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Na/K比と死亡リスク >
慢性腎臓病の心房細動リスクはどの程度か?ARIC研究のエビデンス慢性腎臓病(CKD)の心房細動リスクは、腎機能およびアルブミン尿の悪化に伴い上昇し、両指標が最も悪い人は標準であった人の13.1倍に達することが示された。米国・ミネソタ大学公衆衛生校のAlvaro Alonso氏らが、米国住民ベース1万人規模のARIC研究コホートから明らかにした。CKDと、心血管疾患との関連は認められているが、心房細動については増大する可能性はあるものの、これまでの試験では一貫した結果が得られていなかった。本試験の結果を踏まえてAlonso氏は「腎機能の低下とアル ブミン尿の存在は、他のリスク因子とは独立かつ強く心房細動発生と関連していた」と結論している。 GFRcys低値で大量アルブミン尿の人のリスクは13.1倍Alonso 氏らは、1996~1998年のARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に参加した、心房細動を有していない男女1万328人について、シスタシンCベースの推定糸球体濾過量(eGFRcys)および尿中アルブミン-クレアチニン比(ACR)と、2007年末まで確認した心房細動発生との関連を評価した。評価に際して、 eGFRcysはガイドラインに従って、≧90(標準)、60~89(軽度の腎機能低下)、30~59(CKDステージ3)、15~29(CKDステージ 4)の4つに階層化した[各値単位はmL・min(-1)・1.73m(2)]。ACRは、<30mg/g(標準)、30~299mg/g(微量ア ルブミン尿)、≧300mg/g(大量アルブミン尿)の3つに階層化した。おもな結果は以下のとおり。 ●追跡期間中央値10.1年の間に、788例の心房細動発生症例が確認された。 ● 多変量解析の結果、心房細動の発生は、eGFRcys≧90の腎機能標準群と比べて、60~89の軽度低下群は1.3倍(ハザード比:1.3、 95%CI:1.1~1.6)、30~59のCKDステージ3群は1.6倍(同:1.6、1.3~2.1)、15~29のCKDステージ4群は3.2倍 (同:3.2、2.0~5.0)と、腎機能が低下するほどリスクが上昇した(傾向p<0.0001)。 ●同様の正の相関がACR についても認められた。<30mg/gの標準群と比べて、30~299の微量アルブミン尿群は2倍(ハザード比:2.0、 95%CI:1.6~2.4)、≧300mg/gの大量アルブミン尿群は3.2倍(同:3.2、2.3~4.5)リスク上昇が認められた。 ● 心房細動リスクは、特にeGFRcys低値で大量アルブミン尿の人で上昇した。「ACR:≧300mg/g、eGFRcys:15~29」の人の、 「ACR:<30mg/g、eGFRcys:≧90」の人との比較によるハザード比は13.1(95%CI:6.0~28.6)であった。 [苅尾教授のコメント]本研究は地域住民を対象とした観察プロスペクティブ研究であるARIC研究により、慢性腎臓病(CKD)が、早期段階から、他のリスク因子とは独立した心房細動のリスク因子となることを明確に示した。特に微量アルブミン尿の段階で、将来の心房細動が2倍に増え、通常の蛋白尿が陽性となるマクロアルブミン尿の段階では、実に3倍ものリスクとなる。 さら に、マクロアルブミン尿を示すeGFR<30未満のCKDステージ4群では、腎機能正常の正常アルブミン尿群に比較して、10倍以上の、極めて強いリスク となっている。CKDが心房細動を引き起こす機序はいくつか考えられる。 まず、腎障害による循環血液量の増加により、心臓前負荷が増大することによる左房に用量負荷がかかることである。さらに、合わせ持つリスク因子である高血圧により、左室収縮末期圧が上昇し、左房へ圧負荷が加わり、左房への伸展刺激によりレニン・アンジオテンシン系の活性化などを介した線維化や電気的リモデリングが生じ、心房細動が引き起こされる可能性がある。さらに、CKDでは腎臓から中枢への求心線維を介した交感神経活性化が生じている。この交感神経の活性化が心房細動のリスクを増加させている可能性もある。本研究より、CKDの進展予防が、心不全や心房細動の発症抑制にもつながることが示唆され、より早期からのレニン・アンジオテンシン系抑制薬をベースにした腎保護治療が望まれる。 ([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
出典 Care Net.com 2011.7.11
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=22675
(パスワードが必要です)
版権 Care Net <私的コメント> シスタシンCベースの推定糸球体濾過量(eGFRcys)は、その正確性や再現性から今後クレアチニンにとって替わる指標といわれています。今回の1996〜1998年のARIC研究で、すでにこの指標が使用されているのはちょっとした驚きです。さて、紹介された研究では一切考察は紹介されていません。知りたいのは、そのメカニズムです。そのことにつては苅尾教授が推論しています。しかし、軽度低下群ですでに心房細動発生例が増加している説明は、その推論では無理なような気がします。CKDと心房細動との両者の関係を、心腎連関として捉えるか、はたまたCKD自体を細動脈硬化のサロゲートマーカーと捉えるか、で考え方は全く変わってしまいます。そして、各群間で、糖尿病、高血圧、年齢、脂質異常症などの交絡因子に差はなかったでしょうか。
<番外編>
心房細動の原因ということに関する記述は意外と多くありません。
ちょっと冗長になりますが、そのあたりの記載をピックアップしてみました。
なお、CKDについての記載はみつかりませんでした。 心房細動の原因および心房細動発作誘因は何か?
http://www.m-junkanki.com/heart_diseases/atrial_fibril.html#afQ6
あらゆる心臓病や心房の機械的な負担増加は、心房細動の原因となる。
また、血液・ホルモン・電解質・低酸素血症・自律神経調節異常などの心臓外の異常も原因となる。
心房細動の原因に甲状腺機能亢進症が隠れていることがあることは有名である。
心房細動は心臓病はもちろん、心臓外の病気でも心房に負担をかけると起こりやすくなるので、心臓病以外の異常にも注意を払う必要がある。
心臓疾患では、弁膜症(特に僧帽弁膜疾患)、肥大型心筋症、拡張型心筋症、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心膜炎、種々の原因による心不全などがある。
心臓以外の疾患では、甲状腺機能亢進症、肺塞栓症、高度の貧血、動静脈シャント、発熱疾患、低酸素血症、低カリウム血症などがある。
生活習慣では、睡眠不足によって、心房細動発作が誘発されることがよくある。
他には運動、アルコール(なりやすい人は少量でも誘発)、過剰のカフェイン、肥満、喫煙などが心房細動を誘発する原因となっている。
心房細動の背景にある疾患は何が多いか?
http://www.m-junkanki.com/heart_diseases/atrial_fibril.html#afQ16
具体的には、高血圧症、僧帽弁弁膜症、三尖弁弁膜症、虚血性心疾患、甲状腺機能亢進症などがある。
発作性心房細動ではそれらの合併症がないこと(孤立性心房細動)が多い。
他方、慢性の心房細動では弁膜症が多い。
なお、虚血性心疾患に合併した心房細動は日本では少ないが、海外では多い。
なお、20年以上前に比べて、近年はリウマチ性弁膜症を背景とした心房細動は激減している。
心房細動の原因、基礎疾患
http://www.udatsu.vs1.jp/af.htm
心房細動の基礎疾患としては、加齢、高血圧、糖尿病、虚血性心臓病、心臓弁膜症(ことに僧帽弁狭窄)、特発性心肥大、甲状腺機能亢進症などがあります。
個々の疾患別に見て心房細動の合併率が高いのは、僧帽弁膜症、甲状腺機能亢進症ですが、実際に遭遇する心房細動について言えば、高血圧、虚血性心臓病などが多く認められます。
これは、心房細動は加齢と共に出現率が著しく増加し、高血圧、虚血性心臓病は高年者に多いことに起因しています。
しかし、心房細動の 中には全く基礎疾患がない例が多くあり、「lone atrial fibrillation」(lone=孤独な)と呼ばれ、従来は「白髪現象」に譬えられ、無害な不整脈と考えられていましたが、近年、このような基礎疾 患がない心房細動も心房内血栓形成から脳塞栓を起こす場合が少なくないことが認識され、その予防のための抗凝血薬療法の必要性が認識されるようになりまし た。
Pablo Picasso Fleurs-Flowers,1960 読んでいただいて有り難うございます。コメントをお待ちしています。 その他「葦の髄」循環器メモ帖 http://yaplog.jp/hurst/(循環器専門医向き)ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy(一般の方または患者さん向き) 井蛙内科/開業医診療録(4)2009.10.16~http://wellfrog4.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15http://wellfrog3.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~http://wellfrog2.exblog.jp/井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き) 「井蛙」内科メモ帖 があります。
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コメント (6)
コメント
コメント一覧
コメント有り難うございました。
発作性心房細動はいつ起こるのかも判らないので毎日不安なことと思います。
心中お察しします。
ところで抗凝固剤は服用されていますでしょうか。
また、アブレーションは選択肢にはないのでしょうか。
アブレーションは主治医が年齢的に無理だといいます。また、術後に難渋されている人が身近におられるとその気にもなれません。県内の総合病院14のうち心房細動のカテアブをされるところは皆無で独協大で年間6、自治医大で46です。
山下武志氏の著作に啓発されるところ大ですが、山根禎一氏のカテアブ第一主義には。
今後ともよろしくお願いいたします。医学知識がたいへん助かります。
心房細動の経過を、それぞれの作曲家に例えられたユーモア(?)には敬服します。
さしずめ、ベートーヴェンは交響曲第7番で、ハイドンはセレナーデでしょうか。
しかし、ベートーヴェンの交響曲の第6番の第一楽章とハイドンの交響曲・驚愕(びっくりシンフォニー)では印象が逆転します。
それはさておき、私ならとりあえずはワーファリンを絶対服用します。
INRの定期的チェックは不可避ですが、その煩わしさや食事制限に抵抗があるならば早速dabigatranを服用されてはいかがでしょうか。
問題は服用量ですが、110mg×2回なら、効果はさておき安全性には問題ないのではないでしょうか。
成書や論文については詳しくは知りませんが、私は週1回もの高頻度でAFを起こす例は脳塞栓の確率はかなり高いのではないか、と推測します。
CHADS2でどうであろうが、ガイドライン自体は何が起こっても何ら責任をとってはくれません。
抗凝固剤を服用していない状態で脳塞栓を起こせば、後悔してもしきれないのではないでしょうか。
数多くワーファリンを使用して来ましたが、ジギタリスのような副作用の多さは余り経験していません。
個人的には、AFが洞調律に戻る度に一定の脳塞栓のリスクがあるのではないか、と考えていますが、いかがでしょうか。
繰り返しになりますが、CHADS2は黄金律ではありません。
以上、つたないご返事ですいません。
追伸
炎症と心房細動
http://blog.m3.com/reed/20110715/1
も参考になればいいのですが。
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