMTは心血管疾患の代替マーカーとして広く用いられており」という言葉が少し引っかかったので調べてみました。
というのは 、頸動脈IMT増加はコレステロールより血圧、冠動脈硬化は血圧よりコレステロールに依存しているのではないか、」という私自身の素朴な疑問からです。 頸動脈IMT、PWVおよびABIと 冠動脈硬化進展度の相関
(頸動脈IMTは、PWV、ABIに比べより冠動脈硬化進展度を反映するものと思われる)
頸動脈内膜-中膜肥厚(IMT)の改善と心 ... - 循環器トライアルデータベース
頸動脈内膜-中膜肥厚(IMT)の改善と心血管イベント抑制は関連するのか? meta-analysis
(循環器治療薬による頸動脈IMTの退縮あるいは進展抑制は心血管イベントの抑制と関連しなかった) ■頸動脈のIMT増大は心血管イベント,特に脳血管イベントに対するより強い関連因子と考えられている。IMT増大はイベント発症前の動脈硬化病態を反映すると考えられ,非侵襲的で繰り返し計測できるため中等度~高リスク患者でサロゲートエンドポイントや治療目標として普及している。
■本研究は,種々の治療による頸動脈IMTの退縮が実際の脳心血管イベントの抑制と相関しているか否かをメタ解析で初めて検討した。結果として は,IMT(meanでもmaxでも)の変化度(退縮,進展抑制)は主要心血管イベントの抑制度と相関しないことが明らかになった。すなわち,どの治療薬においても一次予防でも二次予防でもIMTの変化度ではその治療薬の心血管イベント抑制効果を予想できないことを示している。■IMTはヨーロッパ高血圧ガイドラインでは臓器障害の指標と位置づけられているが,介入試験においてサロゲートエンドポイントや臨床的有用性の指標として用いるには問題が残されている。左室肥大やミクロアルブミン尿のような他の臓器障害の指標ではこれらが改善することで心腎疾患が改善することが示されている。
■IMT増大は多因子により規定されているので,血圧やLDLなどの直接的な危険因子の介入試験ではIMT変化と臨床効果が関連しない可能性がある。■頸動脈病変と冠動脈病変は必ずしも一致していないとする報告は少なくなく,頸動脈壁の性状は全身の動脈壁の性状を反映していないのかもしれない。■頸動脈のIMTよりもプラークの方がより代表的な動脈硬化指標であるとする報告もある。■IMT とLDLの両変化の間には関連がないこと,冠動脈疾患例のIMTは収縮期血圧の変化に影響されることより,IMTは動脈硬化プロセスよりもシアストレスや 血管壁反応性と関連する可能性がある。■本研究はメタ解析であるので,直接に頸動脈IMT(meanやmax)あるいはプラークや他の血管壁性状指標の変化 と心血管イベント効果そのものを対比しうる大規模試験を行えば今回の結果はより明確になる。■冠動脈壁の不安定病変を頸動脈の壁性状から類推しうる真の指標を明らかにすることが期待されている。<私的コメント>ある意味、私の素朴な疑問は間違っていなかった、と意を強くしました。それにしても、あのENHANCE試験。 ENHANCE試験 ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2) ENHANCE 試験をめぐる論争 その2(2/2)
試験をスタートした時点ではそういった考え(コレステロール低下剤ではIMTは改善しない)はなかったんでしょうか。 しかし、EPAやスタチンによるIMT改善効果はペーパーになっていたような気もします。
第8回日本心臓財団メディアワークショップ
「検査からみる動脈硬化ー画像検査と血圧脈波検査」
(冠動脈バイパス術の既往歴をもち、2年間高脂血症治療を受けた男性患者を約9年間追跡した結果から、治療中の頸動脈IMTの上昇度が大きいほどその後の冠動脈イベントのリスクも上昇することが示された。 )

脳卒中メモランダム: 頸動脈IMTの変化は本当に心血管イベントを予測 ...頸動脈IMTの変化は本当に心血管イベントを予測できるのか (IMTの変化と冠動脈疾患、脳血管障害、死亡率との間にはいずれも有意な関連が認められませんでした。IMTの変化を臨床試験の代理マーカーとして用いることについても、今後はデザインを再考する必要がありそうです。) [循環器疾患版]Monthly Article/冠動脈疾患未既往でもIMTと冠動脈 ...(頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の肥厚が強い患者ほど冠動脈狭窄の頻度が高い)
読んでいただいて有り難うございます。 コメントをお待ちしています。 その他 「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/ (循環器専門医向き) ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~ http://wellfrog4.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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