戯れ言たれる侏儒
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< HDLコレステロールと動脈硬化 | メイン | 高血圧CKD患者の心腎連関指標の特徴 >

きょう勉強したのは、「非アルコール性肝機能異常」と言った、ちょっと消化器科の分野かと見紛うようなタイトルの論文です。
原文のタイトルは"abnormal liver tests"ですが、日本語訳では「非アルコール性脂肪肝」」「軽度非アルコール性肝機能障害」。
だれもが想定するのがNASHでありNAFLDです。
 

NASHについて

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

非アルコール性脂肪(NAFLD)/脂肪肝炎(NASH)

脂肪・脂肪肝炎・肝硬変・アルコール性・非アルコール性NASHがん ...

私の記憶では、NASHの確定診断は肝生検によって得られるというものですが、今回の「非アルコール性肝機能異常」はNASHを指しているのでしょうか、はたまた飲酒しない人での脂肪肝というだけのことなのでしょうか。

 
冠動脈疾患に軽度非アルコール性肝機能異常を伴う患者でもスタチンは安全に長期投与でき、心血管イベントを減少
Safety and efficacy of long-term statin treatment for cardiovascular events in patients with coronary heart disease and abnormal liver tests in the Greek Atorvastatin and Coronary Heart Disease Evaluation (GREACE) study: a post-hoc analysis
Athyros VG, et al.
Lancet 2010; 376: 1916-1922
執筆:真田 昌爾 先生  大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
監修:小室 一成 先生  大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 教授

 
<概要>
スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の長期投与は、心血管イベント発生を減少させるが、肝機能異常を伴う患者への安全性と有効性は定かではない。
よって、冠動脈疾患を有する75歳未満、LDLコレステロール値2.6 mmol/L(100.4 mg/dL)超、トリグリセリド値4.5 mmol/L(396.9 mg/dL)未満の1,600例を1施設でエントリーし、スタチン投与の心血管イベント再発リスク抑制に関する有効性を検討した前向き無作為化コンピュータ割り付け包括解析(ITT解析)試験であるGREACE試験のpost-hoc解析にて、血清AST/ALT値が正常上限の3倍以内の軽度肝機能異常症 例を抽出し、スタチン投与の有無、さらに肝機能正常例と比較し、肝機能障害の有無に絡む心血管イベント再発リスクの抑制を検討した。

結果、非アルコール性脂肪肝に起因する軽度肝機能異常症例437例にて、おもにアトルバスタチン平均24 mg/日を投与された227例(投与群)では肝機能が改善
p<0.0001)した一方、非投与の210例(非投与群)ではAST/ALT値がさらに上昇した。
心血管イベントは、投与群3.2件/100人・年、非投与群10.0件/100人・年で、相対リスクは68%減少(p<0.0001)した一方、肝機能正常例では、投与群653例で4.6件/100人・年、非投与群510例で7.6件/100人・年で、スタチンによる相対リスク減少は39%(p<0.0001)にとどまり、肝機能異常症例にて相対リスク減少が優勢であった(p=0.0074)。
スタチンを投与された880例のうち、血清AST/ALT値が正常上限の3倍を超えたのは最終的に7例(1%未満)のみであった。

(注) LDLコレステロール値は ×38.6、トリグリセリド値は ×88.2でmmol/Lをmg/dLに換算した。


<なぜmust-read なのか>
GREACE試験では、日本での一般的な診断基準とは異なるが、高LDLコレステロール血症を伴う冠動脈疾患既往例がエントリーされ、今回のpost-hoc解析では、軽度非アルコール性肝機能障害の有無が比較されている。
しかし、本論文の表1に記載された患者背景からわかるように、エントリー基準から 全例が高LDLコレステロール血症であるが、さらに軽度肝機能異常を伴う患者では、BMIが約3ポイント高く、高率にメタボリックシンドローム (90~91%)であり、高血圧(84~85%)、中心肥満(90~91%)、糖尿病(51%)なども合併していることから、本解析は高LDLコレステロール血症を伴う多元的な代謝異常患者におけるスタチンの代謝異常改善と心血管イベント再発リスクの逓減を検討したものであると解釈できる。

スタチンをはじめ、われわれはLDLコレステロールを低下させる薬剤は多種多様にもっているが、中性脂肪(トリグリセリド)の高値とともにγ-GTP、 AST/ALTの異常を伴うより普遍的な過栄養(いわゆる「脂肪肝」)状態から生じる「中性脂肪を軸とした代謝障害」を改善する手段は一般的にPPAR活性化剤に限定され、その代表的な薬剤であるフィブラート系薬はスタチンとの併用が推奨されていない。

よって本解析は、対象のような多元的な代謝異常患者に対し、スタチンが単剤で総合的に効力を発揮できるか、あるいは新たなイベント発生を逓減できるかという、治療標準化のうえで重要な課題に挑むとともに、 AST/ALTの上昇は薬剤性肝機能障害としても起こりうるため、もともと軽度肝機能異常を伴う症例に対するスタチン投与の安全性に関する評価という側面も有している。

本解析の結果は、当初の予測通り、スタチン投与でコレステロール改善効果のほかに、肝機能障害の改善効果、中性脂肪やγ-GTPの改善効果も示し、さら に、高LDLコレステロール血症を伴う軽度肝機能異常症例におけるスタチンの心血管イベント再発リスク逓減効果(-6.8件/100人・年)が肝機能正常例(-3.0件/100人・年)を大きく上回ったことから、スタチン単剤を追加することによる多元的な代謝障害への総合的な改善効果とイベント抑制効果が ともに実証された形だが、post-hoc解析であるためにその優位性の評価は「想定の範囲内」程度にまで限定される。


ここで注目されるのは、まず推定糸球体濾過量(eGFR値)などの代謝以外の指標もスタチンで改善したことで、これが数多くの既報がある「血管反応性の改 善」によるものか、その他の因子によるものか、今後の研究課題として興味深い。

また、本解析ではデータが示されていないが、軽度肝機能異常を伴う患者で高率に発現していた複数の危険因子(メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、肥満など)に対するスタチンの影響については、リスクがなぜ軽減したかを考えるうえで、また他の因子にかかわらず脂質代謝異常の改善だけで十分なリスク逓減効果が得られるのかを考察するうえでも有用なデータとなる可能性があり、 今後の検討が待たれる。

本報は、1施設のunsponsored試験でここまでのデータを揃えた著者らへの敬意もさることながら、スタチンというすでに多くの知見が出尽くしたと思われる薬剤の効果について、臨床的な洞察から新たなアプローチの方向性を考える一つの重要な方法論を示す、大変有意義な一報といえる。


http://www.univadis.jp/services/cardiopro/pages/mustreadarticles1102_02.aspx

 
 
<私的コメント>
誰でも思うことでしょうが、今回検討されたのはスタチンの中でもアトルバスタチンです。
他のスタチンではどうなのでしょうか。(class  effectなのか、drug effetなのか)
そしてエゼチミブなら、この病態により有効なのではないか、ということです。  
 
読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。
その他
「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/
(循環器専門医向き)
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~
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があります。
 
 

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